JP2010175870A - リズム譜学習用教材道具及びリズム譜学習指導方法。 - Google Patents

リズム譜学習用教材道具及びリズム譜学習指導方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】音楽教育の教育現場で複雑なリズム譜の理解や記憶をするのに時間を多く要していた問題に対し、単純な構成で高い娯楽性のもとに、リズム譜を種類別に色分けし、そのリズム譜の長さもそのリズム譜の持つ長さに比例して設定し、視覚的な明確さを備えることにより、学習者がリズム譜の長さの理解やリズム感の体得をするための時間をより短縮し、その学習効果を長期にわたって持続させる事に寄与する。
【解決手段】各リズム譜を種類別に色分けし、そのリズム譜の長さをリズム譜の持つ長さに比例して設定し、視覚的な明確さを備えることにより、リズム譜の種類を見分け音の長さを理解できるようにすることによって、リズム譜正しく理解し、リズム感の体得を容易にさせ、リズム譜を視覚的に理解し学ぶことのできる、また指導する事の出来るリズム譜学習教材道具及びリズム譜学習方法として提供される。
【選択図】図5

Description

説明に先立って断わっておくが、これより使用される言葉に於いて音符リズム譜は音の出音している長さを表すリズム譜であり、休符リズム譜は音が無音である長さを表しているリズム譜である。そしてリズム譜は音符リズム譜と休符リズム譜両方を含むものとする。
また、拍数においては4分音符のリズム譜を1拍と考え、それに応じてその他のリズム譜の拍数を定義するものとする。
本発明は音楽教育のリズム学習において、それぞれのリズム譜の長さを理解し且つそのリズム譜のリズム感を体得できる学習効果をより高めるための、リズム譜学習用教材道具及びリズム譜学習用教材道具を学習者や指導者に提供する、当該リズム譜学習用教材道具及びリズム譜学習指導方法に関するものである。
リズム譜の学習方法に於いては、リズム表(図1、図2参照)や各リズム譜を組み合わせたリズムパターンをリンゴ等で表しているリズム表(図3参照)等をもとに指導者が言葉で説明し、丸覚えすることにより体得してゆくという教育法であった。したがって学習者は興味も薄く記憶が困難であるが故学習に長い年月を要する事を特徴とする。
「中学音楽2・3上」70頁より抜粋、 三善晃監修平成8年1月20日、教育出版(株)より刊行(図1参照)。 「バイエルピアノ教則本(標準版)」3頁より抜粋、全音楽譜出版社より刊行(図2参照) 「藤原亜津子公開講座資料」より抜粋(図3参照)。
音楽教育のソルフェージュにおいてリズム譜の理解と体得は大変困難なものである。特に算数の分数の理解に乏しい年少者や、音楽の教育を特別に受けている大人でもリズム譜の名称や長さ、そのリズムパターンを不得手とする人は多くいるものである。
なぜならその理由1としてリズム譜の名前の複雑さがある。リズム譜は全音符(4拍の長さ)を1と考え、その長さを1/2に分けたリズム譜が2拍の2分音符、1/4に分けた長さのリズム譜が1拍の4分音符、1/8に分けた長さのリズム譜が半拍の8分音符、1/16に分けた長さのリズム譜が1/4拍の16分音符というように拍数と名前が2分音符以外は一致しないのである。したがって学習者にとってリズム譜はとても複雑な印象を与えるのである。つまりリズム譜の名前を覚えることが困難という問題がある。
さらに理由2としてリズム譜には1拍未満のリズム譜があるということである。つまり4分音符よりも短いリズム譜である。一拍以上のリズム譜であれば理解は容易であるが、学習者は1拍未満のリズム譜は算数の分数の理解が必要で分数の概念の理解なくしてはその音の長さのイメージを持つことは極めて困難である。
つまり従来のリズム譜教育において指導者は4分音符を1という概念で考えるため、どうしても1拍以下のリズム譜を分数の概念で学習者を指導してしまうという問題を持つ。つまり(図3)に於けるリンゴが半分とか1/4とか3/4に捉える概念である。
また付点のリズムにおいても付点のもつ意味の理解はイメージしがたいといえる。付点の意味は元のリズム譜の長さプラスその元の音の長さの半分であるからして、付点4分音符は1拍プラス1拍の半分(半拍)つまり1拍半であるというくらいまでならなんとか理解できても、付点8分音符になると半拍プラス半拍の半分つまり3/4拍ということになるのでその概念は大変難しいのである
