JP2010287230A - スピン依存量子軌道を用いて電子ダイナミクスを計算するシステムおよび方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スピン依存量子軌道を用いて電子あるいはイオンのダイナミクスを計算する方法とシステムを開示する。
【解決手段】本発明の一の例示的な態様では、電子の運動に対する1セットの方程式を、電子カレントから計算されるスピン依存量子軌道を用いて、関心のある材料の原子構造におけるそれぞれの電子に対して1つの方程式によって、解くことによって、電子あるいはイオンのダイナミクスが得られる。1セットの方程式は、それぞれ非相対論的および相対論的条件に関する時間依存シュレディンガーあるいはディラック方程式である。電子カレントは、フェルミ・ディラック統計に従って保証する1セットのスピン依存の項を含んでいる。電子の運動に対する1セットの方程式の定常状態解は、3次元空間におけるおよび時間における1セットの波動関数である。電子のそれぞれに対するスピン依存量子軌道はそれぞれのソリューションサイクルで更新され、したがって、平均場の近似は回避される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一の例示的な態様では、電子の運動に対する1セットの方程式を、電子カレントから計算されるスピン依存量子軌道を用いて、関心のある材料の原子構造におけるそれぞれの電子に対して1つの方程式によって、解くことによって、電子あるいはイオンのダイナミクスが得られる。1セットの方程式は、それぞれ非相対論的および相対論的条件に関する時間依存シュレディンガーあるいはディラック方程式である。電子カレントは、フェルミ・ディラック統計に従って保証する1セットのスピン依存の項を含んでいる。電子の運動に対する1セットの方程式の定常状態解は、3次元空間におけるおよび時間における1セットの波動関数である。電子のそれぞれに対するスピン依存量子軌道はそれぞれのソリューションサイクルで更新され、したがって、平均場の近似は回避される。
【選択図】図1
Description
本発明は、概して量子力学に関し、特にスピン依存量子軌道を用いて電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを計算するシステムおよび方法に関する。
量子力学は、顕微鏡では見えないほど小さいスケールにおける(原子レベルにおける)すべての物理系の最も基本的な既知の記述の基礎となる1セットの原理である。これらの原理のなかで注目すべき点は、物質と輻射の波動的かつ粒子的である二重性の挙動と、古典物理学が確実性を予言している状況を確率で予測することと、の両方にある。典型的な多数の微粒子の場合、古典物理学は量子物理学とよく近似した結論を導き出すことができる。このような量子現象は、分子、原子、電子、陽子および他の亜原子粒子など原子スケールに近い大きさの系において特に関連する。量子論は、黒体放射や安定電子軌道などの多くの以前では説明できなかった現象に対する正確な記述を与える。
量子力学をシミュレートするあるいは数学的に記述するために、厳密な数学的表現による理論が、例えばポール・ディラックやアーウィン・シュレディンガーなど多くの物理学者によって開発されている。シュレディンガー方程式は、物理系の量子状態が時間に対してどのように変化するかを記述する。量子力学の標準解釈において、波動関数とも呼ばれる量子状態は、物理系に与えることができる最も完全な記述である。ディラック理論において、量子力学系の取り得る状態は、ノルム1の複素数(位相因子(phase factor))として定義可能な(well definedな)、複素分離ヒルベルト空間(complex separable Hilbert space)(系の「状態空間(state space)」あるいは「関連ヒルベルト空間(associated Hilbert space)」と様々に呼ばれる)に属する単位ベクトルによって表わされる。言いかえれば、取り得る状態は、複素射影空間と通常呼ばれる、ヒルベルト空間の射影の点である。このヒルベルト空間の正確な性質は系に依存する。例えば、位置と運動量の状態に対する状態空間は二乗積分可能な関数(square−integrable functions)の空間であり、一方、単一の陽子のスピンに対する状態空間は単に2つの複素平面の積である。それぞれの観測可能量(observable)は、状態空間に作用する最大エルミート行列の(maximally−Hermitian)(正確には自己共役行列の(self−adjoint))線形演算子によって表わされる。観測可能量の固有状態には演算子の固有ベクトルが対応し、そして、その関連する固有値はその固有状態における観測可能量の値に対応する。演算子のスペクトルが離散的な場合、観測可能量としてそれらの離散的な固有値のみが得られる。
