JP2010242418A - プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造及び同接合構造の解体工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】解体後のプレキャスト鉄筋コンクリート部材を単体毎に再利用(リユース)することができる、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造及び同接合構造の解体工法を提供する。
【解決手段】一方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材1に、鉄筋8を包含する構成で埋込まれたスリーブ2に、他方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材11から突出した鉄筋12が挿入され、該鉄筋8、12とスリーブ2間の空隙に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が充填され、前記部材1、11間に形成した目地部に、無機系グラウト材9が充填されて、該プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11同士が一連に接合され、前記鉄筋8、12及びスリーブ2のうち、前記有機系グラウト材5と面する部位に関して、第一層として不導体13、3、第二層として導体14。4の薄膜が被覆されている。
【選択図】図1
【解決手段】一方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材1に、鉄筋8を包含する構成で埋込まれたスリーブ2に、他方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材11から突出した鉄筋12が挿入され、該鉄筋8、12とスリーブ2間の空隙に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が充填され、前記部材1、11間に形成した目地部に、無機系グラウト材9が充填されて、該プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11同士が一連に接合され、前記鉄筋8、12及びスリーブ2のうち、前記有機系グラウト材5と面する部位に関して、第一層として不導体13、3、第二層として導体14。4の薄膜が被覆されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、プレキャスト鉄筋コンクリート部材の接合に関する技術分野に属し、更に云えば、同接合部を容易に解体することができ、解体後のプレキャスト鉄筋コンクリート部材を単体毎に再利用(リユース)することができる、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造及び同接合構造の解体工法に関する。
建築用構造部材を再利用する技術は、建設行為を永年に渡り継続する上で、産業廃棄物の削減、ひいては地球環境問題に大きく貢献できるとして、近年注目されている。その中で、プレキャスト工法を前提としたプレキャストコンクリート部材の再利用に関する発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
前記特許文献1には、複数のプレキャストコンクリート部材間の接合部を有機系接合剤で一体に接合し、解体に際しては、該接合部を構成している有機系接合剤を、加熱手段により300℃以下の温度で加熱して熱劣化させ、接合強度を低下させた上で解体する発明が開示されている(同文献1の請求項1及び発明の効果の項を参照)。
なお、前記加熱手段は、接合する一方のプレキャストコンクリート部材の補強部材(鉄筋、PC鋼棒等)に密着した状態で設けられる電熱線と、該電熱線に電圧を印加する電源とからなり(請求項4等を参照)、前記電熱線は、前記補強部材に沿って直線状に設けて実施することもできるし、補強部材の周囲に螺旋状に巻き付けて実施することもできる、との記載が認められる(段落[0022]及び図4等を参照)。
また、前記有機系接合剤には、有機系樹脂接着剤が有効であるとの記載が認められる(請求項3及び段落[0025]を参照)
なお、前記加熱手段は、接合する一方のプレキャストコンクリート部材の補強部材(鉄筋、PC鋼棒等)に密着した状態で設けられる電熱線と、該電熱線に電圧を印加する電源とからなり(請求項4等を参照)、前記電熱線は、前記補強部材に沿って直線状に設けて実施することもできるし、補強部材の周囲に螺旋状に巻き付けて実施することもできる、との記載が認められる(段落[0022]及び図4等を参照)。
また、前記有機系接合剤には、有機系樹脂接着剤が有効であるとの記載が認められる(請求項3及び段落[0025]を参照)
前記特許文献1に係る発明は、プレキャスト工法において、有機系接合剤の熱劣化を利用した解体技術として有用ではあるものの、以下に説明するような問題点がある。
1)部材の全面にわたり有機系接合剤を充填して実施する事例に関しては、複合材として高度な設計技術を要する上に、耐火性が確保されない。
2)補強部材の全面又はシース管の全長にわたりグラウトするので、大量の有機系接合剤が必要となる。よって、成形時のひずみによりプレキャストコンクリート部材としての性能が保持されない可能性がある。
3)有機系接合剤を300℃近い高温(例えば、エポキシ系樹脂接着剤は約270℃(段落[0025]参照))で加熱して熱劣化させた状態で解体すると、該接着剤近傍のコンクリートを構成するセメントゲル中の結合水のほとんどが脱離し、再度湿潤状態としても再生不可能になるので、コンクリートの物性を長期的に保持することが困難となる。また、コンクリートの力学特性は、300℃を超過する高温で加熱すると急激に低下するので、加熱手段の不確実性を考慮すると、管理できない可能性が高い。よって、たとえ再利用できたとしても転用回数が極力制限され、鉄筋コンクリート部材とするメリットが少ない。
4)有機系接合剤は、一旦高温で加熱して熱劣化させると再利用できない問題もある。また、シース孔内に有機系接合剤が残留し、除去することは至難なので、解体後のメンテナンスが著しく面倒である。
5)電気的加熱手段として、線材を敷設して実施しているので、補強部材と有機系接合剤との付着性状を著しく不安定なものにする虞がある。
1)部材の全面にわたり有機系接合剤を充填して実施する事例に関しては、複合材として高度な設計技術を要する上に、耐火性が確保されない。
2)補強部材の全面又はシース管の全長にわたりグラウトするので、大量の有機系接合剤が必要となる。よって、成形時のひずみによりプレキャストコンクリート部材としての性能が保持されない可能性がある。
3)有機系接合剤を300℃近い高温(例えば、エポキシ系樹脂接着剤は約270℃(段落[0025]参照))で加熱して熱劣化させた状態で解体すると、該接着剤近傍のコンクリートを構成するセメントゲル中の結合水のほとんどが脱離し、再度湿潤状態としても再生不可能になるので、コンクリートの物性を長期的に保持することが困難となる。また、コンクリートの力学特性は、300℃を超過する高温で加熱すると急激に低下するので、加熱手段の不確実性を考慮すると、管理できない可能性が高い。よって、たとえ再利用できたとしても転用回数が極力制限され、鉄筋コンクリート部材とするメリットが少ない。
4)有機系接合剤は、一旦高温で加熱して熱劣化させると再利用できない問題もある。また、シース孔内に有機系接合剤が残留し、除去することは至難なので、解体後のメンテナンスが著しく面倒である。
5)電気的加熱手段として、線材を敷設して実施しているので、補強部材と有機系接合剤との付着性状を著しく不安定なものにする虞がある。
本発明の目的は、前記有機系グラウト材の充填領域を必要最小限に止めるにも拘わらず、有機系グラウト材と鉄筋との付着性状を十分に安定させ得る合理的な接合状態を実現する、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造を提供することである。
