JP2010264281A - 眼優位性の定量装置 - Google Patents

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知也 半田
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Abstract

【課題】眼優位性を定量測定することが可能で優位眼の識別を確実に行うことができる眼優位性の定量装置の提供。
【解決手段】被験者の右眼と左眼に、空間周波数4cycle/deg以上の矩形波格子からなる対称的な縞模様の視野闘争刺激図形を直交させて一定時間同時に提示する手段、被験者が一方の視野闘争刺激図形を他方に比べて優位に知覚したときにその結果を記録するための手段、前記記録に基づいて前記一定時間内に各視野闘争刺激図形が他方より優位に知覚された時間を積算する手段、少なくとも一方の視野闘争刺激図形のコントラストを増減させる手段を含み、両眼における視野闘争刺激図形の知覚時間が等しくなった時点における視野闘争刺激図形のコントラスト比を測定する優位眼の優位性定量装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、眼優位性の定量方法、定量装置及びこれを用いた診断方法、特に視野闘争を用いた眼優位性の定量方法、定量装置及びこれを用いたモノビジョン適応性等の各種診断方法に関する。
人間の視覚機能は左右眼からの視覚情報を視覚中枢で統合し両眼単一視を行なうことで立体視などの高度な両眼視機能を可能にしている。良好な両眼視機能の保持には左右眼が同等の正常視覚入力及び情報処理を有することが必要条件とされており、今日の眼科臨床ではこの条件を満たすための視能矯正や治療が行われている。
しかし、人間の視覚機能は左右眼で同等ではなく、一方の眼が他方の眼よりも機能的に優位に立つ現象(眼優位性)が存在する。眼優位性についての記載は古く16世紀にまで遡り、20世紀初頭から臨床的な所見として認識されはじめ、現在では眼科的にも一般的にも利き眼/非利き眼(優位眼/非優位眼)として広く認識されている。もっとも、その存在意義や機能的な違いについては十分に解明されていないのが現状である。
眼優位性(eye dominance)は、その検査法からsighting eye dominanceとsensory eye dominanceの二群に大別される。Sighting eye dominanceは運動由来の優位眼と定義され、ホール・イン・カード試験(hole-in-card test)(ボ−ドの中心に空いた穴を通して視物を見た際に使われた眼を優位眼として評価する)と呼ばれる簡便な方法で決定される。ホール・イン・カード試験は臨床的には現在最も広く用いられている優位眼の定性的検査法である。Sensory eye dominanceは感覚由来の優位眼として定義され、視野闘争(左右眼に異なる像を提示した際に、両像が重なって、あるいは一方のみが知覚される現象)を用いて評価された両眼視覚入力のうち優位に処理がなされる方の眼(すなわち、両眼知覚において主導的立場をとる眼)を示す。これらの定義の相違は両者が異なった神経機構によって成り立っているという仮説に基づく。
眼優位性は第一次視覚中枢(V1)のocular dominance columnsに由来するocular dominanceに関連づけられる。Ocular dominance columnsは生まれたばかりの動物においてすでに見られるが、生後の視的経験によって左右眼のcolumnsの分化・重なり合いは大きく影響される。Sighting eye dominanceは視覚の感受性期においてすでに安定的に確立されており、実際、幼児についても臨床的に検査が行われている。もし、V1を起源としたsensory dominanceが早期に確立されたsighting eye dominanceの影響を受けているならば、sensory eye dominanceとsighting eye dominanceの関連性が強く示唆される。しかし、一方から他方が予測できないとする研究結果もあり、sighting eye dominanceとsensory eye dominanceが同一眼であるか否かについては未だ解決されていない。
一方、近年、日本でもモノビジョン法が広く行われるようになり、その適応診断の観点から眼優位性の解明(優位眼/非優位眼の違いの本態等)が期待され、注目されている。モノビジョン法は、コンタクトレンズや眼内レンズ、角膜の部分削除等により、優位眼(利き眼)を遠方矯正、非優位眼(非利き眼)を近方矯正するもので、白内障手術によって焦点調節力が消失した状態でも遠方から近方まで見ることができる。モノビジョン法は、眼鏡を必要とせずに遠近両方に対応できるため、老視矯正にも応用されている。
理想的なモノビジョンとしては、すべての距離で鮮明な見るために距離に応じて片眼から入力される不鮮明な像(遠方視下では非優位眼の像、近視下では優位眼の像)からの干渉を抑制することが求められる。この抑制がすべての距離において柔軟に行なわれる必要があるため、眼優位性はできるだけ弱い必要がある。それ故、眼優位性の強さを術前に評価することはモノビジョンを成功させる上で重要な要素であり、より厳格な適応診断のために眼優位性定量法の開発が求められている。しかし、上記の通り、現状では眼優位性の有効な定量方法は知られていない。
従って、本発明は、眼優位性を定量化して測定することが可能な眼優位性の定量方法、及び装置を提供し、これにより、モノビジョン法への適応診断等、様々な応用を可能にすることを目的とする。
本発明者らは、眼優位性の評価法として視野闘争に着目した。視野闘争は左右眼に異なる像を提示した際に、両像が重なって、あるいは一方のみが知覚される現象である。上記の通り、視野闘争は従来もsensory eye dominanceの定性的判別法として利用されてはいたが、基本的に視覚と神経系における処理との相関を検討するための実験手法であり、眼優位性の定量法としての利用は考えられていなかった。
