JP2010230228A - 水和物生成方法、蓄熱方法および蓄熱装置 - Google Patents

水和物生成方法、蓄熱方法および蓄熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液−液直接接触熱交換法を適用して、熱媒体と他方の物質との熱交換により生成した水和物(目的物質)を熱利用に供しても相分離を起こさず、熱利用の制限を少なくできる、水和物を生成する技術を提供する。
【解決手段】水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と、該水溶液と相分離する熱媒用液体とを直接接触させ、前記熱媒用液体と前記水溶液との熱交換により前記水溶液中に水和物を生成させることを特徴とする水和物生成方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体同士の直接接触により熱交換を行う熱交換手法、即ち、いわゆる液−液直接接触熱交換法により、水和物のゲスト物質を溶質とする水溶液から水和物を生成する技術およびこの技術を基礎とする蓄熱技術に関する。
なお、本発明において、次に掲げる用語の定義または解釈は、以下のとおりとする。
(1)「原料水溶液」とは、水和物のゲスト物質を溶質とする水溶液または水和物のゲスト物質を溶質とする水溶液の中に当該水和物が分散または懸濁してなるものをいう。
(2)「疎水性物質」とは、水に対する親和性が低い、すなわち水に溶解しにくい、または水と混ざりにくい物質をいう。疎水性物質の一例は石油精製品であり、パラフィン油、ガソリン、ナフサ、灯油、ジェット燃料油、軽油、潤滑油ベースオイル、重油などが含まれる。疎水性物質の別の例はシリコン系オイルであり、ジメチルポリシロキサンを構成物質とするシリコーンオイルが含まれる。疎水性物質の更に別の例はフッ素系液体であり、炭化水素のフッ素化物、例えば、炭化水素の全ての水素をフッ素に置換した化合物であり、炭素数5〜20(特に6〜12)の化合物が主成分であるものが含まれる。
(3)水和物のゲスト物質を溶質とする水溶液の「調和濃度」とは、原料水溶液から水和物が生成される際、水溶液(液相)から水和物(固相)に変相する前後の組成が変わらないとき(より具体的には、当該原料水溶液におけるゲスト物質の濃度が、当該水和物におけるゲスト物質の濃度と同じであるとき)、その原料水溶液におけるゲスト物質の濃度をいう。ちなみに、調和濃度を与える原料水溶液の温度を調和融点という。横軸を原料水溶液におけるゲスト物質の濃度とし、縦軸をその原料水溶液から水和物が生成する温度(またはその原料水溶液中に生成している水和物の融点)とした状態図では、そこに描かれる曲線(以下「水和物生成曲線」という場合がある)の極大点を与える横軸の値が調和濃度であり、縦軸の値が調和融点である。
(4)「熱媒体」とは、熱の移動を媒介する流体をいう。「熱媒用液体」とは、熱媒体のうち、熱の移動を媒介する前後において液体であるものまたは液体としての性質を有するものをいう。
(5)「相分離」とは、一方の物質と他方の物質とが接触界面の上下で分離して、上層と下層に分かれることをいう。この場合、当該一方の物質が当該他方の物質に対し完全に不溶性である必要はなく、当該他方の物質が当該一方の物質に対し完全に不溶性である必要もない。
いわゆる液−液直接接触熱交換法を適用して目的物質を生成する技術が知られている(非特許文献1)。この技術の実用例は多くないが、幾つかの例が知られている。
たとえば、熱媒体としてのエチレングリコール水溶液と、エチレングリコール水溶液とは相互に溶解せずに相分離するテトラデカンの液滴とを直接接触させて熱交換させることにより、蓄冷材(またはその組成物)としてのテトラデカンの固化物を生成する技術が知られている(非特許文献2)。
この液−液直接接触熱交換法では、熱交換に関わる物質同士の混合が激しいため、熱交換に関与する物質(互いに熱交換する熱媒体および他方の物質のうち少なくとも一方)と目的物質であるテトラデカンの固化物との分離が不十分になる場合がある。たとえば、非特許文献2では、エチレングリコール水溶液との熱交換によりテトラデカンが凝固する際に、テトラデカンの固化物(目的物質)の内部にエチレングリコール水溶液(熱媒体)が残留し、テトラデカンの固化物を蓄冷材(またはその組成物)として利用することを妨げる原因となる。このことを、図1(a)〜(c)を参照して説明する。
