JP2010266138A

JP2010266138A - 太陽熱調理器兼太陽熱温水器

Info

Publication number: JP2010266138A
Application number: JP2009118383A
Authority: JP
Inventors: Koji Terui; 浩司照井
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2009-05-15
Filing date: 2009-05-15
Publication date: 2010-11-25

Abstract

【課題】従来の太陽熱調理器や温水器には、費用、設置のスペースと手間、持ち運びの不便さ、太陽軌道に合わせた調整の手間、安全性、強度の点が課題となり、特に太陽熱調理器に関しては便利な電子調理機器が溢れる中で、先進国での普及が進んでいない。
【解決手段】調理器の上面全体を複層式断熱窓として、高断熱性の容器に合わせて密閉し、容器内面を太陽熱の吸収体にした。通常では放熱量の高い窓の面積を広げ、容器内面の受光量を稼ぎ、その代わりに窓を複層構造にして断熱性を高めることで、発熱量が放熱量を上回る。極めて単純な構造ながらも、冬場でも高い効率の蓄熱を可能にしただけでなく、従来の集光や太陽軌道による調整を必要とせず、手間と火傷や火災の危険性から解消され、十分な強度と小型化を実現した。現実的に従来品に比類がないほどの低コストで量産が可能であり、自然エネルギーを利用した商品の一般家庭への普及にも貢献しうる。
【選択図】図１

Description

本発明は、太陽熱を利用した調理器兼温水器に関する。

太陽エネルギーを利用した温水器や調理器具は存在するが、温水器は浴槽への利用から多くは大型でコストがかかる。また、太陽熱調理器はまだまだ身近なものとしては普及していない。

太陽熱調理器は発展途上国では多くの場で採用されているものの、先進国では多くの場合趣味の範囲で使用されるに留まっている。原因を考察するに、先進国では電子レンジなどの便利な電子調理機器が溢れ、既存の太陽熱調理器は不効率だとする認識が高いと思われる。環境への配慮の意識が高まる中、些少の不便さであれば環境配慮品を使用する運動が起こっているが、まだまだ電子調理機器の便利さとは開きが大きいことが考えられる。

従来の太陽熱調理器では、反射板を用いて集熱効果をあげる反射集光式のものがある（例えば、特許文献１参照）。また、フレネルレンズのようなレンズを用いて集熱効果をあげる集光式のものがある（例えば、特許文献２参照）。

以上のような従来の太陽熱調理器について説明する。反射集光式の調理器の代表的なものはパラボラアンテナのような形状で、反射板に反射した太陽光が集まる位置に調理の容器を設置する。容器の大きさに対して反射板の面積は数倍〜数十倍と大きくとってあり、数分から数十分に一度太陽の位置に合わせて受光板の向きを調整する必要がある。
レンズ集光式の調理器では一点に太陽光を集中させ、調理の容器に当てることで部分的に高温を作り出すことが可能である。レンズの大きさは容器の大きさに対して数倍から数十倍と、大きくとる必要がある。数分に一度は太陽の位置に合わせてレンズの向きを調整する必要がある。
どちらも調理の容器の受光量を通常の何倍にもすることで、容器の外へ放熱される熱量よりも容器に加わる熱量を大きくし、蓄熱している。

特開２００３−３２９３１０特開平５−３０２７５９特開平１０−９４４８０

従来の太陽熱調理器から考えて、普及に必要な課題を次にあげる。Ａ．太陽熱調理器を導入するよりも、量産された電子調理機器の方が安価である。Ｂ．太陽熱調理器は天気に左右され、調理ができない時がある。Ｃ．既存の太陽熱調理器はほぼ全てが集光式、反射集光式のため、太陽の軌道に合わせて位置などを調節しなければならない手間がある。Ｄ．集光式ではレンズや反射板を使用するため、保管や設置にもスペースが必要であり、物によっては保管に折りたたみの手間がかかる。Ｅ．集光された太陽光によって火傷の恐れがある。特に、集光式、反射集光式を問わず設置後の置き忘れで火災が起きるなど、安全性に大きな問題がある。Ｆ．そのため、調理の間中できるだけ調理器の前に居なければならない効率の悪さがある。Ｇ．太陽熱調理器の大きなメリットである「電気のない場所でも使える」ことに対し、スペースが嵩張るため持ち運びが不便であり、そのような機会にも利用しづらい。

