JP2010226904A - 電力潮流データ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力系統の送電網のあらゆる地点の潮流を精度高く計算することができ、計算した潮流を評価できる電力潮流データ処理装置を提供することである。
【解決手段】電力系統に電力を供給する発電機をソースとし、電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとし、ソース及びシンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを測定器で検出し、計測器で検出されたソース及びシンクの有効電力、無効電力、電圧を潮流方程式に代入して連立方程式を作成し、連立方程式を解くことによってソース及びシンク間の電力潮流を潮流計算手段で計算し、潮流計算手段で計算された計算結果を潮流計算結果記憶部に記憶する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電力系統の潮流を計算するとともに計算した潮流を評価する電力潮流データ処理装置に関する。
電力系統の運用においては、潮流を把握することが重要である。電力系統の潮流は実測または潮流計算により把握するようにしている。電力系統の潮流を推定計算する際には、電力系統に設置された設備のデータ(例えば、変圧器や調相設備のデータ)、電力系統に設置された電圧計や電流計等の計測器で計測された計測データ、電力系統の設備の状態信号(例えば開閉器等の入切信号)を入力し、系統モデルを用いて、電力系統の母線や発電機をノードとし、電力系統の変圧器や送電線をブランチとして、ノードやブランチにおける有効電力や無効電力を推定計算している。また、ノードにおいては、有効電力や無効電力に加え電圧や位相角も推定計算している。
従来においては、大容量発電機から電力が供給される二次変電所出口における集約された電力を計測することで潮流を把握していた。これは、従来においては、電力系統に供給される電力は大容量発電機からがほとんどであり、運用コストの観点から、観測点は基幹系統側に集中させて運用検討を行っても電力系統の十分な安定性を評価することができたためである。
ここで、電力系統の潮流を推定計算するものとしては、電力系統の予め定めた母線で分割して得られる部分系統の分割箇所の母線の電圧または電流のそれぞれの大きさと位相を検出する位相計測装置を設け、位相計測装置からの計測データを基準として、計測器で計測された各種電気量に基づいて部分系統の状態量をそれぞれ推定計算し、電力系統の状態推定を高速かつ高精度に行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−154362号公報
しかし、最近は、再生可能エネルギー大量導入時代において、太陽光発電などの個々の発電機容量は小さくとも、電力系統に接続された分散型発電設備が増加しているので、大容量発電機の安定性確保が電力系統運用の最重点課題となっている。これは、発電機容量の小さい分散型発電設備の大量脱落現象などが発生すると電力系統全体の安定性に大きな影響を及ぼす可能性があるためである。
このような状況においては、電力系統モニタリングについても、大量に再生可能エネルギーが導入される配電系統に至るまで、十分な精度でモニタリングする必要がある。その場合、取り扱わなければならない観測量が従来の方式に比較すると著しく増加するので、低コストで十分な精度を有するモニタリングシステムを設計しなければならない。また、従来のモニタリングシステムは、基幹系統側に集中していることから、下位系統側の状態を現在のモニタリングシステムで推定する場合には、非常に大きな誤差が生じることになる。
すなわち、電力系統の所定の各箇所の電気量の観測値の測定誤差があり、系統モデルのパラメータにも誤差があるので、推定計算では正確な潮流計算が得られない場合がある。さらには、従来の電力系統の所定の各観測点及び観測値は、運転員が日常の運用を適切に行うために指定されたものであり、潮流計算に必要な量が必要十分に計測されているとは限らない。
このように、電力系統の運用時には特に必要とされない潮流状態については、直接計測するのでなく、状態推定計算を実施することになるが、現状の状態推定計算と観測網とでは、二次変電所二次側など送電線の潮流などしか把握できず、今後注目しなければならない部分での状態量の把握は困難となり、推定計算を実施してもその誤差が大きくなる。また、単純に、現状のモニタリングの不足するデータに関して観測点を増やしただけでは、情報の過不足が生じる可能性がある。例えば、本当に必要な情報が欠落したり重複した観測量を計測したりすることが生じる。
