JP2010200695A - バイオサーファクタントの製造方法 - Google Patents

バイオサーファクタントの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010200695A
JP2010200695A JP2009051058A JP2009051058A JP2010200695A JP 2010200695 A JP2010200695 A JP 2010200695A JP 2009051058 A JP2009051058 A JP 2009051058A JP 2009051058 A JP2009051058 A JP 2009051058A JP 2010200695 A JP2010200695 A JP 2010200695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biosurfactant
sugarcane
component
microorganism
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009051058A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5467297B2 (ja
Inventor
Tomotake Morita
友岳 森田
Tokuma Fukuoka
徳馬 福岡
Tomohiro Imura
知弘 井村
Masaru Kitamoto
大 北本
Koji Wada
浩二 和田
Goro Matsuzaki
吾朗 松▲崎▼
Kensaku Takara
健作 高良
Naoto Hirose
直人 広瀬
Akira Teruya
亮 照屋
Keiichiro Inafuku
桂一郎 稻福
Makoto Takahashi
誠 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KANEHIDE BIO KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
University of the Ryukyus NUC
Okinawa Prefectural Government
Original Assignee
KANEHIDE BIO KK
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
University of the Ryukyus NUC
Okinawa Prefectural Government
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KANEHIDE BIO KK, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, University of the Ryukyus NUC, Okinawa Prefectural Government filed Critical KANEHIDE BIO KK
Priority to JP2009051058A priority Critical patent/JP5467297B2/ja
Publication of JP2010200695A publication Critical patent/JP2010200695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5467297B2 publication Critical patent/JP5467297B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】サトウキビを効率よく活用し、かつ製造コストを削減できる、バイオサーファクタントの製造方法を提供する。
【解決手段】成分A及びBを含む培地を用いて、微生物を培養する。成分A:サトウキビの液状成分、成分B:サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質。微生物が、クロボキン科(Ustilaginaceae)に属する微生物、ならびにキャンディダ(Candida)属及びスターメレラ(Starmerela)属の微生物からなる群より選択されるバイオサーファクタント生産菌。
【選択図】なし

Description

本発明は、サトウキビ由来の成分を有効利用してバイオサーファクタント生産菌を培養する、バイオサーファクタントの製造方法に関する。
サトウキビやトウモロコシは、燃料用エタノール(バイオエタノール)などの工業用アルコールを発酵により製造するための原料として、世界中において用いられている(例えば非特許文献1)。また、サトウキビは、バイオプラスチックの原料としても注目されており、今後もバイオプロセスの出発材料としての需要が増加するものと予想される。例えば、特許文献1には、サトウキビなどのシュクロースを含む原料から糸状菌アミロミセス・ルキシイによってL−乳酸を製造する方法が記載されている。
特開2006−42699号明細書(2006年2月16日公開)
Oscar J. Sanchez and Carlos A. Cardna, Bioresource Technology 99: 5270-5295 (2008)
しかし、サトウキビやトウモロコシなどの農作物は高価であるため、安価なバイオエタノールなどの原料として使用するのは効率的ではない。また、将来、地球規模での食料不足が予測される点からも、食料としても貴重なこれらの農作物をエタノール発酵の原料として用いることは効率的とはいえない。
したがって、微生物による生産プロセスにおいてサトウキビを効率よく活用するためには、より高い付加価値を有するバイオ素材を製造する技術の開発が望まれており、またこのような開発は、サトウキビ産業にとって重要な研究課題である。
ところで、高い付加価値を有するバイオ素材になりうるものとして、バイオサーファクタントが知られている。バイオサーファクタントは、微生物が生産する両親媒性の物質であり、優れた界面活性剤である。さらに、自己組織化可能であり、また特異な生化学的特性を示すことから、単なる界面活性剤としてではなく、高機能なバイオ素材として、幅広い産業での実用化が期待されている。
