JP2010226332A - 携帯端末装置およびサーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯端末装置に接続された個々のイヤホンの特性を携帯端末装置で補正することができるようにする。
【解決手段】携帯端末装置100は、イヤホン200のインピーダンスを測定する手段を用いて得られたインピーダンスの周波数特性を表すインピーダンスパターンを得る。このインピーダンスパターンのデータを当該イヤホンの識別情報として通信ネットワークを介してサーバ300へ送信して当該イヤホンの特性補正データを要求する。さらに、サーバ300から返送された音声出力特性補正データに基づいて、当該イヤホンに対する音声出力特性を補正する。イヤホンの識別情報としてメーカ名および型番を使用することも可能である。
【選択図】図4
【解決手段】携帯端末装置100は、イヤホン200のインピーダンスを測定する手段を用いて得られたインピーダンスの周波数特性を表すインピーダンスパターンを得る。このインピーダンスパターンのデータを当該イヤホンの識別情報として通信ネットワークを介してサーバ300へ送信して当該イヤホンの特性補正データを要求する。さらに、サーバ300から返送された音声出力特性補正データに基づいて、当該イヤホンに対する音声出力特性を補正する。イヤホンの識別情報としてメーカ名および型番を使用することも可能である。
【選択図】図4
Description
本発明は、イヤホンを接続することができる携帯端末装置およびイヤホン関連の音声出力特性補正データの検索サービスを提供するサーバに関する。
近年、イヤホン接続端子を持つ携帯端末装置として、携帯電話端末、PHS、音楽端末等の種々の装置および機種が市販されている。イヤホン接続端子には、ユーザがさまざまな種類・特性のイヤホンを自由に接続することができる。しかし、接続したイヤホンに応じて周波数特性等の音響特性が異なって聞こえてしまう。
市場で流通しているイヤホンは、そのインピーダンスが16Ω、32Ω、64Ω等、さまざまな種類のものがある。最近ではチャージポンプ等を用い、負電源を生成したGNDバイアス型のイヤホンアンプもあるが、一般的なイヤホンアンプの出力はDC電源でバイアスされている。そのため、DCカット用(直流遮断用)のコンデンサ(47μF−220μF程度)が用いられる。
図1に示すように、端末100のイヤホン接続端子にイヤホン200が接続されると、信号処理部10から出力される音声信号が増幅部(イヤホンアンプ)11で増幅され、DCカット用のコンデンサ12を介して、イヤホン200へ出力される。この場合、コンデンサ12とイヤホン200のインピーダンス13とで、CRのハイパスフィルタ(HPF)が形成されてしまう。
図2(a)(b)に、DCカット用のコンデンサ12の容量を220μFとした場合の、接続したイヤホン200のインピーダンスが16Ωのときと、64ΩのときのそれぞれのHPF特性を表したグラフを示す。グラフの横軸は周波数(Hz)、縦軸は信号強度(dB)を表している。両グラフから分かるように、同じコンデンサ12に対してもインピーダンスの異なるイヤホンが接続された場合には、可聴帯域である20−20000Hzにおいて両者の周波数特性が異なってしまう。
また、イヤホン自体も周波数感度特性を持っている。図3にイヤホンの周波数感度特性の例をグラフで示す。このグラフの横軸は周波数(Hz)、縦軸は感度(dB)を表している。このようにイヤホンについても可聴帯域である20−20000Hzにおいて平坦な特性とはなっていないことが分かる。
このような二つの要因、すなわち(1)DCカット用のコンデンサとイヤホンのインピーダンスとによりHPFが形成されること(DCバイアス型のイヤホンアンプ使用の場合)、および(2)イヤホン自体に周波数感度特性を持っていること、により現状、端末から出された音が原音に忠実にイヤホンで再生されていない。
特許文献1では、接続先機器のインピーダンスに応じて出力する音声信号の状態を調整し、接続機器を変更する手間を削減できる音響機器が提案されている。
上記特許文献1に記載の技術では、接続先機器がイヤホンであるか、ライン出力ケーブルであるかを判断し、音声信号を自動で調整する回路、制御構成となっている。しかし、イヤホンの種別が異なることの検出およびそれに基づく音質の補正までは考慮されていない。
本発明はこのような背景においてなされたものであり、携帯端末装置に接続された個々のイヤホンの特性を携帯端末装置で補正することができるようにするものである。
