JP2010271157A - 質量分析を用いた試料の分析方法 - Google Patents

質量分析を用いた試料の分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】TLCでは分離しにくい脂質の包括的な解析を、簡便且つ高スループットで行えるようにする。
【解決手段】試料に含まれる複数の脂質をTLCで分離し(S1)、成分分離されたTLCプレートからPVDF膜へ転写を行う(S2)。転写されたPVDF膜を導電性テープによりMALDIターゲットプレートに貼着し(S3)、その表面に均一にマトリックスを塗布する(S4)。こうして調製したサンプル上の二次元範囲をイメージング質量分析装置により測定し、多数の測定点毎のマススペクトルを取得する(S5)。このマススペクトルに基づいて、特定のm/zの二次元分布画像を作成することで、TLCでは分離できなかった同種で構造が異なる分子種の脂質の分布も可視化することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、イメージング質量分析を利用した試料の分析方法に関する。
生体組織には数千種類もの脂質が存在し、しかもそれらの存在は不均一である。また、生体内の組織や細胞によって脂質の組成は相違するが、それぞれを特異的に検出するプローブが欠如しているために、そうした脂質の機能や動態の理解は未だ遅れている。近年、生体組織等の試料の形態観察を行うと同時に、その試料上の所定領域に存在する分子の分布を測定する装置として、顕微質量分析装置或いはイメージング質量分析装置などと呼ばれる装置が開発されている(非特許文献1、2など参照)。こうした装置によれば、試料をすり潰したり破砕したりすることなく試料の形態をほぼ維持したまま、顕微観察により指定した試料上の任意の領域に含まれる特定の質量電荷比m/zを有するイオンの分布画像を得ることが可能である。これを利用することにより、これまで局在情報が著しく乏しかった脂質解析が近年、飛躍的に発展している。
しかしながら、上述したように脂質の種類は非常に多く、それぞれ存在量のみならずイオン化効率にも相違があるため、顕微質量分析装置を用いた質量分析イメージング法だけで全ての脂質の発現解析を行うことは困難である。こうしたことから、脂質を包括的に解析するには、試料中の脂質を前もって或る程度分離・精製する処理が必要となる。従来、脂質を分離・精製する手法として、薄層クロマトグラフィ(TLC)や高速液体クロマトグラフィ(HPLC)が用いられている。TLCとHPLCとではそれぞれに特徴があるが、TLCが優れている点は、安価で且つ分析時間が短くて済むこと、解析後のTLCプレート上のサンプルをそのまま保管できるため、それを別の手法の分析に供することが可能であること、一度に多くの種類の脂質を解析できること、などである。
その反面、TLCでは、表面が均一である試料を得ることが難しく、その不均一性のために質量分析の際のイオン化効率や質量精度が試料上の位置に依存するという問題があった。最近では装置の技術革新も進み、或る程度不均一な表面に対しても適切なイオン化を行い、また質量精度の補正も可能となっており、脂質をTLCで分離したあとに直接、MALDI質量分析に供して分析を行う手法も多数報告されている。
しかしながら、一般的に、TLCプレートを直接、MALDI質量分析に供すると、シリカプレート由来の夾雑物のピークがマススペクトルに多数現れる。そのため、目的とする脂質由来のピークがこれに埋もれてしまい、十分な感度を得ることが難しい。こうした問題に対し、例えば非特許文献3には、MALDIのレーザ種を変えることで感度の改善を図ることが提案されているが、こうした装置では、通常のMALDIイオン化とは別の専用のレーザ装置を用意する必要があり、装置が大形化しコストも高いものとなる。