本発明の目的は、電力系統の送電網のあらゆる地点の潮流を精度高く計算することができ、計算した潮流を評価できる電力潮流データ処理装置を提供することである。
請求項1の発明に係わる電力潮流データ処理装置は、電力系統に電力を供給する発電機をソースとし電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとし前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを検出する計測器と、前記計測器で検出された前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧を潮流方程式に代入して連立方程式を作成し前記連立方程式を解くことによって前記ソース及び前記シンク間の電力潮流を計算する潮流計算手段と、前記潮流計算手段で計算された計算結果を記憶する潮流計算結果記憶部とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係わる電力潮流データ処理装置は、電力系統に電力を供給する発電機をソースとし電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとし前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを検出する計測器と、前記計測器で検出された前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧を潮流方程式に代入して連立方程式を作成し前記連立方程式を解くことによって前記ソース及び前記シンク間の電力潮流を計算する潮流計算手段と、前記潮流計算手段で計算された計算結果を記憶する潮流計算結果記憶部と、電力系統の送電線の電力潮流の実測値及び状態推定計算により求めた電力潮流の推定値を予め記憶した潮流データ記憶部と、前記潮流計算結果記憶部に記憶された電力潮流の計算値と前記潮流データ記憶部に記憶された電力潮流の実測値または推定値とを照合し電力潮流の計算値と電力潮流の実測値または推定値との統計的データを求める統計処理手段と、前記統計処理手段で求めた統計的データを記憶する統計処理結果記憶部とを備えたことを特徴とする。
請求項3の発明に係わる電力潮流データ処理装置は、請求項2の発明において、前記統計処理手段は、前記電力潮流の計算値と前記電力潮流の実測値または推定値との誤差が予め定めた値以上であるときは、警報を出力することを特徴とする。
本発明によれば、電力系統に電力を供給する発電機をソースとし、電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとし、ソース及びシンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを計測器で計測し、計測器で検出されたソース及びシンクの有効電力、無効電力、電圧を潮流方程式に代入して連立方程式を作成し、連立方程式を解くことによってソース及びシンク間の電力潮流を計算するので、電力系統の送電網のあらゆる地点の潮流を精度高くモニターすることが可能になり、電力系統運用の更なる効率化に寄与が可能になる。また、観測点は潮流状態を一意に決定するようにモニター箇所とするので、観測点は必要十分なものとなり過不足が生じることがない。
また、潮流方程式により計算した潮流計算結果と、電力系統の送電線の電力潮流の実測値または状態推定計算により求めた電力潮流の推定値とを照合し、電力潮流の計算値と電力潮流の実測値または推定値との統計的データを求めるので、潮流計算結果の評価が可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係わる電力潮流データ処理装置の構成図。 本発明の第1の実施の形態における潮流計算手段で行われる潮流計算の一例の説明図。 本発明の第2の実施の形態に係わる電力潮流データ処理装置の構成図。
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係わる電力潮流データ処理装置の構成図である。電力潮流計算の対象となる電力系統11は、複数台の発電機12が送電系統13に接続され、この送電系統13に配電系統14が接続されて構成されている。送電系統13と配電系統14との間には図示省略の変電所が設置され、変電所の二次側に配電系統14が接続され、この配電系統に図示省略の負荷が接続されている。
