JP2010262480A - 制御盤 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業用プラントの制御盤において、低電圧化、小型化が進むなかで入出力信号線や電源供給線から侵入する外来ノイズの影響が高まり、制御盤の誤動作によるプラントの稼動停止の問題が深刻になってきた。
【解決手段】制御盤にノイズ検出演算装置10と制御盤コントローラ20を追加し、入出力信号線や電源線のノイズを検出し、複数の信号を演算して、外来ノイズを判定する。制御盤処理装置4が外来ノイズによって誤動作し、制御盤が停止した場合には、制御盤コントローラ20はノイズ検出演算装置10のノイズ判定結果と制御盤処理装置4の状態を把握しながら制御盤コントローラ20の所定のプログラムにより、制御盤処理装置4を再起動し、制御盤を復帰する。
【選択図】図1

Description

本発明は、工業用のプラント、特に発電・製造プラントなどで使用される機器の制御盤において、外部からのノイズに対して、検出、誤動作防止機能を持ち、安定したプラントの運転、稼動を指向した制御盤の構成に関する。
発電・製造プラントにおける制御盤は、各種プラント信号の入力・処理、プラント制御のための制御信号出力、処理信号の記録、他の制御盤との信号送受、などを行い、プラントの運営上において極めて重要な機器である。このため、プラントの制御盤は高い信頼性が要求される。また、プラントの停止などにつながりかねない、制御盤外部からのノイズによる誤動作を極力、防止する必要がある。
これらの制御盤内で使用される実装機器においては、動作電圧が低下する傾向にある。また、小型化のために機器・部品が接近し、配線間距離も小さくなっている。したがって、これらの要因によっても高い耐ノイズ性と高信頼化が求められている。
また、現状においても、製作した制御盤はその完成時に耐ノイズ試験を実施し、誤動作がないことを確認する。しかし、実際のプラントで使用する場合、制御盤の設置環境やほかのノイズによる誤動作が問題となることもある。
つまり、制御盤自体では耐ノイズ性が十分であっても、信号線や電源線を通して予期せぬ外来ノイズが混入して誤動作に至る可能性がある。したがって、プラント全体の信頼性確保するため、これら外来ノイズの制御盤への流入を確実に防止することが求められている。
また、ノイズ環境は種々変化し、さらに厳しくなっている状況においては、外来ノイズが流入するのを単に防ぐのみならず、信号線や電源線の状況をモニタしてノイズの侵入を監視し、必要に応じて対策を立てることも求められている。
さて、現状の制御盤は、もっぱら、ノイズ混入を防止することに力を注いでいる。例えば、特許文献1では、外部から制御盤内に侵入する電磁波ノイズによる誤動作を防止するため、金属筐体に入れた各装置を金属ボルトで固定し、さらにシールドすることでシールド効果を増強するものである。
また、特許文献2では、制御盤内部の配線を短くして電圧降下とノイズの影響を低減する制御盤を提案している。
また、制御盤以外の類似技術として、特許文献3がある。これは、プリンタの紙やギアーを検出するセンサに混入する外部ノイズを検出するものであり、検出の同時性と検出時間幅が設定条件を満たしたとき、検出信号をノイズと判定するものである。
特開平7−263889号公報 特開2002−262413号公報 特開2007−201619号公報
しかしながら、前記した特許文献1に示す方法では、空間を伝搬して制御盤の隙間から侵入するノイズには効果的であるが、信号線や電源線を伝わってくるノイズには効果がないという問題があった。
また、前記した特許文献2に示す方法は、制御盤内のノイズに関して対策するもので、前記した方法と同じく信号線や電源線を伝わってくるノイズには効果がない。
したがって、前記文献1、2に開示された制御盤の耐ノイズ技術は、信号線や電源線を伝わってくるノイズには効果がなく、かつ、ノイズ状況をモニタする機能はないという問題があった。