図1(a)に示すように、エチレングリコール水溶液にテトラデカンを吹き込むと、エチレングリコール水溶液とテトラデカンとが激しく攪拌されてかき混ぜられる。この場合、エチレングリコール水溶液101と相分離したテトラデカン液滴111の内部にエチレングリコール水溶液101aが混入することがある。図1(b)に示すように、冷却されたエチレングリコール水溶液101との熱交換によりテトラデカン液滴111を冷却すると、最初に液滴の表面にテトラデカン凝固物112が生成し、表面から内部へ向かって凝固が進む。図1(c)に示すように、さらに熱交換が行われ、テトラデカン液滴111の全体がテトラデカン凝固物112になったときに、最初に液滴内部に混入したエチレングリコール水溶液101aはテトラデカン凝固物112の内部に取り込まれて残留する。
液−液直接接触熱交換法を適用して水和物を生成する例も知られている(特許文献1)。この方法は、熱媒体かつホスト物質である水と液体ゲスト物質(たとえばシクロペンタン)とを蓄熱槽内で相分離させ、水を抜き出して冷却し、冷却した水を蓄熱槽に戻して、水と液体ゲスト物質との界面で蓄熱材(またはその組成物)としての水和物を生成させるものである。しかし、水と液体ゲスト物質との界面で生成した水和物を蓄熱槽外に取り出して蓄熱材として利用することは困難である。しかも、熱負荷側(たとえば水和物と別の熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器)において水和物を蓄熱材として利用すると、その場でホスト物質である水と液体ゲスト物質とに相分離する。このため、相分離した水と液体ゲスト物質を回収して水和物(蓄熱材)の製造に再利用すること、特にそれを連続的、継続的または循環的に行うことが困難になる。また、液体ゲスト物質の揮発性や毒性が高い場合、水和物が熱利用に供される熱負荷側およびその周囲に、相分離により出現する液体ゲスト物質の影響が及ぶ。
"NEWS FEATURES - Heat exchange: New uses for direct-contact units - No applications have reached the commercial stage yet, but prototypes are being built for use with geothermal brine, warm ocean water, and phase-change materials." pp. 56-60, CHEMICAL ENGINEERING June 30, 1980. 稲葉他「低凝固点油滴の凝固を利用した潜熱蓄冷熱に関する基礎研究:第4報, 低温水溶液中を浮上するテトラデカン油滴の流動および凝固特性に関する数値」日本機械学會論文集. B編 Vol.63, No.607(1997) pp. 1013−1020
特開2008−286434号公報、段落0041
本発明は、液−液直接接触熱交換法を適用して、熱媒体と他方の物質との熱交換により生成した水和物(目的物質)を熱利用に供しても相分離を起こさず、熱利用の制限を少なくできる、水和物を生成する技術およびこれを基礎にした蓄熱技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態は、水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と、該水溶液と相分離する熱媒用液体とを直接接触させ、前記熱媒用液体と前記水溶液との熱交換により前記水溶液中に水和物を生成させることを特徴とする水和物生成方法である。
本発明の第2の形態は、前記ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、前記熱媒用液体が疎水性物質であることを特徴とする請求項1に記載の水和物生成方法である。
本発明の第3の形態は、水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と、該水溶液と相分離する熱媒用液体とを直接接触させ、前記熱媒用液体と前記水溶液との熱交換により前記水溶液中に水和物を生成させて蓄熱することを特徴とする蓄熱方法である。
本発明の第4の形態は、前記ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、前記熱媒用液体が疎水性物質であることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱方法である。