小河潔、ほか5名、「顕微質量分析装置の開発」、島津評論、島津評論編集部、平成18年3月31日発行、第62巻、第3・4号、p.125−135 原田高宏、ほか8名、「顕微質量分析装置による生体組織分析」、島津評論、島津評論編集部、2008年4月24日発行、第64巻、第3・4号、p.139−146 「アナリシス・オブ・ガングリオサイズ・ダイレクトリー・フロム・スィン・レイヤー・クロマトグラフィー・プレーツ・バイ・インフラレッド・マトリックス・アシステッド・レーザ・デソープション・イオナイゼイション・オーソーゴナル・タイム・オブ・フライト・マス・スペクトロメトリー・ウィズ・ア・グリセロール・マトリックス(Analysis of gangliosides deirectly from thin-layer chromatography plates by infrared matrix-assisted laser desorption/ionization orthogonal time-of-flight mass spectrometry with a glycerol matrix)」、アナリティカル・ケミストリー(Anal. Chem.)、2005、77、13、4098
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、薄層クロマトグラフで分離した脂質などの成分を高い感度で質量分析することができる、質量分析を用いた試料の分析方法を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析を用いた試料の分析方法は、
a)試料中の成分を薄層クロマトグラフィにより分離する分離ステップと、
b)分離された試料成分をメンブレンに転写する転写ステップと、
c)試料成分が転写された前記メンブレンを分析用プレートに貼着し、該分析用プレートをイメージング質量分析に供して二次元的に設定された測定点毎のマススペクトルデータを取得し、前記メンブレン上の所定範囲における質量電荷比毎の分布画像を作成する測定ステップと、
を有することを特徴としている。
本発明に係る質量分析を用いた分析方法は、特に試料中の脂質を包括的に解析するのに有用である。
上記メンブレンは典型的にはポリフッ化ビニリデン(PVDF=PolyVinylidene DiFluoride)からなる薄膜である。
薄層クロマトグラフィにより試料成分が分離されたTLCプレートからメンブレンへの転写は典型的には熱転写を用いることができる。
前記測定ステップにおいて使用されるイメージング質量分析装置は、例えばレーザ光やそのほかの粒子線などの照射線を微小径に絞って試料(メンブレン表面)に照射することにより、その照射部位に存在する物質をイオン化して質量分析を行うものであって、試料自体又は照射線の少なくともいずれか一方を移動させることで質量分析を行う測定点を走査するものとすることができる。これにより、二次元的に設定された多数の測定点毎のマススペクトルデータを取得することができる。こうして取得したマススペクトルに基づいて、特定の質量電荷比(又は所定の質量電荷比範囲)のイオン強度の二次元分布画像を作成することにより、特定の分子種の二次元分布を可視化することができる。
本発明に係る質量分析を用いた試料の分析方法によれば、薄膜クロマトグラフで成分分離されたプレート上で類似した複数の分子種が重なっている場合でも、その分析種の質量電荷比の相違を利用して、各分子種の二次元的な分布を知ることができる。
また、イメージング質量分析を用いない従来の方法では、TLCプレート上で化学染色などの何らかの可視化技術を用いて検出したバンドのみを質量分析の対象としていたが、本発明に係る分析方法では、目的成分の位置が非可視であっても構わないので、予め化学染色等による可視化が不要である。そのため、分析者にとっては作業工程が簡素化できるとともに、染色が行えないような成分でも分布を調べることができる。
なお、MALDI法を用いたイメージング質量分析を用いる場合には、試料成分が転写されたメンブレン上でのイオン化効率の均一性を図るために、マトリックスをできるだけ均一に塗布することが好ましい。また、導電性プレートに貼着されたメンブレンの表面には0.25[mg/cm2]以上の量でマトリックスを塗布することが好ましい。
また、MALDIイオン化の際に導電性プレートを介してメンブレンに印加される電圧が一定でないとイオン化効率がばらつく原因となる。そこで、メンブレンの裏面全体を導電性テープを用いて導電性プレートに貼着し、そのあとに0.3[kg/cm2]以上の圧力で加圧を行うことでメンブレンとプレートとの間の気泡を除去するようにするとよい。これにより、メンブレン上の位置によらずに電圧が一定に印加され、イオン化効率が安定する。また、メンブレンから発生したイオンをそのまま飛行時間型質量分析器に導入する場合でも、メンブレン表面高さが均一になることで飛行距離のばらつきが小さくなり、質量電荷比の計測精度が向上する。
