JP2010223632A - 中性子エネルギー測定器 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便に短時間で中性子平均エネルギーを評価することを可能とするコンパクトな中性子エネルギー測定器を提供する。
【解決手段】この中性子エネルギー測定器は、円筒形の中性子減速材の中心軸上の異なる位置に2個の熱中性子検出器110,112を挿入した構造を有する中性子検出部100と、その中性子検出部100からの出力に基づいて、中性子の平均エネルギーを算出する平均エネルギー算出部150と、を具備する。平均エネルギー算出部150は、2個の熱中性子検出器110,112による各計数値の比に基づいて、中心軸方向に入射した中性子の平均エネルギーを算出する。好ましくは、中性子検出部100は、2個の熱中性子検出器110,112の挿入位置と検出感度とが調整され、2個の熱中性子検出器110,112による各計数値の総和が中心軸方向に入射した中性子に対して平坦応答を有する。
【選択図】図1
【解決手段】この中性子エネルギー測定器は、円筒形の中性子減速材の中心軸上の異なる位置に2個の熱中性子検出器110,112を挿入した構造を有する中性子検出部100と、その中性子検出部100からの出力に基づいて、中性子の平均エネルギーを算出する平均エネルギー算出部150と、を具備する。平均エネルギー算出部150は、2個の熱中性子検出器110,112による各計数値の比に基づいて、中心軸方向に入射した中性子の平均エネルギーを算出する。好ましくは、中性子検出部100は、2個の熱中性子検出器110,112の挿入位置と検出感度とが調整され、2個の熱中性子検出器110,112による各計数値の総和が中心軸方向に入射した中性子に対して平坦応答を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ビーム状に飛来する中性子のエネルギーの評価に用いられる中性子エネルギー測定器に関する。
中性子平均エネルギーは、中性子場の中性子エネルギーを代表する重要なパラメータである。この評価には、まずは中性子エネルギー分布、即ち、中性子スペクトルを測定し、その平均を求める必要がある。
中性子スペクトルの測定には、これまで多くの方法が提案され使用されてきた。代表的なものとして、放射化箔法、反跳陽子スペクトロメータによる方法、ボナー球スペクトロメータによる方法、中性子飛行時間測定法、などが挙げられる。
中性子は電荷を持たない粒子であるため、その測定には、まずは、何らかの核反応を介して、荷電粒子に変換することが必要である。その核反応の反応断面積が中性子エネルギーに対して異なるしきい値を有する物質を利用したのが放射化箔法である。
反跳陽子スペクトロメータは、水素含有物質中で中性子との弾性散乱により反跳された陽子のエネルギーを測定することで中性子エネルギーを求める検出器である。有機液体シンチレータ、反跳陽子テレスコープ、反跳陽子磁気スペクトロメータなどがその代表例である。
ポリエチレンなどの水素を多く含む物質中では、中性子は水素との多重散乱により減速し熱化する。ボナー球スペクトロメータは、この熱化の程度が中性子減速材の大きさに依存することを応用した検出器である。
中性子飛行時間測定法は、中性子が発生してから検出されるまでの飛行時間を測定し、飛行距離と飛行時間とから中性子エネルギーを導出する方法である。
中性子スペクトルの測定には他にも多くの手法が用いられるが、一般的に用いられる中性子スペクトル測定器の殆どは、これらの手法を、単独で又は複数組み合わせて応用したものである。
一方、高精度の中性子フルエンス測定には、平坦応答中性子検出器が使用される。平坦応答中性子検出器とは、検出感度が中性子エネルギーに依存せず、入射中性子数のみに比例した出力を有する中性子検出器のことである。ロングカウンターが平坦応答中性子検出器として最も広く用いられてきた。
ロングカウンターは、大型の円筒形の中性子減速材の軸方向に長尺の熱中性子検出器を具備した構造を有する。軸方向に入射した中性子は、円筒形の中性子減速材中で減速し、十分に熱化された時点で熱中性子検出器によって計数される。入射中性子のエネルギーが高いほど減速に距離を要するので、より深い位置で検出される。円筒形の中性子減速材が十分に大型であり、その長さが入射中性子の減速に必要な距離よりも十分に長く、かつ、その径が十分大きく減速過程において減速材外部への損失による影響が無視できるならば、軸方向に入射した中性子に対して検出感度が中性子エネルギーに依存しない平坦応答が実現される。