本発明による携帯端末装置は、音声信号を処理する信号処理部と、この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、イヤホンが接続される音声信号の出力端子と、通信ネットワークに接続する接続手段と、前記接続されたイヤホンのインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、前記インピーダンス測定手段によりイヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する制御手段とを備える。この制御手段は、前記インピーダンス測定手段により得られたインピーダンスの周波数特性を表すインピーダンスパターンのデータを当該イヤホンの識別情報として前記通信ネットワークを介して外部のサーバへ送信して当該イヤホンの特性補正データを要求し、前記サーバから返送された特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、当該イヤホンに対する音声出力特性を補正する。
本明細書における「イヤホン」とは携帯端末装置に着脱可能に接続され、電気音声信号を音声に変換する手段であり、ステレオ、モノラルを問わない。また、いわゆるヘッドホンも含むものとする。
本発明による他の携帯端末装置は、音声信号を処理する信号処理部と、この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、イヤホンが接続される音声信号の出力端子と、通信ネットワークに接続する接続手段と、前記出力端子に接続したイヤホンの識別情報を入力する入力手段と、入力されたイヤホンの識別情報を前記通信ネットワークを介して外部のサーバへ送信して当該イヤホンの特性補正データを要求し、前記サーバから返送された特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、当該イヤホンに対する音声出力特性を補正する制御手段とを備える。
本発明によるサーバは、イヤホンの種別毎に当該イヤホンの特性補正データを格納したデータベースと、携帯端末装置に接続されるイヤホンの識別情報とともに検索要求を通信ネットワークを介して受信する受信手段と、前記データベースを参照し、前記識別情報に該当するイヤホンの特性補正データを検索する検索手段と、検索結果を前記通信ネットワークを介して当該携帯端末装置へ送信する送信手段とを備えたものである。イヤホンの識別情報は、それに基づいてイヤホンの種別を特定できる情報であり、例えばイヤホンのメーカ名および型番の他、イヤホンのインピーダンスパターンであってもよい。
本発明によれば、イヤホン接続端子が付属している携帯端末装置において、ユーザが接続した個々のイヤホンの特性を携帯端末装置自身で補正することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図4に本実施の形態における携帯端末装置100とサーバ300の関係を示す。以下、携帯端末装置を単に「携帯端末」または「端末」ともいう。端末100は、その無線通信機能により、通信ネットワーク250を介してサーバ300と接続される。通信ネットワーク250は、LAN、携帯電話網、インターネット、等を含みうる。サーバ300は、本実施の形態に係る、端末100のイヤホン関連の音声出力特性(音響特性)の補正データを格納し、端末100のユーザに対して当該端末に対して該当する補正データを提供するサービスを行う情報処理装置である。そのために、サーバ300は種別の異なるイヤホン毎に対応する音声出力特性補正データを蓄積したデータベース(DB)310を備えている。さらに、図示しないが、携帯端末装置から通信ネットワークを介してイヤホンを特定する情報(識別情報)とともに検索要求を受信する受信部(受信手段)、および、データベースを参照しイヤホン識別情報に該当するイヤホンの特性補正データを検索する検索部(検索手段)と、検索結果を通信ネットワークを介して当該携帯端末装置へ送信する送信部(送信手段)とを備える。
図4に示した構成において、ユーザが端末100にイヤホンを接続したとき等の所定の時点で、そのイヤホンを特定する情報(識別情報)をサーバ300に送信し、音声出力特性補正データの検索要求行う。これに応じて、サーバ300は、所定の検索処理を実行し、当該イヤホンの識別情報に該当する音声出力特性補正データを抽出して、当該検索要求を発した端末100へ返送する。端末100は、そのイヤホンが接続されている間、そのイヤホンへ出力する音声信号に関して当該音声出力特性補正データによる音声出力特性の補正を行う。