やはり、この事も4分音符を1と考える概念によって複雑化されてしまう問題点である。
つまり指導者が4分音符を1と考える概念から抜け出せず、そしてそのことに気づく教材道具や指導法がないため、リズム譜指導の歴史の上でかなり長い年月をリズム譜学習指導のために多大なエネルギーを払い、効果は得られないというジレンマに陥っているのである。
それ故、従来の教材としての全音符から16分音符までを羅列したリズム表(図1、図2参照)やリンゴ1個を1拍と考える(図3参照)指導では、リズムの長さを頭の中でイメージして把握することが難しく、リズム譜の種類の名称も正確に覚えることを要求されるので、学習者が記憶するのに混乱し、指導者が指導するのに何度も何度も説明しても理解出来ない学習者を多く生み出してしまうという問題点がある。
つまりリズム譜教育の指導システムがまだ不完全で、世の中の指導者はどうして良いか分からず指導も現実には中途半端に終わっているという現実の課題がある。
これらの理由によりまたその相乗効果により、学習者は、リズム譜を複雑なものと捉え学習意欲が減退してしまうのである。また指導者も学習意欲の低下した学習者に指導するのはとても困難なことである。したがって指導者の指導意欲も低下するといえる。
すなわち、本発明は個々のリズム譜にそのリズムの前もって決められた色とそのリズムの持つ長さを視覚的にそのリズムの音の長さの割合に応じて表示することによって、それぞれのリズムの長さとその名前に代わる色を持つことによってリズム譜の種類の区別や音の長さを視覚的にイメージさせることを容易にし、そしてそれは付点のリズム譜においても容易な理解をも助けるものである。
よって、従来のリズム譜教育において、リズム譜の名称を記憶することの困難さやリズム譜の長さの理解を分数の概念の思考により複雑化してしまった事柄に関するリズム譜教育の問題点を解決するためになされたものである。
上記目的を達成するため請求項1に記載のリズム譜学習用教材道具の発明によれば、複数種類から成るリズム譜に対し、16分音符リズム譜に対応する複数の16分音符リズム譜片と、8分音符リズム譜に対応する複数の8分音符リズム譜片と、4分音符リズム譜に対応する複数の4分音符リズム譜片を備え、前記各リズム譜片は前記各リズム譜の音の長さに応じた大きさを有すると共に前記各リズム譜片は各リズム譜の音の長さによって色分けされていることを特徴とする。
次に請求項2に記載のリズム譜学習指導方法の発明によれば、請求項1に記載のリズム譜学習用教材道具に対し、横方向がほぼ4分音符の長さであって、縦方向が少なくとも3種類の前期リズム譜片を収納可能な長さを有する方形の箱を更に備えることを特徴とする。
更に請求項3に記載のリズム譜学習指導方法の発明によれば、請求項1に記載のリズム譜学習用教材道具を用いて、リズム譜学習を指導するリズム譜学習指導方法であって、前記リズム譜学習用教材道具の色でリズム譜の種類を判別し、更に個々の前記リズム譜学習用教材道具を色々なリズムパターンに置き換えることによって、リズムトレーニングする事が出来る事を特徴とする。
以上説明したように請求項1に記載のリズム譜学習教材道具の発明によれば複数種類から成るリズム譜に対し、リズム譜を種類別に色分けする事を構成しており、表示した色を目印にリズム譜の種類をいち早く識別することが出来る効果がある。
更に各リズム譜を個々に独立させ、その物の構造上の形状を特定化することによってリズム譜教材の長さに応じた大きさを有することを併せ持つ事を構成しており、それ故音の長さにおいても図形として捉える事が出来るので、音の長さを容易に素早くイメージすることが出来ると共に、リズム譜の種類別の音の長さの比較も視覚的に理解するのが簡単である。つまり一つのリズム譜の理解だけでなく相対的なリズム譜の関係の理解が容易に出来る効果がある。
さらに請求項2に記載のリズム譜学習用教材道具の発明によれば、請求項1のリズム譜教材道具を各種リズム譜片ごとに1拍ずつセットにすることにより構成され、更にそれらを入れる箱を備えていることを特徴とし、1拍であるが故、視覚的に狭い範囲で見ることが可能で、手で触れることもでき、それぞれのリズム譜をあらゆるリズムパターンに手で並べ替えることが簡単にできる効果がある。
また箱を備えることによって、学習上での散らかりを防ぎ、必要な時すぐ使用できる身近な場所に手軽に置くことが出来る効果がある。
