JP2010282879A - 有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】均一な層厚の有機機能層を用いることなく発光ムラを抑制する有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【解決手段】画素電極30と陰極50との間に有機発光層46を含む有機機能層を挟持した有機EL素子100と、有機EL素子100の周囲を囲んで設けられた隔壁20と、画素電極30を挟んで有機発光層46の反対側に設けられた反射層17と、を備え、陰極50は、半透過反射性を有するとともに、反射層17との間で有機発光層46から射出された光を干渉または共振させる光増幅構造を構成しており、有機機能層は、隔壁20に囲まれた領域と平面的に重なる有効発光領域において、不均一な層厚を有しており、有効発光領域内であって、有機機能層の層厚が最も薄い部分とは異なる部分における反射層17と陰極50との間の光学的距離が、有機発光層46から射出される光の波長に基づいて算出される増幅条件を満たしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器に関するものである。
情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された平面表示装置のニーズが高まっている。この様な平面表示装置の一つとして、有機発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置(以下「有機EL装置」という)が知られている。
有機EL装置は、有機発光層のほかにも、電極からのキャリア(電子・正孔)の注入を容易にする注入層や、キャリアの輸送を容易にする輸送層などが設けられている(以下、有機発光層や各機能を有する層を合わせて有機機能層と称する)。このような有機機能層の形成には、液滴吐出法、スピンコート法等の液相法や、蒸着法等の気相法が用いられており、形成材料が高分子材料である場合には液相法が用いられる。
液相法とは、有機機能層の形成材料を所定の溶媒に溶解又は分散させて液状組成物とし、この液状組成物を電極等の所定の領域に塗布した後に溶媒を蒸発させることにより有機機能層を形成する方法である。このような液相法を用いて有機機能層を形成すると、気相法のように基板を高温プロセスに曝すことがなく、工程中の劣化が抑制できる反面、液状組成物の表面張力や、溶媒の蒸発過程における液状組成物の流動に起因して、形成される有機機能層の層厚が一様にならないことが多い。
また近年においては、高輝度化のため、あるいは色純度を高めるために、複数の有機EL素子を隔壁で囲み、複数の画素ごとに隔壁で区画した構造とすることが多くなっている。このような構造の有機EL装置を液相法を用いて製造する際には、隔壁で区画された領域の内部に液状組成物を配置して溶媒を蒸発させるが、有機機能層の層厚は液状組成物と隔壁との親液性または撥液性により影響を受ける。例えば、親液性が高い隔壁近傍の液状組成物は、乾燥過程でも隔壁表面に濡れ広がるため、隔壁近傍では有機機能層が隔壁に沿って盛り上がり、隔壁から離れた箇所では有機機能層が薄く形成され、結果として、大きな層厚ムラを生じる。
有機機能層の層厚は、有機EL装置の発光特性と密接な関係があることが知られている。有機機能層の層厚ムラは、有機発光層からの発光量の差となって表れるため、輝度や色合いに差を生じ、その結果、有機EL装置の表示不良(表示ムラ)の原因となってしまう。そのため、従来、有機機能層の層厚ムラを無くし、均一な層厚とするための方法が提案されてきた(例えば、特許文献1から4参照)。
特開2006−12762号公報 特開2007−289825号公報 特開2007−289826号公報 特開2007−310156号公報
しかしながら、上記方法を用いて均一な層厚の有機機能層を得るためには、いずれも特殊な工程が必要であり、容易に平坦な膜形状を得ることができなかった。さらに、再現性良く均一な層厚の有機機能層を得るためには、厳密な製造条件の管理が必要であり、製造条件少しでも変わると、層厚ムラが生じるおそれがあるため、均一な層厚の有機機能層を得ることを一層困難なものとしていた。