これまでは、原子内の2つの電子の間の距離が、近似のアプローチを用いて計算されている。例えば、分子ダイナミクスに基づいた1つの近似は、原子に対しては有効であるが電子に対しては有効でなく、また、ある温度(例えば数千度ケルビン)より上では有効である。他の近似は、量子基底状態に限定され励起状態には有効でない密度汎関数理論(density−functional theory)に基づく。さらに、クーロンの法則の下の電子間相互作用を計算するための従来技術アプローチは、量子波動関数の統計平均である平均場モデル(mean−field model)相互作用(つまり局所的な密度近似)を用いている。さらに、従来技術アプローチの多くは、電子のスピンを考慮に入れておらず、そのため、ある特別な補正を必要とする。例えば、定常状態量子論は、1つのフェルミオンはある所定の時間において1つ量子状態を占めることができるというパウリの排他原理を、深く追求せず、多体波動関数(many−body wave function)を反対称化(manual anti−symmetrization)する操作を施すことにより、パウリの排他原理を付加的に(ad−hocに)取り入れている。最後に、ある従来技術アプローチにおいては、電子のダイナミクスは、フェルミ・ディラック統計を保っておらず、従ってすべての電子はフェルミオンに代わってボゾンとなってしまう。
したがって、従来技術アプローチの上述の問題、欠点および短所に鑑みて、平均場の平均(mean−field averages)あるいは密度汎関数などの近似を用いない電子あるいはイオンのダイナミクスを計算する方法およびシステムを提供することが望ましい。
スピン依存量子軌道を用いて電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを計算する方法とシステムを開示する。本発明の一の面では、スピン依存量子軌道を用いて電子の運動について1セットの方程式を解くことにより、電子あるいはイオンのダイナミクスが得られる。ここで、1セットの方程式は、関心のある材料の原子構造における電子のそれぞれに対して1つの方程式を対応させることにより求められる。また、電子カレントからスピン依存量子軌道が計算される。1セットの方程式は、それぞれ非相対論的および相対論的枠組みにおける時間依存シュレディンガー方程式およびディラック方程式の少なくともいずれか一方である。電子カレントは、フェルミ・ディラック統計が満足されていることを保証する1セットのスピン依存の項を含んでいる。電子の運動に対する1セットの方程式の定常状態解は、3次元空間におけるおよび時間における1セットの波動関数である。電子のそれぞれに対するスピン依存量子軌道はそれぞれのソリューションサイクルで更新され、したがって、平均場の近似は回避される。
他の面では、シュレディンガー方程式の解(solution)を、初期試行波動関数を用いて、時間および空間領域における陰関数偏微分方程式求解器(implicit partial differential equation solver)を用いて求めることができる。原子構造における電子の速度が光の速度より十分に遅い場合、ディラックカレントをシュレディンガー波動関数の項とスピン固有関数の項とを用いて表現することができる。
さらに他の面では、定常状態解は、1セットのシュレディンガー方程式の計算がエネルギースペクトルにおける定常固有状態に収束したかどうかチェックすることによって決定される。定常固有状態が確認されると、時間的逆フーリエ変換(inverse temporal Fourier transformation)を行なうことによって対応する固有関数を得ることができる。そして、新しい固有軌道をその後計算することができる。同様に、それぞれの電子のスペクトル軌道をスペクトル波動関数から計算することができる。
さらに他の面では、電子あるいはイオンのカレントおよび速度を、時間に依存するシュレディンガー方程式を用いて計算することができる。すなわち、時間依存位置を速度の時間積分によって計算することができる。カレント、速度および位置は、空間と時間における場(fields in space and time)であるからである。そして、軌道を、位置の場の量子平均あるいは期待値から計算する。これらの軌道は古典力学における位相点(phase points)のように振る舞うが、それらは量子波動関数から導き出されるものである。
本発明の他の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の実施形態の詳細な説明を考察することで明らかになるであろう。
本発明のこれらおよび他の特徴、面および利点は、以下の説明、添付した特許請求の範囲および以下の添付図面との関連から一層よく理解されるであろう。
本発明の実施形態を、図1乃至図5を参照してここに説明する。しかしながら、これらの図を参照してここで与える詳細な説明は例示の目的であって発明がこれらの限定的な実施形態を越えて広がっていることは、当業者には容易に理解されよう。
まず図1を参照して、図1は、本発明の一の実施形態にかかる材料の原子構造における電子あるいはイオンのダイナミクスを計算する例示的なプロセス100を示すフローチャートである。プロセス100を、ソフトウェアで実行することができる。
ステップ102においては、プロセス100は、コンピュータ(例えば図5のコンピュータシステム500)が電子あるいはイオンのダイナミクスを計算することが望まれている関心のある材料の原子構造定義を受け取ることによって、スタートする。材料を、2つ以上の異なる化学元素で形成される合金あるいは単一タイプの化学元素から成る純金属とすることができる。原子構造定義は、複数の電子あるいはイオンを含んでおり、例えば、アルミニウム原子の場合は13個の電子を含んでいる。電子ダイナミクスは、13個すべての電子間の相互作用を包含するものである。次に、ステップ104においては、電子の運動の1セットの方程式は、電子カレントから(例えば、ディラック方程式に基づいて)導かれるスピン依存量子軌道を用いて、セットアップされるすなわち確立される。電子の運動に対する方程式のそれぞれは、1つの電子に対するものである(例えばアルミニウムの場合は13の方程式がある)。電子の運動の1セットの方程式は、それぞれ非相対論的および相対論的枠組みにおける時間依存シュレディンガーおよびディラック方程式の少なくともいずれか一方を備える。