本発明の次の目的は、充填量を必要最小限に止めた有機系グラウト材を、鉄筋及びその周辺のコンクリートに悪影響を与える虞のない低温度で通電加熱することにより、迅速に行え、且つプレキャスト鉄筋コンクリート部材の高い転用回数を期待できる、前記接合構造の解体工法を提供することである。
本発明の次の目的は、充填量を必要最小限に止めた有機系グラウト材を、鉄筋及びその周辺のコンクリートに悪影響を与える虞のない低温度で通電加熱することにより、迅速に行え、且つプレキャスト鉄筋コンクリート部材の高い転用回数を期待できる、前記接合構造の解体工法を提供することである。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造は、一方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材に、鉄筋を包含する構成で埋込まれたスリーブに、他方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材から突出した鉄筋が挿入され、該鉄筋とスリーブ間の空隙に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材が充填され、かつ、前記部材間に形成した目地部に、無機系グラウト材が充填されて、該プレキャスト鉄筋コンクリート部材同士が一連に接合されていること、前記鉄筋及びスリーブのうち、前記有機系グラウト材と面する部位に関して、第一層として不導体、第二層として導体の薄膜が被覆されていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造は、対向する双方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材から突出した鉄筋がスリーブ内で突合され、該鉄筋とスリーブ間の空隙部に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材が充填されていること、前記鉄筋及びスリーブのうち、前記有機系グラウト材と面する部位に関して、第一層として不導体、第二層として導体の薄膜が被覆されていること、前記鉄筋におけるスリーブに包含されない部位と前記スリーブの外周面に非晶性の樹脂を主材とする薄膜が被覆されていること、同鉄筋とスリーブを含む一定領域部分に場所打ちコンクリートが打設されて一連に接合されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造において、前記導体薄膜が、通電加熱により、熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材の可塑性を調整するための、面状の熱源として機能すること、
前記不導体薄膜が、前記導体の通電加熱に際して、該通電対象外への漏電を回避するための絶縁体として機能することを特徴とする。
前記不導体薄膜が、前記導体の通電加熱に際して、該通電対象外への漏電を回避するための絶縁体として機能することを特徴とする。
請求項4に記載した発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法は、請求項1に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法であって、前記鉄筋に被覆した導体薄膜に通電して、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材を荷重たわみ温度まで加熱する工程と、ジャッキアップして接合状態を解除する工程と、からなることを特徴とする。
請求項5に記載した発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法は、請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法であって、前記場所打ちコンクリートに複数の孔を穿設し、該複数の孔に静的破砕剤を注入して場所打ちコンクリートのかぶりにひび割れを生じさせる工程と、
前記ひび割れ部に有機溶剤を含浸させて、鉄筋及びスリーブの外周面に被覆した非晶性樹脂を主材とする薄膜を溶解し、鉄筋及びスリーブとコンクリートとの付着を除去する工程と、
前記場所打ちコンクリートをはつりとる工程と、
前記鉄筋と前記スリーブに被覆した導体薄膜に通電し、両者の間に充填された、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材を荷重たわみ温度まで加熱する工程と、前記スリーブを鉄筋に沿ってスライドさせて接合状態を解除する工程と、からなることを特徴とする。
前記ひび割れ部に有機溶剤を含浸させて、鉄筋及びスリーブの外周面に被覆した非晶性樹脂を主材とする薄膜を溶解し、鉄筋及びスリーブとコンクリートとの付着を除去する工程と、
前記場所打ちコンクリートをはつりとる工程と、
前記鉄筋と前記スリーブに被覆した導体薄膜に通電し、両者の間に充填された、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材を荷重たわみ温度まで加熱する工程と、前記スリーブを鉄筋に沿ってスライドさせて接合状態を解除する工程と、からなることを特徴とする。
本発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造及び同接合構造の解体工法によれば、以下の効果を奏する。
(1)不導体薄膜及び導体薄膜を面的にめっき処理するため、安定した界面が得られ、鉄筋と有機系グラウト材の付着性状を安定した条件で実現できる。また、有機系グラウト材の充填領域を数十cm程度の短尺のスリーブ内に納めて実施することができる。よって、成形時のひずみの影響が顕著に少ない合理的な接合状態を実現できる。
(2)有機系グラウト材の充填領域を必要最小限に止めて実施できるので、解体作業の省力化に大きく寄与する。
(3)有機系グラウト材は不導体の熱可塑性樹脂を主材とするので、加熱することにより複数回転用できるため、サステナブルな生産システムを実現できる。また、供用期間においては、加熱により、随時、可塑性を調整できるため、ジャッキアップを併用することで、たわみを調整することができる。
(4)加えて、有機系グラウト材として変性ポリフェニレンエーテルを使用した場合には、コンクリート中のセメント水和物からの脱水を生じない100〜150℃程度の比較的低温で加熱することにより解体作業を行うことができる。よって、鉄筋、スリーブ及びその周辺のコンクリートに悪影響を与える虞がない。さらに、変性ポリフェニレンエーテルは、スチレンを含み、柑橘類等から採取されるリモネンや針葉樹等から採取されるピネンによっても溶解するので、メンテナンスが安全かつ容易で経済的である。
(5)その他、スリーブからプレキャスト鉄筋コンクリートの表層までの部位は、耐火性が認められる適切な間隔をあけて実施するので、耐火性を十分に確保することができる。
(1)不導体薄膜及び導体薄膜を面的にめっき処理するため、安定した界面が得られ、鉄筋と有機系グラウト材の付着性状を安定した条件で実現できる。また、有機系グラウト材の充填領域を数十cm程度の短尺のスリーブ内に納めて実施することができる。よって、成形時のひずみの影響が顕著に少ない合理的な接合状態を実現できる。
(2)有機系グラウト材の充填領域を必要最小限に止めて実施できるので、解体作業の省力化に大きく寄与する。
(3)有機系グラウト材は不導体の熱可塑性樹脂を主材とするので、加熱することにより複数回転用できるため、サステナブルな生産システムを実現できる。また、供用期間においては、加熱により、随時、可塑性を調整できるため、ジャッキアップを併用することで、たわみを調整することができる。