本発明の第5の形態は、水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と熱媒用液体とを、上下に相分離させかつ直接接触させて収容し、前記熱媒用液体と水溶液とを熱交換させる収容槽と、前記熱媒用液体を前記収容槽から取り出して前記収容槽へ戻す循環経路と、前記循環経路の途中に設けられ、前記熱媒用液体を冷却する機構とを有することを特徴とする蓄熱装置である。
本発明の第6の形態は、前記ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、前記熱媒用液体が疎水性物質であることを特徴とする請求項5に記載の蓄熱装置である。
本発明においては、互いに相分離する原料水溶液と熱媒用液体とが液−液直接接触熱交換に関与し、原料水溶液中で水和物が生成し、水和物が分散または懸濁した原料水溶液が熱利用に供される。このため、水和物が分散または懸濁した原料水溶液を熱利用に供することにより水和物が融解しても原料水溶液に戻るだけで相分離が起こらないので、熱利用の仕方に制限が少ない。たとえば、水和物が分散または懸濁した原料水溶液を、容器の中に収容したままで熱利用に供することも、容器の外に取り出し熱負荷側で熱利用に供した後に回収して水和物の生成に再利用することを連続的、継続的または循環的に行うこともできる。また、ゲスト物質の揮発性や毒性が高い場合であっても、熱負荷側およびその周囲に及ぼす影響は少ない。
本発明においては、水和物のゲスト物質の調和濃度未満の原料水溶液から水和物が生成するので、原料水溶液の液滴の中に熱媒体が混合する場合であっても、その液滴の内部から外部に向かって水和物が成長する。しかも、どれほど冷却が進んでも原料水溶液が完全に凝固する事態は起きないため、凝固物の内部に熱媒体が取り残される可能性はない。このため、原料水溶液の液滴の中に入り込む熱媒体は、水和物の生成(または液滴の凝固)の過程で液滴の外部に出て行き易く、蓄冷材の中に熱媒用液体が取り残されて分離できないという事態が生じない。したがって、本発明によれば、熱媒用液体と目的物質である水和物との分離が比較的容易である。
したがって、本発明の特に形態1、3および5に係る技術は、液−液直接接触熱交換法の適用により蓄冷材(またはその組成物)として利用される水和物を生成する技術およびこれを基礎とする蓄熱技術として好適である。本発明の形態2、4および6に係る技術のように、ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、熱媒体が疎水性物質であることがより好適である。
従来技術においてエチレングリコール水溶液中でテトラデカン液滴が凝固する過程を説明する図。 本発明において、調和濃度未満の原料水溶液から水和物が生成する過程を説明する図。 調和濃度の原料水溶液から水和物が生成する過程を説明する図。 実施例1における水和物生成装置を示す構成図。 実施例2における水和物生成装置を示す構成図。
まず、図2(a)〜(c)を参照して、調和濃度未満の原料水溶液から水和物が生成する過程を説明する。図2(a)は、熱媒用液体4中に調和濃度未満の原料水溶液3の液滴が生じ、この液滴中に熱媒用液体4aが取り込まれた状態を示している。この状態から調和濃度未満の原料水溶液3が冷却されていくと、図2(b)に示すように、調和濃度未満の原料水溶液3の液滴中に水和物31が生成する。この場合、図1(b)に示したように、テトラデカン液滴111の表面にテトラデカン凝固物112の殻ができるように状態にはならない。さらに調和濃度未満の原料水溶液3が冷却されると、図2(c)に示すように、調和濃度未満の原料水溶液3の液滴中に生成する水和物31が増加するが、調和濃度未満の原料水溶液3が残るとともに、液滴中に取り込まれた熱媒用液体4aは周囲へ押し出される。このように、本発明では、図1(c)に示したようにテトラデカン凝固物112の内部にエチレングリコール水溶液101aが取り込まれて残留する状態にはならない。