一方で、上記方法において均一な層厚の有機機能層を得ようとする目的は、ムラの無い発光を実現し、有機EL装置の表示不良を抑制することである。この目的が達成できるならば、均一な層厚の有機機能層は必ずしも必要無いこととなる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、均一な層厚の有機機能層を用いることなく発光ムラを抑制する有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することを目的とする。また、このような有機エレクトロルミネッセンス装置を備える電子機器を提供することを合わせて目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、第1電極と第2電極との間に有機発光層を含む有機機能層を挟持した発光素子と、前記発光素子の周囲を囲んで設けられた隔壁と、前記第1電極を挟んで前記有機発光層の反対側に設けられた光反射層と、を備え、前記第2電極は、半透過反射性を有するとともに、前記光反射層との間で前記有機発光層から射出された光を干渉または共振させる光増幅構造を構成しており、前記有機機能層は、前記隔壁に囲まれた領域と平面的に重なる有効発光領域において、不均一な層厚を有しており、前記有効発光領域内であって、有機機能層の層厚が最も薄い部分とは異なる部分における前記光反射層と前記第2電極との間の光学的距離が、前記有機発光層から射出される光の波長に基づいて算出される増幅条件を満たしていることを特徴とする。
まず、有機発光層で発する光は、第2電極を透過して直接外部に射出される光、光反射層で反射した後に外部に射出される光、第2電極で反射した後に光反射層で再反射して外部に射出される光、となって取り出される。このとき、光反射層と第2電極との間の光学的距離が、下記の数式1、数式2で示される増幅条件を満たす距離となっている場合に、有機発光層から射出される光が共振または干渉により増幅されて取り出される。
mを整数、λを取り出したい光のスペクトルのピーク波長、θReを光反射層で反射する際の位相シフト量、θTrを共振層で反射する際の位相シフト量とすると、共振条件(増幅条件)は数式1、干渉条件(増幅条件)は数式2で表すことができる。
Figure 2010282879
Figure 2010282879
ここで、有機発光層における厚さ方向(電極間方向)の電気抵抗は層厚に比例する。そのため、電流は抵抗の高い層厚の厚い部分よりも、抵抗の低い層厚の薄い部分を流れやすく、流れる電流量に比例して、層厚の厚い部分よりも層厚の薄い部分のほうが明るく発光する。すなわち、層厚が不均一な有機発光層では、層厚によって電流量が異なるため発光量が異なり、層厚が最も薄い部分で最も強く発光し、結果として発光ムラを生じることとなる。
しかし、本発明の有機EL装置では、層厚が最も薄い部分とは異なる部分で増幅条件が最適となるように条件設定されている。したがって、層厚が厚く発光量が少ない箇所であっても最適な増幅条件となる箇所では、光共振・干渉構造による光取り出しが層厚が最も薄い部分よりも効率的に行われる。
これらの効果が合わさることにより、層厚が薄い部分では、多くの電流が流れるため発光量が多くなるが、増幅条件が最適なものとなっていないため、効率的に光を取り出すことができない。対して、層厚が相対的に厚い部分であって増幅条件が最適なものとなっている箇所では、電流量が低下するため発光量が低下するが、効率的に光を取り出すことができ、発光量の不足を補うことができる。
結果、外部に射出される光量に差が小さくなり、有機発光層の層厚を均一にすることなく輝度バラツキを抑制した有機EL装置とすることができる。
本発明においては、前記有機機能層の層厚が最も厚い部分の90%以上の膜厚を有する部分において、前記光学的距離が前記増幅条件を満たしていることが望ましい。
この構成によれば、実質的に光取り出し効率に影響を与えず、発光プロファイルを均一なものとすることができる。
本発明においては、前記有機機能層の層厚が最も厚い部分において、前記光学的距離が前記増幅条件を満たしていることが望ましい。
この構成によれば、層厚のみを考えた場合には最も発光量が少なくなる位置の発光量不足を光増幅構造で補うことができ、効率的に発光プロファイルを均一なものとすることができる。
本発明の電子機器は、上述の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする。
この構成によれば、発光ムラがなく高品質な画像形成が可能な電子機器を提供することができる。
本発明の第1実施形態の有機EL装置を模式的に示す説明図である。 有機発光層の層厚を変化させたときの電流輝度効率を示すグラフである。 第1実施形態の有機EL素子の発光プロファイルを示す実測値のグラフである。 本発明の第2実施形態の有機EL装置を模式的に示す断面図である。 第2実施形態の有機EL素子の発光プロファイルを示す実測値のグラフである。 電子機器の一例であるラインヘッドを概略して示す概略構成図である。 本発明に係る電子機器の他の例を示す斜視図である。
[第1実施形態]
以下、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置1について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の層厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
