JP2010282708A - 情報記録再生装置及び情報記録再生装置の制御方法並びにコンピュータプログラム - Google Patents

情報記録再生装置及び情報記録再生装置の制御方法並びにコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】迅速かつ高精度に各符号について、論理長に基づく符号長の修正を実施する。
【解決手段】
本発明の情報記録再生装置1は、情報記録媒体100にレーザ光LBを照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを含む符号を形成してデータの記録または再生を行う装置であって、マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段18と、マーク及びスペースの夫々の符号長と、マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段18と、修正値を反映したマーク及びスペースの符号長に対し、算出手段による修正値の算出を反復して実行するように算出手段を制御する反復手段18と、算出された修正値の夫々に基づいて修正したマーク及びスペースの夫々の符号長を用いて記録信号を調整する調整手段18とを備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、光ディスクなどの情報記録媒体に対して、レーザ光を照射することでデータの記録または再生を行う情報記録再生装置及び該情報記録再生装置の制御方法、並びに該情報記録再生装置が備えるコンピュータの動作を制御するためのコンピュータプログラムの技術分野に関する。
近年、CDやDVD、BD(Blu−ray Disc)などの情報記録用の光ディスクが広く普及している。これらの光ディスクの中には、データの書き込みが可能なものも存在し、ユーザが情報記録機能を有する光ディスク装置を用いてデータの記録を行うことが可能となっている。このような中で、情報記録用の光ディスク装置には、正確且つ迅速なデータの記録を行うことが求められている。
一般的に、光ディスクに記録されるデータの再生時には、ディスクの記録面に、レーザー光を照射し、反射した光から、記録面に形成されるマーク及びスペースを検出することで、データ再生用の信号が読み取られる。このため、正確なデータの記録のためには、このようなマーク及びスペースが正確に形成されていることが重要となる。
光ディスクへのデータの記録時には、データ記録用のライトストラテジと呼ばれる記録信号に基づくレーザパワーでのレーザ光の照射が行われることにより、このようなマーク及びスペースが形成される。このとき、レーザ光のレーザパワーの変化に時間軸上の揺らぎが存在する場合、形成されるマーク及びスペースの夫々の符号長に揺らぎが生じることがある。このような揺らぎは、符号間干渉と呼ばれ、光ディスクに記録されるデータの品質を決定する重要な要素の一つとなる。
このような符号間干渉による記録品質の影響を抑制するためには、光ディスクに記録されたデータから読み取られる記録品質の検証を行い、データの記録のための記録信号やレーザパワーの調整を行う方法が一般的である。このため、符号間干渉を測定し、符号間干渉によるマーク及びスペースへの影響を抑制するために記録信号を調整する機能を有する光ディスク装置が提案されている。例えば、特許文献1には、RF信号から読み取られる符号長についての集計データに基づいて符号間干渉を解析することで、ストラテジやレーザパワー設定値等の書き込み設定値の最適な値を算出する構成が開示されている。
特開2006−12333号公報
一般的に、符号間干渉を修正するためには、符号間干渉が生じている符号長について個別に修正値の算出を行い、該修正値を記録信号に適用することにより実施されている。このような修正値の算出においては、ある理論長のマークまたはスペースの実際に測定された符号長を基準として、該基準となった符号長と、修正の対象となる符号長との差分の平均値を算出することが行われている。
このような方式によれば、一度の修正だけで好適な記録信号の調整が実施されることが少なく、また、修正の度にデータの記録と読み取りを繰り返して記録データから符号長に基づく符号間干渉を測定する必要があるため、このような追い込み修正のために比較的多くの時間がかかってしまうという技術的な問題がある。このような符号間干渉の修正方法は、迅速な記録動作の実施が要求される現状においては、効率的であるとは言い難い。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、比較的迅速かつ正確な記録信号における符号の符号長の修正を実施することが可能な情報記録再生装置及び情報記録再生装置の制御方法並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の情報記録再生装置は、情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを含む符号を形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置であって、前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段と、前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段と、前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出手段による修正値の算出を反復して実行するように前記算出手段を制御する反復手段と、算出された修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整手段とを備える。
上記課題を解決するために、本発明の情報記録再生装置の制御方法は、情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置の制御方法であって、前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定工程と、前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出工程と、前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出工程における修正値の算出を反復して実行するように前記算出工程を制御する反復工程と、算出された修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整工程とを備える。
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段と、前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段と、前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出手段による修正値の算出を反復して実行するように前記算出手段を制御する反復手段と、算出された修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整手段との少なくとも一部として機能させる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
