JP2010236425A - 燃焼速度測定装置及びそれを用いる測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する軽量小型の燃焼速度測定装置、それを用いる固体推進薬の未燃焼薬厚さの計測方法、及び未燃焼薬厚さの時間変化率から燃焼速度を求める燃焼速度の測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の燃焼速度測定装置は、固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する装置であって、固体推進薬1と、未燃焼固体推進薬の端面側に設けられ、かつ燃焼面に対して直交する方向に透過した光を選択的に透過させるための導光部材5と、該導光部材5を経由した光量を測定する受光素子4と、該受光素子4から得られる光量情報を電気信号に変換する電圧測定器7とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する軽量小型の燃焼速度測定装置、それを用いる固体推進薬の未燃焼薬厚さの計測方法及び未燃焼薬厚さの時間変化率から燃焼速度を求める燃焼速度の測定方法に関する。
従来、固体推進薬又は固体燃料の燃焼表面後退の時間変化を測定する方法として、超音波を用いる方法と、X線を用いる方法が知られている。
超音波を用いる測定方法は、例えば超音波の発信および受信機能を有する機器を用い、発信した超音波が燃焼表面で反射することを利用し、その往復にかかった時間と固体内部の音速とから時々刻々の固体部分の厚さを計測するものである。
また、X線を用いる測定方法は、例えば燃焼面の垂直方向からX線を照射した場合、固体部分を透過したX線の強度は、固体厚さに対して指数関数的に減衰することを利用したものである(特許文献1)。
特開2005−326385号公報(第1頁)
しかしながら、固体推進薬内部の音速は、内部にかかる圧力と温度によって変化するので、前記超音波による法によって固体推進薬厚さを測定する場合は、固体内部の音速について別途圧力や温度の計測を実施して、その結果を元に計算で算出する必要があるという問題があった。
また、前記X線による方法では、固体内部の温度変化がX線の透過特性に影響することはなく、圧力又は温度が変化する場合においても独立した計測が可能である。しかし、設置するX線発生装置は、一般に大型で重量が大きく、また測定対象に直接固定することが困難なことが多いという問題があった。また、大型で重量の大きい機材の設置やX線発生部と測定部の相対位置が変化しないようにするのに構造上に制約があったり、飛翔するものに取り付けることは困難という問題もあった。
そこで、本発明の目的は、固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する軽量小型の燃焼速度測定装置、それを用いる固体推進薬の未燃焼薬厚さの計測方法及び未燃焼薬厚さの時間変化率から燃焼速度を求める燃焼速度の測定方法を提供することにある。
本発明の第1の発明は、固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する装置であって、固体推進薬と、未燃焼固体推進薬の端面側に設けられ、かつ燃焼面に対して直交する方向に透過した光を選択的に透過させるための導光部材と、該導光部材を経由した光量を測定する受光素子と、該受光素子から得られる光量情報を電気信号に変換する電圧測定器とを備えることを特徴とする燃焼速度測定装置である。
なお、固体推進薬の燃焼速度とは、燃焼面がその法線方向に単位時間当たりに後退する距離として定義されるから、燃焼速度は、前記の未燃焼薬厚の測定で得られた未燃焼薬厚の時間変化を求めることで得ることができる。
本発明の第2の発明は、前記第1の発明の燃焼速度測定装置を用いて、燃焼中の固体推進薬の燃焼炎の照度と燃焼面に対して直交する方向にある未燃焼固体推進薬を燃焼光が透過した後の照度との差から未燃焼薬厚を求めることを特徴とする固体推進薬の未燃焼薬厚の測定方法である。