図1は、有機EL装置1を模式的に示す説明図である。図1(a)は、第1実施形態の有機EL装置1における画素の構成を概略して示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のB−B線に沿う断面図である。
図1(a)に示すように、有機EL装置1は、行列状に整列配置された複数の発光領域A1を有しており、1つの発光領域A1がサブ画素Pr、Pg、Pbの1つと対応している。複数の発光領域A1は隔壁20によって区画されている。
サブ画素Pr、Pg、Pbはいずれも同様の構成となっているが、有機発光層の形成材料の違いにより、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を射出するようになっている。3つのサブ画素Pr、Pg、Pbから射出された3色の色光により、フルカラー表示の最小単位である1画素が構成される。
本実施形態のサブ画素Pr、Pg、Pbは、いずれも平面視略長円形状になっている。長円形状とは、一方向に延びる帯形状を有しその両端が円弧状になっている形状のことである。ここでは、前記一方向を長軸とし、長軸の直交方向を短軸とする長円形状になっている。
本実施形態では、サブ画素の短軸方向に色光が異なる3種類のサブ画素Pr、Pg、Pbが周期的に並んで配置されており、サブ画素の長軸方向にサブ画素Pr、Pg、Pbが色ごとに並んで配置されている。ここではサブ画素Pr、Pg、Pbの各々に、有機EL素子100が配置されている。各有機EL素子100は、周囲を隔壁20で囲まれている。
図1(b)に示すように、有機EL装置1は、基板本体10と、基板本体10上に形成された駆動素子15等を備える素子層11と、を備える基板10Aと、基板10A上に形成され光透過性を有する画素電極(第1電極)30と、画素電極30と平面的に重なる開口部20aを備えた隔壁20、を備えている。
隔壁20に囲まれた領域には、共通隔壁層24の側壁に当接して発光部40が形成されており、発光部40の上面には発光部40の全面を覆う陰極(第2電極)50が形成されている。これら画素電極30と発光部40と陰極50とで有機EL素子(発光素子)100を形成している。
発光部40には、画素電極30からの正孔の注入を容易にする正孔注入層42と、正孔注入層42からの正孔の移動を促す正孔輸送層44と、有機発光層46とを備えており、画素電極30上にこの順に積層している。
陰極50は、共通隔壁層24の頂面及び側壁を覆って有機発光層46の上面の全面を覆う陰極層51と、陰極層51の表面全面を覆う共振層52と、を備えている。
本実施形態の有機EL装置1は、有機発光層46で生じる光が、陰極50を介して外部へ射出されるトップエミッション方式を採用している。以下、各構成要素について順に説明する。
基板本体10は、光透過性を備える透明基板を用いることができる。このような透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体10の材料としてガラスを用いる。
素子層11は、有機EL装置1を駆動させるための各種配線や駆動素子15、及び無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。各種配線や駆動素子15はフォトリソグラフィーによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッター法など通常知られた方法により適宜形成することができる。
素子層11の上には、画素電極30と平面的に重なる領域に反射層(光反射層)17が形成されており、絶縁層18に覆われている。反射層はAlNd合金を形成材料としており、マスクパターニングなど通常知られた方法で形成されている。本実施形態では、反射層17は素子層11上に形成されることとしたが、素子層11中に形成されることとしても良い。
絶縁層18の上には、画素電極30が形成されている。画素電極30の形成材料には、光透過性を備え、仕事関数が5eV以上の材料を用いることができる。このような材料は、正孔注入効果が高いため画素電極30の形成材料として好ましい。このような材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)やIZO(アイゼットオー(登録商標))等の導電性金属酸化物を挙げることができる。本実施形態ではITOを用いる。
また、絶縁層18の上には、画素電極30の端部に一部が乗り上げるように、隔壁20を構成する画素隔壁層22が形成されている。画素隔壁層22は画素電極30に対応する口径Lの開口部20aを備えており、該開口部20a内に画素電極30が露出している。画素隔壁層22は、酸化シリコンや窒化シリコン等の無機絶縁材料で形成されており、開口部20aの位置に対応するマスクを介したエッチング等の公知の方法で形成することができる。