本発明の第1の実施の形態では、電力系統に電力を供給する発電機をソースとし、電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとして、ソース及びシンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを検出する計測器15を設ける。図1では、有効電力及び無効電力を検出する電力検出器16、電圧を検出する電圧検出器17を設けた場合を示しており、さらに、計測器15として、電力系統11の開閉器の開閉状態を検出する開閉器開閉状態検出器18が設けられている。
潮流計算手段19は、計測器15の開閉器開閉状態検出器18で検出された開閉器の開閉状態から電力系統の系統構成を判断し、計測器15の電力検出器16で検出されたソース及びシンクの有効電力及び無効電力、計測器15の電圧検出器17で検出された電圧を(1)式の潮流方程式に代入して連立方程式を作成し、その連立方程式を解くことによってソース及びシンク間の電力潮流を計算する。この詳細については後述する。
Figure 2010226904
そして、潮流計算手段19で計算された計算結果は潮流計算結果記憶部20に記憶され、必要に応じて出力装置21に出力される。
図2は潮流計算手段19で行われる潮流計算の一例の説明図である。いま、送電系統13に2台の発電機12a、12bがノードA点、ノードB点でそれぞれ接続され、また、2台の変電所22c、22dがノードC点、ノードD点でそれぞれ接続されて配電系統14の負荷に電力を供給しているとする。また、開閉器の開閉状態から、発電機12aは、送電線23acにて変電所22cと接続され、送電線23adにて変電所22dと接続されており、発電機12bは、送電線23bcにて変電所22cと接続され、送電線23bdにて変電所22dと接続されているとする。
そして、ソースであるノードA点における有効電力をPa、無効電力をQa、電圧をVaとし、ソースであるノードB点における有効電力をPb、無効電力をQb、電圧をVbとする。また、シンクであるC点における有効電力をPc、無効電力をQc、電圧をVcとし、ソースであるノードD点における有効電力をPd、無効電力をQd、電圧をVdとする。
発電機ノードは、電圧の大きさと有効電力を計測し、変電所においては、有効電力と無効電力を計測する。また、ノードの電圧位相は、相対値で潮流状態を決定できることから、一つのノードの位相を基準位相(通常は0度)と決定できる。そのため、例えば、ノードA点〜ノードD点において、有効電力Pa〜Pd及び無効電力Qa〜Qdを計測した場合には、未知数は、ノードB点の電圧位相θb、ノードC点の電圧の大きさVcと位相θc、ノードD点の電圧の大きさVdと位相、θdの5つとなる。これに対して、下記に示す5個の潮流方程式が成立する。
Figure 2010226904
このように、本発明の第1の実施の形態では、状態推定計算でなく、電力系統のネットワークのソース(発電所)とシンク(配電用変電所二次側)に着目し、この点での有効電力P、無効電力Q、電圧Vをきっちりと計測するとともに、電力系統のネットワーク設備DB(共役アドミタンス)と開閉器の開閉状態とを利用して、潮流方程式により連立方程式を立てて一意に定まる解により潮流を計算する。なお、有効電力Pa〜Pd及び無効電力Qa〜Qdのいずれかに代えて、ノードの各点の電圧Va〜Vdを測定した場合も同様である。
この潮流計算をする際の境界点は、配電系統と送電系統とを一体として解析することは将来に亘っても決して得策ではないので、系統モニタリング技術としては、重要なポイントになるが、本発明の第1の実施の形態では、送電網と配電網との物理的な境界点を選んでいるため、送電網においては、一意に状態量を決定できる。また、配電線の潮流状態については、別途様々な技術が開発されていることから、それらの技術を採用すればよい。
なお、ソースとシンクにおいては、オンライン情報としては活用しないが、波形観測記録機能を装備し、高調波や電圧不平衡問題など今後において顕在化する課題に対しても充実した観測が可能になるよう配慮することは言うまでもない。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係わる電力潮流データ処理装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、潮流計算手段19により計算した電力潮流の計算値と、電力潮流の実測値または推定値とを照合し、電力潮流の計算値と電力潮流の実測値または推定値との統計的データを求めるとともに、誤差が予め定めた値以上であるときは警報を出力するようにしたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図3において、潮流データ記憶部24には、送電線の電力潮流の実測値及び状態推定計算により求めた電力潮流の推定値が予め記憶されている。送電線の電力潮流の実測値は、運転員が日常の運用を適切に行うために特定の送電線につき常時監視している電力潮流であり、また、状態推定計算により求めた電力潮流の推定値は、常時監視している電力潮流に加えて、電力系統の潮流解析を行う際に必要となる送電線の電力潮流である。
