JP2010213091A - 音源位置推定装置 - Google Patents

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弘美 青柳
Koichi Mizutani
孝一 水谷
Naoto Wakatsuki
尚斗 若槻
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Abstract

【課題】マイクロホン周囲に障害物がある場合でも、精度良く音の到来方向を推定可能な音源位置推定装置を提供する提供する。
【解決手段】音源位置推定装置(100)は、複数の無指向性マイクロホンから成るマイクロホンアレイ(110)、マイクロホンアレイ(110)の近傍に位置する障害物に関する情報に基づく補正テーブル(TB)を格納する記憶部(130)、マイクロホンアレイ(110)によって集音された音の到来方向を、音の到来時間差又は位相差及び記憶部(130)に格納した補正テーブル(TB)に基づいて算出する到来方向推定処理部(140)を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、音源位置推定装置に関し、特に、音源位置推定装置のマイクロホン周囲に障害物がある場合でも、精度良く音の到来方向を推定可能な音源位置推定装置に関する。
従来、外部音の発生位置を検出し、異常音が発生したときだけ、その異常音の発生位置を中心に撮影する監視カメラ(例えば、特許文献1参照)が提案されている。特許文献1では、音のレベル差により音の到来方向を算出するとともに、所定レベル以上の音を異常音として判定する。しかしながら、特許文献1では算出した到来方向の分解能が低いという問題がある。
そこで、本出願人は、マイクロホンアレイを備え、音の到来時間差や音の位相差を用いて音の到来方向を算出する音監視装置を既に出願した(特許文献2参照)。
特開2006−94251号公報 特願2007−290826
特許文献2の技術のように、マイクロホンアレイを構成する各マイクロホンに到来する音の到来時間や位相差を用いて音の到来方向を推定する場合、より精度の良い推定を行うために、以下のことを鑑みる必要がある。まず、例えば特許文献2に記載のような音監視装置を設置する場所によっては、マイクロホンの近傍に障害物が存在する場合がある。この場合、障害物による音波の回折が生じ、音源からマイクロホンまでの伝搬経路が障害物が存在しない場合と比べて変化する。従って、単純に、各マイクロホンへの音の到来時間差から音の発生位置(音源位置)を推定することはできない。また、マイクロホンアレイへ到達する音は、音源からの直接音だけではなく、壁や障害物からの反射音、残響等があり、これらの影響も考慮する必要がある。
なお、特許文献1や特許文献2のように音源位置の推定と監視カメラによる周囲の撮影とを行う場合、監視カメラとして、例えばカメラを覆う半球状の透明なカメラドームを備えたドーム型のカメラ(以下、ドームカメラとも称する)の利用が考えられる。このとき、音監視装置は、マイクロホンとドームカメラとを一体化した製品として製作することが好ましい。このとき、製品の美観から、ドームカメラの外観形状を大きく変更することなくマイクロホンを取り付けることが望まれる。しかしながら、マイクロホンの取り付け位置によっては、カメラドーム自体が障害物となり、音源位置の推定精度に影響を及ぼすおそれがある。
従って、本発明の目的は、音源位置推定装置のマイクロホン周囲に障害物がある場合でも、精度良く音の到来方向を推定可能な、例えば監視カメラや音監視装置に用いられる音源位置推定装置を提供することにある。
上述した諸課題を解決すべく、本発明による音源位置推定装置は、
複数の無指向性マイクロホンから成るマイクロホンアレイと、
前記マイクロホンアレイの近傍に位置する障害物に関する情報に基づく(経路差、位相差または音の到来時間差等の)補正テーブル(補正情報)を格納する記憶部と、
前記マイクロホンアレイによって集音された音の到来方向を、前記音の到来時間差又は位相差及び前記記憶部に格納した補正テーブル(補正情報)に基づいて算出する到来方向推定処理部と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の一実施態様による音源位置推定装置は、
