JP2010502857A - オレフィンブロックインターポリマーを含むニット織物 - Google Patents

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Abstract

望ましい特性のバランスのとれた組み合わせをしばしば有するニット織物組成物が現在発見されている。前記織物組成物はオレフィンブロックインターポリマーを含む。これらの組成物は、ニット織物を製造するとき、改善された加工性を可能にする。

Description

本発明は改善されたポリオレフィン繊維およびニット織物に関する。
多くの異なる材料が、例えばガーメントにおいて用いるための、ニット織物の製造において用いられている。そのような織物は以下の1またはそれ以上を含む望ましい特性の組み合わせを有することがしばしば望ましい。寸法安定性、熱硬化特性、一方もしくは両方の寸法が伸長可能となる可能性、耐化学、熱および摩耗性、靱性等。そのような織物が、前記特性の1またはそれ以上を著しく損なうことなしに、手洗いもしくは機械洗浄に耐え得ることもしばしば重要である。さらに、欠陥、例えば、繊維破断の減少を伴う生産量の増加が、通常、望ましい。あいにく、従来の材料は、しばしば、前記特性に1またはそれ以上の欠陥がある。加えて、従来の材料では編みプロセスがなんらかの点で制限されることがあり、例えば、製造が、アイレットシステムとは対照的に、プーリー供給システムに制限され得る。
スプールからより良好に巻戻り、かつ欠点、例えば、繊維欠陥および弾性フィラメントもしくは繊維破断を減少させる、改善された繊維が現在発見されている。本発明の繊維の使用は、ニードルベッド上での繊維断片の集積−ポリマー残滓がニードル表面に固着するときに円形織機(circular knit machines)においてしばしば生じる問題を減少させることができる。したがって、本発明の繊維は、残滓によって生じる対応繊維破断を減少させることができる。
同様に、望ましい特性のバランスとのとれた組み合わせをしばしば有するニット織物組成物が発見されている。これらの組成物は改善された加工性を許容する。本発明のニット織物は、典型的には、
(A)以下の特徴の1またはそれ以上を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー、
(1)ゼロを上回り約1.0までの平均ブロック指数(block index)および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
(2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分;もしくは
(3)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
(4)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有す、
ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
Re>1481−1629(d);もしくは
(6)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
(7)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である);並びに
(B)少なくとも1種類の他の物質;
を含み、AATCC 135 IVAiによる洗浄の後に約5パーセント未満の収縮を有するニット織物である。
好ましくは、この1またはそれ以上のポリマー特性は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにより、いかなる架橋もが生じる前に示される。いくつかの場合には、架橋エチレン/α−オレフィンインターポリマーが7つの前記特性の1またはそれ以上を示すこともある。
他の物質は、しばしば、セルロース、木綿、アマ、ラミー、レーヨン、ビスコース、麻、羊毛、絹、リネン、竹、テンセル(tencel)、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンおよびそれらの混合物からなる群より選択される。好ましい織物には、他の物質がセルロース、羊毛もしくはそれらの混合物を含み、かつ編まれているか、もしくは織られているものが含まれる。上述の改善は欠陥を減少させつつ生産量を高めることを許容し得る。その上、織物は従来のプーリーもしくはアイレット機器のいずれでも製造することができる。
(円によって表される)伝統的なランダムコポリマーおよび(三角によって表される)チーグラー・ナッタコポリマーと比較した、(ダイヤモンドによって表される)本発明のポリマーの融点/密度の関係を示す。 様々なポリマーのDSC溶融エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFのプロットを示す。ダイヤモンドはランダムエチレン/オクテンコポリマーを表し;四角はポリマー例1から4を表し;三角はポリマー例5〜9を表し;および円はポリマー例10〜19を表す。記号「X」はポリマー例A*−F*を表す。 (四角および円によって表される)本発明のインターポリマーおよび(三角によって表される、様々なAFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)である)伝統的なコポリマーから製造される非配向フィルムの弾性回復率に対する密度の効果を示す。四角は本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し;および円は本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。 TREF分画エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含有率対(円によって表される)実施例5のポリマー並びに(記号「X」によって表される)比較ポリマーEおよびFの画分のTREF溶出温度のプロットである。ダイヤモンドは伝統的なランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。 TREF分画エチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含有率対実施例5のポリマー(曲線1)並びに比較例F(曲線2)の画分のTREF溶出温度のプロットである。四角は実施例F*を表し;および三角は実施例5を表す。 比較エチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびプロピレン/エチレン−コポリマー(曲線3)並びに異なる量の鎖シャトリング剤で製造される2種類の本発明のエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)の、温度の関数としての貯蔵弾性率のlogのグラフである。 いくつかの公知ポリマーと比較した、TMA(1mm)対(ダイヤモンドによって表される)いくつかの本発明のポリマーの曲げ弾性率のプロットを示す。三角は様々なDow VERSIFY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を表し;円は様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し;および四角は様々なDow AFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を表す。 平均摩擦係数の決定に用いられる、Electonic ConstantTension Transporterを示す。 平均摩擦係数の決定に用いられる、第1配糸構成(threading configuration)を示す。 平均摩擦係数の決定に用いられる、第2配糸構成を示す。 プーリーフィーダーを含む編み機の例図を示す。 アイレットフィーダーを含む編み機の例図を示す。 典型的な染色および仕上げプロセスのプロセスマップを示す。 ASTM D 2594において用いられるハンガーアセンブリの図を示す。
一般定義
「繊維」は長さ対直径比が約10を上回る材料を意味する。繊維は、典型的には、その直径に従って分類される。フィラメント繊維は、一般には、フィラメントあたり約15デニールを上回り、通常は約30デニールを上回る個々の繊維径を有するものと定義される。微細デニール繊維は、一般には、フィラメントあたり約15デニール未満の直径を有する繊維を指す。マイクロデニール繊維は、一般には、フィラメントあたり約100ミクロンデニール未満の直径を有する繊維として定義される。
「フィラメント繊維」もしくは「モノフィラメント繊維」は、一定の長さの物質の不連続糸(すなわち、予め決定された長さの断片に切断もしくは他の方法で分割されている糸)である「ステープル繊維」とは対照的に、不定の(すなわち、予め決定されていない)長さの物質の連続糸を意味する。
「弾性」は、繊維が、最初の引張りの後および100%歪み(その長さの2倍)までの力の後に、その伸長長さの少なくとも約50%を回復することを意味する。弾性は繊維の「永久歪み」によって記述することもできる。永久歪みは弾性の逆である。繊維を特定の点まで伸長させて伸長前の元の位置まで実質的に解放した後、再度伸長させる。繊維が荷重を引き始める点を永久歪みパーセントと命名する。「弾性材料」は、当分野において、「エラストマー」および「エラストマー性」とも呼ばれる。弾性材料(時折、弾性物品と呼ばれる)には、コポリマーそれ自体に加えて、これらに限定されるものではないが、繊維、フィルム、細片、テープ、リボン、シート、コーティング、成型物等の形態にあるコポリマーが含まれる。好ましい弾性物質は繊維である。弾性材料は硬化していてもいなくても、照射されていてもいなくても、および/または架橋されていてもいなくてもよい。
「非弾性物質」は、上で定義される弾性ではない材料、例えば、繊維を意味する。
「実質的に架橋された」および類似の用語は、成形され、もしくは物品の形態にあるコポリマーが70重量パーセント以下(すなわち、30重量パーセント以上のゲル含有率)、好ましくは、40重量パーセント以下(すなわち、60重量パーセント以上のゲル含有率)のキシレン抽出性物質を有することを意味する。キシレン抽出性物質(およびゲル含有率)はASTM D−2765に従って決定される。
「ホモフィル繊維」は、単一のポリマー領域もしくはドメインを有し、かつ(二成分繊維が有するように)いかなる他の異なるポリマー領域も有していない繊維を意味する。
「二成分繊維」は、2またはそれ以上の異なるポリマー領域もしくはドメインを有する繊維を意味する。二成分繊維は接合もしくは多成分繊維としても公知である。ポリマーは、2またはそれ以上の成分が同じポリマーを構成できるが、通常、互いに異なる。ポリマーは二成分繊維の断面を横切って実質的に異なる区域に配置され、かつ、通常は、二成分繊維の長さに沿って連続的に伸びる。二成分繊維の構成は、例えば、シース/コア配置(一方のポリマーが他方によって囲まれる)、サイド・バイ・サイド配置、パイ配置もしくは「海島」配置であり得る。二成分繊維は米国特許第6,225,243号、第6,140,442号、第5,382,400号、第5,336,552号および第5,108,820号においてさらに説明される。
「メルトブローン繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物を、複数の微細な、通常は環状の、ダイキャピラリを通して、溶融糸もしくはフィラメントとして、それらの糸もしくはフィラメントを細くして直径を減少させるように機能する収束性高速気体流(例えば、空気)中に押し出すことによって形成される繊維である。これらのフィラメントもしくは糸は高速気体流によって運ばれて収集表面上に堆積し、一般には10ミクロン未満の平均径を有する、無作為に分散した繊維のウェブを形成する。
「メルトスパン繊維」は、少なくとも1種類のポリマーを溶融した後、溶融状態の繊維をダイの直径(もしくは他の断面形状)を下回る直径(もしくは他の断面形状)まで引き出すことによって形成される繊維である。
「スパンボンド繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物を、フィラメントとして、紡糸口金の複数の微細な、通常は環状の、ダイキャピラリを通して押し出すことによって形成される繊維である。押し出されたフィラメントの直径は急速に減少し、その後、フィラメントは収集表面上に堆積して、一般には約7から約30ミクロンの平均径を有する、無作為に分散した繊維のウェブを形成する。
「不織」は、無作為であってニット織物の場合におけるような識別可能な方式ではなく中間配置される、個々の繊維もしくは糸の構造を有するウェブもしくは織物を意味する。本発明の実施形態による弾性繊維は、不織構造に加えて、非弾性材料と組み合わされた弾性不織織物の複合構造の調製に用いることができる。
「撚り糸」は、織物もしくはニット織物および他の物品の製造において用いることができる、連続した長さの撚られた、もしくは他の方法で絡ませた、フィラメントを意味する。撚り糸は被覆されていてもいなくてもよい。被覆撚り糸は、他の繊維もしくは材料、典型的には、天然繊維、例えば、木綿もしくは羊毛内に少なくとも部分的に包まれた撚り糸である。
「ポリマー」は、同じタイプであろうと異なるタイプであろうと、モノマーを重合させることによって調製されるポリマー化合物を意味する。一般用語「ポリマー」は、「インターポリマー」に加えて、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」という用語を包含する。
「インターポリマー」は少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。一般用語「インターポリマー」は「コポリマー」(これは、通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)という用語に加えて「ターポリマー」(これは、通常、3つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)という用語を含む。それは4つまたはそれ以上のタイプのモノマーを重合させることによって製造されるポリマーも包含する。
「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」という用語は、一般には、エチレンおよび3個またはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましくは、エチレンは全ポリマーの大多数のモル分率を構成し、すなわち、エチレンは全ポリマーの少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンは少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、もしくは少なくとも約80モルパーセントを構成し、全ポリマーの実質的な残部は、好ましくは3個またはそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンである、少なくとも1種類の他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーでは、好ましい組成物は全ポリマーの約80モルパーセントを上回るエチレン含有率および全ポリマーの約10から約15、好ましくは、約15から約20モルパーセントのオクテン含有率を含む。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、低収率で、もしくは微量に、もしくは化学プロセスの副生物として生成されるものを含まない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは1またはそれ以上のポリマーと配合することができるが、生成されたままのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは実質的に純水であり、重合プロセスの反応生成物の主要成分をしばしば構成する。
このエチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーはエチレンおよび1またはそれ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントを特徴とする。すなわち、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマーであり、好ましくはマルチブロックインターポリマーもしくはコポリマーである。「インターポリマー」および「コポリマー」という用語は本明細書では交換可能に用いられる。いくつかの実施形態において、このマルチブロックコポリマーは以下の式、
(AB)n
によって表すことができ、式中、nは少なくとも1、好ましくは、1を上回る整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、もしくはそれを上回るものである。「A」はハードブロックもしくはセグメントを表し、「B」はソフトブロックもしくはセグメントを表す。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐もしくは実質的に星状の形式とは対照的に、実質的に直線の形式で連結する。他の実施形態においては、AブロックおよびBブロックがポリマー鎖に沿って無作為に分配される。換言すると、これらのブロックコポリマーは、通常、以下のような構造を有することがない。
AAA−AA−BBB−BB
さらに他の実施形態においては、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマー(1以上)を含む、第3のタイプのブロックを有することがない。さらに別の実施形態においては、ブロックAおよびブロックBの各々がそのブロック内に実質的に無作為に分配されるモノマーもしくはコモノマーを有する。換言すると、ブロックAおよびブロックBのいずれもが異なる組成の2またはそれ以上のサブセグメント(もしくはサブブロック)、例えば、そのブロックの残部とは実質的に異なる組成を有するチップセグメントを含むことがない。
マルチブロックポリマーは、典型的には、様々な量の「ハード」および「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量を基準にして、約95重量パーセントを上回る量で、好ましくは、約98重量パーセントを上回る量で存在する重合単位のブロックを指す。換言すると、ハードセグメント中のコモノマー含有率(エチレン以外のモノマーの含有率)は、ポリマーの重量を基準にして、約5重量パーセント未満、好ましくは、約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、ハードセグメントがすべての、もしくは実質的にすべての、エチレンを構成する。一方、「ソフト」セグメントは、コモノマー含有率(エチレン以外のモノマーの含有率)が、ポリマーの重量を基準にして、約5重量パーセントを上回り、好ましくは、約8重超パーセントを上回り、約10重量パーセントを上回り、もしくは約15重量パーセントを上回る重合単位のブロックを指す。いくつかの実施形態において、ソフトセグメント中のコモノマー含有率は約20重量パーセントを上回り、約25重量パーセントを上回り、約30重量パーセントを上回り、約35重量パーセントを上回り、約40重量パーセントを上回り、約45重量パーセントを上回り、約50重量パーセントを上回り、もしくは約60重量パーセントを上回り得る。
ソフトセグメントは、しばしば、ブロックインターポリマー中に、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセントから約99重量パーセント、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセントから約95重量パーセント、約10重量パーセントから約90重量パーセント、約15重量パーセントから約85重量パーセント、約20重量パーセントから約80重量パーセント、約25重量パーセントから約75重量パーセント、約30重量パーセントから約70重量パーセント、約35重量パーセントから約65重量パーセント、約40重量パーセントから約60重量パーセント、もしくは約45重量パーセントから約55重量パーセントが存在し得る。反対に、ハードセグメントが同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量パーセンテージおよびハードセグメントの重量パーセンテージはDSCもしくはNMRから得られるデータに基づいて算出することができる。そのような方法および計算は、「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」と題する、Colin L.P. Shan、Lonnie Hazlittらの名前で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡され、同時に出願された米国特許出願第11/376,835号、代理人事件整理番号385063999558(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される。
「結晶性」という用語は、用いられる場合には、示差走査熱量測定(DSC)もしくは等価の技術によって決定される一次転移もしくは結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この「結晶性」という用語は、「半結晶」という擁護と交換可能に使用され得る。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)もしくは等価の技術によって決定される結晶融点を欠くポリマーを指す。