本発明者らは、左右眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを調整した際の優位眼/非優位眼の優位時間を比較することで眼優位性を定量的に評価できると考え、この仮説を実験的に立証した。同時に、本発明の測定条件によれば、sensory eye dominanceとsighting eye dominanceとを等価なものとして計測することが可能であり、これにより眼優位性を確実かつ定量的に測定する方法を確立して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の眼優位性の定量方法及び装置並びにこれを利用した種々の診断方法等を提供する。
1.明部と暗部の組み合わせからなる一対の視野闘争刺激図形を、両眼の視野を分離した状態で、被験者の両眼(優位眼と非優位眼)に同時に提示して優位眼の眼優位性を定量する方法であって、予め優位眼と非優位眼を識別し、非優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを固定し、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを段階的または連続的に変化させ、両眼における視野闘争刺激図形の知覚が同等になった時点で優位眼に提示されている視野闘争刺激図形のコントラスト値をもって優位眼の眼優位性を評価することを特徴とする眼優位性の定量方法。
2.(1)非優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを100%として固定し、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストも100%として、優位眼による知覚時間(tp0)と非優位眼による知覚時間(tn0)とをそれぞれ測定し、
(2)次に優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを段階的または連続的に変化させて、優位眼による知覚時間(tp)と非優位眼による知覚時間(tn)とをそれぞれ測定し、tp=tnとなる時点での優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラスト値(%)をもって優位眼の眼優位性を評価する前記1に記載の眼優位性の定量方法。
3.(1)非優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを100%として固定し、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストも100%として、優位眼による知覚時間(tp0)と非優位眼による知覚時間(tn0)とをそれぞれ測定し、
(2)次に優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを段階的または連続的に変化させて、優位眼による知覚時間(tp)と非優位眼による知覚時間(tn)とをそれぞれ測定し、tp>tnからtp<tnに逆転する前後の優位眼提示図形のコントラスト値から内挿して、tp=tnとなる時点のコントラスト値(%)を求める前記2に記載の眼優位性の定量方法。
4.優位眼と非優位眼をホール・イン・カード法により識別する前記1に記載の眼優位性の定量方法。
5.視野闘争刺激図形が、左眼と右眼で対称的な縞模様である前記1に記載の眼優位性の定量方法。
6.縞模様が空間周波数3cycle/deg以上の矩形波格子である前記5に記載の眼優位性の定量方法。
7.視野闘争刺激図形が、表示画面上に映し出される前記1に記載の眼優位性の定量方法。
8.視野闘争刺激図形が、被験者の両眼に投射される前記1に記載の眼優位性の定量方法。
9.視野闘争刺激図形が、レーザー光源またはハロゲン光源により被験者の網膜上に形成される干渉縞である前記1に記載の眼優位性の定量方法。
10.被験者が白内障患者である前記9に記載の眼優位性の定量方法。
11.前記1〜10のいずれかに記載の方法により定量した眼優位性の高低をもってモノビジョン法への適応性を予測するモノビジョン法適応度判定法。
12.前記1〜9のいずれかに記載の方法により定量した眼優位性の高低をもって緑内障の進行度を判定する緑内障の病態識別方法。
13.前記1〜9のいずれかに記載の方法により定量した眼優位性の高低をもって弱視の程度を判定する弱視の診断治療方法。
14.被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示する手段、被験者が一方の視野闘争刺激図形を他方に比べて優位に知覚したときにその結果を記録するための手段、前記記録に基づいて前記一定時間内に各視野闘争刺激図形が他方より優位に知覚された時間を積算する手段、少なくとも一方の視野闘争刺激図形のコントラストを増減させる手段を含み、両眼における視野闘争刺激図形の知覚時間が等しくなった時点における視野闘争刺激図形のコントラスト比を測定することを特徴とする優位眼の優位性定量装置。
15.前記被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示する手段が両眼の視野を仕切った暗箱内において両眼に対応する位置に設けられた表示装置である前記14に記載の装置。
16.前記被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示する手段が両眼に対応する鏡筒の末端面に設けられた表示装置である前記14に記載の装置。
17.被験者の両眼に対応する鏡筒を含む双眼鏡型スライド投射装置に、一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録したスライド板をセットして前記被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示する前記14に記載の装置。
18.前記被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示する手段がレチノメーターである前記14に記載の装置。
19.レチノメーターの光源がレーザー光源またはハロゲン光源である前記18に記載の装置。
20.同一コントラストの図形を、両眼の視野を分離した状態で被験者の両眼に同時に提示し、各図形が認識される時間の差を測定して優位眼の眼優位性を評価することを特徴とする眼優位性の定量方法。
21.被験者から得た情報により被験者が認識した図形がいずれの図形かを判別する方法が自覚的または他覚的方法である前記20に記載の眼優位性測定方法。
