JP2010261056A - 船舶用プロペラ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐キャビテーション・エロージョン性と海洋生物に対する防汚性の両特性を兼ね備え、それと共に海洋生物に対する防汚対策のためのコストが抑えられた船舶用プロペラを提供する。
【解決手段】船体を推進させる推進力を発生させるためのプロペラ本体3(4)の外表面5に、Ni:3重量%以下、Cr:25〜35重量%、W:4〜20重量%、Fe:3重量%以下、C:4重量%以下を含有し、残部:Co及び不可避的不純物よりなるCo基合金の組成を有する溶射皮膜6を成膜する。
【選択図】図1

Description

本発明は、船体に推進力を発生させる船舶用プロペラに関し、特に、保護皮膜の形成により耐キャビテーション・エロージョン性及び海洋生物に対する防汚性が付与された船舶用プロペラに関する。
船舶用の推進装置に使用される船舶用プロペラには、近年の船舶の大型化、高速化に伴いキャビテーションによるエロージョン(壊食)が発生する場合がある。船体の技術開発等により船舶の推進効率を向上させることが行われているが、船舶用プロペラのキャビテーション・エロージョンの影響で、船舶の推進効率を十分なレベルに引き上げられないことが問題となっている。この問題を解決すべく、船舶用プロペラの構造を改良して当該船舶用プロペラに耐キャビテーション・エロージョン性を付与することが検討されているが、このような改良は極限にまで達しているのが現状である。
そこで、船舶用プロペラに耐キャビテーション・エロージョン性を付与する他の方法として、船舶用プロペラの表面に、耐キャビテーション・エロージョン性に優れた保護皮膜を形成することが考えられる。この場合に適用可能な技術として、例えば特許文献1及び特許文献2が挙げられる。特許文献1では、液体等の環境下で使用される各種機器の部材表面に、高C高Si含有溶接金属粉体をプラズマ溶接法で肉盛層を形成することで、当該部材表面の耐キャビテーション・エロージョン性を向上させている。また、特許文献2では、水車ランナ又はインペラを備える水力機械において、流水による衝撃を受ける部位に、オーステナイト系ステンレス鋼を肉盛溶接して当該部位に耐キャビテーション・エロージョン性を付与している。
その一方で、船舶の長期間にわたる運行により、船舶用プロペラに貝やフジツボ等の海洋生物が付着し、これが成長して大型化すると、船舶の速度及び燃料効率に悪影響を及ぼす。その対策として、例えば特許文献3では、プロペラを導電性金属で形成すると共にその表面に多孔性のクロム基層を電着形成し、さらにこのクロム基層の表面をフッ素樹脂で覆うことで、船舶用プロペラへ貝等の海洋生物を付着しにくくすることが開示されている。さらに、特許文献4では、海水接触構造物の防汚方法として、海水接触構造物の表面を耐食性金属で被覆して陰極とし、これに対向して配置した陽極との間に直流電流を流すことで当該表面にエレクトロコーティング層を形成させ、海洋生物が付着した後に、電極間に逆電流を流し、エレクトロコーティング層を溶解除去することで貝等の海洋生物を除去することが開示されている。
特開平6−170584号公報 特開2001−107833号公報 特開平8−207890号公報 特開2002−317282号公報
上記特許文献1及び特許文献2においては、耐キャビテーション・エロージョン性に関する点のみであり、上記特許文献3、特許文献4においては、それぞれ船舶用プロペラへ海洋生物を付着しにくくすること、海水接触構造物の防汚方法に関する点のみである。つまり、これらの特許文献に記載された保護皮膜のいずれも、耐キャビテーション・エロージョン性と海洋生物に対する防汚性の両特性を兼ね備えた船舶用プロペラとすることはできない。特に、特許文献3の船舶用プロペラでは、表面のフッ素樹脂がキャビテーションにより剥がれてしまうことが予想されるため海洋生物に対する防汚性さえも十分ではない。さらに、特許文献3では金属層だけでなく、樹脂層をも形成することを要し、特許文献4では海洋生物が付着した後に電極間に逆電流を流す作業が必要となることから、特許文献3及び特許文献4に開示された技術では、海洋生物に対する防汚対策のためのコストが嵩んでしまうという問題もある。