また、前記特許文献3に示す方法はプリンタなど、比較的小型の装置に対する手法であり、プラントの制御盤のように、接続される線の長さが長くしかも一定でない場合、外部から侵入するノイズの同時性と時間幅の条件設定が難しい。したがって、プラントの制御盤への適用には難しいという問題があった。
また、従来においては、一度、制御盤が停止すると、誤動作の原因を究明して、その後、再起動するため、多大の時間と労力を要した。さらには製品製造の劣化や、最悪、プラント全体に対して熱的、機械的ストレスを与える場合もあるという問題があった。
そこで本発明の目的は、外来ノイズに適切に対処可能な制御盤を提供することである。
前記の課題を解決して、本発明の目的を達成するために、各発明を以下のように構成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、各種制御機器と制御機器に必要な装置を有する制御盤において、前記制御盤を制御処理する制御盤処理装置と、前記制御盤に結線される複数の配線の信号のノイズ成分を抽出する手段と、該複数のノイズ成分を重畳演算する手段と、前記ノイズ成分の重畳演算結果が設定強度を超えるか否かの判定をするノイズ判定手段と、を含んでなるノイズ検出演算装置と、前記ノイズ検出演算装置によるノイズ判定結果と前記制御盤処理装置の動作状態から、設定したプログラムに従って前記制御盤処理装置を動作させる制御盤コントローラと、を備え、前記ノイズ検出演算装置が設定強度を超えたノイズがあったと判定し、かつ前記制御盤処理装置が誤動作により停止した場合、前記制御盤コントローラがノイズ検出演算装置の信号と制御盤処理装置の状態を示す信号を受けて、あらかじめ設定したプログラムで前記制御盤処理装置を作動させる機能を有する。
かかる構成において、制御盤に結線される複数の配線の信号のノイズ成分がそれぞれ検出され、かつ合算されて制御盤全体への影響度が把握される。万が一、制御盤処理装置がノイズの影響を受けて、停止したとき、ノイズが原因と判定された場合には、制御盤コントローラにより前記制御盤処理装置の動作状態を考慮しながら設定したプログラムに従って制御盤処理装置を作動させる。
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の前記制御盤処理装置を作動させる機能が前記制御盤処理装置を再起動させる機能である。
かかる構成において、万が一、制御盤処理装置がノイズの影響を受けて、停止した場合において、設定したプログラムに従って、制御盤処理装置を再起動させる。
請求項3に記載の発明は請求項1に記載の前記制御盤コントローラがマイクロプロセッサと、プログラムROMと、演算処理用RAMと、を有する。
かかる構成において、万が一、制御盤処理装置がノイズの影響を受けて、停止した場合において、プログラムROMに格納された制御盤処理装置の再起動手順に従って、演算処理用RAMを用いて、マイクロプロセッサがより機能的に制御盤処理装置を再起動させる。また、プログラムROMを用いているので、ユーザがあらかじめ望ましい種々の動作のプログラムを設定する。
請求項4に記載の発明は請求項1または請求項3に記載の前記制御盤コントローラが前記ノイズ検出演算装置との間、および前記制御盤処理装置との間、のそれぞれの信号伝達に用いる入力信号もしくは出力信号が光信号によって伝達される。
かかる構成において、制御盤コントローラはノイズ検出演算装置との間、および前記制御盤処理装置との間の信号のやり取りにおいて、光信号を用いる。したがって、電気的信号は用いないので、信号線による電気的(静電、電磁)ノイズは受けずに制御盤コントローラは適正な動作をする。
請求項5に記載の発明は請求項1、請求項3もしくは請求項4の一つに記載の前記制御盤コントローラにおいて、前記制御盤コントローラの電源が電池である。
かかる構成において、制御盤コントローラの電源は電池であるので、電源からの電気的(静電、電磁)ノイズは受けずに制御盤コントローラは適正な動作をする。
請求項6に記載の発明は請求項1に記載の前記ノイズ検出演算装置において、バンドパスフィルタと検波器を有する。