「マルチブロックコポリマー」もしくは「セグメント化コポリマー」という用語は、2つまたはそれ以上の化学的に異なる領域もしくはセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含み、それらが、好ましくは、直線形式で結合するポリマー、すなわち、化学的に区別される単位を含み、それらが、重合したエチレン性官能基に対して、ペンダントもしくはグラフト化方式ではなく、端部を接して結合するポリマーを指す。好ましい実施形態において、これらのブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶性の量、そのような組成のポリマーに起因するクリスタライトのサイズ、立体規則性(イソタクチックもしくはシンジオタクチック)のタイプもしくは程度、レギオ規則性(regio-regularity)もしくはレギオ不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐(hyper-branching)を含む分岐の量、均質性、またはあらゆる他の化学的もしくは物理的特性が異なる。マルチブロックコポリマーは、それらのコポリマーを製造する独自プロセスのため、両多分散指数(polydispersity index)(PDIもしくはMw/Mn)の独自分布、ブロック長分布、および/またはブロック数分布によって特徴付けられる。より具体的には、連続法において製造されるとき、これらのポリマーは、望ましくは、1.7から2.9、好ましくは1.8から2.5、より好ましくは1.8から2.2、最も好ましくは1.8から2.1のPDIを有する。バッチもしくは半バッチ法において製造されるとき、これらのポリマーは1.0から2.9、好ましくは1.3から2.5、より好ましくは1.4から2.0、最も好ましくは1.4から1.8のPDIを有する。
以下の説明において、本明細書で開示されるすべての数字は、「約」もしくは「おおよそ」という単語がそれらに関連して用いられるかどうかに関わらず、おおよその値である。それらは、1パーセント、2パーセント、5パーセント、もしくは時折は、10から20パーセントだけ変化し得る。下限RLおよび上限RUを備える数値範囲が開示されるときにはいつでも、その範囲内に収まるあらゆる数字が明確に開示される。特には、その範囲内の以下の数字が明確に開示される。R=RL+k*(RU−RL)(式中、kは1パーセントから100パーセントを1パーセント刻みで範囲とする変数であり、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、もしくは100パーセントである)。さらに、上で定義される2つのR数によって定義されるあらゆる数値範囲も明確に開示される。
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「本発明のインターポリマー」もしくは「本発明のポリマー」とも呼ばれる)は、エチレンおよび1またはそれ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴付けられ(ブロックインターポリマー)、好ましくは、マルチブロックインターポリマーである。これらのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは以下のように説明される1またはそれ以上の態様によって特徴付けられる。
一態様において、本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは約1.7から約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの摂氏度表示の融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有し、これらの変数の数値は以下の関係に相当する。
m>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、好ましくは
m≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)2、より好ましくは
m≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2
そのような融点/密度の関係が図1に図示される。その融点が密度の減少に伴って低下する伝統的なエチレン/α−オレフィンのランダムコポリマーとは異なり、(ダイヤモンドによって表される)本発明のインターポリマーは、特には密度が約0.87g/ccから約0.95g/ccであるとき、密度とは実質的に無関係の融点を示す。例えば、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccの範囲をとるとき、約110℃から約130℃の範囲にある。いくつかの実施形態においては、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccの範囲をとるとき、約115℃から約125℃の範囲にある。
別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態で、エチレンおよび1またはそれ以上のα−オレフィンを含み、最高示差走査熱量測定(「DSC」)ピークの温度から最高結晶化解析分別(Crystallization Analysis Fractionation)(「CRYSTAF」)ピークの温度を差し引いたものとして定義される、摂氏度表示のΔTおよびJ/g表示の融解熱、ΔHによって特徴付けられ、ΔTおよびΔHは、130J/gまでのΔHについて、以下の関係を満たす。
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95。
さらに、ΔTは、130J/gを上回るΔHについては、48℃以上である。CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され(すなわち、そのピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表さなければならず)、5パーセント未満のポリマーが識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であり、かつΔHはJ/g表示の融合熱の数値である。より好ましくは、最高CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含む。図2は本発明のポリマーに加えて比較例のプロットされたデータを示す。積分ピーク面積およびピーク温度は機器製造業者によって供給されるコンピュータ化描画プログラムによって算出される。ランダムエチレンオクテン比較ポリマーについて示される対角線は、式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは温度上昇溶離分別(「TREF」)を用いて分画するときに40℃から130℃で溶離する分子画分を有し、その画分は同じ温度間で溶離する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高い、モルコモノマー含有率を有することを特徴とし、その匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつそのブロックインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準とする)モルコモノマー含有率を有する。好ましくは、匹敵インターポリマーのMw/Mnもそのブロックインターポリマーの10パーセント以内にあり、および/または匹敵インターポリマーはそのブロックインターポリマーの10重量パーセント以内の合計コモノマー含有率を有する。
さらに別の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される、300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Reによって特徴付けられ、かつグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有し、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満たす。
Re>1481−1629(d);好ましくは
Re≧1491−1629(d);より好ましくは
Re≧1501−1629(d);さらにより好ましくは
Re≧151l−1629(d)。
図3は、特定の本発明のインターポリマーおよび伝統的なランダムコポリマーから製造される非配向フィルムの弾性回復率に対する密度の効果を示す。同じ密度では、本発明のインターポリマーは実質的により高い弾性回復率を有する。
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは10MPaを上回る引張り強さ、好ましくは≧11MPaの引張り強さ、より好ましくは≧13MPaの引張り強さ、および/または、11cm/分のクロスヘッド分離で、少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、非常に好ましくは少なくとも800パーセント、もっとも非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを有する。
他の態様において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは(1)1から50、好ましくは1から20、より好ましくは1から10の貯蔵弾性比、G’(25℃)/G’(100℃)、および/または80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特には60パーセント未満、50パーセント未満もしくは40パーセント未満で0パーセントの圧縮固化まで低下する70℃圧縮固化を有する。
さらに別の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満もしくは50パーセント未満の70℃圧縮固化を有する。好ましくは、これらのインターポリマーの70℃圧縮固化は、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、約0パーセントまで低下することがある。
いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは85J/gの融合熱、および/または100ポンド/フィート2(4800Pa)以下、好ましくは50lb/ft2(2400Pa)以下、特には5lb/ft2(240Pa)以下および0lb/ft2(0Pa)という低さのペレットブロッキング強度を有する。
他の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合形態で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、かつ80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満もしくは60パーセント未満、最も好ましくは40から50パーセント未満でゼロパーセント近くまで低下する70℃圧縮固化を有する。
いくつかの態様において、マルチブロックコポリマーはPoisson分布よりもむしろSchultz−Flory分布に一致するPDIを有する。これらのコポリマーは、さらに、多分散ブロック分布およびブロックサイズの多分散分布の両者を有し、かつブロック長の最もあり得る分布を有するものとして特徴付けられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含む、4またはそれ以上のブロックもしくはセグメントを含むものである。より好ましくは、これらのコポリマーは、末端ブロックを含む、少なくとも5、10もしくは20のブロックもしくはセグメントを含む。
コモノマー含有率はあらゆる適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(「NMR」)分析に基づく技術が好ましい。さらに、比較的広範なTREF曲線を有するポリマーもしくはポリマーの配合物については、望ましくは、まずポリマーをTREFを用いて各々が10℃またはそれ以下の溶離温度範囲を有する画分に分画する。すなわち、各々の溶離画分は10℃またはそれ以下の収集温度窓を有する。この技術を用いることで、それらのブロックインターポリマーは少なくとも1つの、匹敵インターポリマーの対応画分(corresponding fraction)よりも高いモルコモノマー含有率を有するような画分を有する。
別の態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1またはそれ以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)もしくはセグメントによって特徴付けられる(ブロック化インターポリマー)オレフィンインターポリマー、最も好ましくは、マルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーは40℃から130℃で溶離する(しかしながら、個々の画分の収集および/または単離はなしに)ピークを有し(しかしながら、分子画分そのものではなく)、そのピークは半値全幅(full width / half maximum)(FWHM)面積計算を用いて拡張されるときに赤外分光測定によって見積もられるコモノマー含有率を有し、同じ溶離温度で半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡張される匹敵ランダムエチレンインターポリマーのものよりも高く、好ましくは少なくとも5パーセント高く、より好ましくは少なくとも10パーセント高い平均モルコモノマー含有率を有し、その匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつそのブロック化インターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にする)モルコモノマー含有率を有する。好ましくは、匹敵インターポリマーのMw/Mnもそのブロック化インターポリマーの10パーセント以内にあり、および/または匹敵インターポリマーはそのブロック化インターポリマーの10重量パーセント以内の合計コモノマー含有率を有する。半値全幅(FWHM)計算はATREF赤外検出器からのメチルのメチレン応答面積に対する比[CH3/CH2]に基づくものであり、そこでは最も背の高い(最高)ピークを基線から識別した後、FWHM面積を決定する。ATREFピークを用いて測定される分布については、FWHM面積はT1およびT2の間の曲線下の面積と定義され、T1およびT2は、そのピーク高さを2で割った後、ATREF曲線の左右部分と交差する、基線に水平な線を引くことにより、ATREFピークの左右に対して決定される点である。コモノマー含有率の較正曲線は、ランダムエチレンエチレン/α−オレフィンコポリマーを用い、TREFピークのNMR対FWHM面積比からのコモノマー含有率をプロットして作成する。この赤外法では、較正曲線は関心のある同じコモノマーのタイプについて作成される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含有率は、そのTREFピークのFWHMメチル:メチレン面積比[CH3/CH2]を用いてこの較正曲線を参照することによって決定することができる。
コモノマー含有率はあらゆる適切な技術を用いて測定することができ、核磁気共鳴(NMR)分析に基づく技術が好ましい。この技術を用いると、前記ブロック化インターポリマーは対応する匹敵インターポリマー(corresponding comparable interpolymer)よりも高いモルコモノマー含有率を有する。
好ましくは、エチレンおよび1−オクテンのインターポリマーでは、ブロックインターポリマーは(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上の、40から130℃で溶離するTREF画分のコモノマー含有率を有し、式中Tは、℃で測定される、比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
図4はエチレンおよび1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフ表示し、ここでいくつかの匹敵エチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)のコモノマー含有率対TREF溶離温度のプロットが(−0.2013)T+20.07(実線)を表す線にフィットする。式(−0.2013)T+21.07の線は破線によって示される。本発明のいくつかのブロックエチレン/1−オクテンインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の画分のコモノマー含有率も示される。すべてのブロックインターポリマー画分が等しい溶離温度でいずれかの線よりも有意に高い1−オクテン含有率を有する。この結果は本発明のインターポリマーに特徴的なものであり、結晶性および非晶質性の両者を有する、ポリマー鎖内の差別化されたブロックの存在のためであると信じられる。
図5は、以下で論じられる実施例5および比較例FのTREF曲線およびコモノマー含有率をグラフ表示する。両ポリマーの40から130℃、好ましくは、60℃から95℃で溶出するピークは3つの部分に分別され、各々の部分は10℃未満の温度範囲にわたって溶離する。実施例5の実際のデータは三角によって表される。熟練技術者は、異なるコモノマーを含むインターポリマーおよび、同じモノマーの比較インターポリマー、好ましくは、メタロセンもしくは他の均一触媒組成物を用いて製造されるランダムコポリマーから得られるTREF値にフィットされた、比較として用いられる線について、適切な較正曲線が構築できることを理解することができる。本発明のインターポリマーは、同じTREF溶離温度で較正曲線から決定される値よりも大きい、好ましくは少なくとも5パーセント大きい、より好ましくは少なくとも10パーセント大きい、モルコモノマー含有率によって特徴付けられる。
上記態様および本明細書で説明される特性に加えて、本発明のポリマーは1またはそれ以上のさらなる特徴によって特徴付けることができる。一態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1種類またはそれ以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴付けられるオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーはTREF増分を用いて分別するときに40℃から130℃で溶離する分子画分を有し、その画分は同じ温度間で溶離する匹敵ランダムエチレンインターポリマーのものよりも高く、好ましくは少なくとも5パーセント高く、より好ましくは少なくとも10、15、20もしくは25パーセント高いコモノマーモル含有率を有し、その匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を含み、好ましくは、同じコモノマー(1以上)であり、かつそのブロック化インターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準とする)モルコモノマー含有率を含む。好ましくは、匹敵インターポリマーのMw/Mnもそのブロックインターポリマーのものの10パーセント以内にあり、および/または匹敵インターポリマーはそのブロック化インターポリマーのものの10重量パーセント以内の合計コモノマー含有率を有する。
好ましくは、上記インターポリマーはエチレンおよび少なくとも1種類のα−オレフィンのインターポリマー、特には、約0.855から約0.935g/cm3の全ポリマー密度を有するインターポリマーであり、とりわけ、約1モルパーセントを上回るコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化インターポリマーは(−0.1356)T+13.89の量以上、より好ましくは(−0.1356)T+14.93の量以上、最も好ましくは(−0.2013)T+21.07の量以上の、40から130℃で溶離するTREF画分のコモノマー含有量を有し、式中、Tは、℃で測定される、比較されるTREF画分のピークATREF溶離温度の数値である。
好ましくは、エチレンおよび少なくとも1種類のアルファ−オレフィンの上記インターポリマー、特には約0.855から約0.935g/cm3の全ポリマー密度を有するインターポリマー、とりわけ約1モルパーセントを上回るコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化インターポリマーは、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上の、40から130℃で溶離するTREF画分のコモノマー含有率を有し、式中、Tは、℃で測定される、比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1種類またはそれ以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴付けられるオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくは、マルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーはTREF増分を用いて分別するときに40℃から130℃で溶離する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含有率を有するすべての画分が約100℃を上回る融点を有することを特徴とする。約3モルパーセントから約6モルパーセントのコモノマー含有率を有するこれらの画分については、すべての画分が約110℃またはそれ以上のDSC融点を有する。より好ましくは、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有するそれらのポリマー画分が下記式に相当するDSC融点を有する。
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーのモルパーセント)+135.90。
さらに別の態様において、本発明のポリマーは、好ましくはエチレンおよび1種類またはそれ以上の共重合性コモノマーを重合形態で含み、化学的もしくは物理的特性が異なる2つまたはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックもしくはセグメントによって特徴付けられるオレフィンインターポリマー(ブロック化インターポリマー)、最も好ましくは、マルチブロックコポリマーであり、そのブロックインターポリマーはTREF増分を用いて分別するときに40℃から130℃で溶離する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶離温度を有する全ての画分が、DSCによる測定で、以下の式に相当する溶融エンタルピー(融合熱)を有することを特徴とする。
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(摂氏表示のATREF溶離温度)−136.58。