(4)加えて、有機系グラウト材として変性ポリフェニレンエーテルを使用した場合には、コンクリート中のセメント水和物からの脱水を生じない100〜150℃程度の比較的低温で加熱することにより解体作業を行うことができる。よって、鉄筋、スリーブ及びその周辺のコンクリートに悪影響を与える虞がない。さらに、変性ポリフェニレンエーテルは、スチレンを含み、柑橘類等から採取されるリモネンや針葉樹等から採取されるピネンによっても溶解するので、メンテナンスが安全かつ容易で経済的である。
(5)その他、スリーブからプレキャスト鉄筋コンクリートの表層までの部位は、耐火性が認められる適切な間隔をあけて実施するので、耐火性を十分に確保することができる。
次に、本発明に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造及び同接合構造の解体工法の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、請求項1、3に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造を示している。
この接合構造は、プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11を再利用するための接合構造であって、一方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材11から突出した鉄筋12の外周面に、第一層目として、漏電防止用の不導体薄膜13、第二層目として、通電加熱用の導体薄膜14が被覆されており、他方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材1には前記鉄筋12が挿入されるスリーブ2が、鉄筋8を包含する構成で埋込まれており、同スリーブ2(又は鉄筋8)にも、第一層目として漏電防止用の不導体薄膜3(又は13)、第二層目として、通電加熱用の導体薄膜4(又は14)が被覆されている。
前記鉄筋12及び鉄筋8の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ2の内周面の導体薄膜4との間には、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が充填され、前記柱部材1、11同士の間に形成した目地部に無機系グラウト材9が充填されて、該プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11同士が一連に接合されている(請求項1、3に記載の発明)。
前記鉄筋12の突き出し長さは、継手性能を確保するのに必要な長さで実施される。
図中の符号7は、加熱孔を示しており、上記の充填工程に際しては、閉塞した状態で供される。符号10は、異種のグラウト材の充填部位を区分することを目的としたセパレータを示している。
この接合構造は、プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11を再利用するための接合構造であって、一方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材11から突出した鉄筋12の外周面に、第一層目として、漏電防止用の不導体薄膜13、第二層目として、通電加熱用の導体薄膜14が被覆されており、他方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材1には前記鉄筋12が挿入されるスリーブ2が、鉄筋8を包含する構成で埋込まれており、同スリーブ2(又は鉄筋8)にも、第一層目として漏電防止用の不導体薄膜3(又は13)、第二層目として、通電加熱用の導体薄膜4(又は14)が被覆されている。
前記鉄筋12及び鉄筋8の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ2の内周面の導体薄膜4との間には、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が充填され、前記柱部材1、11同士の間に形成した目地部に無機系グラウト材9が充填されて、該プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11同士が一連に接合されている(請求項1、3に記載の発明)。
前記鉄筋12の突き出し長さは、継手性能を確保するのに必要な長さで実施される。
図中の符号7は、加熱孔を示しており、上記の充填工程に際しては、閉塞した状態で供される。符号10は、異種のグラウト材の充填部位を区分することを目的としたセパレータを示している。
本実施例に基づいて具体的に説明すると、図示例に係る接合構造は、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11を鉛直方向に接合する構造であり、下方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材11からは、柱主筋に該当する鉄筋12が上方へ突出しており、上方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1には前記鉄筋12が挿入されるスリーブ2が埋込まれている。
加えて、本実施例では、上方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1内に、平面方向に見て、前記鉄筋12とほぼ一致する位置に、同じく柱主筋に該当する鉄筋8が配設されている。
さらに、下方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材11の鉄筋12が上方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1のスリーブ2内のほぼ中間位置まで挿入されて、前記鉄筋8と相対向させて位置決めした状態で、前記鉄筋12、8の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ2の内周面の導体薄膜4との間に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が、グラウト充填孔6’を通して充填されて、前記プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11の主筋が一連に接合されている。
ちなみに、グラウト充填孔6は、充填不良を回避するため、充填に際して、グラウト材を循環させるための排出孔であり、上記したグラウト充填孔6、6’は、加熱に際しては、加熱孔7と同一の用途に供することができる。
また、本実施例に係るスリーブ2は、図1に示したように、その内側面に節状の凸部を複数設けて実施することで、有機系グラウト材5との付着強度を向上させる工夫が施されている。
すなわち、本接合構造は、原則として、グラウト材を用いた機械式継手により構成されるものである。
加えて、本実施例では、上方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1内に、平面方向に見て、前記鉄筋12とほぼ一致する位置に、同じく柱主筋に該当する鉄筋8が配設されている。
さらに、下方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材11の鉄筋12が上方のプレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1のスリーブ2内のほぼ中間位置まで挿入されて、前記鉄筋8と相対向させて位置決めした状態で、前記鉄筋12、8の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ2の内周面の導体薄膜4との間に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が、グラウト充填孔6’を通して充填されて、前記プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11の主筋が一連に接合されている。