かかる構成において、ノイズ検出演算装置は信号とノイズ成分を分離し、ノイズ成分の大きさを検出する。
請求項7に記載の発明は請求項1もしくは請求項6に記載の前記ノイズ検出演算装置において、加算器を有する。
かかる構成において、ノイズ検出演算装置は各信号のノイズ成分の大きさを加算し、ノイズ全体の大きさを検出できる。
請求項8に記載の発明は請求項1に記載の前記ノイズ検出演算装置が複数個あり、前記制御盤に結線される複数の配線がグループに分けられて、前記複数個のノイズ検出演算装置にそれぞれ入力している。
かかる構成において、ノイズの頻度や強さ、あるいは結線箇所などの特徴で複数の配線がグループ化され、それぞれ別々にノイズが抽出され、演算され、検出される。
請求項9に記載の発明は請求項1、請求項3、請求項4、もしくは請求項5の一つに記載の前記制御盤が複数個からなり、かつ複数個の制御盤のなかのある制御盤コントローラは前記複数個の制御盤のノイズ検出演算装置の判定結果の論理和で動作させる機能を備えた。
かかる構成において、複数個の制御盤のノイズ成分を把握でき、より全体的なノイズの影響を検出できる。
本発明によれば、外来ノイズに適切に対処可能な制御盤を提供することができる。
本発明に係る制御盤の第1の実施形態の装置の構成図である。 本発明に係る制御盤の第1の実施形態のノイズ検出演算装置の構成図である。 本発明に係る制御盤の第1の実施形態におけるノイズ検出演算装置の各部の波形を示す図である。(a)はノイズの乗ったアナログ信号例であり、(b)はフィルタと検波器を通したノイズ成分であり、(c)はノイズの乗ったデジタル信号例であり、(d)はフィルタと検波器を通したノイズ成分であり、(e)はノイズ成分を加算したものである。 本発明に係る制御盤の第1の実施形態における制御盤コントローラの構成図である。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(制御盤の第1の実施形態)
図1は本発明に係る制御盤の第1の実施形態を示す各装置の構成図である。図1において、制御盤1は、制御盤内の各装置に電源を供給する電源装置2、制御盤における入力信号、および出力信号を管理する信号入出力装置3と、制御盤を制御する制御盤処理装置4と、制御盤処理装置4の処理結果と状態を表示する状態表示装置5と、制御盤内の複数のケーブル(配線)のノイズ成分を検出・演算・判定するノイズ検出演算装置10と、ノイズ検出演算装置10のノイズ判定結果と制御盤処理装置4の動作状態から、あらかじめ設定したプログラムに従って、制御盤処理装置4を動作(再起動含む)させる制御盤コントローラ20から構成されている。
さて、制御盤の外部からの入力信号、出力信号、および電源はノイズ検出演算装置10を経由する。このとき、ノイズ検出演算装置10は前記入力信号、出力信号、および電源のノイズを検出する。また、ノイズを検出する過程において、信号処理し、重畳演算し、設定強度を超えているか否かの判定をする。なお、このノイズ検出演算装置10のより詳しい構成と動作については後記する。
ノイズ検出演算装置10を経由した電源は電源装置2に入力し、電源装置2によって所定の電圧に変換される。ここでは電源の交流100Vから直流電圧に変換して、信号入出力装置3、制御盤処理装置4、状態表示装置5、ノイズ検出演算装置10に直流電圧電源を供給している。
ノイズ検出演算装置10を経由した入力信号は信号入出力装置3に入力する。なお、信号入出力装置3には、プラントのセンサ類からの信号、あるいは他の制御盤からの信号が入力されている。また、制御盤処理装置4で処理された信号は信号入出力装置3を経由し、かつノイズ検出演算装置10を経由して、他の制御盤やプラント運転機器などに出力されている。
制御盤処理装置4は信号入出力装置3や制御盤コントローラ20からの信号を受けて制御盤の動作を制御、処理する。
状態表示装置5は制御盤処理装置4の入出力信号や処理後の信号を受けて、制御盤に係わる各種情報データの表示、あるいは記録をする。
制御盤コントローラ20はノイズ検出演算装置10と制御盤処理装置4とから信号を受けている。それとともに制御盤処理装置4に指示、制御の信号を出力する。