本発明は、上記Ｂの、天気に調理が左右される点を除いた問題を解決しようとするものであり、先進国においても家庭に普及されるような利便性、低コスト、安全性、構造上の強度、また、形状からくるデザイン性を実現することを目的とするものである。

上記目標を達成するため、第一の手段として、本発明では受光量の増大よりも容器の外への放熱を防ぐことを重視し、発泡スチロール・発泡ポリプロピレン・その他断熱材による断熱性の高い容器と、複層からなるガラス又は透明樹脂の蓋から構成される。

第二の手段として、容器上部全体を光透過性の高い蓋とした上、透過した太陽熱が吸収されるような素材と色で容器内部を覆い、容器いっぱいの面積の受光量を稼ぐ。

通常放熱量の高い窓の面積を広くすると蓄熱が難しいが、複層構造にして断熱性を高めた窓と、高断熱性の容器を合わせて密閉することにより効率的な蓄熱を可能とする。窓と窓の間の層を真空層にするとより高い効果が望める。

以上の方法により、放熱量よりも太陽光受光による発熱量が勝り、気温が低く太陽高度の低い冬場でも、放置したままでの高温度の調理やお湯の生成を可能にした。集光や太陽位置による調整を必要とせず、調理の容器分のみのスペースで従来品よりも小型化され、従来品にはない程単純な構造で低コストによる製造と量産が可能となる。従来品では集光地点による火傷や火災の危険性が問題であったが、本発明は集光がないことから、調理器が受けるのは自然状態での太陽光の受光量に過ぎず、例えば調理器設置後に外出したとしても火災等の起こる危険性は皆無に等しい。

また、従来品は反射板やレンズなどの薄手の素材が利用されているが、本発明は基本的にボックス形状のため、持ち運びにも適した強度がある上に軽量であり、家庭用調理機としても危険の少ない形状で、様々なデザインでの設計が可能である。

本発明に近い形状のものとして、特許文献３のような太陽光の透過窓と調理室を備えた反射集光式の発明がある。そちらは反射板の製作コストや組立の手間、強度や形状の点でも内容が異なるが、一番の相違点は太陽方向への調理器の調整が必要である点である。本発明に関して言えば、例えば常に方向を変える船の上や、遊牧民が馬の上に装置を乗せた状態で移動しても、装置が日陰に入ってさえいなければ調理可能という理論である。

以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。

図１と図２において、１ａ・１ｂ・２ａ・２ｂは太陽光入射用の断熱窓を構成する。光透過性の高いガラス、又は透明樹脂等の窓１ａ・１ｂの２枚の間に、パッキンの効
果の２ａを挟んで接着することにより、密閉された空気層、又は真空層を形成する。

２ｂは断熱窓と断熱容器４とで調理室を密閉するパッキンの効果を果たす。断熱窓から入射された太陽光は太陽熱吸収素材３に吸収され発熱するが、断熱窓及び断熱容器４に密閉された調理室の空間からの放熱は少なく、蓄熱が起こる。

なお、断熱窓下面１ｂと断熱容器４が密着していれば２ｂが無くても実施に足りる他、断熱窓下面１ｂと断熱容器４との間を密閉している状態であれば、太陽熱吸収体３のふちが間に挟まっていても実施は可能である。

図３と図４に示すように、密閉効果を高めるための蓋止めＣや、安全性・使い勝手を良くするために蝶番Ａ、取手Ｂを取り付けることも有効である。実施には図３のように日陰にならない場所に水平に設置するだけで足り、方向の調整は不要である。

本発明の実施形態を示す断面図本発明の主要部材ごとの分解図本発明の使用例の図本発明の使用例の外観図

１ａ・１ｂ光透過性の高いガラス、又は透明樹脂等の窓
２ａ・２ｂ断熱効果のあるシリコンやゴム類など、密閉用の素材やパッキン、又は
１ａ・１ｂをはめ込むことで複層構造を可能にする枠
３太陽熱が吸収されやすい素材と色の容器、又は符号４の断熱容器の内面を覆う太陽熱吸収体
４発泡スチロール・発泡ポリプロピレン・その他断熱材等による断熱性の高い容器
Ａ蝶番
Ｂ取手
Ｃ蓋止め

Claims

断熱性の高い容器と、複層あるいは真空層を設けたガラス又は透明樹脂の蓋からなり、集光や太陽位置による調整を必要とせず、冬場や船のように動きながら方向を変える移動体の上においても、調理及び殺菌が可能な温度まで蓄熱が可能な絶対安価なる太陽熱調理器兼太陽熱温水器。