また、下記の非特許文献1に示されているように、従来のロングカウンターに比べ遥かに中性子減速材が小型化されており、軽量で使い勝手のよい平坦応答中性子検出器が提案されている。この検出器は、円筒形の中性子減速材の中心軸上の異なる位置に2個の熱中性子検出器を挿入した構造を有し、各熱中性子検出器の挿入位置と検出感度とを調整することにより、それぞれの計数値の和が軸方向に入射した中性子に対して平坦応答を有することを特徴とする。この検出器によれば、中性子減速材の小型化により従来のロングカウンターより散乱中性子の発生量が少ないというメリットもあり、測定環境の中性子場を乱さない精度の高い測定が期待できる。
例えば、中性子場の線量評価を行う場合など、中性子平均エネルギー測定と同時に高精度の中性子フルエンス測定が必要とされるケースも少なくない。このような場合には、何らかの中性子スペクトル測定器による中性子スペクトル測定と、何らかの平坦応答中性子検出器による高精度の中性子フルエンス測定と、の両方を行う必要がある。
中性子スペクトルの測定に放射化箔を用いる場合には、中性子反応断面積が異なる閾値を持つ複数種類の試料に対し中性子照射、各試料の誘導放射能の測定、アンフォールディングなどのデータ解析という煩雑な手順を必要とする。また、照射試料中の誘導放射能の取り扱いも放射線管理の観点から容易ではない。
反跳陽子スペクトロメータは、優れたエネルギー分解能を有するものの、一般に検出効率が著しく低いため、測定に長時間を有するという欠点がある。また、反跳陽子のエネルギーの測定方法によっては大型の装置や複雑なデータ解析を要するものもある。
ボナー球スペクトロメータを用いる場合には、熱中性子検出器を中心に収めた大きさの異なる中性子減速材からなる複数の検出器による手間と時間とのかかる測定を行った後、放射化箔法と同様のアンフォールディングなどのデータ解析を必要とする。
中性子飛行時間測定法では、一般に飛行距離を確保するため装置が大型化する他、飛行時間を測定する電気回路による制限から、計数率を稼ぐのが難しく、一般に長い測定時間を必要とする。
以上のように、中性子平均エネルギーを求めるための前段階として必要となる中性子スペクトル測定は、いずれも大型の装置や多大な手間と時間を要するものであり、もっと簡便に短時間で中性子平均エネルギーを評価できるコンパクトな中性子エネルギー測定器の登場が望まれてきた。
中性子平均エネルギー測定に加え高精度の中性子フルエンス測定も必要とされる場合には、中性子スペクトル測定器と平坦応答中性子検出器との両方を用いた測定が必要なので、更なる手間と時間とがかかることは言うまでもない。中性子平均エネルギー測定と高精度の中性子フルエンス測定との両方を一度に簡便に短時間で行うことができるコンパクトな測定器への要望が高い。
原野英樹、松本哲郎、森山健太郎、西山潤、工藤勝久、瓜谷章:可搬型平坦応答中性子検出器の開発:日本原子力学会、2008年秋の大会 H21、予稿集 p.422
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便に短時間で中性子平均エネルギーを評価することを可能とするコンパクトな中性子エネルギー測定器を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、円筒形の中性子減速材の中心軸上の異なる位置に2個の熱中性子検出器を挿入した構造を有する中性子検出部と、前記中性子検出部からの出力に基づいて、中性子の平均エネルギーを算出する平均エネルギー算出部と、を具備する中性子エネルギー測定器が提供される。
上述の中性子検出部の構造によれば、中性子の入射方向に対し、上流側に挿入した熱中性子検出器には低エネルギー側に選択的に高い検出感度を持たせ、一方、下流側に挿入した熱中性子検出器には高エネルギー側に選択的に高い検出感度を持たせることが可能となる。
好ましくは、前記平均エネルギー算出部は、該2個の熱中性子検出器による各計数値の比に基づいて、該中心軸方向に入射した中性子の平均エネルギーを算出する。
つまり、入射中性子のエネルギーが増加すると、下流側熱中性子検出器による計数値の、上流側熱中性子検出器による計数値に対する比が増加することを応用して、中性子の平均エネルギーが算出される。
好ましくは、前記中性子検出部は、該2個の熱中性子検出器の各々の挿入位置と検出感度とが調整されることによって、該2個の熱中性子検出器による各計数値の総和が該中心軸方向に入射した中性子に対して平坦応答を有する。