本発明の一実施例による分析方法の処理手順を示すフローチャート(A)及び処理を説明するための模式図(B)。 本実施例の分析方法におけるイメージング質量分析手法を説明する模式図。 本発明に係る分析方法で用いられるイメージング質量分析装置の一例の概略構成図。 本発明に係る分析方法による測定結果を示す図。
本発明に係る試料分析方法の一実施例を、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例による試料分析方法の処理手順(A)及び処理を説明するための模式図(B)である。ここでは、様々な種類の脂質を含む試料を分析する場合を例に挙げる。
まず、目的試料に対し常法に従って薄層クロマトグラフィ(TLC)を実行し、試料に含まれる複数種の脂質をTLCプレート上で分離する(ステップS1)。周知のように、脂質の種類によって、抽出溶媒、分画法、展開溶媒等が異なる。例えばリン脂質の分離には、展開溶媒として、酢酸メチル:プロパノール:クロロホルム:メタノール:0.25%塩化カリウム=25:25:25:10:9の混合液が好適である。
図1(a)に示すようにTLCプレート20上に複数種の脂質を展開させたあとに、メンブレンであるPVDF膜21への転写を行う(ステップS2)。即ち、所定のブロッティング溶媒に短時間、TLCプレート20を漬浸した(図1(b))あと、取り出したTLCプレート20にPVDF膜21を載せる。PVDF膜21上にさらにテフロン(登録商標)膜22とグラスファイバ膜23を載せ、その上から180℃程度に加熱したアイロン(又は専用の熱転写器)24を押し当ててTLCプレート20からPVDF膜21への試料成分(脂質)の熱転写を行う(図1(c))。30秒程度、熱転写を行ったならば、PVDF膜21を取り出す。PVDF膜21において、試料成分はTLCプレート20と接していた面とは逆の面(図1(c)では上面)に濃縮される。
本実施例の試料分析方法では、TLCで分離された成分(脂質)が位置するTLCプレート20上の場所を分析者が目視で把握する必要はないため、基本的に、可視化のための染色は不要である。但し、転写の前に染色処理を行うようにしてもよい(図1中のTLCプレート20’参照)。対象成分がリン脂質である場合に、例えばプリムリン試薬を用いて染色を行えばよい。
それから、転写を行ったPVDF膜21を金属製のMALDIターゲットプレート26に貼着する(ステップS3)。即ち、上述したように試料成分はPVDF膜21の転写面とは反対の面に濃縮されているため、その面を表にして裏面の全体を、導電性両面テープ25でMALDIターゲットプレート26に貼り付ける(図1(d)、(e))。このとき、PVDF膜21とMALDIターゲットプレート26との間に気泡が入るのを防止するために、上方から適度な、好ましくは0.3[kg/cm2]以上の圧力で略均一に加圧する。これにより、MALDIターゲットプレート26に電圧を印加した際にPVDF膜21にも略均一の電圧が印加されるので、イオン化効率のばらつきがなくなる。また、MALDIターゲットプレート26の高さを均一に近い状態にすることができ、後述する質量分析の際の質量誤差を抑えるのにも有効である。
次に、MALDIターゲットプレート26上のPVDF膜21上に、できるだけ均一の厚さでマトリックス27を塗布する(ステップS4)。マトリックス27としてDHB(2,5-dihydroxybenzoic)を用いる場合には、50[mg/mL](50%メタノール)のDHB溶液を調製し、5[μL/cm2]程度の量をピペットで塗布する。この溶液は水を多く含み乾燥が遅いので、PVDF膜21がDHB溶液に浸漬された状態になる。この状態で若干の時間放置したあとにドライヤーなどの乾燥機で十分に乾燥させる。この手順を2〜3回繰り返すことで、0.25[mg/cm2]以上の十分な量のDHB溶液をPVDF膜21に塗布することができる。なお、マトリックス塗布部位は結晶により表面に凹凸ができるので、できるだけ平坦になるように上方から厚めのウエスで均等に押圧するとよい。
以上の工程で、図1(f)に示すような分析対象のサンプルSが用意される。そこで、このサンプルSをイメージング質量分析装置にセットし、PVDF膜21の二次元範囲に対し、図1(g)に示すように、X軸及びY軸の両方において所定間隔で設定された測定点(微小領域)毎の質量分析を実行し、各測定点のマススペクトルを取得する(ステップS5)。
