JP2010222156A - 吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法及びその充填部形成方法により充填部が形成された吸水性セラミックス構造体 - Google Patents

吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法及びその充填部形成方法により充填部が形成された吸水性セラミックス構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】 吸水性セラミックス構造体に設けられた空隙部に水系または溶剤系スラリー充填材を充填し、クラックやボイドなどの欠陥が生じない充填部を形成する充填部形成方法及びその充填部形成方法により充填部が形成された吸水性セラミックス構造体を実現する。
【解決手段】 吸水性セラミックスからなるセラミックス構造体10に設けられた少なくとも一端が開口して形成された空隙部13に挿入し先端部20aから充填材30を注入可能に構成された充填部材20を用いて、空隙部13の内部に挿入し、外方に移動させながら先端部20aから充填材30を注入することにより、空隙部13に充填材30を充填し、充填部31を形成することができる。これにより、充填材30を空隙部13の内部で大きく移動させずに空隙部13に充填することができるため、充填材13の流動性が低いことに起因する欠陥が充填部31に生じることがない。
【選択図】 図2

Description

本発明は、吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法及びその充填部形成方法により充填部が形成された吸水性セラミックス構造体に関する。
従来、セラミック粒子焼結体からなる多孔質の吸水性セラミックス構造体は、例えば、隔壁により仕切られた多数の貫通孔(セル)が並列されて構成されるハニカム構造体が、排ガス浄化用触媒の触媒担体やディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)等に用いられている。
排ガス浄化用触媒の触媒担体は、隔壁を構成する吸水性セラミックス上に触媒成分を担持した構造を有しており、排気ガスがセルを通過する際に触媒成分と接触させ、排気ガス中の有害成分を浄化することができる。
DPFは、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有している。ディーゼルエンジンから微粒子物質を含んだ排ガスがDPFに対して流されると、排ガスは端部が封止されていないセルに導入され、隔壁の細孔を通過して隣接するセルから排出される。ここで、隔壁はフィルターとして作用し、細孔径よりも大きな微粒子物質が隔壁上に堆積し捕集される。補集された微粒子物質は定期的に燃焼除去され、DPFのフィルター機能が再生される。
排ガス浄化用触媒の触媒担体では、排気ガスの速度分布や触媒反応による発熱などにより内部に温度差が生じることがある。また、DPFでは、排気ガスの速度分布により微粒子物質の堆積量に不均一な分布が生じるため、DPFを再生する際に内部に大きな温度差が生じることがある。このようにハニカム構造体には、内部に生じる温度差に起因して熱応力が発生するため、この熱応力によりセルが破壊される等の問題が生じることがあった。
そこで、このような熱応力を緩和するために、例えば、特許文献1には、ハニカム構造体を構成する複数のセグメント間に熱応力を解放するための領域である熱衝撃リリーフゾーンをスリット状に設け、その熱衝撃リリーフゾーンの内部にシール材を充填することにより、シール性と耐熱衝撃性とを向上させる技術が開示されている。
特開2001−206780号公報
上述のシール材のような充填材は一般に粘度が高く流動性が低いため、開口部の幅が狭く奥行きが深いスリット状の空隙に、その開口部から充填材を注入すると、奥行き方向へ十分に流動させて充填することができず、充填部にクラックやボイドなどの欠陥が生じるおそれがあった。充填部にクラックやボイドなどの欠陥が生じると、要求されるシール性や耐熱衝撃性が発現しないおそれがある。
また、上述のシール材のように、シール性の向上と熱応力の緩和を兼ねてスリット状の空隙に充填して用いられる充填材では、熱応力を緩和するために耐熱性、低強度、低弾性率、高熱伝導などの特性が要求される。そのような特性を有する充填材として、セラミックス材料を主成分し、水や有機溶剤などの溶媒、バインダー、造孔材などから構成される水系または溶剤系スラリー充填材が用いられる。このような充填材を用いると、充填材を空隙に充填する過程で、溶媒が吸水性セラミックスに吸収されることにより流動性が更に低下し、充填部にクラックやボイドなどの欠陥が更に生じやすくなるおそれがあった。