一の実施形態における、電子の運動に対する1セットの方程式の導出を説明する。まず、ディラック方程式は次のように書ける。
ディラック電子カレントは次のようであるとわかる。
ここで
は波動関数であり、
は換算プランク定数(reduced Planck’s constant)であり、cは光速であり、mは電子あるいはイオンの静止質量であり、eは電子の電荷であり、
は原子のポテンシャルである。パウリのベクトル
は、x,y,z方向における単位ベクトルとして書ける。
は波動関数であり、
は換算プランク定数(reduced Planck’s constant)であり、cは光速であり、mは電子あるいはイオンの静止質量であり、eは電子の電荷であり、
は原子のポテンシャルである。パウリのベクトル
は、x,y,z方向における単位ベクトルとして書ける。
数式2を用いて得られる電子カレントは、相対論的条件における電子カレントである。
他の実施形態において、電子の速度が光速より十分に遅い場合、
(Zは原子番号であり、例えばアルミニウムの場合13である)が満たされる。この場合には、大小のディラック・コンポーネント(large and small Dirac components)はシュレディンガーの波動関数
およびスピン固有関数
の項で書くことができる。
(Zは原子番号であり、例えばアルミニウムの場合13である)が満たされる。この場合には、大小のディラック・コンポーネント(large and small Dirac components)はシュレディンガーの波動関数
およびスピン固有関数
の項で書くことができる。
ここでmsは電子のスピン状態である。図2は、2つの量子スピン状態(つまり、それぞれが高いエネルギー準位および低いエネルギー準位に対応する「スピン状態1」202および「スピン状態2」204)を示す図である。2つのスピン状態の1つの例は、軌道「1s」および「2s」である。電子が「スピン状態1」202から「スピン状態2」204へ移行する場合、それを「α−スピン」あるいは「+1/2スピン」212という。電子の逆の移行は「β−スピン」あるいは「−1/2スピン」214である。数式2における電子カレントを明示的に書き上げることにより、非相対論的条件における電子カレントとなる。
ここで上付ダガーはエルミート共役行列を示ししたがって
であり、また、恒等式
から、一般のベクトル解析での恒等式を用いることによって、カレントを評価するのに役立つ恒等式が次のように得られる。
であり、また、恒等式
から、一般のベクトル解析での恒等式を用いることによって、カレントを評価するのに役立つ恒等式が次のように得られる。
注目すべきことに、スピン依存の項(数式5における最後の2つの項)は、シュレディンガーカレントとcに関して同じ次数(オーダー)、つまりc0である。ここで、シュレディンガーカレントは、スピン独立の項から与えられるとともにシュレディンガーの方程式を用いた唯一の寄与である。以上により、非相対論的条件におけるカレントを次のように書くことができる。
上下符号はそれぞれ対角的な(diagonal)αスピンおよびβスピンの寄与に対するものである。
がシュレディンガー波動関数であることは以降理解されよう。数式7の右辺の第1項は、シュレディンガーカレントである。シュレディンガーカレントは、スピン独立であり、常に実数となるように選択することができるとともに、束縛系での定常固有状態(bound stationary eigenstates)では消える(vanishする)。「x」および「y」方向における単位ベクトルに関するその次の2つの項は、ディラック理論に特有の項であり、量子化軸に対して横方向の(transverse)スピン依存の寄与である。速度
の場および位置
の場(position fields)は、数式7から以下のように推論することができる。
の場および位置
の場(position fields)は、数式7から以下のように推論することができる。
そして、電子の軌道
は位置の場の期待値から計算される。
は位置の場の期待値から計算される。
から
の軌道演算子
の時間履歴をアーカイブするために数式8bの時間積分がとられているので、数式8aの分母における波動関数密度が数式9における波動関数密度によってキャンセルされないことを付言しておく。時間依存のシュレディンガー方程式は、それぞれの電子に対して以下のように書ける。
の軌道演算子
の時間履歴をアーカイブするために数式8bの時間積分がとられているので、数式8aの分母における波動関数密度が数式9における波動関数密度によってキャンセルされないことを付言しておく。時間依存のシュレディンガー方程式は、それぞれの電子に対して以下のように書ける。
ここで、合計(サメーション)項は運動が数式10によって記述される参照(リファレンス)電子を除くすべての電子にわたってとられ、「r」は参照電子と核との間のスカラー距離であり、
は参照電子の軌道であり、項
は「j」番目の電子と参照電子との間の厳密な相対的軌道である。
は参照電子の軌道であり、項
は「j」番目の電子と参照電子との間の厳密な相対的軌道である。
