JP2010252358A - 多アンテナ通信システムにおける疑似ランダム送信ステアリングのためのステアリング行列による空間処理 - Google Patents

多アンテナ通信システムにおける疑似ランダム送信ステアリングのためのステアリング行列による空間処理 Download PDF

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Abstract

【課題】空間処理のために用いられる疑似ランダム送信ステアリングに関するステアリング行列を生成する。
【解決手段】ステアリング行列は、基本行列を選択することによって生成することができ、基本行列は、ウォルシュ行列又はフーリエ行列であることができる。次に、スカラーの異なる組合せが選択され、各組合せは、基本行列の少なくとも1つの行に関する少なくとも1つのスカラーを含む。各スカラーは、実数値又は複素数値(例えば、+1、−1、+j、又は−j)である。スカラーの異なる組合せの各々を基本行列に乗じることによって異なるステアリング行列が生成される。ステアリング行列は、基本行列の異なる転置である。
【選択図】図2

Description

本発明は、一般的には、データ通信に関するものである。本発明は、より具体的には、多アンテナ通信システムにおけるデータ送信のための空間処理を行う技術に関するものである。
多アンテナ通信システムは、データ送信のために、複数の送信アンテナ及び1本以上の受信アンテナを採用している。従って、多アンテナ通信システムは、多入力多出力(MIMO)システム又は多入力単出力(MISO)システムであることができる。MIMOシステムは、データ送信のために、送信エンティティにおいて複数(N)の送信アンテナを採用し、受信エンティティにおいて複数(N)の受信アンテナを採用しており、NR×NTシステムとして表される。N本の送信アンテナとN本の受信アンテナによって形成されるMIMOチャネルは、Nの空間チャネルに分解することができ、ここで、NS ≦ min{NT, NR}である。これらのNの空間チャネルは、信頼性向上及び/又は全体的スループットの向上を達成させる形でデータを送信するために使用することができる。MISOシステムは、データを送信するために、複数(N)の送信アンテナ及び単一の受信アンテナを採用する。N本の送信アンテナと単一の受信アンテナによって形成されるMISOチャネルは、単一の空間チャネルを具備する。
各空間チャネルは、フェージング、多経路、及び干渉による影響、等の様々な有害なチャネル状態が生じる可能性がある。MIMOチャネルのNの空間チャネルも異なるチャネル状態が生じることがあり、異なる信号雑音干渉比(SNR)が発生する可能性がある。空間チャネルのSNRは、該空間チャネルの送信容量を決定し、該送信容量は、典型的には、空間チャネルにおいて信頼できる形で送信できる特定のデータ速度によって定量化される。時間とともに変わりやすい無線チャネルに関しては、チャネル状態は時間の経過とともに変化し、各空間チャネルのSNRも時間の経過とともに変化する。
多アンテナシステムは、スループットを最大化するため、受信エンティティが空間チャネルの評価を行い各空間チャネルのチャネル状態と送信容量を示すフィードバック情報を提供する形態のフィードバック方式を利用することができる。送信エンティティは、これらのフィードバック情報に基づいて各空間チャネルでのデータ送信を調整することができる。しかしながら、これらのフィードバック情報は、様々な理由で入手できない場合がある。例えば、多アンテナシステムは、受信エンティティからのフィードバック情報をサポートできない場合があり、又は、無線チャネルは、受信エンティティが無線チャネルを推定する速度及び/又はフィードバック情報を送り戻す速度よりも高速で変化する可能性がある。いずれの場合においても、送信エンティティがチャネル状態を知っていない場合は、最悪のチャネル状態時においても受信エンティティが信頼できる形でデータ送信を復号できるようにするために低速でデータを送信する必要がある。このようなシステムの性能は、予想される最悪時のチャネル状態に左右されることになり、非常に望ましくないことである。
フィードバック情報を入手できないときの性能を向上させるために、送信エンティティは、後述されるように、データ送信が最悪時のチャネル状態を長時間にわたって観測しないようにするための空間処理を行う。この場合は、より高速のデータ送信速度を使用することができる。しかしながら、この空間処理は、送信エンティティにとってそしておそらく受信エンティティにとって複雑さが増すことを表している。
従って、多アンテナ通信システムにおけるデータ送信性能を向上させるための空間処理を最小限の複雑さで行う技術が必要である。
本明細書においては、疑似ランダム送信ステアリング(PRTS)のためのステアリング行列を生成及び使用する技術が説明される。RRTSは、データ送信が「有効な」チャネルの集まりを観測するように送信エンティティがステアリング行列を用いて行う空間処理を指している。これらの有効なチャネルは、データ送信のために用いられる実際のMIMOチャネル又はMISOチャネル及びPRTSのために用いられるステアリング行列によって形成される。PRTSが行われた場合は、データ送信は、単一の不良なチャネルの実現を長時間にわたって観測することがなく、性能が最悪時のチャネル状態に左右されない。
ステアリング行列は、PRTSに関する計算が単純化されるような形で生成することができる。最初に基本行列を選択することによって一組のステアリング行列が生成され、これらのステアリング行列は、ウォルシュ行列、フーリエ行列、又は直交列を有するその他の何らかのユニタリ行列であることができる。次に、スカラーの異なる組合せが選択され、各組合せは、基本行列の少なくとも1つの行に関する少なくとも1つのスカラーを、1つの行につき1つのスカラーずつ含む。各スカラーは、実数値又は複素数値であることができる。後述されるように、スカラーの異なる組合せの各々を基本行列に乗じることによって異なるステアリング行列が生成される。従って、これらの異なるステアリング行列は基本行列の異なる転置であり、基本行列の幾つかの望ましい(例えばユニタリ上の)特性を保持する。適切な基本行列(例えば、ウォルシュ行列)及び適切なスカラー(例えば、+1、−1、+j、及び−jであり、
Figure 2010252358
)を選択することによって、ステアリング行列の要素は、{+1、−1、+j、−j}を具備する組内に属する。この場合は、データシンボルにステアリング行列の要素を乗じることは、後述されるように、単純なビット処理によって行うことができる。
ステアリング行列の列を用いて、MISO送信のために用いられる一組のステアリングベクトルを形成することができる。各ステアリングベクトルは、1つだけの列を含む退化ステアリング行列であるとみることもできる。以下では、本発明の様々な側面及び実施形態がさらに詳細に説明される。
アクセスポイント及びユーザー端末を有する多アンテナシステムを示した図である。 疑似ランダム送信ステアリングに関して用いられるステアリング行列及びステアリングベクトルを生成するプロセスを示した図である。 多アンテナ送信エンティティ、単一アンテナ受信エンティティ、及び多アンテナ受信エンティティのブロック図である。
本明細書における「典型的」という表現は、「1つの例、事例、又は実例」であることを意味する。本明細書において「典型的実施形態」として記述されているいずれの実施形態も、その他の実施形態よりも優先されるか又は有利であることを必ずしも意味するわけではない。
図1は、アクセスポイント(AP)110及びユーザー端末(UT)120を有する多アンテナシステム100を示した図である。アクセスポイントは、一般的には、ユーザー端末と通信する固定局であり、基地局又はその他の何らかの用語で呼ばれることもある。ユーザー端末は、固定型又は移動型のいずれでもよく、移動局、無線デバイス、ユーザー装置、又はその他の何らかの用語で呼ばれることがある。システムコントローラ130は、アクセスポイントと結合しており、これらのアクセスポイントに関する調整と制御を提供する。
アクセスポイント110は、データ送信用の複数のアンテナを装備する。各ユーザー端末120は、データ送信のために単一のアンテナ又は複数のアンテナを装備することができる。ユーザー端末はアクセスポイント110と通信することができ、更に別のユーザー端末とピアツーピア方式で通信することもできる。以下の説明では、送信エンティティは、アクセスポイント又はユーザー端末であることができ、受信エンティティもアクセスポイント又はユーザー端末であることができる。送信エンティティは、複数(N)の送信アンテナを装備しており、受信エンティティは、単一の又は複数(N)のアンテナを装備することができる。受信エンティティが単一のアンテナを装備時にはMISO送信が存在し、受信エンティティが複数のアンテナを装備時にはMIMO送信が存在する。