画素隔壁層22上には、画素電極30の周囲を囲むように、隔壁20を構成する共通隔壁層24が形成されている。共通隔壁層24は、断面形状が順テーパー状に形成されている。そのため、共通隔壁層24で囲まれた空間は、下部よりも上部が広く開口している。共通隔壁層24は、例えば光硬化性のアクリル樹脂やポリイミド樹脂等で形成される。
共通隔壁層24に囲まれた領域の底面に露出した面(ここでは画素電極30と画素隔壁層22の一部)には、共通隔壁層24の側壁に当接して、画素電極30からの正孔の注入を容易にする電荷移動層としての正孔注入層42が形成されている。正孔注入層42の形成材料は、通常知られた材料を用いる事ができる。本実施形態ではPEDOT/PSSを用いる。
正孔注入層42の上には、共通隔壁層24の側壁に当接して正孔輸送層44が形成され、更に有機発光層46が形成され、発光部40をなしている。これらの層の形成材料としては、通常知られた材料を用いる事ができる。本実施形態の有機EL装置1では、発光部40において開口部20aと平面的に重なる領域が有効発光領域となる。
例えば、正孔輸送層44の形成材料としては、下記の化学式1で示されるADS259BE(American Dye Source社製、商品名)を用いることが出来る。また、有機発光層46の形成材料としては、化学式2で示される緑色発光高分子材料ADS109GE(同社製、商品名)、化学式3で示される赤色発光高分子材料ADS111RE(同社製、商品名)、化学式4で示される青色発光高分子材料ADS136BE(同社製、商品名)を用いることができる。
Figure 2010282879
Figure 2010282879
Figure 2010282879
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これら有機材料で形成される発光部40の各層は、各層の形成材料を液相法で配置し、これを乾燥・焼成等により固化して形成されている。この乾燥条件によって各層の表面形状が定まり、ここでは陰極50側の表面が基板10A側に凹む湾曲面になっている。そして、開口部20aに平面的に重なる発光部40において、陽極30の表面から発光部40の陰極50側の表面までの距離を発光部40の層厚と定義すると、発光部40は、開口部20aの中央部で最小(層厚Ha)となっており、開口部20aの外周で最大(層厚Hb)となっている。
このような発光部40の層厚の分布は、有機EL装置の製造前に実験等により調べておくことができる。例えば、実験用の有機EL装置を製造する工程で、実際の有機EL装置と同じ液状の形成材料を用いてこれを配置した後、所定の乾燥条件で乾燥・焼成して固化する。そして、実験用の有機EL装置において有機EL素子の断面を調べることにより、発光部の層厚プロファイルを知ることができる。
このような予備実験を複数の乾燥条件で実施しておくことにより、乾燥条件に対する発光部40の形状について予め調べておくことができ、所望の凹凸形状の発光部40を容易に形成することができる。
発光部40の上には、隔壁20の頂面、側壁を覆って表面全面に陰極層51、共振層52を有する陰極50が形成されている。陰極50の表面形状は、下層の発光部40の凹凸形状を反映し、表面が基板10A側に凹む湾曲面になっている。
陰極層51は、仕事関数が低い(例えば5eV以下)材料からなっている。仕事関数が低い材料としては、CaやMg、Na、Sr、Ba、Li、又はこれらの金属化合物であるフッ化カルシウム等の金属フッ化物や酸化リチウム等の金属酸化物、アセチルアセトナトカルシウム等の有機金属錯体等が挙げられる。本実施形態ではCaを用いて形成する。
また、陰極層51の上には、金属材料から成る共振層52が設けられている。本実施形態では共振層としてMgとAgの合金層を用い、MgとAgとの共蒸着比率は体積比で10:1とする。共振層52は、有機発光層46から発せられた光の一部を反射する半透過膜である。陰極50は、共振層52を有することで全体として半透過膜となっている。また共振層52は、陰極50のシート抵抗値を下げる機能も有している。
共振層52は、反射層17との間で光を共振させる光共振構造を構成しており、有機EL素子100からは、反射層17と共振層52との間の光学的距離に対応した共振条件を満たす光のみが増幅されて取り出される構成となっている。
陰極50の上には、不図示のSiOなどの無機膜を形成し、更に無機膜の上にはエポキシ樹脂を介してガラス基板を貼り合わせる、所謂、固体封止構造を備えるものとすると良い。
また、ガラス基板に凹部を設け乾燥剤を配置した封止缶部材を用い、ガラス基板の凹部側の面を陰極50に対向させて配置し、該ガラス基板と基板10Aとが平面的に重なる部分の周縁をエポキシ樹脂等で接着する、所謂、缶封止構造を備えるものとしても良い。