本発明の実施例に係る情報記録再生装置の基本的な構成を示すブロック図である。 記録信号に基づくマーク及びスペースを概念的に示す概略図である。 互いに連続するマーク及びスペースの夫々の符号長をマトリクス上に示すグラフである。 互いに連続するマーク及びスペースの夫々の符号長をマトリクス上に示すグラフである。 本発明の実施例に係る情報記録再生装置における記録信号の調整動作の流れを示すフローチャートである。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態は、情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを含む符号を形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置であって、前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段と、前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段と、前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出手段による修正値の算出を反復して実行するように前記算出手段を制御する反復手段と、算出された修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整手段とを備える。
一般的に、光ディスク装置等の情報記録再生装置においては、マーク及びスペースである符号の長さ(つまり、符号長)は、理論長として、所定の値を取るよう設定されている。つまり、光ディスクに記録されるデータは、所定の方式に基づいて変調され、該変調されたデータに基づく記録信号に基づいてレーザ光が照射されることによって、光ディスクの記録面上にマーク及びスペースとして記録される。このとき、変調されるデータにおける形成される符号長の夫々が、クロック信号の周波数Tを基準とする所定の長さ(例えば、3T〜14Tなど)に設定される。
そこで、予め規定された理論長に対して、符号長の夫々がどの程度離れているか(例えば、ジッタ)を測定することで、記録品質を検証することが可能となる。
情報記録媒体へのデータ記録に際して、データ書き込みに用いられる記録データは、上述したように変調される。このとき、1セクタ分の記録データの中では、マークとスペースが連続している場合には、夫々の長さが多少変化しても、連続するマーク及びスペースを合わせた長さは、一定となるよう変調される。例えば、4Tのマークと3Tのスペースが連続している場合には、4Tマークや3Tスペースのそれぞれの長さに若干の変化が生じても、連続する4Tマーク及び3Tスペースの夫々の長さを加算した値は、一定となる。
このため、マークの長さが長くなるような変化が生じた場合、その分連続するスペースの長さが短くなるという符号間干渉に起因するジッタが生じる。
したがって、連続するマーク及びスペースの符号長を検出し、これらの測定値が、規定されたマーク及びスペースの理論長(つまり、3T〜14Tなど)からどの程度離れているかの度合い(例えば、ジッタ値)を算出することで、所定の長さのマーク及びスペースの間での符号間干渉の影響を検証することが出来る。具体的には、4Tマークの後の3Tスペースが長くなる傾向にあるというように、長さ毎のマーク及びスペースについての符号間干渉の影響が検証できる。
そして、このような符号間干渉に起因するジッタ値をより小さくするように記録信号のエッジの修正を行うことで、記録品質の向上を図ることが可能となる。尚、一般的に、マーク及びスペースなどの符号長には、ばらつきが存在する。例えば、記録信号において同じ理論長を有する符号の集合(例えば、記録信号に含まれる3Tマークの集合など)の中であっても、夫々の符号の符号長にはばらつきがある。このため、同じ3Tマークの集合であっても、符号長またはジッタ値は、理論値に収束せずに分布が生じることがある。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態によれば、光ディスクなどの情報記録媒体へのデータの記録に用いられる記録信号における各符号の符号長に生じるジッタを減少させるよう修正が実施される。具体的には、記録信号に基づくデータの書き込みにより測定される符号長などのパラメータに基づき、該符号長を修正するための修正値が算出され、該修正値を用いて記録信号が調整される。
本実施形態に係る情報記録再生装置の動作においては、まず、データの記録時に、記録信号に基づく書き込みが実施され、測定手段によって現在の記録信号におけるマーク及びスペースの各符号の符号長や、記録信号に含まれる特定の符号の組み合わせの数などが測定される。ここに、測定手段とは、典型的には、公知のタイム・インターバル・アナライザなどの符号間干渉を解析する機能を有する構成であって、好適には、設定した符号条件のもと、理論長毎の符号の集合における符号長の測定値、該測定値の分布、平均値などのパラメータを算出可能に構成されている。このような測定手段によれば、例えば、データ書き込み時のRF信号からPLL再生されたクロック信号や、ディスクから再生され、スライスされたRF信号などに基づき、各符号の符号長などが測定される。
続いて、算出手段の動作により、取得されたパラメータに基づく符号長の修正値が算出される。算出手段の動作によれば、所定の符号の組み合わせにおける各々の符号長の測定値と、符号長の理論値との差分に基づいて該符号の符号長を修正するための修正値が算出される。
従来の符号長の修正方法によれば、複数の理論長の符号の集団のうち、基準となる理論長を設定し、該基準となる理論長を有する符号の符号長との差分に基づく修正が行われている。例えば、4Tスペース後に連続する全てのマークのエッジ調整を行う場合、例えば、5Tスペースを基準として、5Tスペース後の各理論長のマークの符号長と、4Tスペース後の各理論長のマークの符号長との差分を計算し、その平均値を修正値として符号長の修正を行っていた。しかしながら、このような計算方法では、算出される符号長の修正値の精度が比較的低く、適切な記録信号の調整が行えないという技術的な問題があった。
他方で、本実施形態の算出手段によれば、各符号の理論長との差分に基づく修正値の算出が実施される。
更に、本実施形態においては、反復手段の動作により、算出された修正値を反映させたマーク及びスペースの符号長に対し、上述した算出手段による理論値との差分に基づく修正値の算出が反復して実行される。つまり、測定手段により測定されたマーク及びスペースの符号長に対し、修正値を加算した値を新しいマーク及びスペースの符号長として、該新しい符号長に基づく修正値の算出が繰り返し実行される。