ちなみに、グラウト充填孔6は、充填不良を回避するため、充填に際して、グラウト材を循環させるための排出孔であり、上記したグラウト充填孔6、6’は、加熱に際しては、加熱孔7と同一の用途に供することができる。
また、本実施例に係るスリーブ2は、図1に示したように、その内側面に節状の凸部を複数設けて実施することで、有機系グラウト材5との付着強度を向上させる工夫が施されている。
すなわち、本接合構造は、原則として、グラウト材を用いた機械式継手により構成されるものである。
なお、本実施例に係る鉄筋12、8はそれぞれ、図2に示したように、柱部材11、1の外周部に沿って、平面方向に見て一致する配置に計12本ずつバランスよく配設して実施しているが、本数及び配置間隔は勿論この図2に限定されず、構造、生産、保全計画上の要求性能に応じて適宜設計変更可能である。ただし、前記スリーブ2を設置する位置は、プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11の表面からの距離を、耐火性を考慮して設定されている。具体的には、予定した加熱時間内の鉄筋8、12の最高温度は、400〜500℃まで許容されるが、本発明では、有機系グラウト材5を包含する接合部(継手)の性能に基づき、同許容温度が低下することが想定されるため、かぶり厚を一般的な配筋より大きく設定する等の対策をとる。
また、図示は省略するが、上方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材1に下方へ突出す鉄筋12を設け、下方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材11に前記鉄筋12が挿入されるスリーブ2を埋め込んでも、ほぼ同様に実施することができる。
さらに、前記請求項1に係る接合構造は、本実施例では図1に示したように、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11を鉛直方向に接合する場合に好適であるが、これに限定されず、図示は省略するが、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、11同士を水平方向に接合する場合にもほぼ同様に実施することができる。
さらに、前記請求項1に係る接合構造は、本実施例では図1に示したように、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11を鉛直方向に接合する場合に好適であるが、これに限定されず、図示は省略するが、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材1、11同士を水平方向に接合する場合にもほぼ同様に実施することができる。
ここで、前記不導体薄膜13(又は3)は、前記鉄筋12、8(又はスリーブ2)の外周面(又は内周面)の全面に均一に被覆され、前記導体薄膜14(又は4)は、前記不導体薄膜13(又は3)の外周面(又は内周面)の全面に均一に被覆されて実施されている。
前記鉄筋12、8(又はスリーブ2)と導体薄膜14(又は4)との間に不導体薄膜13(又は3)を介在させる意義は、漏電を生じることなく、前記有機系グラウト材5に接する導体薄膜14、4のみ通電させるためである。
なお、前記導体薄膜14、4及び不導体薄膜13、3は、複数回の高温加熱に対し安定性を示し、かつ、継手としての構造性能を損なわないことが要求されるので、無機系の原料を採用することが好ましい。
前記鉄筋12、8(又はスリーブ2)と導体薄膜14(又は4)との間に不導体薄膜13(又は3)を介在させる意義は、漏電を生じることなく、前記有機系グラウト材5に接する導体薄膜14、4のみ通電させるためである。
なお、前記導体薄膜14、4及び不導体薄膜13、3は、複数回の高温加熱に対し安定性を示し、かつ、継手としての構造性能を損なわないことが要求されるので、無機系の原料を採用することが好ましい。
具体的に、前記不導体薄膜13、3の構成は公知の技術であり、例えば、Si−Al−O系酸化物をナノオーダーで被覆することで、400〜500℃の高温環境でも十分な絶縁性が得られる。これにより、漏電に伴う労働災害、ならびに鉄筋の電食を回避することができ、また通電加熱の高効率化を図ることができる。
また、前記導体薄膜14、4の構成も公知の技術であり、ニッケル合金めっき等で実施することができる。スリーブ2の内部に充填される前記有機系グラウト材5は、成形時に収縮するため、仮にフィラーの適切なブレンドにより空隙の分散を図った場合も、完全な遮蔽構造は期待できない。よって、耐久性が課題になることが想定されるが、前記ニッケル合金めっきを用いることにより、この課題も十分に解決される。
前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5としては、100〜150℃程度の荷重たわみ温度を有する、例えば、変性ポリフェニレンエーテルが好適である。
前記変性ポリフェニレンエーテルは、機械的特性に優れている点、割れを生じにくく、耐アルカリ性、電気的絶縁性に優れている点、断熱性に優れる点、ならびに温度調整のみにより複数回の転用に耐え得るためサステナブル(持続可能)な生産システムが提供可能である点等の利点がある。
前記変性ポリフェニレンエーテルが機械的特性に優れている点について更に説明すると、当該樹脂を含有する汎用品の引張剛性は、ASTM D 638「Standard Test Method for Tensile Properties of Plastics」に準拠した試験により、載荷速度5mm/minで1,900〜13,800MPaが得られており、国内で一般的に使用される機械式継手に用いられる有機系グラウト材の要求性能である圧縮剛性1000MPaは確実に超過することが見込めるので、本発明に係る有機系グラウト材5に好適である。
また、前記変性ポリフェニレンエーテルを含有する汎用品の荷重たわみ温度は、ISO 306「Plastics - Thermoplastic materials - Determination of Vicat softening temperature(VST)」に定義されたB120(貫入体の接触面積1mm2、目標貫入深さ1mm、圧力50N、昇温速度120℃/hr)による評価であれば93〜161℃を示す。この温度領域では、セメント水和物からの脱水は生じないため、昇温過程で100℃を超過する際の、コンクリート中の自由水の蒸発によるひび割れに起因する力学特性の低下を除くと、コンクリートの力学特性が低下する虞はない。よって、前記有機系グラウト材5を前記変性ポリフェニレンエーテルで実施すると、100〜150℃程度の低温度の加熱により容易に解体することができるので好ましい。
さらに、前記変性ポリフェニレンエーテルを含有する汎用品の成形時のひずみは、最小で収縮側に1000μと小さく、スリーブ2内部の断面設計、有機系グラウト材5の配合設計の最適化により、接合部の継手性能を十分に向上させることができる。
前記変性ポリフェニレンエーテルは、機械的特性に優れている点、割れを生じにくく、耐アルカリ性、電気的絶縁性に優れている点、断熱性に優れる点、ならびに温度調整のみにより複数回の転用に耐え得るためサステナブル(持続可能)な生産システムが提供可能である点等の利点がある。
前記変性ポリフェニレンエーテルが機械的特性に優れている点について更に説明すると、当該樹脂を含有する汎用品の引張剛性は、ASTM D 638「Standard Test Method for Tensile Properties of Plastics」に準拠した試験により、載荷速度5mm/minで1,900〜13,800MPaが得られており、国内で一般的に使用される機械式継手に用いられる有機系グラウト材の要求性能である圧縮剛性1000MPaは確実に超過することが見込めるので、本発明に係る有機系グラウト材5に好適である。