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分別するときに40℃から130℃で溶離する分子画分を有し、40℃から約76℃未満のATREF溶離温度を有する全ての画分が、DSCによる測定で、以下の式に対応する溶融エンタルピー(融解熱)を有することを特徴とする。
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(摂氏表示のATREF溶離温度)+22.97。
赤外検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成はスペイン国ValenciamのPolymer Char(http://www.polvmerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を用いて測定することができる。
この検出器の「組成モード」は測定センサ(CH2)および組成センサ(CH3)を備え、これらは2800から3000cm-1の領域の固定ナローバンド赤外フィルタである。測定センサはポリマーのメチレン(CH2)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接関連する)を検出し、それに対して組成センサはポリマーのメチル(CH3)基を検出する。組成シグナル(CH3)を測定シグナル(CH2)で割った数値比は溶液中の測定されるポリマーのコモノマー含有率に敏感であり、その応答は公知のエチレン・アルファ−オレフィンコポリマー標準で較正する。
この検出器は、ATREF機器と共に用いるとき、TREFプロセスの最中に、溶離したポリマーの濃度(CH2)および組成(CH3)の両者のシグナル応答をもたらす。ポリマーの特異的な較正は、(好ましくはNMRで測定された)公知のコモノマー含有率を有するポリマーのCH3のCH2に対する面積比を測定することによって作成することができる。ポリマーのATREFピークのコモノマー含有率は、個々のCH3およびCH2応答の面積の比の参照較正を適用することによって見積もることができる(すなわち、面積比CH3/CH2対コモノマー含有率)。
ピークの面積は、適切な基線を適用してTREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて算出することができる。半値全幅計算はATREF赤外検出器からのメチルのメチレン応答面積に対する比[CH3/CH2]に基づくものであり、そこでは最も背の高い(最高)ピークを基線から識別した後、FWHM面積を決定する。ATREFピークを用いて測定した分布については、FWHM面積はT1およびT2の間の曲線下の面積と定義され、T1およびT2は、ピーク高さを2で割った後、ATREF曲線の左右部分と交差する、基線に水平の線を引くことにより、ATREFピークの左右に対して決定される点である。
このATREF−赤外法におけるポリマーのコモノマー含有率の測定への赤外分光法の適用は、原理的には、以下の参考文献に記載されるGPC/FTIRシステムに類似する。Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」. Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65, 98-100.;およびDeslauriers, P.J.; Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」, Polymer (2002), 43, 59-170(これらの両者とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
他の実施形態において、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ゼロを上回って約1.0までの平均ブロック指数、ABIおよび約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mnによって特徴付けられる。平均ブロック指数、ABIは、5℃の増分で20℃から110℃の調製用TREFにおいて得られる、ポリマー画分の各々のブロック指数(「BI」の重量平均であり、
式中、BIiは調製用TREFにおいて得られる本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの第i画分のブロック指数であり、wiは第i画分の重量パーセンテージである。
各々のポリマー画分について、BIが以下の2つの式(それらの両者とも同じBI値をもたらす)のうちの一方によって定義され、
式中、TXは(好ましくはケルビンで表される)第i画分の調製用ATREF溶離温度であり、PXは、上述のようにNMRもしくはIRによって測定することができる、第i画分のエチレンモル分率である。PABは全エチレン/α−オレフィンインターポリマーのエチレンモル分率(分画前)であり、これもNMRもしくはIRによって測定することができる。TAおよびPAは純粋「ハードセグメント」(これはインターポリマーの結晶性セグメントを指す)のATREF溶離温度およびエチレンモル分率である。「ハードセグメント」の実際の値が利用可能ではない場合、一次近似として、TAおよびPA値は高密度ポリエチレンホモポリマーのものに設定される。ここで行われる計算では、TAは372°K、PAは1である。
ABは、PABのエチレンモル分率を有する、同じ組成のランダムコポリマーのATREF温度である。TABは以下の式から算出することができる。
LnPAB=α/TAB+β
式中、αおよびβはいくつかの公知ランダムエチレンコポリマーを用いる較正によって決定することができる2つの定数である。なお、αおよびβは機器間で変化し得る。さらに、関心のあるポリマー組成物で、およびその上、それらの画分に類似する分子量範囲内で、自身の較正曲線を創出する必要がある。僅かな分子量効果が存在する。較正曲線が類似の分子量範囲から得られる場合、そのような効果は本質的に無視し得る。いくつかの実施形態において、ランダムエチレンコポリマーは以下の関係を満たす。
LnP=−237.83/TATREF+0.639
XOは、PXのエチレンモル分率を有する、同じ組成のランダムコポリマーのATREF温度である。TXOはLnPX=α/TXO+βから算出することができる。反対に、PXOは、TXのATREF温度を有する、同じ組成のランダムコポリマーのエチレンモル分率であり、LnPXO=α/TX+βから算出することができる。
各々の調製用TREF画分のブロック指数(BI)が得られると、全ポリマーの重量平均ブロック指数、ABIを算出することができる。いくつかの実施形態において、ABIはゼロを上回るが約0.3未満であるか、もしくは約0.1から約0.3である。他の実施形態において、ABIは約0.3を上回って約1.0までである。好ましくは、ABIは約0.4から約0.7、約0.5から約0.7、もしくは約0.6から約0.9の範囲内にあるべきである。いくつかの実施形態において、ABIは約0.3から約0.9、約0.3から約0.8、もしくは約0.3から約0.7、約0.3から約0.6、約0.3から約0.5、もしくは約0.3から約0.4の範囲内にある。他の実施形態において、ABIは約0.4から約1.0、約0.5から約1.0、もしくは約0.6から約1.0、約0.7から約1.0、約0.8から約1.0、もしくは約0.9から約1.0の範囲内にある。
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが調製用TREFによって得ることができる少なくとも1つのポリマー画分を含み、その画分が約0.1を上回って約1.0までのブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mnを有することである。いくつかの実施形態において、このポリマー画分は、約0.6を上回って約1.0まで、約0.7を上回って約1.0まで、約0.8を上回って約1.0まで、もしくは約0.9を上回って約1.0までのブロック指数を有する。他の実施形態において、このポリマー画分は、約0.1を上回って約1.0まで、約0.2を上回って約1.0まで、約0.3を上回って約1.0まで、約0.4を上回って約1.0まで、もしくは約0.4を上回って約1.0までのブロック指数を有する。さらに別の実施形態において、このポリマー画分は、約0.1を上回って約0.5まで、約0.2を上回って約0.5まで、約0.3を上回って約0.5まで、もしくは約0.4を上回って約0.5までのブロック指数を有する。さらに別の実施形態において、このポリマー画分は、約0.2を上回って約0.9まで、約0.3を上回って約0.8まで、約0.4を上回って約0.7まで、もしくは約0.5を上回って約0.6までのブロック指数を有する。
エチレンおよびα−オレフィンのコポリマーについては、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、もしくは少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6で、5.0の最大値まで、より好ましくは3.5の最大値まで、特には2.7の最大までのPDI;(2)80J/gまたはそれ以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含有率;(4)−25℃未満、より好ましくは、−30℃未満のガラス転移温度、Tg;および/または(5)唯一無二のTmを有する。
さらに、本発明のポリマーは、単独で、もしくは本明細書に開示される他のあらゆる特性との組み合わせで、貯蔵弾性率、G’を、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、好ましくは、1.0MPa以上となるように有することができる。さらに、本発明のポリマーは比較的平坦な貯蔵弾性率を0から100℃の範囲の温度の関数として有し(図6に図示される)、これはブロックコポリマーに特徴的なものであり、オレフィンコポリマー、特には、エチレンおよび1またはそれ以上のC3-8脂肪族α−オレフィンのコポリマーには従来知られていないものである。(この文脈において「比較的平坦」という用語が意味するところは、logG’(パスカル表示)の減少が50から100℃、好ましくは、0から100℃で一桁未満であることである。)
本発明のインターポリマーは、少なくとも90℃の温度で1mmの熱機械的分析貫入深さに加えて、3kpsi(20MPa)から13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によってさらに特徴付けることができる。その代わりに、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度で1mmの熱機械的分析貫入深さに加えて、少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有することもできる。それらは90mm3未満の耐摩耗性(もしくは体積損失)を有するものと特徴付けることができる。図7は、他の公知ポリマーと比較した、本発明のポリマーのTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは他のポリマーよりも有意に良好な柔軟性−耐熱性バランスを有する。
加えて、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは0.01から2000g/10分、好ましくは0.01から1000g/10分、より好ましくは0.01から500g/10分、特には0.01から100g/10分のメルトインデックス、I2を有することができる。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは0.01から10g/10分、0.5から50g/10分、1から30g/10分、1から6g/10分もしくは0.3から10g/10分のメルトインデックス、I2を有する。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーのメルトインデックスは1g/10分、3g/10分もしくは5g/10分である。
これらのポリマーは、1,000g/モルから5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モルから1,000,000、より好ましくは10,000g/モルから500,000g/モル、特には10,000g/モルから300,000g/モルの分子量、Mwを有することができる。本発明のポリマーの密度は0.80から0.99g/cm3、好ましくは、エチレン含有ポリマーについて、0.85g/cm3から0.97g/cm3であり得る。特定の実施形態において、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は0.860から0.925g/cm3もしくは0.867から0.910g/cm3の範囲をとる。
これらのポリマーの製造方法は以下の特許出願に開示されている。2004年3月17日出願の米国仮出願第60/553,906号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/662,937号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/662,939号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/662,938号;2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008916;2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008915;および2005年3月17日出願のPCT出願PCT/US2005/008917(これらの全ては参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、そのような方法の1つは、エチレンおよび、任意に、エチレン以外の1種類またはそれ以上の重合性モノマーを、付加重合条件下で、
(A)高コモノマー取り込み指数(comonomer incorporation index)を有する第1オレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー取り込み指数の90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー取り込み指数を有する第2オレフィン重合触媒、および
(C)鎖シャトリング剤(chain shuttling agent)
を組み合わせることから生じる混合物もしくは反応生成物、
を含有する触媒組成物と接触させることを含む。
代表的な触媒および鎖シャトリング剤は以下のようなものである。
触媒(A1)は、WO03/40195、2003US0204017、2003年5月2日出願のUSSN10/429,024およびWO04/24740の教示に従って調製される、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
触媒(A2)は、WO03/40195、2003US0204017、2003年5月2日出願のUSSN10/429,024およびWO04/24740の教示に従って調製される、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
触媒(A4)は、実質的にUS−A−2004/0010103の教示に従って調製される、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
触媒(C1)は、実質的に米国特許第6,268,444号の教示に従って調製される、(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
触媒(C2)は、実質的にUS−A−2003/004286の教示に従って調製される、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタンジメチルである。
触媒(C3)は、実質的にUS−A−2003/004286の教示に従って調製される、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタンジメチルである。
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichから入手可能な二塩化ビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムである。
シャトリング剤 用いられるシャトリング剤には、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)が含まれる。
好ましくは、前記方法は、相互交換が不可能である複数の触媒を用いる、ブロックコポリマー、特には、マルチブロックコポリマー、好ましくは、2種類またはそれ以上のモノマー、特にはエチレンおよびC3-20オレフィンもしくはシクロオレフィン、とりわけ、エチレンおよびC4-20α−オレフィンの直鎖マルチブロックコポリマーを形成するための連続溶液法の形態をとる。すなわち、これらの触媒は化学的に異なる。連続溶液重合条件の下で、この方法はモノマーの混合物の高モノマー変換での重合に理想的に適合する。これらの重合条件の下で、鎖シャトリング剤から触媒へのシャトリングは鎖生長と比較して有利になり、マルチブロックコポリマー、特には、直鎖マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
本発明のインターポリマーは、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的配合物と連続モノマー添加、流動触媒、アニオンもしくはカチオンリビング重合技術によって調製されるブロックコポリマーとを区別することができる。特には、同等の結晶化度もしくは弾性率の同じモノマーおよびモノマー含有率のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点によって測定されるより良好な(より高い)耐熱性、より高いTMA貫入温度、より強い高温引張り強さ、および/または動的機械分析によって決定されるより高い高温ねじれ貯蔵弾性率を有する。同じモノマーおよびモノマー含有率を有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、特には高温で、より少ない圧縮永久歪み、より少ない応力緩和、より高いクリープ耐性、より高い引裂き強度、より高いブロッキング耐性、より高い結晶化(固化)温度によるより速い準備、(特には高温での)より高い回復率、より良好な耐摩耗性、より強い開離力並びに得より良好な油および充填剤受容性を有する。
本発明のインターポリマーは独自の結晶化および分岐分布の関係も示す。すなわち、本発明のインターポリマーは、特には同じモノマーおよびモノマーレベルを含むランダムコポリマーもしくはポリマーの物理的配合物、例えば、高密度ポリマーおよび低密度コポリマーの配合物と同等の全体密度で比較したとき、CRYSTAFおよびDSCを用いて測定される融解熱の関数としての最高ピーク温度に比較的大きな差がある。本発明のインターポリマーのこの独自の特徴は、ポリマー主鎖内のブロックにおけるコモノマーの独自分布によるものと信じられる。特には、本発明のインターポリマーは、異なるコモノマー含有率の交互ブロック(ホモポリマーブロックを含む)を含むことができる。本発明のインターポリマーは、密度もしくはコモノマー含有率が異なるポリマーブロックの数および/またはブロックサイズに、Schultz−Flory型の分布である、分布を有していてもよい。加えて、本発明のインターポリマーは、ポリマーの密度、弾性率および形態とは実質的に無関係である、独自のピーク融点および結晶化温度プロフィールを有することもできる。好ましい実施形態において、これらのポリマーの微結晶階層では、1.3未満にまで低下する1.7未満もしくは1.5未満のPDI値でさえ、ランダムもしくはブロックコポリマーと区別し得る特徴的な小球体および積層体が示される。
さらに、本発明のインターポリマーは、ブロック化(blockiness)の程度もしくはレベルに影響を及ぼす技術を用いて調製することができる。すなわち、触媒およびシャトリング剤の比およびタイプに加えて重合の温度および他の重合変数を制御することにより、コモノマーの量および各ポリマーブロックもしくはセグメントの長さを変化させることができる。この現象の驚くべき利点は、ブロック化の程度が増加するに従い、生じるポリマーの光学特性、引裂き強度および高温回復特性が改善されるという発見である。特には、ポリマー中のブロックの平均数が増加するに従い、透明度、引裂き強度および高温回復特性が増加しつつ曇りが減少する。望ましい連鎖移動能力(低レベルの鎖生長停止で高速のシャトリング)を有するシャトリング剤および触媒の組み合わせを選択することにより、他の形態のポリマー生長停止が効率的に抑制される。したがって、本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合において観察されるβ−ヒドリド除去は、存在するとしても、僅かであり、生じる結晶性ブロックは高度に、もしくは実質的に完全に直鎖であり、長鎖分岐はほとんど、もしくは全く存在しない。
高度に結晶性の鎖末端を有するポリマーを本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる。エラストマー用途において、非晶質ブロックで停止するポリマーの相対量を減少させることは結晶領域に対する分子間希薄効果(inntermolecular dilutive effect)を弱める。この結果は、水素もしくは他の連鎖停止剤に対して適切に応答する鎖シャトリング剤および触媒を選択することによって得ることができる。具体的には、高度に結晶性のポリマーを生成する触媒が(例えば、より多くのコモノマー取り込み、レギオエラーもしくはアタクチックポリマーの形成によって)より結晶性の少ないポリマーセグメントを生成する原因である触媒よりも(例えば、水素の使用により)鎖生長停止の影響を受けやすい場合、高度に結晶性のポリマーセグメントがそのポリマーの停止部分を優先的に占める。生じる停止基が結晶性であるだけではなく、停止時に、高度に結晶性のポリマーを形成する触媒部位をポリマー形成の再開に再度利用することができる。したがって、最初に形成されたポリマーは別の高度に結晶性のポリマーセグメントである。したがって、生じるマルチブロックコポリマーの両端は優先的に高度に結晶性である。
