JP2010285964A - 内燃型スターリングエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】
スターリングエンジンにおける燃料の燃焼をシリンダ内部で行うことによって燃焼ガスと作動ガスの間に生ずる温度差をなくし、熱効率の高いスターリングエンジンを開発することをその課題とした。
【解決手段】
冷却しつつ圧縮することで実質的に等温圧縮した空気を再生熱交換器に通して加熱した後高温シリンダに送入し、高温シリンダ内に燃料を噴射して燃料を燃焼させ、空気と燃焼ガスとからなる作動ガスを加熱膨張させピストンを押し下げて動力を取り出すことで作動ガスを直接加熱するスターリングエンジンを開発した。膨張した作動ガスを排気する前にこの作動ガスが持つ残熱を再生熱交換器に回収して貯え、この熱を次のサイクルの実質的に等温圧縮した空気の加熱に使用することで熱効率の向上を図っている。
【選択図】図1

Description

本発明はシリンダ内部で燃料を燃焼させる内燃型スターリングエンジンに関するものである。
スターリングエンジンは等温膨張後の作動ガスが持つ熱を再生熱交換器によって回収し、この熱を等温圧縮後の作動ガスの加熱に利用することで理論的にはカルノー機関と同じ高い熱効率を得ることができるものである。これに対し通常のガソリンエンジン(オットーエンジン)は最初に空気又は空気とガソリンの混合気を圧縮した後燃焼させるものであるが、この際の圧縮は断熱圧縮であるため圧縮比が4.5以上になるとその温度が排気ガスの温度より高くなり熱回収ができなくなるといわれている。
このようにスターリングエンジンは熱回収という点では有利であるが、熱源をシリンダの外に持ちシリンダ又は加熱器の壁面を介して内部の作動ガスを加熱する外燃機関であるため、作動ガスの温度は必ず熱源(一般的には燃焼ガス)の温度より低くなりスターリングエンジンの熱効率を向上させる上で大きな障害となっている。この問題を解決する内燃スターリングエンジンも「非特許文献2」に2~3記されているが、種々問題があり満足できる性能のものでは無いようである。
これに代わる次善の策として、このエンジンの排気でタービンを回して発電することによって排気ガスの持つエネルギーを回収する方法が考えられるが、タービンの効率を考えるとあまり期待できるものではない。
特願2008−177655 通気性蓄熱板 特願2008−243803 作動ガスの加熱冷却方法 山下巌 他著 スターリングエンジンの理論と設計(株)山海堂 1999年 p1 一色尚次著 スターリングエンジンの開発(株)工業調査会 1995年 pp211〜221
スターリングエンジンにおける燃料の燃焼をシリンダ内部で行うことによって燃焼ガスと作動ガスの間に生ずる温度差をなくし、熱効率の高いスターリングエンジンを開発することをその課題とした。
なお、スターリングエンジンの定義として「非特許文献1」においては「スターリングエンジンは、ヘリウムや水素などの非凝縮性気体を作動ガスとする密封式の往復動型外燃機関である。」と記されている。この定義からすると内燃型の熱機関やロータリー式の熱機関、或いは水蒸気を含むガスを作動ガスとする熱機関ではスターリングエンジンと呼べるものは存在し得ないことになる。
スターリングが発明したエンジンは確かに密封式往復動型であったが、この定義ではその後の技術革新に対応できないのではないかと考えられる。このため本発明者はスターリングエンジンを「作動ガスを用いて〔等温圧縮〜回収熱源及び新規熱源による加熱〜等温膨張〜作動ガスからの熱回収〕からなるサイクルによって動力を得る熱機関である。」と定義することとしたい。但し、それぞれの基本行程は厳密に1行程ずつ区切って実行される必要はなくある程度のオーバーラップを許容すると共に、等温膨張及び等温圧縮についても等温状態からのずれを許容するものとする。さらに、作動ガスには水蒸気を含むことを許容するものとする。
なお、本発明においては特に断らない限り、サイクルという用語は1つの行程から始まり各行程を経て始めの状態に戻るまでの一連の行程を指すものとして使用する。