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、耐キャビテーション・エロージョン性と海洋生物に対する防汚性の両特性を兼ね備え、それと共に海洋生物に対する防汚対策のためのコストが抑えられた船舶用プロペラを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明の船舶用プロペラは、船体を推進させる推進力を発生させるためのプロペラ本体の外表面に保護皮膜が形成された船舶用プロペラであり、前記保護皮膜は、Ni:3重量%以下、Cr:25〜35重量%、W:4〜20重量%、Fe:3重量%以下、C:4重量%以下を含有し、残部:Co及び不可避的不純物よりなる組成を有するCo基合金で形成されていることを特徴とするものである。
上記本発明の船舶用プロペラとすれば、プロペラ本体の外表面に、Ni:3重量%以下、Cr:25〜35重量%、W:4〜20重量%、Fe:3重量%以下、C:4重量%以下を含有し、残部:Co及び不可避的不純物よりなる組成を有する保護皮膜が形成されていることにより、これらの組成の特徴から耐キャビテーション・エロージョン性及び海洋生物に対する防汚性の両特性を、船舶用プロペラへ付与することができる。さらに、樹脂層が不要とされ、海洋生物が付着した後に電極間に逆電流を流して皮膜を除去するという作業が不要であるため、海洋生物に対する防汚対策のためのコストを抑えることができる。
上記保護皮膜をプロペラ本体の外表面に形成する方法として、多様な方法を採用することができる。例えば溶射方法によるものが挙げられ、この溶射方法の中でも、前記保護皮膜を、高速フレーム溶射法又は減圧プラズマ溶射法により形成することが好ましい。これらの溶射方法を採用することにより、上記組成を有する保護皮膜の耐キャビテーション・エロージョン性と海洋生物に対する防汚性をより効果的に発現させることができる。
プロペラ本体の外表面に形成される保護皮膜の厚みは、船舶用プロペラが使用される船舶やその船舶が運航される環境等に応じて適宜変更されるものであるが、当該保護皮膜の厚みは0.1〜1.0mmであることが好ましい。この厚みの保護皮膜とすることで、優れた耐キャビテーション・エロージョン性を発現させると共に製造コストを抑えることができる
前記保護皮膜の表面の硬さが、ビッカース硬度で200以上であることが好ましい。この硬さの保護皮膜とすることで、耐キャビテーション・エロージョン性と海洋生物に対する防汚性をさらに向上させることができる。
上記の通り、本発明によれば、プロペラ本体の外表面にCo基合金よりなる保護皮膜を形成することにより、耐キャビテーション・エロージョン性と海洋生物に対する防汚性の両特性を兼ね備えたものとすることができる。さらに、樹脂層が不要とされ、海洋生物とともに皮膜を除去するという作業が不要であるため、海洋生物に対する防汚対策のためのコストを抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る船舶用プロペラの斜視図と、プロペラ本体の表層の断面拡大図である。 超音波振動式キャビテーション壊食試験装置の概略図である。 耐キャビテーション・エロージョン性試験の試験結果を表す棒グラフである。 防汚性試験の試験結果を表す棒グラフである。 海中へ浸漬後の試験片(皮膜有り)の表面写真である。 試験片(皮膜有り)の断面像(図5のA線断面像)である。 試験片(皮膜有り)の断面像(図5のB線断面像)である。 海中へ浸漬後の試験片(皮膜無し)の断面分析像である。 試験片(皮膜無し)に付着したフジツボを除去した後の表面写真である。
本発明者が鋭意検討した結果、船舶用プロペラのプロペラ本体の外表面の保護皮膜を、Co基合金で形成された溶射皮膜とすることで、耐キャビテーション・エロージョン性だけでなく、海洋生物に対する防汚性をも備えたものとできることを見いだし、本発明を完成するに至った。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る船舶用プロペラ1の斜視図と、その表層2の断面拡大図である。この船舶用プロペラ1は、図示しない船体の推進装置に連結されるシャフト3と、このシャフト3の外周3aから半径方向へ延びる翼部4とで主に構成されている。同図の表層2の断面拡大図に示すように、この船舶用プロペラ1のシャフト3(プロペラ本体)と翼部4(プロペラ本体)の外表面5には、保護皮膜6が形成されている。