尚、このときの修正値が反映されたマーク及びスペースの符号長とは、実際の記録信号を生成するための設定値を変化させるものではなく、例えばCPUなどの算出手段の内部的な演算として実行されるものである。具体的には、測定手段によって測定されたマーク及びスペースの符号長の夫々をメモリなどの記憶手段に一時的に格納し、該符号長に基づく演算により算出された修正値を用いて該符号長を修正または更新することで修正値の反映が実施される。尚、詳細には、記録信号における符号長の調整時の変化量の一単位(例えば、一の符号長の変化処理により変化する符号長の最小単位)を基準に、算出された修正値に基づく符号長の調整が実施される。また、例えばDVDなどの情報記録媒体においては、符号のエッジのズレ量をそのまま修正値として用いると符号長が大きく変化してしまうことがあり、このような情報記録媒体に対しては修正値は適切な感度設定を行った上で反映されることが好ましい。
そして、更新された符号長に基づき、該更新された符号長を修正するための修正値の算出が実行され、算出された修正値が同様に該更新された符号長に対して反映される。
上述したように、一般的には、連続する2つの符号の組み合わせにおける夫々の符号において、エッジ位置の調整などによって一方の符号長を調整することで、他方の符号長にも変化が生じる。このため、記録信号におけるマーク及びスペースの符号長に対しジッタの減少目的で修正値を反映させることで、他の符号においてジッタの増大や新しくジッタが生じることを誘起する可能性がある。
然るに、本実施形態の反復手段の動作によれば、修正によって変化が生じた符号長に対して、ジッタを減少させるための修正値の算出が反復的に実行されるため、このような修正に起因するジッタの増加を考慮に入れた上で、適切な修正値を算出することが出来る。このため、比較的高精度な符号長の修正のための修正値を算出することが可能となる。
そして、調整手段の動作により、最終的に算出された修正後のマーク及びスペースの夫々の符号長を用いて、実際のデータの記録のための記録信号が設定される。ここに、調整手段は、算出された修正値に基づいて記録信号を生成するための設定値を調整可能な構成であって、例えば、公知の情報記録再生装置におけるオートストラテジ機能を体現するための処理部を示す趣旨である。調整手段は、具体的には、測定手段によって測定された各理論長のマーク及びスペースの符号長の夫々に対し、算出された修正値を加算した値を新しい符号長として記録信号の調整を実施する。このとき、反復動作によって、一の符号長に対して複数の修正値が算出されている場合、上述した反映の処理と同様に全ての修正値が反映される。
以上、説明したように、本発明の情報記録再生装置に係る実施形態によれば、記録信号における各符号の符号長をより好適に調整することが出来る。また、演算を反復して実施することで従来型の記録信号の調整方法において実施されているように、一度修正を適用した後に情報記録媒体にデータを記録することで再度符号長などのパラメータを測定する工程を実施する必要がなく、記録信号の調整のための作業量を好適に減少させることが可能となる。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態の一の態様は、前記反復手段は、前記算出手段において、算出される前記修正値が0となる場合、前記反復を終了させる。
この態様によれば、上述した反復手段の制御のもと、繰り返し算出される修正値が0となった場合に、反復動作が終了される。具体的には、1回目に算出された修正値をA(1)、2回目に算出された修正値をA(2)とする場合、n回目に算出された修正値A(n)=0となる場合に、反復動作が終了される。
尚、ここに修正値が0となるとは、必ずしも「修正値=0」となる状態に限らず、用いられる情報記録再生装置の調整手段における記録信号の符号長の調整量に応じて修正値が概ね0となる状態、または符号間干渉に影響を与えない程度に低い状態をも含んだ広い趣旨である。
このため、例えば、実際の修正値が0でない値であっても(すなわち、修正値の絶対値が0より大きい場合)、符号間干渉に影響を与えない程度に微小な数値に収束する場合、或いは同様に微小な2値間で修正値が変化し続ける場合なども、この態様によれば修正値が0となった状態として扱い、反復を終了させるよう構成されていて良い。
このように反復手段の動作によって複数の修正値が算出される場合、典型的には、調整手段は、算出された修正値A(1)、A(2)、…A(n−1)を加算したものを修正の対象となる符号の符号長に加算することで記録信号の調整を実施する。
このため、一の修正値が算出された後、該一の修正値を適用した後の記録信号における符号間干渉の影響を好適に検証することが出来、また再度修正が必要である場合には該修正のための修正値の算出が行われる。そして、これ以上修正が必要ないと判断される場合(つまり、算出された新しい修正値が上述の条件を満たす場合)、反復動作を終了する。
このような構成によれば、修正が必要なくなるまで繰り返し修正値の算出と適用が繰り返し実施される。従って、高精度での記録信号の修正を行うための修正値を好適に算出可能となる。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記算出手段は、所定の理論長を有する符号と連続し、且つ夫々異なる理論長を有する複数の符号の符号長の夫々を修正するための修正値を同時に算出する。
この態様によれば、算出手段は、一の符号(つまり、マークまたはスペース)と連続する符号(つまり、スペースまたはマーク)であって、夫々異なる長さを有する符号の夫々の長さを修正するための修正値を同時に算出する。具体的には、例えば、3Tマーク直後の複数のスペース長のスペースに対し、同時に修正値の算出を実施することが出来る。
このように構成することで、一連の算出及び算出処理において、複数通りの符号長を調整することが可能となる。つまり、同様の修正値を用いて複数通りの符号について符号長を修正することが可能となる。例えば、5Tマーク後ろに連続する複数通りのまたは全ての理論長を有するスペースに対し、符号長の修正を行うための共通の修正値を算出することが可能となる。
このため、例えば記録信号における複数の符号の符号長の夫々におけるジッタを同時に最適化可能に設定される修正値を算出することが可能となるため、各符号長を個別に修正する場合と比較して、より好適な記録特性を発揮し得る記録信号を取得することが可能となる。
また、共通する修正のために何らかのルールが設けられている場合、複数の符号の夫々に対して、該共通のルールのもと符号長を最適化することも可能となる。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記算出手段による算出において、前記記録信号における符号のうち、所定の理論長Tを有する符号である第1符号の後ろに連続する所定の理論長Tを有する符号である第2符号の符号長を修正するための修正値をAA−Bとし、前記第1符号と前記第2符号との組み合わせにおける、前記第1符号の符号長の測定値をTxA−B、前記第2符号の符号長の測定値をTyA−B、該組み合わせの数をNA−Bとすると、