同じ量子軌道理論をイオン運動に用いることができることは、以上の展開から明瞭である。数式2を、所定のイオン点核(ion point nucleus)のスピン状態に対して計算することができる(陽子については、上に電子に対して与えたものと同じであり、これにより、オルトパラ水素の核スピン状態−回転状態の反対称性(nuclear spin state−rotational state anti−symmetry of ortho−para−hydrogen)が第1原理に基づいて記述されるであろう)。また、シュレディンガー方程式(数式10)を、それぞれのイオンに対してのものであって、他のイオンの量子軌道に応じた適切な電子ポテンシャルを用いて、他のイオンと相互作用しているそれぞれのイオンに対するものとできる。本発明は、電子およびイオンの両方を量子力学的に扱う。
ここで再びステップ106を参照すると、電子の運動の1セットの方程式(つまり数式10)の解(つまり波動関数
)が、3次元空間(例えばデカルト座標ベースの空間)においてそして時間において得られる。一の実施形態においては、陰関数偏微分方程式求解器が、初期の試行波動関数と組み合わせて用いられる。ソリューションは、時間領域において多数のソリューションサイクル(つまり時間ステップ)として実行できる。所定数のソリューションサイクル後に、判断108においては、ソリューションが波動関数のエネルギースペクトル(例えば図3の例示的なヘリウム原子エネルギースペクトル)において定常状態(例えば状態の定常スペクトルあるいは定常固有状態)に達したかどうかを判定する。定常固有状態は、概して原子構造における電子のエネルギー準位に対応する。「no」の場合、プロセス100はステップ110に移行して、新しい軌道(つまり、数式7における波動関数から計算される
)を用いて、他のソリューションを継続する。判断108が「yes」になるまで、プロセス100は継続し、そしてステップ112に移行する。そして、プロセス100が終了する前に、すべての電子の軌道をスペクトルの波動関数と対応する固有関数との両方を用いて計算できる。計算された軌道を、コンピュータシステムに連結された記憶スペースに保存し、所望の場合にはモニタに表示する。
)が、3次元空間(例えばデカルト座標ベースの空間)においてそして時間において得られる。一の実施形態においては、陰関数偏微分方程式求解器が、初期の試行波動関数と組み合わせて用いられる。ソリューションは、時間領域において多数のソリューションサイクル(つまり時間ステップ)として実行できる。所定数のソリューションサイクル後に、判断108においては、ソリューションが波動関数のエネルギースペクトル(例えば図3の例示的なヘリウム原子エネルギースペクトル)において定常状態(例えば状態の定常スペクトルあるいは定常固有状態)に達したかどうかを判定する。定常固有状態は、概して原子構造における電子のエネルギー準位に対応する。「no」の場合、プロセス100はステップ110に移行して、新しい軌道(つまり、数式7における波動関数から計算される
)を用いて、他のソリューションを継続する。判断108が「yes」になるまで、プロセス100は継続し、そしてステップ112に移行する。そして、プロセス100が終了する前に、すべての電子の軌道をスペクトルの波動関数と対応する固有関数との両方を用いて計算できる。計算された軌道を、コンピュータシステムに連結された記憶スペースに保存し、所望の場合にはモニタに表示する。
上記の方法を例証するために、例示的な計算をヘリウム原子に対して実行する。シュレディンガー方程式(数式10)を解く。数式10からの時間依存スペクトル波動関数は固有状態の重ね合わせであるので、これらの時間依存スペクトル波動関数を用いてディラックカレントが評価される場合、数式7におけるディラックカレントへのシュレディンガー寄与が消えない(vanishしない)ことを付言しておく。数式10における電子間の相互作用は時間依存であるが、そのソリューションは、図3に示す状態の定常スペクトルを有する。図3に示す状態の定常スペクトルから、時間的逆フーリエ変換によって固有関数を計算することができる。
そして、これらの固有関数から、数式8a,8b,9を用いて、新しい軌道(つまり固有軌道(eigen−trajectories))が計算される。また、多電子エネルギーが、ハミルトニアンの2つの運動エネルギー部分および2つの核位置エネルギー部分の和の期待値から、そして、ハミルトニアンの2つの相互電子部分の計算平均の期待値から、計算される。電子間相互作用は時間依存であるが、それにもかかわらずその計算が図3に示す定常固有状態に収束することを付言しておく。この挙動は、図4に示す電子運動の周期性に起因する。
交換相関(exchange−correlation)の物理を以下の方法で取り込むことができる。2つの電子が反対のスピン状態を有する場合、初期の時間においてに同じ空間軌道を割り当てられるとき、これらの電子は相互に関連(相関)する(図4に示す状態がこの場合に相当する)。一方、2つの電子が同じスピン状態を有する場合、初期の時間において同じ空間的軌道を割り当てられるとき、それらの電子は相互に関連しない。これらの軌道(つまり、初期状態において同じスピン状態にあり、かつ、同じ空間軌道を割り当てられた軌道)は、反物理学的なものとして排除される。一方で、同じスピン状態を有する2つの電子は、初期の時間において大きく異なる空間的軌道が割り当てられたとき、相互に関連し、その結果、パウリの排他原理を破る(violateする)空間的軌道はスペクトル的に抑えられる(図3に示す状態がこの場合に相当する)。