また、前記変性ポリフェニレンエーテルを含有する汎用品の荷重たわみ温度は、ISO 306「Plastics - Thermoplastic materials - Determination of Vicat softening temperature(VST)」に定義されたB120(貫入体の接触面積1mm2、目標貫入深さ1mm、圧力50N、昇温速度120℃/hr)による評価であれば93〜161℃を示す。この温度領域では、セメント水和物からの脱水は生じないため、昇温過程で100℃を超過する際の、コンクリート中の自由水の蒸発によるひび割れに起因する力学特性の低下を除くと、コンクリートの力学特性が低下する虞はない。よって、前記有機系グラウト材5を前記変性ポリフェニレンエーテルで実施すると、100〜150℃程度の低温度の加熱により容易に解体することができるので好ましい。
さらに、前記変性ポリフェニレンエーテルを含有する汎用品の成形時のひずみは、最小で収縮側に1000μと小さく、スリーブ2内部の断面設計、有機系グラウト材5の配合設計の最適化により、接合部の継手性能を十分に向上させることができる。
また、熱可塑性樹脂は、成形に際して、成形用金型を所定温度に保持することで、樹脂の可塑性の低下を防ぎ、金型への充填率を向上させるのが一般である。
前記変性ポリフェニレンエーテルを含有する汎用品に関する、金型温度の下限は40〜80℃と低いため、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11中、前記有機系グラウト材5の充填範囲近傍を、全面、同温に保持した場合も、コンクリートの力学特性を低下させる虞はない。また、有機系グラウト材の充填時の温度が200℃を超過する高温である場合も、有機系グラウト材の充填量は十分小さいため、熱の拡散を考慮しても、コンクリートの力学特性に与える影響は少ない。
前記変性ポリフェニレンエーテルを含有する汎用品に関する、金型温度の下限は40〜80℃と低いため、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材1、11中、前記有機系グラウト材5の充填範囲近傍を、全面、同温に保持した場合も、コンクリートの力学特性を低下させる虞はない。また、有機系グラウト材の充填時の温度が200℃を超過する高温である場合も、有機系グラウト材の充填量は十分小さいため、熱の拡散を考慮しても、コンクリートの力学特性に与える影響は少ない。
即ち、前記変性ポリフェニレンエーテルを用いる限り、前記柱主筋12、8(又はスリーブ2)の外周面(又は内周面)の全面に均一に被覆された前記導体薄膜14(又は4)は、部材に損傷を与えることなく、有機系グラウト材5が密実に充填される間、可塑性を保持するのに必要な温度に加熱するための熱源として機能し得る。
ところで、再利用することを前提に接合される前記プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11は、コンクリート自体に特殊加工等を施さなくても実施可能であるが、解体後の転用回数をできる限り多くするためには、加熱時の変形に対する耐久性を確保するべく、炭素繊維その他の耐熱性のある繊維で補強しておくことが好ましい。
具体的に、前記接合構造の解体時に通電加熱を行う場合、鉄筋12、8近傍のコンクリート温度は100℃を超過する。したがって、蒸気圧により、鉄筋12、8とコンクリートとの付着が低下する懸念があるが、同コンクリートに繊維補強を施し、変形を制御することで、転用に際して、長期的な耐久性を確保することができる。推奨される繊維としては、耐食性、耐熱性を確保する観点から、ステンレス繊維、各種セラミックス繊維が挙げられる。
なお、解体後、各プレキャスト鉄筋コンクリートをストックする際は、必要に応じて、無機系の表面含浸材等を用いて、適切なメンテナンスを行うことが好ましい。
一般に、コンクリートは、供用期間100年で30N/mm2、200年で36N/mm2程度の圧縮強度が必要とされ、高強度化により、計画供用期間を延ばすことができるものとされている。一方、構造体に要求される所定の耐火性能をコンクリートに保証する場合、転用性も考慮すると、圧縮強度の上限は60N/mm2程度である。これは、火災時に生じる蒸気圧により、高強度の緻密なコンクリートがポップアウト(コンクリート表面が剥がれ落ちる現象)することを回避する仕様である。したがって、30〜60N/mm2程度の圧縮強度を有するコンクリートによって、プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11を構成するのが好ましい。
具体的に、前記接合構造の解体時に通電加熱を行う場合、鉄筋12、8近傍のコンクリート温度は100℃を超過する。したがって、蒸気圧により、鉄筋12、8とコンクリートとの付着が低下する懸念があるが、同コンクリートに繊維補強を施し、変形を制御することで、転用に際して、長期的な耐久性を確保することができる。推奨される繊維としては、耐食性、耐熱性を確保する観点から、ステンレス繊維、各種セラミックス繊維が挙げられる。
なお、解体後、各プレキャスト鉄筋コンクリートをストックする際は、必要に応じて、無機系の表面含浸材等を用いて、適切なメンテナンスを行うことが好ましい。
一般に、コンクリートは、供用期間100年で30N/mm2、200年で36N/mm2程度の圧縮強度が必要とされ、高強度化により、計画供用期間を延ばすことができるものとされている。一方、構造体に要求される所定の耐火性能をコンクリートに保証する場合、転用性も考慮すると、圧縮強度の上限は60N/mm2程度である。これは、火災時に生じる蒸気圧により、高強度の緻密なコンクリートがポップアウト(コンクリート表面が剥がれ落ちる現象)することを回避する仕様である。したがって、30〜60N/mm2程度の圧縮強度を有するコンクリートによって、プレキャスト鉄筋コンクリート部材1、11を構成するのが好ましい。
ここで、前記柱部材1、11同士の間に形成した目地部には、耐火性を考慮して無機系グラウト材9を充填して実施している。
施工手順としては、通電加熱に伴う前記有機系グラウト材5からのアウトガスの発生、及び前記柱部材1、11からの蒸気の発生を考慮し、前記有機系グラウト材5のグラウトを終了した後に、前記無機系グラウト材9を充填することが好ましい。
前記無機系グラウト材9は、セメント系結合材、フィラー、分散剤、膨張材、水から構成される圧縮強度80N/mm2程度までの無収縮モルタルであればよい。
施工手順としては、通電加熱に伴う前記有機系グラウト材5からのアウトガスの発生、及び前記柱部材1、11からの蒸気の発生を考慮し、前記有機系グラウト材5のグラウトを終了した後に、前記無機系グラウト材9を充填することが好ましい。
前記無機系グラウト材9は、セメント系結合材、フィラー、分散剤、膨張材、水から構成される圧縮強度80N/mm2程度までの無収縮モルタルであればよい。
なお、上記した接合構造は、前記有機系グラウト材5を充填することで、接合部(継手部)の剛性は、母材である鉄筋と同程度には期待できない場合がある。その場合は主筋の本数を増やすことが好適に用いられる。また、前記有機系グラウト材5のクリープ変形に起因して、長期的に、前記柱部材1、11にたわみが生じることが懸念されるが、応力分布上影響の認められる梁材等をジャッキアップした上で、熱可塑性樹脂からなる有機系グラウト材5を再加熱することでたわみを補正することができる。
次に、上述した構成の接合構造の、請求項4に関わる解体工法について説明する。
上記した接合構造の解体工法は、前記鉄筋12の外周面の導体薄膜14を通電加熱して、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5を荷重たわみ温度(100〜150℃程度)まで加熱した後、ジャッキアップして接合状態を解除する(請求項4記載の発明)。
具体的には、図1中のグラウト充填孔6’及び加熱孔7から導体薄膜14と導通をとり、通電する。
