JP2010194622A - Memsの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小型化可能で、特性のばらつきが少なく高精度なMEMSを製造する。
【解決手段】 単結晶シリコンからなる基板の第一の主面から第一の不純物イオンを導入することによって環状の第一不純物拡散部を前記基板に形成し、前記第一の主面に第一の層を形成し、前記第一の主面の裏面に相当する前記基板の第二の主面から前記第一不純物拡散部に到達する環状溝を形成し、前記第一不純物拡散部を選択的に除去することによって環状の空洞を前記基板に形成する、ことを含み、前記環状の空洞と前記環状溝の形成に伴って、前記環状の空洞に囲まれた支柱部と、前記支柱部の一端に結合し前記第一の層によって少なくとも一部が構成される薄肉部と、前記環状溝の内側に位置し前記支柱部を介して前記薄肉部と連結され前記空洞を間に挟んで前記薄肉部と対向する錘部と、前記環状溝および前記薄肉部の外側に位置し前記薄肉部を支持する枠部と、が形成される。
【選択図】図1
【解決手段】 単結晶シリコンからなる基板の第一の主面から第一の不純物イオンを導入することによって環状の第一不純物拡散部を前記基板に形成し、前記第一の主面に第一の層を形成し、前記第一の主面の裏面に相当する前記基板の第二の主面から前記第一不純物拡散部に到達する環状溝を形成し、前記第一不純物拡散部を選択的に除去することによって環状の空洞を前記基板に形成する、ことを含み、前記環状の空洞と前記環状溝の形成に伴って、前記環状の空洞に囲まれた支柱部と、前記支柱部の一端に結合し前記第一の層によって少なくとも一部が構成される薄肉部と、前記環状溝の内側に位置し前記支柱部を介して前記薄肉部と連結され前記空洞を間に挟んで前記薄肉部と対向する錘部と、前記環状溝および前記薄肉部の外側に位置し前記薄肉部を支持する枠部と、が形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、MEMSおよびその製造方法に関する。
従来、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術によって加速度センサやジャイロセンサなどのモーションセンサやアクチュエータを製造する方法が知られている(例えば特許文献1〜11)。特許文献5にはシリコン基板を非酸化性雰囲気中で熱処理し基板内に空洞を形成して、圧力センサを製造する技術が記載されている。特許文献6には、特許文献5と同様にシリコン基板内に空洞を形成し、静電容量型の加速度センサを製造する技術が記載されている。特許文献10および特許文献11には、単結晶シリコン基板からエピタキシャル結晶成長させた膜を梁とすることが記載されている。
特許文献1には、枠部と錘部と梁部はシリコンで一体に形成してもよいと記載されているがその具体的方法について記載がない。また、梁部と錘部を別々に形成し接着する方法では、貼り合わせの位置精度が低いという問題がある。特許文献2には、メッキで錘部を形成する方法が記載されているが、メッキ成膜には時間がかかるし、成膜精度によりMEMSの特性がばらつくという問題がある。また、メッキ成膜時の応力が梁部に残留しオフセットが発生するがそのオフセットはMEMSごとにばらつく。また、熱膨張係数が梁部のSiと錘部の金属とで異なるため温度変化により薄肉部での応力が変化し特性が安定しない。特許文献3,4は梁部と錘部とを貼り合わせることが記載されているが、貼り合わせの位置精度と、貼り合わせ時の応力を緩和させるための対応が必要である点に課題が残る。特許文献5,6にはダイアフラム型以外の加速度センサや角速度センサの製造方法は記載されていない。特許文献7〜9には、錘部が二層構造のMEMSの製造方法が記載されているが、接合の位置精度が課題として残る。特許文献10,11には、エピタキシャル結晶成長させた層を梁とすることが記載されているが、梁に連結する錘を有する構造を持つMEMSの製造方法は記載されていない。
本発明は、小型化可能で、特性のばらつきが少なく高精度なMEMSを製造することを目的の1つとする。
(1)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法は、単結晶シリコンからなる基板の第一の主面から第一の不純物イオンを導入することによって環状の第一不純物拡散部を前記基板に形成し、前記第一の主面に第一の層を形成し、前記第一の主面の裏面に相当する前記基板の第二の主面から前記第一不純物拡散部に到達する環状溝を形成し、前記第一不純物拡散部を選択的に除去することによって環状の空洞を前記基板に形成する、ことを含み、前記環状の空洞と前記環状溝の形成に伴って、前記環状の空洞に囲まれた支柱部と、前記支柱部の一端に結合し前記第一の層によって少なくとも一部が構成される薄肉部と、前記環状溝の内側に位置し前記支柱部を介して前記薄肉部と連結され前記空洞を間に挟んで前記薄肉部と対向する錘部と、前記環状溝および前記薄肉部の外側に位置し前記薄肉部を支持する枠部と、が形成される。
本発明の方法で製造されたMEMSは、環状の空洞を間に挟んで錘部と薄肉部が対向する構造を形成できるため、MEMSの小型化が容易である。また、薄肉部と錘部と支柱部と枠部の大部分が単結晶シリコンで構成されるため熱膨張係数のばらつきがなく温度特性が安定する。また、第一の層の成膜厚さにより、薄肉部の厚さを制御することができる。また、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いてMEMSを製造する従来の構成と比較して本発明の製造方法ではSOI基板が不要であるためコストを削減することができる。
(2)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法においては、エピタキシャル結晶成長によって前記第一の層を形成してもよい。
すなわち、第一の層として単結晶シリコン層を形成することができるため、機械特性の良好な薄肉部を形成することができる。また、単結晶シリコンからなる第一の層に不純物イオンを導入してピエゾ抵抗素子を形成することも可能であり、枠部に対する錘部の運動を検出するためのMEMSを製造することができる。
すなわち、第一の層として単結晶シリコン層を形成することができるため、機械特性の良好な薄肉部を形成することができる。また、単結晶シリコンからなる第一の層に不純物イオンを導入してピエゾ抵抗素子を形成することも可能であり、枠部に対する錘部の運動を検出するためのMEMSを製造することができる。
(3)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記環状溝を形成した後に、前記環状溝を通じて前記第一不純物拡散部を除去してもよい。
本発明によると、環状溝を形成する際に、まだ除去されていない第一不純物拡散部が[0]エッチングストッパとなるため、第一の層までオーバーエッチングすることを防止することができる。
本発明によると、環状溝を形成する際に、まだ除去されていない第一不純物拡散部が[0]エッチングストッパとなるため、第一の層までオーバーエッチングすることを防止することができる。
(4)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記第一の層において除去しようとする領域に第二の不純物イオンを導入することによって、前記第一の層と同じ膜厚の第二不純物拡散部を形成し、前記第一不純物拡散部と同時に前記第二不純物拡散部を選択的に除去することによって、前記薄肉部からなり前記枠部と前記支柱部とを連結する梁部を形成してもよい。