本実施の形態において、端末100にイヤホンが接続されたとき、端末100はその表示部において図5に示すような画面を表示する。この画面は、ユーザに対して当該イヤホンの識別情報として例えばメーカ名と型番の入力を促すものである。図の例では、メーカ名および型番は予め用意された選択肢の中から選択できるようになっている。選択肢に存在しないメーカ名や型番についてはユーザが直接入力できるようにしてもよい。このような画面情報ならびにメーカ名および型番の選択肢情報は、端末のメモリ内に記憶してある。この代わりに、サーバにアクセスし、サーバから得たWebコンテンツとして入力フォームを得てそれを表示画面上に表示するようにしてもよい。
なお、イヤホンの識別情報としてメーカ名および型番が不明である場合には、以下に説明するように、イヤホンのインピーダンスの測定を行い、そのインピーダンスパターンのデータをイヤホンの識別情報として用いる。そのために、サーバ300のデータベース310には、イヤホンの種別毎に当該イヤホンの識別情報を格納している。より具体的には、イヤホンの識別情報として、メーカ名および型番の他、これらに対応するインピーダンスパターンのデータも保持している。インピーダンスパターンは、特定の周波数範囲での周波数と測定インピーダンス値との関係を示すデータ群またはそれらのデータ群を表すパターン名である。
図6は本実施の形態における、イヤホンのインピーダンス測定のための回路を含む、携帯端末装置100の主要部の回路構成を示している。
制御部110からはステレオの音声データ(R音声、L音声)が出力され、信号処理部111にてそれぞれアナログ信号に変換され、増幅部112で増幅される。信号処理部111は、制御部110の制御下で音声出力信号の出力特性の補正も行う機能も有する。増幅部112の左右両出力は、スイッチ113,114,115,116を通過し、DCカット用のコンデンサ117,118を介して、イヤホンジャック130へ出力される。スイッチ113,114,115,116は制御部110の制御下で(すなわち制御部110からの制御信号CNT1に従って)連動し、信号経路の切替を行う。すなわち、スイッチ113,114,115,116は、増幅部112から音声出力端子であるイヤホンジャック130までの信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段を構成する。この切替手段により、増幅部112の出力をそのままスルーでそれぞれコンデンサ117,118へ導通させるか、抵抗(R1)121,122を介してコンデンサ117,118へ導通させるかを切り替える。
信号処理部111および増幅部112がステレオ信号を扱う場合、図示のように、音声の信号経路、抵抗および出力端子は、それぞれ左右の1組が設けられる。制御部110は、左右の前記中間点の電圧を選択的に検出する。そのために、抵抗121のスイッチ115側の端部の信号と、抵抗122のスイッチ116側の信号とは、スイッチ120により選択的にADC119を介して制御部110へデジタル信号として入力される。スイッチ120は制御部110からの制御信号CNT2により切替制御される。
イヤホンジャック130は、イヤホンプラグの挿入により接地されるイヤホン検出端子131(接続検出手段)を有する。これにより、イヤホン接続時にイヤホン接続検出信号が制御部110へ入力される構成となっている。制御部110は、接続検出手段の検出出力に応じて信号経路に測定用の抵抗を介挿するようスイッチ113,114,115,116を制御し、イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードへ移行する。この測定を第1の測定という。
制御部110には、CPU、その他のプロセッサおよびROM,RAM等のメモリを含む記憶部151、表示画面上に情報を表示する表示部152、ユーザから情報の入力操作を受ける操作部153が接続される。記録媒体に格納された楽曲データ(音楽データ)等の再生処理は制御部110が担当してもよいし、他の専用の再生処理部(図示せず)が担当してもよい。
図7は、図6の回路中の、イヤホンジャック130に接続されたイヤホンのインピーダンスを測定するための測定回路要部を抜粋して示したものである。イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードでは、インピーダンス測定用の抵抗(R1)を信号経路に介挿された状態で信号処理部111からテスト用音声信号を出力する。さらに、抵抗と音声出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいてイヤホンのインピーダンスを算出する。そのために測定回路では、右音声の所定の周波数のテスト信号StRは、コンデンサ117を通過し、イヤホンの抵抗201を介して接地される。よって、抵抗121と抵抗201との間の中間点であるA点にはテスト信号StRを抵抗121と抵抗201とで分圧した信号が現れる。同様に、左音声の所定の周波数のテスト信号StLは、コンデンサ118を通過し、イヤホンの抵抗202を介して接地される。よって、抵抗122と抵抗202との間の中間点であるB点にはテスト信号StLを抵抗122と抵抗202とで分圧した信号が現れる。A点の信号とB点の信号とはスイッチ120を介して選択的にADC119へ入力される。