一方、図3(a)〜(c)を参照して、調和濃度の原料水溶液から水和物が生成する過程を説明する。図3(a)は、熱媒用液体4中に調和濃度の原料水溶液30の液滴が生じ、この液滴中に熱媒用液体4aが取り込まれた状態を示している。この状態から調和濃度の原料水溶液30が冷却されていくと、図3(b)に示すように、調和濃度の原料水溶液3の液滴中に水和物31が生成する。この場合にも、図1(b)に示したように、テトラデカン液滴111の表面にテトラデカン凝固物112の殻ができるように状態にはならない。しかし、さらに調和濃度の原料水溶液30が冷却されると、図3(c)に示すように、調和濃度の原料水溶液30の液滴の全てが水和物31となり、熱媒用液体4aが液滴中に取り込まれることがありうる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。各図面において同じ部分または相当する若しくは共通する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。いうまでもなく、本発明は、図面に記載された実施例に限定されない。特に、本発明は、特定の第四級アンモニウム塩がゲスト物質である場合や特定の疎水性物質が熱媒体である場合に限定されない。
実施例1
図4に、本発明の実施例1に係る水和物生成装置の構成を示す。なお、水和物生成装置を説明するとともに、この水和物生成装置で実行される水和物生成方法についても説明する。従って、実施例1は本発明に係る水和物製造方法の実施例でもある。また、水和物は蓄熱性を有することから、この水和物生成装置は蓄熱装置でもあり、その蓄熱装置で実行される蓄熱方法も、本発明に係るものである。従って、実施例1は本発明に係る蓄熱装置および蓄熱方法の実施例でもある。
水和物生成装置1の収容槽2には、原料水溶液3と疎水性物質である熱媒用液体4とが収容され、それぞれ、原料水溶液の層Lsと熱媒用液体の層Lmとして保持される。原料水溶液3と熱媒用液体4とは相互に溶解しないかまたは溶解し難く(相互の溶解度が低い)、しかも原料水溶液3と熱媒用液体4との間に比重差があるので接触界面5の上下で相分離する。この図では、原料水溶液3の方が熱媒用液体4よりも比重が大きいので、層Lsの上に層Lmがある。
また、熱媒用液体4は、原料水溶液3からゲスト物質が溶解しない、または溶解しにくい熱媒体である(換言すれば、そのような性質を有する熱媒体が、熱媒用液体4として選択される)。
すなわち、熱媒用液体4は、原料水溶液3と相互に溶解しない、または溶解しにくい(相互の溶解度が低い)熱媒体であり、また、原料水溶液3からゲスト物質が溶解しない、または溶解しにくい熱媒体である。このような熱媒体としては、石油精製品であって、パラフィン油、ガソリン、ナフサ、灯油、ジェット燃料油、軽油、潤滑油ベースオイル、重油などが含まれるもの、シリコン系オイルであって、ジメチルポリシロキサンを構成物質とするシリコーンオイルが含まれるもの、フッ素系液体であって、炭化水素のフッ素化物、例えば、炭化水素の全ての水素をフッ素に置換した化合物であり、炭素数5〜20(特に6〜12)の化合物が主成分であるものが含まれるもの等が挙げられる。
接触界面5は、熱媒用液体の層Lmと原料水溶液の層Lsとが直接接触する面であるが、水平面である必要はない。たとえば、熱媒用液体の層Lmと原料水溶液の層Lsとの間に、原料水溶液3の塊と熱媒用液体4の塊とが混在する層が存在する場合には、その層の中で原料水溶液3の塊と熱媒用液体4の塊とが接触して構成される面が接触界面5に該当する。このような場合には、接触界面5は水平面とは限らない。
流体経路7,8は熱媒用液体4が移動する経路であり、流体経路11,12は原料水溶液3が移動する経路である。各流体経路は、多くの場合、配管やこれに伴うバルブやポンプを含む。
疎水性物質である熱媒用液体4は、収容槽2の上部から流体経路7を通じて、ポンプ6により送出され、ポンプ6の下流に配置する熱交換器9の冷却用伝熱面10により冷却される。そのときの冷却温度は、原料水溶液3から水和物が生成する温度(水和物生成温度)以下である。その後、冷却された熱媒用液体4は、流体経路8を通じて収容槽2の中に送入される。なお、この図では、流体経路8は、熱媒用液体4を原料水溶液の層Lsの中に送入しているが、熱媒用液体の層Lmに送入してもよく、両層Ls,Lmの境界である、接触界面5を目掛けて送入してもよい。
冷却用伝熱面10を備える熱交換器9の典型例は、プレート式熱交換器やシェルアンドチューブ式熱交換器である。この場合、各熱交換器の熱交換面が冷却用伝熱面10に該当する。ヒートシンクとそのヒートシンクと熱的に接続する冷却用熱源も熱交換器9に該当する。この場合、ヒートシンクの表面が冷却用伝熱面10に該当する。熱的接続の典型例は、冷媒やヒートパイプを介してなされるヒートシンクと冷却用熱源との間の熱伝達である。
