JP2010169666A - 複合体、それを用いる診断用マーカー及び診断薬、それを用いる検出方法、検出キット - Google Patents
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Abstract
【課題】 分光特性、貯蔵安定性、及び、耐光性に優れ、高輝度の新しい機能性蛍光色素の開発、かつ、該蛍光色素を用いた標的生体物質を捕捉することができる複合体の提供及び、当該機能性蛍光色素を用いて、生体組織試料、細胞試料または生体分子試料などに対して、明瞭にこれら試料の状態や局在を検出すること。
【解決手段】 特定の一般式(I)で表される化合物からなる一般式(I)で表される化合物を生体物質捕捉分子に担持させてなる複合体(蛍光標識捕捉複合体)の提供、及び、当該蛍光標識捕捉複合体と標的生体物質とを特異的に結合させ、当該標的生体物質を光学的手段で検出する手法等の確立。
【選択図】 図1
【解決手段】 特定の一般式(I)で表される化合物からなる一般式(I)で表される化合物を生体物質捕捉分子に担持させてなる複合体(蛍光標識捕捉複合体)の提供、及び、当該蛍光標識捕捉複合体と標的生体物質とを特異的に結合させ、当該標的生体物質を光学的手段で検出する手法等の確立。
【選択図】 図1
Description
本発明は、食品、生体試料、環境試料中の細菌、蛋白質、化学物質等の標的生体物質の検出に有用な複合体(蛍光標識複合体)、それを用いる診断用マーカー及び診断薬、それを用いる検出方法、検出キットに関する。
標的生体物質に対して特異的に結合する分子、例えば抗体を、蛍光標識することによって、捕捉された標的生体物質を蛍光により検出する技術開発が進められている。例えばがん細胞表面抗原に対する抗体を生体物質捕捉分子とし、この蛍光標識体を用いて、がん細胞表面抗原を捕捉及び蛍光標識し、蛍光を検出することにより、がんの診断に用いることが期待されている。
また蛍光標識抗体を用いて血球のような浮遊細胞の型を決める方法は、フローサイトメトリーとの組み合わせによって既に実用化されている。ところで、生体関連微量物質を標的生体物質として、紫外及び可視領域の波長を利用して定量・または可視化する場合、バックグラウンド(ブランク)が高くなる傾向がある。それは、通常検体に含まれるフラビン、ピリジン補酵素、または血清蛋白質等の天然物の固有蛍光(300〜500nm)に基づく。
そこで近赤外領域の光源を利用する事が可能であれば、バックグランドを排除する事が出来、結果的に被測定物質の感度を高くする事ができる。近赤外領域に吸収もしくは蛍光を発する二核型シアニン色素を生体関連物質に標識して微量観測している。その例としては、インドシアニングリーンを用いる方法(非特許文献1)やスルホン酸基もしくはスルホネート基を持つ二核型シアニン色素(特許文献1)が知られている。
しかしながら、これらの二核型シアニン色素化合物を標識剤として抗体等に複合化させた場合、光、熱、湿度、または空気中の酸素等の環境要因により酸化や架橋が生じやすく、更に水中では、加水分解が進行し、安定性が悪いという問題があった。
また、画像処理や通信等近年のデジタル化技術が急激な進歩を遂げる中、検出方法の技術の進歩もすさまじく、新しい検出方法に合わせて、貯蔵安定性の優れた高耐光性、高輝度の新しい機能性蛍光色素の開発かつ該蛍光色素を用いた標識複合体のさらなる進歩が望まれている。
Anal.Chem.,58,2649−2653頁(1986)
本発明の課題は、前記した従来技術の課題を解決し、分光特性、貯蔵安定性、及び耐光性に優れ、高輝度の新しい機能性蛍光色素の開発、かつ、該蛍光色素を用いた標的生体物質を捕捉することができる複合体の提供にある。また、本発明の別の課題は、当該機能性蛍光色素を用いて、生体組織試料、細胞試料または生体分子試料などに対して、明瞭にこれら試料の状態や局在を検出することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)からなる化合物を生体物質捕捉分子に担持させてなる複合体(蛍光標識捕捉複合体)を得る事に成功した。更に、当該蛍光標識捕捉複合体と標的生体物質とを特異的に結合させ、当該標的生体物質を光学的手段で検出する手法等を確立するに至った。
本発明の複合体(蛍光標識捕捉複合体)は、生体物質捕捉分子と下記の一般式(I)で表される化合物とが結合していることを特徴とする。
ここで、一般式(I)中、R1は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、またはアシル基を表す。R2〜R5は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはアシル基を表し、R2とR4が互いに結合して環を形成しても良い。R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。R7及びR8は各々独立して水素原子、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、アシル基、またはヘテロ環基を表す。R7とR8は互いに結合して環を形成しても良い。