前記障害物のうちの少なくとも1つが前記音源位置推定装置を構成する筐体(カメラドーム)であり、
前記複数の無指向性マイクロホンアレイは、前記筐体の外壁にほぼ接するように配置される、
ことを特徴とする。
さらに、本発明の他の実施態様による音源位置推定装置は、
前記複数のマイクロホンの少なくとも1つ、または前記無指向性マイクロホンアレイとは別個に設けたマイクロホンによって集音した音のレベルに基づき、前記到来方向推定処理部による音の到来方向の算出に用いる音を選択する選択部をさらに備える、
ことを特徴とする。
さらに、本発明の他の実施態様による音源位置推定装置は、
前記選択部は、
前記複数のマイクロホンの少なくとも1つ、または前記無指向性マイクロホンアレイとは別個に設けたマイクロホンによって集音した音のレベルが所定の閾値を上回る音のうち、所定時間以内に前記所定の閾値を上回る音が先行して集音されていない音を選択する、
ことを特徴とする。
さらに、本発明の他の実施態様による音源位置推定装置は、
前記選択部は、
前記複数のマイクロホンの少なくとも1つ、または前記無指向性マイクロホンアレイとは別個に設けたマイクロホンによって集音した音のレベルの変化に応じて、前記所定の閾値を変化させる、
ことを特徴とする。
本発明によれば、音源位置推定装置のマイクロホン周囲に障害物がある場合でも、精度良く音の到来方向を推定可能な、例えば監視カメラや音監視装置に用いられる音源位置推定装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施例による音源位置推定装置の概略ブロック図である。 音源位置推定装置100を備える音監視装置200の概略ブロック図である。 音源位置推定装置100を備える音監視装置200の外観図である。 カメラドームDOMの2つのマイクロホン(MIC1,MIC3)を含む概略断面図である。 伝搬経路差と音の到来方向θとの関係をプロットし、曲線で近似したグラフである。 反射音による影響を低減する手法を説明するタイムチャートである。 音監視装置200を、屋内の天井等に設置した場合の図である。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例による音源位置推定装置の概略ブロック図である。図に示すように、音源位置推定装置100は、複数の無指向性マイクロホンから成るマイクロホンアレイ110、レベル補正部120、記憶部130、音到来方向推定処理部140を備える。また、音源位置推定装置100は、音選択部150をさらに備える。マイクロホンアレイ110は、音源位置推定装置100の設置場所で発生する音を集音する。マイクロホンアレイ110を構成するマイクロホンは、音源の位置を2次元的に検出する場合には少なくとも3個、1次元的に検出する場合には少なくとも2個、互いに離間させて配置する。レベル補正部120は、例えば自動利得制御(AGC:automatic gain control)を利用して、マイクロホンアレイ110で受信する音信号のレベルを自動ゲイン補正する。すなわち、マイクロホンアレイ110に到来した音の信号レベルが小さい場合は、信号レベルを上げて後続する各処理部に出力する。記憶部130は、マイクロホンアレイ110の近傍に位置する障害物に関する情報に基づく補正テーブルTBを格納する。
音到来方向推定処理部140は、マイクロホンアレイ110によって集音された音の到来方向を、マイクロホンアレイ110に含まれる各マイクロホンへのその音の到来時間差(受信時間差)又は位相差と各マイクロホン間の距離とに基づいて算出する。このとき、音到来方向推定処理部140は、記憶部130に格納されている補正テーブルTBに基づいて、算出した到来方向に対して適宜補正を行い、補正したものを音の到来方向として出力する。又は、音到来方向推定処理部140は、記憶部130に格納されている補正テーブルTBから、直接到来方向を算出する(詳細は後述する)。音選択部150は、マイクロホンアレイ110で集音した音のうち、到来方向を推定するのに用いる音を選択する。
次に、一実施例として、音源位置推定装置100を特許文献2に記載のような音監視装置に用いた場合について説明する。図2は、音源位置推定装置100を備える音監視装置200の概略ブロック図である。なお、本願発明が、必ずしも音監視装置としての実現を要するものでないことに留意されたい。