統計処理手段25は、潮流計算手段19で計算され、潮流計算結果記憶部20に記憶された電力潮流の計算値が精度の良いものであるかどうかを評価できるようにするために、電力潮流の実測値または推定値とを照合する。すなわち、統計処理手段25は、潮流計算手段19で得られた電力潮流計算値と、潮流データ記憶部24に記憶された電力潮流の実測値または推定値とを照合し、電力潮流の計算値と電力潮流の実測値または推定値との統計的データを求め、その統計的データを統計処理結果記憶部26に記憶する。運転員は、必要に応じて統計処理結果記憶部26に記憶された統計的データを出力装置21に出力し、電力潮流の計算値の評価解析を行う。
また、統計処理手段25は、電力潮流の計算値と電力潮流の実測値または推定値との誤差が予め定めた値以上であるときは警報装置27に警報を出力する。これにより、誤差の大きい電力潮流を運転員に喚起する。
第2の実施の形態によれば、電力系統の計算値と電力潮流の実測値や推定値とを統計処理するので、その誤差要因の特定や電力系統の系統モデルの精度向上を図る方策の提示が可能となる。また、数多くの電力系統の計算値と電力潮流の実測値や推定値との比較から、誤差の性質を明らかにすることが期待できる。すなわち、潮流推定に起因する問題か、観測系に起因する問題かを明確に分離することができる。さらには、誤差要因を提示すると共に、測定系の校正ヘの参考情報を演算することも可能となる。また、電力潮流の計算値が電力潮流の実測値や推定値と明らかな矛盾が生じている場合には警報を発するので、潮流計算手段19での誤動作による異常も検出できる。
11…電力系統、12…発電機、13…送電系統、14…配電系統、15…計測器、16…電力検出器、17…電圧検出器、18…開閉器開閉状態検出器、19…潮流計算手段、20…潮流計算結果記憶部、21…出力装置、22…変電所、23…送電線、24…潮流データ記憶部、25…統計処理手段、26…統計処理結果記憶部、27…警報装置

Claims (3)

  1. 電力系統に電力を供給する発電機をソースとし電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとし前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを検出する計測器と、
    前記計測器で検出された前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧を潮流方程式に代入して連立方程式を作成し前記連立方程式を解くことによって前記ソース及び前記シンク間の電力潮流を計算する潮流計算手段と、
    前記潮流計算手段で計算された計算結果を記憶する潮流計算結果記憶部とを備えたことを特徴とする電力潮流データ処理装置。
  2. 電力系統に電力を供給する発電機をソースとし電力を消費する負荷に電力を給電する変電所の二次側をシンクとし前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧のうち少なくとも2つを検出する計測器と、
    前記計測器で検出された前記ソース及び前記シンクの有効電力、無効電力、電圧を潮流方程式に代入して連立方程式を作成し前記連立方程式を解くことによって前記ソース及び前記シンク間の電力潮流を計算する潮流計算手段と、
    前記潮流計算手段で計算された計算結果を記憶する潮流計算結果記憶部と、
    電力系統の送電線の電力潮流の実測値及び状態推定計算により求めた電力潮流の推定値を予め記憶した潮流データ記憶部と、
    前記潮流計算結果記憶部に記憶された電力潮流の計算値と前記潮流データ記憶部に記憶された電力潮流の実測値または推定値とを照合し電力潮流の計算値と電力潮流の実測値または推定値との統計的データを求める統計処理手段と、
    前記統計処理手段で求めた統計的データを記憶する統計処理結果記憶部とを備えたことを特徴とする電力潮流データ処理装置。
  3. 前記統計処理手段は、前記電力潮流の計算値と前記電力潮流の実測値または推定値との誤差が予め定めた値以上であるときは、警報を出力することを特徴とする請求項2記載の電力潮流データ処理装置。
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