上記保護皮膜6は、プロペラ本体3、4の外表面5に、Ni:3重量%、Cr:30重量%、W:4.5重量%、Fe:3重量%、C:1.1重量%を含有し、残部:Co及び不可避的不純物よりなる組成を有するCo基合金の粉体が溶射されて形成された溶射皮膜である。従って、この溶射皮膜6は、当該組成を有するCo基合金よりなるものである。当該溶射皮膜6の組成としては、Ni:3重量%以下、Cr:25〜35重量%、W:4〜20重量%、Fe:3重量%以下、C:4重量%以下を含有し、残部:Co及び不可避的不純物よりなるものとするのが好適である。このような組成を採用することで、溶射皮膜6が海洋生物に浸食されにくく、かつ当該溶射皮膜6と海洋生物との密着性が低減され、海洋生物に対する防汚性を向上させることができ、更に耐キャビテーション・エロージョン性を向上させることができる。
上記各成分に関して上記範囲とした理由は次のとおりである。Niについては、3重量%を超えると耐キャビテーション・エロージョン性を十分に向上させることができない。Crについては、25重量%未満であると耐腐食性が低下し、35重量%を超えると皮膜が脆くなる。Wについては、4重量%未満であると必要な硬度が得られず、20重量%を超えると皮膜が脆くなる。Feについては、3重量%を超えると錆が発生し易くなる。Cについては、4重量%を超えると皮膜が脆くなる。
また、保護皮膜6を形成する方法として、本実施形態のように溶射法を採用することで耐キャビテーション・エロージョン性を格段に向上させることができる。上記溶射法としては、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、フレーム溶射法等の各種の方法が挙げられるが、特に高速フレーム溶射法、或いは減圧プラズマ溶射法が好ましい。高速フレーム溶射法を採用することで、溶射皮膜6とプロペラ本体3、4の外表面5との密着性が高まることと、溶射皮膜6の緻密な組織構造が得られることで、高耐久性を有しかつ強固な溶射皮膜6とすることができる。また、減圧プラズマ溶射法を採用することで、溶射皮膜6を構成する金属粒子間の結合力を強くすることと、溶射皮膜6の緻密な組織構造が得られることで、高耐久性を有しかつ強固な保護皮膜6とすることができる。
溶射皮膜6の厚みは、0.1〜1.0mmであることが好ましい。その理由は、0.1mm未満であると、耐キャビテーション・エロージョン性が十分でなく、また1.0mmを超えると、成膜に長時間を要することで製造コストが嵩み、1.0mmを超える厚みに対する特性(耐キャビテーション・エロージョン性、海洋生物に対する防汚性)の格段の向上が認められないからである。
また、溶射皮膜6の表面6aの硬さは、ビッカース硬度で200以上であることが好ましい。表面6aの硬さをビッカース硬度で200以上とすれば、次のような効果を奏する溶射皮膜6とすることができる。第1の効果として、海洋生物が当該表面6aから内部へ浸食しにくくなることから、海洋生物と溶射皮膜6との密着性が小さくなる。海洋生物と溶射皮膜6との密着性が小さくなるので、海洋生物が、見かけ上、溶射皮膜6の表面6aへ付着していても、船舶用プロペラ1の回転時における水流等により当該表面6aから海洋生物を簡単に脱離させることができる。これにより、優れた防汚性を発揮させることができる。第2の効果として、プロペラ本体3、4にキャビテーションが発生しても、溶射皮膜6の表面6aの硬さが影響し、プロペラ本体3、4の外表面5にエロージョンを引き起こすことを防止できる。これにより、優れた耐キャビテーション・エロージョン性を発揮させることができる。
さらに、従来技術で必要とされていた樹脂層が本実施形態では不要とされ、また、海洋生物が付着した後に電極間に逆電流を流して皮膜を除去するという作業が不要であるため、海洋生物に対する防汚対策のためのコストを抑えることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
溶射皮膜を形成した試験片を作製し、耐キャビテーション・エロージョン性試験及び海洋生物に対する防汚性試験を実施した。
(耐キャビテーション・エロージョン性試験)
船舶用プロペラの素材として多く用いられているニッケル・アルミニウム青銅鋳物(CAC703)を基材として下記の試験片を作製し、図2に示す超音波振動式キャビテーション壊食試験装置10にこの試験片を取り付けて耐キャビテーション・エロージョン性試験を行った。なお超音波振動式キャビテーション壊食試験装置は、ASTMG−32規格に準拠したものを自社で製作した。この超音波振動式キャビテーション壊食試験装置10は、超音波の周波数で振動を発生させ、試験片を上下に振動させるための超音波振動子11と、この超音波振動子11の下部に設けられ、試験片12が下端に取り付けられるホーン部13と、ホーン部13を冷却するための冷却水槽14とを備えている。冷却水槽14の中に設けられた図示しない試験液槽には、試験液15が溜められており、この試験液15に試験片12を浸漬した状態で、当該試験片12を超音波振動子11により振動させ、同試験片12の表面にキャビテーションを発生させる。