システム100は、単搬送波システム又は多搬送波システムであることができる。多搬送波は、直交周波数分割多重(OFDM)、その他の何らかの多搬送波変調技術、又はその他の何らかの方式を用いて得られる。OFDMは、システム全体の帯域幅を複数(N)の直交サブバンドに有効に分割し、これらのサブバンドは、トーン、副搬送波、ビン、及び周波数チャネルとも呼ばれる。OFDMにおいては、各サブバンドは、データを用いて変調することができる各々の副搬送波と関連づけられる。
システム100において、送信エンティティは、向上された性能を達成させるために疑似ランダム送信ステアリング(PRTS)を用いて受信エンティティにデータを送信する。PRTSを用いた場合は、送信エンティティは、データ送信が有効なチャネルの集まりを観測し、単一のチャネルの不良な実現に長時間にわたって引き留められないような空間処理を行う。従って、性能は最悪時のチャネル状態に左右されない。
送信エンティティにおいて疑似ランダム送信ステアリングに関して行われる空間処理は、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
ここで、
s(m)は、送信スパンmにおいて送信される最高N個のデータシンボルを有するNT×1ベクトルである。
V(m)は、送信スパンmに関して用いられるNT×NTステアリング行列である。
x(m)は、送信スパンmにおいてN本の送信アンテナから送信されるN個の送信シンボルを有するNT×1ベクトルである。
本明細書において用いられる「データシンボル」は、データに関する変調シンボルであり、「パイロットシンボル」は、パイロットに関する変調シンボルであり、「送信シンボル」は、送信アンテナから送信されるシンボルである。これらのパイロットシンボルは、送信エンティティ及び受信エンティティの両方によって事前に知られている。
送信スパンは、時間次元及び/又は周波数次元を網羅することができる。単一搬送波システムの場合は、送信スパンは、1個のデータシンボルを送信する時間間隔である1つのシンボル時間に相当する。多搬送波システム、例えばOFDMを利用するMIMOシステムの場合は、送信スパンは、1つのOFDMシンボル時間における1つのサブバンドに相当する。更に、送信スパンは、複数のシンボル時間及び/又は複数のサブバンドを網羅することもできる。従って、mは、時間及び/又は周波数に関するインデックスである。送信スパンは、送信間隔、シグナリング間隔、スロット、又はその他の用語で呼ばれることもある。
疑似ランダム送信ステアリングは、送信ダイバーシティ又は空間拡散を達成させるために使用することができ、更に、後述されるように、非ステアリングモードと組み合わせて使用することもできる。以下では、受信エンティティにおける空間処理についても説明される。
1.ステアリング行列生成
送信エンティティは、疑似ランダム送信ステアリングに関する空間処理を一組のステアリング行列(又は送信行列)を用いて行うことができ、これらの行列は、{V}、又はV(i)、i = 1… Lで表され、ここで、Lは、1よりも大きいいずれかの整数である。これらのステアリング行列は、 ユニタリ行列であるべきであり、更に次式を満たすべきである。
Figure 2010252358
ここで、Iは、対角線沿いが1、その他の場所がゼロのアイデンティティ行列である。各ステアリング行列V(i)はNの列を含み、V(i) = [v 1(i)v 2(i) … v Nr(i)]で表すことができる。式(2)は、V(i)の各列が単位エネルギーを有するべきであること、即ち、||v a(i) || = v a H(i)・v a H (i)・v a(i) = 1で、a = 1 … Nであるべきであることを示している。この条件は、V(i)を用いて同時に送信されたN個のデータシンボルが同じ電力を有することを保証する。更に、式(2)は、V(i)のいずれか2つの列のエルミートの内積がゼロ、即ち、v a H(i)・v b(i) = 0で、a = 1 … NT、b = 1 … NS、a ≠ bであるべきであることも示している。この条件は、同時に送信されたN個のデータシンボルが送信アンテナにおいて互いに直交であることを保証する。
Lのステアリング行列の組は、様々な方法で生成することができる。一実施形態においては、Lのステアリング行列は、基本行列から生成され、該基本行列は、好ましいことにユニタリ行列である。基本行列は、Lのステアリング行列の1つとして使用することができる。その他のL−1のステアリング行列は、後述されるように、基本行列の行に異なるスカラーを乗じることによって生成することができる。一般的には、スカラーは、いずれかの実数値又は複素数値であることができる。しかしながら、ステアリング行列がユニタリ行列であるようにするため、単位大きさ及び0乃至2π(又は0乃至360°)の位相を有するようなスカラーが選択される。
一実施形態においては、基本行列は、ウォルシュ行列である。2×2ウォルシュ行列W2×2及び4×4ウォルシュ行列W4×4は、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
より小さいウォルシュ行列WN×Nからより大きなウォルシュ行列W2N×2Nを次式のように形成することができる。
Figure 2010252358
式(4)において示されるように、ウォルシュ行列は、形成される方法に起因して2のべき乗(2、4、8、等)である次元を有する。
×2システム関して、NR ≧ 2である場合は、次式のように4つの典型的ステアリング行列をウォルシュ行列W2×2から生成することができる。
Figure 2010252358
ここで、
W 1 2×2は、W 2×2に等しい。
W 2 2×2は、W 2×2の第2の行に−1又はeを乗じることによって得られる。
W 3 2×2は、W 2×2の第2の行に+j又はejπ/2を乗じることによって得られる。
W 4 2×2は、W2×2の第2の行に−j又はe−jπ/2を乗じることによって得られる。
W2×2の第2の行にその他のスカラー、例えば、e±j3π/4、e±jπ/4、e±jπ/8、等を乗じることによって追加のステアリング行列を生成することができる。Lのステアリング行列の組は、次のように形成することができる。即ち、V(1) = g2W 1 2×2V(2) = g2W 2 2×2、等であり、
Figure 2010252358
によるスケーリングによってV(i)の各列が単位エネルギーを有することになる。
×4システム関して、NR ≧ 4である場合は、次式のように4つの典型的ステアリング行列をウォルシュ行列W4×4から生成することができる。
Figure 2010252358
ここで、
W 1 4×4は、W 4×4に等しい。
W 2 4×4は、W 4×4の行2乃至4の各々に−1を乗じることによって得られる。
W 3 4×4は、W 4×4の行2乃至4の各々に+jを乗じることによって得られる。
W 4 4×4は、W 4×4の行2に+jを乗じることによって得られる。
Lのステアリング行列の組は、次のように形成することができる。即ち、V(1) = g4W 1 4×4V(2) = g4・W2 4×4、等であり、
Figure 2010252358
によるスケーリングによってV(i)の各列が単位エネルギーを有することになる。
一般的には、N×N基本行列に関しては、該基本行列の行2乃至Nの各々は、Kの異なる可能なスカラーの1つを独立して乗じることができる。従って、N−1の行に関するKのスカラーのKN−1の異なる置換からKN−1の異なるステアリング行列が得られる。例えば、行2乃至Nの各々は、ej0 = +1、e = −1、ejπ/2 = +1、又はe−jπ/2 =−jのスカラーを独立して乗じることができる。ここで、N = 4である場合は、これらの4つのスカラーを用いてウォルシュ行列W4×4から64の異なるステアリング行列を生成することができる。その他のスカラー、例えば、e±j3π/4、e±jπ/4、e±jπ/5、等を用いて追加のステアリング行列を生成することができる。一般的には、基本行列の各行は、eの形を有するあらゆるスカラーを乗じることができ、ここで、θは、いずれかの位相値である。更に、一般的には、N×Nのステアリング行列を、V(i) = g・Wi N×NとしてN×Nのウォルシュ行列から生成することもでき、ここで、
Figure 2010252358
である。