22.同一の段はコントラストが同一であり異なる段はコントラストが異なるように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録した眼優位性測定用スライド板。
23.一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録した眼優位性測定用スライド板。
24.一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数枚にわたって左右に記録した眼優位性測定用スライドと前記スライドを挿入することにより被験者の両眼に異なるコントラストの視野闘争刺激図形を投射する双眼鏡型スライド投射装置とを含む眼優位性測定キット。
本発明によれば、眼優位性の定量的評価が可能になり、モノビジョン法への適応性予測、緑内障の進行度判定、弱視の診断治療等に両眼視機能の個人差を判定する手法として幅広く応用が可能である。
本発明による眼優位性の定量装置の原理を表わす模式図。 本発明により視野闘争刺激図形の視標(縞)サイズと空間周波数と各種の条件として行なった本発明による眼優位性の定量方法の結果を示すグラフ。 本発明により眼優位性の定量方法の結果を示すグラフ。図3Aは優位眼刺激のコントラストに対する優位時間の変化を示し、図3Bは、試験群中の被験者における眼優位性の分布を示すヒストグラム。 試験群の被験者におけるモノビジョン満足度の分布を示すヒストグラム。。 モノビジョン満足度と眼優位性との関係を示すグラフ。図5Aはモノビジョン高満足群の結果を示し、図5Bはモノビジョン低満足群の結果を示す。
(1)眼優位性の定量方法
本発明による眼優位性の定量方法は、視野闘争刺激図形のコントラストに基づいて眼優位性を定量する。
視野闘争刺激図形は相異なる図形の対であり、左右の眼にこれらを提示したとき、被験者がいずれの図形を知覚しているかが被験者の報告から客観的に判定できる図形であればよい。一般には明部と暗部の組み合わせによって描かれる図形、パターン、符号その他であり、本願ではこれらを総称して視野闘争刺激図形と呼ぶ。
視野闘争刺激図形は、単純で違いが明確な図形が好ましく、典型的には異なる方向に描かれた縞模様である。本発明で好ましいのは左眼と右眼とで対称(すなわち、正中面に対して対称)な図形である。典型的には水平に対して45度の傾斜を持つ縞模様と水平に対して135度の傾斜を持つ縞模様との対である。
測定は、被験者の両眼の視野を分離した状態で、被験者の両眼(優位眼と非優位眼)に対となる視野闘争刺激図形を同時に提示することで行なう。被験者に、両眼の視野を分離してそれぞれ図形を提示する方法は種々知られており、本発明ではいずれの方法も用いることができるが、典型的には、図1に模式的に示すように、正中面に沿って内部に仕切り板を設けた暗箱を被験者に覗かせ、暗箱内部、通常は各眼に対向する位置に設けた表示装置上に対となる視野闘争刺激図形をそれぞれ表示する。仕切り板を設けた暗箱に代えて鏡筒の対を用いてもよい。いずれにせよ、両眼の視線が平行になり両眼の像が融像され得るように両眼に対する覗き穴の位置(鏡筒対の場合はその間隔)を調整し、被験者の焦点が視野闘争刺激図形に合うようにする。なお、装置については後で詳述する。
図1の例で言えば、装置を覗き込んでいる被験者の左右の眼球には、左右で対称的な方向を向いた縞模様(例えば、右眼には右上がりの縞模様、左眼には左上がりの縞模様)が画像として入力されている。ここで、眼優位性が全く存在しなければ両像は視覚中枢で統合され、被験者は碁盤の目のような格子図形を知覚する。しかし、いずれかの眼が優位である場合は、その眼に入力された信号が優先し他方の眼に入力されている像の知覚は劣後する。すなわち、図1の例で被験者の右眼が優位眼である場合、提示されている画像が、その向き以外において同等であれば、被験者は右上がりの縞模様をより明確に知覚する傾向がある。もっとも、眼優位性が極端に強くない場合には、被験者の注意の振り向け方により非優位眼の図形が知覚されるときもある。この場合には、被験者には左上がりの縞模様がより明確に知覚される。従って、被験者は、ある時間には融合像を、他の時間には優位眼像を、他の時間には非優位眼像を知覚する。
以下、本発明の定量方法の第1の態様と第2の態様について説明する。
(a)第1の態様
本発明の第1の態様における重要な特徴は、非優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを固定し、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを段階的または連続的に変化させ、両眼における視野闘争刺激図形の知覚が同等になった時点で優位眼に提示されている視野闘争刺激図形のコントラスト値をもって優位眼の眼優位性を定量評価することである。
すなわち、本発明の方法では、非優位眼に提示する視野闘争刺激図形を構成する明部と暗部のコントラストを予め固定する(このコントラストを100%とする)。最初に、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストも100%として、両眼に視野闘争刺激図形を提示する。ここで、優位眼知覚が非優位眼知覚に優る(すなわち、融合像知覚時間をt0、優位眼像知覚時間をtp、非優位眼像知覚時間をtnとして、tp>tn)場合、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを低減(例えば、80%)として、同様の測定を行なう。このとき、tp=tnであれば、眼優位性はその時点での優位眼のコントラスト(この例では、80%)として定量される。また、tp>tnの場合は、優位眼のコントラストを低減させて同様の測定を行なう。
このようにして、tp=tnとなる優位眼のコントラスト値を求めることで眼優位性を定量評価する。一般にはtpとtnとが正確に等しくなるのは稀であるので、tp>tnの段階から順次優位眼のコントラストを下げ、tp<tnに逆転したとき、その中間のコントラスト(内挿値)をもって眼優位性の定量値として評価すればよい。このように、測定は、通常、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを100%から順次低減させて行なうが、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを100%より低いレベルから増加させて行ってもよい。また、低減を基本としつつ、tpとtnとが逆転した場合にのみ視野闘争刺激図形のコントラストを増加させてさらに詳細にtp=tnとなるコントラストを探索してもよい(例えば、上記の例で、優位眼のコントラストを80%まで低減した時点でtp<tnであれば、優位眼のコントラストを90%前後まで高めて再試行してtp=tnとなるコントラストを探索する。)。