に示される関係が成り立つ。
この態様によれば、算出手段は、任意の符号長のマーク及びスペースの組み合わせに対して、符号長を修正するための修正値を算出することが出来る。
ここに、所定の理論長Tを有する符号である第1符号の後ろに連続する所定の理論長Tを有する符号である第2符号とは、理論長Tのスペースまたはマークである第1符号の後ろに連続するマークまたはスペースであって、理論長Tを有する符号の集合を示す趣旨である。例えば、3Tマークである第1符号の後ろに連続する3Tスペースなどが第2符号となる。尚、このような第1符号及び第2符号の組み合わせにおいては、上述したように、互いの符号長を加算した値が一定となるように変調される。つまり、この態様の記録データにおいては、第1符号の理論長Tと第2符号の長さTとを加算した値は、一定となるよう変調される。
また、第1符号の理論長T及び第2符号の理論長Tの夫々は、データの記録に用いられるクロック信号の周波数Tを基準とする所定の長さを示す趣旨である。例えば、DVDである情報記録媒体に対しては、3T、4T、…14T(ただし、12T及び13Tは除く)などのようにクロック信号の周波数Tの整数倍となる。
第2符号と連続する第1符号の符号長の測定値TxA−Bとは、記録データに含まれるマーク及びスペースの組み合わせにおいて、第1符号の後ろに第2符号が連続する組み合わせにおける第1符号の符号長の測定値を示す趣旨である。上述の例においては、3Tスペースの前の3Tマークの符号長の測定値であり、このような組み合わせが複数検出される場合は、第1符号の符号長の測定値TxA−Bは、その測定値の平均値となる。
他方、第1符号と第2符号との組み合わせにおける第2符号の符号長の測定値TyA−Bとは、この例の場合、3Tマークの後ろの3Tスペースの符号長の測定値を示す趣旨であり、このような組み合わせが複数検出される場合は、その測定値の平均値となる。
典型的に、記録信号においては、信号伝送の際に生じる様々な要因に起因して、マーク及びスペースの夫々の符号長にばらつきが生じることが知られている。このため、同一の理論長を有するマーク及びスペースの組み合わせであっても、このような揺らぎのため必ずしも符号長が理論長と一致しない場合もある。また、このようなばらつきのために、例えば同じ3Tスペースであっても、夫々の符号長の測定値は互いに異なる。
また、変調により、二つの符号間の組み合わせにおける夫々の符号長が制限されるため、例えば、同一の理論長を有する符号は、夫々異なる理論長を有する符号との組み合わせにおいて、符号長が互いに異なる傾向がある。具体的には、同じ3Tスペースであっても、3Tマーク後の3Tスペース、または4Tマーク後の3Tスペースなど、夫々異なるマークとの組み合わせにおいて異なる符号長の分布を示す傾向にある。このため、符号の符号長を修正する場合、同一の理論長を有する符号との組み合わせ毎に修正値が算出されることが好ましい。
この態様における算出手段によれば、上述した数式に基づくことで、所定の符号の組み合わせにおける符号長の修正において、符号の理論長との差分に基づく修正値を算出することが可能となる。従って、例えば従来型の符号間干渉の修正において用いられている、所定の符号を基準として符号長のずれを算出することで該符号長を修正する修正値を算出する方法と比較して、より精度の高い符号長の設定を実施することが可能となる。このため、データの記録に際して、より好適な記録信号を取得することが可能となる。
尚、本実施形態においては、上述した数式に基づいて算出された修正値が反映された符号長を用いて、反復的に修正値の算出と反映を実施するため、例えば、一の符号の符号長を修正することで他の符号の符号長に変化が生じることなどを考慮した上で、このような二次的な符号長の変化に対しても更に修正を実施することが可能となる。このため、より好適に高精度の符号長の設定が可能となる。
上述したように、第2符号に連続する第1符号の符号長を修正する算出の態様において、前記算出手段による算出において、前記第1符号との組み合わせにおける前記第2符号の符号長を修正するとともに、前記第2符号の前に連続する、前記第1符号とは異なる理論長Tを有する符号である第3符号との組み合わせにおける前記第2符号の符号長を修正するための修正値をAA,C−Bとし、前記第3符号と前記第2符号との組み合わせにおける、前記第3符号の符号長の測定値をTxC−B、前記第2符号の符号長の測定値をTyC−B、該組み合わせの数をNC−Bとすると、
に示される関係が成り立っていても良い。
ここに、前記第2符号の前に連続する、前記第1符号とは異なる理論長Tを有する符号である第3符号とは、例えば、第1符号として、第2符号である3Tスペースの前に連続する3Tマークを考える場合、3Tスペースの前に連続する3Tとは異なるいずれかの理論長を有するマークの集合を示す趣旨である。
上述の式に基づく算出においては、第1符号及び第2符号の組み合わせと同時に、第3符号及び第2符号の組み合わせをも考慮に入れた第2符号の符号長を修正するための修正値AA,C−Bを算出することが出来る。
上述したように、一の理論長を有する符号の符号長は、前後に連続する符号の理論長に応じて分布の態様が異なる傾向にある。具体的には、3Tマーク後の3Tスペースと、4Tマーク後の3Tスペースとでは、符号長の分布の態様に異なる傾向が見られる。
この態様の算出手段によれば、上述したように第2符号と、夫々異なる理論長を有する第1符号及び第3符号との組み合わせにおける第2符号の符号長の修正値を算出することで、複数通りの組み合わせを考慮した符号長の修正が実施出来る。
このため、このような異なる符号長のマークに対し、データの記録、符号長の読取、及び修正値の算出などの工程を夫々行うことなく、一度の修正動作においてまとめて実施することが出来る。また、一の符号長を変更したことによる他の符号長への影響を同時に調整することが出来る。従って、比較的迅速且つ高精度な記録信号の調整が可能となる。
尚、ここでは第2符号と、夫々異なる2通りの理論長を有する第1符号及び第3符号との組み合わせについて説明したが、第2符号と、更に他の理論長を有する第4符号、第5符号などを考慮に入れた算出が実施されていても良い。尚、このときの算出に用いられる数式は、上述の数式に基づき、新たに考慮に加えられる組み合わせの係るパラメータを適宜追加して実施されていれば良いものである。
本発明の情報記録再生装置に係る実施形態の他の態様は、前記マーク及びスペースの夫々の理論長が格納される格納手段を更に備える。
この態様によれば、格納手段に格納される前記マーク及びスペースの夫々の理論長を読み込むことで、比較的簡単に上述した情報記録再生装置の実施形態に係る各種態様を実施することが可能となる。