つまり1拍セットというシンプル且つ手軽さの故、視覚的な力がリズム譜の複雑さをより頭の中で整理させ、理解を深めることに絶大な威力を発揮する効果がある。
次に請求項3に記載の本発明は音楽教育のリズム譜を理解し体得するために上記請求項1、及び請求項2のリズム譜学習用教材道具を使用してリズム譜をトレーニングする構成であるが故、シンプルで学びやすく教えやすいのが利点の学習方法である。
従来の教育法と違いリズム譜の種類を色で判別し、4分音符は16分音符4個からなる、8分音符は16分音符2個から成る、付点8分音符は16分音符3個から成るというように映像としてリズム譜を捉える事が出来るのでリズム譜の理解が早く、あらゆるリズムパターンとも結びつきが早くリズム譜を記憶したり体得したりすることに大きな影響を与え従来の教育法よりも理解の速度は絶大であるという学習効果がある。
したがって分数の理解力に乏しい年少の学習者においても指導が容易であり、本発明は学習者を選ばないという効果がある。
それ故指導者にとっても指導の負担が軽減される効果は大きい。
よって指導者の指導技術は抜群に上がる効果がある。
その指導技術の向上は本発明の指導方法を使用しトレーニングすれば指導年月を大幅に短縮する事が出来る効果がある。
よって本発明は指導者の指導技術向上にただならぬ威力を発揮し、リズム譜教育の発展、更には音楽教育の発展に大きく寄与するものである。
従来の指導法を説明する図 従来の指導法を説明する図 従来の指導法を説明する図 リズム譜が音名を読むことに影響を与えることを説明した図。 本発明を積み木、又はカードとしてイメージした図 本出願人作成のリズムドリル 本出願人作成のリズムドリル 16分音符にタイをつけた説明をした図。 タイのパターンの例を示した図 1拍の基本のリズムパターン5種類を示した図。 基本的1拍セットの内容を構成するリズム譜片の図。 1拍セットをイメージした図。 3連音符の説明をした図。 リズムパターンと言葉の変換を説明した図。 リズムパターンと言葉の変換を説明した図。 休符のリズムパターンを説明した図。 連桁のリズム譜と符尾のついたリズム譜を変換する図。 リズムパターン言葉の例とリズム譜を変換する図。
以下本発明の実施の形態を説明する。
この実施の形態は、今までリズム譜学習で行われてきた学習方法に対し全く新たな提案をするものである。このリズム譜学習用教材道具及びリズム譜学習指導方法はリズム譜を視覚的に捉えることによりリズム譜を理解する力を強化しあらゆるリズムパターンを体得することを学習のストレスなく取得できるものである。
まず本発明の具体的な説明に先だって、本願出願人が音楽教育者(ピアノ教育)として長年鋭意研究を重ねて「本発明を導くに至った重要な考察」と「本発明を使って実験的レッスンで得た具体的な成果と考察」を述べておく。
尚これよりの説明に於いて、本発明のリズム譜片をカードや積み木として表し、その色分けとして全音符を白色、2分音符を青色、4分音符を赤色、8分音符を黄色、16分音符を緑色とした(図5参照)。尚色は適宜変更可能である。そして図5-Aはカード又は積み木を隙間なく集合させた平面図として捉え、図5-Bはカードまたは積み木に隙間を設けたうえで斜めから見た斜視図として表した。
・本出願人の本発明を導くに至った重要な考察
ピアノ教師であれば誰もが絶対悩んでいることがある。それは学習者の家庭での練習不足だ。なぜ練習不足になるのかという原因の一つに読譜の難しさがある。
音符には音名とリズムとの2つの要素がある。音符は通常5線(加線も含む)の上に書かれるが楽譜に慣れていない学習者は音名を読むだけで精一杯である。何故ならば五線のうえに並んだ音符を図形として認識するということがその経験がないものが思うよりずっと困難であるからである。
その困難さを証明する私の経験として読譜に慣れない学習者は例えばハ長調に於いての「ら」の音を音名としてだけ認識する場合、全音符と8分音符を比べると8分音符のほうが時間かかるのである(図4-Aと図4-B参照)。更に「ふぁ」「ら」と和音になった時は更に「ら」の音名を認識するのに時間がかかるのである(図4-C参照)。また「ふぁそらし」と連桁でつながれた音符も「ら」の音名を認識するのに手間取ったりするのである(図4-D参照)。
つまり、リズム譜の種類による形態は音名を読むことにも影響するのである。これは音符が読譜に慣れない学習者にとって読み取りにくい複雑な図形として目に映っているからといえる。そしてそのため読譜を嫌がる譜面アレルギーを起こすといっても過言ではない。この譜面アレルギーの症状は学習者誰もが必ず経験し、そしてその時期を非常に長くしている学習者は非常に多いのである。つまり音楽教育での最大の課題の一つと言っても差支えない。