ヘリウム原子の計算の結果を、図3乃至図4および表1に示す。図3は、ヘリウムの3重項励起状態(triplet excited state)での励起軌道、およびほとんど完全に消滅(extinction)している低いエネルギー状態の励起軌道に関するスペクトル「ライン」302〜304の収束を示している。円の中の数は、4つのソリューション収束判断(つまり図1に示すプロセス100の判断108)が、計算において行われたことを示す。スペクトルのピークは、それぞれの続く収束チェックでより大きく増加するように現れる。それぞれのスペクトルの「ライン」302〜304に準位幅(line width)が生じているのは、時間積分の長さが有限であることに起因する。
図4は、スペクトル波動関数を用いて計算された基底状態に対する電子のスペクトル軌道の時間履歴の後の部分(ソリューションサイクルの繰り返しにおいて収束に近付いた段階でのソリューションサイクルで得られる部分)402〜404と、固有関数用いて計算された固有軌道406〜408と、2電子のエネルギー410と、を示す。Rはスペクトル軌道(より詳細には、3次元空間での特定方向の成分)を表している。固有関数は、「フィルタ」によってスペクトル波動関数と関連している。スペクトル軌道の核に関する最大偏位(または、可動域ともいう)は、固有軌道についての最大偏位よりもはるかに大きい。ここで、固有軌道についての最大偏位は、スペクトル波動関数の励起状態内容(excited−state content)を反映している(reflectしている)。スペクトル軌道402〜404の包絡線(envelope)は、時間とともに次第に増加し、連続状態内容(continuum−state content)を反映している。固有軌道406〜408の包絡線の平坦度は、軌道の積分においてエネルギーが保存しないことにより生じるエラーが許容できるレベルに下がったことを示している。
スペクトル軌道402〜404がほとんどの時間履歴にわたって強く関連していることを付言しておく。このことは、ひとえに、αスピンおよびβスピン状態のカレントに対するディラック寄与の符号がそれぞれ同符号および反対符号であること(equal and opposite Dirac contributions)(数式7)による。なぜなら、図4では、それぞれの電子が初期の時間において同じ空間的軌道に割り当てられるからである。
一重項励起状態(singlet excited state)は、同符号および反対符号のディラック寄与を用い、両方の電子に初期の時間において同じ空間的軌道を割り当てることにより、同様に計算される。ただし、この場合は、電子のうちの一方は、状態を表すスペクトルの第1励起状態の部分に割り当てられる。ここで、第1励起状態の部分は励起軌道に割り当てられた電子に付随する時間依存シュレディンガー方程式により生成されている。
三重項状態は、同じスピン状態が適切に表現されるように、カレントに対して同じ(同符号の2つの)ディラック寄与を用い、その一方で、初期の時間において大きく異なる軌道を2つの電子に割り当てることにより、計算される。このとき、一重項励起状態の場合と同様に、電子のシュレディンガースペクトルのうちの第1励起状態の部分が、一方の電子に割り当てられる。
表1に、原子単位(a.u.)におけるヘリウムに関するエネルギー準位の計算結果をまとめる。基底状態の計算は、323232の空間的メッシュを辺長さ9.4981a.uの正立方の計算上のボックスに対して用いる。また、励起状態の計算は、同じメッシュを辺長15.0773a.uのボックスに用いる。
一の側面において、本発明は、ここで説明した機能性を実行可能な1つ以上のコンピュータシステムに対してなされたものである。コンピュータシステム500の一例を図5に示す。コンピュータシステム500は、プロセッサ504などの1つ以上のプロセッサを有する。プロセッサ504はコンピュータシステム内部通信バス502に接続されている。種々のソフトウェアの実施形態を、この例示的なコンピュータシステムで説明する。この説明を読むと、いかにして、他のコンピュータシステムおよび/またはコンピューターアーキテクチャーを用いて、本発明を実行するかが、関連する技術分野に習熟している者には明らかになるであろう。
コンピュータシステム500は、また、メインメモリ508(好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM))を有しており、また二次メモリ510を有していてもよい。二次メモリ510は、例えば、1つ以上のハードディスクドライブ512、および/またはフレキシブルディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどに代表される1つ以上のリムーバブルストレージドライブ514を有することができる。リムーバブルストレージドライブ514は、よく知られている方法でリムーバブルストレージユニット518から情報を読み取り、および/またはリムーバブルストレージユニット518に情報を書き込む。リムーバブルストレージユニット518は、リムーバブルストレージドライブ514によって読み取り・書き込みされるフレキシブルディスク、磁気テープ、光ディスク、フラッシュメモリなどを表わす。以下にわかるように、リムーバブルストレージユニット518は、コンピューターソフトウェアおよび/またはデータを内部に記憶しているコンピュータ記録可能な記憶媒体を含む。