本発明によると、第一不純物拡散部および第二不純物拡散部の除去と、梁部の形成のための薄肉部のパターニングとを共通の工程で実施することができるため、工程が簡略化できコスト削減につなげることができる。
本発明によると、第一不純物拡散部および第二不純物拡散部の除去と、梁部の形成のための薄肉部のパターニングとを共通の工程で実施することができるため、工程が簡略化できコスト削減につなげることができる。
(5)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記第一の層を形成した後、前記環状溝を形成する前に、前記第一の層の表面に、エピタキシャル結晶成長により、前記第一の層と導電型が異なる第二の層を形成し、前記第二の層に、前記枠部に対する前記錘部の運動を検出するためのピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
本発明によると、第一の層は、第一不純物拡散部を除去する際のエッチングストッパとして機能させるのに適した導電型および不純物濃度の層とすることができ、第二の層は、当該層内にピエゾ抵抗素子を形成するのに適した導電型および不純物濃度を有する層とすることができる。
本発明によると、第一の層は、第一不純物拡散部を除去する際のエッチングストッパとして機能させるのに適した導電型および不純物濃度の層とすることができ、第二の層は、当該層内にピエゾ抵抗素子を形成するのに適した導電型および不純物濃度を有する層とすることができる。
(6)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記第一の層を形成した後、前記環状溝を形成する前に、前記第一の層のうち除去しようとする領域であって前記錘部形成領域の外側に、前記第一の層の表面から前記第一不純物拡散部に到達する複数の孔を形成し、前記複数の孔を通じて前記第一不純物拡散部を除去して前記環状の空洞を形成した後、前記空洞に面する領域に酸化膜を形成し、前記環状溝を形成した後、前記酸化膜を除去してもよい。
本発明によると、空洞に面する領域に形成された酸化膜が、環状溝を形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝を形成する工程で薄肉部までオーバーエッチングされることを防ぐことができる。
本発明によると、空洞に面する領域に形成された酸化膜が、環状溝を形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝を形成する工程で薄肉部までオーバーエッチングされることを防ぐことができる。
(7)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記第一の主面と前記第二の主面と前記空洞に面する領域とに前記酸化膜を形成した後、前記環状溝を形成する前に、前記空洞を犠牲層で埋め、前記環状溝を形成した後、前記犠牲層を除去し前記第一の層の表裏両面の前記酸化膜を残存させてもよい。
本発明によると、空洞を埋めている犠牲層が、環状溝を形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝を形成する工程で第一の層までオーバーエッチングされることを防ぐことができる。さらに、本発明の製造方法で製造したMEMSには、第一の層の表裏両面に同じ材質で同じ膜厚の酸化膜が形成されているため、温度変化が発生しても表裏両面の酸化膜によって薄肉部の応力がバランスし、温度特性が安定する。
本発明によると、空洞を埋めている犠牲層が、環状溝を形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝を形成する工程で第一の層までオーバーエッチングされることを防ぐことができる。さらに、本発明の製造方法で製造したMEMSには、第一の層の表裏両面に同じ材質で同じ膜厚の酸化膜が形成されているため、温度変化が発生しても表裏両面の酸化膜によって薄肉部の応力がバランスし、温度特性が安定する。
(8)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記第一不純物拡散部を形成する際、異なる加速電圧下で、複数回にわたり第一の不純物イオンを注入することにより、前記第一不純物拡散部の底面を非面一にしてもよい。
本発明によると、錘部の、空洞に面する面の形状を、種々に応用できる。例えば、梁部に対して錘部が付着するのを防止するためのディンプルを錘部に形成することができる。
本発明によると、錘部の、空洞に面する面の形状を、種々に応用できる。例えば、梁部に対して錘部が付着するのを防止するためのディンプルを錘部に形成することができる。
(9)上記目的を達成するためのMEMSの製造方法において、前記第一の層の表面に絶縁層を形成し、前記絶縁層の表面に、前記枠部に対する前記錘部の運動を検出するための圧電素子を形成してもよい。
本発明によると、特性が安定し歩留まりの高いジャイロセンサを製造することができる。単結晶シリコン基板にエピタキシャル結晶層が形成された状態では、SOI基板と比べて基板の反りが少ないため、本発明のように空洞を形成した単結晶シリコン基板上に電極や圧電膜を成膜する際、ウエハの表面において温度が均一となり、ウエハ表面で圧電材料の結晶性や圧電特性の均一性が高くなるためである。
本発明によると、特性が安定し歩留まりの高いジャイロセンサを製造することができる。単結晶シリコン基板にエピタキシャル結晶層が形成された状態では、SOI基板と比べて基板の反りが少ないため、本発明のように空洞を形成した単結晶シリコン基板上に電極や圧電膜を成膜する際、ウエハの表面において温度が均一となり、ウエハ表面で圧電材料の結晶性や圧電特性の均一性が高くなるためである。
尚、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.実施形態群A
1−1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSの第一実施形態である加速度センサ1のセンサダイを図1に示す。図1Aは、図1Bに示す1A線の断面図である。図1Aにおいて、加速度センサ1を構成する層の界面は実線で示し、加速度センサ1を構成する機能要素の境界は破線で示している。
1−1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSの第一実施形態である加速度センサ1のセンサダイを図1に示す。図1Aは、図1Bに示す1A線の断面図である。図1Aにおいて、加速度センサ1を構成する層の界面は実線で示し、加速度センサ1を構成する機能要素の境界は破線で示している。
加速度センサ1は、ベース層11と、絶縁層12と、表面導線層13とからなる積層構造体である。ベース層11は単結晶シリコンからなる。ベース層11の厚さは625μmである。ベース層11の表層には、ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132からなるピエゾ抵抗素子Rが形成されている。ピエゾ抵抗素子Rの厚さは0.35μmである。絶縁層12は二酸化シリコン(SiO2)からなる。絶縁層12の厚さは0.5μmである。絶縁層12にはコンタクトホールH1が形成されており、表面導線層13はコンタクト抵抗低減部132とコンタクトホールH1にて接続している。表面導線層13はアルミニウム(Al)からなる。表面導線層13の厚さは0.3μmである。
加速度センサ1のセンサダイは、枠形の枠部Sと、枠部Sの内側に外周が結合し十字形態の梁を有する梁部Fと、錘部Mと、梁部Fと錘部Mとを連結している支柱部Pと、梁部Fに設けられたピエゾ抵抗素子Rと、を備える。