エンジンを製作するに当たってはできる限り出力を大きくしたいと考えるのは当然である。通常、スターリングエンジンの圧縮比はそれほど大きいものではなく、作動ガスの封入圧力を10〜20MPaと高くすることによって差圧を大きくし大きな出力を得るように設計されている。内燃型とすると必ず排気ガスの排出を行わなければならず、通常のスターリングエンジンのように圧力を高くすることによって出力を上げようとすると、10〜20MPaもある高圧の燃焼ガスを放出することが必要になり、大きなブローダウンロスが発生する。このためこのような高圧は望むべくもない。しかし、大きな出力を得るためには作動ガスを高い圧力にすることが必要であることは間違いない。したがって燃焼ガスを排出しなければならないという制約のもとで、如何にして燃料を高い圧力下で燃焼させるかその方法を創出することが本発明を完成させる上で最も重要な鍵となるところである。
この一つの方法として、空気を等温圧縮するための低温シリンダと燃料を燃焼させるための高温シリンダを用意し、低温シリンダで等温圧縮した空気を再生熱交換器に通した後高温シリンダに送り、そこで燃料を噴射して燃焼させ空気と燃焼ガスとからなる作動ガスを膨張させて動力を取り出す方法が考えられる。これを実現する具体的な方法及びこの際に発生する問題等について研究を進め本発明を完成させるに至った。
この特徴は空気の圧縮を空気を冷却しつつ行う等温圧縮とした点で、これによって圧縮に要する動力が少なくて済み、しかも再生熱交換器の温度と圧縮された空気との間の温度差が大きくなるので回収熱が圧縮された空気に移行しやすくなることである。但し、これを実現するためにはスターリングエンジンでは通常使用されないバルブが必要となり構造が少し複雑になるが、高い熱効率と大きな出力を得るためにやむをえないものと考える。動力を取り出した後の膨張した作動ガスは排気バルブを通って排出されるがその前にそれが持つ残熱を再生熱交換器に回収しておき、この熱を次のサイクルの圧縮した空気を高温シリンダ送る際に加熱用熱源として使用することで熱効率の向上を図っている。
もう一つの方法として、空気の圧縮は別に設けた圧縮機により行い、この等温圧縮した空気を定量的に高温シリンダに送り、同様にノズルから燃料を噴射して燃焼させ膨張させて動力を取り出すものである。この場合もやはりバルブが必要である。
燃焼をシリンダ内部で行うため燃料が出す熱がすべて作動ガスの膨張に使用されることになり作動ガスを効率よく加熱することができ、さらに膨張後の作動ガスが持つ残熱を再生熱交換器に回収することによって排気ガスによって持ち去られるロスエネルギーが少なくなり熱効率の向上が期待できる。
この発明の実施例を示す概要図 同クランクシャフトの回転角とピストンの位置を示す図 同クランクシャフトの回転角とバルブの開閉状態を示す相関図
以下、本発明を実施するための具体的な方法について図面とこれに付した記号を用いて説明する。
最初にその構成について説明する。
図1は本発明の「実施例1」を示す構成図、図2はそのクランクの回転角とピストンの位置を示すグラフ、図3はクランクの回転角とバルブの開閉状態を示すチャートである。図1、図2とも回転角の基準は低温ピストン102が下死点に達した時点とし、その時点を0度としてあらわしている。またバルブの開閉は理想的な速度で行われるものとして書いている。
図1より明らかなように本装置は低温ピストン102が嵌合された低温シリンダ101と高温ピストン106が嵌合された高温シリンダ105があり、両者を再生熱交換器110を間に挟んで接続したものである。
通常のスターリングエンジンでは低温ピストンと高温ピストンの間には90度の位相差があるが、本スターリングエンジンは高温ピストン106と低温ピストン102の間の位相差は90度より小さくなっている。これはできる限り等温圧縮を長く行って圧縮比を高くすると共に前サイクルの排気ガスの排出時間をできる限り長くするためである。
これらのピストンは後述するように油潤滑することが可能でサイドスラストによるピストンの焼き付きの恐れがないため通常のクランク機構を使用することができる。勿論スワッシュプレートやスコッチヨーク或いはロンビック機構の一部等を使用することも可能である。