そこで、本発明は、吸水性セラミックス構造体に設けられた空隙部に充填材を充填し、クラックやボイドなどの欠陥が生じない充填部を形成する充填部形成方法及びその充填部形成方法により充填部が形成された吸水性セラミックス構造体を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、吸水性セラミックスからなるセラミックス構造体に設けられた少なくとも一端が開口して形成された空隙部に充填材を注入し、充填部を形成する吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法であって、前記空隙部に挿入し先端部から前記充填材を注入可能に構成された充填部材を、前記空隙部の内部に挿入し、外方に移動させながら前記先端部から充填材を注入することにより、前記空隙部に前記充填材を充填し、充填部を形成することを特徴とする、という技術的手段を用いる。
請求項1に記載の発明によれば、吸水性セラミックスからなるセラミックス構造体に設けられた少なくとも一端が開口して形成された空隙部に挿入し先端部から水系または溶剤系スラリー充填材を注入可能に構成された充填部材を用いて、空隙部の内部に挿入し、外方に移動させながら先端部から充填材を注入することにより、空隙部に充填材を充填し、充填部を形成することができる。これにより、充填材を空隙部の内部で大きく移動させずに空隙部に充填することができるため、充填材の流動性が低いことに起因する欠陥が充填部に生じることがない。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法において、前記充填部材が、水系または溶剤系スラリー充填材を圧送可能に構成されたノズルである、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明のように、充填部材として充填材を圧送可能に構成されたノズルを用いると、粘度が高く流動性が低い水系または溶剤系スラリー充填材も容易に空隙部に注入できるので好適である。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の吸水性セラミックス構造体の吸水率において、10〜50重量%とする。吸水率は、素材の親水性や気孔率、細孔分布などにより変化する。
気孔率が低い吸水率10重量%以下のセラミックス構造体では、充填材がセラミックス構造体にしっかり保持されず、当初の目的を果たさない。また気孔率が高い吸水率50重量%以上では、充填材がセラミックス構造体に浸潤して同様に当初の目的を果たさない。当該技術を満たす吸水性セラミックス構造体は10〜50重量%、特に15〜30重量%が望ましい。ここで、「吸水率」とは、「自動車規格 JASO M 505−87自動車排気ガス浄化触媒用セラミックモノリス担体の試験方法」の「6−4吸水率」に記載の測定方法により定義されるものである。
請求項4に記載の発明では、請求項1または請求項3に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法において、前記充填部材の先端部の開口面積が、前記空隙部の開口面積の30〜90%となるように構成されている、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明のように、充填部材の先端部の開口面積を、空隙部の開口面積の30〜90%となるように構成すると好適に用いることができる。先端部の開口面積が、開口部の開口面積に対して30%未満の場合には、充填材の充填速度が遅くなり、90%を超えた場合には充填部材の先端部がセル壁と接触して、破損するおそれがあるからである。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法において、前記吸水性セラミックス構造体は、隔壁により仕切られ貫通形成された多数のセルが並列されて構成されるハニカム構造体である、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明のように、本発明は、ハニカム構造体に設けられた空隙部に充填材を充填し、充填部を形成するために適用することができる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法において、前記ハニカム構造体は、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有しており、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターとして用いられる、という技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明のように、過酷な熱環境で使用されるディーゼルパティキュレートフィルターでは、充填部に高い信頼性が要求されるため、本発明を特に好適に用いることができる。