これにより、中性子平均エネルギー測定と高精度の中性子フルエンス測定との両方を一度に簡便に短時間で行うことができるコンパクトな測定器が実現される。平坦応答の実現法としては、上記の非特許文献1に示される方法を利用することができる。なお、熱中性子検出器の種類によって検出感度を設定する方式は異なるが、例えば、3He や BF3 などの熱中性子有感物質を含んだ比例計数管を用いる場合には、当該熱中性子有感物質の分圧を調整することで検出感度を設定することが可能である。
本発明によれば、従来の中性子スペクトル測定器を用いるよりも遥かに簡便に中性子平均エネルギーを測定することができる中性子エネルギー測定器が提供される。また、平坦応答性を兼ね備えることで、中性子平均エネルギーの簡易測定と中性子フルエンスの高精度測定との両方を同時に実施することが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中性子エネルギー測定器の概略的構造を示す図である。この中性子エネルギー測定器は、中性子検出部100と、平均エネルギー算出部150と、を含む。中性子検出部100は、円筒形の中性子減速材102の中心軸上の異なる位置に2個の熱中性子検出器を挿入した構造を有する。すなわち、中性子が入射する側から見て、上流側に第一の熱中性子検出器110が配置され、下流側に第二の熱中性子検出器112が配置されている。平均エネルギー算出部150は、2個の熱中性子検出器110及び112によって検出される中性子についての各計数値を入力し、それらの比を計算し、その比に基づいて中心軸方向に入射した中性子の平均エネルギーを算出する。
本発明を実施するには、2個の熱中性子検出器110及び112の検出感度を中性子輸送計算にて求めることにより、測定対象とする中性子エネルギー範囲を含む領域にて感度曲線を計算する必要がある。
中性子の入射方向に対して熱中性子検出器の挿入位置が浅い位置(上流側)では、中性子エネルギーが高いほど減速・熱化が不十分のため、熱中性子検出器によって検出されない割合が増大し、その結果、感度曲線は中性子エネルギーの増加につれて単調減少する。
熱中性子検出器の挿入位置を更に深くすることで、感度曲線はピークを持ち始める。熱中性子検出器を更に下流に移動するにつれ、感度曲線のピークが高エネルギー側にシフトする。熱中性子検出器の挿入深さは、ピーク位置での中性子エネルギーが中性子減速材中で減速・熱化するために必要な距離と相関があるためである。
本実施形態においては、平均エネルギー算出部150は、2個の熱中性子検出器110及び112による各計数値の比に基づいて、中心軸方向に入射した中性子の平均エネルギーを算出する。その算出を効果的に実施するには、上流側の熱中性子検出器110を、感度曲線が単調減少を示す位置、あるいは感度曲線がピークを有し、ピーク位置での中性子エネルギーが測定対象とするエネルギー範囲の下限未満であることを満たす位置に挿入し、一方、下流側の熱中性子検出器112を、感度曲線がピークを有し、かつ、ピーク位置での中性子エネルギーが測定対象とするエネルギー範囲の上限を超えていることを満たす位置に挿入することが望ましい。
このように挿入位置を定めることで、上流側の熱中性子検出器110の感度曲線、下流側の熱中性子検出器112の感度曲線を、中性子エネルギーに対し、それぞれ、単調減少、単調増加を示すように調整することができる。
熱中性子検出器の検出感度が高く、熱中性子有感物質による中性子吸収の影響が無視できない場合には、この条件にて感度曲線を再計算し、各熱中性子検出器の挿入位置の妥当性を確認する必要がある。
なお、中性子輸送計算においては、熱中性子検出器の構造など、できるだけ詳細な情報を組み込むことで、かなり信頼性の高い結果を得ることが可能である。加速器にて核反応により発生した単色中性子などを用いることで、実験的にも性能確認を行うことができる。
こうして求めた上流側の熱中性子検出器110及び下流側の熱中性子検出器112の各感度曲線を用いて、下流側検出感度の上流側検出感度に対する比(下流側感度/上流側感度)を求める。この比は、中性子のエネルギーの増加につれて単調増加する。この関係を用いて、下流側感度/上流側感度の比の測定結果から、中性子の平均エネルギーを簡易評価することができる。
下流側検出感度/上流側検出感度の比を R 、入射中性子のエネルギーを E (MeV) とし、E を R の関数として近似すると便利である。