(制御盤へのノイズ混入)
さて、このような制御盤1において、電源線や入出力信号線にノイズが混入することがある。このとき入出力信号そのものも、各々、アナログ、デジタルの信号形態やその振幅レベルに差がある。また、その入出力信号の本数は、一般的には非常に多い。このような制御盤で、様々の形態のノイズが混入し、それが原因で、制御盤処理装置4で誤動作が発生することがある。
制御盤処理装置4が誤動作で停止すると、プラントそのものが停止することもあり、混乱を招く。このとき、原因がノイズであることがノイズ検出演算装置10により検出され、かつ制御盤処理装置4の異常を把握すれば制御盤コントローラ20が、制御盤処理装置4の再起動などの処置をあらかじめ設定したプログラムにしたがって行う。なお、この制御盤コントローラ20のより詳しい構成と動作については後記する。
以上が、外部ノイズによって制御盤処理装置4が誤動作をしても、プラントの稼動に支障がでないような復旧動作を自動的に行う制御盤1の構成と作用の概要である。
なお、以上において、ノイズ検出演算装置10、制御盤コントローラ20を設けたのが本実施形態の特徴である。
また、状態表示装置5は人が立ち会って監視する場合や、後記するようにノイズ発生の事実のみをログとして記録に残す場合には有益であるが、監視を自動的に行う場合には必須要件ではない。
また、電源装置2と信号入出力装置3は制御盤を構成する場合には一般的に使用される装置であって、本実施形態の特徴要件ではない。
以下、本実施形態の大きな特徴であるノイズ検出演算装置10と、制御盤コントローラ20について順に詳細に説明する。
(ノイズ検出演算装置)
次にノイズ検出演算装置10の実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の特徴であるノイズ検出演算装置10の構成図である。ノイズ検出演算装置10はN個の信号検出部器14−i(1≦i≦N)と、N個の信号検出部器14−iの検出信号を合算する加算器11と、加算器11の加算結果が設定強度を超えるか否かの判定をする比較器12と、比較器12の電気信号を光信号に変換する電気−光変換素子13から構成されている。
なお、前記N個の信号検出部器はiを整数のパラメータとして、i番目の信号検出部器14−i(1≦i≦N)はノイズを抽出するバッファ14−i−1と、ノイズと信号を分別するバンドパスフィルタ14−i−2と、正の信号に置き換える検波器14−i−3で構成されていて、ノイズ信号を検出する機能をもっている。バッファ14−i−1はコイルもしくはコンデンサによる電磁的結合手段と、増幅器を有している。バッファ14−i−1を信号線や電源線が通過する際に、コイルもしくはコンデンサによる電磁的結合手段により、ノイズを含む入力信号(電源線の変動も含む)を抽出する。このとき、信号線の信号には影響を極力、与えない程度の微弱な電磁的結合にとどめる。したがって、抽出されたノイズを含む入力信号は微弱であるので増幅器で増幅する。そして、増幅したノイズを含む入力信号をバンドパスフィルタ14−i−2に送る。
バンドパスフィルタ14−i−2は、ノイズ信号の周波数帯域にあわせてその通過周波数帯を決めてあり、信号線や電源線に流れる電気信号とノイズとが異なる周波数帯となるような接続線を選定し、信号線や電源線からノイズ成分を分別、抽出する。この分別、抽出されたノイズ成分の信号を検波器14−i−3に送る。
検波器14−i−3は各ノイズ成分を合算する際に都合のよい正の信号とするためにノイズ成分を検波する。なお、信号検出部器14−iは、あらかじめ選定した信号線、または、電源線の計測点の数だけ用意されており、本実施例ではN個ある。
各信号検出部器14−i(1≦i≦N)の検出信号は、加算器11で加算(演算)される。なお、ここでは演算として単純に加算器を用いて、各信号の各ノイズ成分の影響を足し合わせ(加算)ている。
なお、信号検出部器14−iにおけるノイズの検出波形例と加算(演算)波形例については後記する。