コントラストは非常に細かく(実質的に連続)設定してもよいが、通常は段階的(例えば、100%、80%、60%、40%、20%)に設定し、必要に応じてさらに細かく調節して測定を行なう。
本発明の方法では、好ましくは優位眼による知覚時間と非優位眼による知覚時間をそれぞれ計測する。すなわち、従来の視野闘争の研究では、1回の試行(例えば、1分間)で優位眼像の知覚と非優位眼像の知覚(場合によってはさらに融合像の知覚)をそれぞれ被験者に報告させ、上記tp、tnに相当する時間を計測している。この場合、被験者は、左右の眼に等しく注意を払い、いずれの像が優っているかを瞬時に判断評価し報告する。この方法が意味を持つためには、被験者が左右の眼(優位眼と非優位眼)に等しく注意を注ぎ得ることが必要であるが、現実には注意の偏りは不可避であり、また、測定時間を通して均等な注意を持続するのは困難である。
そこで、本発明の方法では、1つのコントラスト値に対する測定を少なくとも2回に分けて行い、優位眼による知覚時間と非優位眼による知覚時間をそれぞれ計測する。例えば、1回目は、被験者に非優位眼像にのみ注意を振り向けさせ非優位眼像が知覚されたときだけ報告させ、その時間を合計して非優位時間とする。次いで、2回目は被験者に優位眼像にのみ注意を振り向けさせ優位眼像が知覚されたときだけ報告させ、その時間を合計して優位時間とする。優位時間の計測と非優位時間の計測は反対の順番で行ってもよいし、それぞれ複数回繰り返してもよい。このような計測方法を採っても、tp、tnの比較は可能であるためどちらの知覚が優位であるかは判定可能である。また、後述の実施例に示すように、この方法により、統計的に有意に眼優位性を識別することができる。さらに、被験者は、予め決まった図形が見えているか否かのみに注意を払えばよいため、その負担も軽く、年齢を問わず安定した測定が可能になる。
被験者による報告は、所定の図形(優位時間の計測では優位眼側の図形、非優位時間の計測では非優位眼側の図形)が見えているときにボタンを押させ、ボタン押下時間を計測して行なう。
なお、前述のように、視野闘争刺激図形は左右の眼で対称的な縞模様が好ましく、より好ましくは空間周波数3cycle/deg以上、より好ましくは4cycle/deg以上の繰り返し周期を有する矩形波格子を直交させたものである。後述の実施例に示すように、3cycle/deg未満では縞の明部と暗部にコントラストを設けても、優位眼の識別が確実には行うことが難しい。
これまでの説明から理解されるように、縞模様である視野闘争刺激図形は、左右の眼に個別に入力されればよく、この点で、瞳孔内にレーザー光線等を導入して干渉縞を生じさせてもよい。この構成を採ることにより、表示装置への視野闘争刺激図形の提示では優位眼の識別が困難な白内障患者などについても優位眼の識別定量が可能になる。また、本発明の方法では、予め非優位眼と優位眼とを識別する必要があるが、これは任意の方法によって行えばよい。ホール・イン・カード試験が簡単で便利である。
(b)第2の態様
本発明の第2の態様における重要な特徴は、一対の同一コントラストの図形を、両眼の視野を分離した状態で被験者の両眼に同時に提示し、各図形が認識される時間の差を測定して優位眼の眼優位性を評価することを特徴とする。この場合、同一コントラストの図形は、例えば、前記一対の視野闘争刺激図形である。
各図形が認識される時間は、被験者に、対となる図形(例えば、右上がりの縞模様または左上がりの縞模様)のいずれかを見ているかをボタン押下等により報告させ、これを左右両眼に提示している実際の図形と照合して、いずれの眼の図形が見えているのかを判断する。各図形が認識される時間の差は、ボタン押下時間を計測して行なう。なお、ボタン押下により特定される図形と実際の図形との照合は、例えば、コンピュータ処理により行なうことができる。あるいは、何らかの他覚的方法方法を用いてもよい。
上述した第1の態様による方法と比較して第2の態様ではより短時間(5分の1程度)の時間での測定が可能である。
視野闘争刺激図形は、前記と同様に縞模様であることが好ましく、その構成等は前記と同様である。また、瞳孔内にレーザー光線等を導入して干渉縞を生じさせてもよく、これにより、表示装置への視野闘争刺激図形の提示では優位眼の識別が困難な白内障患者などについても優位眼の識別定量が可能になる。
(2)眼優位性の定量装置
(a)第1の態様
本発明による眼優位性の定量装置(第1の態様)は、被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示する手段、被験者が一方の視野闘争刺激図形を他方に比べて優位に知覚したときにその結果を記録するための手段、前記記録に基づいて前記一定時間内に各視野闘争刺激図形が他方より優位に知覚された時間を積算する手段、少なくとも一方の視野闘争刺激図形のコントラストを増減させる手段を含み、両眼における視野闘争刺激図形の知覚時間が等しくなった時点における視野闘争刺激図形のコントラスト比を測定することを特徴とする優位眼の優位性定量装置である。
図1に本発明による眼優位性の定量装置の原理を表わす模式図を示す。
図1において、装置1は、正中面に仕切板2を有する暗箱3と表示装置4、記録装置5及び制御装置6を含んでいる。
暗箱3と仕切板2は、被験者の右眼と左眼に相異なる視野闘争刺激図形を一定時間同時に提示するためのものであり、この機能を果たし得る限りにおいて形状や材質は任意である。基本的には、両眼に対応する覗き穴(接眼部)7aと7bとを有し、表示装置4までの間において両眼が互いに干渉を起こさないようにした視野8aと8bが確保されればよい。従って、暗箱3と仕切板2に代えて、両眼に対応する1対の鏡筒を用いて、周囲からの光の侵入を防いだ視野8aと8bを形成してもよい。