従来、バイオサーファクタントは油脂系バイオマスを原料として生産されているが、この方法では油脂類が生産物に混在し、生産物の回収が困難であるという問題を有している。したがって、バイオサーファクタントの製造技術においても、生産物の回収コストを低減させて製造コストを削減できる、効率よい技術の開発が望まれる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、サトウキビを効率よく活用し、かつ製造コストを削減できる、バイオサーファクタントの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、サトウキビの液状成分と、サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とを混合することで、バイオサーファクタント生産に適した組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法は、成分A及びBを含む培地を用いて、微生物を培養することを特徴としている。
成分A:サトウキビの液状成分、
成分B:サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記成分Aが、サトウキビ搾汁であることが好ましい。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記培地における上記サトウキビ搾汁が5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記成分Bがサトウキビの液状成分のライミング残渣であることが好ましい。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記培地における上記成分Bが1重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記微生物を、3日間以上14日間以内において培養することが好ましい。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記微生物は、クロボキン科(Ustilaginaceae)に属する微生物、ならびにキャンディダ(Candida)属及びスターメレラ(Starmerela)属の微生物からなる群より選択されるバイオサーファクタント生産菌であることが好ましい。
また、本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法では、上記微生物は、シュードザイマ(Pseudozyma)属又はウスチラゴ(Ustilago)属のバイオサーファクタント生産菌であることが好ましい。
本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法は、上述したように、サトウキビの液状成分と、サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とを含む培地を用いて、微生物を培養するので、サトウキビを効率よく活用することができるとともに、製造コストを削減することができるので、付加価値の高いバイオサーファクタントを製造することができる。
実施例1における、バイオサーファクタント生産に対するサトウキビ搾汁及びライミング残渣の効果を示す図である。 比較例1における、各バイオサーファクタント生産菌により生産されたMELの種類及び量を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るバイオサーファクタントの製造方法は、サトウキビの液状成分と、サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とを含む培地を用いて、微生物を培養すればよい。
〔バイオサーファクタント〕
バイオサーファクタント(以下、「BS」と略記することもある)とは、微生物が生産する両親媒性の物質であればよい。
バイオサーファクタントとしては、例えば、糖脂質系、アシルペプタイド系、リン脂質系、脂肪酸系及び高分子系の界面活性物質等が挙げられる。糖脂質系の界面活性物質としては、マンノシルエリスリトールリピッド(mannosyl erythritol lipid、以下、「MEL」と略記することもある)、ソホロリピッド(以下、「SL」と略記することもある)、セロビオースリピッド(以下、「CL」と略記することもある)等が挙げられる。
なお、MELはマンノースにエリスリトールと0〜2個の脂肪酸と2個のアセチル基が結合した糖脂質であり、アセチル基の結合位置と数によって、4種類のMEL(MEL‐A、MEL‐B、MEL‐C、MEL‐D)が存在することが知られている。また、MELは、界面活性能以外にも抗微生物活性、白血病細胞、神経系細胞などの細胞分化誘導活性、糖タンパク質結合活性、抗炎症・抗アレルギー活性、アポトーシス誘導活性、癌細胞増殖抑制活性など多様な機能が知られている。
〔微生物〕
本発明における微生物としては、バイオサーファクタント生産菌を用いることが好ましい。バイオサーファクタント生産菌とは、バイオサーファクタント生産能を有する菌株であればよく、例えば既にバイオサーファクタント生産菌として知られているものでもよいし、新たに見出されたものであってもよい。
本発明における微生物としては、例えば、クロボキン科に属するバイオサーファクタント生産菌、キャンディダ属、スターメレラ属等に属するバイオサーファクタント生産菌等が挙げられる。クロボキン科に属するバイオサーファクタント生産菌としては、シュードザイマ属、ウスチラゴ属等が挙げられる。
バイオサーファクタント生産菌の例としては、マンノシルエリスリトールリピッド生産菌、ソホロリピッド生産菌、セロビオースリピッド生産菌等が挙げられる。マンノシルエリスリトールリピッド生産菌としては、シュードザイマ アンタークティカ(Pseudozyma antarctica)、シュードザイマ ルグローザ(P. rugurosa)、シュードザイマ アヒディス(P. aphidis)、シュードザイマ ツクバエンシス(P. tsukubaensis)、シュードザイマ クラッサ(P. crassa)、シュードザイマ シアメンシス(P. siamensis)、シュードザイマ ヒュベイエンシス(P. hubeiensis)、シュードザイマ グラミニコーラ(P. graminicola)、シュードザイマ シャンクシエンシス(P. shanxiensis)、シュードザイマ パランタークティカ(P. parantarctica)、ウスチラゴ メイディス(Ustilago maydis)、ウスチラゴ シノドンティス(U. cynodontis)、ウスチラゴ サイタミネア(U. scitaminea)等が挙げられる。ソホロリピッド生産菌としては、スターメレラ ボンビコーラ(Starmerela bombicola)、キャンディダ アピコーラ(Candida apicola)等が挙げられる。セロビオースリピッド生産菌としては、ウスチラゴ メイディス(Ustilago maydis)等が挙げられる。