本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、好ましくは、エチレンと少なくとも1種類のC3−C20α−オレフィンとのインターポリマーである。エチレンおよびC3−C20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。これらのインターポリマーは、C4−C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンをさらに含むことができる。エチレンとの重合に有用な適切な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役もしくは非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼン等が含まれる。そのようなコモノマーの例には、C3−C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が含まれる。1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。他の適切なモノマーには、スチレン、ハロもしくはアルキル置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンおよびナフテン系物質(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテン)が含まれる。
エチレン/α−オレフィンインターポリマーが好ましいポリマーではあるが、他のエチレン/オレフィンポリマーを用いることもできる。ここで用いられるオレフィンは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素系化合物の系統群を指す。触媒の選択に依存して、あらゆるオレフィンを本発明の実施形態において用いることができる。好ましくは、適切なオレフィンは、ビニル性不飽和を含むC3−C20脂肪族および芳香族化合物に加えて、環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン並びに、5および6位がC1−C20ヒドロカルビルもしくはシクロヒドロカルビル基で置換されたノルボルネンを含むがこれに限定されるものではない、ノルボルネンである。そのようなオレフィンの混合物に加えてそのようなオレフィンとC4−C40ジオレフィン化合物との混合物も含まれる。
オレフィンモノマーの例には、これらに限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンおよび1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C4−C40ジエン(これには1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが含まれるがこれらに限定されるものではない)、他のC4−C40α−オレフィン等が含まれる。特定の実施形態において、α−オレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンもしくはそれらの組み合わせである。ビニル基を含むあらゆる炭化水素を本発明の実施形態において潜在的に用いることができるが、実務上の問題、例えば、モノマーの有効性、経費および生じるポリマーから未反応モノマーを簡単に除去する能力が、モノマーの分子量が過度に大きくなるに従い、より問題となり得る。
本明細書で説明される重合法は、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等を含むモノビニリデン芳香族モノマーを含有するオレフィンポリマーの製造に適する。特には、エチレンおよびスチレンを含むインターポリマーをここでの教示に従うことによって調製することができる。任意に、エチレン、スチレンおよびC3−C20α−オレフィンを含み、任意にC4−C20ジエンを含む、改善された特性を有するコポリマーを調製することができる。
適切な非共役ジエンモノマーは、6から15個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖もしくは環状炭化水素ジエンであり得る。適切な非共役ジエンの例には、これらに限定されるものではないが、直鎖アクリルジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分岐鎖アクリルジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン並びにジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合異性体、単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン、並びに多環脂環式融合および架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンが含まれる。EPDMの調製に典型的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
本発明の実施形態に従って製造することができる望ましいポリマーの1クラスは、エチレン、C3−C20α−オレフィン、特にはプロピレン、および、任意に、1種類またはそれ以上のジエンモノマーのエラストマー性インターポリマーである。本発明のこの実施態様において用いるのに好ましいα−オレフィンは式CH2=CHR*で表され、式中、R*は1から12個の炭素原子の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である。適切なα−オレフィンの例には、これらに限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが含まれる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系ポリマーは、当分野において、一般にEPもしくはEPDMポリマーと呼ばれる。そのようなポリマー、特には、マルチブロックEPDM型ポリマーの調製において用いるのに適するジエンには、4から20個の炭素を含む、共役もしくは非共役、直鎖もしくは分岐鎖、環状もしくは多環式ジエンが含まれる。好ましいジエンには、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンおよび5−ブチリデン−2−ノルボルネンが含まれる。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
ジエン含有ポリマーはより多量もしくはより少量のジエン(無しを含む)およびα−オレフィン(無しを含む)を含有する交互セグメントもしくはブロックを含むため、それに続くポリマー特性を失うことなしに、ジエンおよびα−オレフィンの総量を減少させることができる。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンモノマーが、ポリマー全体を通して均一もしくは無作為にではなく、むしろポリマーのあるタイプのブロックに優先的に取り込まれるため、それらをより有効に利用し、それに続いてポリマーの架橋密度をより良好に制御することができる。そのような架橋性エラストマーおよび硬化生成物は、より強い引張り強さおよびより良好な弾性回復率を含む、有利な特性を有する。
いくつかの実施形態において、異なる量のコモノマーを取り込む、2種類の触媒で製造された本発明のインターポリマーは、95:5から5:95の、それにより形成されるブロックの重量比を有する。これらのエラストマー性ポリマーは、望ましくは、そのポリマーの総重量を基準にして、20から90パーセントのエチレン含有率、0.1から10パーセントのジエン含有率および10から80パーセントのα−オレフィン含有率を有する。さらに好ましくは、それらのマルチブロックエラストマー性ポリマーは、そのポリマーの総重量を基準にして、60から90パーセントのエチレン含有率、0.1から10パーセントのジエン含有率および10から40パーセントのα−オレフィン含有率を有する。好ましいポリマーは、10,000から約2,500,000、好ましくは20,000から500,000、より好ましくは20,000から350,000の重量平均分子量(Mw)および3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散性および1から250のMooney粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリマーである。より好ましくは、そのようなポリマーは65から75パーセントのエチレン含有率、0から6パーセントのジエン含有率および20から35パーセントのα−オレフィン含有率を有する。
これらのエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも1つの官能基をそのポリマー構造に組み込むことによって官能化することができる。例示的な官能基には、例えば、エチレン性不飽和一もしくは二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和一もしくは二官能性カルボン酸無水物、それらの塩およびそれらのエステルが含まれ得る。そのような官能基はエチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフト化することができ、もしくはエチレンおよび任意のさらなるコモノマーと共重合させてエチレン、官能性コモノマーおよび、任意に、他のコモノマー(1種類以上)のインターポリマーを形成することができる。ポリエチレンに官能基をグラフト化するための手段は、例えば、米国特許第4,762,890号、第4,927,888号および第4,950,541号に記載され、これらの特許の開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。特に有用な官能基の1つは無水マレイン酸である。
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量は変化し得る。官能基は、典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在し得る。官能基は、典型的には、コポリマー型官能化インターポリマー中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在し得る。
試験方法
以下の例においては、以下の分析技術を用いる。
サンプル1−4およびA−C用のGPC法
160℃に設定された加熱ニードルを備える自動液体取り扱いロボットを用いて、300ppm Ionolで安定化した十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを各乾燥ポリマーサンプルに添加し、30mg/mLの最終濃度を得る。小さいガラス攪拌棒を各管に入れ、250rpmで回転する加熱されたオービタル・シェーカー上でサンプルを160℃まで2時間加熱する。次に、濃縮されたポリマー溶液を、自動液体取り扱いロボットおよび160℃に設定された加熱ニードルを用いて1mg/mlに希釈する。
Symyx Rapid GPCシステムを各サンプルの分子量データの決定に用いる。流速2.0ml/分に設定されたGilson 350ポンプを用いて、ヘリウムパージされた、300ppm Ionolで安定化された1,2−ジクロロベンゼンを移動相として、直列に配置され、かつ160℃に加熱された、3本のPlgel 10ミクロン(μm)Mixed B 300mm×7.5mmカラムを通して汲み上げる。Polymer Labs ELS 1000 Detectorを、250℃に設定されたエバポレーター、165℃に設定された噴霧器および60−80psi(400−600kPa)N2の圧力で1.8SLMに設定された窒素流速と共に用いる。ポリマーサンプルを160℃に加熱し、液体取り扱いロボットおよび加熱ニードルを用いて、各サンプルを250μlループに注入する。2つの切り替えられたループおよび重複する注入を用いる、ポリマーサンプルの連続分析を用いる。サンプルデータを収集し、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて分析する。ピークを非機械的に積分し、分子量情報を、ポリスチレン標準較正曲線に対して修正しないまま、報告する。
標準CRYSTAF法
分岐分布は、スペイン国バレンシアのPolymerCharから商業的に入手可能なCRYSTAF200ユニットを用いる結晶化分析細分化(crystallization analysis fractionation)(CRYSTAF)によって決定する。サンプルを160℃の1,2,4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間溶解し、95℃で45分間安定化する。サンプリング温度は0.2℃/分の冷却速度で95から30℃の範囲である。赤外線検出器を用いてポリマー溶液濃度を測定する。温度を低下させながら、ポリマーの結晶化に伴う累積可溶性物質濃度を測定する。その累積プロフィールの分析微分係数はポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
CRYSTAFピーク温度および面積はCRYSTAFソフトウェア(バージョン2001.b、スペイン国バレンシアのPolymerChar)に含まれるピーク分析モジュールによって同定する。そのCRYSTAFピーク検出ルーチンはピーク温度をdW/dT曲線における最大値および微分係数曲線において同定されたピークのいずれかの側の最大の正の変曲間の面積として同定する。CRYSTAF曲線を算出するのに、好ましい処理パラメータは70℃の温度限界を有し、かつその温度限界の0.1上および温度限界の0.3下の平滑パラメータを有する。
DSC標準法(サンプル1−4およびA−Cを除く)
示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却アクセサリおよびオートサンプラーを備えるTAIモデルQ1000DSCを用いて決定する。50ml/分の窒素パージ気流を用いる。サンプルを圧縮して薄膜とし、プレス内、約175℃で溶融した後、室温(25℃)まで空冷する。次いで、3−10mgの物質を切断して6mm径ディスクとし、正確に秤量して軽量アルミニウムパン(約50mg)に入れ、次にそれを型押し閉鎖する。サンプルの熱的挙動を以下の温度プロフィールで調べる。あらゆる以前の熱履歴を除去するために、サンプルを180℃に急速加熱し、等温で3分間保持する。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間保持する。その後、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却および第2加熱曲線を記録する。
DSC溶融ピークは、−30℃と溶融の最後との間に引かれた直線基線に対する熱流速(W/g)の最大として測定される。融解熱は、直線基線を用いて、−30℃と溶融の最後との間の溶融曲線下の面積として測定される。
GPC法(サンプル1−4およびA−Cを除く)
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムはPolymer Laboratories Model PL−210もしくはPolymer Laboratories Model PL−220機器のいずれかからなる。カラムおよびカルーセル区画は140℃で稼働させる。3本のPolymer Laboratories 10−micron Mixed−Bカラムを用いる。溶媒は1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。サンプルは160℃で2時間、軽く攪拌することによって調製する。用いられる注入容積は100マイクロリットルであり、流速は1.0ml/分である。
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間に少なくとも10の隔たりがある6つの「カクテル」混合物中に用意された、580から8,400,000の範囲の分子量を有する21のナロー分子量分布ポリスチレン標準で行う。これらの標準はPolymer Laboratories(Shropshire、UK)から購入する。これらのポリスチレン標準は、1,000,000以上の分子量では50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムで、1,000,000未満の分子量では50ミリリットルの溶媒中に0.05グラムで調製する。これらのポリスチレン標準を、80℃で、穏やかに攪拌しながら30分間溶解する。これらのナロー標準混合物を最初に、かつ最高分子量成分を減少させる順に流して分解を最小限に抑える。ポリスチレン標準ピーク分子量を、(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載される)以下の式を用いてポリエチレン分子量に変換する。Mホ゜リエチレン=0.431(Mホ゜リスチレン)。
ポリエチレン等価分子量の計算はViscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を用いて行う。
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みはASTM D395に従って測定する。サンプルは、3.2mm、2.0mmおよび0.25mm厚の25.4mm径円形ディスクを12.7mmの合計厚みに到達するまで積み重ねることによって調製する。これらのディスクは、ホットプレスを用いて以下の条件下で成型された12.7cm×12.7cm圧縮成型プラークから切断する。190℃で3分間のゼロ圧力、次いで190℃で2分間の86MPa、続いて86MPaで冷流水を用いてプレス内で冷却。
密度
密度測定用のサンプルはASTM D 1928に従って調製する。測定は、ASTM D792、方法Bを用い、1時間以内のサンプル圧縮で行う。
屈曲/割線弾性率/貯蔵弾性率
ASTM D 1928を用いてサンプルを圧縮成型する。屈曲および2パーセント割線弾性率はASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率はASTM D 5026−01もしくは同等の技術に従って測定する。
光学特性
0.4mm厚のフィルムをホットプレス(Carver Model #4095−4PR1001R)を用いて圧縮成型する。それらのペレットをポリテトラフルオロエチレンシートの間に入れ、190℃、55psi(380kPa)で3分間、次いで1.3MPaで3分間、次いで2.6MPaで3分間加熱する。次に、そのフィルムをプレス内で冷流水を用いて1.3MPaで1分間冷却する。それらの圧縮成型されたフィルムを光学測定、引張り挙動、回復および応力緩和に用いる。
透明度は、ASTM D 1746に指定されるように、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。
45°光沢は、ASTM D−2457に指定されるように、BYK Gardner Glossmeter Microgloss 45°を用いて測定する。
内部曇りは、ASTM D 1003手順Aに基づき、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。鉱油をフィルム表面に塗布して表面スクラッチを除去する。
機械的特性−引張り、ヒステリシスおよび引裂き
一軸張力における応力−歪み挙動はASTM D 1708微小張力検体を用いて測定する。サンプルはInstronを用いて500%分-1、21℃で伸長させる。引張り強さおよび破断伸度を5検体の平均から報告する。
100%および300%ヒステリシスは、100%および300%歪みへの循環負荷から、ASTM D 1708微小張力検体を用いて、Instron(商標)機器で決定する。サンプルに21℃、267%分-1で3サイクルの負荷を加えて解除する。300%および80℃での循環実験は環境チャンバーを用いて行う。80℃実験においては、試験に先立ち、サンプルを試験温度で45分間平衡化する。21℃、300%歪み循環実験においては、最初の解除サイクルから150%歪みでの引き込み応力を記録する。すべての実験の回復パーセントを、最初の解除サイクルから、負荷が基線に戻る歪みを用いて算出する。回復パーセントは以下のように定義される。
式中、εfは循環負荷で受ける歪みであり、εsは第1解除サイクルの間に負荷が基線に戻る場合の歪みである。
応力緩和は、環境チャンバーを備えるInstron(商標)機器を用い、50パーセント歪みおよび37℃で12時間測定する。ゲージ外形は76mm×25mm×0.4mmであった。37℃で45分間、環境チャンバー内で平衡化した後、サンプルを333%分-1で50%歪みまで伸長した。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントを式、
(式中、L0は50%歪み、0時間での負荷であり、L12は50パーセント歪みで12時間後の負荷である)
を用いて算出した。
引張りノッチ付き引裂き(tensile notched tear)実験は0.88g/ccまたはそれ以下の密度を有するサンプルに対してInstron(商標)機器を用いて行う。その外形は、検体長さの半分でサンプルに入れられた2mmのノッチ切り込みを有する、76mm×13mm×0.4mmのゲージ断面からなる。サンプルは508mm分-1、21℃で、それが破断するまで伸長する。引裂きエネルギーは最大負荷での歪みまでの応力−伸長曲線下の面積として算出する。少なくとも3検体の平均を報告する。
TMA
熱的機械分析(貫入温度)は、180℃および10MPaの成型圧で5分間で形成した後に空冷した、30mm径×3.3mm厚の圧縮成型ディスクに対して行う。用いられる機器はPerkin−Elmerから入手可能なブランドであるTMA7である。この試験においては、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)をサンプルディスクの表面に1Nの力で適用する。温度は25℃から5℃/分で上昇させる。プローブ貫入距離を温度の関数として測定する。プローブがサンプル内に1mm貫入したとき、実験を終了する。
DMA
動的機械分析(DMA)は、ホットプレス内、180℃、10MPa圧で5分間で形成した後、プレス内において90℃/分で水冷した圧縮成型ディスクに対して測定する。試験は、ねじれ試験用の二重カンチレバー取り付け具を備える、ARES制御歪みレオメーター(TA instruments)を用いて行う。