本発明の第3の発明は、前記第2の発明の方法により得られた固体推進薬の未燃焼薬厚の時間変化率から燃焼速度を求めることを特徴とする固体推進薬の燃焼速度の測定方法である。
本発明の第1の発明によれば、固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する装置であるため、前述の超音波やX線を用いる従来方法に比べ、特殊な装置を用いる必要もないし、一般に大型で重量も大きいX線発生装置を用いる必要もないため、装置が軽量、かつ小型であるので、ロケットなどの測定対象物に設置が容易である。
また、測定点を2以上にすることにより、精度や能率を向上させることが可能である。さらに、測定対象物の前後に備えて、その差を計測することにより、振動燃焼や浸食燃焼の解析が可能である。
本発明の第2の発明によれば、ある特定時間に対して固体推進薬又は固形燃料の未燃焼薬厚を測定できる上に、連続的な時間変化を測定可能である。また、測定点を2以上とすることにより精度を向上させることもでき、また部位による差異を測定することも可能である。
本発明の第3の発明によれば、固体推進薬又は固形燃料の燃焼速度(表面後退速度)について、ある特定時間における燃焼速度や、その連続的な時間変化を測定できる。また、測定点を2以上とすることにより精度を向上させることもでき、また部位による差異を測定することも可能である。
本発明の燃焼速度測定装置の基本構成を模式的に示す断面図である。 実施例における一定光源を照射し、固体推進薬厚さとその透過照度の関係を得るための装置を模式的に示す断面図である。 実施例における一定光源を照射した場合の固体推進薬厚さとその透過照度の関係を示す片対数グラフである。 実施例における燃焼状態にある固体推進薬の未燃焼薬厚を測定するための本発明の燃焼速度測定装置を模式的に示す断面図である。 実施例における時間と透過光照度、若しくは固体推進薬厚さとの関係を示すグラフである。 実施例におけるロケットモータに適用した本発明の燃焼速度測定装置を模式的に示す断面図である。
本発明の第1の発明の燃焼速度測定装置は、固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する装置であって、固体推進薬1と、未燃焼固体推進薬の端面側に設けられ、かつ燃焼面に対して直交する方向に透過した光を選択的に透過させるための導光部材5と、該導光部材5を経由した光量を測定する受光素子4と、該受光素子4から得られる光量情報を電気信号に変換する電圧測定器7とを備えていることを特徴としている。
さらに、前記燃焼速度測定装置を用いて、燃焼中の固体推進薬の燃焼炎の照度と燃焼面に対して直交する方向にある未燃焼固体推進薬を燃焼光が透過した後の照度との差から未燃焼薬厚を求めることを第2の発明とし、そして得られた固体推進薬の未燃焼薬厚の時間変化率から燃焼速度を求めることを第3の発明としている。
以下、本発明の燃焼速度測定装置を、図1に示した模式図に基づいて説明する。
燃焼容器9の中に設置され、固体推進薬固定台8上にある固体推進薬1が燃焼して燃焼ガス2と共に燃焼光が発生する。発生した燃焼光は、固体推進薬中の透過経路3、さらに導光部材5(光ファイバ)を経由して受光素子4に到達する。受光素子4では、電気回路6により電圧測定器7に接合され、受光した照度に応じた電圧として記録することができる。
前記固体推進薬1としては、熱硬化性又は熱可塑性の樹脂によるバインダ、酸化剤等により構成するのが一般的であるが、それらに限定されるものではなく、燃焼ガスから発せられる光が固体推進薬内部を透過できる限りにおいて、金属粉等を加えることも可能である。
また、燃焼光を受光素子4まで導く導光部材5としては、例えば石英ガラスや光ファイバなど光の透過を妨げない素材が考えられる。固体推進薬1を加圧された燃焼容器9内で燃焼させる場合は、光ファイバ等により加圧容器(燃焼容器)9の外側まで光を誘導し、常圧にて受光素子4でその照度を測定する。