ここで、本実施の形態におけるイヤホン200のインピーダンス測定(第1の測定)の手順を説明する。ここでは、イヤホンのインピーダンス(右または左)をR2とする。ただし、左右のインピーダンス値は必ずしも同じではない。
(1)上記図5に示したイヤホンのメーカ名および型番の入力画面で有効な情報の入力が行われなかった場合、本実施の形態の動作モードの一つとして第1の測定モードであるインピーダンス測定モードに入る。有効な情報の入力が行われなかった場合には、情報自体が入力されなかった場合の他、入力されたが、サーバ300において該当するイヤホンが特定されなかった場合を含む。これを契機に、制御部110は、信号経路のスイッチ113,114、115,116を抵抗R1側に切り替える。
(2)制御部110より、ある周波数(f1)に設定されたサイン波の音声信号出力する。
(3)抵抗R1とイヤホンの抵抗値R2とで分圧された電圧値をADC119で測定する。
(4)ADC119の出力データを制御部110に入力することにより、制御部110にてイヤホンのf1周波数での中間点の電圧を測定する。この電圧はサイン波の実効値、ピーク値等により求めることができる。
(5)(2)の音声出力の周波数を変更し、同じ(3)(4)の手順で測定を行うことでイヤホンのインピーダンスを測定する。
(6)設定した全周波数の周波数特性の結果より、イヤホンのインピーダンスを決定する。
(7)スイッチ120を切り替えて、(2)〜(6)を実行する。
(8)イヤホンのインピーダンスが決定した後、インピーダンス測定モードを終了し、信号経路のスイッチ113,114、115,116を制御し、音声経路を切り替えて元の状態に戻す。
(1)上記図5に示したイヤホンのメーカ名および型番の入力画面で有効な情報の入力が行われなかった場合、本実施の形態の動作モードの一つとして第1の測定モードであるインピーダンス測定モードに入る。有効な情報の入力が行われなかった場合には、情報自体が入力されなかった場合の他、入力されたが、サーバ300において該当するイヤホンが特定されなかった場合を含む。これを契機に、制御部110は、信号経路のスイッチ113,114、115,116を抵抗R1側に切り替える。
(2)制御部110より、ある周波数(f1)に設定されたサイン波の音声信号出力する。
(3)抵抗R1とイヤホンの抵抗値R2とで分圧された電圧値をADC119で測定する。
(4)ADC119の出力データを制御部110に入力することにより、制御部110にてイヤホンのf1周波数での中間点の電圧を測定する。この電圧はサイン波の実効値、ピーク値等により求めることができる。
(5)(2)の音声出力の周波数を変更し、同じ(3)(4)の手順で測定を行うことでイヤホンのインピーダンスを測定する。
(6)設定した全周波数の周波数特性の結果より、イヤホンのインピーダンスを決定する。
(7)スイッチ120を切り替えて、(2)〜(6)を実行する。
(8)イヤホンのインピーダンスが決定した後、インピーダンス測定モードを終了し、信号経路のスイッチ113,114、115,116を制御し、音声経路を切り替えて元の状態に戻す。
図8に、設定した全周波数で測定されたイヤホンの左右のインピーダンスのパターンをグラフとして例示する。測定されたイヤホンの代表インピーダンス(代表値)として、全周波数のインピーダンスの平均値をとることができる。但し、図2に示したようにDCカット用のコンデンサによるHPFの特性では低域側の信号低下が問題となる。そこで、本実施の形態では、低域において測定されたインピーダンスをイヤホンの代表インピーダンスとする。
なお、イヤホンの左右のインピーダンスは同じとみなして上記(7)を省略することも可能である。
このようにして得られたイヤホンの代表インピーダンスに応じて、HPFの特性を補正する。例えば、図2(a)(b)に示したようにインピーダンスが小さい程、低域における大きな減衰が見られる。そこで、制御部は、測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、信号処理部111を制御し、イヤホンのインピーダンスとコンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う。例えば、インピーダンス値に応じて次のように信号処理部111により出力する音声信号の低域ブースト補正を行う。