上記のような層厚の発光部40を有する有機EL装置1では、次の様にして均一な発光を実現可能としている。以下、順に説明する。
まず、発光部の層厚が面内で異なる有機EL装置が光共振器構造を有さないとすると、発光状態は以下のようになる。
一般に、陽極30から注入される正孔量と、陰極50から注入される電子量とのキャリアバランスが取れている場合には、有機発光層46の内部を流れる電流量が多いほど発光量が多くなる。一方、有機発光層46の層厚が増加すると、有機発光層全体として高抵抗となるため、同電圧を印加して電流を流す場合には、流れる電流量が低下し、結果、発光量が低下する。
このような性質を有する有機発光材料で形成された有機発光層46が、面内で層厚の分布を有する場合、同じ電極と接続されている有機発光層内において同じ電圧を印加した場合、電流は抵抗の高い層厚の厚い部分よりも、抵抗の低い層厚の薄い部分を流れやすい(相対的に電流量が多くなる)。そのため、有機発光層46の層厚の薄い部分で強く発光し、層厚の厚い部分では発光が弱くなるため、結果、発光ムラが生じることとなる。
次に、発光部の層厚が面内で均一である有機EL装置が光共振器構造を有するとすると、発光状態は以下のようになる。
図2は、スピンコート法を用いて均一な層厚に発光部を形成した有機EL装置の試験体について、有機発光層の層厚を変化させたときの電流輝度効率を示すグラフである。図では、横軸が発光層の層厚、縦軸が有機EL素子の電流輝度効率を示している。この試験体で使用する有機発光層の形成材料は、本実施形態の有機EL装置1の有機発光層46と同じものとし、印加電圧一定の条件下で観測された試験体の発光輝度を、同時に測定する電流量で除することにより各電流輝度効率の値を得た。
図に示すように、有機発光層の層厚を増加させると電流効率が増加しており、有機発光層の層厚が95nm程度でピークとなっている。これは、この試験体において、有機発光層の層厚が95mn程度となる場合に共振条件が最適となることを示している。
これらを踏まえて、発光部の層厚が面内で異なり光共振器構造を有する本発明の有機EL装置について考える。図3は、有機EL素子の発光プロファイルを示す実測値のグラフである。横軸は、図1における開口部20aの口径Lを百分割した場合の端部からの距離を示しており、サブ画素Pr側の端部からの距離を示している。縦軸は単位面積あたりの発光輝度を示している。
仮に、開口部20aの中央部分において光共振器構造の共振条件が最適となるように、有機発光層46の層厚(光学的距離)を制御すると、図3(a)に示すような発光プロファイルとなる。すなわち、層厚が不均一である有機発光層46においては、上述のように、電流は抵抗の高い層厚の厚い部分よりも、抵抗の低い層厚の薄い部分を流れやすいため、層厚Hbを示す開口部20aの外周部分よりも、層厚Haを示す開口部20aの中央部分のほうが明るく発光する。
対して、本実施形態の有機EL装置1では、開口部20aの外周部分において光共振器構造の共振条件が最適となるように、有機発光層46の層厚Hbを制御して形成する。本実施形態の有機発光層は、図2における試験体と同じものを用いているため、例えば、層厚Hbを95nmとする。すると、光共振器構造による光取りだし効率は、層厚Hbを示す開口部20aの外周部分よりも、層厚Haを示す開口部20aの中央部分のほうが悪くなる。
これらの効果が合わさることによって、開口部20aの中央部分においては、層厚が薄いことにより多くの電流が流れるため発光量が多くなるが、共振条件が最適なものとなっていないため、効率的に光を取り出すことができない。対して、開口部20aの外周部分においては、層厚が厚いことにより電流量が低下するため発光量が低下するが、共振条件が最適なものとなっているため、効率的に光を取り出すことができ、発光量の不足を補うことができる。結果、開口部20aの中央部分と外周部分との発光量に差が無くなり、輝度バラツキがなく発光プロファイルが均一となる(図3(b))。
ここで発明者は、経験的な基準として、開口部20aの平面視面積の70%程度の領域において、輝度バラツキが±5%以内に収まっていれば、画素が均一の輝度として判断している。
本実施形態の有機EL装置1は、以上のような構成となっている。
以上のような構成の有機EL装置1によれば、均一な層厚の有機発光層46を用いることなく、形成される凹凸形状を逆に利用することで、有機EL素子100の面内で輝度バラツキを抑制した有機EL装置1を提供することができる。
なお、本実施形態においては、有機EL装置1はトップエミッション方式の発光方式を採用することとしたが、基板10A側から光を取り出すボトムエミッション方式の発光方式とすることもできる。その場合は、陰極50が光反射性を有するものとして形成し、陽極30側に半透過反射性の共振層を形成することにより実現できる。