原料水溶液3は、水和物のゲスト物質を溶質とする調和濃度未満の水溶液である。原料水溶液3は、収容槽2の上部から流体経路12を通じて熱媒用液体の層Lmの中に送入される。その送入の際には、原料水溶液3が流体経路7に流れ込まないようにする。なお、この図では、原料水溶液3を熱媒用液体の層Lmの中に送入しているが、原料水溶液の層Lsの中に送入してもよく、両層Ls,Lmの接触界面5に目掛けて送入してもよい。
原料水溶液3と熱媒用液体4とは少なくとも接触界面5において互いに直接接触する。この図に示すように、流体経路8を通じて原料水溶液の層Lsの中に熱媒用液体4を送入する場合には、層Ls内においても原料水溶液3と熱媒用液体4との直接接触が起こる。また、流体経路12を通じて熱媒用液体の層Lmの中に原料水溶液3を送入する場合には、層Lm内においてもそのような直接接触が起こる。こうした直接接触の結果、熱媒用液体4により原料水溶液3が水和物生成温度以下に冷却されると、図2(b)および(c)に示したように原料水溶液3の中に水和物31が生成し、原料水溶液の層Lsの中に生成した水和物31が蓄積される。
水和物の生成効率を高めるためには、接触界面5の面積を増加させればよい。接触界面5は熱交換面として機能するので、その面積増加は熱交換効率の増加に通じるからである。接触界面5の面積を増加させるためには、たとえば接触界面5を振動させるとよい。原料水溶液3および/または熱媒用液体4を接触界面5に目掛けて送入することは、接触界面5を振動させ、延いては水和物の生成効率を高めるために効果的である。また、この図に示すように、熱媒用液体4を原料水溶液の層Lsの中に送入すると、その熱媒用液体4が上方に移動する過程で接触界面5を通過し、その際に接触界面5を振動させる。原料水溶液3を熱媒用液体の層Lmの中に送入しても、原料水溶液3が下方に移動する過程で接触界面5を通過し、その際に接触界面5を振動させる。このような手法も、水和物の生成効率を高めるために効果的である。
原料水溶液の層Lsの中に蓄積された水和物(より正確には水和物の結晶)は多くの場合、原料水溶液の中に分散または懸濁してスラリー状をなしている。水和物の結晶、延いてはそのスラリーには冷熱が蓄積されているので、水和物の生成は蓄熱でもある。そこで、原料水溶液の層Lsから流体経路11を通じて水和物の結晶をスラリー状態で収容槽2の外に送出または取り出して熱負荷側に供給すれば、熱利用に供することができる。熱負荷側で熱利用されると、スラリー状態におかれていた水和物の結晶は、水和物生成温度よりも高温となり、原料水溶液3に戻る。熱負荷側で熱利用されても、相分離した状態になることはない。そして、その原料水溶液3は、回収されて、流体経路12を通じて収容槽2の中に送入され、水和物の生成に再度供することができる。また、そのような再利用を連続的、継続的または循環的に繰り返すこともできる。
なお、水和物を収容槽に収容したままで伝熱管を通じて冷熱媒体を取り出すことにより、水和物が蓄積した熱を外部に取り出すことができ、熱負荷側で熱利用に供することもできる。
<効果の小括>
上記のような構成の装置またはその装置において実行される方法によれば、水和物を熱利用に供しても相分離を起こさないので、大きな制限を受けずに熱利用に供することができる。たとえば、水和物が生成した原料水溶液を、容器の中に収容したままで熱利用に供することも、容器の外に取り出し熱負荷側で熱利用に供した後に回収して水和物の生成に再利用することを連続的、継続的または循環的に行うこともできる。また、ゲスト物質の揮発性や毒性が高い場合であっても、熱負荷側およびその周囲にその影響が及ぶこともない。
そして、調和濃度未満の原料水溶液から水和物が生成するので、原料水溶液の液滴の中に熱媒体が混合する場合であっても、その液滴の内部から外部に向かって水和物が成長し、しかも液滴が完全に凝固固化することもない。調和濃度未満の原料水溶液の場合は、どれほど冷却が進んでも水溶液が完全に凝固する事態は起きないため、水和物内に熱媒体が取り残されることはない。
実施例2
図5に、本発明の実施例2に係る水和物生成装置の構成を示す。符号1〜12、Lm、Lsは、図4における符号と同じである。水和物生成装置を説明するとともに、この水和物生成装置で実行される水和物生成方法についても説明するので、実施例1は本発明に係る水和物製造方法の実施例でもある。また、水和物は蓄熱性を有することから、この水和物生成装置は蓄熱装置でもあり、その蓄熱装置で実行される蓄熱方法も、本発明に係るものである。従って、実施例2は本発明に係る蓄熱装置および蓄熱方法の実施例でもある。