本発明の情報記録再生装置の制御方法に係る実施形態は、本発明の情報記録再生装置の制御方法は、情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置の制御方法であって、前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定工程と、前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出工程と、前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出工程における修正値の算出を反復して実行する反復工程と、算出された修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整工程とを備える。
本発明の情報記録再生装置の制御方法によれば、上述した本発明の情報記録再生装置と同様の各種利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の情報記録再生装置における各種態様に対応して、本発明に係る情報記録再生装置の制御方法も各種態様を採ることが可能である。
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、本発明のコンピュータプログラムは、情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段と、前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段と、前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出手段による修正値の算出を反復して実行する反復手段と、算出された修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整手段との少なくとも一部として機能させる。
本発明に係るコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムを情報記録再生装置に備えられたコンピュータに読み込んで実行させることで、または、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介して情報記録再生装置に備えられたコンピュータにダウンロードさせた後に実行させることで、上述した本発明の情報記録再生装置の実施形態の動作を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の情報記録再生装置における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
以上説明したように、本発明の情報記録再生装置に係る実施形態は、測定手段、算出手段及び反復手段を備える。本実施形態に係る情報記録再生装置の制御方法は、測定工程、算出工程及び反復工程を備える。本発明のコンピュータプログラムは、情報記録再生装置を、測定手段、算出手段及び反復手段の少なくとも一部として機能させる。
従って、記録信号中に生じる符号間干渉の影響を好適に検出し、情報記録媒体への記録などを行うことなく該符号間干渉の影響を修正するよう記録信号を調整することが出来る。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
(1)基本構成例
図1を参照して、本実施例に係る情報記録再生装置1の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施例に係る情報記録再生装置1の基本的な構成を概念的に示すブロック図である。
本実施例に係る情報記録再生装置1は、例えば、上述の映像処理回路1を備える公知のパーソナルコンピュータやワークステーションなどであって、DVDやBlu−rayディスクなどの情報記録媒体に記録されるビデオデータの再生を行う機器である。また、別の具体例では、デジタル放送などを受信してビデオデータを再生するデジタルテレビ機器等の家庭用機器である。このような機器は、その内部に映像の出力を制御するための制御部(例えば、CPUなど)を備えており、該制御部に映像処理回路1が備えられることによって、上述した各種効果を享受しつつ、好適なビデオデータの再生を実施することが出来る。
以下に、本実施例に係る情報記録再生装置の一具体例として、光ディスク100に記録されたデータを再生する機能を備える情報記録再生装置1の基本的な構成について説明する。
図1に示すように、情報記録再生装置1は、実際に光ディスク100がローディングされ且つデータの再生が行なわれるディスクドライブ10と、該ディスクドライブ10に対するデータの再生を制御するパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ20とを備えている。
ディスクドライブ10は、光ディスク100、スピンドルモータ11、光ピックアップ12、信号記録再生部13、CPU14、メモリ15、データ入出力部16及びバス17を備えて構成されている。また、ホストコンピュータ20は、操作/表示制御部21、CPU22、メモリ23、データ入出力部24及びバス25を備えて構成される。
スピンドルモータ11は光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスク100へのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ11は、図示しないサーボユニット等によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
光ピックアップ12は、光ディスク100に記録されるデータの再生を行うために、例えば夫々不図示のレーザダイオード(LD:Laser Diode)と、フォトディテクタ(PD:Photo Detector)と、図示しないコリメータレンズや対物レンズ等から構成される。より具体的には、データの再生時には、レーザダイオードは、光ディスク100に対してレーザ光LBを、所定の再生パワーで照射する。照射されたレーザ光LBは、光ディスク100の記録面において反射する。その反射光がフォトディテクタにおいて受光されることで、データが再生される。
信号記録再生部13は、CPU14の制御を受けながらスピンドルモータ11と光ピックアップ12を制御することで、光ディスク100に記録されるデータの再生を行う。より具体的には、信号記録再生部13は、例えば、レーザダイオードドライバ(LDドライバ)及びヘッドアンプ等によって構成されている。レーザダイオードドライバは、例えば駆動信号を生成し、光ピックアップ12内に設けられたレーザダイオードを駆動する。ヘッドアンプは、光ピックアップ12内に設けられたフォトディテクタの出力信号(即ち、レーザ光の反射光を示す信号であって、読取信号)を増幅し、該増幅した信号を出力する。
CPU14は、信号記録再生部13、メモリ15及びデータ入出力部16と、バス17を介して接続され、信号記録再生部13、メモリ15及びデータ入出力部16に指示を行うことで、ディスクドライブ10全体の制御を行う。通常、CPU14が動作するためのソフトウェア又はファームウェアは、メモリ15に格納されている。また、CPU14は、ジッタ修正部18を備える。