低温シリンダ101には吸気バルブ103と送気バルブ104が付いている。また冷却効果を挙げるためフィン115と冷却管116が設けてある。低温ピストン102には貫通孔があり低温ピストン102はこの冷却管116と低温シリンダ101の内壁面の双方に嵌合して摺動するようになっている。このシリンダ内部に冷却管を使用する構造は「特許文献2」に記しているアルファ型スターリングエンジンに使用するシリンダ複合体と基本的には同じで、それに吸気バルブ103と送気バルブ104を取り付けた構造になっているものである。
高温シリンダ105には仕切りバルブ114と燃料噴射ノズル111および点火装置112が付いている。点火装置としては図1に示す火花放電によるもののほかグローバルブによるものが利用できる。送気バルブ104から出た空気は再生熱交換器110を通って高温シリンダ105に入る構造になっている。再生熱交換器110の低温側には熱回収された後の燃焼ガスを排気するための排気バルブ107を設けている。
図には示していないが、吸気バルブ103、送気バルブ104、排気バルブ107及び仕切りバルブ114はいずれもクランクシャフト120の動きにリンクしたカム及びスプリングによって開閉される構造になっている。これらの開閉タイミングの1例を図3に示しているが詳細については作動原理のところで説明する。
次にその作動原理について説明する。
今、図2の左端の状態、すなわち低温ピストン102が下死点に、高温ピストン106は下死点の少し手前にあるものとする。この場合、低温ピストン102は吸気から圧縮に切り替わるところ、高温ピストン106は下死点に向かっていて膨張行程の終わりに近づいているところである。各バルブの状態は図3の左端に示すように排気バルブ107、送気バルブ104は閉、吸気バルブ103は開から閉に切り替わるところ、仕切りバルブ114は閉である。
時間の経過と共に高温シリンダ105の膨張が進み、高温ピストン106が下死点に達したところで膨張が終了し、排気バルブ107及び仕切りバルブ114が開となり排気が開始される。高温シリンダ105内の作動ガスは再生熱交換器110を通り排気されることになる。このとき、低温ピストン102は図2に示すように下死点から上昇して吸入した空気を圧縮する過程にある。
低温ピストン102が上死点の少し手前で目標の圧縮率となったところで送気バルブ104が開、排気バルブ107が閉となり排気は終了する。低温シリンダ101から圧縮された空気が再生熱交換器110を通り高温シリンダ105に送気される。この際高温シリンダ105の中には排気ガスが若干残っていて送られてきた新鮮な圧縮された空気と混ざることになるが、次のサイクルの空気の取り入れと排気ガスの排出を同時に行う2ストロークサイクルエンジン所謂2サイクルエンジンと同様、排気ガスが多少混ざっても燃焼に大きな障害をもたらすものではない。再生熱交換器110を通ることで圧縮された空気は前サイクルで貯えられた熱によって加熱される。理論空燃比相当量以上の空気が送気され低温ピストン102が上死点に達したところで送気は終了するが、このとき高温ピストン106は上死点の少し手前である。
送気終了後、送気バルブ104及び仕切りバルブ114が閉じ、高温ピストン106は上死点に達するまで圧縮された空気をさらに圧縮することになる。この場合高温シリンダ105の上部にクリアランスがなければ圧縮率は無限大になるが、通常は仕切りバルブ114や燃料噴射ノズル111或いは点火装置112の周辺にできる空隙のため無限大になることはない。しかし圧縮率が余り大きくなりすぎると強度上問題であるのでこの場合はクリアランスを少し大きくすることが必要である。
高温ピストン106が上死点に達する少し手前で燃料噴射ノズル111から燃料が噴射され点火装置112によって点火されて燃焼し、高温シリンダ105内の空気と燃焼ガスからなる作動ガスを加熱膨張させ高温ピストン106を押し下げ動力を発生する。
一方、低温シリンダ101では低温ピストン102が上死点に達したところで送気バルブ104が閉じ吸気バルブ103が開いて次のサイクルの吸気が開始される。