図3はここで用いるイメージング質量分析装置(顕微質量分析装置)の一例の概略構成図である。図3において、上記のように調製されたサンプルSは試料ステージ2上にセットされる。このサンプルS上にレーザ照射部1から出射されたレーザ光が微小径に絞った状態で照射される。このレーザ光の作用により、サンプルSに塗布されているマトリックスが気化し、その際にPVDF膜21に転写されている試料成分も気化してイオン化される。発生したイオンはイオン輸送管3を通して真空雰囲気に維持される分析室4へ送られ、イオン光学系5を経てイオントラップ6に一旦保持される。
イオントラップ6に保持された各種イオンは一斉に出射されて飛行時間型質量分析器7に導入され、その飛行空間を飛行する間に質量電荷比m/zに応じてイオンは時間的に分離されて検出器8に到達する。検出器8は時間経過に伴って到達するイオンの量に応じた検出信号をデータ処理部9に出力する。データ処理部9では、イオンが出射された時点から検出器8に到達するまでの時間、つまり飛行時間と信号強度との関係を示す飛行時間スペクトルを作成し、予め求めておいた較正データに基づいて飛行時間を質量電荷比m/zに換算してマススペクトルを作成する。
なお、イオントラップ6は単に飛行時間型質量分析器7へイオンを送る飛行出発点(初期エネルギー付与部)としての機能のみならず、特定の質量電荷比を有するイオンを選別した後にそのイオンを衝突誘起解離により開裂させる機能を有する。これにより、後述するように、必要に応じて、MS/MS分析やnが3以上のMS分析を行うことも可能である。
試料ステージ2は図示しない駆動機構により、互いに直交するX軸、Y軸方向に所定範囲で移動可能であり、試料ステージ2を移動させることによりサンプルS上でレーザ光が当たる位置、つまり質量分析が行われる測定点が移動する。このようにサンプルS上で測定点を順次移動させることで、図1(g)及び図2(a)に示すように、PVDF膜21の二次元範囲内の多数の測定点におけるマススペクトルを取得することができる。1つの測定点において、例えば図2(b)に示すようなマススペクトルが得られる。
そこでデータ処理部9において、特定の質量電荷比(又は質量電荷比範囲)のイオン強度を求め、その特定の質量電荷比におけるイオン強度の二次元分布を画像化する。図2(c)に示すように、複数の質量電荷比についてそれぞれ二次元分布画像を作成することで、その質量電荷比を持つ分子種の分布を可視化することができる。
なお、MALDIはイオン化の一手法であり、一般的にイメージング質量分析で利用されている他のイオン化法を用いることができることは当然である。
次に、上記分析方法を用いた実際の分析例を説明する。図4(a)は通常のTLCでリン脂質を分離し、これを染色した状態を示す図である。この図から、リン脂質である、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、カルジオリピン(CL)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファジルコリン(PC)、及び、スフィンゴミエリン(SM)が分離できており、それぞれ単一のバンドとして検出されていることが分かる。この例は、ヒト(正常加齢者)の脳の異なる4箇所(灰白質の下前頭回及び海馬、白質の下前頭回及び海馬)から脂質を抽出したものである。
上記のようにTLCプレート上では単一のバンドに見えている各リン脂質には、脂肪酸鎖が相違する複数の分子種が存在していることが知られている。またその脂肪酸鎖の組成は、組織によって或いは外的要因によって様々に変化すると言われており、脂質解析においては、脂肪酸鎖の相違まで解析できることが要求されている。即ち、図4(a)のようにリン脂質を分離できただけでは、脂質解析としては不十分である。