別の実施形態において、二次メモリ510は、コンピュータプログラムあるいは他の命令をコンピュータシステム500にロードすることを可能にする他の同様な手段を有することもできる。そのような手段は、例えば、リムーバブルストレージユニット522およびインターフェース520を有することができる。そのようなものの例は、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(ビデオゲーム機に見られるようなものなど)、リムーバブルメモリチップ(消去可能プログラマブルROM(EPROM)、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュメモリあるいはPROMなど)およびそれらに対応するソケットと、ソフトウェアおよびデータをリムーバブルストレージユニット522からコンピュータシステム500に転送させることを可能にする他のリムーバブルストレージユニット520およびインターフェース522と、が含まれうる。一般的に、コンピュータシステム500は、プロセススケジューリング、メモリ管理、ネットワーク管理およびI/Oサービスなどのタスクを行なうオペレーティングシステム(OS)ソフトウェアによって制御され連係される。
バス502に接続する通信インターフェース524を設けることもできる。通信インターフェース524は、ソフトウェアおよびデータがコンピュータシステム500と外部デバイスとの間で転送されることを可能にする。通信インターフェース524の例には、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネット(登録商標)・カードなど)、コミュニケーションポート、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)、スロットおよびカードなど、が含まれうる。
コンピュータシステム500は、特定の通信手段(つまりプロトコル)を実行してデータを送受信する。一般的なプロトコルの1つは、インターネットにおいて一般的に用いられているTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)である。一般的に、通信インターフェース524は、データファイルをデータネットワーク上で伝達される小さいパケットへ分割し、あるいは受信したパケットを元のデータファイルへ組み立てる(再構築する)、いわゆるパケットのアセンブル・リアセンブル管理を行う。さらに、通信用インターフェース524は、正しい宛先に届くようそれぞれのパケットのアドレス部分に対処し、あるいは、コンピュータ500が宛先となっているパケットを他に向かわせることなく確実に受信する。
本書において、「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータ記録可能記憶媒体」という用語は、リムーバブルストレージドライブ、フラッシュメモリ、およびハードディスクドライブ512に組み込まれたハードディスクなどの媒体を通常意味して用いられる。これらのコンピュータプログラム製品は、ソフトウェアをコンピュータシステム500に提供する手段である。本発明は、このようなコンピュータプログラム製品に対してなされたものである。
コンピュータシステム500は、また、コンピュータシステム500にモニタ、キーボード、マウス、プリンタ、スキャナ、プロッターなどをアクセスさせる入出力(I/O)インターフェース530を有していてもよい。
コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックともいう)は、メインメモリ508および/または二次メモリ510にアプリケーションモジュール506として記憶される。コンピュータプログラムを、また、通信インターフェース524を介して受け取ることもできる。このようなコンピュータプログラムが実行された時、コンピュータプログラムによって、コンピュータシステム500がここに説明した本発明の特徴を実現することが可能になる。詳細には、コンピュータプログラムが実行された時、コンピュータプログラムによって、プロセッサ504がここに説明した本発明の特徴を実現させることが可能になる。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム500のコントローラを表わしている。
ソフトウェアを用いて発明が実行されるある実施形態において、当該ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に記憶され、あるいは、リムーバブルストレージドライブ514、ハードディスクドライブ512あるいは通信インターフェース524を用いて、コンピュータシステム500へとロードされる。アプリケーションモジュール506は、プロセッサ504によって実行された時、プロセッサ504にここに説明した本発明の機能を実現させる。
所望のタスクを実現するために、I/Oインターフェース530を介したユーザ入力によって、あるいは、よることなしに、1つ以上のプロセッサ504によって実行することができる1つ以上のアプリケーションモジュール506を、メインメモリ508に、ロードすることもできる。動作においては、少なくとも1つのプロセッサ504がアプリケーションモジュール506のうち1つが実行されると、結果が演算され二次メモリ510(つまりハードディスクドライブあるいはフラッシュメモリ)に記憶される。演算、分析あるいはソリューションの状況(例えばシュレディンガー方程式の中間的な解)は、テキストあるいはグラフィックス表現(例えば電子軌道やエネルギースペクトル)でI/Oインターフェース530を介してユーザに報告される。
