JP2010269768A - スライド式フェアリング脱頭装置及びスライド式フェアリング脱頭方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】搭載物3を収容する空間を備え搭載物を宇宙空間に放出するロケットであって、ロケット本体の先端に被せられ搭載物3を収容する収容空間を形成するフェアリング1と、フェアリング1と搭載物3との間に位置する複数のスライドレールと、を備え、スライドレールのうち一本のみが他のスライドレールよりも長く、フェアリング1がスライドレールに沿ってスライドし、他のスライドレールより長いスライドレールの終端を中心に回転することによって脱頭する。
【選択図】図7
Description
クラムシェル開頭(分割開頭)方式には大きく分けて、平行開頭方式、非平行開頭方式、2段開頭方式がある。
クラムシェル開頭(分割開頭)方式は非特許文献1に示すようにフェアリングが2つ以上に分割できる構造になっており、火工品などによってこれらの結合を解除し、ばね等の分離力によって分割されたフェアリング開頭片を平行、またはある回転中心周りに回転させて機体より引き離す方式である。以下に図1を使って詳しく説明する。
図1の(B)に非平行開頭方式を示す。前方のバネ103と、後方のバネ104の強さを加減して開頭部の先端から開くように開頭片に回転を与えて開頭する方式である。
図1の(C)に2段開頭方式を示す。これは開頭部101を円錐部105と円筒部106に分け、まず円錐部105を非平行開頭し、その後で円筒部106を平行開頭する方式である。
脱頭(一体開頭)方式のフェアリング201はフェアリング201が機体や搭載物に接触することなく分離・開頭するために比較的大きな分離力を必要とし、かつ機体軸方向202と平行にフェアリング201を分離する必要がある。そのため、フェアリング201の数箇所にバラつきの小さいバネ等を配置している。
また、フェアリング201を分離させた後、フェアリング201と機体を接触させないために、機体をマヌーバ(機体に搭載されているジェット燃料を噴射して衛星の位置や姿勢を修正すること)させて分離後の機体推進によるフェアリング201との追突・接触を回避する必要がある。
また、分割面が比較的長く必要であり、そのため、フェアリングの剛性が低下するため、飛翔中の空力荷重により口開きしないよう、結合・分離機構を連続的に配置したり、分割面にラップ代を設けたりする必要が生じ、フェアリング構造が複雑化してしまう。
さらに、分離後のフェアリング開頭片が機体やペイロード(衛星や観測機等)と接触しないようにするため、開頭片の大きさ・剛性や分割・分離形態の設計・選択に多くの技術と時間を要してしまう。
また、機軸方向と平行に分離するためには、数箇所に配置したバネなどの分離力のバラつきを小さくする必要があり、調整や管理に大きな労力が必要となってしまう。
また、フェアリングの分離・開頭後もなお機体とフェアリングは同一直線状にあるため、機体をマヌーバさせてフェアリングを回避する必要が生じてしまう。
ロケット本体の先端に被せられ搭載物を収容する収容空間を形成するフェアリングと、
前記フェアリングと前記搭載物との間に位置する複数のスライドレールと、を備え、
前記スライドレールのうち一本のみが他のスライドレールよりも長く、
前記フェアリングが前記スライドレールに沿ってスライドし、他のスライドレールより長いスライドレールの終端を中心に回転することによって脱頭する、ことを特徴とするスライド式フェアリング脱頭装置が提供される。
他のスライドレールは前記ロングスライドレールより短いショートスライドレールであり、
前記ロングスライドレールにはレール上をスライドする引っ掛かり型スライダが取り付けられており、前記ロングスライドレールの終端に前記引っ掛かり型スライダのスライドを止めるスライドエンドが設けられており、
前記フェアリングの内周部には、前記引っ掛かり型スライダに引っ掛かるように取り付けられており前記引っ掛かり型スライダから外れることができる引っ掛けピンと、前記フェアリングの内周部と一体となっており前記ショートスライドレールの案内に沿ってレール上をスライドする一体型スライダが取り付けられている。
前記フェアリングの中心軸上の内側には一本のスプリングが設けられており、
前記結合部が開放すると前記スプリングの押し出し力により前記フェアリングが前記スライドレールに沿ってスライドし、
前記ショートスライドレールの終端に前記一体型スライダが至ったとき前記フェアリングと前記一体型スライダとが一体となって前記ショートスライドレールから外れ、
前記ロングスライドレールの終端に前記引っ掛かり型スライダが至ったとき引っ掛かり型スライダが前記スライドエンドで止まり、前記引っ掛かり型スライダ内を前記引っ掛けピンがスライドし引っ掛けピンが引っ掛かることで前記フェアリングが前記引っ掛けピンを中心に回転し、
その後前記引っ掛かり型スライダから前記引っ掛けピンが外れることでロケットから前記フェアリングが脱頭する。
前記フェアリングと前記搭載物との間に位置し1本のみが他より長い複数のスライドレールに沿ってスライドし、