高温ピストン106が下死点に達したところで排気バルブ107及び仕切りバルブ114が開き燃焼ガスの排気が行われる。高温シリンダ105の内部の燃焼ガスは図1から明らかなように排気される前に再生熱交換器110を通ることになり、燃焼ガスが持つ残熱は再生熱交換器110に回収される。回収された熱は次のサイクルの送気の際に使用される。
高温ピストン106が下死点の少し手前に達したとき低温シリンダ101での吸気が終了し、吸気バルブ103が閉じ圧縮行程に変わり最初の状態に戻る。
このサイクルが繰り返されてエンジンは回転を続けることとなる。
次にこのエンジンの特徴及び留意点について説明する。
このエンジンの最大の特徴は「発明の効果」のところで述べたように、燃料が出す熱がすべて作動ガスの膨張に使用され、膨張した作動ガスの持つ残熱を再生熱交換器によって回収するため、排気ガスによって持ち去られる熱が減少し熱効率の上昇が期待できることである。一方、問題点としてはスターリングエンジンの特徴である固体燃料、液体燃料、気体燃料をはじめ、原子力、太陽熱に至るあらゆる熱源を利用出来るというメリットを放棄しなければならなくなる点で、本エンジンにおいては液体燃料を使用しなければならないことになる。
本発明においては高温シリンダ105に送られる前の空気の圧縮はディーゼルエンジンやガソリンエンジンのような断熱圧縮ではなく、低温シリンダ101の内壁面或いはシリンダ内部に設けられた冷却管116の外壁面から冷却しつつ圧縮するものである。冷却部の伝熱面積は有限であり完全な等温圧縮とは言えないかも知れないが実質的にみて等温圧縮といえるものである。その圧縮率は通常二、三倍〜十数倍程度である。この圧縮率は高温ピストン106と低温ピストン102との間の位相差や死空間の体積、バルブの開閉タイミング等により異なってくる。冷却しつつ圧縮する等温圧縮であるため圧縮に要する動力は小さくて済み圧縮された空気は低い温度に保たれる。
燃料の点火方法について若干補足して説明する。低温ピストン102の位相が高温ピストン106の位相より進んでいる場合には圧縮された空気は再生熱交換器110で加熱された後さらに高温ピストン106によって断熱圧縮されて温度が上昇するため、条件によってはディーゼルエンジンと同様に燃料を噴射するだけで燃焼させることができる。これに対し低温ピストン102の位相が高温ピストン106の位相より遅れている場合は、高温シリンダ105に送られた空気は断熱圧縮されることがないためその温度は発火点に達することができず点火装置112が必要である。
再生熱交換器110は排気ガスより低い温度にされていなければ熱回収ができないが、この再生熱交換器の冷却は送気の際にこの内部を通過する等温圧縮された空気によってなされるものと、望ましいことではないが排気バルブ107が開いたときに起こるブローダウンの際の断熱膨張によってなされるものとがある。ブローダウンは可能な限り小さく、逆に圧縮する際の冷却は可能な限り完全なものにすることが望まれる。冷却の良し悪しは、排気ガスの残熱回収ひいてはこのエンジンの熱効率に影響を及ぼす重要な要素であるといえる。この冷却の存在によって、冒頭で述べた再生オットーエンジンにおいて起こる圧縮率が4.5以上になると熱回収ができなくなるという問題を回避することができ、圧縮率に関係なく熱回収ができるわけである。
低温シリンダ101での圧縮中は送気バルブ104が閉じているため空気は高温の再生熱交換器110に接触することなく冷却だけが行われるため等温圧縮となる。しかし、送気バルブ104が開き再生熱交換器110を通った後高温シリンダ105に送気される段階において圧縮された空気が再生熱交換器110が持つ死空間にブローされることになり、断熱膨張によってその温度が冷却水の温度を下回る温度にまで低下し、圧縮に使用された貴重な動力の一部が無駄になるというロスが発生する。さらに、圧縮された空気の一部が高温シリンダ105に行かず再生熱交換器110内部の空隙部分に残留し、排気の際に無駄に放出されることになりこれもロスとなる。