したがってリズム譜に強くなるということは、音名を認識することにも強くなるということである。
こう考えると読譜力を強くするためには、リズム譜をなるべく早い時期でマスターすることが重要なことだと理解できるようになる。
しかしリズム譜のトレーニングはなおざりにされがちなのが現実である。ピアノ教育の中でも5〜6年ピアノを習ってもリズム譜に関して十分に理解できていない学習者は多いし、また10年も習っていながら100パーセントの理解が出来ていないということも珍しくないのである。
多くの学習者がリズム譜を苦手とするということは一般の指導者にとってリズム譜の指導は指導するのに困難な要素を含んでいると考えて良い。
そんな中で本願出願人もこの発明を生み出すために30年余りの長い年月がかかったことは言うまでもない。そしてリズム譜指導の試行錯誤の中で二つの気づきを得たのである。
一つ目は4分音符を1と考える概念から脱する事である。
普通、指導者が学習者に8分音符を指導するとき4分音符の半分、もしくは1/2と説明するが本発明で考案したリズム譜指導教材で視覚的に説明すれば4分音符は8分音符2個で成り立っていることが簡単に理解できる。また16分音符4個で1拍になることも理解に全く無理はない。
二つ目は、勘違いしやすい複雑なリズム譜の名前を最初は無理をして覚える必要はないということである。リズム譜が判別できるということはリズム譜を理解する上での記憶の入り口であるのでとても重要である。
つまり本発明で考案したリズム譜指導教材を見るだけで4分音符を赤色、8分音符を黄色、16分音符を緑色というように色を記憶するだけでもリズム譜の判別はしっかり出来るのである。
では何故このような「コロンブスの卵」のような逆の発想の気づきに多くの時間がかかってしまったのかというとその原因は教育にあると考える。
音楽指導者は実は子供の頃にリズム譜をそのまま丸覚えし、リズム譜の長さも4分音符が1拍、8分音符が1/2拍、16分音符が1/4拍というように指導を受けてきたのである。そしてそれは学習として何度も繰り返されたのである。本出願人も当然ながらこれに該当する。
実はこの何度も繰り返される教育こそ、その思い込みから脱する事が出来ない原因であると考える。
繰り返される学習によって思い込むという心に関する問題を証明する「鎖につながれた象」という有名な話の概要をここで紹介しておく。
あるサーカス好きの少年が、ショーの時巨大な力を発揮する象が、ショーが終わると小さな杭に鎖でつながれているのを見て「その杭を抜いて逃げ出すことは簡単なはずなのに」と不思議に思い周りの大人たちに聞いたが、つじつまの合う答えは得られなかった。しかしある日少年はその疑問に答えられる賢者にようやく出会うことができ、そして知ったのである。その答えは、
「サーカスの象が逃げないのはとても小さい時から同じような杭につながれているからだ。小さな象は、初めは押したり引いたり汗だくになって抵抗した。そして次の日も次の日も抵抗し続けたに違いない。しかしある日自分の無力さを知り抵抗をやめてしまったのである。そしてその小さな杭に対して無力だと感じた記憶を頭にこびりつかせてしまった結果、二度とその記憶について見方を変えるということを真剣にしなかったのである。だから成長して大きな力を持つようになってもその小さな杭に対しては無力だと信じておりその杭につながれたままでいるのである。」(アルゼンチン文学、寓話セラピーより、ホルヘ・ブカイ著)という内容のものである。
この物語は心理学のセラピーにも使われているものであるが、人間が繰り返し教育を受けることによって周りから見ればわかることでも、繰り返し教育を受けた人にとってその思い込みから脱するのはとても難しいという事である。
図3はピアノの指導者を有料で研修する研修会の資料であるが、4分音符をリンゴ1個と考え8分音符をリンゴ1/2と考える等、指導者の指導者といえる実力のある有能な教育者でも4分音符を1の概念から脱する思考回路に至ってないことがうかがえる。これが現実である。
つまりこのような思い込みの心理が、本願出願人が本発明に長き時間を要し試行錯誤の結果発明するに至った理由である。
・本願出願人が本発明を使って実験的レッスンで得た具体的な成果と考察。