大電流変圧器等を用いて5000A程度の電流を通電すると、体積抵抗率0.09μΩmの5mm厚の純ニッケルを熱源とした、比熱1.95kJ/kg℃の前記有機系グラウト材5に関する試算では、5分以内の加熱で、有機系グラウト材5は荷重たわみ温度(100〜150℃程度)に達する。鉄筋12への熱の拡散もあるが、スリーブ2内の接合を解くには、有機系グラウト材5の全量が荷重たわみ温度に達する必要はないため、より短い時間での解体が可能になる。仕様によっては、数秒で所定の温度に達する可能性もあるため、作業性、安定性の観点から、出力電流を調整するとよい。この際、鉄筋12に被覆した導体薄膜14のみに加熱を施すことで、有機系グラウト材5の断熱効果により、スリーブ2と接触するコンクリートの急激な温度上昇を回避することができる。
上記した接合構造の解体工法は、前記鉄筋12の外周面の導体薄膜14を通電加熱して、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5を荷重たわみ温度(100〜150℃程度)まで加熱した後、ジャッキアップして接合状態を解除する(請求項4記載の発明)。
具体的には、図1中のグラウト充填孔6’及び加熱孔7から導体薄膜14と導通をとり、通電する。
大電流変圧器等を用いて5000A程度の電流を通電すると、体積抵抗率0.09μΩmの5mm厚の純ニッケルを熱源とした、比熱1.95kJ/kg℃の前記有機系グラウト材5に関する試算では、5分以内の加熱で、有機系グラウト材5は荷重たわみ温度(100〜150℃程度)に達する。鉄筋12への熱の拡散もあるが、スリーブ2内の接合を解くには、有機系グラウト材5の全量が荷重たわみ温度に達する必要はないため、より短い時間での解体が可能になる。仕様によっては、数秒で所定の温度に達する可能性もあるため、作業性、安定性の観点から、出力電流を調整するとよい。この際、鉄筋12に被覆した導体薄膜14のみに加熱を施すことで、有機系グラウト材5の断熱効果により、スリーブ2と接触するコンクリートの急激な温度上昇を回避することができる。
かくして、解体作業を終えて、単体毎にストックヤードへ移設したプレキャスト鉄筋コンクリート部材1は、スリーブ2の内部に有機系グラウト材5を含み、修繕作業を施さない場合、次回の組立及び有機系グラウト材5の充填作業に困難を生じる。したがって、スリーブ2内に残留する有機系グラウト材5は、解体後、機械的又は熱的な手法、或いはそれらの併用により回収される。熱的な手法に関しては、充填孔6も有効に利用することができる。但し、過剰に機械的な回収作業を実施すると、スリーブ2内部のめっきの損傷を招き、再利用するためのプレキャスト鉄筋コンクリート部材1の耐久性が損なわれるので、適宜、有機溶剤を用いて、スリーブ2の内部を洗浄し、再利用に適した状態を確保しておくことが好ましい。
有機溶剤としては、芳香族炭化水素系、または、脂肪族炭化水素系の溶剤を用いることができるが、スチレンモノマーと類似した構造をとることで、ポリスチレンのリサイクルに広く用いられる、リモネンやピネンを用いるのが、安全に作業を行う上で、最適である。
有機溶剤としては、芳香族炭化水素系、または、脂肪族炭化水素系の溶剤を用いることができるが、スチレンモノマーと類似した構造をとることで、ポリスチレンのリサイクルに広く用いられる、リモネンやピネンを用いるのが、安全に作業を行う上で、最適である。
図4〜図7は、請求項2、3に係るプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造を示している。
この接合構造は、プレキャスト鉄筋コンクリート部材21、31を再利用するための接合構造であって、対向する双方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材21、31から突出した鉄筋22、32におけるスリーブ(スライド式スリーブ)23内の突合せ部22a、32a(図4中の斜線部)の外周面に不導体薄膜13、次いで、導体薄膜14が被覆されており、前記スリーブ23の内周面に不導体薄膜3、次いで、導体薄膜4が被覆されており、前記双方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材21、31から突出した鉄筋22、32が前記スリーブ23内で突合されている。
前記鉄筋22、32の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ23の内周面の導体薄膜4との間には、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が充填されている。
前記鉄筋22、32におけるスリーブ23外の露出部22b、32bと前記スリーブ23の外周面に非晶性樹脂を主材とする薄膜26が被覆されており、同鉄筋22、32とスリーブ23を含む一定領域部分Sに場所打ちコンクリート(図示省略)が打設されて一連に接合されている(請求項2、3に記載の発明)。
なお、前記鉄筋22、32の突出し長さは、継手性能を確保するのに必要な長さで実施されるが、場所打ちコンクリートの打設領域Sはできるだけ少ない方が施工上及び経済上好ましいので、必要最小限の突出し長さで実施することが好ましい。
この接合構造は、プレキャスト鉄筋コンクリート部材21、31を再利用するための接合構造であって、対向する双方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材21、31から突出した鉄筋22、32におけるスリーブ(スライド式スリーブ)23内の突合せ部22a、32a(図4中の斜線部)の外周面に不導体薄膜13、次いで、導体薄膜14が被覆されており、前記スリーブ23の内周面に不導体薄膜3、次いで、導体薄膜4が被覆されており、前記双方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材21、31から突出した鉄筋22、32が前記スリーブ23内で突合されている。
前記鉄筋22、32の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ23の内周面の導体薄膜4との間には、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5が充填されている。
前記鉄筋22、32におけるスリーブ23外の露出部22b、32bと前記スリーブ23の外周面に非晶性樹脂を主材とする薄膜26が被覆されており、同鉄筋22、32とスリーブ23を含む一定領域部分Sに場所打ちコンクリート(図示省略)が打設されて一連に接合されている(請求項2、3に記載の発明)。
なお、前記鉄筋22、32の突出し長さは、継手性能を確保するのに必要な長さで実施されるが、場所打ちコンクリートの打設領域Sはできるだけ少ない方が施工上及び経済上好ましいので、必要最小限の突出し長さで実施することが好ましい。
本実施例に基づいて具体的に説明すると、図示例に係る接合構造は、プレキャスト鉄筋コンクリート等で構成される柱梁接合部における梁部材21と、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材31を、機械式継手により、水平方向に接合する構造であり、梁部材21及び31から突出した、梁主筋に該当する鉄筋22及び32における、スリーブ(スライド式スリーブ)23内で突合された領域(図4中の斜線部)の外周面に、不導体薄膜13が被覆され、該不導体薄膜13の外周面に導体薄膜14が被覆されている。また、前記スリーブ23の内周面にも、不導体薄膜3が被覆され、該不導体薄膜3の内周面に導体薄膜4が被覆されている。
前記鉄筋22、32(又はスリーブ23)と導体薄膜14(又は4)との間に不導体薄膜13(又は3)を介在させる意義は、漏電を生じることなく、導体薄膜14、4のみ通電させるためである。
前記鉄筋22、32(又はスリーブ23)と導体薄膜14(又は4)との間に不導体薄膜13(又は3)を介在させる意義は、漏電を生じることなく、導体薄膜14、4のみ通電させるためである。
なお、該導体薄膜14、4及び不導体薄膜13、3は、複数回の高温加熱に対し安定性を示し、かつ、継手としての構造性能を損なわないことが要求されるので、無機系の材料を採用することが好ましい。前記不導体薄膜13、3及び導体薄膜14、4の具体的な構成は、上記段落[0020]、[0021]に記載した通りである。