本発明を具体的な実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態は単に例示的なものであって、本発明を限定するものではない。具体的に開示した例示的な実施形態に対する種々の変形あるいは変更が当業者よって提案されよう。例えば、例示的な検証ではヘリウム原子構造体を用いたが、他の材料あるいは合金(例えば、アルミニウムあるいは鋼)を代わりに用いることができる。さらに、4つの収束判断あるいは試験を例示的なヘリウム原子計算において図示し説明したが、それより多いあるいは少ない他の数の試験を同じことを実現するために用いることができる(例えば3、5、6、7…)。つまり、本発明の範囲は、ここに開示した具体的な例示的実施形態に限定されるのではなく、当業者が容易に思いつくあらゆる変形は、本願の精神および認識範囲内および添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
500 コンピュータシステム
502 バス
504 プロセッサ
506 アプリケーションモジュール
508 メインメモリ
510 二次メモリ
512 ハードディスクドライブ
514 リムーバブルストレージドライブ
518 リムーバブルストレージユニット
520 インターフェース
522 リムーバブルストレージユニット
524 通信インターフェース
530 I/Oインターフェース
502 バス
504 プロセッサ
506 アプリケーションモジュール
508 メインメモリ
510 二次メモリ
512 ハードディスクドライブ
514 リムーバブルストレージドライブ
518 リムーバブルストレージユニット
520 インターフェース
522 リムーバブルストレージユニット
524 通信インターフェース
530 I/Oインターフェース
Claims (15)
- 材料の原子構造における電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを計算する方法であって、
材料の原子構造定義であって複数の電子および1以上のイオンの少なくともいずれか一方を有する前記原子構造定義をコンピュータシステムにおいて受け取るステップと、
前記複数の電子のそれぞれに対して1つの方程式を対応させることにより電子の運動に対する1セットの方程式を確立するステップであって、前記電子の運動に対する1セットの方程式は非相対論的枠組みにおける1セットの時間依存シュレディンガー方程式および相対論的枠組みにおける1セットの時間依存ディラック方程式の少なくともいずれか一方を備えており、前記電子の運動に対する1セットの方程式に含まれ前記複数の電子のうちの参照電子の運動に対する方程式は前記参照電子と前記参照電子を除くすべての前記複数の電子との間の電子間相互作用を有しており、前記複数の電子はそれぞれ対応するスピン依存量子軌道によって表わされており、前記スピン依存量子軌道のそれぞれはフェルミ・ディラック統計を保証する1セットのスピン依存項を含んでいる電子カレントから計算されるステップと、
複数のソリューションサイクルが実行され3次元空間および時間における1セットの波動関数を生成するように前記電子の運動に対する1セットの方程式を解くステップであって、前記複数の電子のそれぞれに対する前記スピン依存量子軌道が前記複数のソリューションサイクルの各ソリューションにおいて更新されるステップと、
前記材料の前記電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを表わす1セットの前記スピン依存量子軌道の時間履歴を前記コンピュータシステムに連結されるコンピュータ記録可能記憶媒体に記憶するステップと、所望に応じて前記時間履歴を前記コンピュータシステムに連結される出力装置に表示するステップと、
を備える方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記スピン依存量子軌道のそれぞれは、前記複数の電子それぞれの位置および速度を表す位置ベクトルおよび速度ベクトルのセットから計算される方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記位置ベクトルおよび速度ベクトルのセットは古典論的ダイナミクスの原理に従って前記電子カレントから導き出される方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記電子間相互作用は、パウリの排他原理に従って前記複数の電子間の引力と斥力との組み合わせを含んでいる方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記電子カレントの1セットの前記スピン依存項は、1セットのパウリのベクトルにより表現される方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記材料は、少なくとも2つの異なる化学元素から形成される合金を備える方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記材料は、同じタイプの化学元素から形成される金属を備える方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記電子の運動に対する1セットの方程式を解くステップは、さらに、始めに1セットの試行波動関数を与えることを備える方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記電子の運動に対する1セットの方程式を解くステップは、さらに、前記波動関数のエネルギースペクトルを周期的にチェックしてこれにより定常状態解に到達したかどうか判断することを備える方法。