また、加算器11で検出信号を加算(演算)した信号は比較器12に入力し、入力信号が設定値以上であれば、比較器12はノイズ検出信号を出力する。比較器12のノイズ検出信号はLED(Light Emitting Diode)による電気−光変換素子13を通り、光信号として、光ファイバ30に出力される。
なお、以上において、N個の信号検出部器14−i(1≦i≦N)が「複数の配線の信号のノイズ成分を抽出する手段」に、また、検出信号を演算する加算器11が「複数のノイズ成分を重畳演算する手段」に、また、比較器12が「ノイズ成分の重畳演算結果が設定強度を超えるか否かの判定をするノイズ判定手段」にそれぞれ対応する。
(信号検出部器におけるノイズの検出の波形例)
図3は、前記した信号検出部器14−iにおける検出波形の例を示す図である。縦軸に信号強度、横軸に時間を表している。
図3(a)と(c)は各々アナログ信号線とデジタル信号線に外来ノイズが混入した例である。外来ノイズの伝搬に伴う遅延や、多重反射によるノイズ時間幅の変化があり、検出されるノイズ信号は、到達時刻や持続時間に差が生じる。
図3(b)と(d)は、ノイズをバンドパスフィルタで抽出し、検波した波形を示している。
なお、(a)のノイズ信号をバンドパスフィルタで抽出、検波した波形が(b)であり、また、(c)のノイズ信号をバンドパスフィルタで抽出、検波した波形が(d)である。
また、図3(e)は、複数のノイズ検波波形を加算器で加算した結果の波形例である。多数の検波波形を加算した結果は、ノイズ発生後の検出強度が増加する。(e)ではノイズの許容限界の比較レベルを示し、その比較レベルを超した場合を例示している。
つまり、図3の(e)で比較レベルを超えた場合、図2の比較器12は外来ノイズを検出したと判定し、ノイズ検出信号を出す。さらに電気−光変換素子13を経て光信号として出力する。以上に述べたように、ノイズ検出演算装置10は、あらかじめ選定した信号線、または、電源線に侵入したノイズの発生を検出し、合算し、判定する機能を有している。
(制御盤コントローラ)
図4は、図1に示した制御盤コントローラ20の構成を示す図である。制御盤コントローラ20はコントローラ21と、光−電気変換器2104、2106と、電気−光変換器2107と、方向性結合器2105、および電池22から構成されている。
コントローラ21は更にプログラムROM(Read Only Memory)2102と、演算処理用RAM(Random Access Memory)2103と、マイクロプロセッサ2101と、から構成されている。マイクロプロセッサ2101はプログラムROM2102に格納された不揮発性メモリのプログラムにしたがって、演算処理用RAM2103を随時、用いながら所定の制御処理を行う。
なお、プログラムROM2102は不揮発性のメモリで構成されているので、ノイズや電源遮断などがあってもプログラム内容は消えることはない。
また、制御盤コントローラ20に対し、光ファイバ30、31で二つの入出力信号(30)、(31)が結合されている。光ファイバ30はノイズ検出演算装置10からのノイズ検出信号を伝えるものであり、光ファイバ31は制御盤処理装置4と連結するものである。光ファイバ30を介して、ノイズを検出した光信号が制御盤コントローラ20の光−電気変換器2104に入力し、光−電気変換器2104で電気信号に変換されてマイクロプロセッサ2101に入力している。
一方、光ファイバ31は制御盤処理装置4に接続され、制御盤コントローラ20のなかの方向性結合器2105を通り、光−電気変換器2106によって電気信号に変換されてマイクロプロセッサ2101に入力される。マイクロプロセッサ2101からの出力電気信号は、電気-光変換器2107によって光信号に変換し、方向性結合器2105を通って光ファイバ31に出力され、制御盤処理装置4に信号を送る。方向性結合器2105は公知であるので詳細な説明は略すが、光ファイバの光信号の通過方向を規定するものである。