枠部Sは図1Bに示すように矩形枠の形態を有する。枠部Sは図示しないパッケージに固定されるため、実質的に剛体として振る舞う。枠部Sはベース層11、絶縁層12を含んでいる。枠部Sの表面に表面導線層13が形成されている。
枠部Sは図1Bに示すように矩形枠の形態を有する。枠部Sは図示しないパッケージに固定されるため、実質的に剛体として振る舞う。枠部Sはベース層11、絶縁層12を含んでいる。枠部Sの表面に表面導線層13が形成されている。
十字形態の梁を含む梁部Fは両端固定の2つの梁がそれぞれの中央部において互いに結合された形態(枠部Sの内側に掛け渡された梁の形態)を有する。梁部Fは、可撓性を有する厚さ一定の複層膜からなる。梁部Fの厚さは3μmである。梁部Fの外周は枠部Sの内側の4辺に結合している。枠部Sは剛体として振る舞うため、加速度センサ1に固定された座標系において梁部Fの外周端は固定端となる。梁部Fはベース層11と絶縁層12とを含む。梁部Fの表面に表面導線層13が形成されている。
錘部Mは、ベース層11からなり、外周が矩形である板の形態を有する。錘部Mの厚さは613μmである。錘部Mは、枠部Sの内側に配置され、梁部Fに重なっている。錘部Mと枠部Sとの間には環状溝Tが形成されている。すなわちベース層11は環状溝Tによって錘部Mを構成する部分と枠部Sを構成する部分とに分断されている。錘部Mは梁部Fに比べて十分厚く形成されているため実質的に剛体として振る舞う。錘部Mと梁部Fとの間には空洞Vが形成されている。空洞Vの高さ(錘部Mと梁部Fとの距離)は支柱部Pの高さに等しく9μmである。錘部Mは、支柱部Pよりも枠部に向かって突出している。
支柱部Pはベース層11からなる。支柱部Pは、梁部Fの中央部裏面から錘部Mの方向に突出し錘部Mの中央部と結合している。すなわち支柱部Pは、空洞Vを間に挟んで対向するように錘部Mと梁部Fとを連結している。空洞Vを囲む壁面がなす内側の角部(内角部)Cはなだらかな凹曲面を有している。そのため、内角部Cの応力集中が低減され梁部Fと枠部Sとの連結部分と梁部Fと支柱部Pとの連結部分と支柱部Pと錘部Mとの連結部分とを破損しにくくすることができ、耐衝撃性が向上する。また、枠部Sと梁部Fと支柱部Pと錘部Mの大部分が単結晶シリコンバルクで構成されているため、各部の熱膨張係数が等しく加速度センサ1の温度特性が安定する。
(製造方法)
図1に示した加速度センサ1は次のようにして製造することができる。図2〜図10を用いて加速度センサ1の製造方法を説明する。まず、図2に示すように、フォトレジストからなる保護層R1をマスクパターンに用いて、ベース層11の第一の主面に複数の孔52を形成する。孔52は、枠部Sを形成する領域51と支柱部Pを形成する領域50を除く領域に格子状に等間隔に同じ径および同じ深さで複数個形成される。例えば、第一の主面から深さ12μmの位置に高さ9μmの空洞を形成するためには、孔52の直径は2μm、孔52の深さは13μm、孔52間の距離は4μmである。孔52の形成は例えば、SF6プラズマガスを用いたパッシベーションとC4F8プラズマガスを用いたエッチングのステップを短い時間間隔で交互に繰り返すDeep−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってベース層11を異方的にエッチングすることにより実現できる。なお、孔52は必ずしも等間隔に同じ径および同じ深さで形成されなくてもよい。
図1に示した加速度センサ1は次のようにして製造することができる。図2〜図10を用いて加速度センサ1の製造方法を説明する。まず、図2に示すように、フォトレジストからなる保護層R1をマスクパターンに用いて、ベース層11の第一の主面に複数の孔52を形成する。孔52は、枠部Sを形成する領域51と支柱部Pを形成する領域50を除く領域に格子状に等間隔に同じ径および同じ深さで複数個形成される。例えば、第一の主面から深さ12μmの位置に高さ9μmの空洞を形成するためには、孔52の直径は2μm、孔52の深さは13μm、孔52間の距離は4μmである。孔52の形成は例えば、SF6プラズマガスを用いたパッシベーションとC4F8プラズマガスを用いたエッチングのステップを短い時間間隔で交互に繰り返すDeep−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってベース層11を異方的にエッチングすることにより実現できる。なお、孔52は必ずしも等間隔に同じ径および同じ深さで形成されなくてもよい。
続いて、非酸化性雰囲気中で加熱することにより、図3に示すように、ベース層11中に空洞Vを形成する。例えば、大気圧よりも低い気圧の水素雰囲気あるいは真空中で加熱する。より具体的には例えば、1100℃で10Torrの100%水素雰囲気中にてアニール処理を行うことにより、シリコンが流動化し各孔52の開口が閉ざされ空洞が形成され、さらに各孔52に対応する空洞同士が一体化することによって空洞Vが形成される。孔52の径、孔52同士の間隔、孔52の深さを調整することにより、空洞Vの第一の主面からの距離、すなわち薄肉部54の厚さを制御することができる(特開2007−266613号公報参照)。
空洞Vがベース層11中に形成されることにより、空洞Vを挟んで薄肉部54、厚肉部55および支柱部Pが顕在化する。空洞Vは丸みを帯びて形成される。すなわち、内角部Cはなだらかな凹曲面をなしている。次に、図4に示すように、薄肉部54の表面にフォトレジストからなる保護層R2形成し、保護層R2をマスクパターンとして、薄肉部54の表層に不純物イオンを導入(例えばホウ素(B)イオンを2×1018/cm3注入)しピエゾ抵抗部131を形成する。ブリッジ回路を構成するためのX,Y,Z各軸4個のピエゾ抵抗部を形成することにより、XYZ3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサを製造することができる。
続いて、保護層R2を除去し、ベース層11の第一の主面に絶縁層12を形成する。例えば、熱酸化することによって0.5μmの二酸化シリコン(SiO2)の層を形成する。熱酸化法の代わりにCVD法によりSiO2を成膜してもよい。続いて、図5に示すように、フォトレジストからなる保護層R3をマスクパターンに用いて、絶縁層12にコンタクトホールH1を形成する。その後保護層R3を除去する。
続いて、図6に示すように、絶縁層12をマスクパターンに用いて、ピエゾ抵抗部131形成時よりも高濃度の不純物イオンを導入(例えばBイオンを2×1020/cm3注入し活性化させる)し、コンタクト抵抗低減部132を形成する。続いて図7に示すように、絶縁層12およびコンタクト抵抗低減部132の表面に表面導線層13を形成する。続いて図8に示すように、フォトレジストからなる保護層R4をマスクパターンに用いて、表面導線層13をパターニングし、配線や電極パッドを形成する。
続いて、図9に示すように、フォトレジストからなる保護層R5をマスクパターンに用いて、薄肉部54に空洞Vに到達する4つの開口56を形成することにより十字形態の梁を顕在化させ梁部Fを形成する(薄肉部54から開口56を除いた残部が梁部F)。絶縁層12のエッチングには例えば、CHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。ベース層11からなる薄肉部54のエッチングには例えば、CF4ガスおよびO2ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。なお、反応性イオンエッチングの他に、フッ酸や緩衝フッ酸によるウェットエッチング法を用いることができる。エッチング後、保護層R5を除去する。