インピーダンス (16Ω) → 低域ブースト補正:強
インピーダンス (32Ω) → 低域ブースト補正:中
インピーダンス (64Ω) → 低域ブースト補正:なし
インピーダンス (32Ω) → 低域ブースト補正:中
インピーダンス (64Ω) → 低域ブースト補正:なし
なお、これらはDCカット用のコンデンサにも依存する為、その容量によっても補正量は変化しうる。このようなイヤホンのインピーダンスに基づく低域ブースト補正の補正量は端末単独で決定することができる。この代わりにサーバにインピーダンス値を送って、低域ブースト補正の補正データをサーバから入手することも可能である。
上述したように、得られたイヤホンのインピーダンスパターンのデータはイヤホンの識別情報として用いることができる。
イヤホンの識別情報に基づいてサーバ300から得られる音声出力特性補正データには、当該イヤホンのイヤホン周波数感度特性に合わせた出力音声パラメータが含まれている。
このようにして得られた出力音声パラメータに基づいて信号処理部111を制御し、イヤホン関連の音声出力特性を補正する。例えば、イヤホンの感度周波数特性が図3に示したような場合、出力する音声信号に対して、低域のブースト補正、中域(1−4KHz)のアッテネート補正を行い、周波数感度がイヤホンまで含めた経路でフラットになるように補正する。このようなイヤホンの周波数特性の補正データは、後述する図11に示すテーブルの「特性補正データ」として端末内に保持することができる。これにより、以後、同じ種別のイヤホンが接続されたとき、端末内に該当するイヤホンの識別情報が見つかれば、端末内に保持されている特性補正データを利用することができる。
サーバ300においても該当するイヤホンのデータが見つからない場合には、端末100においてイヤホンの周波数特性(感度周波数特性)を測定する。この測定を第2の測定といい、その動作モードを第2の測定モードという。その詳細については後述する。
図9は、本実施の形態におけるイヤホン200の周波数特性の測定時のユーザ操作の説明図である。この例では携帯端末として携帯電話端末を示している。図示のように、端末100から所定の周波数のテスト音声信号をイヤホン200に出力する。左右いずれかの測定対象のスピーカ部から発生する音声を端末100のマイク140で収音できるように、スピーカ部をマイク140に接近させて保持または配置する。周知のように、スピーカ部は電気信号を音声に変換する装置であり、マイク140は音声を電気信号に変換する装置である。
図10は、この測定に利用する端末100の主要部の構成例を示している。上記のように、イヤホン200には信号処理部111および増幅部112からのテスト音声信号を与える。左右いずれかの測定対象のスピーカ部から発生する音声を、端末100のマイク140で収音し、マイク140の出力信号をADC150でデジタル値に変換し、制御部110に入力する。このようにしてマイク140から出力された信号のレベルを測定する。イヤホン200に与えるテスト音声信号のレベルは一定で、所定の周波数範囲で周波数が連続的に変換する周波数SWEEP(掃引)信号を出力して、マイク140の出力信号のレベルを測定を行うことにより、イヤホン200の周波数特性が測定できる。
具体的なイヤホンの周波数感度特性の測定手順は次のとおりである。
(1)イヤホンの音声出力部をマイクに押しあてる。
(2)イヤホンの伝達関数を設定する。
イヤホンには一般に、スポンジカバーがつき耳にはめるタイプのオープン型と、シリコンカバーがつき耳に挿入するタイプのカナル型がある。オープン型のほうが低域音声が外部に漏れやすく、カナル型の方が低域音声が外部に漏れづらい。そのため、端末内部に測定する前にこれらの差分を吸収する伝達関数の代表値を持っておき、測定前に設定できるようにすることでイヤホンの種別による伝達関数差分を吸収する。
(3)外部雑音を測定する。
この際、イヤホン200へのテスト音声信号は与えず、マイク140の出力信号を測定する。これにより得られた外部雑音を後の測定データから減算することで、環境雑音の影響を減少させることができる。
(4)制御部110より周波数SWEEP信号を出力し、ADC150で測定し、制御部110にて周波数解析演算を行う。これにより、イヤホンの周波数感度特性が得られる。
(1)イヤホンの音声出力部をマイクに押しあてる。
(2)イヤホンの伝達関数を設定する。