ウォルシュ行列に基づいて導き出されたステアリング行列は、幾つかの望ましい特性を有する。ウォルシュ行列の行に±1及び±jのスカラーを乗じた場合、その結果得られるステアリング行列の各要素は+1、−1、+j、又は−jであり、従って、実数部又は虚数部のみに関してゼロ以外の値を有する。この場合は、データシンボルにステアリング行列の要素を乗じることは、ビット処理だけで行うことができる。例えば、複素数値データシンボルa + jbに−1を乗じることは、該データシンボルの実数部と虚数部の両方の符号ビットを反対にすることによって行うことができる。即ち、(a + jb)(−1 + j0) = −a− jbである。+jによる乗算は、該データシンボルの実数部と虚数部を交換し、実数部の符号ビットを反対にすることによって行うことができる。即ち、(a + jb)(0 + j) = −b + jaである。−jによる乗算は、該データシンボルの実数部と虚数部を交換し、実数部と虚数部の両方の符号ビットを反対にすることによって行うことができる。即ち、(a + jb)(0 −j) = −b−jaである。従って、Lのステアリング行列の要素が{+1, −1, +j, −j}を具備する組内に属する場合は、送信エンティティが疑似ランダム送信ステアリングに関して行う計算を大幅に単純化することができる。
他の実施形態においては、基本行列は、フーリエ行列である。2×2フーリエ行列D2×2は、ウォルシュ行列W2×2に等しい。即ち、D2×2 = W2×2である。3×3フーリエ行列D3×3及び4×4フーリエ行列D4×4は、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
一般的には、N×Nフーリエ行列DN×Nに関しては、DN×Nのm番目の列のn番目の行内の要素dn,mは、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
ウォルシュ行列とは異なり、あらゆる平方次元のフーリエ行列(例えば、2、3、4、5、等)を形成することができる。
NR×3のシステムに関して、NR ≧ 3である場合は、次式のように4つの典型的ステアリング行列をフーリエ行列D3×3から生成することができる。
Figure 2010252358
ここで、
D1 3×3は、D2×2に等しい。
D2 3×3は、D3×3の行2及び3の各々に−1を乗じることによって得られる。
D3 3×3は、D3×3の行2及び3の各々に+jを乗じることによって得られる
D4 3×3は、D3×3の行2に+jを乗じることによって得られる。
行2及び3の各々は、+1、−1、+j、又は−jのスカラーを独立して乗じることができる。N = 3である場合は、これらの4つのスカラーを用いて合計16のステアリング行列を生成することができる。その他のスカラー、例えば、e±j2π/3、e±jπ/3、e±jπ/4、e±jπ/6、等を乗じることによって追加のステアリング行列を生成することができる。Lのステアリング行列の組は、次のように形成することができる。即ち、V(1) = gD 1 3×3V(2) = gD 2 3×3、等であり、ここで、
Figure 2010252358
によるスケーリングによってV(i)の各列が単位エネルギーを有することになる。
NR×4システムに関して、N ≧ 4である場合は、次式のように4つの典型的ステアリング行列をフーリエ行列D4×4から生成することができる。
Figure 2010252358
ここで、
D1 4×4は、D4×4に等しい。
D2 4×4は、D4×4の行2乃至4の各々に−1を乗じることによって得られる。
D3 4×4は、D4×4の行2乃至4の各々に+jを乗じることによって得られる
D4 4×4は、D4×4の行2に+jを乗じることによって得られる。
行2乃至4の各々は、+1、−1、+j、又は−jのスカラーを独立して乗じることができる。N = 4である場合は、これらの4つのスカラーを用いて合計16のステアリング行列を生成することができる。その他のスカラー、例えば、e±j3π/4、e±j2π/3、e±jπ/3、e±jπ/4、e±jπ/6 、e±jπ/8、等を乗じることによって追加のステアリング行列を生成することができる。Lのステアリング行列の組は、次のように形成することができる。即ち、V(1) = g・D1 4×4V(2) = g・D2 4×4、等である。
N = 4である場合は、フーリエ行列D4×4の要素は、組{+1, −1, +j, −j}内にある。D4×4の行を±1及び±jのスカラーで乗じた場合は、その結果得られるステアリング行列の要素も組{+1, −1, +j, −j}内にある。この場合は、後述されるように、空間処理に関する計算を単純化することができる。
N = 3である場合は、フーリエ行列D3×3の要素は、
Figure 2010252358
を具備する組内にある。e±jπ/6(±30°回転)、e±jπ/3(±60°回転)、e±jπ/2(±90°回転)、e±j2π/3(±120°回転)、e±j5π/6(±150°回転)、及びe = −1(180°回転)のスカラーをD3×3の行に乗じた場合は、その結果得られる行列の要素は、少なくとも1つの成分が{0, +1, −1, +1/2, −1/2}を具備する組内に属する。この成分に関する乗算は、シフト(2による割り算に関して必要な場合)及び符号ビット反転(必要な場合)を用いて行うことができる。従って、複素数値データシンボルa + jbに前記ステアリング行列の要素を乗じることは、
Figure 2010252358
の大きさを有する成分に関する多くて1回の実数乗算を要求することになる。
図2は、疑似ランダム送信ステアリングに関して用いられるステアリング行列及びステアリングベクトルを生成するプロセス200の流れ図である。最初に、基本行列が得られる(ブロック212)。該基本行列は、ウォルシュ行列、フーリエ行列、又は直交列を有するその他の何らかのユニタリ行列であることができる。ウォルシュ行列は、PRTSに関する計算を単純化することができるが、2のべき乗の次元を有する。あらゆる次元のフーリエ行列を形成することができ、幾つかの次元(例えば、4)は、PRTSに関する単純化された計算を提供することができる。
次に、新たなステアリング行列を生成するためにスカラーの異なる組合せが選択される(ブロック214)。基本行列の第1の行は、典型的にはそのままであり(即ち+1が乗じられる)、その他のN−1の行の各々にKの可能なスカラーのうちのいずれか1つを乗じることができ、ここで、一般的にはN ≧ 2及びK ≧ 2である。選択された組合せは、基本行列の行2乃至Nに関するN − 1のスカラーを、1つの行につき1つのスカラーだけ含むことができる。Kのスカラーは、結果的に得られたステアリング行列の要素が計算を単純化することができるフォーマットを有するように選択することができる。例えば、Kは4であることができ、これらの4つの可能なスカラーは、+1、−1、+j、及び−jであることができる。第1のステアリング行列に関しては、スカラーの組合せはすべて+1であることができる。一般的には、選択された組合せ内のスカラーのゼロ又は1つ以上を+1に等しくすることができ、このスカラーによって乗じられる基本行列の行が変化しないことに相当する。いずれの場合においても、新しいステアリング行列は、基本行列のN − 1の行列にN − 1のスカラーの選択された組合せを乗じることによって形成される(ブロック216)。生成されたステアリング行列は、メモリに保存すること又は空間処理のために直ちに使用することができる。
次に、別のステアリング行列が必要であるかどうかの決定が行われる(ブロック218)。別のステアリング行列が「必要である」とする決定が行われた場合は、プロセスはブロック214に戻り、次のステアリング行列に関するスカラーの異なる組合せが選択される。一組のLのステアリング行列を生成中である場合は、重複するステアリング行列が該組に関して生成されないようにスカラーのLの異なる組合せが用いられる。ステアリング行列を急いで生成中である場合は、各ステアリング行列に関するスカラーの組合せは、例えば予め決められた数の送信スパン内に重複するステアリング行列が生成されるのを回避するような形で選択される。
スカラーの異なる組合せは、重複を回避するために決定方式を用いて選択することができる。N = 4及びK = 4である場合の一例として、3桁の基底4カウンタを用いることができ、これらの3つの桁は、x、y、及びzのラベルが添付される。桁xは、基本行列の行2と関連づけることができ、桁yは、行3と関連づけることができ、桁zは、行4と関連づけることができる。各桁は、0乃至3の範囲を有する。スカラー+1は、x = 0である場合に基本行列の行2に関して使用され、スカラー−1は、x = 1である場合に使用され、スカラー+jは、x = 2である場合に使用され、スカラー−jは、x = 3である場合に使用される。桁y及びzは、基本行列の行3及び4に関していずれのスカラーを使用するかをそれぞれ同様に決定する。カウンタは、ブロック214において各々の新しいステアリング行列に関して値が増やされる。例えば、カウンタは、000乃至0003まで、次に、010乃至013まで、次に、020乃至023、次に030乃至033、次に、100乃至103、等であり、最後に330乃至333をカウントすることができる。カウンタの3つの桁(xyz)は、基本行列の行2乃至4に関していずれのスカラーを使用するかを決定する。基本行列の行が異なるステアリング行列を生成するために用いられるスカラーの異なる組合せを選択するためにその他の機構及び方式を使用することもできる。ブロック214においてスカラーの異なる組合せが選択された後に、ブロック216においてこのスカラーの組合せを用いて別のステアリング行列が生成される。