続いて、図10に示すように、表面導線層13が形成されている面を、仮接着層57を介して犠牲基板58に接着する。仮接着層57としては例えば、ワックス、フォトレジスト、両面粘着シート等を用いることができる。続いて、フォトレジストからなる保護層R6をマスクパターンに用いて、ベース層11の第一の主面の裏面に相当する第二の主面から空洞Vに通じ支柱部Pを囲む環状溝Tを形成するとともに、厚肉部55を分割し枠部Sと錘部Mを形成する。ベース層11のエッチングには例えば、ボッシュプロセスを用いることができる。その後、保護層R6を除去し、仮接着層57を除去して犠牲基板58から剥離する。例えば、仮接着層57がワックスの場合には、ホットプレートでワックスを加熱した後、洗浄液にてワックスを溶解する。仮接着層57がUV両面テープの場合には、UV光を照射して粘着力を低下させた後、剥離する。以上の工程を経て、図1に示す加速度センサを製造することができる。
以上の製造方法によると、環状の空洞Vを間に挟んで錘部Mと薄肉部54とが対向する構造を形成できるため、MEMSの小型化が容易である。また、空洞を形成するための複数の孔の第一の主面からの深さや径、孔のレイアウト等を調整することにより、空洞の位置や薄肉部の厚さを制御することができる。すなわち、薄肉部54が薄くなるように調整することで加速度センサ1の高感度化が可能である。また、SOI基板を用いてMEMSを製造する従来の構成と比較して本発明の製造方法ではSOI基板が不要であるためコストを削減することができる。
2−2.第二実施形態:
(製造方法)
図11は、第二実施形態にかかるMEMSとしての加速度センサ2を示している。各構成要素や積層構造は第一実施形態と共通するため説明を省略する。加速度センサ2は以下のようにして製造することができる。まず図3に示すようにベース層11内に空洞Vを形成した状態から、図12に示すようにベース層11の第一の主面にフォトレジストからなる保護層R7を形成し、薄肉部54に複数の孔60を形成する。孔60は、後に薄肉部54をパターニングし残部を梁部Fとして顕在化させる際に、取り除かれる領域61に複数形成される。その後、保護層R7を除去する。
(製造方法)
図11は、第二実施形態にかかるMEMSとしての加速度センサ2を示している。各構成要素や積層構造は第一実施形態と共通するため説明を省略する。加速度センサ2は以下のようにして製造することができる。まず図3に示すようにベース層11内に空洞Vを形成した状態から、図12に示すようにベース層11の第一の主面にフォトレジストからなる保護層R7を形成し、薄肉部54に複数の孔60を形成する。孔60は、後に薄肉部54をパターニングし残部を梁部Fとして顕在化させる際に、取り除かれる領域61に複数形成される。その後、保護層R7を除去する。
続いて、図13に示すように、基板を酸化させ、空洞Vに面する基板の内壁や、ベース層11の第一の主面および第二の主面の表層に酸化膜(絶縁層)12を形成する。例えば、酸素雰囲気中で1050℃に加熱し、二酸化シリコン(SiO2)を成長させる。このとき、孔60が二酸化シリコンにて閉孔し、領域61全体が酸化され、二酸化シリコンとなるようにする。続いて、第一実施形態と同様に、薄肉部54の表層にピエゾ抵抗素子R(ピエゾ抵抗部131、コンタクト抵抗低減部132)を形成し、表面導線層13を形成しパターニングして配線および電極パッドを形成する(図14)。図13で第一の主面に形成した酸化膜12はピエゾ抵抗部131と表面導線層13とを隔てる絶縁層となる。
続いて、図15に示すように、表面導線層13が形成されている面を、仮接着層57を介して犠牲基板58に接着し、ベース層11の第二の主面を、保護層R8をマスクパターンとしてエッチングすることによって、空洞Vに面する基板の内壁に形成された絶縁層12に到達する環状溝Tを形成する。具体的には例えば、第二の主面に形成された絶縁層12のエッチングには、CHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。ベース層11のエッチングには、ボッシュプロセスを用いる。すなわち、このとき、空洞Vに面する基板の内壁に形成された酸化膜12が、環状溝Tを形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝Tを形成する工程で薄肉部までのオーバーエッチングされることを防ぐことができる。その後、保護層R8を除去する。
続いて、図16に示すように、第二の主面と空洞Vに面する基板の内壁とに形成されていた絶縁層12を除去する。具体的には例えば、緩衝フッ酸を用いたウェットエッチングを用いる。この工程によって、環状溝Tは空洞Vに到達する。また、領域61の酸化膜を含む、空洞Vに面する基板の内壁の酸化膜が除去され、十字形態の梁を有する梁部Fが顕在化する。すなわち、酸化膜の除去と、梁部Fの形成を共通の工程で実施することができる。そのため、工程が簡略化できコスト削減につなげることができる。その後、第一実施形態と同様に仮接着層57を除去し犠牲基板58から剥離することによって、図11に示す加速度センサ2が完成する。
2−3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。また、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、加速度センサやジャイロセンサなどのモーションセンサやアクチュエータを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。また、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、加速度センサやジャイロセンサなどのモーションセンサやアクチュエータを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
例えば本発明はジャイロセンサおよびその製造方法としても適用することができる。図17は、本発明にかかるジャイロセンサの一形態を示している。薄肉部54の表面には、積層された一対の電極15と当該電極15に挟まれた圧電膜14からなる圧電素子63が複数形成されている。図17に示すジャイロセンサは、次のようにして製造することができる。
まず、破線64の内側領域に、支柱部P形成領域を除いて複数の孔を形成し、上記実施形態と同様に非酸化雰囲気中で熱処理することによって空洞Vおよび薄肉部54、厚肉部を形成する。その後、薄肉部54の表面に圧電素子63や配線を形成し、厚肉部を分割して枠部Sと錘部Mを形成することにより製造することができる。この製造方法によると歩留まりの高いジャイロセンサを製造することができる。なぜなら、本発明のように空洞Vが形成された単結晶シリコン基板は、SOI基板と比較して基板の反りが少ないため、基板上に圧電素子63を形成する際、基板表面の温度が均一となり、基板表面で圧電材料の結晶性や圧電特性の均一性が高くなるためである。
なお、本発明は、上記した加速度センサやジャイロセンサの他にも、錘部を有するモーションセンサや、錘部を有するアクチュエータなどに適用することができる。
なお、本発明は、上記した加速度センサやジャイロセンサの他にも、錘部を有するモーションセンサや、錘部を有するアクチュエータなどに適用することができる。
なお、第一実施形態や第二実施形態では、薄肉部54をパターニングして梁部Fを形成し、支柱部Pを介して錘部Mが梁部Fに連結している加速度センサを例に用いたが、このような形態の他に、図17で示したジャイロセンサのように、パターニングされていない薄膜状の薄肉部54に、支柱部Pを介して錘部Mが連結したMEMSも本発明の権利範囲に含まれる。