前記有機系グラウト材5の説明、特には前記有機系グラウト材5として変性ポリフェニレンエーテル樹脂を選定した理由等は、上記段落[0022]、[0023]に記載した通りである。
前記鉄筋22、32におけるスリーブ23外の露出部22b、32bと前記スリーブ23の外周面は、非晶性樹脂を主材とする薄膜26により被覆されている。同領域は、前記場所打ちコンクリート打設領域Sに露出しているため、コンクリートとの付着を確保する必要があるが、解体に際しても、支障を生じない構造とするため、異形鉄筋のリブによる機械的な応力伝達機構を阻害しない範囲の膜厚で、有機溶剤によって劣化しやすい非晶性樹脂を被覆するものとした。
該薄膜26は、一例として、膜厚が10〜500μmの薬液の浸漬塗布が最適である。コンクリートと鉄筋の付着強度を損なうことなく、防錆効果が発揮されるからである。その他、スプレー、はけ塗等も可能であり、再利用時のメンテナンスに関しても、実用性のある材料である。
薄膜に用いる材料は非晶性であれば特定しないが、[0029]に記載した理由で、有機溶剤にリモネンやピネンを用いる場合は、ポリスチレンを主材とした樹脂を広く用いることができる。
該薄膜26は、一例として、膜厚が10〜500μmの薬液の浸漬塗布が最適である。コンクリートと鉄筋の付着強度を損なうことなく、防錆効果が発揮されるからである。その他、スプレー、はけ塗等も可能であり、再利用時のメンテナンスに関しても、実用性のある材料である。
薄膜に用いる材料は非晶性であれば特定しないが、[0029]に記載した理由で、有機溶剤にリモネンやピネンを用いる場合は、ポリスチレンを主材とした樹脂を広く用いることができる。
前記場所打ちコンクリートは、上記したように、解体し易いコンクリートである必要がある。具体的に、短期の供用期間30年を想定して、圧縮強度18N/mm2程度のごく低強度のコンクリートを厳密な調合管理のもとに施工することが好ましい。ただし、構造物全体の耐震性の観点からは、顕著に剛性の劣る部位を設けるのは望ましくない。日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS10」においても、プレキャスト工法の場所打ちコンクリートは、プレキャスト部材の調合の実情を考慮して、水セメント比55%以下にすることが明記されており、設計的手法により、補剛措置をとる必要がある。
前記補剛措置として、あばら筋の解体の簡略化も鑑み、鋼板巻立てにより実施してもよい。この場合の耐火性は、適切なかぶりを設けた主筋によって確保される。
前記補剛措置として、あばら筋の解体の簡略化も鑑み、鋼板巻立てにより実施してもよい。この場合の耐火性は、適切なかぶりを設けた主筋によって確保される。
上記した接合構造は、上記実施例1と同様に、前記有機系グラウト材5を充填することで、接合部(継手部)の剛性は、母材である鉄筋と同程度には期待できない場合がある。その場合は主筋の本数を増やすことが好適に用いられる。また、前記有機系グラウト材5のクリープ変形に起因して、長期的に、前記梁部材21、31にたわみが生じることが懸念されるが、該梁材等をジャッキアップした上で熱可塑性樹脂からなる有機系グラウト材5を再加熱すると、たわみを補正できる。
なお、本実施例に係る鉄筋22、32はそれぞれ、図5と図6に示したように、梁部材21、31の外周部に沿って、側面方向に見て一致する配置で計8本ずつバランスよく配設して実施しているが、本数及び配置間隔は勿論これに限定されず、構造、生産、保全計画上の要求性能に応じて適宜設計変更可能である。ただし、かぶり厚は耐火性を考慮して、上記実施例1と同様に設定されている(上記段落[0017]参照)。
ちなみに、あばら筋は、図示の便宜上省略しているが、当該あばら筋にも非晶性樹脂を主材とする薄膜26が被覆されている。
また、本実施例では、プレキャスト鉄筋コンクリート等で構成される柱梁接合部における梁部材21と、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材31とを水平方向に接合する構造で実施しているが、この限りではなく、場所打ち部を設けた場合の健全性が、設計上の配慮により証明されることを前提として、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材同士の接合に適用することもできる。
ちなみに、あばら筋は、図示の便宜上省略しているが、当該あばら筋にも非晶性樹脂を主材とする薄膜26が被覆されている。
また、本実施例では、プレキャスト鉄筋コンクリート等で構成される柱梁接合部における梁部材21と、プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材31とを水平方向に接合する構造で実施しているが、この限りではなく、場所打ち部を設けた場合の健全性が、設計上の配慮により証明されることを前提として、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材同士の接合に適用することもできる。
次に、上述した構成の接合構造の、請求項5に関わる解体工法について説明する。
上記した接合構造の解体においては、第一に、梁主筋に該当する鉄筋22、32の位置を探査する必要がある。鉄筋の位置、深さを探査する手法としては、電磁誘導法、電磁波レーダ法、X線法が実用化されている。鉄筋探査機の仕様は一様ではないが、電磁誘導法による一機種(富士物産株式会社、商品名:プロフォメーター5)で最大深度200mm、電磁波レーダ法による探査機の一機種(日本無線株式会社、商品名:ハンディサーチNJJ―95B)で同300mmまで、鉄筋位置を探査可能としている。また、X線法に関しては、作業効率等も含めて、最適ではないが、実用性の高い、低エネルギーのX線装置で400mm程度まで探査可能とされており、一般的に想定される配筋の範囲では、確実に位置を特定できる。
上記した接合構造の解体においては、第一に、梁主筋に該当する鉄筋22、32の位置を探査する必要がある。鉄筋の位置、深さを探査する手法としては、電磁誘導法、電磁波レーダ法、X線法が実用化されている。鉄筋探査機の仕様は一様ではないが、電磁誘導法による一機種(富士物産株式会社、商品名:プロフォメーター5)で最大深度200mm、電磁波レーダ法による探査機の一機種(日本無線株式会社、商品名:ハンディサーチNJJ―95B)で同300mmまで、鉄筋位置を探査可能としている。また、X線法に関しては、作業効率等も含めて、最適ではないが、実用性の高い、低エネルギーのX線装置で400mm程度まで探査可能とされており、一般的に想定される配筋の範囲では、確実に位置を特定できる。
次いで、図8に示したように、前記場所打ちコンクリート27(例えば、上面)に複数の孔28を、鉄筋探査の結果に基づいて、かぶり厚程度の深さ穿設し、該複数の孔28に無機系の膨張材からなる静的破砕剤を注入して場所打ちコンクリート27中の鉄筋のかぶり部分にひび割れを生じさせる。静的破砕剤も公知も技術であり、該破砕剤の材料構成、調合の最適化により、鉄筋に永久歪を生じない範囲で、コンクリートにひび割れを生じさせることは容易に実現できる。
前記の工程で得られたひび割れが、前記鉄筋22、32及びスリーブ23に達していることを確認した上で、該ひび割れに有機溶剤を含浸させて、該鉄筋22、32及びスリーブ23の外周面に被覆した非晶性樹脂を主材とする薄膜26を溶解し、コンクリート27との付着を除去する。この後、前記場所打ちコンクリートのうち、前記鉄筋及びスリーブ周辺をはつりとった場合、鉄筋による拘束がないため、割裂引張強度が2N/mm2程度の場所打ちコンクリートは、著しく容易に除去できる。有機溶剤は、前記非晶性樹脂の種類に応じて、好適な仕様を選択するものとする。なお、該有機溶剤を扱う上では引火、中毒対策を確実にとる必要があり、特に、引火に関しては、その後のはつり工程で発生する火花が火元として懸念されるため、はつりまでに、施工範囲に消化設備を完備する必要がある。