まず、音監視装置200について簡単に説明する。音監視装置200は、カメラCAによる撮像画像に、音源位置推定装置100によって推定された音の到来方向や音の異常性についての情報を組み合わせ、例えば外部のモニタDISに表示させる装置である。異常音判定部240は、音源位置推定装置100のマイクロホンアレイ110によって集音された音が、環境音とは異なる異常音であるか否かを判定する。音情報処理部210は、音源位置推定装置100によって推定された音の到来方向についての情報や、異常音判定部240によって判定された異常音についての情報を、カメラCAによる撮像画像に組み合わせて、外部モニタDISやネットワーク処理部220へ出力する。アラーム処理部230は、異常音判定部240によって異常音と判定された場合に、アラームとして出力したり、アラーム情報をネットワーク処理部220に出力したりする。ネットワーク処理部220は、ネットワークNETを介して、音情報処理部210から出力された画像や情報を、例えば携帯電話等に出力する。
まず、マイクロホンアレイ110の周囲に位置する障害物が音の到来方向の推定に及ぼす影響を低減する手法について説明する。図3に、音源位置推定装置100を備える音監視装置200の外観図を示す。図3の例では、音監視装置200のカメラCAをドームカメラで実現し、カメラドームDOMが、筐体として音源位置推定装置100を含む音監視装置200の各構成部を覆っている。音監視装置200は、例えば、図7に示すように、屋内の天井等に設置される。なお、図3(a),(b)は、それぞれ、音監視装置200の外観図及び一部の拡大断面図であり、図3(b)では、音監視装置200を天井に取り付けた例を示している。
上述したように、音源位置推定装置100のマイクロホンアレイ110とドームカメラとを一体化した音監視装置は、マイクロホンの取り付け位置によってはカメラドーム自体が障害物となり、音源位置の推定精度に影響を及ぼすおそれがある。従って、本実施例では、図3のように、マイクロホンアレイ110を成す、例えば3つのマイクMIC1,MIC2,MIC3を、カメラドームDOMの外壁にほぼ接するように配置する。このことを、図3(b)の、マイクロホンMIC3の部分を拡大した断面図で説明する。図3(b)の例では、マイクロホンMIC3を、カメラドームDOMの縁に、カメラドームDOMの外壁にほぼ接するように、すなわち、マイクロホンMIC2とカメラドームDOMの外壁との間の距離mをできるだけ小さくするように配置している。このようにマイクロホンを取り付けると、カメラドームDOMの外観に影響を及ぼすことがない。例えば、図3(b)の例では、マイクロホンがカメラドームDOMの縁に装着されて天井に埋め込まれるため、マイクロホンの存在を認識されにくい。また、マイクロホンにカメラドームDOMによる反射音が到達しにくく、反射音の影響を低減することができる。さらに、後述するように、音源位置推定装置100の音の到来方向の推定にカメラドーム自体が障害物として与える影響を補正して、精度良く音の到来方向を推定することが可能となる。
次に、音到来方向推定処理部140が音の到来方向の推定に用いる補正テーブルTBについて説明する。ここでは、一例として、図3に示す音監視装置200について説明する。図4は、図3に示す音監視装置200を天井に設置した場合の、カメラドームDOMの2つのマイクロホン(MIC1,MIC3)を含む概略断面図である。図において、A,Bは受音点、すなわちマイクロホンの位置であり、音源SSから発生した音波を受音する。また、カメラドームDOMは、半径rの半球形状とする。音源SSはマイクロホンから十分離れており、音源SSからの音波は平面波として伝搬すると仮定すると、カメラドームDOMが存在しない場合の受音点A,Bに到達する音の伝搬経路差dは、図4における破線となる。この伝搬経路差d、音波の到来方向θ、音速c、伝搬時間差t、カメラドームDOMの半径rの関係は、以下の式で表すことができる。
Figure 2010213091
従って、到来方向θは、式(1)から
Figure 2010213091
となる。
また、カメラドームDOMが存在する場合の受音点A,Bに到達する音の伝搬経路差d′は、図4における太線となる。この伝搬経路差d′、音波の到来方向θ、音速c、伝搬時間差t′、カメラドームDOMの半径rの関係は、以下の式で表すことができる。
Figure 2010213091