超音波振動式キャビテーション壊食試験装置10における試験条件は、超音波発振出力の最大値:1.2kW、振動周波数:19.5kHz、振動振幅:50μm、60μm、70μm、試験液温度:25±0.5℃、試験時間:6時間とし、耐キャビテーション・エロージョン性は、エロージョン速度(単位時間あたりに減少する試験片重量)で評価した。
[実施例]
(実施例1)減圧プラズマ溶射法(VPS)により0.5mmのCo基合金皮膜を基材へ成膜した。Co基合金の組成は上記実施形態の組成とした。
(実施例2)高速フレーム溶射法(HVOF)により0.5mmのCo基合金皮膜を基材へ成膜した。Co基合金の組成は上記実施形態の組成とした。
(実施例3)大気プラズマ溶射法(APS)により0.5mmのCo基合金皮膜を基材へ成膜した。Co基合金の組成は上記実施形態の組成とした。
[比較例]
(比較例1)基材へ皮膜を成膜しないものとした。
(比較例2)大気プラズマ溶射法(APS)により0.5mmのAl(アルミナ)皮膜を基材へ成膜した。
(比較例3)高速フレーム溶射法(HVOF)により0.5mmのCrC(クロムカーバイド)皮膜を基材へ成膜した。
(比較例4)高速フレーム溶射法(HVOF)により0.5mmのWC(タングステンカーバイド)皮膜を基材へ成膜した。
試験結果の棒グラフを図3に示す。なお、各実施例、各比較例の数値は次のとおりである。
実施例1:0.01mg/min、実施例2:0.10mg/min、実施例3:0.27mg/min、比較例1:0.14mg/min、比較例2:0.53mg/min、比較例3:0.26mg/min、比較例4:0.22mg/min。
以上の試験結果から、実施例1及び実施例2は比較例1(基材)を含め比較例2、比較例3、比較例4よりも耐キャビテーション・エロージョン性に優れていることが認められる。このことから、減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法でCo基合金皮膜を成膜することで、船舶用プロペラに、優れた耐キャビテーション・エロージョン性が付与されていることがわかる。
(海洋生物に対する防汚性試験)
上記のニッケル・アルミニウム青銅鋳物(CAC703)を基材として下記の試験片を作製し、海中へ2ヶ月間、浸漬して海洋生物に対する防汚性試験を行った。海洋生物に対する防汚性は、フジツボ(海洋生物)の付着数量で評価した。
[実施例]
(実施例1)高速フレーム溶射法(HVOF)により0.5mmのCo基合金皮膜を基材へ成膜した。Co基合金の組成は上記実施形態の組成とした。
[比較例]
(比較例1)大気プラズマ溶射法(APS)により0.5mmのAl(アルミナ)皮膜を基材へ成膜した。
(比較例2)高速フレーム溶射法(HVOF)により0.5mmのCrC(クロムカーバイド)皮膜を基材へ成膜した。
(比較例3)高速フレーム溶射法(HVOF)により0.5mmのWC(タングステンカーバイド)皮膜を基材へ成膜した。
試験結果の棒グラフを図4に示す。棒グラフにおいて、フジツボの大きさの範囲群(a群・5mm以上〜8mm未満、b群・8mm以上〜11mm未満、c群・11mm以上)に分けて表した。なお、各実施例、各比較例の数値は次のとおりである。
実施例1:a群・8個、b群・0個、c群・0個、比較例1:a群・18個、b群・14個、c群・2個、比較例2:a群・15個、b群・6個、c群・1個、比較例3:a群・11個、b群・2個、c群・0個。
以上の試験結果から、実施例1は比較例1、比較例2、及び比較例3よりも海洋生物に対する防汚性に優れていることが認められる。また、実施例1では、b群及びc群の個数が0個となっており、特に大型のフジツボの付着が防止されている。これは、試験片へ付着したフジツボが成長せず、早期に脱落していることによるものであると考えられる。このことから、高速フレーム溶射法でCo基合金皮膜を成膜することで、船舶用プロペラへの大型のフジツボの付着が防止され、海洋生物の付着による船舶の速度及び燃料効率への影響が低減されていることがわかる。