イヤホンには一般に、スポンジカバーがつき耳にはめるタイプのオープン型と、シリコンカバーがつき耳に挿入するタイプのカナル型がある。オープン型のほうが低域音声が外部に漏れやすく、カナル型の方が低域音声が外部に漏れづらい。そのため、端末内部に測定する前にこれらの差分を吸収する伝達関数の代表値を持っておき、測定前に設定できるようにすることでイヤホンの種別による伝達関数差分を吸収する。
(3)外部雑音を測定する。
この際、イヤホン200へのテスト音声信号は与えず、マイク140の出力信号を測定する。これにより得られた外部雑音を後の測定データから減算することで、環境雑音の影響を減少させることができる。
(4)制御部110より周波数SWEEP信号を出力し、ADC150で測定し、制御部110にて周波数解析演算を行う。これにより、イヤホンの周波数感度特性が得られる。
なお、外部雑音の影響を減少させる為に、同じ測定を複数回繰り返して行うことも考慮する。
図11は、端末100のメモリ(図示せず)内(およびサーバ300のデータベース310内)に保存されるイヤホンデータの構成例をテーブル形式で模式的に示している。端末100内のイヤホンデータは、サーバ300から取得されたデータまたは端末自身で測定されたデータである。
図示の例では、各イヤホンデータは、「イヤホン名」と「代表インピーダンス」と「インピーダンスパターン」と「特性補正データ」を含んでいる。「イヤホン名」は後述するようにユーザが付与する場合もありうる。「特性補正データ」は、当該イヤホンに対して決定された音声出力特性を補正するためのデータである。
図12は、本実施の形態における端末でのユーザインタフェース画面の例を示している。図12(a)は、端末へのイヤホンの接続時にイヤホンのメーカ名や型番を利用することなくイヤホンのインピーダンス測定を行った後に、そのイヤホンが当該端末に対して新たなイヤホンであると判断されたときに、ユーザに対してそのイヤホンに対して任意の名称を付与することを要求する画面例を示している。すなわち、新たな種別のイヤホンが接続されたと判断されたときそのイヤホン名を入力するようにユーザに促す。これに応じて、ユーザにより入力されたイヤホン名はその測定された代表インピーダンス値およびインピーダンスパターンおよび特性補正データとともに記憶部に記憶される。図12(b)は、インピーダンス測定後に測定結果から、そのイヤホンは過去に測定を行い、データを保持している特定のイヤホンと推測される場合に、そのイヤホン名をユーザに提示して確認を求める画面例を示している。すなわち、記憶済みのイヤホンが接続されたと判断されたとき、そのイヤホン名を表示画面上に示して、接続されたイヤホンが当該イヤホンであるか否かを確認するようユーザに促す。ユーザの確認が「否」であれば第2の測定モードに移行し、「肯」であれば当該イヤホン名のイヤホンの特性補正データを利用するものとする。
図13に、本実施の形態における、イヤホンの音声出力特性を補正する処理のフローチャートを示す。この処理は制御部110(図6)の制御下で携帯端末100の各部により実行される処理である。
「イヤホン接続」すなわちイヤホンジャック130に対してイヤホン200(のプラグ)が挿入されたか否かを監視する(S1)。イヤホン接続が検出されたら、イヤホンのメーカ名、型番によるイヤホン判別モードを使用するかどうかをチェックする(S2)。これは図5で上述した画面によるイヤホン判別を行うかどうかに対応している。イヤホン判別モードを使用する場合(Yes「肯」)、ステップS14へ進み、そうでなければ(No「否」)、ステップS3へ移行する。
ステップS14では、サーバ300にアクセスし、当該イヤホンのデータがサーバ300上のデータベース310内に存在するか否かを確認する(S14)。存在しなければ、ステップS3へ移行する。存在すれば、サーバ300から音声出力特性補正データとして、当該イヤホンの代表インピーダンスおよびイヤホン周波数感度特性補正データ(すなわち音声出力パラメータ)を取得する(S15)。そこで、上述したようにイヤホンの代表インピーダンスに応じて音声経路周波数特性の補正(すなわち低域のブースト補正)を行う(S16)。その後、ステップS13へ移行する。
上記ステップS2で、メーカ名、型番によるイヤホン判別モードを使用しないと判定された場合、ステップS3で、動作モードをインピーダンス測定モードに切り替える。この動作モードでは、インピーダンスを判定する周波数を設定し(S4)、その周波数の音声出力信号(サイン波)を出力する(S5)。そこで、上記中間点の電圧を測定する(S6)。この測定結果に基づいてインピーダンスを計算する(S7)。測定対象となるすべての周波数についての測定が終了するまで、ステップS4に戻って測定を繰り返して実行する。