学習者にとってリズムパターンを記憶するという事は、何度も繰り返し学習するということが不可欠である。本発明の良いところは学習する際、いつも同じ視覚的刺激にさらされることである。つまり学習者は常に同じカードや積み木により同じ方法で及び同じ思考回路で学習し続けるという事である。
例えば学習者が楽曲の中で16分音符→16分音符→8分音符のようなリズムパターンが出てきて理解するのに緑色、緑色、黄色の順で色によって積み木及びカードを並べることを繰り返しているとやがて頭の中でそれらの積み木やカードをイメージして考えることも簡単に出来るようになるのである。
基本のリズムパターンのほとんどは1拍の中で成り立っているので1拍のリズムパターンを作るには8分音符と16分音符を2個から4個を自由に組み合わせるだけでよいので視覚的にもよく分かるのである。
もちろん32分音符、64分音符でリズムパターンを作ることもできるが基本的には8分音符と16分音符の組み合わせのリズムパターンを基本としてしっかり記憶するのが大切である。この基本のリズムパターンがしっかり学習者の身に付いていれば32分音符、64分音符の理解も容易であるといえる。
そしてこの1拍を基本とするリズム譜を本発明によりセットし視覚的に見ながらメトロノームに(1拍のリズムに)合わせてトレーニングするとリズム感そのものが養われるのである。言い換えれば1拍以上のリズム譜も、1拍未満のリズム譜の1拍集合体のリズムパターンも1拍のリズム感を感じながらトレーニングされると理解が早いのである。更にしつこく付け加えるならば1拍を感じるリズム感を養うことによってあらゆるリズムパターンを体得できるのである。
そしてこのリズム譜学習用教材道具は、4分音符を1と考える概念から脱することや、複雑なリズム譜の名前を覚えなくてもリズム譜学習をすることが可能で、記憶力が良い悪いにかかわらず無理なく理解できる教材道具なのである。つまり学習者を選ばないのである。
このことは音楽指導者としての指導力を抜群に上げることは言うまでもない。
その指導力を上げた結果であるが、本出願人は自作のリズムドリル(全344問、机の上で学習者本人の利き手で、一秒間に一拍に設定したメトロノームに合わせてリズムのみを打つリズム譜トレーニング問題集、(図6、図7参照)を学習者に与えているが、この本発明を使いながら学習者が忘れかけたリズムパターンを復習しながら指導すると、約2年で難易度の高い図6や図7のような休符やタイのついたドリルを初見で見事に叩くことが出来るのである。
断わっておくがこの自作のリズムドリルの最終部分の難易度は音楽大学の学生もしくは卒業生でも、クラシック音楽ばかりの中で学習した者にとっては初見で叩くのは思わず躊躇するレベルである。
ところで難易度の高さの原因はタイにある。そしてこの本発明リズム譜学習教材道具をリズムトレーニングの手引きとして使用することによってタイのリズムにも強くなるということである。
では何故タイに強くなるかということを説明してみよう。まず前にも述べたようにほとんどの基本のリズムは1拍より成り立っている。
本願出願人の考えによれば16分音符を1と考えるのである。(但し32分音符、64分音符を扱う場合はこの限りではない事もある)
そして16分音符に言葉として「タ」をつけて言葉として発してみるのである。16分音符が2つ並んでいると「タタ」である(図8-A参照)。
更にタイで結ばれた二つの16分音符の後の16分音符は「ア」という言葉を割り当てるのである。つまり「タア」である(図8-B参照)。
(したがって8分音符も16分音符2つがタイでつながれている音符と同等といえるので「タア」ということになる(図8-C参照)。)
タイで難しさを感じさせるものは拍の弱拍と強拍を結んでいるものであるので、本発明の積み木やカードを並べて、この言葉を入れる事によりで簡単に解決できるのである。
また本発明の使用により1拍のリズムパターンのトレーニングが容易に徹底されるため、1拍より成るリズムパターンと次にくる1拍より成るリズムパターンのタイによる連結がスムーズであるといえる。この考えに基づくタイによるリズムパターンの例を(図9)に示しておく。
普通クラシック音楽の楽曲中のリズム形体はタイを多用しないが、ポップス、アニメ音楽、ジャズ等に於いてはリズム形態としてタイを多用しているのが普通である
したがってタイに強くなるということは音楽学習の楽曲の選択幅が多岐にわたるということである。