また、本実施形態においては、層厚の最も厚い部分において共振条件が最適なものとなるように共振条件を設定したが、これに限らない。図2では、最適な共振条件となる発光層厚(95nm)から±10nm程度はあまり効率に変化がないことが示されており、この結果より、共振条件の最適層厚から±10%程度の層厚のずれであれば実質的に効率に影響を与えないと言える。したがって、発光部において最も厚い層厚の90%以上の層厚
が最適な共振条件となるように設定することとすれば、発光プロファイルを均一なものとすることができる。
さらには、少なくとも層厚の最も薄い部分とは異なる位置において共振条件が最適となることとしておくと、光の取り出し量の差を埋める効果が期待できるため、発光ムラを抑制することが可能となる。
[第2実施形態]
図4〜図5は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置2の説明図である。本実施形態の有機EL装置2は、第1実施形態の有機EL装置1と一部共通している。異なるのは、有機発光層の凹凸形状と、光共振構造において最適な光学的距離となっている位置である。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4は、有機EL装置2の概略断面図であり、第1実施形態の図1(b)に対応する図である。図に示すように、有機EL装置2では、発光部40の各層は、陰極50側の表面が基板10A側に盛り上がる湾曲面になっている。そして、開口部20aに平面的に重なる発光部40において、発光部40は、開口部20aの外周部分で最小(層厚Ha)となっており、開口部20aの中央部分で最大(層厚Hb)となっている。有機EL装置2では、開口部20aの中央部分において光共振器構造の共振条件が最適となるように層厚Hbを制御して形成する。
図5は、有機EL装置2が有する有機EL素子100の発光プロファイルを示す実測値のグラフであり、図3に対応するグラフである。
図に示すように、光共振器構造を考えない場合には、電流は抵抗の高い層厚の厚い部分よりも、抵抗の低い層厚の薄い部分を流れやすいため、層厚Hbを示す開口部20aの中央部分よりも、層厚Haを示す開口部20aの外周部分のほうが明るく発光する(図5(a))。しかし、有機EL装置2では、上述のように層厚を制御しているため、開口部20aの中央部分では共振条件が最適なものとなっているため、効率的に光を取り出すことができる。そのため、開口部20aの中央部分と外周部分との発光量に差が無くなり、結果、発光プロファイルが均一となる(図5(b))。
以上のような構成の有機EL装置2によっても同様に、有機EL素子100の面内で輝度バラツキを抑制した有機EL装置2を提供することができる。
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。図6は、本発明の有機EL装置をラインヘッドとして有する画像形成装置400を示す概略構成図である。
画像形成装置400は、転写媒体422の走行経路の近傍に、像担持体としての感光体ドラム416を備えている。感光体ドラム416の周囲には、感光体ドラム416の回転方向(図中に矢印で示す)に沿って、露光装置415、現像装置418及び転写ローラ421が順次配設されている。感光体ドラム416は、回転軸417の周りに回転可能に設けられており、その外周面には、回転軸方向中央部に感光面416Aが形成されている。
露光装置415及び現像装置418は感光体ドラム416の回転軸417に沿って長軸状に配置されており、その長軸方向の幅は、感光面416Aの幅と概ね一致している。
この画像形成装置400では、まず、感光体ドラム416が回転する過程において、露光装置415の上流側に設けられた図示略の帯電装置により感光体ドラム416の表面(感光面416A)が例えば正に帯電され、次いで露光装置415により感光体ドラム416の表面が露光されて表面に静電潜像LAが形成される。さらに、現像装置418の現像ローラ419により、トナー(現像剤)430が感光体ドラム416の表面に付与され、静電潜像LAの電気的吸着力によって静電潜像LAに対応したトナー像が形成される。なお、トナー粒子は正に帯電されている。
現像装置418によるトナー像の形成後は、感光体ドラム416の更なる回転によりトナー像が転写媒体422に接触し、転写ローラ421により転写媒体422の背面からトナー像のトナー粒子とは逆極性の電荷(ここでは負電荷)が付与され、これに応じて、トナー像を形成するトナー粒子が感光体ドラム416の表面から転写媒体422に吸引され、トナー像が転写媒体422の表面に転写される。
露光装置415は、複数の発光素子450を有するラインヘッド410と、ラインヘッド410から放射された光Lを正立等倍結像させる複数のレンズ素子413を有する結像光学素子412とを備えている。ラインヘッド410と結像光学素子412とは、互いにアライメントされた状態で図示略のヘッドケースによって保持され、感光体ドラム416上に固定されている。