さらに、第一実施形態の図2〜図9までの工程を実施した後、すなわちベース層11内に空洞Vを形成し、薄肉部54をパターニングして梁部Fを形成した後、図18に示すように、犠牲層65にて空洞Vを埋めた後、環状溝Tを形成してもよい。この方法によると、空洞Vを埋めている犠牲層65が、環状溝Tを形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝Tを形成する工程で梁部Fまでオーバーエッチングされることを防ぐことができる。
さらに、図19に示すように、梁部Fの表裏に同じ膜厚の絶縁層12が形成されていてもよい。この場合、温度変化が発生しても表裏両面の絶縁層12によって梁部Fの応力がバランスするため、温度特性が安定する。図19に示す加速度センサは次のようにして製造することができる。上記の実施形態と同様に熱処理によってベース層11内に空洞Vを形成した後、厚肉部55を枠部Sから分割するために形成する環状溝Tの形成領域を薄肉部54に投影した位置であって、梁部Fとして残存させない位置に複数の孔67を形成する。その状態でベース層11の第一の主面、第二の主面、孔67の内壁および空洞Vの内壁に二酸化シリコンからなる絶縁層12を形成する(図20)。
その後、梁部F、ピエゾ抵抗素子R、表面導線層13を形成する。表面導線層13のパターニングする際に用いた犠牲層(フォトレジスト)R9が空洞Vに充填されている状態で、図21に示すように、仮接着層57を介して犠牲基板58に接着し、ベース層11の第二の主面側から、空洞Vの内壁に形成された絶縁層12に到達する環状溝Tを形成する。その後、空洞Vに犠牲層R9が充填されている状態で、環状溝Tの底部にあたる、空洞Vに面する基板の内壁に形成された絶縁層12を除去する。その後、図22Aに示すように、空洞Vに埋められている犠牲層R9を除去する。空洞Vに犠牲層R9が充填されている状態で環状溝Tを形成する際、犠牲層R9がエッチングストッパとなり、梁部Fの裏面(空洞Vに接する面)に形成されている絶縁層12までオーバーエッチングされることを防止することができる(図22B)。また、その結果、図22Aおよび図22Cに示すように、梁部Fの表裏両面に精密に同じ膜厚の絶縁層12が形成されている状態であるので、温度変化時も梁部Fの応力がバランスするため特性が安定する。
なお、空洞Vの内壁に酸化膜(絶縁層)12を形成するための孔67を形成する際に、厚肉部55の表面までオーバーエッチングが生じるため、孔67を厚肉部55に投影した領域およびその近傍に凹凸が生じる。しかし、厚肉部55において凹凸が生じる領域は環状溝Tを形成する際に除去されるため、錘部Mの表面(空洞Vに接する面)に凹凸は残存しない。したがって錘部Mのバランスにばらつきが発生することがない。なお、枠部Sに凹凸が生じる領域が残存していても、枠部Sは可動部ではないため実使用上問題はない。
さらに、図23に示すように、本発明の空洞形成技術を用い、錘部Mを有するMEMSにおいては、錘部Mの過度の運動を規制する錘ストッパ68が形成されていてもよい。錘ストッパ68は、図9で示す薄肉部54をパターニングして梁部Fを形成する工程において、梁部Fのパターンに加えて錘ストッパ68のパターンを加えることによって形成することができる。
2.実施形態群B
2−1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSの第一実施形態である加速度センサ1のセンサダイを図24に示す。図24Aは、図24Bの加速度センサ1に示す24A線の断面図である。図24Aにおいて、加速度センサ1を構成する層の界面は実線で示し、加速度センサ1を構成する機能要素の境界は破線で示している。
2−1.第一実施形態
(構成)
本発明のMEMSの第一実施形態である加速度センサ1のセンサダイを図24に示す。図24Aは、図24Bの加速度センサ1に示す24A線の断面図である。図24Aにおいて、加速度センサ1を構成する層の界面は実線で示し、加速度センサ1を構成する機能要素の境界は破線で示している。
加速度センサ1は、ベース層11と、エピタキシャル結晶層16と、絶縁層12と、表面導線層13とからなる積層構造体である。ベース層11は単結晶シリコンからなる。ベース層11の厚さは625μmである。ベース層11の表面には、エピタキシャル結晶層16が形成されている。エピタキシャル結晶層16は、「第一の層」に相当する。エピタキシャル結晶層16はn型の単結晶シリコンからなり、その厚さは5μmである。エピタキシャル結晶層16の表層には、ピエゾ抵抗部131およびコンタクト抵抗低減部132からなるピエゾ抵抗素子Rが形成されている。ピエゾ抵抗素子Rの厚さは0.35μmである。絶縁層12は二酸化シリコン(SiO2)からなる。絶縁層12の厚さは0.5μmである。絶縁層12にはコンタクトホールH1が形成されており、表面導線層13はコンタクト抵抗低減部132とコンタクトホールH1にて接続している。表面導線層13はアルミニウム(Al)からなる。表面導線層13の厚さは0.3μmである。
加速度センサ1のセンサダイは、枠形の枠部Sと、枠部Sの内側に外周が結合し十字形態の梁を有する梁部Fと、錘部Mと、梁部Fと錘部Mとを連結している支柱部Pと、梁部Fに設けられたピエゾ抵抗素子Rと、を備える。
枠部Sは図24Bに示すように矩形枠の形態を有する。枠部Sは図示しないパッケージに固定されるため、実質的に剛体として振る舞う。枠部Sはベース層11、エピタキシャル結晶層16、絶縁層12を含む。枠部Sの表面に表面導線層13が形成されている。
枠部Sは図24Bに示すように矩形枠の形態を有する。枠部Sは図示しないパッケージに固定されるため、実質的に剛体として振る舞う。枠部Sはベース層11、エピタキシャル結晶層16、絶縁層12を含む。枠部Sの表面に表面導線層13が形成されている。
十字形態の梁を含む梁部Fは両端固定の2つの梁がそれぞれの中央部において互いに結合された形態(枠部Sの内側に掛け渡された梁の形態)を有する。梁部Fは、可撓性を有する厚さ一定の複層膜からなる。梁部Fの外周は枠部Sの内側の4辺に結合している。枠部Sは剛体として振る舞うため、加速度センサ1に固定された座標系において梁部Fの外周端は固定端となる。梁部Fはエピタキシャル結晶層16と絶縁層12とを含む。梁部Fの表面に表面導線層13が形成されている。エピタキシャル結晶層16は単結晶シリコン層であるため、機械特性が良好である。
錘部Mは、ベース層11からなり、外周が矩形である板の形態を有する。錘部Mは、枠部Sの内側に配置され、梁部Fに重なっている。錘部Mと枠部Sとの間には環状溝Tが形成されている。すなわちベース層11は環状溝Tによって錘部Mを構成する部分と枠部Sを構成する部分とに分断されている。錘部Mは厚いベース層11からなるため実質的に剛体として振る舞う。錘部Mと梁部Fとの間には空洞Vが形成されている。空洞Vの高さ(錘部Mと梁部Fとの距離)は支柱部Pの高さに等しく7μmである。錘部Mは、支柱部Pよりも枠部に向かって突出している。
支柱部Pはベース層11からなる。支柱部Pは、梁部Fの中央部裏面から錘部Mの方向に突出し錘部Mの中央部と結合している。すなわち支柱部Pは、空洞Vを間に挟んで対向するように錘部Mと梁部Fとを連結している。このように加速度センサ1は、枠部Sと梁部Fと支柱部Pと錘部Mの大部分が単結晶シリコンバルクで構成されているため各部の熱膨張係数が等しい。そのため、加速度センサ1の温度特性が安定する。
(製造方法1)
図24に示した加速度センサ1は次のようにして製造することができる。図25〜図33を用いて加速度センサ1の製造方法を説明する。まず、図25に示すように、フォトレジストからなる保護層R1をマスクパターンに用いて、ベース層11の第一の主面の環状領域に第一の不純物イオンを導入することにより、ベース層11に第一不純物拡散部17を形成する。すなわち、第一の不純物イオンが導入される環状領域は、枠部Sを形成する領域51の内側であって支柱部Pを形成する領域50を除く領域である。第一の不純物イオンとして例えば、リン(P)イオンを1×1018/cm3注入することにより、p型の第一不純物拡散部17を形成することができる。その後、保護層R1を除去する。