また、本発明における微生物として用いる菌株は、上述した微生物の菌株であれば、微生物株保存機関のものでもよいし、自然界から分離したものでもよい。
〔培養〕
次に、本発明に係る製造方法における培養について、以下に説明する。
本発明における培養とは、上述したような微生物を、成分A及びBを含む培地を用いて培養すればよい。成分Aとはサトウキビの液状成分を表し、成分Bとはサトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質を表す。
成分A、つまりサトウキビの液状成分とは、サトウキビ由来の液状成分であればよく、例えばサトウキビから圧搾又は抽出した液状成分などを用いることができる。このような液状成分としては、例えば、サトウキビ搾汁、糖蜜等が挙げられる。サトウキビ搾汁とは、サトウキビを搾って得られるサトウキビの搾り汁(サトウキビジュース)、あるいはこれに相当するサトウキビ由来の液状の成分を含むものであればよい。糖蜜とは、サトウキビから糖を製造する過程において、糖液を濃縮結晶させた残りの液などであってもよい。また、これらの液状成分は、サトウキビを加工する際に生じる副産物として得られるものであってもよい。
本発明では、サトウキビの液状成分として、サトウキビ搾汁を用いることが好ましい。また、培地におけるサトウキビ搾汁の含有量は、5重量%以上50重量%以下であることがより好ましい。
また、本発明では、サトウキビの液状成分として、糖蜜を用いてもよい。この場合には、培地における糖蜜の含有量は、1重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
成分B、つまりサトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とは、サトウキビの液状成分に含まれる糖以外のコロイド物質を回収したものであればよい。例えば、サトウキビを圧搾して得られる液状成分、またはサトウキビを用いた抽出工程から得られた液状成分などのpHを中性付近に調整し、その結果析出した糖以外のコロイド物質を、沈殿物として分離したものなどを用いることができる。
本明細書において、糖とは糖類をさすものである。また、コロイド物質とは、コロイド粒子などともよばれる微粒子であればよく、またはこれに類似する物質であってもよい。また、コロイド物質とは、液体中に分散してコロイド状態になっているものだけでなく、互いに凝集して沈殿したものであってもよい。つまり、本発明におけるコロイド物質とは、サトウキビの液状成分中に含まれる微粒子などであり、これらが凝集して沈殿した沈殿物をも含むものである。
成分Bとしては、例えば、ライミング残渣などを用いることが好ましい。ライミング残渣とは、サトウキビの液状成分をライミング処理して得られる残渣であり、例えばサトウキビからの原料糖の製造工程(製糖工程)におけるライミング処理により得られる沈殿物などである。ライミング処理とは、例えば、サトウキビを圧搾又は抽出することなどによって得られる、サトウキビの液状成分に、石灰を添加してpHを中性付近に調整し、糖以外のコロイド物質を析出させ、沈殿物として分離する処理である。なお、ライミング処理には、加温工程及び冷却工程などが含まれることがある。
また、成分Bとしては、上述したライミング残渣のように製糖工程において得られるものに限らず、サトウキビを加工する際に生じる副産物として得られるものを用いてもよい。
本発明における培地には、サトウキビの液状成分と、当該液状成分とは別のサトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とが含まれているので、培地における糖以外のコロイド物質の含有量を高めることができる。なお、本発明において、成分Bは、培地における糖以外のコロイド物質の含有量を高めることを目的とするものであり、糖の含有量が少しでも高くなることを排除することを目的とするものではない。つまり、成分Bを得る際に、成分B中に糖が残存しても本発明の範疇である。
また、培地における成分Bの含有量は、1重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
このように、本発明においては、サトウキビを加工する際に生じる副産物を用いることができるので、バイオマス資源としてのサトウキビを再利用することにより有効活用することができる。また、これらの材料は、比較的安価に入手可能であるため、製造コストを削減することができる。
本発明において用いる培地は、サトウキビの液状成分と、サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とを含んでいればよいが、さらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、当該技術分野で通常用いられる炭素源、窒素源、有機栄養源等が用いられる。
炭素源としては、上述した微生物が資化し得るものであればよく、炭水化物(グルコース、マンノース、グリセロール、マンニトール等の単糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖等のオリゴ糖、デンプン等)、有機酸(酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等)、アルコール類(エタノール、プロパノール等)などが用いられる。
窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩、又はペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の含窒素化合物が用いられる。
以上のような成分を培地に含ませることにより、菌体の生育、及びバイオサーファクタントの生産量をさらに向上させることができる。