請求項7に記載の発明では、吸水性セラミックス構造体において、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法により、充填部が形成された、という技術的手段を用いる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法により、クラックやボイドなどの欠陥がない充填部が形成された吸水性セラミックス構造体を得ることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の吸水性セラミックス構造体において、前記吸水性セラミックス構造体は、隔壁により仕切られ貫通形成された多数のセルが並列されて構成されるハニカム構造体である、という技術的手段を用いる。
請求項8に記載の発明のように、本発明は、ハニカム構造体に設けられた空隙部に充填材を充填し、充填部を形成するために適用することができる。
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の吸水性セラミックス構造体において、前記ハニカム構造体は、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有しており、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターとして用いられる、という技術的手段を用いる。
請求項9に記載の発明のように、過酷な熱環境で使用されるディーゼルパティキュレートフィルターでは、充填部に高い信頼性が要求されるため、本発明を特に好適に用いることができる。
請求項10に記載の発明では、請求項7ないし請求項9のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体において、前記充填部が、熱応力を緩和する熱応力緩和層として作用する、という技術的手段を用いる。
請求項10に記載の発明によれば、充填部が、熱応力を緩和する熱応力緩和層として作用するため、熱応力に強い吸水性セラミックス構造体を得ることができる。
本発明の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法について、図を参照して説明する。図1は、充填部となる空隙部が形成された吸水性セラミックス構造体の一部を示す説明図である。図1(A)は、空隙部の開口部側から見た吸水性セラミックス構造体の平面図であり。図1(B)は、図1(A)のA−A矢視断面図である。図2は、充填部を形成する工程を模式的に示す断面説明図である。図3は、空隙部と充填部材との形状の関係を模式的に示す説明図である。図4は、吸水性セラミックス構造体充填部形成方法の工程の変更例を示す説明図である。
ここでは、隔壁により仕切られ貫通形成された多数のセルが並列されてハニカム構造を有するセグメント部に区画されてなる吸水性セラミックス構造体を例として説明する。図1に示すように、吸水性セラミックス構造体10において、隣接するセグメント部11の間には、連結部12により接続されており、セグメント部11の側面11aと連結部12とにより長手方向に貫通するスリット状の空隙部13が形成されている。空隙部13は、吸水性セラミックス構造体10の上下両端面に開口部13a、13bをそれぞれ有している。この構造によれば、吸水性セラミックス構造体10に熱応力が生じた場合に、連結部12により緩和することができる。
空隙部13に水系または溶剤系スラリー充填材を注入し、充填部を形成する工程は以下の通りである。まず、図2(A)に示すように、空隙部13の開口部13bを粘着シートや板状に形成された封止材21により塞いだ後に、水系または溶剤系スラリー充填材を注入する充填部材20を空隙部13に挿入し、充填材を供給する先端部20aが開口部13bの直上になるように配置する。
ここで、充填部材20としては、充填材を圧送可能に構成されたノズルを好適に用いることができる。これにより、粘度が高く流動性が低い充填材も容易に注入することができる。粘度が高くなく流動性が高い充填材30を用いる場合には、圧送機構を有しないチューブなどの充填部材20を用いることができる。
次に、図2(B)に示すように、充填部材20を空隙部13の外方、本実施形態では上方に移動させながら、充填材30を注入する。ここで、充填材30の供給速度に応じて、充填部材20の移動速度を制御すると、充填部材30の移動速度が早すぎて充填不良が生じたり、移動速度が遅すぎて充填材20が空隙部13からはみ出したりするようなことがない。例えば、充填材30が空隙部13内で毎秒1cmの速度で高さが増大するなら、充填部材30の移動速度を毎秒1cmとすればよい。
続いて、図2(C)に示すように、充填部材20が開口部13a付近に到達したら、開口部13aまで充填材30が充填されるまで保持し、空隙部13への充填材30の充填を完了する。
そして、図2(D)に示すように、充填材30を乾燥、加熱などにより硬化させて充填部31が形成される。充填部31は、熱応力や振動による連結部12の割れと、それに伴い発生するセグメント部11の抜けを防止することができる。また、空隙部13からのスス漏れを防止することができる。更に、セグメント部11で発生した熱を拡散させることにより熱応力を低減させることもできる。
上述の工程によれば、充填材30を空隙部13の内部で大きく移動させずに空隙部13に充填することができるため、充填材30の流動性が低いことに起因する欠陥が充填部31に生じることがない。