好ましくは、覗き穴(接眼部)は被験者の両眼間の間隔に合わせて距離を調整するための機構を備えている。暗箱を用いる場合、これは、覗き穴部分に横長なスリットを設け、接眼部をその中に摺動可能に嵌合することにより形成できる。このような機構は、各種の眼底検査装置等や視力検査装置で慣用されている。また、鏡筒対を用いる場合は、双眼鏡と同様な両眼間隔の調節機能を設ければよい。覗き穴(接眼部)7は好ましくは各種の光学系を挿入可能な構造とする。典型的には視力矯正用のレンズを受け入れる1または複数のレンズ枠構造体である。このような構造体は当業者にはよく知られている。
図1に示すように覗き穴(接眼部)の内側には鏡9aと9b、10aと10bを設けてもよい。図1からわかるように、大きな視野闘争刺激図形を提示しようとすると、対となる図形の中心位置の間隔を両眼間の間隔(成人で10cm程度)より大きくしなければならない。この結果、被験者がそれぞれの眼で各図形の中心を見るためには視線を外方向に引き離さなければならないが、これは困難でストレスを生じ、両図形を均等に見ることができなくなる。図1に示すように、鏡9aと9b、10aと10bを設ければ、表示装置からの画像は被験者の眼前に誘導されるため、被験者は両眼を正面に向け、視線を平行に保ったまま、両図形の中心を無理なく固視できる。
表示装置4は、十分なコンストラストで視野闘争刺激図形を表示できるものであればよい。そのような表示装置の例としては、CRT、液晶表示装置(反射型を除く)、蛍光管表示装置、プラズマディスプレイ、有機EL等が挙げられる。十分なコントラストが実現できるのであれば、コストや装置構成のしやすさの点から液晶表示装置が望ましい。表示装置に視野闘争刺激図形を表示するには、例えば、ビデオテープやDVD等の記録媒体再生装置からの映像信号によってもよいが、測定結果に応じて任意にコントラストを変更するなど、柔軟な操作を行なう観点からはコンピュータからの信号によって図形を表示するのが好ましい。
記録装置5は、知覚状態と非知覚状態とを報告する2値スイッチ手段、例えば、押しボタンである。これも表示装置と同様の理由でコンピュータ(制御装置6)に接続する装置であることが好ましい。一般には、被験者が所定の図形を知覚した際に直ちに押下でき、暗箱を覗き込んでいる状態で押下状態と非押下状態との差異が容易に認識できるような機構(例えば、コンピュータのマウスに用いられているようなクリッカー、携帯電話機の数字ボタンに用いられているような圧電式ボタン、キーボードに用いられているような機械的反発機構を備えたキー)が好ましい。なお、ボタン以外にも同等な目的を達成できる手段を用いることができる(例えば、レバー、ダイアル、タッチパネルなど)。
なお、好ましくは、被験者の視線が覗き穴(接眼部)の中心軸上に安定して固定されるように、被験者の顎下に支持台(図示していない)を設ける。
制御装置6は、画像を表示するとともに被験者からの報告(記録装置への入力)を受け付け、各優位時間を集計する。また、例えば、測定結果に応じて自動的に優位眼側のコントラストを増減して次の試行を行なうなどのプログラムを含むことが好ましい。制御装置6は、さらに外部入出力装置(モニター、キーボード、プリンター等)及び外部記録装置(ディスクドライブ)等を有してもよい(図1参照)。
定量方法に関連して既に説明したように、眼球外に図形を表示する上記構成に代えて被験者の網膜上に干渉縞を直接投影ないし表示してもよい。ハロゲン光やHe−Neレーザーを光源とした干渉縞を瞳孔を通じて眼内に入れると網膜面上に干渉縞が生じることは比較的古くから知られており(LeGrand,1935)、レチノメーターとして市販されている。本発明の装置では、各種のレチノメーターを用いることが可能である。一般に眼球外に図形を表示する構成では、両眼とも視力が0.6程度必要であり,白内障が進行した患者等では適用が困難である。これに対し、レーザー光源またはハロゲン光源を用いたレチノメーターによる場合は中間透光体の混濁の影響を受けないため、白内障の程度に関わらず眼優位性を定量的に評価できる。
(b)第2の態様
本発明による眼優位性の定量装置(第2の態様)は、両眼に等しいコントラストの図形を提示する点を除けば、第1の態様の装置がそのまま利用できる。但し、第2の態様の装置はより簡便に構成することが可能であり、例えば、対となる図形は同一コントラストであり、異なる対はコントラストの異なる複数対の視野闘争刺激図形を含むデータセットと前記データセット中の所望の一対を被験者の両眼に両眼の視野を分離した状態で提示する表示装置とで構成できる。
装置は、被験者から得た情報により被験者が認識した図形がいずれの図形かを判別する識別記録手段をさらに備えてもよい(その構成は第1の態様と同様でよい)。
前記データセットは、第1の態様と同様に画像表示装置にコンピュータによって表示してもよいが、第2の態様では、対となる図形は同一コントラストであるため、例えば、同一の段はコントラストが同一であり異なる段はコントラストが異なるように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって記録したスライド板を用い、表示装置としては前記スライド板の任意の段の図形の対を被験者の両眼に両眼の視野を分離した状態で提示し得る装置を用いることができる。
従って、本発明はこのような同一の段はコントラストが同一であり異なる段はコントラストが異なるように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって記録したスライド板にも及ぶ。コントラストは例えば、100%、80%、60%、40%、20%とすることができる。
このスライド板には、各段ごとに適当な係止部(例えば、溝、孔、凹部、凸部または鋸歯状の凹凸等)を設け、これを両眼に密着可能な対眼部を有する2鏡筒式のスライド投影機に挿入し、スライド板をスライドさせることで適当なコントラストにおいて視野闘争刺激図形間の測定を行なうことができる。
なお、ここで第2の態様として説明した装置は、第1の態様の測定方法にも応用可能である。すなわち、左右の視野闘争刺激図形が所定のコントラスト比で記録されている(例えば、一方の側の図形のコントラストが100%であり、他方の側の図形のコントラストが100%、80%、60%、40%、20%と逓減している)スライド板を用いれば、上記第1の態様の測定方法にも利用できる。この場合、スライド板を上下あるいは左右を逆転させて利用可能なものとすれば、いずれの眼が優位眼でも対応し得る。