これらのロスを極力少なくするために再生熱交換器110の空隙率を流動抵抗に問題がない範囲でできる限り小さくする必要がある。蓄熱材に金網を使用した一般的な再生熱交換器では空隙率は0.7程度ありこれを大幅に小さくすることは困難で、かなりブローダウンによって圧力が低下することになる。「特許文献1」に示す蓄熱材は空隙率を任意に設定できるのでブローダウンロスの低減にきわめて有効である。
空気を圧縮中に冷却して実質的に等温圧縮とする方法として、通常のスターリングエンジンのようにシリンダと再生熱交換器をつなぐ管路の途中に冷却器を挿入する方法はシリンダの出口にある送気バルブ104によって管路が遮断されるため使用することができない。圧縮中に冷却するにはシリンダ内部で空気を冷却する方式とすればよい。その方法として外壁を水冷する方法やフィン115を設ける方法が有効であるが、外壁の冷却だけでは伝熱面積が小さく満足な冷却効果が得られないことが多い。冷却能力が不足すると断熱圧縮気味となり温度が上昇し、圧縮に多くの動力が必要となる問題や回収した熱の利用率が低くなるという問題が発生する。
勿論、冷却能力が不足していてもそれなりの効果はあるものである。冷却能力を高める方法として「特許文献2」に示す方法を利用することが極めて有効である。この方法とはシリンダ内部に冷却管116を設ける方法であり、死空間による圧縮比の低下をもたらすことなく冷却できるので好都合である。勿論、外壁を冷却する方法を併用することも可能でありそのほうが望ましく、「実施例1」では外壁を冷却する方法と冷却管による方法をあわせて実施したものである。
排気ガスは膨張後に残熱を再生熱交換器110に与えた後に排気されるべきであるが、再生熱交換器110の熱容量が小さいと排気ガスが持つ残熱を吸収しきれないまま排気されることになる。再生熱交換器110の熱容量が大きすぎると流動抵抗や死空間が大きくなりそれによるロスが大きくなる。高温シリンダ105の大きさと再生熱交換器110の容量と燃料噴射量との兼ね合いを考え、送気行程及び排気行程でのブローダウンロスをできる限り小さくすることが大切である。
スターリングエンジンで常に問題となるシール性に関しては本発明になるエンジンは大きなメリットを持っている。
通常のスターリングエンジンでは、水素やヘリウム等の極めて漏れやすいガスを高い圧力で封入したまま長時間運転しなければならない関係上、ピストンやロッドのシールを極めて厳重にしなければこれらのガスが散逸し満足な性能が得られなくなる恐れがある。しかしシールを厳重にするとピストンリングやロッドシールでの機械的損失が大きくなるという問題が発生する。本発明になる内燃型スターリングエンジンではこれらの漏れやすいガスは使用しておらず、作動ガスはサイクル毎に新しいものと入れ替わるので、シールに関する要求はガソリンエンジン或いはディーゼルエンジンのレベル程度まで大幅に緩和される。
本発明になるエンジンでは通常のスターリングエンジンでは困難な出力コントロールを燃料噴射量の調整によって簡単に行うことができるという特徴を持っている。
通常は等温膨張の状態になるように燃料噴射量を設定して運転するが、出力を小さく抑えたい場合は燃料噴射量を減らして断熱膨張気味とし、出力を大きくしたい場合は燃料噴射量を増して昇温膨張気味とすることで出力を調整できる。出力変化に対しては応答が速くガソリンエンジンと同等の応答速度である。但し、燃料噴射量が多くなりすぎると昇温膨張が限度をこえ再生熱交換器で回収しきれない熱が排気ガスと共に放出されて熱効率が低下することになる。また、燃料噴射量が多くなると酸素が不足して不完全燃焼を起こし公害の原因となることもあり、燃料噴射量の調節は安定した運転をする上で重要である。
燃料噴射ノズル111による燃料噴射は高温ピストン106が高温シリンダ105の中央前後に達するまで等温膨張を維持ないしは若干温度上昇するかたちで継続して行い、高温ピストン106が高温シリンダ105の中央前後に達したところで燃料噴射を終了し断熱膨張に移行するのが理想である。燃料噴射を高温ピストン106が高温シリンダ105の中央近辺に達したところで終了するのは、ピストンの下死点近くで燃焼させてもクランク機構で動力に変換することができず再生熱交換器110の負担が増すだけであるためである。なお、バルブ開閉タイミングや燃料噴射タイミングについては通常のガソリンエンジンと同様、回転速度によって最良点が若干ずれることを考慮しておく必要がある。