なお、本発明では、サトウキビに含まれるスクロース、グルコース等の糖質バイオマスのみを原料とすることができるので、培地に油脂類を添加しなくてもよい。培地に油脂類を添加しない場合には、生産物に油脂類が混在しないため、生産物を回収する際にカラム精製等による精製プロセスを行わなくてもよく、生産物の取り扱いが容易になる。例えば、溶媒抽出のみにより、90%以上の純度を有するバイオサーファクタント抽出液を調製することが可能となる。したがって、本発明では、培地に油脂類を添加しないことが好ましい。これにより、バイオサーファクタントの製造プロセスをさらに改良でき、製造をより容易にすることができるとともに、コスト低減がさらに可能になる。
培地の調製方法は、例えば、まずサトウキビの液状成分に水を加えて希釈した溶液を作成し、次に、該溶液にサトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質を添加して調製することができる。
培養温度は、例えば、室温であることが好ましく、具体的には、好ましくは20〜30℃であり、より好ましくは22〜28℃である。培養日数としては、バイオサーファクタントの生産量に応じて適宜設定すればよいが、3日以上14日以下であれば、生産速度が速く効率がよいため好ましく、5日間以上10日以下であることがより好ましい。これにより、十分な量のバイオサーファクタントを生産することができる。
培養方法としては、好気培養が好ましい。好気培養するためには、培養液に酸素を供給すればよく、例えば培養液に空気を通気しながら撹拌する、振とう培養を行う等の方法が挙げられる。例えば、振盪培養、通気撹拌培養等の公知の一般的な微生物の培養方法を適用することができる。これにより、微生物を良好に生育させ、かつバイオサーファクタントを良好に生産させることができる。
また、微生物の菌体を培養する前に、該菌体の前培養を行うことが好ましい。前培養は、例えば、数mlの培養液を用いて、上述した培養方法等により行うことができる。その後、バイオサーファクタント生産のための培養(以下、「本培養」ともいう)に用いる培養液に、前培養した培養液を混和することが好ましい。例えば、本培養における培養液1Lあたり、前培養液を10〜200mL、好ましくは50〜100mL用いることが好ましい。これにより、該菌体を活性化してその増殖能を高めることができるため、その結果、単位培養液及び単位時間あたりのバイオサーファクタントの生産量をも高めることができる。
また、培養液中の所望のバイオサーファクタント蓄積量が最高に達した時点で、本発明における培養を終了させることができるように、培養液中のバイオサーファクタントをガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の周知の方法により測定しながら行うことが好ましい。
上記培養において、微生物の形態は、特に限定されず、微生物の菌体、菌体処理物(例えば、菌体破砕物)などをいう。
微生物の菌体または菌体処理物は、固定化して用いることもできる。固定化法としては、従来公知の担体結合法、架橋化法、包括法などの方法が挙げられる。担体結合法では、担体に菌体を固定させればよい。固定する方法としては、物理的吸着、イオン結合、共有結合などを用いることができる。また、担体としては、多糖(アセチルセルロース、アガロース)、無機物質(多孔質ガラス、金属酸化物)、合成高分子(ポリアクリルアミド、ポリスチレン)等を用いることができる。架橋化法では、グルタルアルデヒド等の二官能性試薬を用いて菌体同士を架橋、結合させることによって固定化する。また、包括法では、多糖(アルギン酸、カラギーナン等)、ポリアクリルアミド、コラーゲン、ポリウレタン等の高分子ゲルの格子や半透膜カプセル等により菌体を包み込むことによって固定化する。
培養液中に蓄積されたバイオサーファクタントは、培養終了後、培養液を抽出することによって回収できる。
抽出は、酢酸エチル等の有機溶媒を用いて行うことができる。抽出は当該分野において通常行われる方法に従って行えばよく、例えば、培養液1Lあたり0.5〜1.5L程度の有機溶媒を用いて1〜数回抽出操作を行ない、有機溶媒層を合わせて溶媒を留去する。
なお、回収したバイオサーファクタントは、冷暗所で保管することが好ましい。
上述したように、本発明によれば、安価に入手可能なサトウキビの液状成分と、サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質とから、付加価値の高い高機能なバイオサーファクタントを生産できるので、利潤を高くすることができる。また、サトウキビの加工の際に生じる材料を原料として用いることができるので、サトウキビを無駄なく活用することができる。したがって、本発明によれば、バイオマス資源としてのサトウキビを有効活用することが可能となり、サトウキビ産業の活性化への貢献が期待できる。また、本発明によれば、バイオサーファクタントを効率よく生産・回収することができ、製造コストを削減することが可能となるので、付加価値の高いバイオサーファクタントを製造することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1〕
実施例1では、培地における成分Aとしてサトウキビ搾汁、及び成分Bとしてライミング残渣を用い、バイオサーファクタント(BS)生産菌のバイオサーファクタント生産量に対する、サトウキビ搾汁及びライミング残渣の培養液における含有量の効果について調べた。その結果を図1に示す。図1は、実施例1における、バイオサーファクタント生産に対するサトウキビ搾汁及びライミング残渣の効果を示す図である。
MEL及びCL生産菌であり、MEL−A、MEL−C及びCLを主生産物とするU. maydis、MEL生産菌であり、MEL−A、MEL−C及びmono−MELを主生産物とするP. antarctica JCM 10317株、ならびにMEL生産菌であり、MEL−A及びMEL−Cを主生産物とするP. antarctica T−34株を、それぞれ図1に示す組成にてサトウキビ搾汁(搾汁)及びライミング残渣を含む培養液中において、25℃で7日間振とう培養した。
各菌株における培養液中に蓄積した脂質成分を、等量の酢酸エチルで回収し、薄層クロマトグラフィー(TLC)により展開した後、アンスロン発色試薬を用いて糖脂質の検出を行った。
その結果、上述した3株とも、サトウキビ搾汁を含む培養液中でバイオサーファクタントを生産可能であり、さらに図1に矢印で示すように、ライミング残渣を添加することで生産量が大幅に増加した。これらの結果から、サトウキビ搾汁とライミング残渣とを含む培養液が、バイオサーファクタント生産に適していることが示された。さらに、本実施例の結果から、培地におけるサトウキビ搾汁の含有量は5%以上であることが好ましく、ライミング残渣の含有量は1%以上であることが好ましいことが示された。