すべての周波数についての測定が終了したら(S8,Yes)、イヤホンインピーダンス(の代表値)を特定し、その周波数特性(インピーダンスパターン)を記憶する(S9)。また、上述したようにイヤホンの代表インピーダンスに応じて音声経路周波数特性の補正(すなわち低域のブースト補正)を行う(S10)。
ついで、このインピーダンスパターンを端末内に記憶済のインピーダンスパターンと一致するイヤホンのデータが端末内のメモリ上またはサーバ上に存在するかどうかを確認する(S11)。一致するインピーダンスパターンが存在するとき、そのイヤホン周波数感度特性補正データを取得し(S12)、ステップS13へ移行する。
ステップS13においては、上記取得した補正データに基づいてイヤホン周波数感度特性を補正する。
ステップS11において、一致するインピーダンスパターンが存在しない場合、上述した第2の測定モードに移行し、マイクによるイヤホン周波数感度特性補正工程を実行する(S17)。その後、ステップS13へ移行する。
第2の測定モードであるイヤホン周波数特性の測定モードでは、信号処理部111からイヤホン200に対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて、イヤホンの周波数特性を測定する。
図14に第2の測定の具体的な処理例を示す。
まず、イヤホンとマイクとの間の伝達関数を設定する(S21)。これは、イヤホンとマイクの位置関係を一定にしても、例えば、イヤホンの形式(オープン型、カナル型等)によってイヤホンからマイクへの伝達特性が異なるため、その違いを補償するために予め定めた伝達関数をイヤホンの形式の指定によって選択するものである。
ついで、環境雑音の測定を行う(S22)。これは、イヤホンに対して何ら音声信号を出力しない状態でマイクから得られる音声信号を検出し、環境雑音を推定する処理である。このようにして得られた環境雑音は、後続の周波数測定の結果から相殺するのに利用する。
そこで、判定音声周波数の設定を行う(S23)。例えば、掃引開始周波数、周波数間隔、掃引終了周波数を設定し、これらに基づいて所定の周波数範囲でのサイン波の周波数掃引信号を「判定音声出力」として出力する(S24)。このような判定音声出力に対するマイク音声の解析を行う(S25)。設定された周波数範囲の測定を終了するまでステップS23〜25を繰り返して実行する。終了したら(S27,Yes)、ステップS22に戻り、このような測定処理をさらにN−1回(Nは複数)繰り返して行う。これによりN回の測定結果を得て、その平均値等から各周波数の測定結果を算出する。
このようにして得られた測定結果に基づいて、イヤホン周波数特性を補正する(S28)。すなわち、第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求めることができる。上述したように、この特性補正データに基づいて信号処理部を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正する。また、全体の音量(Volume)の調整も設定する。このようなイヤホンの周波数特性の補正データは、図11に示したテーブルの「特性補正データ」に追加、または別項目として追加し、保持することができる。
ステップS22〜S27までは、ステレオ出力の場合、測定は右と左で別々に行ってもよいし、いずれか一方のみを代表として行ってもよい。
上述したような音声信号の補正を行なうことで、端末に接続されたイヤホンの種別による音響特性の差分を吸収し、端末から出力された音声に忠実な再生環境を提供できる。また、もちろん、この補正を行なったのちに、ユーザによりイコライザを設定して音声出力パラメータを変更することにより、ユーザの好みの音質設定を行なうことも可能である。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
例えば、上述したイヤホンのメーカ名および型番に基づくサーバの検索を最初に実行するものとしたが、この検索を省略して第1の測定(インピーダンスの測定)から処理を開示するようにしてもよい。
DCカット用のコンデンサはHPFに基づく低域の減衰を補正することの前提としては必須であるが、イヤホン周波数感度特性の補正の前提としては必要ではない。
また、携帯端末装置は携帯電話端末に限るものではない。
100…携帯端末装置(端末)、110…制御部、111…信号処理部、112…増幅部、113,114,115,116…スイッチ、116…スイッチ、117,118…コンデンサ、120…スイッチ、121…抵抗、122…抵抗、130…イヤホンジャック、131…イヤホン検出端子、140…マイク、151…記憶部、152…表示部、153…操作部、200…イヤホン、201,202…抵抗、250…通信ネットワーク、300…サーバ、310…データベース