以上により、マイクロプロセッサ2101は外来ノイズの発生を検知できる。また、制御盤処理装置4の状態を示す信号も得ている。したがって、コントローラ21、さらに制御盤コントローラ20はノイズの発生状況や制御盤処理装置4の状態を把握し、プログラムROM2102に格納されたプログラムにしたがって、適正な指示、制御の信号を制御盤処理装置4に送ることができる。
また、制御盤コントローラ20のなかの構成部品において、本実施形態では、コントローラ21、電気−光変換器2107、光−電気変換器2104、2106、あるいはエネルギー源が必要である部品はすべて電池22から供給する。
なお、制御盤コントローラ20は、外部との結線は光ファイバだけであり電気的に完全に外部と遮断してある。
また、制御盤コントローラ20の電源は電池22から供給しているので、ノイズ源となりかねない電源配線とは接続されていない。
また、ノイズなどで動作プログラムに支障が起こらないよう、書き換えのできないROM2102にしてある。
以上から、制御盤制御盤コントローラ20は信号線、電源線からのノイズから隔離されているので、電気信号のノイズによる誤動作は起こりえない。換言すると外来ノイズの影響を受けない。
(外来ノイズによって制御盤が誤動作した場合)
以上の制御盤の1の構成において、制御盤制御盤コントローラ20は外来ノイズの影響を受けないが、その他については外来ノイズの影響を受けることがありうる。そこで、信号線、もしくは電源線を通して外来ノイズが入り、これが原因で制御盤1、もしくは制御盤処理装置4が誤動作した場合における復帰の動作について述べる。
このとき、制御盤処理装置4の誤動作の原因は外来ノイズであるから、このノイズが一過性であればプラントの制御を続け、プラントの停止などプラントの稼動に影響を与えない操作が望まれる。
さて、ノイズ検出演算装置10によって、外来ノイズが検出され、かつ判定レベルを超えて、ノイズ検出信号が出力され、かつ制御盤処理装置4が誤動作したとする。このとき、ノイズ検出信号は光ファイバ30によって、また、制御盤処理装置4の異常状態は光ファイバ31によって、制御盤コントローラ20に伝達される。制御盤コントローラ20のなかにおいては、コントローラ21のなかのマイクロプロセッサ2101が前記ふたつの信号を受けて、制御盤処理装置4の状況をも判断して、プログラムROM2102に格納されたその状況のプログラム、例えば再起動のプログラムを呼び出し、そのプログラムにしたがって、演算処理用RAM2103も活用して、コントローラ21は再起動の手順を制御盤処理装置4に指示する。つまり、原因が外来ノイズであることが、はっきりしており、制御盤1が原因ではないので速やかに再起動する。
以上により、外来ノイズによる誤動作の場合は再起動により、制御盤は正常な状態に復帰する。なお、これらの動作は全体のプラントの運営に影響を及ぼす前に、素早く判定して、速やかに再起動し、短時間に正常な状態に戻す。
また、再起動のさせ方においても、制御盤処理装置4では停止直前のプラントデータを不揮発性の記憶装置にバックアップするなどの公知の方法でデータを確保し、プラントの制御を滞ることなく継続させる方法もある。
また、制御盤処理装置4の処理プログラムが外来ノイズで変更を受けるおそれがある場合は、あらかじめ記憶してあるプログラム情報と制御盤処理装置4内の処理プログラムとを比較して再起動をするモードも選択できる。
なお、以上は再起動により、復帰する例を示したが、再起動とは必ずしも限らない。より実際の動作としては、前記ノイズ検出演算装置10によって、外来ノイズが検出され段階において、マイクロプロセッサ2101が、ROM2102格納のプログラムに従い、制御盤処理装置4の動作状況をチェックし、このチェックした動作状況に従い、制御盤処理装置4をどのように動作させるか決定する。
また、以上の過程において、制御盤処理装置4の動作状況をチェックする段階があるが、このときの制御盤処理装置4の動作状況としては、例えば制御盤処理装置4の誤動作状態、制御盤処理装置4のプログラム停止で動作の待機状態、通常の処理動作状態などがある。したがって、判定レベルを超えて、ノイズ検出信号が出力された場合においても、対応措置は様々である。