- 材料の原子構造の電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを計算するシステムであって、
アプリケーションモジュールに対するコンピュータ可読コードを記憶するメインメモリと、
前記メインメモリに連結される少なくとも1つのプロセッサと、を備え、
前記プロセッサの少なくとも1つが前記メインメモリに記憶された前記コンピュータ可読コードを実行して前記アプリケーションモジュールにオペレーションを行わせる方法が、
材料の原子構造定義であって複数の電子および1以上のイオンの少なくともいずれか一方を有する前記原子構造定義を受け取るステップと、
前記複数の電子のそれぞれに対して1つの方程式を対応させることにより電子の運動に対する1セットの方程式を確立するステップであって、前記電子の運動に対する1セットの方程式は非相対論的枠組みにおける1セットの時間依存シュレディンガー方程式および相対論的枠組みにおける1セットの時間依存ディラック方程式の少なくともいずれか一方を備えており、前記電子の運動に対する1セットの方程式に含まれ前記複数の電子のうちの参照電子の運動に対する方程式は前記参照電子と前記参照電子を除くすべての前記複数の電子との間の電子間相互作用を有しており、前記複数の電子はそれぞれ対応するスピン依存量子軌道によって表わされており、前記スピン依存量子軌道のそれぞれはフェルミ・ディラック統計を保証する1セットのスピン依存項を含んでいる電子カレントから計算されるステップと、
複数のソリューションサイクルが実行され3次元空間および時間における1セットの波動関数を生成するように前記電子の運動に対する1セットの方程式を解くステップであって、前記複数の電子のそれぞれに対する前記スピン依存量子軌道が前記複数のソリューションサイクルの各ソリューションにおいて更新されるステップと、
前記材料の前記電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを表わす1セットの前記スピン依存量子軌道の時間履歴を前記システムに連結されるコンピュータ記録可能記憶媒体に記憶するステップと、所望に応じて前記時間履歴をシステムに連結される出力装置に表示するステップと、
を備えるシステム。 - 請求項10に記載のシステムであって、前記電子間相互作用は、パウリの排他原理に従って前記複数の電子間の引力と斥力との組み合わせを含んでいるシステム。
- 請求項10に記載のシステムであって、前記電子の運動に対する1セットの方程式を解くステップは、始めに1セットの試行波動関数を与えることをさらに備えるシステム。
- 材料の原子構造における電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを計算するようコンピュータシステムを制御する命令を有するコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記命令が前記コンピュータを制御する方法は、
材料の原子構造定義であって複数の電子および1以上のイオンの少なくともいずれか一方を有する前記原子構造定義をコンピュータシステムにおいて受け取るステップと、
前記複数の電子のそれぞれに対して1つの方程式を対応させることにより電子の運動に対する1セットの方程式を確立するステップであって、前記電子の運動に対する1セットの方程式は非相対論的枠組みにおける1セットの時間依存シュレディンガー方程式および相対論的枠組みにおける1セットの時間依存ディラック方程式の少なくともいずれか一方を備えており、前記電子の運動に対する1セットの方程式に含まれ前記複数の電子のうちの参照電子の運動に対する方程式は前記参照電子と前記参照電子を除くすべての前記複数の電子との間の電子間相互作用を有しており、前記複数の電子はそれぞれ対応するスピン依存量子軌道によって表わされており、前記スピン依存量子軌道のそれぞれはフェルミ・ディラック統計を保証する1セットのスピン依存項を含んでいる電子カレントから計算されるステップと、
複数のソリューションサイクルが実行され3次元空間および時間における1セットの波動関数を生成するように前記電子の運動に対する1セットの方程式を解くステップであって、前記複数の電子のそれぞれに対する前記スピン依存量子軌道が前記複数のソリューションサイクルの各ソリューションにおいて更新されるステップと、
前記材料の前記電子およびイオンの少なくともいずれか一方のダイナミクスを表わす1セットの前記スピン依存量子軌道の時間履歴を前記コンピュータシステムに連結されるコンピュータ記録可能記憶媒体に記憶するステップと、所望に応じて前記時間履歴を前記コンピュータシステムに連結される出力装置に表示するステップと、
を備えるコンピュータ可読記憶媒体。 - 請求項13に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、前記スピン依存量子軌道のそれぞれは、前記複数の電子の位置および速度を表す位置ベクトルおよび速度のベクトルのセットから計算されるコンピュータ可読記憶媒体。
- 請求項14に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、位置ベクトルおよび速度ベクトルのセットは古典論的ダイナミクスの原理に従って前記電子カレントから導き出されるコンピュータ可読記憶媒体。
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