他のスライドレールより長いスライドレールの終端を中心に回転することによって脱頭する、ことを特徴とするスライド式フェアリング脱頭方法が提供される。
また、本発明のスライド式フェアリング脱頭方法は主に小型衛星打ち上げロケットや観測ロケットなど、搭載物を収容する空間を備え、搭載物を宇宙空間に放出するロケットのフェアリング分離・開頭において使用可能である。
フェアリング1の後端の内周部には、一体型スライダ10や図示しない引っ掛けピン14(図4、及び図5を参照)が取り付けられている。一体型スライダ10や引っ掛けピン14については後ほど詳しく説明する。
また、フェアリング1の後端には結合部21が設けられており、火工品などにより結合部21を開放できるようになっている。
すなわち、フェアリング1後端の結合部21が開放すると、フェアリング1に取り付けられたスプリング4の弾性により内筒6が外筒5から押し出され、スプリング4の押し出し力によりフェアリング1が機軸方向にスライドするように設計されている。
ロングスライドレール9の終端にはスライドエンド12が設けられており、引っ掛かり型スライダ11のスライドを止めるように構成されている。
引っ掛かり型スライダ11には溝13が構成されており、その溝13にフェアリング1の内周部に取り付けられている引っ掛けピン14が引っ掛けられている。引っ掛かり型スライダ11の溝13は、(A)のようにフェアリング1の結合部21が開放(例えば火工品による破断)される前の段階(すなわちフェアリング1がスライドする前の段階)に引っ掛けピン14が収まっている収容部11aと、フェアリング1の結合部21が開放され、スライドし始めた際、(B)および(C)のようにフェアリング1のスライドと共に引っ掛けピン14で引っ掛かり型スライダ11を押して移動させる押し出し部11bと、ショートスライドレール8から一体型スライダ10が外れ、引っ掛かり型スライダ11のスライドがスライドエンド12に止められるとともにフェアリング1が引っ掛けピン14を中心として回転する際、(D)のようにその引っ掛けピン14の回転を助ける鍔部11c、とからなる。
なお、ショートスライドレール8とロングスライドレール9は平行に設置されているため、フェアリング1はスライドレール8、9と平行にスライドする。すなわち、引っ掛けピン14から引っ掛かり型スライダ11には機軸方向への外力しかかからないため、ショートスライドレール8から一体型スライダ10が外れる前に、引っ掛かり型スライダ11から引っ掛けピン14が外れることはない。また、宇宙空間の無重力状態において、スプリング4の押し出し力以外の外力は、ほとんど存在しないことが多いため、ショートスライドレール8から一体型スライダ10が外れても、フェアリング1はスライドレール8、9と平行にスライドし続ける。したがって、引っ掛かり型スライダ11がスライドエンド12によってスライドを止められるまで、引っ掛けピン14が引っ掛かり型スライダ11から外れることはない。
また、ショートスライドレール8から一体型スライダ10が離脱した直後にスライドエンド12に引っ掛かり型スライダ11が衝突し、フェアリングが回転できるように構成すれば、ロケットの推力がまだある場合や、微量の大気による空気抵抗がある時にでも本願発明による開頭は可能である。
引っ掛けピン14はこの図では円筒形を直角に曲げた形をしているが、引っ掛かり型スライダ11の溝13の中でスライドできればコの字形に曲がり、フェアリング1の内壁に2箇所で固定されていてもよい。また、他の形状でもよい。
また、この図では引っ掛かり型スライダ11の突起15がレール上の溝16に嵌まるように構成されているが、引っ掛かり型スライダ11がレール上を抵抗少なくスライドできれば他の方法でもよい。
なお、この図において、図中の14aはフェアリングに接している引っ掛けピン14の断面である。
(B)は引っ掛かり型スライダの鍔部11cの溝が弧を描いており、引っ掛けピン14を回転しやすくしたタイプである。(A)に比べ、フェアリング1がより後方に行きやすくなり、搭載物3との衝突の可能性がさらに少なくなる。
(C)は(B)の鍔部11cを長くしたタイプである。(C)は(B)のように回転しやすいばかりでなく、(B)よりもより搭載物等から放してフェアリング1を放出することができる。これにより、フェアリング1と搭載物3との衝突の可能性は(B)と比べさらに少なくなる。
(D)は鍔部11cが斜めに構成されているタイプである。鍔部11cを斜めに構成することにより、スプリング4の押し出し力による直進方向の力を全て回転力に使用せずに、直進と回転のバランスをうまくとることが出来る。(D)は特にロケット本体2がスピンしているときに有効に利用できる。
(A)はフェアリング1の結合部21が開放する前の状態、(B)はフェアリング1の一体型スライダ10がショートスライドレール8から外れた状態、(C)はフェアリング1が回転している状態、(D)はロケット本体2からフェアリング1の脱頭が完了した状態を示す図である。