前記受光素子4としては、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタを用いることができる。また、受光部に入る照度を受光素子の測定可能範囲に調整するために、導光部材5と受光素子4の間に減光フィルタを設置することも可能である。
前記電圧測定器7としては、例えば電圧増幅機能や記憶機能、および出力機能を備えた汎用の一般工業製品を用いることができる。
次に、固体推進薬の未燃焼薬厚の計測方法について、測定原理と共に測定手順を以下に説明する。
光又は電磁波の一般的特性として、燃焼面から未燃の固体部分に入る光の強度I0に対してある厚さhの固体部分を透過した後の強度Iは、I=I0exp(−μh)で記述できる。I0は予め実験で求めた値を用いるか、燃焼が終了する直前のIの値を用いることもできる。上式を書き換えると、ln(I/I0)=−μhとなる。
吸収係数μは、別途実験又は理論により与えてもよいし、近似的に一定として扱う場合は、本発明の実験結果を用いて初期未燃薬厚が燃焼前の値と一致するように、燃焼前の薬厚hiと燃焼開始直後のIの値であるIiを用いて、μ=−ln(Ii/I0)/hiの式により求めることもできる。この一般的特性を利用すれば、Iの測定結果から、時々刻々の固体部分厚さ、および、その時間変化率を求めることができる。
次に、燃焼速度の測定方法について、測定原理と共に測定手順を以下に説明する。
固体推進薬又は固体燃料の燃焼速度とは、燃焼面がその法線方向に単位時間当たりに後退する距離として定義される。よって、燃焼速度は、前記の未燃焼薬厚の測定で得られた未燃焼薬厚の時間変化を求めることで得ることができる。前記の測定手法により未燃焼薬厚の時間変化が数値的又はグラフとして得られていれば、任意の時間幅における未燃焼薬厚の差を対応する時間幅で除する代数演算により燃焼速度を得ることができる。
〔実施態様1〕
まず、図2に示すように、厚さが既知である固体推進薬1を遮光壁12で囲んだ容器に充填した状態で白色発光ダイオードの光源10を当て、その透過光強度を照度計13で測定した。固体推進薬1は末端水酸基ポリブタジエンを主とするバインダ(18%)と、粉状又は粒状の過塩素酸アンモニウム(82%)で構成されている。固体推進薬の断面形状は20mm×20mmの正方形であり、厚さ(h)は2mm、5mm、10mm、15mm、20mmの5水準である。
その透過強度、すなわち照度(I)は、図3に示すグラフより明らかなように固体推進薬の厚さ(h)に対して指数関数的に変化している。この結果から吸収係数μが一定であり、前記の手法により透過光の照度(I)を測定することにより未燃焼薬の測定が可能である。
図4は、燃焼状態にある固体推進薬の未燃焼薬厚を測定するための、本発明の燃焼速度測定装置を示す図である。前記と同組成で断面が10mm×10mm、厚さ(h)が30mmの固体推進薬1は、窒素などのガスにより所定の圧力に調整された燃焼容器9内で燃焼できる状態になっている。固体推進薬1の燃焼面および固体推進薬1の底部以外の周囲には、燃焼制限材18が被覆状に施工されて遮光性および難燃性を有する壁が構築されている。固体推進薬1の底部は、透明性のある接着剤で固体推進薬固定台8に固定されている。固定台8の固体推進薬中心部には、固体推進薬断面の中央に透過光測定孔が設けられている。透過光測定孔には、測定孔と同程度の直径の光ファイバ5が挿入されており、固体推進薬固定台8にアダプタA14により固定されている。光ファイバ5の先端は、前記接着剤を介して固体推進薬1の底部に密着している。なお、光ファイバ5の外周は、図示しない遮光材で被覆されている。光ファイバ5は、気密構造を持つアダプタB15を介して燃焼容器9外部に取り出される。光ファイバ5の燃焼容器9外部の端部は、遮光性のあるアダプタC16により受光素子4に結合されている。
次に、固体推進薬1は、その上端部を電熱線又は高温ガスにより着火させると、燃焼面は初期の平面を保ちながら固体推進薬底部に向かって後退する。それに伴い、燃焼面上部の燃焼ガスによる光は、矢印3(透過経路)にて示すように未燃焼固体推進薬内部を、その底部に向かって透過する。