図24に示した加速度センサ1は次のようにして製造することができる。図25〜図33を用いて加速度センサ1の製造方法を説明する。まず、図25に示すように、フォトレジストからなる保護層R1をマスクパターンに用いて、ベース層11の第一の主面の環状領域に第一の不純物イオンを導入することにより、ベース層11に第一不純物拡散部17を形成する。すなわち、第一の不純物イオンが導入される環状領域は、枠部Sを形成する領域51の内側であって支柱部Pを形成する領域50を除く領域である。第一の不純物イオンとして例えば、リン(P)イオンを1×1018/cm3注入することにより、p型の第一不純物拡散部17を形成することができる。その後、保護層R1を除去する。
続いて、図26に示すように、表層にp型の第一不純物拡散部17が形成されたベース層11の第一の主面に、n型のエピタキシャル結晶層16を形成する。次に、図27に示すように、エピタキシャル結晶層16の表面にフォトレジストからなる保護層R2形成し、保護層R2をマスクパターンとして、エピタキシャル結晶層16の表層に不純物イオンを導入(例えばホウ素(B)イオンを2×1018/cm3注入)しピエゾ抵抗部131を形成する。ブリッジ回路を構成するためのX,Y,Z各軸4個のピエゾ抵抗部を形成することにより、XYZ3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサを製造することができる。
続いて、保護層R2を除去し、ベース層11の第一の主面に絶縁層12を形成する。例えば、熱酸化することによって0.5μmの二酸化シリコン(SiO2)の層を形成する。熱酸化法の代わりにCVD法によりSiO2を成膜してもよい。続いて、図28に示すように、フォトレジストからなる保護層R3をマスクパターンに用いて、絶縁層12にコンタクトホールH1を形成する。その後保護層R3を除去する。
続いて、図29に示すように、絶縁層12をマスクパターンに用いて、ピエゾ抵抗部131形成時よりも高濃度の不純物イオンを導入(例えばBイオンを2×1020/cm3注入し活性化させる)し、コンタクト抵抗低減部132を形成する。続いて図30に示すように、絶縁層12およびコンタクト抵抗低減部132の表面に表面導線層13を形成する。続いて図31に示すように、フォトレジストからなる保護層R4をマスクパターンに用いて、表面導線層13をパターニングし、配線や電極パッドを形成する。
続いて、図32に示すように、フォトレジストからなる保護層R5をマスクパターンに用いてエピタキシャル結晶層16に、第一不純物拡散部17に到達する4つの開口56を形成することにより十字形態の梁を顕在化させ梁部Fを形成する。絶縁層12のエッチングには例えば、CHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。n型単結晶シリコンからなるエピタキシャル結晶層16のエッチングには例えば、CF4ガスおよびO2ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。なお、反応性イオンエッチングの他に、フッ酸や緩衝フッ酸によるウェットエッチング法を用いることができる。エッチング後、保護層R5を除去する。
続いて、図33に示すように、表面導線層13が形成されている面を、仮接着層57を介して犠牲基板58に接着する。仮接着層57としては例えば、ワックス、フォトレジスト、両面粘着シート等を用いることができる。続いて、フォトレジストからなる保護層R6をマスクパターンに用いて、ベース層11の第一の主面の裏面に相当する第二の主面から第一不純物拡散部17に通じ支柱部Pを囲む環状溝Tを形成することにより、ベース層11を環状溝Tの外側に位置する枠部Sと、内側に位置する錘部Mとに分断する。例えばSF6プラズマガスを用いたパッシベーションとC4F8プラズマガスを用いたエッチングのステップを短い時間間隔で交互に繰り返すDeep−RIE(いわゆるボッシュプロセス)によってベース層11を異方的にエッチングすることにより環状溝Tを形成する。このとき第一不純物拡散部17が、環状溝Tを形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝Tを形成する工程で梁部Fまでオーバーエッチングされることを防ぐことができる。
続いて、ベース層に電圧を印加して第一不純物拡散部17を環状溝Tを通じて除去し、図34に示すように空洞Vを形成するとともに支柱部Pを形成する。その後、保護層R6を除去し、仮接着層57を除去して犠牲基板58から剥離する。例えば、仮接着層57がワックスの場合には、ホットプレートでワックスを加熱した後、洗浄液にてワックスを溶解する。仮接着層57がUV両面テープの場合には、UV光を照射して粘着力を低下させた後、剥離する。以上の工程を経て、図24に示す加速度センサを製造することができる。
以上の製造方法によると、エピタキシャル結晶層16によって梁部Fの厚さを調節することができる。すなわち、薄肉部54が薄くなるように調整することで加速度センサ1の高感度化が可能である。また、SOI基板を用いてMEMSを製造する従来の構成と比較して本発明の製造方法ではSOI基板が不要であるためコストを削減することができる。
(製造方法2)
図24に示す加速度センサ1は、次のようにして製造することもできる。図35〜図39を用いてその製造方法を説明する。まず、製造方法1で示した図25,図26の工程の後、図35に示すように、フォトレジストからなる保護層R7をマスクパターンに用いて、エピタキシャル結晶層16に複数の孔60を形成する。孔60を形成する位置は、エピタキシャル結晶層16のうち梁部F形成の際に除去しようとする領域61内であって錘部Mを形成しようとする領域53の外側である。孔60は、エピタキシャル結晶層16の表面から第一不純物拡散部17に到達する。
図24に示す加速度センサ1は、次のようにして製造することもできる。図35〜図39を用いてその製造方法を説明する。まず、製造方法1で示した図25,図26の工程の後、図35に示すように、フォトレジストからなる保護層R7をマスクパターンに用いて、エピタキシャル結晶層16に複数の孔60を形成する。孔60を形成する位置は、エピタキシャル結晶層16のうち梁部F形成の際に除去しようとする領域61内であって錘部Mを形成しようとする領域53の外側である。孔60は、エピタキシャル結晶層16の表面から第一不純物拡散部17に到達する。
続いて、電圧を印加し、孔60を通じて第一不純物拡散部17を除去することによって、環状の空洞Vを形成する。続いて、図36に示すように、基板を酸化させ、空洞Vに面する領域に酸化膜(SiO2、絶縁層)12を形成する。例えば、酸素雰囲気中で1050℃で基板を加熱することにより、空洞Vに面する領域および、ベース層11の第二の主面、エピタキシャル結晶層16の表面、孔60に面する領域に酸化膜12が形成される。このとき、酸化膜の成長により、孔60が形成されていた領域全体(領域66)が酸化膜となり孔60は閉孔する。続いて、エピタキシャル結晶層16にピエゾ抵抗素子Rを形成し、表面導線層13を形成しパターニングして配線を形成する。