現在、本願出願人は自分のピアノレッスン指導の中で、学習者はあらゆるジャンルの楽曲に挑戦することを可能としている。つまり、学習者は自分の好む楽曲を選び、クラシック音楽に留まらず、アニメ、ポップス、
ジャズの音楽に夢を育むことが容易なのである。
現在、本願出願人は自分のピアノレッスン指導の中で年少者(幼稚園、小学校低学年)に無理なく楽しくこの自作のリズムドリルの指導に本発明を使用しながら行っている。もちろん年少者にとってもタイの理解が十分できている。
もちろんこのような指導方法を取らなくても、理解できる学習者たちもいるにはいる。しかし基本的に考えなければならない事は人間の学習理解能力は差が大きいということである。理解力や記憶力が良くなくても学習できる方法は絶対に必要である。本発明はその事を目的につくられているものである。
本願出願人はこのような観点からリズム譜を学習するにあたって本発明は次の12の利点があると考えている。
第1に本発明は音楽教育のリズム譜を理解し体得するためにリズム譜を種類ごとに色分けしそのリズム譜の長さに比例してカード又は積み木の長さを設定しリズム譜を映像として捉えイメージしやすくした上でリズム譜をトレーニングする構成であるが故、シンプルで学びやすく教えやすいのが利点。
第2に、従来の教育法と違い映像としてリズム譜を捉えるのでリズム譜の理解が早く、あらゆるリズムパターンとも結びつきが早くリズム譜を記憶したり体得したりすることに大きな影響を与え従来の教育法よりもリズム譜の理解を更に早める事が出来る利点。
第3に、学習者がカード又は積み木のリズム譜を手でもって、自由に個々のリズム譜を組み合わせることができるので学習者は容易に何度でも学習を繰り返すことが出来る利点。
第4は、カード又は積み木のリズム譜を手で握る事によりリズムへの興味を高め、ゲームのような感覚で学習者たちも楽しくレッスンできる娯楽性を伴っている利点。
第5は、本発明を使わなかった頃に比べると、指導者として、リズム指導のレッスンの負担がかなり軽減されている利点。
第6は特に1拍の各リズムパターン(図10-A、図10-B、図10-C、図10-D、図10-E参照)の理解が混乱なく素早く出来るようになる利点。
第7は、視覚的に理解する方法なので、むだな説明がいらないためピアノや各楽器の個人レッスンや、複数で教える場である学校、幼稚園、保育園、音楽教室等グループで行う授業で使うと、より混乱なく指導することが出来るし、もちろん家庭で1人ででも出来るという利点。
第8はリズムトレーニングの容易さによって上達の時間を著しく短縮できる利点。
第9は様々な楽曲の中でのリズム譜の理解やリズムトレーニングのドリルと併用できる利点。
第10に、トレーニングの手軽さよりリズムに強くなるのであらゆるジャンルの楽曲を演奏して楽しめるようになれる利点。
第11に、価格は低コストで提供できる利点。
第12は指導者がリズム譜の種類の名称を色に置き換える方法や、4分音符を1と考える概念から脱する方法を知ることで指導意識が変わり指導技術の大幅な向上が得られる利点。
次に本発明の形態にかかるリズム譜学習用教材道具について詳細に説明する。少なくともリズム譜の種類は3種類以上からなり、4分音符、8分音符、16分音符を有すれば良い(図5-A、図5-B参照)。
また各リズム譜の長さのそれぞれの種類を区別できるようにリズム譜が色分けされている。
その色付けに於いては、リズム譜そのものに色付けしてもよいしリズム譜の背面に色付けしても良い。その場合リズム譜と背面の色は異なる色を使用する。
その色の区分は自由だが例えば全音符は白色、2分音符は青色、4分音符は赤色、8分音符は黄色、16分音符は緑色というようにしても良い。もちろん同種類のリズム譜は必ず同じ色にすること。
ただし2分音符や、全音符、各付点音符、またそれらの休符においては色分けはしてもしなくてもよい。
4分音符より短い音符リズム譜は色分けをする。4分音符より短い休符リズム譜は色分けしてもしなくてもよい。
各リズム譜の形は四角形及びその変形型でもよい。ただし音の長さを示す形状の長さが明確なものでなくてはならない。
そして四角形の16分音符の形状は、例えば縦4センチ横2センチとすると、8分音符は縦4センチ横4センチ、4分音符は縦4センチ横8センチ、2分音符は縦4センチ横16センチ、全音符は縦4センチ横32センチという様な形態とする。そして積み木の場合はそれに僅かの厚みを生じる。
つまりリズム譜の音の長さの比率に正比例して音の長さを表す形状の長さを設定する。