充填部材20の先端部20aの形状は、空隙部13の開口部13aの形状に合わせた扁平形状が好ましい。また、先端部20aの開口面積は、開口部13aの開口面積の30〜90%となるように構成すると好適である。先端部20aの開口面積が開口部13aの開口面積に対して30%未満の場合には、充填材30の充填速度が遅くなり、90%を超えた場合には充填部材20の先端部20aがセル壁と接触して、破損するおそれがあるからである。
図2に示す工程では、1つの充填部材20による充填材30の充填方法を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、2つの充填部材20を用い、開口部13a、13bからそれぞれ挿入した後に、空隙部13の長手方向中央部近傍から、それぞれ外方に移動させて充填材30を充填することもできる。
空隙部13は内部を全て充填材30により充填する必要はなく、充填部31に要求される特性に応じて、充填材30の充填量を設定することができる。例えば、充填部31にシール性が要求される場合には、空隙部13の一部が閉塞されていればよい。また、本発明の充填材30の充填方法では、充填材30を空隙部13の内部で大きく移動させず充填するため、充填部31の寸法制御を容易に行うことができる。
吸水性セラミックス構造体10が複数の空隙部13を有する場合には、複数の充填部材20を用意し、複数個の空隙部13に同時に充填材30を充填することもできる。
空隙部13は、貫通形成されている必要はなく、開口部が一端にのみ形成された有底構造でもよい。
本実施形態では、吸水性セラミックス構造体10として、ハニカム構造を有するセグメント部11に区画されてなる吸水性セラミックス構造体を例示したが、セグメント部11の形状、個数やセグメント部11を構成するセルの形状、個数は任意である。
吸水性セラミックス構造体10は、各種用途のハニカム構造体として構成することができる。例えば、排ガス浄化用触媒の触媒担体として用いられるハニカム構造体として構成することができる。また、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有しており、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)として用いられるハニカム構造体として構成することができる。
これらの用途で使用される吸水性セラミックス構造体10は、強度、耐熱性などが要求されるため、炭化けい素、窒化けい素、コージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウムなどにより形成することが好ましい。
また、これらの用途で使用される吸水性セラミックス構造体10では、充填部31には、シール性及び熱応力を緩和する熱応力緩和層としての特性が要求される。具体的には、耐熱性、熱応力が発生した場合に吸水性セラミックス構造体10が破壊せずに充填部30が破壊して応力緩和するために低強度及び低弾性率、加えて望ましくは高熱伝導などの特性が要求される。このような特性を有する充填部31として多孔質セラミックスが適しており、これを形成するための水系または溶剤系スラリー充填材30として、セラミックス材料を主成分とし、水や有機溶剤などの溶媒、バインダー、発泡材などの造孔材などから構成される充填材30が用いられる。このような充填材30を用いると、充填材30を空隙部13に充填する過程で、溶媒がセグメント部11に吸収されることにより流動性が低下するため、従来の充填方法では、充填部31にクラックやボイドなどの欠陥が生じるおそれがあったが、本発明の充填方法を用いると、クラックやボイドなどの欠陥がない充填部31を形成することができる。
水系または溶剤系スラリー充填材30としては、種々の構成のものが提案されており、ファイバー状、粒状などのセラミックス部材を主成分とし、水や有機溶剤の溶媒の他に、バインダーや発泡樹脂などの造孔材などを配合したものを挙げることができる。例えば、出願人が、特開2007−191329号公報、特開2008−7683号公報、特開2008−19119号公報などで開示したSiC系接合材を用いることができる。その他、セラミックス部材としては、アルミナ、ムライト、シリカ、窒化けい素、窒化アルミニウム、チタン酸アルミニウムなどからなるものを用いることができ、バインダーとしては、コロイダルシリカなどの無機バインダーや有機バインダーを用いることができる。
吸水性セラミックス構造体10は、上述の用途以外にも、例えば、浄水用フィルター、熱交換器用部材、高温流体、蒸気のろ過フィルターなどの用途に使用することもできる。この場合、充填部31の作用としては、吸水性セラミックス構造体10の用途により、シール、熱応力緩和など種々の作用が挙げられるが、要求される作用に応じて、空隙部13の形状、数などを任意に設定することができる。また、充填材30も、耐熱性は不要でシール性のみが必要な用途では、シリコンゴムを用いるなど、充填部31の要求特性に合わせて選択することができる。