1.5mmプラークを圧縮し、32×12mmの寸法の棒に切断する。サンプルを10mm隔てられた取り付け具間に両端で留め(グリップ分離ΔL)、−100℃から200℃の連続温度ステップ(ステップあたり5℃)を施す。各々の温度でねじれ弾性率G’を10rad/sの角周波数で測定し、歪み振幅を0.1パーセントから4パーセントに維持して、トルクが十分であり、かつ測定が線形方式のままであることを確実なものとする。
10gの初期静的加重を維持し(自動張力モード)、熱的膨張が生じたときのサンプルの緩みを防止する。結果として、グリップ分離ΔLは温度と共に、特にはポリマーサンプルの融点もしくは軟化点より上で、増加する。この試験は最大温度で、もしくは取り付け具間の間隙が65mmに到達するときに停止する。
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわち、I2はASTM D 1238、条件190℃/2.16kgに従って測定する。メルトインデックス、すなわち、I10もASTM D 1238、条件190℃/10kgに従って測定する。
ATREF
解析的温度上昇溶出細分化(analytical temperature rising elution fractionation)(ATREF)分析は米国特許第4,798,081号およびWilde, L.; Ryle, T.R.; Knobeloch, D.C.; Peat, I.R.; Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers, J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982)(これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って行う。分析しようとする組成物をトリクロロベンゼンに溶解し、不活性支持体(ステンレス鋼弾丸)を収容するカラム内で、温度を0.1℃/分の冷却速度で20℃まで徐々に低下させることによって結晶化させる。カラムは赤外線検出器を備える。次に、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20から120℃に徐々に上昇させることにより、結晶化ポリマーサンプルをカラムから溶出することによってATREFクロマトグラム曲線を生成する。
13 C NMR分析
サンプルは、10mm NMR管内で、約3gの、テトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を0.4gのサンプルに添加することによって調製する。サンプルを溶解し、管およびその内容物を150℃に加熱することによって均一化する。データは、100.5MHzの13C共鳴周波数に対応する、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計もしくはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用いて収集する。データは、6秒のパルス反復遅延で、データファイルあたり4000の過渡応答を用いて取得する。定量分析にとって最大の信号対雑音を達成するため、複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトル幅は25,000Hzで、最小ファイルサイズは32Kデータ点である。サンプルは、130℃で、10mmブロードバンドプローブにおいて分析する。コモノマー取り込みはRandallのトライアッド法(Randall, J.C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317 (1989)、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を用いて決定する。
TREFによるポリマー分別
大規模TREF分別は、15−20gのポリマーを2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)に、160℃で4時間攪拌することによって溶解することにより行う。そのポリマー溶液を、15psig(100kPa)窒素により、30−40メッシュ(600−425μm)球形工業級ガラスビーズ(Potters Industries、HC 30 Box 20、Brownwood、TX、76801から入手可能)およびステンレス鋼0.028”(0.7mm)径切断ワイヤショット(Pellets. Inc.63 Industrial Drive、North Tonawanda、NY、14120から入手可能)の60:40(v:v)混合物を充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)スチールカラムに押し込む。そのカラムを、最初は160℃に設定される、熱的に制御されるオイルジャケットに浸漬する。カラムを、まず弾丸のように125℃に冷却し、次いで毎分0.04℃で20℃まで徐冷して1時間保持する。新鮮なTCBを、温度を毎分0.167℃で上昇させながら、約65ml/分で導入する。
調製用TREFカラムからの溶出液から約2000mlを16ステーション加熱分別収集器に集める。各々の画分において、ロータリーエバポレーターを用いて、約50から100mlのポリマー溶液が残るまでポリマーを濃縮する。濃縮された溶液を一晩静置した後、過剰のメタノールを添加し、濾過してすすぐ(最終すすぎを含めて約300−500mlのメタノール)。この濾過工程は、3点真空支援濾過ステーションで、5.0μmポリテトラフルオロエチレンコート濾紙(Osmonics Inc.から入手可能、Cat# Z50WP04750)を用いて行う。濾過した画分を真空オーブン内、60℃で一晩乾燥させ、さらなる試験の前に分析用天秤で秤量する。
溶融強度
溶融強度(MS)は、2.1mm径20:1ダイが約45°の進入角で取り付けられたキャピラリレオメーターを用いることによって測定する。サンプルを190℃で10分間平衡化した後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で稼働させる。標準試験温度は190℃である。サンプルを、ダイの下100mmに位置する一組の加速ニップまで、2.4mm/秒2の加速度で一軸的に引く。必要な張力をニップロールの巻き取り速度の関数として記録する。試験の最中に到達した最大張力を溶融強度と定義する。引取共振を示すポリマー溶融物の場合、引取共振の発生前の張力を溶融強度として採用した。溶融強度はセンチニュートン(「cN」)で記録する。
触媒
「一晩」という用語は、用いられる場合、約16−18時間を指し、「室温」という用語は20−25℃の温度を指し、「混合アルカン」という用語は、ExxonMobil Chemical CompanyからIsopar E(登録商標)の商品名で入手可能な、商業的に入手されたC6-9脂肪族炭化水素の混合物を指す。この場合、本明細書での化合物の名称はそれらの構造的な表示に従うものではなく、構造的な表示は確認すべきである。すべての金属錯体の合成およびすべてのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス技術を用いて、乾燥窒素雰囲気内で行った。用いられるすべての溶媒はHPLC級であり、それらの使用の前に乾燥させた。
MMAOは、修飾メチルアルモキサン、Akzo−Noble Corporationから商業的に入手可能なトリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンを指す。
触媒(B1)の調製は以下のように行う。
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに添加する。その溶液は急速に明黄色になる。周囲温度で3時間攪拌した後、揮発性物質を真空下で除去して明黄色結晶性固体を得る(收率97パーセント)。
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
5mLトルエン中の(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)の溶液を、50mLトルエン中のZr(CH2Ph)4(500mg、1.1mmol)の溶液に徐々に添加する。生じる暗黄色溶液を30分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、所望の生成物を赤みがかった褐色固体として得る。
触媒(B2)の調製は以下のように行う。
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解し、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67mmol)を添加する。その反応混合物を3時間攪拌した後、−25℃に12時間冷却する。生じる黄色固体沈殿を濾過に撚って集めて冷メタノール(2×15mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥させる。収量は11.17gの黄色固体である。1H NMRは、異性体の混合物としての、所望の生成物と一致する。
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
200mLトルエン中の(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)の溶液を、600mLトルエン中のZr(CH2Ph)4(5.28g、11.6mmol)の溶液に徐々に添加する。生じる暗黄色溶液を25℃で1時間攪拌する。その溶液を680mLトルエンでさらに希釈し、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
共触媒1 実質的に米国特許第5,919,983号、Ex.2に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.から入手可能)、HClおよびLi[B(C654]の反応によって調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以下、アルミーニアム(armeenium)ボレート)のメチルジ(C14-18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
共触媒2 米国特許第6,395,671号、Ex.16に従って調製される、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14-18アルキルジメチルアンモニウム塩。
シャトリング剤 用いられるシャトリング剤には、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘキサンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド)(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が含まれる。
実施例1〜4、比較例A〜C
一般高スループット平行重合条件
重合は、Symyx technologies,Inc.から入手可能な高スループット平行重合反応器(PPR)を用いて行い、実質的に米国特許第6,248,540号、第6,030,917号、第6,362,309号、第6,306,658号および第6,316,663号に従って操作する。エチレン共重合は、130℃および200psi(1.4MPa)で、エチレンは要求に応じて用い、用いられる全触媒を基準にして1.2当量(MMAOが存在するときには1.1当量)の共触媒1を用いて行う。一連の重合は、予め秤量したガラス管が取り付けられた、48の個別の反応器セルを6×8アレイで含む平行圧力反応器(PPR)において行う。各々の反応器セルの作業容積は6000μLである。各々のセルは個別の攪拌パドルによってもたらされる攪拌で温度および圧力制御される。モノマー気体および冷却気体はPPRユニットに直接落下し、自動弁によって制御される。液体試薬はシリンジにより各反応器セルにロボット制御で添加され、リザーバ溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1もしくは共触媒1/MMAO混合物、シャトリング剤および触媒もしくは触媒混合物である。共触媒1およびMMAOの混合物もしくは2種類の触媒の混合物が用いられるとき、それらの試薬は、反応器への添加に先立ち、小バイアル内で予め混合する。実験において試薬を省略するとき、上述の添加の順番は他の方法で維持する。重合は、予め決定されたエチレン消費に到達するまで、約1から2分間行う。COで反応停止させた後、反応器を冷却し、ガラス管を取り外す。それらの管を遠心/真空乾燥ユニットに移し、60℃で12時間乾燥させる。乾燥したポリマーを収容する管を秤量し、この重量と風袋重量との差がポリマーの正味の収量をもたらす。結果を表1に納める。表1および本明細書の他所において、比較化合物はアスタリスク(*)によって示される。
実施例1〜4は、DEZが存在するときの非常に狭いMWDの本質的に単峰性のコポリマーおよびDEZが存在しない状態での二峰性の広い分子量分布の生成物(別々に生成したポリマーの混合物)の形成によって立証されるように、本発明による直鎖ブロックコポリマーの合成を示す。触媒(A1)は触媒(B1)よりもより多くのオクテンを取り込むことが公知であるという事実から、生じる本発明のコポリマーの異なるブロックもしくはセグメントは分岐もしくは密度に基づいて区別可能である。
本発明によるポリマー生成物が、シャトリング剤が存在しない状態で調製されるポリマーよりも、比較的狭い多分散性(Mw/Mn)および大きなブロック−コポリマー含有率(トリマー、テトラマーもしくはそれを上回るもの)を有することを見てとることができる。
表1のポリマーのさらなる特徴付けデータは図を参照することによって決定される。より具体的には、DSCおよびATREFの結果を以下に示す。
実施例1のポリマーのDSC曲線は、158.1J/gの融解熱を伴う115.7℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、52.9パーセントのピーク面積を伴う34.5℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は81.2℃である。
実施例2のポリマーのDSC曲線は、214.0J/gの融解熱を伴う109.7℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、57.0パーセントのピーク面積を伴う46.2℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は63.5℃である。
実施例3のポリマーのDSC曲線は、160.1J/gの融解熱を伴う120.7℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、71.8パーセントのピーク面積を伴う66.1℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は54.6℃である。
実施例4のポリマーのDSC曲線は、170.7J/gの融解熱を伴う104.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、18.2パーセントのピーク面積を伴う30℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとの差は74.5℃である。
比較例AのDSC曲線は、86.7J/gの融解熱を伴う90.0℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、29.4パーセントのピーク面積を伴う48.5℃の最大ピークを示す。これらの値の両者とも密度が低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの差は41.8℃である。
比較例BのDSC曲線は、237.0J/gの融解熱を伴う129.8℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、83.7パーセントのピーク面積を伴う82.4℃の最大ピークを示す。これらの値の両者ともは密度が高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの差は47.4℃である。
比較例CのDSC曲線は、143.0J/gの融解熱を伴う125.3℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.7パーセントのピーク面積を伴う81.8℃の最大ピークに加えて52.4℃のより低い結晶性ピークを示す。2つのピークの間の隔たりは高結晶性および低結晶性ポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcrystafとの差は43.5℃である。
実施例5〜19、比較例D〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合は、内部攪拌機を備えるコンピュータ制御オートクレーブ反応器において行う。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、2.70lb/時でのエチレン(1.22kg/時)、1−オクテンおよび水素(用いられる場合)を、温度制御用のジャケットおよび内部熱電対を備える3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒供給はマスフロー制御器によって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが溶媒流速および反応器に対する圧力を制御する。ポンプの排出口で、側流を取り込んで触媒および共触媒1注入ライン並びに反応器攪拌機にフラッシュ流を提供する。これらの流れはMicro−Motionマスフローメーターによって測定し、制御弁により、もしくはニードル弁の手動調整により制御する。残りの溶媒は1−オクテン、エチレンおよび水素(用いられる場合)と合わせ、反応器に供給する。マスフロー制御器を用いて、必要に応じて水素を反応器に送達する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に、熱交換器の使用によって制御する。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液はポンプおよびマスフローメーターを用いて秤量し、触媒フラッシュ溶媒と合わせて反応器の底部に導入する。反応器は、激しく攪拌しながら、液体充満、500psig(3.45MPa)で稼働させる。生成物は反応器の頂部の排出ラインを通して取り出す。反応器からのすべての排出ラインは流れが追跡され(stream traced)、かつ遮蔽される。少量の水をあらゆる安定化剤もしくは他の添加物と共に排出ラインに添加することによって重合を停止させ、混合物をスタティックミキサーに通す。次に、揮発性物質除去に先立ち、熱交換器を通過させることによって生成物流を加熱する。揮発性物質除去押出機(devolatilizing extruder)および水冷ペレッタイザーを用いる押出しによってポリマー生成物を回収する。プロセスの詳細および結果が表2に収容される。選択されたポリマー特性が表3に示される。
生じるポリマーは、前の例と同様に、DSCおよびATREFによって試験する。結果は以下の通りである。
実施例5のポリマーのDSC曲線は、60.0J/gの融解熱を伴う119.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、59.5パーセントのピーク面積を有する47.6℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは72.0℃である。
実施例6のポリマーのDSC曲線は、60.4J/gの融解熱を伴う115.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、62.7パーセントのピーク面積を有する44.2℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは71.0℃である。
実施例7のポリマーのDSC曲線は、69.1J/gの融解熱を伴う121.3℃の融点を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、29.4パーセントのピーク面積を有する49.2℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは72.1℃である。
実施例8のポリマーのDSC曲線は、67.9J/gの融解熱を伴う123.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、12.7パーセントのピーク面積を有する80.1℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは43.4℃である。
実施例9のポリマーのDSC曲線は、73.5J/gの融解熱を伴う124.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、16.0パーセントのピーク面積を有する80.8℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは43.8℃である。
実施例10のポリマーのDSC曲線は、60.7J/gの融解熱を伴う115.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、52.4パーセントのピーク面積を有する40.9℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは74.7℃である。
実施例11のポリマーのDSC曲線は、70.4J/gの融解熱を伴う113.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、25.2パーセントのピーク面積を有する39.6℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは74.1℃である。
実施例12のポリマーのDSC曲線は、48.9J/gの融解熱を伴う113.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上にピークを示さない。(したがって、さらなる計算のためのTcrystafは30℃に設定する)。DSC TmとTcrystafとのデルタは83.2℃である。