以上の説明では、図形のコントラストを100%、80%、60%、40%、20%と順次減少させるものとして説明したが、これ以外のコントラストでもよい。また、コントラストや図形の向きをランダムに設計し、例えば、スライド板にそうした特徴を識別する符号等を記載しておき、この符号等を前記装置の制御部に入力することにより、両眼に提示される図形の対応を識別してもよい。
また、スライド板は複数枚としてもよい。例えば、一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数枚にわたって左右に記録した眼優位性測定用スライドと前記スライドを挿入することにより被験者の両眼に異なるコントラストの視野闘争刺激図形を投射する双眼鏡型スライド投射装置とを含む眼優位性測定キットとして構成すれば、簡便に利用することができる。
なお、以上のいずれの態様においても、双眼鏡型スライド投射装置は慣用のバックライトを有するものでもよいし、自然光を利用したものでもよい。いずれの場合も投射装置のスライドと光源との間には不透明フィルムを設けて背景の影響を排除する。
(3)各種診断方法への応用
本発明者らが本方法による眼優位性の定量方法を用いて行なった実験により、眼優位性の強度とモノビジョンへの適応度とは有意な相関を示すことが判明した。従って、本発明はモノビジョン法への適応予測方法として有用である。具体的には、本発明の方法により優位眼の優位性が比較的弱い(例えば、優位眼に提示する視野闘争刺激図形のコントラストを非優位眼に提示する視野闘争刺激図形80〜60%程度にした時点で、優位に知覚される図形の逆転が起こる)場合は、モノビジョンへの適応度が高いと予測される。また、優位眼の優位性が比較的強い(例えば、優位に知覚される図形の逆転が起こる前記コントラストが20%以下程度である)場合は、モノビジョンへの適応度が低いと予測される。
また、今日の眼科診療、特に視覚機能においては両眼の完全屈折矯正(両眼視)によって良好な両眼機能を維持することが最良とされ、片眼ごとに測定された屈折値・視力値をもとに屈折矯正が行なわれている。しかしながら、日常の生活では両眼開放の状態で物をみているため、優位眼と非優位眼が片眼視(視力検査時)のときと同様な機能(感度・調節・注意など)であるという確証はない。臨床的に不同視(左右眼の屈折状態に差がある)を有する患者も多く、左右眼の屈折矯正量(屈折矯正量の左右差)を誤ると強い眼精疲労を生じさせてしまう。この矯正適応量は非常に個人差が大きく一定の基準(+2.0D以上は困難)はあるものの、この個人差を屈折矯正施行前に判定する術はない。強い不同視(+3.0D以上)を有する患者は両眼とも良好な視力を維持している者と強度屈折異常眼に弱視(非優位眼)を発症する患者に分かれる。
本発明者らが本方法による眼優位性の定量方法を用いて行なった実験により、不同視量と眼優位性の強さに強い関連性が認められた。以上のことから眼優位性定量法は両眼視機能の個人差を判定する手法としても有用である。
両眼視機能の個人差は、眼科治療の基礎データとして非常に大きな有用性が期待されるが、例えば、各種眼疾病の病態識別(例えば、緑内障の進行度を判定する緑内障の病態識別方法)や機能訓練(例えば、弱視の程度を判定し、それに応じて訓練方法をプログラムまたは調整する弱視の診断治療方法)としても有用である。
実施例1:眼優位性定量測定装置の構成
1面が開放された暗箱を正中面に沿って仕切り板で二分し、前記開放面をディスプレイ(三菱電機株式会社製RDF171S)表面に密着するように設置した。仕切り板及び暗箱内面は同等の低反射性材料を用いた。ディスプレイと暗箱の端部との空隙は光が漏れないように遮光材料で塞いだ。
ディスプレイの対面側には仕切り板の両側に位置するように約10cmの間隔を置いて覗き穴を設け、その前面に眼科で常用される頭部支持台を設置し、被験者が額と顎を固定し暗箱の内部を覗き込めるようにした。覗き穴内部には2枚の鏡を互いに回転可能にかつ対面するように設置し、被験者が覗き穴から内部を除いたときに、視線を平行に保ったまま、ディスプレイ上の図形の中心に焦点が合うように設計した。覗き穴と表示装置との間の距離(光学系間の光路を含む)は50cmとした。
仕切り板によって分けられるディスプレイの左右片面の中央には、それぞれ右傾き(45°)と左傾き(135°)の矩形波格子である闘争刺激図形を映し出した。これらの矩形波格子は、コンピュータ出力により形成した。闘争刺激の最大輝度と最小輝度は、それぞれ110cd/m2と0.2cd/m2である。闘争刺激の背景輝度は53.1cd/m2である。輝度はLS−100光度計(ミノルタ株式会社製)によって測定した。
装置の側部には被検者が知覚した闘争刺激図形を報告するための入力装置(ボタン)を置き、所定の計測時間内におけるボタン押下時間の合計を計算できるように、前記入力装置をコンピュータに接続した。
コンピュータは次の各プログラムを含む。(i)闘争刺激を提示するプログラム、(ii)被検者の反応を記録し保存するプログラム、および(iii)データ解析をするプログラム。
実施例2:Sighting eye dominanceとsensory eye dominanceの関係
軽度屈折異常以外に眼科的疾患のみられない正常被検者14名(平均年齢22歳)に対してホール・イン・カード試験を行い、各被験者について優位眼(sighting eye dominance)を決定した。
被験者は実施例1の装置に額と顎を固定し、必要に応じ暗箱内に置かれた左右各2枚の鏡によって各眼の視線が平行になり、両眼の像が融像できるように調整した。試験の実施に際しては、暗箱の内部にある右眼・左眼別々の視野闘争刺激図形を覗き、各視野闘争刺激図形の中央部を固視するように指示した。
視野闘争刺激図形は視標(縞)サイズが2、4、8degであり、空間周波数がそれぞれ1、2、4c/degの矩形波格子を用いた。ホール・イン・カード試験で事前に判別した非優位眼側の図形コントラストを100%(110cd/m2:0.2cd/m2)とし、優位眼のコントラストは100%、80%、60%、40%、20%と段階的に低下させた。