次に、図37に示すように、表面導線層13が形成されている面を、仮接着層57を介して犠牲基板58に接着し、ベース層11の第二の主面を、保護層R8をマスクパターンとしてエッチングすることによって、空洞Vに面する領域に形成された絶縁層12に到達する環状溝Tを形成する。具体的には例えば、第二の主面に形成された絶縁層12のエッチングには、CHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。ベース層11のエッチングには、ボッシュプロセスを用いる。すなわち、このとき、空洞Vに面する領域に形成された酸化膜12が、環状溝Tを形成する際のエッチングストッパとなり、環状溝Tを形成する工程で薄肉部までのオーバーエッチングされることを防ぐことができる。その後、保護層R8を除去し、犠牲基板58から剥離し仮接着層57も除去する。
次に、図38に示すように、フォトレジストからなる保護層R9をマスクパターンに用いて、薄肉部54(空洞Vに面しない酸化膜12と、エピタキシャル結晶層16)に、4つの開口56を形成することにより十字形態の梁を顕在化させる。酸化膜12のエッチングには例えば、CHF3ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。ベース層11からなる薄肉部54のエッチングには例えば、CF4ガスおよびO2ガスを用いた反応性イオンエッチングを用いる。このとき、空洞Vに面した領域に形成された酸化膜12がエッチングストッパとなる。なお、反応性イオンエッチングの他に、フッ酸や緩衝フッ酸によるウェットエッチング法を用いることができる。エッチング後、保護層R9を除去する。
続いて、図39に示すように、保護層R9をマスクパターンに用いて、空洞Vに面する領域に形成されていた酸化膜12と、ベース層11の第二の主面に形成されていた酸化膜12とを除去する。例えば、緩衝フッ酸を用いて酸化膜12をウェットエッチングする。その後、保護層R9を除去することにより、図24に示す加速度センサ1を製造することができる。
2−2.第二実施形態
(構成)
図40は、第二実施形態にかかる加速度センサ2を示している。加速度センサ2には、錘部Mの過度の運動を規制するための錘ストッパ68が形成されている。
(構成)
図40は、第二実施形態にかかる加速度センサ2を示している。加速度センサ2には、錘部Mの過度の運動を規制するための錘ストッパ68が形成されている。
(製造方法)
錘ストッパ68は、絶縁層12およびエピタキシャル結晶層16をパターニングして梁部Fを形成する工程において、梁部Fのパターンに加えて錘ストッパ68のパターンを加えることによって形成することができる。すなわち、図41に示すマスクパターンを用いて絶縁層12およびエピタキシャル結晶層16をパターニングすることにより、梁部Fとともに錘ストッパ68を形成することができる。
錘ストッパ68は、絶縁層12およびエピタキシャル結晶層16をパターニングして梁部Fを形成する工程において、梁部Fのパターンに加えて錘ストッパ68のパターンを加えることによって形成することができる。すなわち、図41に示すマスクパターンを用いて絶縁層12およびエピタキシャル結晶層16をパターニングすることにより、梁部Fとともに錘ストッパ68を形成することができる。
2−3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。また、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、加速度センサやジャイロセンサなどのモーションセンサやアクチュエータを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。また、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、加速度センサやジャイロセンサなどのモーションセンサやアクチュエータを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
例えば本発明はジャイロセンサおよびその製造方法としても適用することができる。図42は、本発明にかかるジャイロセンサの一形態を示している。薄肉部54の表面には、積層された一対の電極15と当該電極15に挟まれた圧電膜14からなる圧電素子63が複数形成されている。圧電素子63は、枠部Sに対する錘部Mの運動を検出するための素子である。図42に示すジャイロセンサは、次のようにして製造することができる。
まず、図42Cに示す破線64の内側の領域であって、支柱部P形成領域を除いた領域に第一の不純物イオンを導入することによって、ベース層11に環状の第一不純物拡散部17を形成し、上記実施形態と同様にその上面に「第一の層」としてエピタキシャル結晶層16を形成する。その後、薄肉部54の表面に圧電素子63や配線を形成し、ベース層11の第二の主面から環状溝Tを形成する。環状溝Tを通じて第一不純物拡散部17を除去することによって環状の空洞Vが形成される。その結果、錘部M、枠部S、薄肉部54、支柱部P、圧電素子63を有するジャイロセンサを製造することができる。なお、この実施形態の場合、「第一の層」は単結晶シリコンのエピタキシャル結晶層であることに限定されない。例えば多結晶シリコンであってもよい。
この製造方法によると歩留まりの高いジャイロセンサを製造することができる。なぜなら、単結晶シリコン基板にエピタキシャル結晶層が形成された状態では、SOI基板と比べて基板の反りが少ないため、本発明のように空洞を形成した単結晶シリコン基板上に電極や圧電膜を成膜する際、ウエハの表面において温度が均一となり、ウエハ表面で圧電材料の結晶性や圧電特性の均一性が高くなるためである。
なお、本発明は、上記した加速度センサやジャイロセンサの他にも、錘部を有するアクチュエータなどに適用することができる。
なお、本発明は、上記した加速度センサやジャイロセンサの他にも、錘部を有するアクチュエータなどに適用することができる。
なお、第一実施形態や第二実施形態では、薄肉部54をパターニングして梁部Fを形成し、支柱部Pを介して錘部Mが梁部Fに連結している加速度センサを例に用いたが、このような形態の他に、図42で示したジャイロセンサのように、パターニングされていない薄膜状の薄肉部54に、支柱部Pを介して錘部Mが連結したMEMSも本発明の権利範囲に含まれる。
さらに、図24に示す加速度センサ1は、次のようにしても製造することができる。図43〜図44を用いて説明する。まず、第一実施形態の製造方法1で示した図25,図26の工程の後、図43に示すように、フォトレジストからなる保護層R10をマスクパターンに用いて、n型のエピタキシャル結晶層16に第二の不純物イオンを導入(例えばリン(P)イオンを1×1018/cm3導入)することによって、4つのp型の第二不純物拡散部18を形成する。第二不純物拡散部18を形成する位置は、エピタキシャル結晶層16のうち梁部F形成の際に除去しようとする領域全体である。第二不純物拡散部18は、エピタキシャル結晶層16と同じ膜厚であり、エピタキシャル結晶層16の表面から第一不純物拡散部17に達する。その後、保護層R10を除去する。
続いて、基板を酸化し、エピタキシャル結晶層16(第二不純物拡散部18を含む)の表面およびベース層11の第二の主面に酸化膜(SiO2,絶縁層)12を形成する。そして、エピタキシャル結晶層16のうち梁部Fとして残存させる領域に上記実施形態と同様にピエゾ抵抗素子Rを形成する。さらに、表面導線層13を形成し、パターニングして配線、電極パッドを形成する。
続いて、表面導線層13が形成されている面を仮接着層57を介して犠牲基板58に接着し、環状溝Tを形成する。続いて、基板に電圧を印加し、環状溝Tを通じて第一不純物拡散部17と同時に第二不純物拡散部18を除去する。図44は、第一不純物拡散部17と第二不純物拡散部18が除去された状態を示している。すなわち、第一不純物拡散部17が除去されたことにより環状の空洞Vが形成され、それと同時に第二不純物拡散部18も除去されたことによりエピタキシャル結晶層16が梁部Fの形状に合わせてパターニングされている。すなわち、第一不純物拡散部および第二不純物拡散部の除去と、梁部F形成のためのパターニングとを共通の工程で実施することができるため、工程が簡略化できコスト削減につなげることができる。