実施例13のポリマーのDSC曲線は、49.4J/gの融解熱を伴う114.4℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、7.7パーセントのピーク面積を有する33.8℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは84.4℃である。
実施例14のポリマーのDSC曲線は、127.9J/gの融解熱を伴う120.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、92.2パーセントのピーク面積を有する72.9℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは47.9℃である。
実施例15のポリマーのDSC曲線は、36.2J/gの融解熱を伴う114.3℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、9.8パーセントのピーク面積を有する32.3℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは82.0℃である。
実施例16のポリマーのDSC曲線は、44.9J/gの融解熱を伴う116.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、65.0パーセントのピーク面積を有する48.0℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは68.6℃である。
実施例17のポリマーのDSC曲線は、47.0J/gの融解熱を伴う116.0℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、56.8パーセントのピーク面積を有する43.1℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは72.9℃である。
実施例18のポリマーのDSC曲線は、141.8J/gの融解熱を伴う120.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、94.0パーセントのピーク面積を有する70.0℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは50.5℃である。
実施例19のポリマーのDSC曲線は、174.8J/gの融解熱を伴う124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、87.9パーセントのピーク面積を有する79.9℃の最大ピークを示す。DSC TmとTcrystafとのデルタは45.0℃である。
比較例DのポリマーのDSC曲線は、31.6J/gの融解熱を伴う37.3℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。これらの値の両者は密度が低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとのデルタは7.3℃である。
比較例EのポリマーのDSC曲線は、179.3J/gの融解熱を伴う124.0℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、94.6パーセントのピーク面積を有する79.3℃の最大ピークを示す。これらの値の両者は密度が高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとのデルタは44.6℃である。
比較例FのポリマーのDSC曲線は、90.4J/gの融解熱を伴う124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、19.5パーセントのピーク面積を有する77.6℃の最大ピークを示す。これら2つのピークの隔たりは高結晶性および低結晶性ポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcrystafとのデルタは47.2℃である。
物理特性試験
ポリマーサンプルを物理特性、例えば、TMA温度試験によって立証される耐高温特性、ペレットブロッキング強度、高温回復、高温圧縮永久歪みおよび貯蔵弾性率比G’(25℃)/G’(100℃)について評価する。いくつかの商業的に入手可能なポリマーをこれらの試験に含める。比較例G*は実質的に直鎖のエチレン/1−オクテンコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(登録商標))であり、比較例H*は弾性で実質的に直鎖のエチレン/1−オクテンコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なAFF1NITY(登録商標)EG8100)であり、比較例Iは実質的に直鎖のエチレン/1−オクテンコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(登録商標)PL1840)であり、比較例Jは水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON Polymersから入手可能なKRATON(商標)G1652)であり、比較例Kは熱可塑性加硫物(TPV、架橋エラストマーが内部に分散されているポリオレフィン配合物)である。結果は表4に示される。
表4において、(触媒A1およびB1を用いる同時重合から生じる2種類のポリマーの物理的配合物である)比較例Fは約70℃の1mm貫入温度を有し、それに対して実施例5から9は100℃またはそれ以上の1mm貫入温度を有する。さらに、実施例10から19は、すべて85℃を上回る1mm貫入温度を有し、大部分が90℃を上回り、100℃さえも上回る1mmTMA温度を有する。これは、新規ポリマーが、物理的配合物と比較して、高温でのより良好な寸法安定性を有することを示す。比較例J(商業用SEBS)は約107℃の良好な1mmTMA温度を有するが、約100パーセントの非常に劣った(高温70℃)圧縮永久歪みを有し、かつ高温(80℃)300パーセント歪み回復の最中に回復することができない(サンプル破壊)。したがって、例示ポリマーは、いくつかの商業的に入手可能な高性能熱可塑性エラストマーにおいてさえ入手できない特性の独自組み合わせを有する。
同様に、表4は、本発明のポリマーについて、6またはそれ以下の低い(良好な)貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃)を示し、それに対して物理的配合物(比較例F)は9の貯蔵弾性率比を有し、同様の密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較例G)は一桁大きい(89)貯蔵弾性率比を有する。ポリマーの貯蔵弾性率比は可能な限り1に近いことが望ましい。そのようなポリマーは温度の影響を比較的受けず、そのようなポリマーから製造される加工物品は広範な温度範囲にわたって有用に用いることができる。この低貯蔵弾性率比および温度非依存性の特徴は、エラストマー用途、例えば、感圧接着剤形成において特に有用である。
表4におけるデータは、本発明のポリマーが改善されたペレットブロッキング強度を有することも示す。特には、実施例5は0MPaのペレットブロッキング強度を有し、これは、かなりのブロッキングを示す比較例FおよびGと比べて、それが試験した条件下で自由流動することを意味する。高いブロッキング強度を有するポリマーのバルク輸送が貯蔵もしくは輸送の際に生成物の凝集もしくは固着を生じ、それが取り扱い特性の乏しさを生じる可能性があるため、ブロッキング強度は重要である。
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久歪みは一般に良好であり、これは一般には約80パーセント未満、好ましくは約70パーセント未満、特には約60パーセント未満であることを意味する。対照的に、比較例F、G、HおよびJは、すべて、100パーセント(最大の可能値、回復なしを示す)の70℃圧縮永久歪みを有する。良好な高温圧縮永久歪み(小数値)は、ガスケット、窓輪郭、o−リング等のような用途に特に必要である。
表5は、新規ポリマーに加えて様々な比較ポリマーの、周囲温度での機械特性の結果を示す。本発明のポリマーが、ISO 4649に従って試験したときに、一般には約90mm3未満、好ましくは約80mm3未満、特には約50mm3未満の体積損失を示す、非常に良好な耐摩耗性を有することを見てとることができる。この試験において、より大きい数字はより大きい体積損失を、つまり、より低い耐摩耗性を示す。
本発明のポリマーの、引張りノッチ付き引裂き強さによって測定される引裂き強さは、表5に示されるように、一般には1000mJまたはそれ以上である。本発明のポリマーの引裂き強さは3000mJという大きさ、もしくは5000mJという大きさでさえあり得る。比較ポリマーは、一般には、750mJ以下の引裂き強さを有する。
表5は、本発明のポリマーが比較サンプルのいくつかよりも良好な150パーセント歪みでの引き込み応力(より高い引き込み応力値で示される)を有することも示す。比較例F、GおよびHは400kPaまたはそれ以下の150パーセント歪みでの引き込み応力値を有し、それに対して本発明のポリマーは500kPa(実施例11)から約1100kPaという高さ(実施例17)までの150パーセント歪みでの引き込み応力を有する。150パーセントを上回る引き込み応力値を有するポリマーは弾性用途、例えば、弾性繊維および織物、特には、不織布に極めて有用である。他の用途には、おむつ、衛生用品および医療用ガーメントベルト用途、例えばタブおよび弾性バンドが含まれる。
表5は、例えば比較例Gと比較して、(50パーセント歪みでの)応力緩和が本発明のポリマーで改善されている(少ない)ことも示す。より少ない応力緩和は、体温での長期間にわたる弾性特性の保持が望ましい用途、例えばおむつおよび他のガーメントにおいて、ポリマーがその力を良好に保持することを意味する。
表6に報告される光学特性は、実質的に配向を欠く圧縮成型フィルムに基づくものである。ポリマーの光学特性は、重合において用いられる鎖シャトリング剤の量の変動から生じるクリスタライトサイズの変動のため、広範囲にわたって変化し得る。
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、7および比較例Eのポリマーの抽出研究を行う。これらの実験においては、ポリマーサンプルを秤量してガラスフリット化抽出シンブルに入れ、Kumagawa型抽出機に取り付ける。サンプルを収容する抽出機を窒素でパージし、500mL丸底フラスコを350mLのジエチルエーテルで満たす。次に、そのフラスコを抽出機に取り付ける。エーテルを攪拌しながら加熱する。エーテルが濃縮されてシンブル内に入り始める時間を書き留め、抽出を窒素の下で24時間進行させる。この時点で加熱を停止し、溶液を冷却する。抽出機内に残留するあらゆるエーテルをフラスコに戻す。フラスコ内のエーテルを真空下、周囲温度で蒸発させ、生じる固体を窒素でパージして乾燥させる。あらゆる残滓を、ヘキサンの連続洗浄を用いて、秤量されたボトルに移す。その後、合わせたヘキサン洗浄液を別の窒素パージで蒸発させ、残滓を真空下で一晩、40℃で乾燥させる。抽出機内のあらゆる残留エーテルを窒素でパージして乾燥させる。
次に、350mLのヘキサンで満たした第2の清浄丸底フラスコを抽出機に接続する。ヘキサンを攪拌しながら加熱して還流させ、ヘキサンが濃縮されてシンブル内に入ることに最初に気づいた後、24時間還流温度で維持する。その後、加熱を停止し、フラスコを冷却する。抽出機内に残留するあらゆるヘキサンをフラスコに戻す。ヘキサンを真空下、周囲温度での蒸発によって除去し、フラスコ内に残留するあらゆる残滓を、連続ヘキサン洗浄を用いて、秤量されたボトルに移す。フラスコ内のヘキサンを窒素バージによって蒸発させ、残滓を40℃で一晩真空乾燥させる。
抽出後にシンブル内に残留するポリマーサンプルをシンブルから秤量されたボトルに移し、40℃で一晩真空乾燥させる。結果が表7に収容される。
追加ポリマー実施例19AからJ、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
実施例19AからIについて
連続溶液重合をコンピュータ制御の十分混合された反応器内で行う。精製混合アルカン溶媒(Exxon Mobil,Inc.から入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテンおよび水素(用いられる場合)を合わせ、27ガロン反応器に供給する。反応器への供給はマスフロー制御器によって測定する。供給流の温度は、反応器に入る前に、グリコール冷却熱交換器の使用によって制御する。触媒成分溶液はポンプおよびマスフローメーターを用いて秤量する。反応器は、液体充満、約550psig圧で稼働させる。反応器から排出される際、水および添加物をポリマー溶液に注入する。水は触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。その後、後反応器溶液を2段階揮発性物質除去のための準備において加熱する。溶媒および未反応モノマーはこの揮発性物質除去プロセスの最中に除去する。水中ペレット切断のため、ポリマー溶融物をダイに汲み入れる。
実施例19Jについて
連続溶液重合を、内部攪拌機を備えるコンピュータ制御オートクレーブ反応器において行う。精製混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、2.70lb/時(1.22kg/時)でのエチレン、1−オクテンおよび水素(用いられる場合)を、温度制御用のジャケットおよび内部熱電対を備える3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒供給はマスフロー制御器によって測定する。可変速ダイヤフラムポンプが溶媒流速および反応器に対する圧力を制御する。ポンプの排出口で、側流を取り込んで触媒および共触媒注入ライン並びに反応器攪拌機にフラッシュ流を提供する。これらの流れはMicro−Motionマスフローメーターによって測定し、制御弁により、もしくはニードル弁の手動調整により制御する。残りの溶媒は1−オクテン、エチレンおよび水素(用いられる場合)と合わせ、反応器に供給する。マスフロー制御器を用いて、必要に応じて水素を反応器に送達する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に、熱交換器の使用によって制御する。この流れは反応器の底部に入る。触媒成分溶液はポンプおよびマスフローメーターを用いて秤量し、触媒フラッシュ溶媒と合わせて反応器の底部に導入する。反応器は、激しく攪拌しながら、液体充満、500psig(3.45MPa)で稼働させる。生成物は反応器の頂部の排出ラインを通して取り出す。反応器からのすべての排出ラインは流れが追跡され、かつ遮蔽される。少量の水をあらゆる安定化剤もしくは他の添加物と共に排出ラインに添加することによって重合を停止させ、混合物をスタティックミキサーに通す。次に、揮発性物質除去の前に、熱交換器を通過させることによって生成物流を加熱する。揮発性物質除去押出機および水冷ペレッタイザーを用いる押出しによってポリマー生成物を回収する。
プロセスの詳細および結果が表8に収容される。選択されたポリマー特性が表9AからCに示される。
表9Bにおいて、本発明の実施例19Fおよび19Gは、500%伸長の後に約65から70%歪みの低い即時永久歪み(immediate set)を示す。
実施例20および21
実施例20および21のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下記表11に示される重合条件を用いて、上記実施例19AからIと実質的に同様の方法で製造した。これらのポリマーは表10に示される特性を示した。表10はこのポリマーに対するあらゆる添加物も示す。
Irganox 1010はテトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタンである。Irganox 1076はオクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。Irgafos 168はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。Chimasorb 2020は1,6−ヘキサンジアミン、2,3,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンを含むN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ポリマー、N−ブチル−1−ブタンアミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物である。
織物およびテキスタイル物品に適する繊維
本発明は、織物、例えば、テキスタイル物品に適する繊維に関し、ここで、前記繊維はASTM D629−99に従う少なくとも約1%のポリオレフィンを含み、かつ前記繊維のフィラメント破断伸度は、ASTM D2653−01(第1フィラメント破断伸度試験)により、約200%を上回り、好ましくは約210%を上回り、好ましくは約220%を上回り、好ましくは約230%を上回り、好ましくは約240%を上回り、好ましくは約250%を上回り、好ましくは約260%を上回り、好ましくは約270%を上回り、好ましくは約280%を上回り、600%もの高さであり得る。本発明の繊維は、(1)ASTM D2731−01(仕上げられた繊維形態で指定された伸長での力の下)による、約1.5以上、好ましくは約1.6以上、好ましくは約1.7以上、好ましくは約1.8以上、好ましくは約1.9以上、好ましくは約2.0以上、好ましくは約2.1以上、好ましくは約2.2以上、好ましくは約2.3以上、好ましくは約2.4以上で4もの高さであり得る200%伸長時負荷/100%伸長時負荷の比;もしくは(2)約0.8以下、好ましくは約0.78以下、好ましくは約0.76以下、好ましくは約0.74以下、好ましくは約0.73以下、好ましくは約0.72以下、好ましくは約0.71以下、好ましくは約0.7以下;好ましくは約0.6以下;好ましくは約0.5以下で、0.3という低さでもあり得る平均摩擦係数もしくは(3)(1)および(2)の両者を有することによってさらに特徴付けられる。
ポリオレフィンはあらゆる適切なポリオレフィンもしくはポリオレフィンの配合物から選択することができる。そのようなポリマーには、例えば、ランダムエチレンホモポリマーおよびコポリマー、エチレンブロックホモポリマーおよびコポリマー、ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー並びにそれらの混合物が含まれる。特に好ましいポリオレフィンは、以下の特徴のうちの1またはそれ以上を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマーである。
(1)ゼロを上回り約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
(2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分;もしくは
(3)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
(4)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有し、
ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
Re>1481−1629(d);もしくは
(6)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
(7)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である)。
これらの繊維は、所望の用途に依存して、あらゆる望ましいサイズおよび断面形状に製造することができる。多くの用途では、その摩擦の低下のため、ほぼ円形の断面が望ましい。しかしながら、他の形状、例えば、トリローバル(trilobal)形状もしくは平坦(すなわち、「リボン」様)形状を用いることもできる。デニールは、9000メートルのその繊維の長さあたりの繊維のグラムとして定義されるテキスタイル用語である。好ましいサイズには、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50のデニールから、多くとも約180、好ましくは多くとも約150、好ましくは多くとも約100デニール、好ましくは多くとも約80デニールが含まれる。
繊維は通常弾性であり、かつ通常架橋している。繊維はエチレン/α−オレフィンインターポリマーおよびあらゆる適切な架橋剤の反応生成物、すなわち、架橋エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む、本明細書で用いられる場合、「架橋剤」は、1またはそれ以上、好ましくは大部分の、繊維を架橋させるあらゆる手段である。したがって、架橋剤は化合物であり得るが、そうである必要はない。本明細書で用いられる架橋剤には、架橋性触媒の有無に関わらず、電子ビーム照射、ベータ照射、ガンマ照射、コロナ照射、シラン、過酸化物、アリル化合物およびUV照射が含まれる。米国特許第6,803,014号および第6,667,351号は、本発明の実施形態において用いることができる電子ビーム照射法を開示する。いくつかの実施形態において、架橋ポリマーのパーセントは、形成されるゲルの重量パーセントによる測定で、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセントから多くとも約75、好ましくは多くとも約50パーセントである。
用途に依存して、繊維は、ステープル繊維もしくはバインダー繊維を含む、あらゆる適切な形態をとることができる。典型的な例には、ホモフィル繊維、二成分繊維、メルトブローン繊維、メルトスパン繊維もしくはスパンボンド繊維が含まれ得る。二成分繊維の場合、シース−コア構造;海島構造;サイド−バイ−サイド構造;マトリックスフィブリル構造;もしくはセグメント化パイ構造を有することができる。有利には、従来の繊維形成方法を用いて前記繊維を製造することができる。そのような方法には、例えば、米国特許第4,340,563号;第4,663,220号;第4,668,566号;第4,322,027号;および第4,413,110号に記載されるものが含まれる。