本発明者はさらに、基材へ成膜されたCo基合金皮膜へのフジツボの浸食状態を観察するため、同皮膜とフジツボとの界面部分における断面観察、その比較として成膜されていない基材とフジツボとの界面部分における断面観察を行った。試験片(皮膜有り)は、高速フレーム溶射法により0.5mmのCo基合金皮膜(Co基合金の組成は上記実施形態の組成)が成膜された基材(CAC703)を、海中へ浸漬して作製した。試験片(皮膜無し)は、基材を海中へ浸漬して作製した。なお、フジツボの浸食状態を観察することを目的とするため、海中への浸漬期間は、試験片(皮膜有り)へ付着したフジツボが大型に成長するまでの期間とした。断面観察は、走査型電子顕微鏡を用いて行った。試験片(皮膜無し)に関しては、フジツボの浸食度合いをより明確に判断するため、上記界面部分における成分分析を行った。
図5に、大型のフジツボ30が付着した試験片S(皮膜有り)の表面写真を示す。図5のA線は、フジツボ30が付着していない部分における断面観察箇所であり、図5のB線は、フジツボ30が付着している部分における断面観察箇所である。図6は、図5のA線断面像であり、試験片Sの表層部分を示している。図7は、図5のB線断面像であり、試験片Sにフジツボ30が付着している部分における、皮膜21とフジツボ30との界面K1部分を示している。図8は、試験片(皮膜無し)にフジツボ30が付着している部分における、基材40とフジツボ30との界面K2部分での断面分析像を示している。
図7の断面像からわかるように、皮膜21とフジツボ30との界面K1が直線状となっており、同断面像には表れていない基材20(図6の写真参照)はもとより、皮膜21の損傷はなく、当該基材20及び皮膜21へのフジツボ30の浸食は認められない。一方、図8の断面分析像からわかるように、基材40とフジツボ30との界面K2が崩れており、基材40中へフジツボ30を構成する成分30sが浸入し、それと共にフジツボ30中へ基材40を構成する成分40sが取り込まれている。
また、図5の試験片S(皮膜有り)に付着したフジツボ30を高圧水で除去したところ、皮膜を壊すことはなかった。これに対し、試験片(皮膜無し)に付着したフジツボを高圧水で除去したところ、図9に示すように当該試験片の基材40に損傷痕401が残った。
皮膜無しの試験片の場合、フジツボは、見かけ上、基材に単に付いた状態ではなく、基材に密着した固着状態となっていることが認められる。これらのことから、高速フレーム溶射法によりCo基合金皮膜を成膜することで、船舶用プロペラからの海洋生物の剥離による当該船舶用プロペラの損傷を低減できることがわかる。
なお、上記で開示した実施形態、各実施例は例示であり、制限的なものではない。上記の実施形態では、プロペラ本体の全体へ成膜している例を示したが、船舶の大きさや翼部の形状により、プロペラ本体の局所的な部位へ成膜してもよい。また、キャビテーションの発生しやすい部位、海洋生物が付着しやすい部位に応じて成膜する厚みを変更してもよい。この場合、成膜するコストを抑えることができる。なお、本発明の範囲は、上記した実施形態や実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内の全ての変更が含まれる。
本発明は、船体に推進力を発生させる船舶用プロペラに適用される。
1 船舶用プロペラ
2 表層
3 シャフト
4 翼部
5 外表面
6 保護皮膜
10 超音波振動式キャビテーション壊食試験装置
20 基材
21 溶射皮膜
30 フジツボ(海洋生物)

Claims (4)

  1. 船体を推進させる推進力を発生させるためのプロペラ本体の外表面に保護皮膜が形成された船舶用プロペラにおいて、
    前記保護皮膜は、Ni:3重量%以下、Cr:25〜35重量%、W:4〜20重量%、Fe:3重量%以下、C:4重量%以下を含有し、残部:Co及び不可避的不純物よりなる組成を有するCo基合金で形成されていることを特徴とする船舶用プロペラ。
  2. 前記保護皮膜は、高速フレーム溶射法又は減圧プラズマ溶射法により形成したものである請求項1に記載の船舶用プロペラ。
  3. 前記保護皮膜の厚みが、0.1〜1.0mmである請求項1又は2に記載の船舶用プロペラ。
  4. 前記保護皮膜の表面の硬さが、ビッカース硬度で200以上である請求項1〜3のいずれかに記載の船舶用プロペラ。
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