続いて、酸化膜12において梁部Fとして残存させない領域を除去すると、図44Bにおいて絶縁層12が露出していた領域に、仮接着層57が露出する。その後、仮接着層57を除去することにより基板を犠牲基板58から剥離すると、図24に示す加速度センサ1が完成する。
なお、図45に示すように、「第一の層」としてのエピタキシャル結晶層16の表面に「第二の層」としてのエピタキシャル結晶層19が形成され、ピエゾ抵抗素子Rはエピタキシャル結晶層19に形成されてもよい。薄肉部の絶縁層12を除く部分が導電型の二層構造になることにより、エピタキシャル結晶層16は、第一不純物拡散部17を除去する際のエッチングストッパとして機能させるのに適した導電型および不純物濃度の層とすることができ、エピタキシャル結晶層19は、当該層内にピエゾ抵抗素子Rを形成するのに適した導電型および不純物濃度を有する層とすることができる。例えばエピタキシャル結晶層16は、導電型がp型で例えば不純物濃度は5×1019/cm3程度とし、エピタキシャル結晶層19は、導電型がp型で不純物濃度は例えば1×1018/cm3程度とすることができる。
さらに、図46に示すように、梁部Fの表裏に同じ膜厚の絶縁層12が形成されていてもよい。この場合、温度変化が発生しても表裏両面の絶縁層12によって梁部Fの応力がバランスするため、温度特性が安定する。図46に示す加速度センサは次のようにして製造することができる。上記の実施形態と同様に第一不純物拡散部17およびエピタキシャル結晶層16を形成した後、環状溝Tの形成領域を薄肉部54に投影した位置であって、梁部Fとして残存させない位置に複数の孔67を形成する。その状態でベース層11の第一の主面、第二の主面、孔67の内壁および空洞Vに面する領域に二酸化シリコンからなる絶縁層12を形成する。
その後、梁部F、ピエゾ抵抗素子R、表面導線層13を形成する。表面導線層13のパターニングする際に用いた犠牲層(フォトレジスト)R11が空洞Vに充填されている状態で、図47に示すように、仮接着層57を介して犠牲基板58に接着し、ベース層11の第二の主面側から、空洞Vに面する基板内壁に形成された絶縁層12に到達する環状溝Tを形成する。その後、空洞Vに犠牲層R11が充填されている状態で、環状溝Tの底部にあたる、空洞Vに面する基板の内壁に形成された絶縁層12を除去する。その後、空洞Vに埋められている犠牲層R11を除去する。空洞Vに犠牲層R11が充填されている状態で環状溝Tを形成する際、犠牲層R11がエッチングストッパとなり、梁部Fの裏面(空洞Vに接する面)に形成されている絶縁層12までオーバーエッチングされることを防止することができる。そのため、梁部Fの表裏に精密に同じ膜厚の絶縁層12を形成することができる。
さらに、図48に示すように、錘部Mの空洞Vに面する面に凹凸を形成することができる。錘部Mのこのような形状は、図49に示すように、異なる加速電圧下で、2回にわたり第一の不純物イオンを注入して、第一不純物拡散部の底面の深さを変えることにより、実現することができる。このようにして第一不純物拡散部17の深さを変えることによって錘部Mの空洞Vに面に凹凸を形成することによって、梁部に対して錘部が付着するのを防止するためのディンプル531を錘部Mに形成することができる。
11:ベース層、12:絶縁層(酸化膜)、13:表面導線層、14:圧電膜、15:電極、16:エピタキシャル結晶層、17:第一不純物拡散部、18:第二不純物拡散部、19:エピタキシャル結晶層、50:支柱部Pを形成する領域、51:枠部Sを形成する領域、52:孔、54:薄肉部、55:厚肉部、56:開口、57:仮接着層、58:犠牲基板、60:孔、61:領域、63:圧電素子、64:破線、65:犠牲層、66:領域、67:孔、68:錘ストッパ、131:ピエゾ抵抗部、132:コンタクト抵抗低減部、531:ディンプル、C:内角部、F:梁部、H1:コンタクトホール、M:錘部、P:支柱部、R:ピエゾ抵抗素子、S:枠部、T:環状溝、V:空洞。
Claims (9)
- 単結晶シリコンからなる基板の第一の主面から第一の不純物イオンを導入することによって環状の第一不純物拡散部を前記基板に形成し、
前記第一の主面に第一の層を形成し、
前記第一の主面の裏面に相当する前記基板の第二の主面から前記第一不純物拡散部に到達する環状溝を形成し、
前記第一不純物拡散部を選択的に除去することによって環状の空洞を前記基板に形成する、
ことを含み、
前記環状の空洞と前記環状溝の形成に伴って、前記環状の空洞に囲まれた支柱部と、前記支柱部の一端に結合し前記第一の層によって少なくとも一部が構成される薄肉部と、前記環状溝の内側に位置し前記支柱部を介して前記薄肉部と連結され前記空洞を間に挟んで前記薄肉部と対向する錘部と、前記環状溝および前記薄肉部の外側に位置し前記薄肉部を支持する枠部と、が形成される、
MEMSの製造方法。 - エピタキシャル結晶成長によって前記第一の層を形成する、
請求項1に記載のMEMSの製造方法。 - 前記環状溝を形成した後に、前記環状溝を通じて前記第一不純物拡散部を除去する、
請求項2に記載のMEMSの製造方法。 - 前記第一の層において除去しようとする領域に第二の不純物イオンを導入することによって、前記第一の層と同じ膜厚の第二不純物拡散部を形成し、
前記第一不純物拡散部と同時に前記第二不純物拡散部を選択的に除去することによって、前記薄肉部からなり前記枠部と前記支柱部とを連結する梁部を形成する、
請求項3に記載のMEMSの製造方法。 - 前記第一の層を形成した後、前記環状溝を形成する前に、前記第一の層の表面に、エピタキシャル結晶成長により、前記第一の層と導電型が異なる第二の層を形成し、前記第二の層に、前記枠部に対する前記錘部の運動を検出するためのピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項3に記載のMEMSの製造方法。 - 前記第一の層を形成した後、前記環状溝を形成する前に、前記第一の層のうち除去しようとする領域であって前記錘部形成領域の外側に、前記第一の層の表面から前記第一不純物拡散部に到達する複数の孔を形成し、
前記複数の孔を通じて前記第一不純物拡散部を除去して前記環状の空洞を形成した後、前記空洞に面する領域に酸化膜を形成し、
前記環状溝を形成した後、前記酸化膜を除去する、
請求項2に記載のMEMSの製造方法。 - 前記第一の主面と前記第二の主面と前記空洞に面する領域とに前記酸化膜を形成した後、前記環状溝を形成する前に、前記空洞を犠牲層で埋め、
前記環状溝を形成した後、前記犠牲層を除去し前記第一の層の表裏両面の前記酸化膜を残存させる、
請求項6に記載のMEMSの製造方法。 - 前記第一不純物拡散部を形成する際、異なる加速電圧下で、複数回にわたり第一の不純物イオンを注入することにより、前記第一不純物拡散部の底面を非面一にさせる、
請求項6に記載のMEMSの製造方法。 - 前記第一の層の表面に絶縁層を形成し、
前記絶縁層の表面に、前記枠部に対する前記錘部の運動を検出するための圧電素子を形成する、
ことを含む請求項1〜請求項3のいずれかに記載のMEMSの製造方法。
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2009
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