本発明の繊維はいくつかの点で加工を容易にする。第1に、本発明の繊維は従来の繊維よりもスプールから良好に巻き戻される。通常の繊維は、円形断面であるとき、それらのベースポリマーの過度の応力緩和のため、しばしば満足のいく巻き戻し性能を提供することができない。この応力緩和はスプールの古さに比例し、スプールのまさに表面に位置するフィラメントの表面上のグリップを失わせ、フィラメント糸が緩むようになる。後に、従来の繊維を収容するそのようなスプールをポジティブフィーダー、すなわち、Memminger−IROのロール上に配置し、産業速度、すなわち、100から300回転/分まで回転させ始めるとき、緩んだ繊維がスプール表面の側部に投げ出され、最終的にスプールの端部から脱落する。この失敗は脱線として公知であって、従来の繊維がパッケージの肩もしくは端部から滑り落ちる傾向を示し、巻き戻しプロセスを中断させ、最終的には機械の停止を生じる。本発明の繊維が示す脱線の程度は著しく少なく、これはより多くのスループットを可能にする。
本発明の繊維の別の利点は、織物不良および弾性フィラメントもしくは繊維破断のような欠陥が減少することである。すなわち、本発明の繊維の使用は、ニードルベッド上での繊維断片の集積−ポリマー残滓がニードル表面に接着するとき、円形織機においてしばしば生じる問題−を減少させることができる。したがって、本発明の繊維は、繊維が、例えば、円形織機で織物にされるとき、残滓によって生じる、対応する織物破断を減少させることができる。
別の利点は、フィラメントをスプールからニードルまでのすべてにわたって駆動する弾性ガイドが静止している、例えば、セラミックおよび金属アイレットの場合、本発明の繊維を円形織機で編み上げることができることである。対照的に、従来の弾性オレフィン繊維は、機器パーツ、例えば、アイレットが加熱するので摩擦を最小限に止め、円形編みプロセスの最中に機器停止もしくはフィラメント破断を回避できるようにするため、これらのガイドが回転要素、例えば、プーリーでなることが必要であった。すなわち、本発明の繊維の使用によって機器の案内要素に対する摩擦が減少する。円形編みに関するさらなる情報は、例えば、Bamberg Meisenbach, "Circular Knitting: Technology Process, Structures, Yarns, Quality", 1995(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に見出される。
本発明の繊維は織物、不織布、撚り糸もしくは梳毛ウェブにすることができる。撚り糸は被覆することもしないこともできる。被覆される場合、木綿撚り糸もしくはナイロン撚り糸によって被覆することができる。本発明の繊維は、前記利点のため、織物、例えば、円形ニット織物およびワープニット織物に特に有用である。
添加物
酸化防止剤、例えば、Ciba Geigy Corp.によって製造されるIRGAFOS(登録商標)168、IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX(登録商標)3790およびCHIMASSORB(登録商標)944をエチレンポリマーに添加して、形成もしくは製造操作の最中の過度の(undo)分解に対して保護し、および/またはグラフト化もしくは架橋の程度をより良好に制御する(すなわち、過剰のゲル化を阻害する)ことができる。処理中添加物、例えば、ステアリン酸カルシウム、水、フルオロポリマー等も、残留触媒の失活および/または加工性の改善のような目的に用いることができる。TINUVIN(登録商標)770(Ciba−Geigy製)を軽い安定化剤として用いることができる。
コポリマーは充填されていてもいなくてもよい。充填される場合、存在する充填剤の量は、耐熱性もしくは高温での弾性のいずれかに悪影響を及ぼす量を超えるべきではない。存在する場合、典型的には、充填剤の量はコポリマーの総量(もしくは、コポリマーおよび1種類またはそれ以上の他のポリマーの配合物の場合、その配合物の総量)を基準にして0.01から80wt%である。代表的な充填剤には、カオリン粘土、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカおよび炭酸カルシウムが含まれる。充填剤が存在する好ましい実施形態においては、充填剤が他の方法で架橋反応を妨害するに違いないあらゆる傾向を防止もしくは遅延させる物質で充填剤をコートする。ステアリン酸がそのような充填剤コーティングの実例である。
繊維の摩擦係数を減少させるために、様々なスピン仕上げ配合物、例えば、テキスタイルオイル中に分散させた金属石けん(例えば、米国特許第3,039,895号もしくは米国特許第6,652,599号を参照)、基油中の界面活性剤(例えば、US公開2003/0024052を参照)およびポリアルキルシロキサン(例えば、米国特許第3,296,063号もしくは米国特許第4,999,120号を参照)を用いることができる。米国特許出願第10/933,721号(US20050142360として公開)は、これも用いることができる、スピン仕上げ組成物を開示する。
ニット織物
本発明は、ポリオレフィンポリマーを含む、改善されたニットテキスタイル物品を指向する。本発明の目的上、「テキスタイル物品」には、織物に加えて織物から製造される物品、すなわち、ガーメントが含まれ、これには、例えば、衣服、ベッドシーツおよび他のリネンが含まれる。編物が意味するところは、手、編み針もしくは機械のいずれかで、糸(yarn or thread)を一連の接続したループに絡み合わせることである。本発明はあらゆるタイプの編物に適用可能であり得、これには、例えば、縦もしくは横編み、平織りおよび丸編みが含まれる。しかしながら、本発明は、丸編み、すなわち、輪針が用いられる円形の編物において用いられるとき、特に有利である。
本発明のニット織物は以下を含む。
(A)以下の特徴の1またはそれ以上を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー、
(1)ゼロを上回り約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
(2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分;もしくは
(3)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
(4)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有す。
ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
Re>1481−1629(d);もしくは
(6)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
(7)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である);並びに
(B)少なくとも1種類の他の物質。
ニット織物におけるエチレン/α−オレフィンインターポリマーの量は用途および望ましい特性に依存して変化する。織物は、典型的には少なくとも約1、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約7重量パーセントのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。織物は、典型的には約50未満、好ましくは約40未満、好ましくは約30未満、好ましくは約20未満、より好ましくは約10重量パーセント未満のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは繊維の形態であってもよく、かつ他の適切なポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ランダムエチレンコポリマー、HDPE、LLDPE、LDPE、ULDPE、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、プラストマーおよびエラストマー、ラストール、ポリアミド等との配合物であってもよい。
織物のエチレン/α−オレフィンインターポリマーはあらゆる密度を有することができるが、通常は、少なくとも約0.85、好ましくは、少なくとも約0.865g/cm3(ASTM D 792)である。それに対応して、密度は、通常は、約0.93未満、好ましくは、約0.92g/cm3未満(ASTM D 792)である。織物のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.1から約10g/10分の非架橋メルトインデックスによって特徴付けられる。架橋が望ましい場合、架橋ポリマーのパーセントは、形成されるゲルの重量パーセントによる測定で、しばしば少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセントから多くとも約90、好ましくは多くとも約75である。
ニット織物は、典型的には、少なくとも1種類の他の材料を含む。他の材料はあらゆる適切な材料であり得、これには、これらに限定されるものではないが、セルロース、木綿、アマ、ラミー、レーヨン、ビスコース、麻、羊毛、絹、リネン、竹、テンセル、ビスコース、モヘア、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンおよびそれらの混合物が含まれる。しばしば、他の材料がその織物の大部分を構成する。そのような場合、他の材料がその織物の少なくとも約50、好ましくは少なくとも約60、好ましくは少なくとも約70、好ましくは少なくとも約80、時折、90から95重量パーセントもの多くを構成することが好ましい。
エチレン/α−オレフィンインターポリマー、他の材料もしくはその両者は繊維の形態にあり得る。好ましいサイズには、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50のデニールから多くとも約180、好ましくは多くとも約150、好ましくは多くとも約100、好ましくは多くとも約80デニールが含まれる。
特に好ましい丸編みニット織物は、その織物の(重量基準で)約5から約20パーセントの量の、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。特に好ましい縦編みニット織物は、繊維の形態にあるその織物の(重量基準で)約10から約30パーセントの量の、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。しばしば、そのような縦編みニットおよび丸編みニット織物はポリエステルも含む。
ニット織物は、典型的には、AATCC135による洗浄の後、水平方向、垂直方向もしくはその両者に、約5未満、好ましくは4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満、好ましくは1未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.25パーセント未満の縮みを有する。より具体的には、(熱硬化後の)織物は、AATCC135 IVAiに従い、長さ方向、幅方向もしくはその両者に、しばしば約−5%から約+5%、好ましくは約−3%から約+3%、好ましくは−2%から約+2%、より好ましくは−1%から約+1%の寸法安定性を有する。
ニット織物は、所望であれば、エチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび他の材料のタイプおよび量を制御することにより、2つの寸法が伸びるように製造することができる。同様に、織物は、ASTM D 2594に従い、長さおよび幅方向の伸びが約5%未満、好ましくは約4未満、好ましくは約3未満、好ましくは約2未満、好ましくは約1未満から0.5パーセントという小ささまでであるように製造することができる。同じ試験(ASTM D 2594)を用いると、60秒での長さの伸びは約15未満、好ましくは約12未満、好ましくは約10未満、好ましくは約8%未満であり得る。それに対応して、同じ試験(ASTM D 2594)を用いると、60秒での幅の伸びは約20未満、好ましくは約18未満、好ましくは約16未満、好ましくは約13%未満であり得る。ASTM D 2594の60分試験に関しては、幅の伸びは約10未満、好ましくは約9未満、好ましくは約8未満、好ましくは約6%未満であり得、それに対して60分での長さの伸びは約8未満、好ましくは約7未満、好ましくは約6未満、好ましくは約5%未満であり得る。上で説明されるより小さい伸びは、依然としてサイズを制御しながら、本発明の織物を約180未満、好ましくは約170未満、好ましくは約160未満、好ましくは約150℃未満の温度で熱硬化させることを可能にする。
有利なことに、本発明のニット織物は、破損なしに、アイレットフィーダーシステム、プーリーシステムもしくはそれらの両者を含む織機を用いて製造することができる。したがって、改善された寸法安定性(長さおよび幅方向)、小さい伸びおよび小さい縮み、サイズを制御しながら低温で熱硬化する能力、低い水分回復を有する丸編み伸長性織物を、著しい破損なしに、高いスループットで、かつ様々な円形織機において脱線することなしに製造することができる。
本明細書で用いられる「平均摩擦係数」の決定
本明細書で用いられる「平均摩擦係数」は、室温とは反対に、高温で決定される。具体的には、「平均摩擦係数」は以下の試験方法を用いて決定する。この試験は弾性延伸機器(elastic drawing equipment)−すなわち、詳細が添付されるElectronic Constant Tension TransporterもしくはECTT(Lawson Hemphillによる−図8)を用いる−ここで、弾性供給および巻き取り速度はあらゆる望ましいドラフト比(巻き取り速度/供給速度)に順応するように制御され、張力計はこれら2つのロールの間に配置される。
ポジティブフィーダーから巻き取りロールの途中には2つの配糸(threading)可能性が存在する。(配糸Aから図9)弾性体はフィーダーから巻き取りロールまでいかなる制約もなしに無摩擦プーリーガイドで移動する;(配糸B−図10)張力計を通過した後の弾性体は、45度の巻掛け角の金属研磨加熱ピンを通して滑らされた後、巻き取りロールに到達する。このピンは(90+/−5)℃に絶えず加熱される。
適用される方法は以下を規定する。
配糸A
供給速度:50メーター/分;巻き取り速度:150メーター/分;ドラフト比:3.0×;ドラフトされるフィラメントの長さ:300メートル(もしくはドラフトされずに100m);張力計読み取り頻度:1読み取り/フィラメント5メートル;張力読み取りの総数:60;1読み取り平均=2回の連続読み取りの各々の平均;張力計平均の総数:30。
この試験は、その市販正味重量の15%を収容するスプールにおいて行う。試験を開始するには、スプール上の元の(市販)正味重量の85%のフィラメントを除去しなければならず、したがって、例えば、スプールが400グラムに等しいフィラメントの正味重量で商品化される場合、試験を行うことができるようにするため、60グラムの正味重量が残るまでフィラメント層をスプールから除去する。85%の内容物の除去は試験開始から10分より早く行うべきではない。並びに、この85%の内容物は1つの単一の工程で除去すべきである。
その紡糸の日からの最大スプール経過期間は45日であり、これらの45日の経過の最中に30℃を上回る温度へのスプールの露出はいかなるものもない。
配糸B
フィラメントを、その張力を読み取った後およびそれが巻き取られる前に、ピンを通して滑らせることを除いて、「配糸A」と同じである。「配糸B」測定は「配糸A」によって行われる測定の直後に行う。「配糸B」測定は「配糸A」測定と同じスプールから採用し、用いられる100メートルのフィラメント長は「配糸A」が用いた100メートルのフィラメント長に続くものである;+/−5メートルを廃棄。
したがって、「配糸A」の30の張力平均は3.0×ドラフトでのフィラメントの動的応力を明らかにし;これ以降、所定のフィラメントの平均摩擦係数を計算するため、関係:(「配糸A」による30の平均の平均/「配糸B」による30の平均の平均)を考察する。「配糸A」による30の平均のうちの個々の平均の各々を「配糸B」による30の平均のうちの個々の平均の各々で割り、所定の繊維の摩擦係数の平均分散を明らかにする。「配糸A」の30の値の各々を「配糸B」の30の値の各々で割る順番はそれらが張力計によって生成される順番に従う;したがって、「配糸A」によって測定される第1の値を「配糸B」によって測定される第1の値で割り;「配糸A」の第2のものを「配糸B」の第2のもので割り、・・・「配糸A」の第30のものを「配糸B」の第30のもので割る。
結果として、「配糸A」の30の値および「配糸B」の30の値は、以下の(45度巻掛け角用の)Capstan式を適用することにより、摩擦係数の30の値を生成する。ln(「配糸A張力読み取り値」/「配糸B張力読み取り値」)/0.79;式中、「ln」は自然対数を表す。
(実施例)
実施例22−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー対ランダムエチレンコポリマーの繊維の平均摩擦係数
実施例21の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いて、ほぼ丸い断面を有する、70デニールのモノフィラメント繊維を作製した。この繊維の作製の前に、以下の添加物をポリマーに添加した。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンおよび3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]および0.5重量%タルク。これらの繊維は、円形0.8mm径を有するダイ外形、295℃の回転温度、900m/分の巻き取り速度、1%の回転仕上げ、6%の低温延伸(cold draw)および300gのスプール重量を用いて製造した。その後、176.4kGy照射を架橋剤として用いて、これらの繊維を架橋させた。これらの繊維は下記表において「低摩擦繊維弾性オレフィン繊維」と呼ばれる。
一般名称AFFINITY(商標)KC8852Gを有するランダムコポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)を用いて、ほぼ矩形の断面を有する、70デニールのモノフィラメント繊維を作製した。AFFINITY(商標)KC8852Gは、3g/10分のメルトインデックス、0.875g/cm3の密度および実施例21と同様の添加物を有することによって特徴付けられる。繊維の作製の前に、以下の添加物をポリマーに添加した。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンおよび3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、0.5重量%タルクおよび0.2重量%TiO2。これらの繊維は、3:1の矩形を有するダイ外形、295℃の回転温度、500m/分の巻き取り速度、1%の回転仕上げ、18%の低温延伸および300gのスプール重量を用いて製造した。その後、176.4kGy照射を架橋剤として用いてこれらの繊維を架橋させた。これらの繊維は下記表において「通常のオレフィン弾性繊維」と呼ばれる。
「低摩擦繊維弾性オレフィン繊維」および「通常のオレフィン弾性繊維」を、「平均摩擦係数」について、上で説明される試験を用いて試験した。そのデータを以下に示す。
実施例23−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー対ランダムエチレンコポリマー対Spandex(商標)の繊維の織物
3種類の丸編み織物を製造した後、従来の方法で仕上げた。第1の織物、織物Aは上記実施例22において「低摩擦繊維弾性オレフィン繊維」と呼ばれる繊維を含んでいた。第2の織物、織物Bは上記実施例22において「通常のオレフィン弾性繊維」と呼ばれる繊維を含んでいた。第3の織物はSpandex(商標)の繊維を含んでいた。織物の内容の概要、織物条件、仕上げ工程および仕上げられた織物の特性は以下の通りである。
本発明の織物Aの内容、
弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー
70デニール、ブロックコポリマーエチレン
円形外形、モノフィラメント
176.4kGy架橋線量
200%負荷/100%負荷>1.5
スペイン国S.A.のDEF1BERによって供給される、140デニール、テクスチャード加工ポリアミド6.6(70デニール/68フィラメントの2本のケーブル)、
織物Bの内容、
ランダムエチレンコポリマー
70デニール、TDCCによって供給される、ランダムコポリマーエチレン
3:1の矩形断面の外形、モノフィラメント
176.4kGy架橋線量
200%負荷/100%負荷<1.5
スペイン国S.A.のDEF1BERによって供給される、140デニール、テクスチャード加工ポリアミド6.6(70デニール/68フィラメントの2本のケーブル)
織物Cの内容、
Spandex
40デニール、Creora H250
マルチフィラメント
スペイン国S.A.のDEF1BERによって供給される、140デニール、テクスチャード加工ポリアミド6.6(70デニール/68フィラメントの2本のケーブル)
織物条件、
Machine 28G、Mayer Relanit、30”径、20RPM、アイレット弾性ガイド
単一ジャージー構成
ポリアミドステッチ長=3.0mm/ニードル−a.k.a.供給速度=(ポリアミド速度/機器RPM)/機器ニードル数
(ポリアミド速度/弾性体供給速度の関係によって測定される)弾性ドラフト:3.0X
機器回転速度:4000/織物のタイプ
したがって、上記織物条件によると、弾性オレフィンで作製されるすべての織物は一塊中に弾性フィラメント含有率14.3%および85.7%のポリアミド6.6を有していた。Spandexで作製されるものは一塊中に8.7%のこの弾性含有率を有していた。
仕上げ工程、
連続スカーリング:最大80℃のスカーリング浴
ポリアミドの予備加熱設定
ステンターフレーム速度:16m/分
過剰送り(overfeeding):15%
設定幅:156cm
最大ステンターフレーム設定温度:180℃
加熱チャンバー内部での滞留時間:60秒
染色
機器:Softflow Jet
染料のタイプ:分散
色:黒
乾燥
ステンターフレーム速度:16m/分
過剰送り:15%
設定幅:156cm
最大ステンターフレーム設定温度:160℃
加熱チャンバー内部での滞留時間:60秒
仕上げられた織物の特性、
織物A
幅147cm
密度237g/m2
第2負荷サイクル*での伸長:125%**
織物B
幅152cm
密度208g/m2
第2負荷サイクル*での伸長:130%**
織物C
幅147cm
重量235g/m2
第2負荷サイクル*での伸長:172%**