〔比較例1〕
比較例1では、サトウキビ搾汁を含む培養液を用いて数種のバイオサーファクタント生産菌を培養し、培養液に蓄積するバイオサーファクタントの種類及び量について調べた。
MEL及びCL生産菌として知られるUstilago maydis、MEL生産菌として知られるPseudozyma hubeiensis、P. tsukubaensis、P. graminicola、P. shanxiensis、P. crassa、P. antarctica、P. rugulosa、P. aphidis、P. parantarcticaを、それぞれ、蒸留水で2倍希釈したサトウキビ搾汁(オートクレイブ滅菌済み)中において、25℃で7日間振とう培養した。
各菌株における培養液中に蓄積した脂質成分を、等量の酢酸エチルで回収し、薄層クロマトグラフィー(TLC)により展開した後、アンスロン発色試薬を用いて糖脂質の検出を行った。その結果を図2に示す。図2は、比較例1における、各バイオサーファクタント生産菌により生産されたMELの種類及び量を示す図である。
図2に示すように、TLCの結果から、各バイオサーファクタント生産菌は、MELのうちMEL−A、MEL−B及びMEL−Cに相当する糖脂質成分を培地中に蓄積していた。また、図には示していないが、TLCの結果から、CL生産菌及びSL生産菌は、CL及びSLに相当する糖脂質成分を培地中に蓄積していた。なお、CL及びSLについては、本比較例に記載の条件において得られるCL及びSLのTLCにおける移動度が分かっていること、ならびに既知のCL生産菌及びSL生産菌を用いていることから、TLC中におけるスポットを、それぞれCL及びSLに相当するものと判定した。
また、このとき、溶媒抽出液中には油脂成分がほとんど含まれておらず、上記TLC及びさらなるHPLCの結果から、それぞれのバイオサーファクタントの純度が少なくとも90%以上であることが明らかになった。
上述した結果により、試験した全てのバイオサーファクタント生産菌が、サトウキビ搾汁を含む培養液中においてバイオサーファクタントを生産できることが示された。したがって、サトウキビ搾汁が、バイオサーファクタント生産に必要な成分を十分に含んでいることが明らかになった。
本発明は、サトウキビを効率よく活用し、かつ製造コストを削減できる、バイオサーファクタントの製造方法を提供することができるので、サトウキビ産業の活性化に貢献するだけでなく、化粧品・食品からライフサイエンス領域までの幅広い産業分野において機能性バイオ素材として実用化が期待されている、各種のバイオサーファクタント製造に、好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. 成分A及びBを含む培地を用いて、微生物を培養することを特徴とするバイオサーファクタントの製造方法、
    成分A:サトウキビの液状成分、
    成分B:サトウキビの液状成分から回収した糖以外のコロイド物質。
  2. 上記成分Aが、サトウキビ搾汁であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記培地における上記サトウキビ搾汁が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 上記成分Bがサトウキビの液状成分のライミング残渣であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 上記培地における上記成分Bが1重量%以上5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 上記微生物を、3日間以上14日間以内において培養することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 上記微生物は、クロボキン科(Ustilaginaceae)に属する微生物、ならびにキャンディダ(Candida)属及びスターメレラ(Starmerela)属の微生物からなる群より選択されるバイオサーファクタント生産菌であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 上記微生物は、シュードザイマ(Pseudozyma)属又はウスチラゴ(Ustilago)属のバイオサーファクタント生産菌であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2009051058A 2009-03-04 2009-03-04 バイオサーファクタントの製造方法 Active JP5467297B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009051058A JP5467297B2 (ja) 2009-03-04 2009-03-04 バイオサーファクタントの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009051058A JP5467297B2 (ja) 2009-03-04 2009-03-04 バイオサーファクタントの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010200695A true JP2010200695A (ja) 2010-09-16
JP5467297B2 JP5467297B2 (ja) 2014-04-09

Family

ID=42962853

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009051058A Active JP5467297B2 (ja) 2009-03-04 2009-03-04 バイオサーファクタントの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5467297B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190073577A (ko) * 2016-11-16 2019-06-26 로커스 애그리컬쳐 아이피 컴퍼니 엘엘씨 선충을 구제하기 위한 물질 및 방법
EP3580309A4 (en) * 2017-02-07 2020-11-18 Locus Oil IP Company, LLC MATERIALS AND METHODS FOR REDUCING OIL VISCOSITY