ステップ218に戻り、(例えば、組に関するすべてのLのステアリング行列が生成されているため)別のステアリング行列が必要ない場合は、MISO送信のために必要な場合は一組のステアリングベクトルを生成することができる(ブロック220)。これらのステアリングベクトルは、ブロック212乃至218において生成されたステアリング行列の列を用いて形成させることができる。次にプロセスが終了する。
上述された方法で生成されたステアリング行列は、基本行列の異なる置換であり、これらの置換は、スカラーの異なる組合せによって決定される。これらのスカラーは、ステアリング行列がユニタリ行列であるような単位大きさを有するように選択される。前記スカラーは、ステアリング行列の要素がPRTSに関する計算を単純化できるように選択することもできる。ウォルシュ行列又はフーリエ行列から生成される各ステアリング行列の要素も
Figure 2010252358
の等しい大きさを有することができ、これらの要素のスケーリングを単純化してその他の利益を提供する。
疑似ランダム送信ステアリングに関して用いられるステアリング行列及びステアリングベクトルは、基本行列に基づいて生成してメモリに保存することができる。その後は、1つのステアリング行列/ベクトルを各送信スパンに関して使用するために選択することができ、選択されたステアリング行列/ベクトルがメモリから検索される。代替として、ステアリング行列/ベクトルは、必要に応じてリアルタイムで生成することができる。
上述されているように、各ステアリングベクトルは、1つの列のみを含む退化ステアリング行列であるとみることができる。従って、本明細書において用いられる行列は、1つ又は複数の列を含むことができる。
2.ステアリング行列選択
組内のLのステアリング行列は、使用するために様々な方法で選択することができる。一実施形態においては、ステアリング行列は、決定方式でLのステアリング行列の組から選択される。例えば、Lのステアリング行列は、最初にV(1)、次にV(2)、そして最後にV(L)のように全体をサイクルして順次で選択することができる。他の実施形態においては、ステアリング行列は、疑似ランダム方式で組から選択される。例えば、各送信スパンmに関して使用するステアリング行列は、Lのステアリング行列、即ちV(f(m))のうちの1つを疑似ランダムに選択する関数f(m)に基づいて選択することができる。さらに他の実施形態においては、ステアリング行列は、「置換」方式で組から選択される。例えば、Lのステアリング行列全体をサイクルさせ、使用するために順次で選択することができる。しかしながら、各サイクルに関する開始のステアリング行列は、常にV(1)にするのではなく、疑似ランダム方式で選択することができる。Lのステアリング行列はその他の方式で選択することもできる。
ステアリング行列の選択は、組内のステアリング行列数(L)、及び疑似ランダム送信ステアリングが用いられる送信ブロックにおける送信スパン数(M)に依存することもできる。該送信ブロックは、データパケット、符号ブロック、コードワード、OFDMシンボル、プロトコルデータユニット(PDU)、等に対応することができる。一般的には、ステアリング行列数(L)は、送信ブロック長(M)よりも大きくすること、送信ブロック長(M)と等しくすること、又は送信ブロック長(M)よりも小さくすることができる。L = Mである場合は、前記送信ブロックに関するMの送信スパンの各々に関して異なるステアリング行列を選択することができる。L < Mである場合は、ステアリング行列が各送信ブロックに関して再使用される。L > Mである場合は、ステアリング行列の部分組が各送信ブロックに関して使用される。これらの3つのすべての事例において、上述されるように、ステアリング行列は、決定方式、疑似ランダム方式、又は置換方式で選択することができる。
3.MIMO送信
システム100においては、多アンテナ送信エンティティと多アンテナ受信エンティティとの間にMIMOチャネルが存在する。単搬送波システムに関しては、送信エンティティにおけるN本のアンテナ及び受信エンティティにおけるN本のアンテナによって形成されたMIMOチャネルは、NR×NTチャネル応答行列Hによって表され、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
ここで、エントリhi,l、i = 1 … NR及びl = 1 …NTは、送信アンテナlと受信アンテナiとの間の結合又は複素利得を表す。多アンテナ送信エンティティと多アンテナ受信エンティティの各々の異なる組合せの間には異なるMIMOチャネルが存在する。説明を単純化するため、MIMOチャネルは、フルランクで、NS = NT ≦ NRであると想定される。
MIMO送信においては、送信エンティティは、疑似ランダム送信ステアリングに関する空間処理を次式のように行う。
Figure 2010252358
ここで、x mimo,pr(m)は、送信スパンmにおいてN本の送信アンテナから送信されるN個の送信シンボルを有するベクトルである。各送信スパンに関して用いられるステアリングベクトルV(m)は、上述されているように、Lのステアリング行列の組から選択することができる。システムがOFDMを利用する場合は、データ送信のために用いられる各サブバンドで1つのサブストリームのデータシンボルを送信することができる。送信エンティティ及び受信エンティティは、各データサブバンドに関する空間処理を別々に行う。
受信エンティティにおける受信シンボルは、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
ここで、
r pr(m)は、N本の受信アンテナからのN個の受信シンボルを有するベクトルである。
H eff(m)は、送信スパンmに関するNT×NTの有効MIMOチャネル応答行列であり、H eff(m) = H(m)・V(m)である。
n(m)は、雑音ベクトルである。
説明を単純化するため、雑音は、平均ベクトルがゼロ、共分散行列がΛ = σ2Iである加法的白色ガウス雑音(AWGN)であると想定されており、ここで、σ2は、受信エンティティによって観測された雑音の分散である。
ステアリング行列V(m)を用いた空間処理が送信エンティティにおいて行われると、s(m)内のデータシンボルが、実際のMIMOチャネル応答H(m)及びステアリング行列V(m)を含む有効MIMOチャネル応答H eff(m)を観測する。受信エンティティは、チャネル推定を様々な方法で行うことができる。
送信エンティティが疑似ランダム送信ステアリングを行わずにパイロットシンボルを送信した場合は、受信エンティティは、H(m)の推定値を直接得ることができる。説明を単純化するため、本明細書における説明は、チャネル推定に誤差がないと想定している。受信エンティティは、送信スパンmpにおいて送信エンティティから受信されたパイロットシンボルに基づいて該送信スパンに関するH(mp)の推定値を得ることができる。送信エンティティがステアリング行列V(md)を用いて他の送信スパンmdにおいてデータシンボルを送信した場合は、受信エンティティは、該送信スパンに関するH eff(md)の推定値を次のように導き出すことができる。即ち、H eff(md) = H(mp)・V(md)である。MIMOチャネル応答は、送信スパンmp及びmdにおいて一定であると想定されており、このためH(md) = H(mp)である。上述されるように、V(m)が適切に生成されればH eff(md)に関する計算を単純化することができる。
送信エンティティが疑似ランダム送信ステアリングを行ってパイロットシンボルを送信した場合は、受信エンティティは、H eff(m)の推定値を直接得ることができる。受信エンティティは、送信スパンmpにおいて送信エンティティから受信されたパイロットシンボルに基づいて該送信スパンに関するH eff(mp)の推定値を得ることができる。該パイロットシンボルがV(mp)を用いて送信された場合は、H eff(mp) = H(mp)・V(mp)である。受信エンティティは、H(mp)の推定値を次のように導き出すことができる。即ち、H(mp) = H eff(mp)・V H(mp)である。送信エンティティがステアリング行列V(md)を用いて他の送信スパンmdにおいてデータシンボルを送信した場合は、受信エンティティは、該送信スパンに関するH eff(md)の推定値を次のように導き出すことができる。即ち、H eff(md) = H(mp)・V(md)である。この場合も、MIMOチャネル応答は送信スパンmp及びmdにおいて一定であると想定されており、このためH(md) = H(mp)である。ステアリング行列が適切に生成されればH(mp) 及びH eff(md)に関する計算を単純化することができる。