ジッタ修正部18は、CPU14における処理回路のうちの一部を示すものであり、本実施例における「測定手段」、「算出手段」、「反復手段」及び「調整手段」の一具体例である。例えば、ジッタ修正部18は、算出手段の一具体例として、光ピックアップ12において取得されるRF信号などに基づいて、記録信号におけるマーク及びスペースの夫々の符号長及び該符号長の偏差(言い換えれば、ジッタ値)を算出する所謂公知のタイム・インターバル・アナライザとしての機能を備えて構成されていても良い。また、ジッタ修正部18は、このときの符号長の測定値、ジッタ値及びマーク及びスペースの理論長に基づき、記録信号における各マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する。このような修正値の算出動作については、後に詳述する。
メモリ15は、再生動作などに用いられるデータのバッファ領域や信号記録再生部13で使用できるデータに変換する時の中間バッファとして使用される領域等であって、ディスクドライブ10におけるデータ処理全般において使用される。また、メモリ15は、情報記録再生装置1の動作を行うためのプログラム(即ち、ファームウェア)が格納されるROM領域と、再生動作などに用いられるデータが一時的に格納されたりファームウェア等の動作に必要な変数等が格納されたりするRAM領域などから構成される。
データ入出力部16は、ディスクドライブ10に対する外部からのデータ入出力を制御する。SCSIやATAPIなどのインタフェースを介してディスクドライブ10と接続されている外部のホストコンピュータ20から発行されるドライブ制御命令は、データ入出力部16を介してCPU14に伝達される。また、再生動作などに用いられるデータも同様に、データ入出力部16を介して、ホストコンピュータ20とやり取りされる。
操作/表示制御部21は、ホストコンピュータ20に対する動作指示受付と表示を行うもので、例えばデータの再生などの指示をCPU22に伝える。
CPU22は、操作/表示制御部21からの指示情報を元に、データ入出力部24を介して、ディスクドライブ10に対して制御命令(コマンド)を送信し、ディスクドライブ10全体を制御する。同様に、CPU22は、ディスクドライブ10に対して、動作状態をホストに送信するように要求するコマンドを送信することができる。これにより、データの再生中などといったディスクドライブ10の動作状態が把握できるため、CPU22は、操作/表示制御部21を介して蛍光管やLCDなどの表示パネルにディスクドライブ10の動作に基づいて光ディスク100より再生される、典型的にはデジタルビデオデータなどを出力することができる。
更に、CPU22は、上述した本実施例に係る映像処理回路1が備えられて構成されている。このため、光ディスク100より再生されるビデオデータに対し、好適に上述したビット拡張処理を施した上で、操作/表示制御部21へと出力することが出来る。
メモリ23は、ホストコンピュータ20が使用する内部記憶装置であり、例えばBIOS(Basic Input/Output System)等のファームウェアプログラムが格納されるROM領域、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等の動作に必要な変数等が格納されるRAM領域などから構成される。また、データ入出力部24を介して、図示しないハードディスク等の外部記憶装置に接続されていてもよい。
以上、説明したように、本実施例に係る情報記録再生装置1によれば、本実施例に係る映像処理回路1が備えられているため、好適に、上述した各種効果を享受しつつ、例えば光ディスク100に記録されるデジタルビデオデータの再生を実施することが出来る。
また、上述の説明及び図1においては、例えば、DVDやBlu−rayディスクなどの光ディスク100に記録されるビデオデータの再生を実施する、例えば、DVDプレイヤやBlu−rayプレイヤなどである情報記録再生装置1を参照して説明しているが、例えば、光ディスク100に記録されるビデオデータの再生を行う機能とともに、光ディスク100に対して情報を記録する機能を有する、例えばDVDレコーダやBlu−rayレコーダなどの所謂情報記録再生装置などもまた、本発明に係る情報記録再生装置に含まれるものである。
また、光ディスク100に記録されるビデオデータの他に、ネットワークや放送などを介して入力されるビデオデータの再生を行う、例えばデジタルテレビなどの機器もまた、本発明に係る情報記録再生装置であっても良い。
(2)記録信号の調整の態様
本実施例の情報記録再生装置1の動作によって調整を受ける記録信号について、図2を参照しながら説明する。記録信号の調整において、修正を受けるマーク及びスペースの夫々の符号長は、典型的には、二値化したパルス信号(例えば、ハイレベルと、ローレベル)であるRF信号より取得されるものである。このようなRF信号においては、好適には、マークの符号長はハイレベル部分のパルス幅に相当し、スペースの符号長はローレベルのパルス幅に相当する。このようなRF信号のパルス幅は、図2に示されるように、基本的には、データ記録のためのクロック信号の周期Tに基づき規定される。例えば、光ディスク100がDVDである場合には、クロック信号の周期Tの整数倍であって、3T、4T、…14T(ただし、12T及び13Tは除く)の符号長を有するマーク及びスペースが書き込まれる。このとき、二値化RF信号のハイレベル及びローレベルのパルス幅も3T、4T、…14Tの間の値となる。
続いて、図3及び図4を参照して、本実施例の情報記録再生装置1におけるジッタ修正部18の動作による、記録信号の修正の態様について説明する。ここに、図3及び図4は、ジッタ修正部18において集計された記録信号におけるマーク及びスペースの組み合わせについて夫々の符号長毎に分類したグラフである。図3のグラフでは、横軸にスペースの後に連続して形成されたマークの符号長の値、縦軸には横軸に示したスペースの前に形成されたマークの符号長の値の夫々が示されている。他方、図4のグラフでは、横軸にマークの後に連続して形成されたスペースの符号長の値、縦軸には横軸に示したマークの前に形成されたスペースの符号長の値の夫々が示されている。 図3及び図4のグラフにおいては、破線の交点が夫々の符号の組み合わせにおける符号長が本来とり得る理論長となる。しかしながら、実際のマーク及びスペースの符号長の測定値には、揺らぎが生じるため、破線の交点近傍において、−1の傾きを有する楕円状の分布となる。尚、楕円状の分布に示す点が、該楕円上の分布の平均値となる。この点が理論長である破線の交点からどれくらい離れているかが、符号間干渉による揺らぎの度合いとなる。
このため、このような分布の平均値を理論長に近づけるよう記録信号を調整することで、好適なデータの記録を実施するための記録信号を設定することが可能となる。