(実施例)
以下に、本発明の実施例を比較例とともに示す。ここで、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、図5に示すSiC製DPFとして形成される吸水性セラミックス構造体10に設けられた空隙部13に充填部31を形成する。図5(A)及び(B)に示すように、本実施例の吸水性セラミックス構造体10は吸水率(自動車規格 JASO M 505−87)22%のSiCからなり、外径が14.38cm(5.66inch)、軸方向の長さが15.24cm(6.00inch)の略円筒状の外周形状を有している。
吸水性セラミックス構造体10は、16個の断面正方形のセグメント部11と、隣接するセグメント部11同士を架橋する連結部12と、を有する。セグメント部11は、一辺が3.7cmの正方形の断面をもつ2×2個で配列した内周側セグメント部11aと、内周側セグメント部11aの外周側に位置するとともに径方向の外周面が円弧状に形成された外周側セグメント部11bと、を有する。また、セグメント部11間の距離は、1.5mmである。
各セグメント部11は9mm間隔で設けられた厚さが0.3mmの連結部12により接続されており、セグメント部11の側面と連結部12とにより長手方向に貫通するスリット状の空隙部13が形成されている。つまり、空隙部13は、1.5mm×9mmの扁平な矩形状の開口部を備えている。
充填材は、平均粒径20μmのSiC粗粒50重量部、平均粒径1μmのSiC微粒25重量部、アルミナファイバー3重量部、バインダー1.5重量部、溶媒として水20.5重量部を混合して粘調の充填材スラリーを調製した。調整時の粘度は、B型粘度計で測定した結果、ロッド#4を用いて5rpm、20℃での粘度は30センチポイズであった。
空隙部13への充填材の注入には、充填材を圧送可能なノズルを用いた。ノズルの断面形状は、短径1.2mm×長径8mmの略楕円状であり、空隙部13の開口面積の約80%を占めている。従来技術による比較例では、ノズル先端から毎秒5ccのスラリーを射出して、空隙部13の開口部から内部へ注入した。実施例では、ノズルを空隙部13に挿入し、反対側の開口部近傍に配置した後に、毎秒1.5cmの速度で引き抜きながら、毎秒5ccのスラリーを射出して、充填材を注入した。充填材を注入した後に80℃以上で加熱し、充填材を硬化させて充填部を形成した。
図6に、充填材を注入した吸水性セラミックス構造体10のX線透過像を示す。図中には、吸水性セラミックス構造体10の上端から長手方向に10cm程度の領域が示されている。なお、コントラストの関係で左側が白く見えている。図中の軸方向に伸びた黒く見える部分Jが充填部であり、薄い色の部分Kが空隙である。図6(A)に示すように、比較例では、充填材は上端から8cm程度までしか充填されておらず、その下方には空隙が認められる。一方、実施例では、充填材は空隙部13全体に充填されていることがわかる。
本実施例により、本発明の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法によれば、充填材の流動性が低いことに起因する欠陥が充填部に生じることがないことが確認された。
[最良の実施形態の効果]
(1)本発明の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法によれば、吸水性セラミックスからなるセラミックス構造体10に設けられた少なくとも一端が開口して形成された空隙部13に挿入し先端部20aから充填材30を注入可能に構成された充填部材20を用いて、空隙部13の内部に挿入し、外方に移動させながら先端部20aから充填材30を注入することにより、空隙部13に充填材30を充填し、充填部31を形成することができる。これにより、充填材30を空隙部13の内部で大きく移動させずに空隙部13に充填することができるため、充填材13の流動性が低いことに起因する欠陥が充填部31に生じることがない。
(2)充填部材20として充填材30を圧送可能に構成されたノズルを用いると、粘度が高く流動性が低い充填材30も容易に空隙部13に注入できるので好適である。
(3)充填部材20の先端部20aの開口面積を、空隙部13の開口面積の30〜90%となるように構成すると好適に用いることができる。
(4)充填材30として、セラミックス材料を主成分とし、溶媒として水または有機溶剤を含む組成物を用いると、充填材30を空隙部13に充填する過程で、溶媒が吸水性セラミックスに吸収されることにより流動性が低下し、従来の充填方法では充填部31にクラックやボイドなどの欠陥が更に生じやすくなるおそれがあった。本発明では、充填材30を空隙部13の内部で大きく移動させずに空隙部13に充填することができるため、充填材30の流動性が低いことに起因する欠陥が充填部31に生じることがない。
(5)本発明は、ハニカム構造体に設けられた空隙部13に充填材30を充填し、充填部31を形成するために適用することができる。特に、過酷な熱環境で使用されるディーゼルパティキュレートフィルターでは、充填部31に高い信頼性が要求されるため、本発明を好適に用いることができる。