測定は優位眼測定(優位眼刺激の優位時間)と非優位眼測定(非優位眼刺激の優位時間)に分けて行った。すなわち、初めに優位眼のコントラストを100%として、優位眼刺激を注意させ、優位眼側の図形が優位に知覚された時にボタンを押させた。次いで、条件は同等に保ったまま、今度は非優位眼刺激を注意させ、非優位眼側の図形が優位に知覚された時にボタンを押させた。この操作を優位眼のコントラストを順次低減させつつ繰り返した。各測定は1分間かけて行ない、測定ごとに1分間の間隔を空けた。すべての測定は3回繰り返した。
被検者は全員、刺激のサイズ及び空間周波数に関わらず視野闘争を認識できた。結果を図2にまとめて示す。9枚のパネルは視標(縞)サイズを左から順に2deg、4deg、8degとした結果である。また、空間周波数については上から順にそれぞれ1、2、4c/degとした結果である。各パネルの縦軸は優位眼(黒丸)および非優位眼(白丸)の優位時間の変化を、横軸は優位眼側の視野闘争図形のコントラストを示す。
図からわかるように、いずれの条件でもは優位眼の優位時間はコントラストの低下に伴って僅かな変化を示し、コントラスト20%での優位時間はコントラスト100%の優位時間よりも短い(ANOVA(分散分析)、p>0.05)。一方、非優位眼測定時の優位時間は、優位眼刺激コントラストの低下に伴って僅かな動揺を伴う変化を示した。しかしながら刺激パタ−ンに関わらずこの優位時間の変動パタ−ンに有意性は認められなかった(ANOVA、p>0.05)。
また、全体として優位眼の優位時間は非優位眼の優位時間よりも長いが、空間周波数が1と2c/degの場合は両者が逆転するケースがあり得る。これに対し、空間周波数が4c/degの場合は、優位眼の平均優位時間は非優位眼の平均優位時間よりも長く、有意差が認められた(Mann−WhitneyのU検定、p<0.05)。
なお、以上の結果からは、ホール・イン・カード試験による優位眼(sighting eye dominance)と本発明の条件による視野闘争刺激図形による優位眼(sensory eye dominance)との間に不一致は全くみられない。
実施例3:眼優位性定量法
軽度屈折異常以外に眼科的疾患のみられない正常被検者20名(平均年齢21歳)に対してホール・イン・カード試験を行ない、各被験者について優位眼(sighting eye dominance)を決定した。
実施例2と同様な操作で実験を行ない、上記各20名について優位眼の優位時間が非優位眼の優位時間と逆転する優位眼図形のコントラストを求めた。結果を図3A及び3Bに示す。
優位眼の優位時間は優位眼刺激のコントラスト低下に伴いが徐々に減少していく傾向を示し、優位時間の最大値(コントラスト100%)と最小値(コントラスト20%)の間には有意差が認められた(Wilcoxonの符号付順位検定、p<0.05)。一方、非優位眼は優位眼刺激のコントラスト低下に伴い優位時間が徐々に増大していく傾向を示し、優位時間の最大値(優位眼コントラスト20%)と最小値(優位眼コントラスト100%)の間に有意差が認められた(Wilcoxonの符号付順位検定、p<0.05)。
優位眼刺激のコントラストが100%の時、優位眼の優位時間は非優位眼の優位時間を上回った(Mann−WhitneyのU検定、p<0.05)。しかし、優位眼刺激のコントラストが20%の時、非優位眼の優位時間が優位眼の優位時間を上回った(Mann−WhitneyのU検定、p<0.05)。従って、優位眼の優位時間と非優位眼の優位時間は、優位眼刺激のコントラストを100%から20%まで低減していくことにより必ず逆転するポイントを有する。この逆転点(非優位眼が優位眼の優位時間を上回るポイント)の分布を図3Bに示す。被検者の多数(75%)は80%・60%において逆転点を示した。しかし、その他の被検者(25%)は40%・20%において逆転点を示した。
このように本発明の方法によれば、個体間での眼優位性の差異が明確かつ定量的に計測可能である。
実施例4:臨床応用――モノビジョン満足度と眼優位性の強さの関係
実施例2及び3の結果に基づいて、非優位眼刺激の優位時間が優位眼刺激の優位時間を上回る際の優位眼のコントラストを「眼優位性の強さ」として評価し、この眼優位性とモノビジョン満足度との相関関係について検討した。
両眼に白内障を有し、短焦点眼内レンズ(AQ−110NV,CanonSTAAR)挿入術を施された老視患者20名を対象とした。年齢は36〜74歳の範囲に及び、平均年齢60歳であった。いずれも白内障術後6ヶ月以上経過している。なお、いずれの患者についても十分な説明を行なった後、同意を得てモノビジョン(優位眼を遠方矯正、非優位眼を近方矯正)施術を行なっている。
優位眼をホール・イン・カード試験によって決定して実施例2〜3と同様の測定を行なった。詳細は実施例2〜3と同様であるが,50cmに維持されている視野闘争刺激図形に焦点が合うよう+2.0Dの球面レンズを用いて屈折矯正を行なった。すべての患者はコントラスト変化に関わらず視野闘争を認識できた。
また、モノビジョンについては、遠方・近方の見え方、眼精疲労の有無、立体感(遠近感)、全体的な満足度の4項目について患者満足度を質問し、これら4項目について4段階(good(0),bad(1),worse(2),worst(3))に分類することで数的に評価した。
結果を図4に示す。この結果に示されるように、20名の患者は満足群16名(不満足度指数=0)と不満足群4名(不満足度指数>1)の2群に分けることができた。
高満足群と低満足群の間における年齢、性別、遠見・近方視力、立体視において有意差は認められなかった(Mann−WhitneyのU検定、p>0.05)。しかしながら、満足度指数においては高満足群と低満足群の間に有意差が認められた(Mann−WhitneyのU検定、p<0.05)。
図5Aと図5Bには高満足群と低満足群の優位眼刺激のコントラスト低下に伴う優位時間の変化をそれぞれ分けて示す。図5Aに示すように高満足群においては優位眼(白丸)のコントラストが80%〜60%に低下しただけで逆転点を示した。一方、図5Bに示すように、低満足群においては優位眼のコントラストが20%程度まで低下しなければ逆転が起こらなかった。
このように、高満足群の逆転点と低満足群の逆転点との違いは明瞭であり、高満足群の逆転点と低満足群の逆転点には有意差が認められた(Mann−WhitneyのU検定、p<0.05)。
実施例5:レチノメーターによる測定−1