例えば、図3のグラフにおいて、3Tスペース後に3Tマークが連続する組み合わせの符号長の分布の平均が、破線の交点より左側にずれている。このことから、記録信号において、3Tスペース後に連続する3Tマークの符号長が若干短くなる傾向にあるため、破線の交点に近づける方向、つまり3Tスペース後に連続する3Tマークの符号長を伸長させるように記録信号が調整されることが好ましい。
尚、上述のように楕円状の分布と、破線の交点との関係、つまり、符号長の測定値と理論長との関係であって、具体的には、その偏差となるジッタ値を用いて記録信号の調整を実施するために、図1に示したジッタ修正部18は、符号長の測定値の平均値、及び該平均に対する偏差を算出可能に構成されていることが好ましい。
(3)記録信号調整動作例
続いて、図5のフローチャートを参照して、本実施例に係る情報記録再生装置1における記録信号のエッジ調整の動作の流れについて説明する。ここに、図2は、情報記録再生装置1におけるエッジ調整動作の流れを概略的に示すフローチャートである。
図5に示される一連のエッジ調整動作によれば、データの記録に用いられる記録信号において、所定の理論長ATを有するスペース(つまり、ATスペース)と、該スペースの前及び後ろに連続する所定の理論長BTを有するマーク(つまり、BTマーク)との組み合わせにおいて、夫々のエッジ位置を修正することで、符号長の修正が実施される。
先ず、記録信号に基づくデータの記録を行い、該データの記録における各種パラメータが取得される(ステップS101)。このとき取得される具体的なパラメータとは、ATスペース及びその後ろに連続するBTマークの組み合わせの数NA−Bと、このような組み合わせにおけるATスペースの符号長の測定値の平均値TxA−Bと、BTマークの符号長の測定値の平均値TyA−B、並びにBTマーク及びその後ろに連続するATスペースの組み合わせの数N’A−Bと、このような組み合わせにおけるATスペースの符号長の測定値の平均値Tx’A−Bと、BTマークの符号長の測定値の平均値Ty’A−Bなどである。
尚、このような符号に係るパラメータは、例えば、図1には不図示の計測器を用いてデータの記録と平行して取得されても良く、また、記録信号再生部13またはCPU14においてライトストラテジの規定を行う記録信号に基づいて取得されても良い。
続いて、取得された符号長を修正するための修正値AA−BおよびA’ A−Bの算出が実施される(ステップS102〜ステップS105)。
具体的には、先ず、符号を構成するための記録信号のエッジのうち、ATスペースとその後ろに連続するBTマークとの境界である立ち上がりエッジを修正するための修正値AA−Bの算出が実施される(ステップS102)。このときジッタ修正部18は、以下に示す数式に基づいて修正値AA−Bの算出を実施する。
そして、算出された修正値AA−BがATスペースの符号長の測定値の平均値TxA−Bに対し仮想的に加算され、立ち上がりエッジの修正が反映される(ステップS103)。このときの修正の反映においては、典型的には、ATスペースの後ろの立ち上がりエッジが修正値AA−B分移動される。このとき、ATスペースの符号長の変化に伴い、ATスペースと連続するマークの符号長もまた変化することとなる。
続いて、符号を構成するための記録信号のエッジのうち、BTマークとその後ろに連続するATスペースとの境界である立ち下がりエッジを修正するための修正値A’A−Bの算出が実施される(ステップS104)。尚、このときジッタ修正部18は、以下に示す数式に基づいて修正値A’A−Bの算出を実施する。
そして、立ち上がりエッジにおける修正値AA−Bの反映と同様に、算出された修正値A’A−BがBTマークの符号長の測定値の平均値Ty’A−Bに対し仮想的に加算され、立ち上がりエッジの修正が反映される(ステップS105)。尚、上述したATスペースの符号長への修正値AA−Bの反映と同様に、BTマークの符号長に対して、修正値A’A−Bを反映させることで、ATスペースを含むスペースの符号長も変化する。従って、ステップS105において、修正値AA−Bの反映を受けたATスペースの符号長が変化することで、ジッタ値の増加が生じることがある。
そこで、本実施例におけるジッタ修正部18は、ステップS102からステップS105に示される記録信号の符号長の修正値AA−B及び修正値A’A−Bの算出及び反映の一連の動作を、算出される修正値AA−B及び修正値A’A−Bが0となるまで反復して実行する。尚、ここに修正値AA−B及び修正値A’A−Bが0となる場合とは、ジッタ調整部18の動作による符号長の変化における変化量の最小単位(言い換えれば、分解能)を基準として判定される。尚、例えば、AA−B及び修正値A’A−Bの値が夫々0でない場合であっても、該変化量の最小単位に基づいて決定される所定値よりも小さい値に収束する場合なども、修正値AA−B及び修正値A’A−Bが0となる場合として判定される。
言い換えれば、修正値AA−B及び修正値A’A−Bが符号長の変化量の一単位を基準として0となるまで、ステップS102からステップS105に示される修正値AA−B及び修正値A’A−Bの算出動作が反復して実施される。このため、ATスペース及びBTマークの一方に修正値を反映させることで生じる他方の符号の符号長の変化に対し、反復して修正値の算出と反映が実施される。
そして、修正値AA−B及び修正値A’A−Bがともに0であると判定された場合、算出された修正値AA−B及び修正値A’A−Bの夫々を加算したものを、の測定値の平均値ATマークの符号長Tx及びBTマークの符号長の測定値の平均値Ty’A−Bに対し夫々加算する(ステップS107及びステップS108)。具体的には、CPU14内において、データの記録のための駆動信号を生成するための符号長の設定値に対し、算出された修正値AA−B及び修正値A’A−Bの全てを加算したものを夫々加算する。このため、CPU14の制御のもと、信号記録再生部においては、変更された設定値に基づいて駆動信号(例えば、ライトストラテジを実現するための記録信号)が生成される。
以上説明したように、記録信号調整の一連の動作例によれば、データの記録のための記録信号を生成することに先駆けて、記録信号における各符号の符号長を調整することが可能となる。このとき、例えば従来の記録信号の符号長調整動作において実施されるように、記録信号の調整の度にデータの書き込みを行って、符号長などのパラメータを再取得する必要がなく、一連の符号長調整動作において、先ず各符号の符号長を測定しさえすれば、後はCPU14の内部的な演算で各符号の符号長に対する好適な修正値を算出することが可能となる。このため、比較的簡単、且つ短時間での記録信号の調整を実施することが可能となる。
尚、図5のフローチャートに示した例においては、ATスペース及びBTマークの組み合わせにおける符号長の調整について例示したが、例えば、ATスペースとの組み合わせにおけるBTマークの符号長とともに、ATとは異なる理論長であるCTを有するスペース(つまり、CTスペース)との組み合わせにおけるBTマークの符号長を同時に調整することも可能である。
このとき、BTマークの符号長を修正するための修正値AA,C−Bは、以下の数式に基づいて算出される。