(6)本発明の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法によれば、クラックやボイドなどの欠陥がない充填部31が形成された吸水性セラミックス構造体10を得ることができる。充填部31が、熱応力を緩和する熱応力緩和層として作用する場合には、熱応力に強い吸水性セラミックス構造体10を得ることができる。
充填部となる空隙部が形成された吸水性セラミックス構造体の一部を示す説明図である。図1(A)は、空隙部の開口部側から見た吸水性セラミックス構造体の平面図であり。図1(B)は、図1(A)のA−A矢視断面図である。 充填部を形成する工程を模式的に示す断面説明図である。 空隙部と充填部材との形状の関係を模式的に示す説明図である。 吸水性セラミックス構造体充填部形成方法の工程の変更例を示す説明図である。 実施例で用いた吸水性セラミックス構造体として用いたSiC製DPFの構造の説明図である。図5(A)は斜視図であり、図5(B)は軸方向から見た平面図である。 充填材を注入した吸水性セラミックス構造体のX線透過像である。図6(A)は従来の充填方法により充填部を形成した吸水性セラミックス構造体のX線透過像であり、図6(B)は本発明の充填方法により充填部を形成した吸水性セラミックス構造体のX線透過像である。
10 吸水性セラミックス構造体
11 セグメント部
11a 側面部
12 連結部
13 空隙部
13a、13b 開口部
20 充填部材
20a 先端部
30 充填材
31 充填部

Claims (10)

  1. 吸水性セラミックスからなるセラミックス構造体に設けられた少なくとも一端が開口して形成された空隙部に水系または溶剤系スラリー充填材を注入し、充填部を形成する吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法であって、
    前記空隙部に挿入し先端部から前記水系または溶剤系スラリー充填材を注入可能に構成された充填部材を、前記空隙部の内部に挿入し、外方に移動させながら前記先端部から水系または溶剤系スラリー充填材を注入することにより、前記空隙部に前記水系または溶剤系スラリー充填材を充填し、充填部を形成することを特徴とする吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法。
  2. 前記充填部材が、水系または溶剤系スラリー充填材を圧送可能に構成されたノズルであることを特徴とする請求項1に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法。
  3. 吸水性セラミックス構造体の吸水率が10〜50重量%となるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法。
  4. 前記充填部材の先端部の開口面積が、前記空隙部の開口面積の30〜90%となるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法。
  5. 前記吸水性セラミックス構造体は、隔壁により仕切られ貫通形成された多数のセルが並列されて構成されるハニカム構造体であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法。
  6. 前記ハニカム構造体は、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有しており、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターとして用いられることを特徴とする請求項5に記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体の充填部形成方法により、充填部が形成されたことを特徴とする吸水性セラミックス構造体。
  8. 前記吸水性セラミックス構造体は、隔壁により仕切られ貫通形成された多数のセルが並列されて構成されるハニカム構造体であることを特徴とする請求項7に記載の吸水性セラミックス構造体。
  9. 前記ハニカム構造体は、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有しており、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる微粒子物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターとして用いられることを特徴とする請求項8に記載の吸水性セラミックス構造体。
  10. 前記充填部が、熱応力を緩和する熱応力緩和層として作用することを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1つに記載の吸水性セラミックス構造体。
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