式(3)を変形すると、
Figure 2010213091
を得る。
式(2)、(4)から、音の到来方向θに対する2rで基準化された伝搬経路差d,d′をプロットすることができる。図5に、伝搬経路差と音の到来方向θとの関係をプロットし、曲線で近似したグラフを、カメラドームが有る場合を実線で、無い場合を破線で示す。グラフから、到来方向が等しい場合、カメラドームが有る場合の伝搬経路差d′がカメラドームが無い場合の伝搬経路差dよりも長いことがわかる。このことは、図4に示すdとd′との伝搬経路差の違いに整合する。また、伝搬経路差が等しい場合(すなわち、受音点A,Bへの音の到達時間差が等しい場合)、カメラドームが有る場合の到来方向θは、カメラドームが無い場合の到来方向θよりも小さいことがわかる。
式(3)から、音の到来時間差t′が分かれば、音の到来方向θを得ることができることがわかる。ここで、式(3)からθを数値計算で求めることはできない。しかしながら、予め図5のように離散値のθと伝搬距離差、すなわち到来時間差との関係を補正テーブルTBとして保持していれば、測定した到来時間差t′から、音の到来方向θを推定することができる。従って、本発明の一実施例による音源位置推定装置100は、記憶部130に、補正テーブルTBとして、カメラドームDOMによる伝搬経路差又は到来時間差と到来方向との関係を格納しておき、音到来方向推定処理部140は、各マイクロホンで測定された到来時間差と補正テーブルTBに基づいて、音の到来方向を推定する。
なお、補正テーブルTBは、カメラドームDOMが無い場合と有る場合との到来方向の差分に基づく情報を格納してもよい。図5のグラフから、カメラドームDOMの有無による伝搬距離差の差異は、音の到来方向θが30°より大きくなると顕著になることがわかる。従って、補正テーブルTBとしてカメラドームDOMの有無による到来方向の差を格納しておき、音到来方向推定処理部140は、カメラドームDOMが無い場合の式(2)を用いて算出した到来方向が30°より大きい場合に、補正テーブルTBを参照して到来方向を補正してもよい。
なお、上述の実施例では、マイクロホンアレイ110がカメラドームDOMにほぼ接する場合の補正テーブルTBについて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、マイクロホンアレイ110の周囲にある障害物によって生じる伝搬経路差と音の到来方向との関係を同じように幾何的に求め、その情報を補正テーブルとして記憶部130に格納しておくことにより、障害物による音の到来方向の推定誤差を補正することができる。また、補正テーブルTBには、上述のような最短経路を経た回折音だけでなく、最短経路以外を経た音波の情報等を含めてもよい。
また、カメラドームDOMが有る場合の副次的な効果として、図5のグラフから、到来方向が90°付近における推定精度の向上が見込めることがわかる。図5において、カメラドームDOMが無い場合には、到来方向が90°付近における伝搬距離差がほとんど変化しない。これに対し、カメラドームDOMが有る場合には、到来方向が90°付近でも、到来方向の変化に対し伝搬距離差が変化する。従って、カメラドームDOMを設置することによって、到来方向が90°付近を含め、全ての到来方向にわたって良好な角度分解能を得ることができる。
次に、壁や障害物からの反射音が音の到来方向の推定に及ぼす影響を低減する手法について説明する。図6は、反射音による影響を低減する手法を説明する図であり、横軸に時間をとったタイムチャートで示している。図6のタイムチャートAは、反射音が存在する場合にマイクロホンアレイ110を構成するマイクロホンの1つによって集音され、レベル補正部120によって補正された音の音圧レベルを示す。また、タイムチャートB,C及びDは、それぞれ、音圧レベルのピーク検出区間、音の取り込みを待機するホールドオフ区間及び到来方向処理のタイムアウト区間を示す。
図6のタイムチャートについて説明する。タイムチャートAに示すように、マイクロホンによって集音された音圧レベルは、時間の経過に伴い、音源からの直接音や反射音によって変化する。このとき、音選択部150は、音圧レベルが所定の閾値Thを超えた場合に環境音とは異なる音を検出したと判定し、タイムチャートBに示すように、ピーク検出信号が立ち上がる。その後、音源からの直接音が到来して第1のピークP1が観察されると、タイムチャートBのピーク検出信号が立ち下がる。