ここに、TxC−Bとは、CTスペースとBTマークとの組み合わせにおけるCTスペースの符号長の平均値であって、TyC−Bとは、該組み合わせにおけるCTスペースの符号長の平均値である。また、NC−Bとは、記録信号におけるCTスペースとBTマークとの組み合わせの数である。
このときの修正値AA,C−Bによれば、ATスペースとの組み合わせにおけるBTマークのジッタを好適に最適化すると同時に、CTスペースとの組み合わせにおけるBTマークのジッタを好適に最適化することが可能となる。言い換えれば、このような条件のもと、BTマークの符号長を調整し得る修正値AA,C−Bを算出することが可能となる。
このため、複数の組み合わせにおけるBTマークに対して、同一の修正値を適用することでジッタの最適化を図ることが可能となる。従って、符号長の修正に当たって、何らかの共通するルールが設けられている場合、複数の組み合わせにおけるBTマークの夫々に対して、該共通のルールのもと符号長を最適化することも可能となる。また、各組み合わせにおけるBTマークの符号長を個別に修正する場合と比較して、修正後のBTマークの符号長のばらつきを低減させることが可能となり、結果的により好適な記録特性を発揮し得る記録信号を取得することが可能となる。
尚、ここに示した例においては、BTマークの符号長を修正する場合について説明したが、このようなBTマークの代わりに、所定の理論長を有するスペースの符号長を修正するための修正値を算出するよう構成されていても構わない。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う映像処理回路、情報記録再生装置、コンピュータプログラム及び映像処理方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…情報記録再生装置、
10…ディスクドライバ、
14…CPU、
18…ジッタ修正部、
20…ホストコンピュータ、
100…光ディスク。

Claims (8)

  1. 情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを含む符号を形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置であって、
    前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段と、
    前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段と、
    前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出手段による前記修正値の算出を反復して実行するように前記算出手段を制御する反復手段と、
    算出された前記修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整手段と
    を備えることを特徴とする情報記録再生装置。
  2. 前記反復手段は、前記算出手段において、算出される前記修正値が0となる場合、前記反復を終了させるように前記算出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  3. 前記算出手段は、所定の理論長を有する符号と連続し、且つ夫々異なる理論長を有する複数の符号の符号長の夫々を修正するための前記修正値を同時に算出することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録再生装置。
  4. 前記算出手段による算出において、
    前記記録信号における符号のうち、所定の理論長Tを有する符号である第1符号の後ろに連続する所定の理論長Tを有する符号である第2符号の符号長を修正するための前記修正値をAA−Bとし、
    前記第1符号と前記第2符号との組み合わせにおける、前記第1符号の符号長の測定値をTxA−B、前記第2符号の符号長の測定値をTyA−B、該組み合わせの数をNA−Bとすると、
    に示される関係が成り立つことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録再生装置。
  5. 前記算出手段による算出において、
    前記第1符号との組み合わせにおける前記第2符号の符号長を修正するとともに、前記第2符号の前に連続する、前記第1符号とは異なる理論長Tを有する符号である第3符号との組み合わせにおける前記第2符号の符号長を修正するための前記修正値をAA,C−Bとし、
    前記第3符号と前記第2符号との組み合わせにおける、前記第3符号の符号長の測定値をTxC−B、前記第2符号の符号長の測定値をTyC−B、該組み合わせの数をNC−Bとすると、
    に示される関係が成り立つことを特徴とする請求項4に記載の情報記録再生装置。
  6. 前記マーク及びスペースの夫々の理論長が格納される格納手段を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の情報記録再生装置。
  7. 情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置の制御方法であって、
    前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定工程と、
    前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出工程と、
    前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出工程における前記修正値の算出を反復して実行するように前記算出工程を制御する反復工程と、
    算出された前記修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整工程と
    を備えることを特徴とする情報記録再生装置の制御方法。
  8. 情報記録媒体にレーザ光を照射することで、記録信号に基づくマーク及びスペースを形成してデータの記録または再生を行う情報記録再生装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、
    前記マーク及びスペースの符号長を測定する測定手段と、
    前記マーク及びスペースの夫々の符号長と、前記マーク及びスペースの夫々の理論長との差分に基づき、前記マーク及びスペースの符号長を修正するための修正値を算出する算出手段と、
    前記修正値を反映した前記マーク及びスペースの符号長に対し、前記算出手段による前記修正値の算出を反復して実行するように前記算出手段を制御する反復手段と、
    算出された前記修正値の夫々に基づいて修正した前記マーク及びスペースの夫々の符号長を用いて前記記録信号を調整する調整手段と
    の少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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