実施例1の測定装置に代えて、1対のレチノメーター(LANBDA 100 Retinometer, HEINE社製;ハロゲン光源)を用いて、本発明の眼優位性定量法により無屈折矯正下(裸眼)にて健常青年55名(年齢19〜28歳,平均年齢22.5歳)の眼優位性を定量評価した。優位眼決定はホール・イン・ワンテストにより行い、矯正視力は優位眼−0.1、非優位眼−0.1、屈折値(等価球面)は優位眼−1.80D±1.9D、非優位眼−1.60±2.0Dであった。
[測定方法]
一対のレチノメーターを用いて、ハロゲン電球を光源とした45°と135°の直交する干渉縞(視野闘争刺激)を被験者の優位眼と非優位眼の網膜に投影した。干渉縞は赤黒の縞を持つ5°の円形のパターンであり、瞳孔領内の光束は0.1mm以下である。また干渉縞は1.8c/deg(視力換算値0.06、ただし干渉縞は任意に変換できる)である。
被験者の優位眼・非優位眼網膜に投影された優位眼刺激・非優位眼刺激がそれぞれ60秒間で優位に知覚された時間を測定し、その際の優位眼優位時間(秒)と非優位眼優位時間(秒)の優位時間の差(秒)によって眼優位眼の強さを評価した。眼優位性の強さは、弱い群から順に優位時間差が5秒以下、5秒以上10秒未満、10秒以上20秒未満、20秒以上の4群に分類することで定量的に評価した。
[結果]
この結果、屈折異常の程度に関わらず、視野闘争刺激が知覚され、優位眼の優位時間は非優位眼の優位時間よりも長く、優位差が認められた(p<0.05)。
眼優位性の強さは弱い群から順に優位時間差が5秒以下の群が17名、5秒以上10秒未満の群が21名、10秒以上20秒未満の群が12名、20秒以上の群が5名と分けられた。
このように、眼優位性には大きな個人差が生じることが判明し、また本発明の眼優位性定量方法によれば、屈折異常の程度に影響されずに測定することが可能であることが確認された。
実施例6:レチノメーターによる測定−2
実施例5と同様のレチノメーターを用いて、白内障患者10名(視力0.1〜1.0)について眼優位性を定量評価した。この結果、眼優位性の強さは弱い群から順に優位時間差が5秒以下の群が3名、5秒以上10秒未満の群3名、10秒以上20秒未満の群2名、20秒以上の群2名の4群に分けられた。これにより、本発明の眼優位性定量法によれば、白内障の程度に関わらず、眼優位性を定量することが確認できた。
実施例7:双眼鏡式眼優位性装置による測定−1
一方の側の図形のコントラストが100%であり、他方の側の図形のコントラストが100%、80%、60%、40%、20%と逓減しているスライド板を用い、両眼に対応する鏡筒の末端面に視野闘争刺激図形を表示する双眼鏡式眼優位性測定装置を用いた他は、実施例1と同様の方法で無屈折矯正下(裸眼)にて健常青年40名の眼優位性を定量評価した。その結果、実施例1と同様の結果が得られ、スライド板を用いた双眼鏡式眼優位性装置によっても、実施例1と同一の原理による測定が可能であることが確認できた。
実施例8:双眼鏡式眼優位性装置による測定−2
同一の段はコントラストが同一であり異なる段はコントラストが異なるように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録したスライド板を用い、両眼に対応する鏡筒の末端面に視野闘争刺激図形を表示する双眼鏡式眼優位性測定装置を用い、いずれの図形が認識されているかを実施例1と同様の方法で調べて無屈折矯正下(裸眼)にて健常青年40名の眼優位性を定量評価した。その結果、実施例1と同様の結果が得られ、スライド板を用いた双眼鏡式眼優位性装置によっても、実施例1と同一の原理による測定が可能であることが確認できた。
本発明によれば、従来、定量的測定がなされていなかった眼優位性の定量的測定が可能になる。このため、モノビジョン法への適応性予測、緑内障の進行度判定、弱視の診断治療等を含め、両眼視機能の個人差を判定する手法として幅広く応用が可能である。
1 装置本体
2 仕切板
3 暗箱
4 表示装置
5 記録装置
6 制御装置
7a、7b 覗き穴(接眼部)
8a、8b 視野
9a、9b、10a、10b 鏡

Claims (6)

  1. 被験者の右眼と左眼に、空間周波数4cycle/deg以上の矩形波格子からなる対称的な縞模様の視野闘争刺激図形を直交させて一定時間同時に提示する手段、被験者が一方の視野闘争刺激図形を他方に比べて優位に知覚したときにその結果を記録するための手段、前記記録に基づいて前記一定時間内に各視野闘争刺激図形が他方より優位に知覚された時間を積算する手段、少なくとも一方の視野闘争刺激図形のコントラストを増減させる手段を含み、両眼における視野闘争刺激図形の知覚時間が等しくなった時点における視野闘争刺激図形のコントラスト比を測定する優位眼の優位性定量装置。
  2. 前記被験者の右眼と左眼に対称的な縞模様の視野闘争刺激図形を直交させて一定時間同時に提示する手段が両眼に対応する鏡筒の末端面に設けられた表示装置である請求項1に記載の装置。
  3. 被験者の両眼に対応する鏡筒を含む双眼鏡型スライド投射装置に、一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録したスライド板をセットして前記被験者の右眼と左眼に一定時間同時に提示する請求項1または2に記載の装置。
  4. 同一の段はコントラストが同一であり異なる段はコントラストが異なるように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録した請求項1〜3のいずれかに記載の装置で使用する眼優位性測定用スライド板。
  5. 一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数段にわたって左右並列に記録した請求項1〜3のいずれかに記載の装置で使用する眼優位性測定用スライド板。
  6. 一方の側はコントラストが同一であり他方の側はコントラストが逓減するように視野闘争刺激図形を透明シート上に複数枚にわたって左右に記録した請求項5に記載の眼優位性測定用スライドと前記スライドを挿入することにより被験者の両眼に異なるコントラストの視野闘争刺激図形を投射する双眼鏡型スライド投射装置とを含む眼優位性測定キット。
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