JP2021046388A (ja) * 2019-09-12 2021-03-25 ピアス株式会社 選択的抗菌用組成物、及び、皮膚外用組成物
US11434415B2 (en) 2018-04-30 2022-09-06 Locus Oil Ip Company, Llc Compositions and methods for paraffin liquefaction and enhanced oil recovery in oil wells and associated equipment
US11447684B2 (en) 2018-08-20 2022-09-20 Locus Oil Ip Company, Llc Methods for paraffin removal and extended post-primary oil recovery
US11549053B2 (en) 2018-07-30 2023-01-10 Locus Solutions Ipco, Llc Compositions and methods for enhanced oil recovery from low permeability formations
US11549052B2 (en) 2017-11-08 2023-01-10 Locus Solutions Ipco, Llc Multifunctional composition for enhanced oil recovery, improved oil quality and prevention of corrosion

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013046948; Appl Microbiol Biotechnol., 1999年, 第51巻, 33-39ページ *

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102451636B1 (ko) * 2016-11-16 2022-10-07 로커스 애그리컬쳐 아이피 컴퍼니 엘엘씨 선충을 구제하기 위한 물질 및 방법
US11825827B2 (en) 2016-11-16 2023-11-28 Locus Solutions Ipco, Llc Materials and methods for the control of nematodes
US11172669B2 (en) 2016-11-16 2021-11-16 Locus Agriculture Ip Company, Llc Materials and methods for the control of nematodes
JP2020512305A (ja) * 2016-11-16 2020-04-23 ローカス アグリカルチャー アイピー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー 線虫防除のための材料および方法
JP7071386B2 (ja) 2016-11-16 2022-05-18 ローカス アグリカルチャー アイピー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー 線虫防除のための材料および方法
KR20190073577A (ko) * 2016-11-16 2019-06-26 로커스 애그리컬쳐 아이피 컴퍼니 엘엘씨 선충을 구제하기 위한 물질 및 방법
EP3580309A4 (en) * 2017-02-07 2020-11-18 Locus Oil IP Company, LLC MATERIALS AND METHODS FOR REDUCING OIL VISCOSITY
US10947444B2 (en) 2017-02-07 2021-03-16 Locus Oil Ip Company, Llc Materials and methods for reducing viscosity of oil
US11479711B2 (en) 2017-02-07 2022-10-25 Locus Oil Ip Company, Llc Materials and methods for reducing viscosity of oil
US11549052B2 (en) 2017-11-08 2023-01-10 Locus Solutions Ipco, Llc Multifunctional composition for enhanced oil recovery, improved oil quality and prevention of corrosion
US11891567B2 (en) 2018-04-30 2024-02-06 Locus Solutions Ipco, Llc Compositions and methods for paraffin liquefaction and enhanced oil recovery in oil wells and associated equipment
US11434415B2 (en) 2018-04-30 2022-09-06 Locus Oil Ip Company, Llc Compositions and methods for paraffin liquefaction and enhanced oil recovery in oil wells and associated equipment
US11549053B2 (en) 2018-07-30 2023-01-10 Locus Solutions Ipco, Llc Compositions and methods for enhanced oil recovery from low permeability formations
US11447684B2 (en) 2018-08-20 2022-09-20 Locus Oil Ip Company, Llc Methods for paraffin removal and extended post-primary oil recovery
JP2021046388A (ja) * 2019-09-12 2021-03-25 ピアス株式会社 選択的抗菌用組成物、及び、皮膚外用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP5467297B2 (ja) 2014-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Öner Microbial production of extracellular polysaccharides from biomass