受信エンティティは、MIMOチャネル応答推定値を得るために内挿及び/又は外挿を用いることができる。例えば、送信エンティティは、合計Nのサブバンドの部分組でパイロットシンボルを送信することができる。受信エンティティは、(パイロット送信を伴うサブバンドである)各パイロットサブバンドmに関する実際のMIMOチャネル応答推定値H(m)又は有効MIMOチャネル応答推定値H eff(m)を、該サブバンドで受信されたパイロットシンボルに基づいて得ることができる。受信エンティティがH eff(m)を得た場合は、上記のようにH(m)を導き出すことができる。次に、受信エンティティは、すべてのパイロットサブバンドに関するH(m)を内挿及び/又は外挿して対象となる全サブバンドに関するH(m)を得ることができる。
データ送信を伴う各送信スパンmに関して、受信エンティティは、r pr(m)においてH(m)又はH eff(m)のいずれかを用いて受信シンボルに関する空間処理(又は空間マッチングされたフィルタリング)を行い、送信されたデータシンボルの推定値である検出シンボルのベクトル
Figure 2010252358
を得ることができる。更に、受信エンティティは、(1)一般的にゼロフォーシング(zero forcing)法とも呼ばれるチャネル相関行列逆転(CCMI)法、及び(2)最小平均二乗誤差(MMSE)法を含む様々な受信機処理技術を用いて検出シンボルを導き出すこともできる。
受信エンティティは、有効MIMOチャネル応答推定値H eff(m)を用いて受信機空間処理を行うことができる。表1は、CCMI法及びMMESE法においてH eff(m)を用いた受信機空間処理を要約したものである。表1において、M ccmt(m)はCCMI法に関する空間フィルタ行列、M mmse(m)はMMSE法に関する空間フィルタ行列、 mmse(m)は(H mmse(m)・H eff(m)の対角要素を含む)MMSE法に関する対角行列である。
Figure 2010252358
受信エンティティは、実際のMIMOチャネル応答推定値H(m)を用いて受信機空間処理を行うこともできる。この場合は、受信エンティティは、H(m)に基づき更に例えばCCMI法又はMMSE法を用いて空間フィルタ行列M(m)を導き出す。この場合は、表1のH eff(m)の代わりにH(m)が用いられる。次に、受信エンティティは、M(m)を用いてr pr(m)に関する空間マッチングされたフィルタリングを行い、x(m)の推定値である
Figure 2010252358
x ^(m) = M(m)・r pr(m)として得る。受信エンティティは、MMSE法に関してD−1 mmse(m)によるスケーリングを行うこともできる。次に、受信エンティティは、V(m)を用いてx ^ (m)に関する空間逆拡散(又は等化)を行い、s ^ pr(m) = VH(m)・x ^ (m)に従ってs ^ pr(m)を得る。
上記の説明は、NS = NT ≦ NRのフルランクMIMOチャネルであること、及び送信エンティティが空間処理のためにNT×NTステアリング行列を用いることを想定している。MIMOチャネルがランク不足であってNS < NT ≦ NRである場合、又は受信アンテナ数が送信アンテナ数よりも少なくNS = NR < NTである場合は、送信エンティティは、各NT×NTステアリング行列のNの列を空間処理のために選択して使用することができる。この場合は、s(m)は、Nのデータシンボルストリームに関するNS個の送信シンボルを有するNS×1ベクトルであり、x mimo,pr(m)は、N本の送信アンテナに関するN個の送信シンボルを有するN×1ベクトルである。送信エンティティは、NSのデータシンボルストリームを送信するために各送信アンテナに関して利用可能な全送信電力を使用するようにするため、s(m)内の各データシンボル又はx mimo,pr(m)内の各送信シンボルを
Figure 2010252358
によってスケーリングすることができる。
疑似ランダム送信ステアリングは、MIMO送信に関する送信ダイバーシティ又は空間拡散を達成させるために使用することができ、ステアリング行列がどのように用いられるかに依存する。例えば、パイロット部(チャネル推定に関して使用)及びデータ部(データシンボルブロックの搬送)を含むPDUは、複数のサブバンドで及び複数のシンボル時間に送信することができる。送信ダイバーシティを達成させるため、送信エンティティは、(1)これらの複数のサブバンド全体において異なるステアリング行列を使用すること、又は(2)各サブバンドに関するPDUの疑似ランダムステアリングされた部分全体において同じステアリング行列を使用することができる。この場合は、PDUに関するステアリング行列は、サブバンドの関数V(k)であるにすぎない。送信エンティティは、より高い送信ダイバーシティを達成させるためにサブバンド全体において可能な限り多くの異なるステアリング行列を使用することができる。
空間拡散を達成させる場合は、送信エンティティは、(1)複数のサブバンド全体において異なるステアリング行列を使用すること及び(2)各サブバンドに関するPDUの疑似ランダムステアリングされた部分全体において異なるステアリング行列を使用することができる。この場合は、PDUに関するステアリング行列は、サブバンドとシンボル時間の両方の関数 V(n,k)になる。空間拡散の場合は、実際に受信する受信エンティティのみが、各サブバンド及び各シンボル時間に関して送信エンティティによって用いられるステアリング行列を知っており、送信されたPDUを復元させるための補完的空間逆拡散を行うことができる。その他の受信エンティティはこれらのステアリング行列を知らず、これらのエンティティにとってはPDU送信が空間的にランダムのようにみえる。その結果、これらのその他の受信エンティティは、送信されたPDUを復元させる尤度が低い。
疑似ランダム送信ステアリングは、被ステアリングモードに関する空間拡散を達成させるために使用することもできる。被ステアリングモードに関しては、送信エンティティは、H(m)の単一値分解を次式のように行う。
Figure 2010252358
ここで、
U(m)は、H(m)の左固有ベクトルのNR×NRユニタリ行列である。
Σ(m)は、H(m)の単一値のNR×NT対角行列である。
E(m)は、右固有ベクトルのNT×NTユニタリ行列である。
送信エンティティは、空間拡散を用いた被ステアリングモードに関する空間処理を次式のように行うことができる。
Figure 2010252358
式(11)において示されているように、送信エンティティは、最初に、空間拡散のためにV(m)を用いてs(m)に関する空間処理を行い、次に、被ステアリングモードのために、該空間拡散に関して得られた拡散シンボルに関する空間処理をE(m)を用いて行う。(データシンボルの代わりに)拡散シンボルがMIMOチャネルのNの固有モードで送信される。これらの固有モードは、H(m)の分解によって得られた直交空間チャネルであるとみることができる。空間拡散を伴う被ステアリングモードに関しては、各送信スパンに関してデータシンボルによって観測された有効MIMOチャネルは、送信エンティティによって用いられたE(m)とV(m)の両方を含む。空間拡散に関しては、送信エンティティは、PDUの疑似ランダムステアリングされた部分全体において異なるステアリング行列を使用し、実際に受信する受信エンティティのみがこれらのステアリング行列を知っている。
空間拡散を伴う被ステアリングモードに関する受信エンティティにおける受信シンボルは次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
受信エンティティは、被ステアリングモード及び空間逆拡散に関する空間処理を次式のように行う。
Figure 2010252358
ここで、M sm(m)は、空間逆拡散を伴う被ステアリングモードに関する空間フィルタ行列であり、n'(m)は、検出後雑音である。空間フィルタ行列M sm(m)は、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
式(13)及び(14)において示されるように、受信エンティティは、最初に被ステアリングモードに関してΣ −1(m)・U H(m)を用いて受信機空間処理を行い、その後にV(m)を用いて空間逆拡散を行うことによって送信データシンボルを復元することができる。
4.MISO送信
システム100においては、多アンテナ送信エンティティと単一アンテナ受信エンティティとの間にMISOチャネルが存在する。単搬送波システムの場合は、送信エンティティにおけるNT本のアンテナ及び受信エンティティにおける単一アンテナによって形成されるMISOチャネルは1×NTチャネル応答行ベクトルhで表され、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
ここで、エントリhi, i = 1 …NT は、送信アンテナiと単一受信アンテナとの間の結合を表す。多アンテナ送信エンティティと単一アンテナ受信エンティティの各々の異なる組合せの間には異なるMISOチャネルが存在する。