図5は、図4と異なり、原料水溶液3の方が熱媒用液体4よりも比重が小さい場合を示しており、上層が原料水溶液の層(Ls)、下層が熱媒用液体の層(Lm)となっている。このことに起因して、図5での動作は図4での動作と以下の点で異なる。
(1)熱媒用液体の層Lmの中では原料水溶液3は上方に移動すること、
(2)原料水溶液の層Lsの中では熱媒用液体4は下方に移動すること、
(3)流体経路7は収容槽2の下部から熱媒用液体4を送出するものであること、
(4)流体経路8は収容槽2の上部から熱媒用液体4を原料水溶液の層Lsの中に送入するものであること、
(5)流体経路11は収容槽2の上部から原料水溶液3(特に水和物の結晶が原料水溶液3の中に分散または懸濁したスラリー)を送出するものであること、
(6)流体経路12は収容槽2の下部から原料水溶液3を熱媒用液体の層Lmの中に送入するものであること。
これらの点を除き、図4における説明は、図5においても当てはまる。従って、実施例2でも、実施例1の場合と同様に、次の効果が得られる。
水和物を熱利用に供しても相分離を起こさないので、大きな制限を受けずに熱利用に供することができる。たとえば、水和物が生成した原料水溶液を、容器の中に収容したままで熱利用に供することも、容器の外に取り出し熱負荷側で熱利用に供した後に回収して水和物の生成に再利用することを連続的、継続的または循環的に行うこともできる。また、ゲスト物質の揮発性や毒性が高い場合であっても、熱負荷側およびその周囲にその影響が及ぶこともない。
そして、調和濃度未満の原料水溶液から水和物が生成するので、原料水溶液の液滴の中に熱媒体が混合する場合であっても、その液滴の内部から外部に向かって水和物が成長し、しかも液滴が完全に凝固固化することもない。調和濃度未満の原料水溶液の場合は、どれほど冷却が進んでも水溶液が完全に凝固する事態は起きないため、水和物内に熱媒体が取り残されることもない。
1…水和物生成装置、2…収容槽、3…原料水溶液、4…熱媒用液体、5…接触界面、6…ポンプ、7…熱媒用液体送出用の流体経路、8…熱媒用液体送入用の流体経路、9…熱交換器、10…冷却用伝熱面、11…原料水溶液送出用の流体経路、12…原料水溶液送入用の流体経路、Lm…熱媒用液体の層、Ls…原料水溶液の層。

Claims (6)

  1. 水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と、該水溶液と相分離する熱媒用液体とを直接接触させ、前記熱媒用液体と前記水溶液との熱交換により前記水溶液中に水和物を生成させることを特徴とする水和物生成方法。
  2. 前記ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、前記熱媒用液体が疎水性物質であることを特徴とする請求項1に記載の水和物生成方法。
  3. 水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と、該水溶液と相分離する熱媒用液体とを直接接触させ、前記熱媒用液体と前記水溶液との熱交換により前記水溶液中に水和物を生成させて蓄熱することを特徴とする蓄熱方法。
  4. 前記ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、前記熱媒用液体が疎水性物質であることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱方法。
  5. 水和物のゲスト物質を調和濃度未満の濃度で含む水溶液と熱媒用液体とを、上下に相分離させかつ直接接触させて収容し、前記熱媒用液体と水溶液とを熱交換させる収容槽と、
    前記熱媒用液体を前記収容槽から取り出して前記収容槽へ戻す循環経路と、
    前記循環経路の途中に設けられ、前記熱媒用液体を冷却する機構と
    を有することを特徴とする蓄熱装置。
  6. 前記ゲスト物質が第四級アンモニウム塩であり、前記熱媒用液体が疎水性物質であることを特徴とする請求項5に記載の蓄熱装置。
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