この中性子平均エネルギーの簡易評価法は、上記の非特許文献1にて提案された小型平坦応答中性子検出器にも適用することができる。
本発明の実施例1として、円筒形の中性子減速材102として、直径 15 cm、長さ 30 cm、重量 5 kg の円筒形ポリエチレンの中性子減速材を使用した中性子平均エネルギーの簡易測定器について説明する。
熱中性子検出器110及び112としては、球形の 3He 比例計数管を使用し、図1に示されるように、円筒形のポリエチレン102の側面から挿入する構造を採用した。
2個の 3He 比例計数管110及び112は、全く同じ構造を有しており、その有感領域には、熱中性子有感物質である 3He ガスを含んだガスが封入されている。また、その有感領域の体積は、17.2 cm3である。
上流側の 3He 比例計数管110は、中性子入射面から 2.5 cm の位置に挿入され、0.2 atm の分圧の 3He ガスが封入されている。一方、下流側の 3He 比例計数管112は、中性子入射面から 20 cm の位置に挿入され、5 atm の分圧の 3He ガスが封入されている。
図2に中性子輸送計算で求めた感度曲線を示す。この感度曲線は、横軸を中性子エネルギー(MeV)、縦軸を検出感度(cm2)として、上流側及び下流側の 3He 比例計数管110及び112の各検出感度の変化を示している。上流側の 3He 比例計数管110の検出感度は、中性子エネルギーの増加につれて減少する一方、下流側の 3He 比例計数管112の検出感度は、10 MeV 辺りの中性子エネルギーでピークを示している。
なお、感度曲線において 5 MeV から 10 MeV にかけて見られる凹凸は、ポリエチレンに含まれる炭素の非弾性散乱によるものである。
これらの感度曲線から、上流側及び下流側の 3He 比例計数管110及び112の各検出感度に基づいて、下流側感度の上流側感度に対する比を求めたものを図3に示す。入射中性子のエネルギーの増加につれて検出感度の下流側感度/上流側感度の比が増加することがわかる。
この検出感度についての下流側感度/上流側感度の比を R 、入射中性子のエネルギー を E (MeV) として、E を R の関数として近似する。ここでは3次の多項式近似を用いることで、
E(R) = 0.12 R3 - 0.99 R2 + 3.7 R - 0.1
と求まった。平均エネルギー算出部150は、この近似式を用いて中性子エネルギーを簡易評価する。
E(R) = 0.12 R3 - 0.99 R2 + 3.7 R - 0.1
と求まった。平均エネルギー算出部150は、この近似式を用いて中性子エネルギーを簡易評価する。
代表的な中性子線源として知られている 252Cf 中性子線源及び AmBe 中性子線源から放出される中性子に対する応答について中性子輸送計算により求めた。また、中性子線源を使用する際、容器に収める、或いは支持材で固定することは少なくない。こうした線源周辺の構造体の影響で、中性子スペクトルは、単体の場合と比べ、若干変化することが知られている。このスペクトル変化を模擬すべく、線源を 1 cm の鉄(Fe)またはポリエチレン(PE)で覆った体系に対しても中性子輸送計算を行い、透過した中性子に対する応答について計算した。
各線源条件に対して得られた検出感度についての下流側感度/上流側感度の比 R を用い、上述の近似式に基づき、中性子平均エネルギー E を簡易評価した結果を表1に示す。
表1から、252Cf 中性子線源、AmBe 中性子線源の平均エネルギーをほぼ再現するだけでなく、1 cm の鉄、ポリエチレンの線源カバーによる中性子スペクトルの微妙な変化を反映していることがわかる。
次に、本発明の実施例2として、平坦応答性を兼ね備えた中性子平均エネルギー簡易測定器について説明する。実施例2は、基本的には実施例1と同じであるが、実施例2では、上流側の 3He 比例計数管110を中性子入射面から 5 cm の位置に挿入し、0.144 atm の分圧の 3He ガスを封入し、一方、下流側の 3He 比例計数管112を中性子入射面から 25 cm の位置に挿入し、8.8 atm の分圧の 3He ガスを封入した。
3He 比例計数管を上流側に挿入するほど感度曲線のピークが低エネルギー側にシフトし、下流側に挿入するほど高エネルギー側にシフトすることを考慮し、2個の 3He 比例計数管110及び112が平坦応答を必要とする中性子エネルギーの全ての範囲を相補的にカバーするように、各挿入位置を最適化した。さらに、2個の 3He 比例計数管110及び112の出力の総和が平坦応答になるように 3He ガスの各分圧を決定した。