また、外来ノイズが検出された場合でも、制御盤処理装置4が正常に動作しているならば、ノイズ検出があった事実のみを、制御盤処理装置4を経由し、状態表示装置5に転送してログとして残すのみでもよい。
以上、どのような対応措置をとるかの選択は、プラントの規模、プラントに対する制御盤の重要度、プラント制御のスピード、プラントユーザの考え方などで決定されるものである。
本実施例においては、これらの制御盤処理装置4の動作モードの選定は、制御盤コントローラ20内のROM2102に内蔵される処理プログラムとしてあらかじめ決めておくが、どのような動作選択もプログラムの仕方によって可能であると同時に、外来ノイズに対する機能を決める重要な選択である。
また、以上に述べたように、本実施形態によれば外来ノイズで制御盤の処理装置が制御機能を停止した場合でも、速やかに制御機能の回復が可能となり、プラントの運転、稼動を安定化させることのできる制御盤を提供できる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、ひとつの制御盤1のなかに複数個のノイズ検出演算装置10があり、制御盤1に結線される複数の配線が、ノイズの頻度や強さ、あるいは結線箇所などの特徴でグループに分けられて、複数個のノイズ検出演算装置10にそれぞれ入力している。これらの複数個のノイズ検出演算装置10はグループ化された配線毎にノイズが抽出され、演算され、ノイズのレベルを判定される。これらの複数個のノイズ検出演算装置10の判定結果はグループ毎のノイズレベルの判断にも利用される。また、複数個のノイズ検出演算装置10の判定結果が演算され、統合されて、制御盤1の全体としての判定、判断に用いられる。
本実施形態では配線毎の特徴によりグループ化されたノイズ検出がなされているので、より的確なノイズ検出、原因の解析、あるいは対応策がとり易いという効果がある。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、複数の制御盤のノイズ検出演算装置10からのノイズ検出信号で制御盤コントローラ20を動作させるものである。図1で示したように、制御盤に入出力される信号線などは、他の制御盤にも並行に入出力されるため、ある制御盤の入出力線に侵入した外来ノイズが他の制御盤への入出力線のノイズとなる可能性もある。このため、プラント制御盤全体での監視が必要となることがある。
本実施形態例では、プラント制御盤全体のうち、あらかじめ選択した制御盤についてノイズ検出信号のオア(OR、論理和)を取り、この信号で選択制御盤の動作を決める。つまり、図1でノイズ検出演算装置10の光ファイバ出力が複数の他の制御盤に接続され、各制御盤コントローラ20が複数の光ファイバ出力の論理和をもってノイズ検出と判定する。
本実施形態は、関連する複数の制御盤にノイズが原因の誤動作による停止が発生する場合に、そのプラントへの影響回避に有効である。
(その他の実施形態)
本発明は前記の実施形態に限定されるものではない。以下に例をあげる。
ノイズ検出演算装置10において、各ノイズを加算器11で演算した例を示したが、外来ノイズの伝搬にともなう遅延や多重反射によるノイズ時間幅に変化があるので、単なる加算ではなく、一定時間における積分を加味してもよい。また、各信号のノイズに対する影響度が異なる場合には各信号の検出信号間において重みをつけて後、加算をする演算をしてもよい。つまりは、重畳演算という概念での合算を行う方法をとってもよい。
また、電源装置2に外部から交流100Vの電源を供給し、電源装置2で直流の所定の電圧に変換する例を示したが、直流の電圧を電源装置2に入力することもある。
また、ノイズ検出演算装置10のみを別電源とすることもある。さらには、装置毎に電源装置を備えることもある。
また、電気−光変換素子13としてはLEDを用いる例を示したが、半導体レーザ素子などの他の発光素子でもよい。