*織物の伸長を特定するための方法:M&S15A
**結果として生じる伸長値=平方根[(幅伸長2)+(長さ伸長2)]
破損の計数
これらの仕上げられた織物を、スポッティング弾性破壊(spotting elastic breaks)を目的とする検査に採用した。直線100メートルの3種類の仕上げられた織物の各々は、直線5メートル毎に幅を無作為に横切って方形の切り込みを有していた。したがって、3つのタイプの織物の各々について、弾性破壊の計数に利用可能である、織物の20の方形/直線100m織物長が作製された。この織物方形の寸法は25cm×25cmであり、これは0.0625m2/方形もしくは1.25m2/20方形を生じるものであった。破壊の数を、拡大レンズおよび逆光照明の助けを借りて、方形の各々について視覚的に計数した。
上記表12は、(織物Aにおける)「低摩擦弾性オレフィン繊維」が破壊のない織物をもたらし得ることを示す。
実施例24−ニット織物
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いて、ほぼ丸断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を作製した。繊維の作製の前に、以下の添加物をポリマーに添加した。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンおよび3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、0.5重量%タルクおよび05.重量%TiO2。繊維は、円形0.8mm径を有するダイ外形、299℃の回転温度、1000m/分の巻取機速度、2%の回転仕上げ、6%の低温延伸および150gのスプール重量を用いて製造した。その後、e−ビームからの166.4kGy照射を架橋剤として用いて繊維を硬化させた。これらの繊維をEXP1と呼び、EXP1−1、1−2、1−3、1−4、1−Aおよび1−Bの下記試験において用いた。
EXP2は、e−ビームからの70.4kGy照射を架橋剤として用いて繊維を架橋させたことを除いて、上記EXP1と同じ方法で作製した。これらの繊維をEXP2と呼び、EXP2−1、2−2、2−3、2−4、2−Aおよび2−Bの下記試験において用いた。
EXP1およびEXP2を、8から10%のエチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維および90から92%のポリエステルを含む織物に編み上げた。上述のように、EXP1はEXP2よりも高い程度の架橋を含む。
この研究において用いた弾性コアを表13に示す。
2つのタイプのポリエスエルを、この研究において、表14における硬質糸(hard yarn)として用いた。
織機
表15はこの研究において用いられる2つのタイプの織機を示す。タイプ1は図11に示されるプーリー糸道(yarn guide)フィーダーである。タイプ2は図12に示されるようなアイレットフィーダーを含む。
得られた未仕上げの織物、すなわち、グレージを染色し、典型的な方法、例えば、図13のプロセスマップに示されるもので仕上げた。スカーリングプロセスは不連続ジェットで行った。基礎繊維がポリエスエルであるため、130℃の染色温度を用いた。熱硬化は165℃、15yds/分の速度で、20%過剰送りを適用して行った。
表16は編物試行の結果を示し、織機を予備選択する必要がないことを示す。編物の最中に脱線は見出されなかった。高い架橋レベルの繊維を用いるEXP1は、プーリーフィーダーもしくはアイレット糸道において、2.7から3.2×のドラフト範囲および16から20rpmの編物速度範囲の下で稼働させることができる。グレージおよび染色繊維を検査台において検査した。失敗したステッチおよび破損のいずれもこの操作窓内では生じなかった。低架橋レベルを有するEXP.2は、アイレットシステムを通して稼働させたとき、染色後に破損する。表16に示されるように、サンプルEXP.1−1から1−4およびEXP.2−1からEXP.2−4はエチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維およびポリエステル繊維の異なる組成を有し、これは編物の最中のドラフト差によって制御される。サンプルEXP.1−A&BおよびEXP.2−A&Bは、プーリーフィーダーによって稼働した他のものとは異なる、アイレットフィーダーによって稼働する。表16におけるすべてのサンプルは熱硬化させた;最初の8サンプルは過剰送りなしにタンブル染色によって熱硬化させ、それに対して次の4サンプルは過剰送りを用いて熱硬化させた。
織物組成を決定するため、ポリエスエル繊維を溶解した。残留する弾性繊維の重量を元の織物重量と比較した。織物はAATCC 20A−2000に従って状態調節した。
改善された寸法安定性&熱硬化能力
熱硬化後の寸法安定性を、120で洗浄し、かつ3回タンブル染色する、AATCC 135 IVAiに従って測定する。それらの結果を表18に示す。
より小さい伸長
表19は、ASTM D 2594に従って測定される伸長および回復特性を示す。ニット織物の伸長特性が有する力は小さい(ASTM D 2594)。ASTM D 2594は小さい伸長力を有するニット織物の伸長特性の標準試験法である。この試験法は、水着、アンカードスラックス(anchored slacks)および他の身体にピッタリとしたアパレル用途における使用を目的とするニット織物の繊維伸長を測定するための条件に加えて、スポーツウェアおよび他の緩いアパレル(コンフォートストレッチ(comfort stretch)アパレルとしても一般に公知である)用途における使用を目的とするニット織物の繊維伸長を測定するための試験条件を指定する。
1.検体を平坦表面に置き、125mm間隔の2つのベンチマークをループした検体の一面の中心区画に配置して、長さ(A)として記録される検体の長さに沿ったゲージ長さを確立する。
2.織物を特定の歪み(長さ方向における測定には15%、幅方向における測定には30%)まで伸長させ、2時間保持する。緩和の最後に、回復のために織物を解放する。60秒(B)および1時間(C)回復の後の2つのベンチマーク間の距離を測定する。
織物伸長60s%=100×(B−A)/A
織物伸長1h%=100×(C−A)/A
3.新たな検体をハンガーアセンブリに入れて張力計を下部ハンガーに取り付け、ループ検体を掴んで、0から5lbを4サイクル、手動で負荷を加えて解放する。
4.次に、ループを指定された張力まで伸長させて5から10秒間保持した後、長さ(D)として記録される、2つのベンチマーク間の新たな距離を測定する。織物伸長%=100×(D−A)/A。このハンガーアセンブリの図を図14に示す。
消費者の仕様は、しばしば、長さの伸長が60秒後に15%未満、1時間後に8%未満、幅の伸長が60秒内で20%未満、1時間後に10%未満であることを必要とする。エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維を含むすべてのニットはほとんどの産業仕様よりも低い伸長を有していた。

Claims (26)

  1. (A)以下の特徴の一方もしくは両者を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー、
    (1)ゼロを上回って約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
    (2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分;並びに
    (B)少なくとも1種類の他の材料;
    を含むニット織物であって、
    AATCC 135 IVAiによる洗浄の後に約5パーセント未満の縮みを有するニット織物。
  2. (A)少なくとも1種類のエチレン/α−オレフィンインターポリマーおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含み、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが以下の特徴の一方もしくは両者を有する繊維、
    (1)ゼロを上回って約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
    (2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分;並びに
    (B)少なくとも1種類の他の材料を含む、少なくとも1種類の他の繊維;
    を含むニット織物であって、
    AATCC 135 IVAiによる洗浄の後に約5パーセント未満の縮みを有するニット織物。
  3. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが以下の特徴の1またはそれ以上を有することによってさらに特徴付けられる、請求項1に記載のニット織物、
    (1)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
    Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
    (2)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有す。
    ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
    130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
    CRYSTAFピークは累積ポリマー(cumulative polymer)の少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
    (3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
    Re>1481−1629(d);もしくは
    (4)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分(comparable random ethylene interpolymer fraction)よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
    (5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である)。
  4. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが以下の特徴の1またはそれ以上を有することによってさらに特徴付けられる、請求項2に記載のニット織物、
    (1)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
    Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
    (2)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有す、
    ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
    130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
    CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
    (3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相(cross-linked phase)を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
    Re>1481−1629(d);もしくは
    (4)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
    (5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である)。
  5. 他の材料がセルロース、木綿、アマ、ラミー、レーヨン、ビスコース、麻、羊毛、絹、リネン、竹、テンセル、ビスコース、モヘア、ポリエスエル、ポリアミド、ポリプロピレンおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  6. セルロースが織物の約60から約97重量パーセントを構成する、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  7. ポリエステルが織物の少なくとも約80重量パーセントを構成する、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  8. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが他のポリマーと配合される、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  9. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが織物の約2重量パーセントから約30重量パーセントを構成する、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  10. AATCC 135 IVAiによる洗浄の後に約2パーセント未満の縮みを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  11. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが約0.865から約0.92g/cm3の密度(ASTM D 792)および約0.1から約10g/10分の非架橋メルトインデックス(uncrosslinked melt index)によって特徴付けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  12. 長さおよび幅方向の伸長がASTM D 2594により約0.5から約5%である、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  13. サイズを制御しながら180℃以下の温度で熱硬化させることが可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  14. 2つの寸法において伸長させることができる、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  15. アイレットフィーダーシステムを用いて製造されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  16. プーリーシステムを用いて製造されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  17. 丸編みニット織物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  18. 縦編みニット織物である、請求項1から4のいずれか1項に記載の織物。
  19. 請求項1から4のいずれか1項に記載の織物を含むガーメント(garment)。
  20. テキスタイル物品(textile articles)に適する繊維であって、少なくとも約1%のASTM D629−99によるポリオレフィンおよび少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含み、前記繊維のフィラメント破断点伸びがASTM D2653−01により約200%を上回り(第1フィラメント破断試験での伸び)、並びに(1)ASTM D2731−01による約1.5以上の200%伸長時負荷/100%伸長時負荷の比(仕上げられた繊維形態における指定された伸長での力の下);もしくは(2)約0.8以下の平均摩擦係数;もしくは(3)(1)および(2)の両者を有することによってさらに特徴付けられる繊維。
  21. ポリオレフィンがエチレン/α−オレフィンインターポリマーであり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが以下の特徴の一方もしくは両者を有する、請求項20に記載の繊維、
    (1)ゼロを上回って約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
    (2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分。
  22. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが以下の特徴の1またはそれ以上を有することによってさらに特徴付けられる、請求項21に記載の繊維、
    (1)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
    Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
    (2)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有す、
    ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
    130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
    CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
    (3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
    Re>1481−1629(d);もしくは
    (4)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
    (5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である)。
  23. 請求項20から22のいずれか1項に記載の繊維の1またはそれ以上を含む縦編みニット物品。
  24. 請求項20から22のいずれか1項に記載の繊維の1またはそれ以上を含む丸編みニット物品。
  25. (A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む架橋繊維であって、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋前に以下の特徴の一方もしくは両者を有する繊維、
    (1)ゼロを上回って約1.0までの平均ブロック指数および約1.3を上回る分子量分布、Mw/Mn;もしくは
    (2)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する少なくとも1つの分子画分であって、少なくとも0.5で約1までのブロック指数を有することを特徴とする画分;並びに
    (B)少なくとも1種類の他の材料を含む少なくとも1種類の他の繊維;
    を含むニット織物であって、
    AATCC 135 IVAiによる洗浄の後に約5パーセント未満の縮みを有するニット織物。
  26. エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋前に以下の特徴の1またはそれ以上を有することによってさらに特徴付けられる、請求項25に記載のニット織物、
    (1)約1.7から約3.5のMw/Mn、摂氏度表示の少なくとも1つの融点、Tmおよびグラム/立方センチメートル表示の密度、d(ここで、Tmおよびdの数値は以下の関係に相当する。
    Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2);もしくは
    (2)約1.7から約3.5のMw/Mn、並びにJ/g表示の融解熱、ΔHおよび最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量、ΔTによって特徴付けられる(ここで、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係を有す、
    ゼロを上回り130J/gまでのΔHについては、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
    130J/gを上回るΔHについては、ΔT≧48℃、
    CRYSTAFピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、並びにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);もしくは
    (3)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される300パーセント歪みおよび1サイクルでのパーセント表示の弾性回復率、Re並びにグラム/立方センチメートル表示の密度、dを有する(ここで、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係を満足する。
    Re>1481−1629(d);もしくは
    (4)TREFを用いて分画するときに40℃から130℃で溶出する分子画分であって、同じ温度間で溶出する匹敵ランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有率を有することを特徴とし、前記匹敵ランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(1以上)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のメルトインデックス、密度および(全ポリマーを基準にした)モルコモノマー含有率を有する分子画分;もしくは
    (5)25℃での貯蔵弾性率、G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率、G’(100℃)(ここで、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比は約1:1から約9:1の範囲である)。
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