タイムチャートAに示すように、音源からの直接音が到来して第1のピークP1が生じた後、反射音により第2のピークP2が生じている。このとき、反射音である第2のピークP2を検出したときに音源位置の推定処理を行うことは、音の到来方向の推定に誤差を生じさせるため好ましくない。従って、タイムチャートBにおいて第1のピークP1の検出後にピーク検出信号が立ち下がると、タイムチャートCに示すように、ホールドオフ信号が立ち上がる。その後、ホールドオフ信号は、音圧レベルが所定の閾値Thを下回ると立ち下がる。このように、音圧レベルが第1のピークP1を超えてから所定の閾値Thを下回るまでの区間を取込禁止区間(ホールドオフ区間)T1とし、音選択部150は、この区間には、音圧レベルのピークが観察されても、音源位置の推定処理を行わないようにする。すなわち、音選択部150は、マイクロホンによって集音した音のレベルに基づき、第1のピークが観察された後、音圧レベルが所定の閾値を上回る区間は、音到来方向推定処理部140が音の到来方向の算出に用いる音を選択しない。このようにすることで、反射音による音源位置の推定を行わないようにすることができる。
なお、この取込禁止区間T1は、タイムチャートAにおいて、所定の閾値Thを下回ると同時に解除し、次に到来する音(第3のピークP3)を取り込むようにしなければならない。従って、ホールドオフを行う区間の上限値(タイムアウト区間)T2を設け、音圧レベルがタイムアウト区間T2以上閾値Thを下回らない場合はタイムアウトし、音の取り込みが再開されるようにする。すなわち、タイムチャートBにおいてピーク検出信号が立ち下がると、タイムチャートDのようにタイムアウト処理信号が立ち上がり、タイムアウト処理信号は、タイムアウト区間T2が経過すると立ち下がるようにする。そして、タイムアウト区間T2が立ち下がった際に音圧レベルが所定の閾値Thを上回っている場合は、第3のピークP3を検出したとして、タイムチャートBに示すようにピーク検出信号が立ち上がる。なお、タイムアウト区間T2としては、例えば最大1.5秒とすることができる。
なお、音圧レベルを測定するマイクロホンとしては、マイクロホンアレイ110とは別のマイクロホンを別個設けてもよい。このとき、音圧レベルを測定するマイクロホンが集音した音に対しても、レベル補正を行う。
上述のように、音選択部150は、マイクロホンアレイ110を構成するマイクロホンの少なくとも1つまたはマイクロホンアレイ110とは別個に設けたマイクロホンnによって集音された音のレベルが所定の閾値Thを上回る音のうち、所定時間(タイムアウト区間T2またはホールドオフ区間T1)以内に、所定の閾値Thを上回る音が先行して集音されていない音を選択して、音到来方向推定処理部140に出力する。このようにすることで、反射音の影響を取り除いて直接音のみで、より精度良く音源位置の推定を行うことが可能となる。
また、音選択部150は、上述の所定の閾値Thを周囲の環境音レベルに応じて適宜変化させることもできる。音監視装置200によって異常音を検出する場合、人の出入りが不定期に変動する場所や、昼夜で周囲の騒音レベルが大きく異なる場所で所定の閾値Thを一定値とすると、環境音を異常音と判定したり、逆に異常音を異常音として判定しなかったりする不都合が生じる。従って、音選択部150は、環境音の変化に適応させて所定の閾値Thの値を変化させる。具体的には、音選択部150は、レベル補正部120によって補正された音のレベルの、時間フレーム毎の最大値(最大音レベル)を求める。時間フレームとしては、例えば、1/30秒とする。そして、音選択部150は、数フレームにわたって最大音レベルの平均値を算出し、算出した値を所定の閾値Thとする。すなわち、1フレーム目の最大音レベルをa、2フレーム目の最大音レベルをa、nフレーム目の最大音レベルをaとすると、nフレームにわたった最大音レベルの平均値aaveは、以下の式(5)で表すことができる。
Figure 2010213091
このように求めたaaveを用いることによって、周囲の環境音に応答して適応的に閾値を変化させて、より精度の良い音源位置の推定を行うことができる。