その透過光は、底部に密着した光ファイバ5により燃焼容器9外部の受光素子4まで誘導され、受光素子4でその照度に応じた電圧に変換され、その電圧が電圧測定器7により記録される。光ファイバ5に導入する透過光の照度は、前記の通り固体推進薬1の厚さ(h)により変化するので、前記の手法により計測された電圧の履歴から時々刻々の固体推進薬未燃部の厚さ(h)が得られる。
図5は、時間と透過光照度(I)、若しくは固体推進薬厚さ(h)との関係を示すグラフである。すなわち固体推進薬未燃部分の厚さに応じた透過照度(I)と固体推進薬厚さ(h)の時間履歴を示している。ロケットモータの設計上で非常に重要な燃焼速度は、図5で得られた固体推進薬未燃部分厚さの時間変化を算定することにより求める。
また、本実施例では加圧用ガス流入口19および排気口20でのガス流量調整により燃焼容器9内圧力を任意に調整可能であり、一定値のみではなく、例えば周期的に変化させることが可能である。また、固体推進薬燃焼面上部に外部から別途ガス流を噴射することも可能であるので、振動燃焼や浸食燃焼といった様々な条件下においてその燃焼速度の情報を容易に得ることが可能である。
〔実施態様2〕
図6は、ロケットモータに適用した本発明の燃焼速度測定装置を示す図である。モータケース21は例えば金属や繊維強化樹脂で構成されており、モータケース21の内部に固体推進薬1が固定されている。本実施例においては、固体推進薬1の組成は前記実施態様と同等であり、その形状は全長120mm、外径50mm、内径20mmの単孔の内面燃焼型であり、モータ長さ方向で、図6の左側のモータ前端部側と右側のノズル部側の2箇所の固体推進薬厚さを測定する形態である。光ファイバ5がモータケース21側面に挿入され、その先端は固体推進薬外周に密着している。固体推進薬をモータケース21に装填した後の光ファイバ5の設置が困難な場合は予め光ファイバ5を予めモータケース21に取り付けた状態で固体推進薬を装填することも機構上十分可能である。
モータに点火後、各箇所の透過光がそれぞれ独立に計測され、受光素子により照度に応じた電圧に変化され、その時間履歴が電圧計により記録される。モータ内の固体推進薬の燃焼速度は場所により異なる場合があり、前記実施例のように一斉にその照度が0となるとは限らないが、先に固体推進薬が焼失した箇所においてはその照度が一定となると考えられるので、局所の燃焼終了時刻を検出することは可能である。
また、光ファイバや受光素子などの構成部品は小型かつ軽量なものを選択することにより、飛翔するモータに取り付けて計測することも可能である。
1 固体推進薬
2 燃焼ガス
3 固体推進薬中の燃焼光の透過経路
4 受光部又は受光素子
5 導光部材又は光ファイバ
6 電気回路
7 電圧測定器
8 固体推進薬固定台
9 燃焼容器
10 発光ダイオード光源
11 発光ダイオード光の透過経路
12 遮光壁
13 照度計
14 アダプタA
15 アダプタB
16 アダプタC
17 点火用ヒータ
18 燃焼制限材兼遮光材
19 加圧用ガス流入口
20 排気口
21 モータケース
22 ノズル

Claims (3)

  1. 固体推進薬が燃焼して生ずる燃焼光により燃焼速度を測定する装置であって、固体推進薬と、未燃焼固体推進薬の端面側に設けられ、かつ燃焼面に対して直交する方向に透過した光を選択的に透過させるための導光部材と、導光部材を経由した光量を測定する受光素子と、受光素子から得られる光量情報を電気信号に変換する電圧測定器とを備えることを特徴とする燃焼速度測定装置。
  2. 請求項1に記載の燃焼速度測定装置を用いて、燃焼中の固体推進薬の燃焼炎の照度と燃焼面に対して直交する方向にある未燃焼固体推進薬を燃焼光が透過した後の照度との差から未燃焼薬厚を求めることを特徴とする固体推進薬の未燃焼薬厚の測定方法。
  3. 請求項2に記載の方法により得られた固体推進薬の未燃焼薬厚の時間変化率から燃焼速度を求めることを特徴とする固体推進薬の燃焼速度の測定方法。
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