送信エンティティは、疑似ランダム送信ステアリングを用いて自己の複数のアンテナから単一アンテナ受信エンティティにデータを送信することができる。送信エンティティは、一組のLのステアリングベクトルを生成することができ、これらのLのステアリングベクトルは、上記のように、{v}、又はv(i), i = 1 … Lとして表すことができる。
MISO送信に関しては、送信エンティティは、疑似ランダム送信ステアリングに関する空間処理を次式のように行う。
Figure 2010252358
ここで、
s(m)は、送信スパンmにおいて送信されるデータシンボルである。
v(m)は、送信スパンmに関して用いられるステアリングベクトルである。
x miso(m)は、送信スパンmにおいてN本の送信アンテナから送信されるN個の送信シンボルを有するベクトルである。
各送信に関して用いられるステアリングベクトルv(m)は、Lのステアリング行列の組から導き出すことができる。組{V}内の各ステアリング行列V(i)のNの列は、Nの異なるステアリングベクトルを形成するために使用することができる。各送信アンテナに関して利用可能な全送信電力を利用するため、V(i)の各列を
Figure 2010252358
によってスケーリングしてステアリングベクトルとして使用することができる。
受信エンティティにおける受信シンボルは、次式のように表すことができる。
Figure 2010252358
ここで、
r(m)は、送信スパンmに関する受信シンボルである。
heff(m)は、送信スパンmに関する有効な単入力単出力(SISO)チャネル応答であり、heff(m) = h(m)・v(m)である。
n(m)は、送信スパンmに関する受信エンティティにおける雑音である。
各送信スパンmに関する有効SISOチャネル応答heff(m)は、該送信スパンに関する実際のMISOチャネル応答h(m)及び該送信スパンに関して用いられるステアリングベクトルv(m)によって決定される。送信エンティティが疑似ランダム送信ステアリングを行わずにパイロットシンボルを送信した場合は、受信エンティティは、h(m)の推定値を直接得ることができる。次に、受信エンティティは、データ送信に関して用いられた各送信スパンに関するheff(m)の推定値を次のように導き出すことができる。すなわち、heff(m) = h(m)・v(m)である。MISOチャネル応答は、パイロット送信及びデータ送信に関して用いられる送信スパン全体において一定であると想定される。上記のように、v(m)が適切に生成されればheff(m)に関する計算を単純化することができる。
送信エンティティが疑似ランダム送信ステアリングを行ってパイロットシンボルを送信した場合は、受信エンティティは、heff(m)の推定値を直接得ることができる。各送信スパンmに関するheff(m)の推定値は、該送信スパンに関して用いられたステアリングベクトルv(m)を含む。1×NTの次元を有するh(m)を推定するために、受信エンティティは、Nのステアリングベクトルを用いてNの送信スパンにおいて送信エンティティによって送信されたパイロットシンボルに基づいてNの送信スパンに関するheff(m)の推定値を得ることができる。次に、受信エンティティは、(1)Nの送信スパンに関するNの異なるheff(m)推定値及び(2)これらの送信スパンに関して用いられたNのステアリングベクトルに基づいてh(m)の推定値を導き出す。次に、受信エンティティは、データ送信を伴う各送信スパンに関するheff(m)を、該送信スパンに関して用いられたパイロットシンボル及びステアリングベクトルv(m)から導き出されたh(m)に基づいて計算する。
受信エンティティは、次式のように、有効SISOチャネル応答推定値heff(m)を用いて受信シンボルに関する検出(例えば、マッチングされたフィルタリング)を行う。
Figure 2010252358
ここで、s^(m)は、送信スパンmに関する検出されたシンボルであり、s(m)の推定値である。n'(m)は、検出後雑音である。“*”は、共役を表す。
受信エンティティは、実際のMIMOチャネル応答推定値h(m)及びステアリングベクトルv(m)を用いて受信機空間処理を次式のように行うこともできる。
Figure 2010252358
ここで、ga = 1/|v H(m)・h H(m) |2である。
疑似ランダム送信ステアリングは、MIMO送信に関して上述されている方法と類似の方法で、MISO送信に関する送信ダイバーシティ又は空間拡散を達成させるために使用することができる。
5.システム
図3は、システム100における多アンテナ送信エンティティ310、単一アンテナ受信エンティティ350x及び多アンテナ受信エンティティ350yのブロック図である。送信エンティティ310は、アクセスポイント又は多アンテナユーザー端末であることができる。各受信エンティティ350もアクセスポイント又はユーザー端末であることができる。
送信エンティティ310において、送信(TX)データプロセッサ320は、各パケットのデータを処理(例えば、符号化、インターリービング、及びシンボルマッピング)して、対応するブロックのデータシンボルを得る。TX空間プロセッサ330は、パイロットシンボル及びデータシンボルを受信してシステムに関して適宜多重分離し、疑似ランダム送信ステアリング及び/又は被ステアリングモードに関する空間処理を行い、Nの送信シンボルストリームをNの送信機装置(TMTR)332a乃至332tに提供する。TX空間プロセッサ320は、受信エンティティ350yへのMIMO通信のために、例えば式(8)又は(11)において示されているようにステアリング行列V(m)を用いて空間処理を行うことができる。TX空間プロセッサ320は、受信エンティティ350xへのMISO送信のために、例えば式(16)において示されているようにステアリングベクトルv(m)を用いて空間処理を行うこともできる。各送信機装置332は、自己の送信シンボルストリームを処理し(更に該当する場合はOFDM変調を行い)変調信号を生成する。送信機装置332a乃至332tは、N本のアンテナ334a乃至334tからそれぞれ送信するためにNの変調信号を提供する。
単一アンテナ受信エンティティ350xにおいて、アンテナ352xは、Nの送信信号を受信し、受信信号を受信機装置(RCVR)354xに提供する。受信機装置354xは、送信機装置332によって行われた処理を補完する処理(例えば、該当する場合におけるOFDM変調)を行い、(1)受信データシンボルを検出器360xに提供し、(2)受信パイロットシンボルをコントローラ380x内のチャネル推定器384xに提供する。チャネル推定器384xは、送信エンティティ310と受信エンティティ350xとの間の有効SISOチャネルを推定する。検出器360xは、例えば式(18)において示されているように有効SISOチャネル応答推定値に基づいて受信データシンボルに関する検出を行い、検出シンボルストリームを提供する。受信(RX)データプロセッサ370xは、検出されたシンボルストリームを処理(例えば、シンボルデマッピング、デインターリービング、及び復号)し、各データパケットに関する復号データを提供する。
多アンテナ受信エンティティ350yにおいて、N本のアンテナ352a乃至352rは、Nの送信信号を受信し、各アンテナ352は、受信信号を各々の受信機装置354に提供する。各受信機装置354は、各々の受信信号を処理し、(1)受信データシンボルを受信(RX)空間プロセッサ360yに提供し、(2)受信パイロットシンボルをコントローラ380y内のチャネル推定器384yに提供する。チャネル推定器384yは、送信エンティティ310と受信エンティティ350yとの間の実際の又は有効なMIMOチャネルに関して推定する。コントローラ380yは、(1)MIMOチャネル応答推定値とステアリング行列又は(2)有効MIMOチャネル応答推定値に基づいて空間フィルタ行列を導き出す。CCMI法又はMMSE法に関する空間フィルタ行列は、表1において示されているように導き出すことができる。空間拡散を伴う被ステアリングモードに関する空間フィルタ行列は、式(14)において示されているように導き出すことができる。RX空間プロセッサ360yは、例えば表1又は式(13)において示されるように、空間フィルタ行列を用いて受信データシンボルに関する空間処理を行い、検出されたシンボルを提供する。次に、RXデータプロセッサ370yは、検出されたシンボルを処理して各データパケットに関する復号データを提供する。
コントローラ340、380x、及び380yは、送信エンティティ310及び受信エンティティ350xと350yにおける処理装置の動作をそれぞれ制御する。コントローラ340、380x、及び380yは、上述されているようにステアリング行列/ベクトルを生成することができる。メモリ装置342、382x、及び382yは、コントローラ340、380x、及び380yによって用いられるデータ及び/又はプログラムコードをそれぞれ格納する。例えば、これらのメモリ装置は、一組のLのステアリングベクトル(SV)及び/又は一組のLのステアリング行列(SM)を格納することができる。