また、以上においては、比較的大きなプラントに用いられる制御盤を想定し、入力する信号線の本数が多いことや、複数の制御盤がある場合を例にとったが、信号線や電源線からのノイズの影響が問題となることは制御盤やプラントの規模には直接には関係しないことであるので、本発明は単独の制御盤や小型の制御盤においても適用できる。
発電・製造プラントは産業上において重要な位置を占めている。また、制御盤はプラント運転に欠くことのできない構成要素である。プラント内では重電機器やインバータ機器などノイズ発生を伴う大型機器が運転される一方、制御盤は低電圧化、小型化が進み、ノイズの影響をますます受けやすくなっている。したがって、本発明のノイズ検出や誤動作のときの復帰機能をもった制御盤は広く採用されていく可能性がある。また、前記の問題は発電・製造プラントに限らず、共通の課題とする分野もある。様々な分野の制御盤において、本発明のノイズ対策が浸透していく可能性がある。
1 制御盤
2 電源装置
3 信号入出力装置
4 制御盤処理装置
5 状態表示装置
10 ノイズ検出演算装置
11 加算器
12 比較器
13、2107 電気−光変換器
14−i 信号検出部器
14−i−1 バッファ
14−i−2 バンドパスフィルタ
14−i−3 検波器
20 制御盤コントローラ
21 コントローラ
22 電池
30、31 光ファイバ
2101 マイクロプロセッサ
2102 ROM
2103 RAM
2104、2106 光−電気変換器
2105 方向性結合器

Claims (9)

  1. 各種制御機器と制御機器に必要な装置を有する制御盤において、
    前記制御盤を制御処理する制御盤処理装置と、
    前記制御盤に結線される複数の配線の信号のノイズ成分を抽出する手段と、該複数のノイズ成分を重畳演算する手段と、前記ノイズ成分の重畳演算結果が設定強度を超えるか否かの判定をするノイズ判定手段と、を含んでなるノイズ検出演算装置と、
    前記ノイズ検出演算装置によるノイズ判定結果と前記制御盤処理装置の動作状態から、設定したプログラムに従って前記制御盤処理装置を動作させる制御盤コントローラと、を備え、
    前記ノイズ検出演算装置が設定強度を超えたノイズがあったと判定し、かつ前記制御盤処理装置が誤動作により停止した場合、前記制御盤コントローラがノイズ検出演算装置の信号と制御盤処理装置の状態を示す信号を受けて、あらかじめ設定したプログラムで前記制御盤処理装置を作動させる機能を有することを特徴とする制御盤。
  2. 請求項1において、
    前記制御盤処理装置を作動させる機能が、前記制御盤処理装置を再起動させる機能であることを特徴とする制御盤。
  3. 請求項1において、
    前記制御盤コントローラがマイクロプロセッサと、プログラムROMと、演算処理用RAMと、を有することを特徴とする制御盤。
  4. 請求項1もしくは請求項3において、
    前記制御盤コントローラが前記ノイズ検出演算装置との間、および前記制御盤処理装置との間、のそれぞれの信号伝達に用いる入力信号もしくは出力信号が光信号によって伝達されることを特徴とする制御盤。
  5. 請求項1、請求項3もしくは請求項4の一つにおいて、
    前記制御盤コントローラの電源が電池であることを特徴とする制御盤。
  6. 請求項1において、
    前記ノイズ検出演算装置において、バンドパスフィルタと検波器を有することを特徴とする制御盤。
  7. 請求項1もしくは請求項6において、
    前記ノイズ検出演算装置において、加算器を有することを特徴とする制御盤。
  8. 請求項1において、
    前記ノイズ検出演算装置が複数個あり、前記制御盤に結線される複数の配線がグループに分けられて、前記複数個のノイズ検出演算装置にそれぞれ入力していることを特徴とする制御盤。
  9. 請求項1、請求項3、請求項4もしくは請求項5の一つにおいて、
    前記制御盤が複数個からなり、かつ複数個の制御盤のなかのある制御盤コントローラは前記複数個の制御盤のノイズ検出演算装置の判定結果の論理和で動作させる機能を備えたことを特徴とする制御盤。
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