ラインヘッド410は、複数の発光素子450を感光体ドラム416の回転軸417に沿って配列してなる発光素子列420と、発光素子450を駆動させる図示略の駆動素子からなる駆動素子群と、これら駆動素子(駆動素子群)の駆動を制御する制御回路群411とを備えている。発光素子450、駆動素子群及び制御回路群411は長細い矩形の素子基板(基体)410A上に一体形成されている。
結像光学素子412は、日本板硝子株式会社製のセルフォック(登録商標)レンズ素子と同様の構成からなるレンズ素子413を感光体ドラム416の回転軸417に沿って千鳥状に2列配列(配置)してなるレンズ素子列414を備えている。
この画像形成装置400は、ラインヘッド410が本発明の有機EL装置で構成されており、その有機EL素子は発光領域において均一な輝度の発光が得られるようになっている。したがって、感光体ドラムを良好に感光させることができ、高精細な画像を形成することが可能な画像形成装置となっている。
次に、本発明の有機EL素子を有する画像表示装置(有機EL装置)を表示部に用いた電子機器について説明する。
図7(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。携帯電話500は表示部510を備えており、表示部510は本発明の有機EL装置により構成されている。
図7(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。情報処理装置600は、キーボードなどの入力部610、表示部620、筐体630等を備えている。また、表示部620は、本発明の有機EL装置により構成されている。
図7(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。時計700は表示部710を備えている。表示部710は、本発明の有機EL装置により構成されている。
図7(a)〜(c)に示す電子機器はいずれも、その表示部が本発明の有機EL装置により構成されているので、良好な表示が可能となっている。
なお、電子機器としては、前記電子機器に限られることなく、種々の電子機器に適用することができる。例えば、ディスクトップ型コンピューター、液晶プロジェクター、マルチメディア対応のパーソナルコンピューター(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャー、ワードプロセッサー、テレビ、ビューファインダー型又はモニター直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
1、2…有機EL装置、17…反射層(光反射層)、20…隔壁、30…画素電極(第1電極)、42…正孔注入層(有機機能層)、44…正孔輸送層(有機機能層)、46…有機発光層、50…陰極(第2電極)、100…有機EL素子(発光素子)、400…画像形成装置(電子機器)、500…携帯電話(電子機器)、600…情報処理装置(電子機器)、700…時計(電子機器)、

Claims (4)

  1. 第1電極と第2電極との間に有機発光層を含む有機機能層を挟持した発光素子と、
    前記発光素子の周囲を囲んで設けられた隔壁と、
    前記第1電極を挟んで前記有機発光層の反対側に設けられた光反射層と、を備え、
    前記第2電極は、半透過反射性を有するとともに、前記光反射層との間で前記有機発光層から射出された光を干渉または共振させる光増幅構造を構成しており、
    前記有機機能層は、前記隔壁に囲まれた領域と平面的に重なる有効発光領域において、不均一な層厚を有しており、
    前記有効発光領域内であって、有機機能層の層厚が最も薄い部分とは異なる部分における前記光反射層と前記第2電極との間の光学的距離が、前記有機発光層から射出される光の波長に基づいて算出される増幅条件を満たしていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記有機機能層の層厚が最も厚い部分の90%以上の膜厚を有する部分において、前記光学的距離が前記増幅条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記有機機能層の層厚が最も厚い部分において、前記光学的距離が前記増幅条件を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015221777A (ja) * 2014-04-23 2015-12-10 キヤノン株式会社 金属錯体化合物、それを有する有機発光素子及び表示装置

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