Claims (9)
- 音声信号を処理する信号処理部と、
この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、
イヤホンが接続される音声信号の出力端子と、
通信ネットワークに接続する接続手段と、
前記接続されたイヤホンのインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、
前記インピーダンス測定手段によりイヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記インピーダンス測定手段により得られたインピーダンスの周波数特性を表すインピーダンスパターンのデータを当該イヤホンの識別情報として前記通信ネットワークを介して外部のサーバへ送信して当該イヤホンの特性補正データを要求し、前記サーバから返送された特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、当該イヤホンに対する音声出力特性を補正する
携帯端末装置。 - 前記インピーダンス測定手段は、
前記増幅部から前記出力端子までの間に直流遮断用のコンデンサを有する信号経路にインピーダンス測定用の抵抗を選択的に介挿する切替手段を有し、
前記制御手段は、前記抵抗を前記信号経路に介挿された状態で前記信号処理部からテスト用音声信号を出力し、前記抵抗と前記出力端子に接続されたイヤホンとで構成される分圧回路の中間点の電圧を検出し、この検出された中間点の電圧に基づいて前記イヤホンのインピーダンスを測定する動作モードを有する
請求項1に記載の携帯端末装置。 - 前記信号処理部、前記増幅部はステレオ信号を処理し、前記信号経路、前記抵抗、前記出力端子は、それぞれ左右の1組が設けられ、前記制御手段は、左右の前記中間点の電圧を選択的に検出する請求項2に記載の携帯端末装置。
- 前記制御手段は、前記測定手段により測定されたイヤホンのインピーダンスに応じて、前記信号処理部を制御し、前記イヤホンのインピーダンスと前記コンデンサとにより構成される高域通過フィルタの特性を補償するように出力音声信号の低域ブースト補正を行う請求項2または3に記載の携帯端末装置。
- 前記制御手段は、音声を電気信号に変換するマイクをさらに備え、前記サーバから特性補正データが得られない場合、前記信号処理部から前記イヤホンに対して可聴周波数範囲内で掃引されるテスト音声信号を出力し、この出力音声を前記マイクで収音して得られた入力音声信号に基づいて前記イヤホンの周波数特性を測定する第2の測定モードを有する請求項1〜4のいずれかに記載の携帯端末装置。
- 前記制御手段は、前記第2の測定モードで測定されたイヤホンの周波数特性に基づいて、その周波数特性を補正する特性補正データを求め、この特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、出力音声信号の周波数特性を補正する請求項5に記載の携帯端末装置。
- 前記サーバから得られた、または前記第2の測定モードにより得られた特性補正データをイヤホン毎に記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、イヤホンが接続されたとき、当該イヤホンの識別情報に基づいて当該イヤホンに対する特性補正データを取得して利用する請求項6に記載の携帯端末装置。
- 音声信号を処理する信号処理部と、
この信号処理部の出力音声信号を増幅する増幅部と、
イヤホンが接続される音声信号の出力端子と、
通信ネットワークに接続する接続手段と、
前記出力端子に接続したイヤホンの識別情報を入力する入力手段と、
入力されたイヤホンの識別情報を前記通信ネットワークを介して外部のサーバへ送信して当該イヤホンの特性補正データを要求し、前記サーバから返送された特性補正データに基づいて前記信号処理部を制御し、当該イヤホンに対する音声出力特性を補正する制御手段と
を備えた携帯端末装置。 - イヤホンの種別毎に当該イヤホンの特性補正データを格納したデータベースと、
携帯端末装置に接続されるイヤホンの識別情報とともに検索要求を通信ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記データベースを参照し、前記識別情報に該当するイヤホンの特性補正データを検索する検索手段と、
検索結果を前記通信ネットワークを介して当該携帯端末装置へ送信する送信手段と
を備えたサーバ。
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