フェアリング1の脱頭時、結合部21が開放すると、(B)のようにスプリング4の押し出し力によりフェアリング1がスライドレール8、9に沿ってスライドする。ショートスライドレール8の終端17に一体型スライダ10が至ったとき、フェアリング1と一体型スライダ10とが一体となってショートスライドレール8から外れる。なお、この時点では、フェアリング1の進行方向とロケット本体2の進行方向は同じである。
(C)に示すように、引っ掛かり型スライダ11が引っ掛けピン14に押され、ロングスライドレール9に案内されてスライドし、ロングスライドレール9の終端に至ったとき、引っ掛かり型スライダ11がスライドエンド12で止まり、引っ掛かり型スライダ11内を引っ掛けピン14がスライドし、引っ掛けピン14が鍔部11cに引っ掛かることで、フェアリング1が引っ掛けピン14を中心に回転する。そしてその後、引っ掛かり型スライダ11から引っ掛けピン14が外れることでロケットからフェアリング1が脱頭する。
(D)はロケット本体2からフェアリング1の脱頭が完了した状態を示す図である。搭載物3はスライドレール8、9の内側に収納されていたため、フェアリング1の脱頭時にもフェアリング1が搭載物3に接触するなどして傷つけることはない。そのため、安全に搭載物3を収容し、宇宙空間に放出することができる。
なお、そのほかの構成については第1実施形態と同様である。
この構成により、搭載物3の前方が空くため、搭載物3をロケット本体2の前方から放出することができる。
なお、そのほかの構成については第1実施形態と同様である。
これにより、搭載物3を放出する際に搭載物3の周囲に広い空間を形成することができるため、搭載物3を傷つける心配がなく、また、搭載物3に大きいものを選択することができる。
2 ロケット本体
3 搭載物
4 スプリング
5 外筒
6 内筒
7 枠組み
8 ショートスライドレール
9 ロングスライドレール
10 一体型スライダ
11 引っ掛かり型スライダ
11a 収容部
11b 押し出し部
11c 鍔部
12 スライドエンド
13 溝
14 引っ掛けピン
15 突起
16 レール上の溝
17 ショートスライドレールの終端
18 枠組みの上部枠
19 スプリング
20 中心軸
21 結合部
Claims (4)
- 搭載物を収容する空間を備え搭載物を宇宙空間に放出するロケットに設けられたスライド式フェアリング脱頭装置であって、
ロケット本体の先端に被せられ搭載物を収容する収容空間を形成するフェアリングと、
前記フェアリングと前記搭載物との間に位置する複数のスライドレールと、を備え、
前記スライドレールのうち一本のみが他のスライドレールよりも長く、
前記フェアリングが前記スライドレールに沿ってスライドし、他のスライドレールより長いスライドレールの終端を中心に回転することによって脱頭する、ことを特徴とするスライド式フェアリング脱頭装置。 - 前記スライドレールのうち一本のみが他のスライドレールよりも長いロングスライドレールであり、
他のスライドレールは前記ロングスライドレールより短いショートスライドレールであり、
前記ロングスライドレールにはレール上をスライドする引っ掛かり型スライダが取り付けられており、前記ロングスライドレールの終端に前記引っ掛かり型スライダのスライドを止めるスライドエンドが設けられており、
前記フェアリングの内周部には、前記引っ掛かり型スライダに引っ掛かるように取り付けられており前記引っ掛かり型スライダから外れることができる引っ掛けピンと、前記フェアリングの内周部と一体となっており前記ショートスライドレールの案内に沿ってレール上をスライドする一体型スライダが取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のスライド式フェアリング脱頭装置。 - 前記フェアリングの後端には結合部が設けられており、
前記フェアリングの中心軸上の内側には一本のスプリングが設けられており、
前記結合部が開放すると前記スプリングの押し出し力により前記フェアリングが前記スライドレールに沿ってスライドし、
前記ショートスライドレールの終端に前記一体型スライダが至ったとき前記フェアリングと前記一体型スライダとが一体となって前記ショートスライドレールから外れ、
前記ロングスライドレールの終端に前記引っ掛かり型スライダが至ったとき引っ掛かり型スライダが前記スライドエンドで止まり、前記引っ掛かり型スライダ内を前記引っ掛けピンがスライドし引っ掛けピンが引っ掛かることで前記フェアリングが前記引っ掛けピンを中心に回転し、
その後前記引っ掛かり型スライダから前記引っ掛けピンが外れることでロケットから前記フェアリングが脱頭する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスライド式フェアリング脱頭装置。 - ロケット本体の先端に被せられ搭載物を収容する収容空間を形成するフェアリングが、
前記フェアリングと前記搭載物との間に位置し1本のみが他より長い複数のスライドレールに沿ってスライドし、
他のスライドレールより長いスライドレールの終端を中心に回転することによって脱頭する、ことを特徴とするスライド式フェアリング脱頭方法。
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