なお、式(5)において、平均に用いるフレーム数nを変化させることによって、環境音の時間変動に追随させて閾値を変化させることができる。例えば環境音の変動が大きい場合には、平均に求めるフレーム数nを少なくすればよい。逆に、環境音の変動が小さい場合には、平均に求めるフレーム数nを多くすればよい。
本発明の利点を再度述べる。上述のように、本発明によれば、マイクロホンアレイを構成する各マイクロホンに到来する音の到来時間や位相差を用いて音の到来方向を推定する際に、マイクロホンアレイの周囲に障害物が存在したり、反射音が生じたりする場合でも、より精度の良い推定を行う音源位置推定装置を提供することができる。また、音源位置推定装置をドームカメラと一体化する際にも、マイクロホンアレイをカメラドームの外壁にほぼ接するように配置することで、カメラドームによる反射音の影響を受けにくくすることができる。さらに、マイクロホンアレイをカメラドームの外壁にほぼ接するように配置することで、障害物となるカメラドーム自体の影響を補正し、精度良く音の到来方向を推定することができる。また、ドームカメラの美観を損なうことなく、さらに、装置を大型化することがないという利点も有する。
また、本発明によれば、反射音に対して到来方向の推定を行わないため、到来方向の推定精度を向上することができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。例えば、上述の実施例では、カメラドームDOMを半球形状として説明したが、本発明はこれに限らず、箱型であってもよい。また、音源位置推定装置を音監視装置に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限られるものでない。例えば、音源位置推定装置のみを天井に取り付けたり、カメラによる撮影を行わない監視システムに用いたりすることもできる。
100 音源位置推定装置
110 マイクロホンアレイ
120 レベル補正部
130 記憶部
140 音到来方向推定処理部
150 音選択部
200 音監視装置
210 音情報処理部
220 ネットワーク処理部
230 アラーム処理部
240 異常音判定部
DIS モニタ
CA カメラ
NET ネットワーク
MIC1〜MIC3 マイクロホン
P1〜P3 第1〜第3のピーク
T1 取込禁止区間
T2 上限値(タイムアウト区間)

Claims (5)

  1. 複数の無指向性マイクロホンから成るマイクロホンアレイと、
    前記マイクロホンアレイの近傍に位置する障害物に関する情報に基づく補正テーブルを格納する記憶部と、
    前記マイクロホンアレイによって集音された音の到来方向を、前記音の到来時間差又は位相差及び前記記憶部に格納した補正テーブルに基づいて算出する到来方向推定処理部と、
    を備えることを特徴とする音源位置推定装置。
  2. 請求項1に記載の音源位置推定装置において、
    前記障害物のうちの少なくとも1つが前記音源位置推定装置を構成する筐体であり、
    前記複数の無指向性マイクロホンアレイは、前記筐体の外壁にほぼ接するように配置される、
    ことを特徴とする音源位置推定装置。
  3. 請求項1又は2に記載の音源位置推定装置において、
    前記複数のマイクロホンの少なくとも1つ、または前記無指向性マイクロホンアレイとは別個に設けたマイクロホンによって集音した音のレベルに基づき、前記到来方向推定処理部による音の到来方向の算出に用いる音を選択する選択部をさらに備える、
    ことを特徴とする音源位置推定装置。
  4. 請求項3に記載の音源位置推定装置において、
    前記選択部は、
    前記複数のマイクロホンの少なくとも1つ、または前記無指向性マイクロホンアレイとは別個に設けたマイクロホンによって集音した音のレベルが所定の閾値を上回る音のうち、所定時間以内に前記所定の閾値を上回る音が先行して集音されていない音を選択する、
    ことを特徴とする音源位置推定装置。
  5. 請求項3又は4に記載の音源位置推定装置において、
    前記選択部は、
    前記複数のマイクロホンの少なくとも1つ、または前記無指向性マイクロホンアレイとは別個に設けたマイクロホンによって集音した音のレベルの変化に応じて、前記所定の閾値を変化させる、
    ことを特徴とする音源位置推定装置。
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