図4(b)は、上述した手順に則り、TLCプレートを転写したPVDF膜をイメージング質量分析装置により測定した結果であり、各測定点のマススペクトルからm/z=813、781、725、及びトータルのイオン強度分布画像を作成したものである。図4(a)に示したように、スフィンゴミエリン(SM)のバンドはTLCプレートでは単一のバンドとして可視化されているが、図4(b)のイメージング画像では、同じスフィンゴミエリンのバンド(「SM」の矢印で示したもの)上に複数の質量電荷比m/zが検出されているのが分かる。即ち、このスフィンゴミエリンのバンドには、m/zが813、781、725である少なくとも3つの分子種が重なっていることが分かる。また、各分子種は生体組織の異なる4箇所に特徴的に存在していることが分かる。例えば、灰白質にはm/z=781が多く存在し、白質にはm/z=813が多く存在していると言える。
脂質のMS/MS分析を行い、そのMS/MSスペクトルに現れるプロダクトイオン由来のピークのパターン等を調べることにより、各分子種の構造を解析し、各分子種を同定することが可能である。なお、このような同定のためのMS/MS分析は分析対象の分子種が存在する部位に対してのみ実行すれば十分である。この例では、MS/MS分析を用いた構造解析により、上記3種類の質量電荷比を有する分子種はそれぞれ、2-amido 16:0、2-amido 20:0、2-amido 24:1、のスフィンゴミエリンであることが判明した。さらに、それぞれの質量電荷比のイオン強度の二次元分布を異なるサンプル間で比較することで、例えば脳の各部位間における量的な比較も可能となる。
HPLCを用いても上記のような分子種の分離は非常に難しく、分子種の定量解析には或る程度の量の試料が必要となる。しかしながら、生体試料の場合には、多くの場合、試料の量がかなり限られる。上記の試料分析方法では、僅かプレート一枚分のTLC解析用の試料が用意できさえすれば、上記のような複数の分子種の包括的な解析が可能となり、微量試料に対応可能であるとともに、ハイスループットで効率的な解析が行える。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加などを行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…レーザ照射部
2…試料ステージ
3…イオン輸送管
4…分析室
5…イオン光学系
6…イオントラップ
7…飛行時間型質量分析器
8…検出器
9…データ処理部
20…TLCプレート
21…PVDF膜
22…テフロン膜
23…グラスファイバ膜
24…アイロン
25…導電性両面テープ
26…MALDIターゲットプレート
27…マトリックス

Claims (5)

  1. a)試料中の成分を薄層クロマトグラフィにより分離する分離ステップと、
    b)分離された試料成分をメンブレンに転写する転写ステップと、
    c)試料成分が転写された前記メンブレンを分析用プレートに貼着し、該分析用プレートをイメージング質量分析に供して二次元的に設定された測定点毎のマススペクトルデータを取得し、前記メンブレン上の所定範囲における質量電荷比毎の分布画像を作成する測定ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析を用いた試料の分析方法。
  2. 請求項1に記載の質量分析を用いた試料の分析方法であって、
    試料成分が転写されたメンブレンの表面にマトリックスを均一に塗布し、そのあとにMALDI法を用いたイメージング質量分析による測定を行うことを特徴とする質量分析を用いた試料の分析方法。
  3. 請求項2に記載の質量分析を用いた試料の分析方法であって、
    導電性の前記プレートに貼着されたメンブレンの表面に0.25[mg/cm2]以上の量でマトリックスを塗布することを特徴とする質量分析を用いた試料の分析方法。
  4. 請求項3に記載の質量分析を用いた試料の分析方法であって、
    前記転写ステップでは、導電性の前記プレートに導電性テープを用いて前記メンブレンを貼着し、そのあとに0.3[kg/cm2]以上の圧力で加圧を行うことでメンブレンとプレートとの間の気泡を除去することを特徴とする質量分析を用いた試料の分析方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の質量分析を用いた試料の分析方法であって、
    前記測定ステップでは、イオン化のためのプローブを走査し、二次元質量分析イメージングによりTLCプレート上の分子分布を可視化することを特徴とする質量分析方法。
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