疑似ランダム送信ステアリングに関するステアリング行列/ベクトルを生成及び使用するための本明細書の技術は、様々な手段で実装することができる。例えば、これらの技術は、ハードウェア内に実装すること、ソフトウェア内に実装すること、又はその組合せ内に実装することができる。ハードウェア内に実装する場合は、ステアリング行列/ベクトルを生成するため及び/又はこれらのステアリング行列/ベクトルを用いて空間処理を行うために用いられる処理装置は、本明細書において説明されている機能を果たすように設計された1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラミング可能な論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、その他の電子装置、又はその組合せの中に実装することができる。
ソフトウェア内に実装する場合は、本明細書において説明されている技術は、本明細書において説明されている機能を果たすモジュール(例えば、手順、関数、等)とともに実装することができる。ソフトウェアコードは、メモリ装置(例えば、図3のメモリ装置342、382x、又は382y)に格納することができ、プロセッサ(例えば、コントローラ340、380x、又は380y)によって実行することができる。該メモリ装置は、プロセッサ内に実装すること又はプロセッサの外部に実装することができ、プロセッサの外部に実装する場合は、当業において知られている様々な手段を通じて通信可能な形でプロセッサに結合させることができる。
見出しは、参照を目的として及び一定の節を探し出しやすいようにすることを目的として本明細書に含められている。これらの見出しは、本明細書において説明されている概念の適用範囲を限定することを意図するものではなく、これらの概念は、本明細書全体のその他の節においても適用可能である。
開示されている実施形態に関する上記の説明は、当業者が本発明を製造又は使用できるようにすることを目的とするものである。これらの実施形態に対する様々な修正が加えられた場合には、当業者は、該修正を容易に理解することが可能である。本明細書において定められている一般原理は、本発明の精神及び適用範囲を逸脱しない形でその他の実施形態に対しても適用することができる。以上のように、本発明は、本明細書において示されている実施形態に限定することを意図するものではなく、本明細書において開示されている原理及び斬新な特長に一致する限りにおいて最も広範な適用範囲が認められることになることを意図するものである。

Claims (52)

  1. 無線多アンテナ通信システムにおいて空間処理のために用いられるステアリング行列を生成する方法であって、
    基本行列を得ることと、
    スカラーの少なくとも1つの異なる組合せを選択することであって、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に関する少なくとも1つのスカラーを各行につき1つのスカラーずつ含み、各スカラーは、実数値又は複素数値であることと、
    前記基本行列にスカラーの前記少なくとも1つの異なる組合せを乗じることによって少なくとも1つのステアリング行列を形成することであって、スカラーの各組合せによって1つのステアリング行列が形成されること、とを具備する方法。
  2. 前記少なくとも1つのステアリング行列の列を用いて複数のステアリングベクトルを形成することをさらに具備する請求項1に記載の方法。
  3. 前記基本行列は、ウォルシュ行列である請求項1に記載の方法。
  4. 前記基本行列は、フーリエ行列である請求項1に記載の方法。
  5. 前記基本行列は、直交列を有するユニタリ行列である請求項1に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各々は、直交列を有する請求項1に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの異なる組合せに関するスカラーは、+1、−1、+j、及び−jを具備する組から選択され、jは−1の平方根である請求項1に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各要素は、+1、−1、+j、及び−jを具備する組内に属し、jは−1の平方根である請求項1に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各々は、等しい大きさを有する要素を含む請求項1に記載の方法。
  10. 前記基本行列は、N×Nの次元を有し、Nは1よりも大きい整数であり、各組合せは、前記基本行列のN−1の行に関するN−1のスカラーを含む請求項1に記載の方法。
  11. Nは2のべき乗である請求項10に記載の方法。
  12. スカラーの前記少なくとも1つの組合せは、組合せ内の前記少なくとも1つのスカラーの各々に関する1桁を有する基底がKのカウンタを用いて得られ、Kは、前記基本行列の各行に関して使用可能な異なる可能なスカラー数である請求項1に記載の方法。
  13. 無線多アンテナ通信システムにおいて空間処理のために用いられるステアリング行列を生成するために動作可能な装置であって、
    基本行列を得るため、スカラーの少なくとも1つの異なる組合せを選択するため、及び 前記基本行列にスカラーの前記少なくとも1つの異なる組合せを乗じることによって少なくとも1つのステアリング行列を形成するために動作可能なコントローラであって、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に関する少なくとも1つのスカラーを各行につき1つのスカラーずつ含み、各スカラーは、実数値又は複素数値であり、スカラーの各組合せによって1つのステアリング行列が形成されるコントローラと、
    前記基本行列、又は前記少なくとも1つのステアリング行列、又は前記基本行列と前記少なくとも1つのステアリング行列の両方を格納するために動作可能なメモリと、を具備する装置。
  14. 前記基本行列は、ウォルシュ行列である請求項13に記載の装置。
  15. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各々は、直交列を有する請求項13に記載の装置。
  16. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各要素は、+1、−1、+j、及び−jを具備する組内に属し、jは−1の平方根である請求項13に記載の装置。
  17. 無線多アンテナ通信システムにおいて空間処理のために用いられるステアリング行列を生成するために動作可能な装置であって、
    基本行列を得る手段と、
    スカラーの少なくとも1つの異なる組合せを選択する手段であって、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に関する少なくとも1つのスカラーを各行につき1つのスカラーずつ含み、各スカラーは、実数値又は複素数値である手段と、
    前記基本行列にスカラーの前記少なくとも1つの異なる組合せを乗じることによって少なくとも1つの基本行列を形成する手段であって、スカラーの各組合せによって1つのステアリング行列が形成される手段と、を具備する装置。
  18. 前記基本行列は、ウォルシュ行列である請求項17に記載の装置。
  19. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各々は、直交列を有する請求項17に記載の装置。
  20. 前記少なくとも1つのステアリング行列の各要素は、+1、−1、+j、及び−jを具備する組内に属し、jは−1の平方根である請求項17に記載の装置。
  21. 無線多アンテナ通信システムにおいてデータ送信のために送信エンティティにおいて空間処理を行う方法であって、
    複数の送信スパンにおいて送信される1つのブロックのデータシンボルを得るためにデータを処理することと、
    各々が前記複数の送信スパンの各々に対応する複数のステアリング行列を獲得することと、
    各送信スパンにおいて送信される少なくとも1個のデータシンボルに関する空間処理を、前記送信スパンに関して得られた前記ステアリング行列を用いて行うこと、とを具備し、前記複数のステアリング行列は基本行列及びスカラーの少なくとも1つの異なる組合せに基づいて生成され、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に乗じて対応するステアリング行列を生成するために用いられる少なくとも1つのスカラーを含み、前記空間処理は、前記データシンボルブロックが前記複数のステアリング行列を用いて形成された複数の有効チャネルを観測することになる、方法。