また休符リズム譜の表示については音符リズム譜の裏面に記載すると良い。もちろんしない場合もある。その時色の表示はあっても無くても良い。
また休符リズム譜を音符リズム譜より独立させてカード又は積み木等にすることもできる。その時の色の表示や音の長さを表す形状は音符リズム譜に准ずる。
リズム譜全体の大きさは広い教室で使える大きなものから個人的に使える小さなものまで自由である。
材質においては木、プラスチック、布、紙、またディスプレイ上の映像等何でもよい。
またパソコンやゲーム機などを使った学習ソフトとして作られても良い。
リズム譜に磁石の機能をもたせてボード状の所へくっつくようにすることもできる。
また磁石の代わりにフェルトのようなくっつきやすい布で作成することもできる。
また多人数が学習するような場所であれば、ボード状のものを壁面や黒板にかけられるよう背面にフックを取り付けるとよい。その場合リズム譜が落ちないように、リズム譜は磁石やフェルトの材質を使う必要がある。
教則本所定のページにリズム譜を印刷して組み込んでおいてもよい。つまり紙面上でもよい。又、切り離されたカード又は積み木を付録とするのも良い。
1拍セットの内容は4分音符のリズム譜1個、8分音符のリズム譜2個、16分音符のリズム譜4個より成る(図11-A、図11-B参照)。
1拍セットの箱の蓋はあっても無くても良い。
更に1拍セットに図5-Aを印刷したものを加えても良い。その場合紙に印刷したのでも良いし、箱に印刷しても良い(図12-B参照)。
また1拍セットに更に8分音符(3連音符用)、付点4分音符、付点8分音符のカード又は積み木を付録として加えるのも良い。付点4分音符、付点8分音符の形状は本発明のリズム譜学習用教材道具に准ずる(図12-A参照)。
更にそれら付録のカード又は積み木を1拍セットの蓋の部分にポケットを付けて差し込むようにしても良い(図12-A参照)。
他の方法として2段の箱にして2つ目の箱に付録のカード又は積み木を付録にして入れても良い。
1拍セットの箱のサイズは手で軽く持てるのが良い。
これら1拍セットのイメージを図に示しておく。(図12参照)
次に本発明の実施方法について詳細に述べる。
学習者は本発明のリズム譜学習用教材道具でリズム譜の種類 を覚える。その時に必ずしも四分音符とか言うように本来のリズム譜の名称を覚える必要は絶対的ではない。例えば4分音符を赤色、8分音符を黄色というように区別できたので良い。もちろん正しい名称を覚えても差支えはない。大切なことは色によってリズム譜の種類を記憶することである。
したがって学習者が本来のリズム譜の名称を覚えるのが困難と判断した場合は例えば4分音符を「赤い音符」8分音符を「黄色い音符」というように記憶して良い。
そしてリズム譜を覚えるときに本発明のリズム譜学習用教材道具の図5を見て全音符から縦にそれらの種類のリズム譜を1個ずつ上から音の長さが長い順に全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符と紙に書いてみると覚えやすい。バラバラに覚えるのはあまり好ましくない(この事は認知心理学理論によるものでバラバラに覚えると思い出すとき記憶が引き出しにくい)。そして最初に覚えるときは休符や付点音符は対象としなくてかまわない。したがって各休符リズム譜や各付点音符リズム譜は各音符リズム譜を覚えた後に覚えるのが好ましい。
次にリズム譜を体で感じることが出来るようにするトレーニングであるが1泊以上のリズム譜はメトロノームにあわせて手や楽器等で叩いたり足踏みしたりすると良い。
1拍未満のリズム譜に関しては最初にそれらのリズム譜を1拍の基本リズムに組み合わせてみることが大切である。まずは8分音符や16分音符の組み合わせより始めると良い。その基本のリズムパターン5種類を示しておく(図10、図14参照)。
1拍に3つ打つ8分音符3個の3連音符についての理解であるが本発明のカード又は積み木を使って4分音符の上に8分音符を3個乗せると良い。それによって3連音符の理解が出来る(図13-A、図13-B参照)。
基本の5種類のリズムパターン(図10参照)をトレーニングする時は16分音符4個を連ねたもの(図10-B参照)から始めると良い。なぜなら16分音符を1として考えたとき8分音符は16分音符が2つタイでつながったものとして考えられるからである。したがって1拍を常に4つに感じる感覚を持っていればその他のリズムパターンも理解が早いのである。