燃料噴射を上記のように継続して行うことをせず燃焼行程の初めに全量を噴射することもできる。この場合は最初急激に温度が上昇しその後断熱膨張となるためシリンダやピストンはこの高温に耐えることが必要になる。このように初めに全量を噴射する場合には等温膨張或いはこれに近い行程がなくなり、スターリングエンジンの持つトルク変動が小さいという特徴が消え、スターリングエンジンというよりはガソリンエンジン或いはディーゼルエンジンに近いものになると言える。
スターリングエンジンは作動ガスの温度を高くすればするほど熱効率が高くなるが、通常のスターリングエンジンでは高い温度と圧力が継続的に作用する関係で強度面の問題からあまり温度を上げることができず、実用上1000K程度が限度とされている。これに対しガソリンエンジンでは瞬間的ではあるが燃焼ガスの温度は2500Kに達するといわれている。
本発明になるエンジンでも燃焼温度が高いほど熱効率は高くなり出力も大きくなるが、素材の強度や耐熱性の関係から無制限に高くすることは不可能である。ただ、通常のスターリングエンジンに比べて平均圧力が低く高温高圧になる時間が短くその行程がガソリンエンジン或いはディーゼルエンジンに近いことから、最高温度をガソリンエンジン或いはディーゼルエンジンの温度に近い温度にすることは可能であると考えられる。
潤滑に関しては、通常のスターリングエンジンでは油上がりを嫌い油潤滑は行われないが、本発明では油潤滑を行っても問題ない。その理由は高価な水素やヘリウムを使用していないため分解点検や掃除が簡単に実施できるという点と、シリンダ内部に潤滑油が上がった場合でも、各サイクルで作動ガスが入れ替わる際に出てゆくか燃料と共に燃焼するかするためである。ピストンを油潤滑することでサイドスラストによるピストンの焼き付きの心配がなくなり、ピストンには通常のクランク機構が利用できることになる。
実施例1では低温ピストン102が高温ピストン106に先行して動くようにしているが、このようにすると高温ピストン106に送られた空気はさらに高温ピストン106で圧縮(この場合は断熱圧縮)されて圧縮比が高くなり、条件によっては点火装置が不要になる程まで温度を上昇させ出力を大きくすることができるが、シリンダを高温高圧に耐えうるようにする必要がある。高温ピストン106が低温ピストン102に先行して動くようにすると圧縮比が低くなり出力は低下するが強度面では設計が楽になる。
実施例1では低温ピストン102で空気を圧縮しているが、空気の圧縮は別に設けた圧縮機で行いこれを高温シリンダに送り込みここで燃料を燃焼させてもよい。この場合に使用する圧縮機はレシプロ式、ターボ式、スクリュー式のいずれでも良いが、いずれの方式であっても熱効率をあげるためには冷却を十分に行い実質的に等温圧縮となるようにすることが大切である。
101 低温シリンダ
102 低温ピストン
103 吸気バルブ
104 送気バルブ
105 高温シリンダ
106 高温ピストン
107 排気バルブ
110 再生熱交換器
111 燃料噴射ノズル
112 点火装置
114 仕切りバルブ
115 フィン
116 冷却管
120 クランクシャフト
121 フライホイール

Claims (1)

  1. 冷却しつつ圧縮した空気を前サイクルの排気ガスから回収した熱を貯えた再生熱交換器に通して加熱した後高温シリンダに送入し、該高温シリンダ内に燃料を噴射して該燃料を燃焼させ、空気と燃焼ガスからなる作動ガスを加熱膨張させピストンを押下させて動力を取り出し、膨張した該作動ガスを排気する前に再生熱交換器に通して該作動ガスが持つ残熱を再生熱交換器に回収して貯え、この回収して貯えた熱を次のサイクルの冷却しつつ圧縮した空気の加熱に使用する内燃型スターリングエンジン。

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