Niknezhad et al. Production of xanthan gum by free and immobilized cells of Xanthomonas campestris and Xanthomonas pelargonii
JP5467297B2 (ja) バイオサーファクタントの製造方法
Chi et al. Lipid production by culturing oleaginous yeast and algae with food waste and municipal wastewater in an integrated process
Çakar et al. Improvement production of bacterial cellulose by semi-continuous process in molasses medium
Hezarjaribi et al. Single cell protein production by Saccharomyces cerevisiae using an optimized culture medium composition in a batch submerged bioprocess
Zeng et al. Non-sterilized fermentative co-production of poly (γ-glutamic acid) and fibrinolytic enzyme by a thermophilic Bacillus subtilis GXA-28
Colak et al. The use of raw cheese whey and olive oil mill wastewater for rhamnolipid production by recombinant Pseudomonas aeruginosa
Ma et al. Overproduction of poly (β-malic acid)(PMA) from glucose by a novel Aureobasidium sp. P6 strain isolated from mangrove system
JP2010158192A (ja) 糖型バイオサーファクタント生産能を有する微生物及びそれを用いる糖型バイオサーファクタントの製造方法
JP2009142256A (ja) D−乳酸の製造方法
Kebbouche-Gana et al. Production of biosurfactant on crude date syrup under saline conditions by entrapped cells of Natrialba sp. strain E21, an extremely halophilic bacterium isolated from a solar saltern (Ain Salah, Algeria)
Mudoi et al. Study on the effect of pH, temperature and aeration on the cellular growth and xanthan production by Xanthomonas campestris using waste residual molasses
Xavier et al. Sugar-cane pressmud as a novel and inexpensive substrate for production of lactic acid in a solid-state fermentation system
Mishra et al. Biosynthesis and hyper production of pullulan by a newly isolated strain of Aspergillus japonicus-VIT-SB1
Coelho et al. High-titer and productivity of l-(+)-lactic acid using exponential fed-batch fermentation with Bacillus coagulans arr4, a new thermotolerant bacterial strain
Gomes et al. Komagataeibacter intermedius V-05: An acetic acid bacterium isolated from vinegar industry, with high capacity for bacterial cellulose production in soybean molasses medium
Purane et al. Gluconic acid production from golden syrup by Aspergillus niger strain using semiautomatic stirred-tank fermenter
JP2013048563A6 (ja) 生分解性プラスチック分解酵素の製造方法及びこれに使用されるPseudozyma antarctica
JP2013048563A (ja) 生分解性プラスチック分解酵素の製造方法及びこれに使用されるPseudozymaantarctica
Mohamad et al. Evaluation of fermentation conditions by Candida tropicalis for xylitol production from sago trunk cortex
JPH0449396B2 (ja)
Agarwal et al. Downstream processing; applications and recent updates
JP2009050250A (ja) グリセリン酸の製造方法
JP5137204B2 (ja) マンノシルエリスリトールリピッドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5467297

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250