そして本出願人の本発明を使った実験的レッスンで得た具体的な成果と考察でも述べたように((0069)〜(0072)参照)16分音符に「タ」8分音符に「タア」を割りあててゆく。そしてその後、手や楽器で叩いてトレーニングすると良い。そのリズムトレーニングの8分音符と16分音符を使った基本的リズム5種類を示しておく(図14参照)。
次に付点のリズムの理解である。
図5-Aを見ればわかることであるが、一番上に全音符次に2分音符、4分音符、8分音符16分音符と縦に並んでいるのである。そしてその並びは1つ下に行くたびに長さは半分ずつになっているのである。
したがってこの図の順番を見れば付点のついた元のリズム譜の長さプラスすぐ下のリズム譜の長さというように指導する。
そして付点8分音符の長さを考えると8分音符プラス16分音符という事になり16分音符3個分となる。トレーニングする時は付点リズムを16分音符の言葉に置き換えて、「タアア」ということになることを指導する。ここで付点8分音符を含むリズムパターンのトレーニング例を(図15)に示しておく。
問題は付点4分音符である通常付点4分音符は8分音符との組み合わせで使われるが8分音符2個連ねたリズムをしっかりトレーニングした後に4分音符と8分音符にタイをつけた感覚で学習するのが良い。
さらにタイのリズムの理解とトレーニングについては、私の考察(0068)〜(0074)と図9を参考とする。
次に休符を伴ったリズムパターンの理解とトレーニングであるが、それらは1拍のリズムパターンの一部のリズム譜が休符リズム譜に置き換わっただけであるので、トレーニングをする場合は本発明のカードまたは積み木のリズム譜の裏に休符を記しておいて1拍リズムパターンの休符の部分だけ裏返せば良い。そしてリズムの言葉としては「ン」を入れると良い。その例を示しておく(図16参照)。
また連桁を持つリズム譜との変換も1拍のトレーニングをきちんとすることによって連行のパターンを本発明の1拍セットでカードまたは積み木で並べてみることで簡単にトレーニングできる。その例を2種類選んで記しておく(図17参照)
他にも、前もって1拍のリズムパターンにあてはめて作っておいたリズム言葉覚えて、1拍の中で言葉としてリズムトレーニングをしておいた上で「タ」や「タア」の言葉に置き換えて変換をしておいて、更に本発明の1拍セットによるカード又は積み木でそのリズムパターンを並べてみる方法もある。そして慣れれば逆に1拍セットのカード又は積み木のリズムパターンを見てリズム言葉を思い出すというトレーニングに発展することが出来る。その例を(図18)に示しておく。
ある程度リズムパターンが身につけば音楽の楽曲の中での分からないリズムの理解を本発明のリズム譜学習教材道具を見たり並べたりして理解する事が出来る。またトレーニングを練習問題へ発展させることも可能である。











Claims (3)

  1. 複数種類から成るリズム譜に対し、16分音符リズム譜に対応する複数の16分音符リズム譜片と、8分音符リズム譜に対応する複数の8分音符リズム譜片と、4分音符リズム譜に対応する複数の4分音符リズム譜片を備え、前記各リズム譜片は前記各リズム譜の音の長さに応じた大きさを有すると共に、前記各リズム譜片は各リズム譜の音の長さによって色分けされていることを特徴とするリズム譜学習用教材道具。
  2. 請求項1に記載のリズム譜学習用教材道具に対し、横方向がほぼ4分音符の長さであって、縦方向が少なくとも3種類の前期リズム譜片を収納可能な長さを有する方形の箱を更に備えることを特徴とする請求項1の記載のリズム譜学習用教材道具。
  3. 請求項1に記載のリズム譜学習用教材道具を用いて、リズム譜学習を指導するリズム譜学習指導方法であって、前記リズム譜学習用教材道具の色でリズム譜の種類を判別し、更に個々の前記リズム譜学習用教材道具を色々なリズムパターンに置き換えることによって、リズムトレーニングをする事が出来る事を特徴とするリズム譜学習指導方法。









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JP2014150954A (ja) * 2013-02-07 2014-08-25 Otonotane Kk 音楽知育玩具
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