  22. 前記多アンテナ通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM)を利用し、前記複数の送信スパンは、複数のサブバンドに対応する請求項21に記載の方法。
  23. 前記多アンテナ通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM)を利用し、前記複数の送信スパンの各々は、1つの時間間隔において1つ以上のサブバンドに対応する請求項21に記載の方法。
  24. 前記複数の送信スパンは、複数の時間間隔に対応する請求項21に記載の方法。
  25. 各ステアリング行列は1つの列を有し、各送信スパンにおいて1個のデータシンボルが送信される請求項21に記載の方法。
  26. 各ステアリング行列は複数の列を有し、各送信スパンにおいて複数のデータシンボルが同時に送信される請求項21に記載の方法。
  27. 前記基本行列は、ウォルシュ行列である請求項21に記載の方法。
  28. 前記基本行列は、フーリエ行列である請求項21に記載の方法。
  29. 前記複数のステアリング行列の各々は、直交列を有する請求項21に記載の方法。
  30. 前記複数のステアリング行列の各要素は、+1、−1、+j、及び−jを具備する組内に属し、jは−1の平方根である請求項21に記載の方法。
  31. 前記複数のステアリング行列の各々は、等しい大きさを有する要素を含む請求項21に記載の方法。
  32. 前記複数のステアリング行列の各々は、前記データシンボルブロックに関する受信エンティティが知らない請求項21に記載の方法。
  33. 前記複数のステアリング行列は、前記データシンボルブロックに関する前記送信エンティティ及び受信エンティティのみが知っている請求項21に記載の方法。
  34. 無線多アンテナ通信システムにおける送信エンティティの装置であって、
    複数の送信スパンにおいて送信される1つのブロックのデータシンボルを得るためにデータを処理するために動作可能なデータプロセッサと、
    各々が前記複数の送信スパンの各々に対応する複数のステアリング行列を取得するために動作可能なコントローラと、
    各送信スパンにおいて送信される少なくとも1つのデータシンボルに関する空間処理を、前記送信スパンに関して得られた前記ステアリング行列を用いて行うために動作可能な空間プロセッサと、を具備し、前記複数のステアリング行列は、基本行列及びスカラーの少なくとも1つの異なる組合せに基づいて生成され、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に乗じて対応するステアリング行列を生成するために用いられる少なくとも1つのスカラーを含み、前記空間処理は、前記データシンボルブロックが前記複数のステアリング行列を用いて形成された複数の有効チャネルを観測することになる、装置。
  35. 各ステアリング行列は1つの列を有し、各送信スパンにおいて1個のデータシンボルが送信される請求項34記載の装置。
  36. 各ステアリング行列は複数の列を有し、各送信スパンにおいて複数のデータシンボルが同時に送信される請求項34に記載の装置。
  37. 前記基本行列は、ウォルシュ行列である請求項34に記載の装置。
  38. 前記複数のステアリング行列の各々は、+1、−1、+j、及び−jを具備する組内に属し、jは−1の平方根である請求項34に記載の装置。
  39. 無線多アンテナ通信システムにおける送信エンティティの装置であって、
    複数の送信スパンにおいて送信される1つのブロックのデータシンボルを得るためにデータを処理する手段と、
    各々が前記複数の送信スパンの各々に対応する複数のステアリング行列を取得する手段と、
    各送信スパンにおいて送信される少なくとも1つのデータシンボルに関する空間処理を、前記送信スパンに関して得られた前記ステアリング行列を用いて行う手段と、を具備し、前記複数のステアリング行列は、基本行列及びスカラーの少なくとも1つの異なる組合せに基づいて生成され、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に乗じて前記対応するステアリング行列を生成するために用いられる少なくとも1つのスカラーを含み、前記空間処理は、前記データシンボルブロックが前記複数のステアリング行列を用いて形成された複数の有効チャネルを観測することになる装置。
  40. 各ステアリング行列は1つの列を有し、各送信スパンにおいて1個のデータシンボルが送信される請求項39載の装置。
  41. 各ステアリング行列は複数の列を有し、各送信スパンにおいて複数のデータシンボルが同時に送信される請求項39に記載の装置。
  42. 無線多アンテナ通信システムにおいて受信エンティティで受信機空間処理を行う方法であって、
    チャネル応答推定値と、各々が複数の送信スパンの各々に対応する複数のステアリング行列とに基いて複数の空間フィルタ行列を導き出すことと、
    前記複数の送信スパンにおいてR本の受信アンテナを通じてRのシーケンスの受信シンボルを得ることであって、Rは1又はそれよりも大きい整数であることと、
    前記Rのシーケンスの受信シンボルに関する空間処理を、前記複数の空間フィルタ行列を用いて行って検出されたシンボルを得ること、とを具備し、前記複数のステアリング行列は、基本行列及びスカラーの少なくとも1つの異なる組合せに基づいて生成され、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に乗じて対応するステアリング行列を生成するために用いられる少なくとも1つのスカラーを含む、方法。
  43. 前記多アンテナ通信システムは、直交周波数分割多重(OFDM)を利用し、前記複数の送信スパンは、複数のサブバンドに対応する請求項42に記載の方法。
  44. 前記複数の送信スパンは、複数の時間間隔に対応する請求項42に記載の方法。
  45. 各ステアリング行列は1つの列を有し、各空間フィルタ行列は1×1の次元を有する請求項42に記載の方法。
  46. 各ステアリング行列はNの列を有し、各空間フィルタ行列はN×Rの次元を有し、N及びRは2よりも大きい整数である請求項42に記載の方法。
  47. 無線多アンテナ通信システムにおける受信エンティティの装置であって、
    チャネル応答推定値と、各々が複数の送信スパンの各々に対応する複数のステアリング行列とに基いて、複数の空間フィルタ行列を導き出すために動作可能なコントローラと、
    前記複数の送信スパンにおいてR本の受信アンテナを通じてRのシーケンスの受信シンボルを得るため、及び前記Rのシーケンスの受信シンボルに関する空間処理を、前記複数の空間フィルタ行列を用いて行って検出されたシンボルを得るために動作可能な空間プロセッサと、を具備し、前記複数のステアリング行列は、基本行列及びスカラーの少なくとも1つの異なる組合せに基づいて生成され、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に乗じて前記対応するステアリング行列を生成するために用いられる少なくとも1つのスカラーを含み、Rは1又はそれよりも大きい整数である、装置。
  48. 各ステアリング行列は1つの列を有し、各空間フィルタ行列は1×1の次元を有する請求項47に記載の方法。
  49. 各ステアリング行列はNの列を有し、各空間フィルタ行列はN×Rの次元を有し、N及びRは2よりも大きい整数である請求項47に記載の方法。
  50. 無線多アンテナ通信システムにおける受信エンティティの装置であって、
    チャネル応答推定値と、各々が複数の送信スパンの各々に対応する複数のステアリング行列と基づいて複数の空間フィルタ行列を導き出す手段と、
    前記複数の送信スパンにおいてR本の受信アンテナを通じてRのシーケンスの受信シンボルを得る手段であって、Rは1又はそれよりも大きい整数である手段と、
    前記Rのシーケンスの受信シンボルに関する空間処理を、前記複数の空間フィルタ行列を用いて行って検出されたシンボルを得る手段と、を具備し、前記複数のステアリング行列は、基本行列及びスカラーの少なくとも1つの異なる組合せに基づいて生成され、各組合せは、前記基本行列の少なくとも1つの行に乗じて対応するステアリング行列を生成するために用いられる少なくとも1つのスカラーを含む、装置。
  51. 各ステアリング行列は1つの列を有し、各空間フィルタ行列は1×1の次元を有する請求項50に記載の装置。
  52. 各ステアリング行列はNの列を有し、各空間フィルタ行列はN×Rの次元を有し、N及びRは2よりも大きい整数である請求項50に記載の装置。
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