図4に中性子輸送計算で求めた、実施例2に係る感度曲線を示す。上流側及び下流側の3He 比例計数管110及び112に、それぞれ、低エネルギー側及び高エネルギー側の中性子に対して相補的に選択性を有する応答を持たせた結果、両者の計数値の総和を出力とすることで良好な平坦応答性が実現される様子が図4に示されている。
ここで、252Cf 中性子線源及び AmBe 中性子線源から放出される中性子に対する応答について中性子輸送計算により求めた。その結果を表2に示す。中性子の平均エネルギーが2倍程度も異なるにもかかわらず、両者に対する検出感度の違いは数%程度の差に留まった。また、各線源を 1 cm の鉄(Fe)またはポリエチレン(PE)で覆った体系に対しても中性子輸送計算を行い、透過した中性子に対する応答について計算した結果についても表2に示す。平均エネルギーは5%程度減少したのに対して感度の変化は 0.1 %未満であった。
さらに、実施例1と同様の方法により、図4に示した感度曲線から、下流側 3He 比例計数管112の検出感度の、上流側 3He 比例計数管110の検出感度に対する比 R を求め、入射中性子のエネルギー E (MeV) の関数として近似した。3次の多項式近似を用いることで、
E(R) = 0.35 R3 - 1.8 R2 + 5.0 R + 0.88
と求まった。
E(R) = 0.35 R3 - 1.8 R2 + 5.0 R + 0.88
と求まった。
上述の各線源条件に対して、この近似式を用いて中性子平均エネルギーを簡易評価した結果も上記の表2に示している。
なお、中性子減速材の寸法が変わっても、平坦性と平均エネルギー簡易評価機能とを兼ね備えることは可能である。その例として、直径 20 cm、長さ 35 cm、重量 11 kg の円筒形ポリエチレンの中性子減速材を使用した中性子平均エネルギーの簡易測定器について、本発明の実施例3として結果のみ紹介する。
この場合も、基本的には実施例1と同じであるが、上流側の 3He 比例計数管110を中性子入射面から 4.5 cm の位置に挿入し、0.275 atm の分圧の 3He ガスを封入し、一方、下流側の 3He 比例計数管112を中性子入射面から 25 cm の位置に挿入し、8.8 atmの分圧の 3He ガスを封入した構成にしたときに、図5に示したような平坦応答を有する感度曲線が得られた。また、中性子平均エネルギーの簡易評価に用いる式は、3次の多項式近似を用いて、
E(R) = 0.70 R3 - 2.8 R2 + 6.5 R + 0.96
と表された。
E(R) = 0.70 R3 - 2.8 R2 + 6.5 R + 0.96
と表された。
252Cf 中性子線源、AmBe 中性子線源から放出される中性子、及び各線源を 1 cm の鉄(Fe)またはポリエチレン(PE)で覆った体系からの透過中性子に対する応答を求めた。その結果を表3に示す。
以上、本発明の実施形態及び実施例について述べてきたが、もちろん本発明はこれらに限定されるものではなく、様々な実施が可能である。
100 中性子検出部
102 中性子減速材
110 第一の熱中性子検出器(上流側 3He 比例計数管)
112 第二の熱中性子検出器(下流側 3He 比例計数管)
150 平均エネルギー算出部
102 中性子減速材
110 第一の熱中性子検出器(上流側 3He 比例計数管)
112 第二の熱中性子検出器(下流側 3He 比例計数管)
150 平均エネルギー算出部
Claims (3)
- 円筒形の中性子減速材の中心軸上の異なる位置に2個の熱中性子検出器を挿入した構造を有する中性子検出部と、
前記中性子検出部からの出力に基づいて、中性子の平均エネルギーを算出する平均エネルギー算出部と、
を具備する中性子エネルギー測定器。 - 前記平均エネルギー算出部は、該2個の熱中性子検出器による各計数値の比に基づいて、該中心軸方向に入射した中性子の平均エネルギーを算出する、請求項1に記載の中性子エネルギー測定器。
- 前記中性子検出部は、該2個の熱中性子検出器の各々の挿入位置と検出感度とが調整されることによって、該2個の熱中性子検出器による各計数値の総和が該中心軸方向に入射した中性子に対して平坦応答を有する、請求項2に記載の中性子エネルギー測定器。
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