また、前記場所打ちコンクリート27のうち、上下段の配筋間に位置するコンクリート塊は、1t程度になると想定されるが、適切にアンカーをとり、重機によって排出するのが好ましい。
また、前記場所打ちコンクリート27のうち、上下段の配筋間に位置するコンクリート塊は、1t程度になると想定されるが、適切にアンカーをとり、重機によって排出するのが好ましい。
次いで、前記場所打ちコンクリート27をはつりとったことで、開放された前記グラウト充填孔6及び加熱孔7から、前記鉄筋22、32の外周面の導体薄膜14と前記スリーブ23の内周面の導体薄膜4との電気的導通を確保して通電し、両者の間に充填された、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材5を荷重たわみ温度(100〜150℃程度)まで加熱し、前記スリーブ23をいずれか一方の鉄筋22(又は32)側へ寄せて接合状態が解除できる(請求項5記載の発明)。
前記プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材21、31は、しかる後、該梁部材31をジャッキアップする等して解体される。なお、上記した各解体工程においては、プレキャスト鉄筋コンクリート部材の応力分布を適切に考慮したサポートを、確実に配置する必要がある。
前記プレキャスト鉄筋コンクリート梁部材21、31は、しかる後、該梁部材31をジャッキアップする等して解体される。なお、上記した各解体工程においては、プレキャスト鉄筋コンクリート部材の応力分布を適切に考慮したサポートを、確実に配置する必要がある。
以上に実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用の範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、構造物を構築するにあたり、上記実施例1と実施例2で説明したプレキャスト鉄筋コンクリート部材の接合構造は、それぞれ、構造物の各接合部のすべてに適用可能であるが、これに特定されることなく、その他の接合構造と併用して、部分的に適用することもできる。当該部分的に適用する場合には、その他の部位をアンボンドプレストレストコンクリート造、鉄骨造、鉄骨コンクリート造で実施するなど、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を有効に再利用することが可能な工法であれば、特定されない。
例えば、構造物を構築するにあたり、上記実施例1と実施例2で説明したプレキャスト鉄筋コンクリート部材の接合構造は、それぞれ、構造物の各接合部のすべてに適用可能であるが、これに特定されることなく、その他の接合構造と併用して、部分的に適用することもできる。当該部分的に適用する場合には、その他の部位をアンボンドプレストレストコンクリート造、鉄骨造、鉄骨コンクリート造で実施するなど、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を有効に再利用することが可能な工法であれば、特定されない。
1、11、21、31 プレキャスト鉄筋コンクリート部材
2 スリーブ
3、13 不導体薄膜
4、14 導体薄膜
5 有機系グラウト材
6、6’ グラウト充填孔
7 加熱孔
8、12、22、32 鉄筋
9 無機系グラウト材
10 セパレータ
23 スリーブ(スライド式スリーブ)
25 固定ボルト
26 非晶性樹脂を主材とする薄膜
27 場所打ちコンクリート
28 穿設孔
2 スリーブ
3、13 不導体薄膜
4、14 導体薄膜
5 有機系グラウト材
6、6’ グラウト充填孔
7 加熱孔
8、12、22、32 鉄筋
9 無機系グラウト材
10 セパレータ
23 スリーブ(スライド式スリーブ)
25 固定ボルト
26 非晶性樹脂を主材とする薄膜
27 場所打ちコンクリート
28 穿設孔
Claims (5)
- プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造であって、
一方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材に、鉄筋を包含する構成で埋込まれたスリーブに、他方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材から突出した鉄筋が挿入され、該鉄筋とスリーブ間の空隙部に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材が充填され、かつ、前記部材間に形成した目地部に、無機系グラウト材が充填されて、該プレキャスト鉄筋コンクリート部材同士が一連に接合されていること、
前記鉄筋及びスリーブのうち、前記有機系グラウト材と面する部位に関して、第一層として不導体、第二層として導体の薄膜が被覆されていること、
を特徴とする、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造。 - プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造であって、
対向する双方のプレキャスト鉄筋コンクリート部材から突出した鉄筋がスリーブ内で突合され、該鉄筋とスリーブ間の空隙部に、不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材が充填されていること、
前記鉄筋及びスリーブのうち、前記有機系グラウト材と面する部位に関して、第一層として不導体、第二層として導体の薄膜が被覆されていること、
前記鉄筋におけるスリーブに包含されない部位と前記スリーブの外周面に非晶性の樹脂を主材とする薄膜が被覆されていること、
同鉄筋とスリーブを含む一定領域部分に場所打ちコンクリートが打設されて一連に接合されていること、
を特徴とする、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造。 - 前記導体薄膜が、通電加熱により、熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材の可塑性を調整するための、面状の熱源として機能すること、
前記不導体薄膜が、前記導体の通電加熱に際して、該通電対象外への漏電を回避するための絶縁体として機能することを特徴とする、請求項1又は2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造。 - 請求項1に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法であって、
前記鉄筋に被覆した導体薄膜に通電して、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材を荷重たわみ温度まで加熱する工程と、
ジャッキアップして接合状態を解除する工程と、
からなることを特徴とする、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法。 - 請求項2に記載したプレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造に関する解体工法であって、
前記場所打ちコンクリートに複数の孔を穿設し、該複数の孔に静的破砕剤を注入して場所打ちコンクリートのかぶりにひび割れを生じさせる工程と、
前記ひび割れ部に有機溶剤を含浸させて、鉄筋及びスリーブの外周面に被覆した非晶性樹脂を主材とする薄膜を溶解し、鉄筋及びスリーブとコンクリートとの付着を除去する工程と、
前記場所打ちコンクリートをはつりとる工程と、
前記鉄筋と前記スリーブに被覆した導体薄膜に通電し、両者の間に充填された、前記不導体の熱可塑性樹脂を主材とする有機系グラウト材を荷重たわみ温度まで加熱する工程と、
前記スリーブを鉄筋に沿ってスライドさせて接合状態を解除する工程と、
からなることを特徴とする、プレキャスト鉄筋コンクリート部材を再利用するための接合構造の解体工法。
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