また、本発明の前記複合体による前記標的生体物質を検出または定量する方法は、(i)前記標的生体物質と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子が結合した前記複合体(蛍光標識捕捉複合体)とを用意する工程と、(ii)前記標的生体物質と前記複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる工程と、(iii)前記標的生体物質と結合した前記複合体に、前記複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記複合体が発する蛍光を検出する、または蛍光の量を測定する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の前記複合体を用いる、標的生体物質を検出または定量するキットは、(i)前記標的生体物質と前記蛍光標識捕捉複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる手段と、(ii)前記標的生体物質と結合した前記複合体に、前記複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記複合体が発する蛍光を検出または蛍光の量を測定する手段と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と生体分子補足物質と結合させた新しい複合体(蛍光標識捕捉複合体)は、ストークスシフトが大きく、優れた分光特性を有する。そして、検出感度が高いため、生体組織試料、細胞試料または生体分子試料等における標的生体物質を捕捉し、明瞭にこれら試料の状態や局在を視覚化し検出することができる。また当該複合体は、水中での安定性に優れているため、生体関連微量物質の分析に適している。
本発明を詳細に説明する為に、以下に発明を実施する為の最良の形態を示す。なお、本実施形態は、本発明の複合体、それを用いる診断用マーカー及び診断薬、それを用いる検出方法、検出キットと定量キット、及びその製造方法例であるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の第一実施形態は、下記一般式(I)で表される化合物を生体物質捕捉分子に担持させてなる複合体(蛍光標識捕捉複合体)である。
ここで、一般式(I)中、R1は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、またはアシル基を表す。R2〜R5は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはアシル基を表し、R2とR4が互いに結合して環を形成しても良い。R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。R7及びR8は各々独立して水素原子、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、アシル基、またはヘテロ環基を表す。R7とR8は互いに結合して環を形成しても良い。
前記一般式(I)中のR1におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R1におけるアラルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジル基、またはフェネチル基等が挙げられる。
R1におけるアルケニル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、3−ブテニル基、またはシクロヘキセニル基等の炭素数2〜20個のアルケニル基が挙げられる。
R1におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R1におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R1におけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、または2−ナフトイル基等が挙げられる。
R1は、更に置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
R1は、本実施形態において、上記に列挙した置換基から、それぞれ独立に且つ任意に選択できるが、好ましい形態としてはアラルキル基、アルケニル基、またはアリール基等の場合が蛍光の強度が強いため好ましく、具体的には、フェニル基、ブロモフェニル基、ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルチオフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシナフチル基、ベンジルフェニル基、2,2−ジフェニルビニル基、または2,2−ジフェニルビニルフェニル基等が好ましい。更に好ましくは、フェニル基、ブロモフェニル基、ベンジル基、メチルチオフェニル基、メトキシフェニル基、またはメトキシナフチル基が好ましく、特に、メチルチオフェニル基の場合はストークスシフトが飛躍的に大きくなる傾向が認められるため好ましい。
前記一般式(I)中のR2〜R5におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R2〜R5におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R2〜R5におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R2〜R5におけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、または2−ナフトイル基等が挙げられる。
R2〜R5は更に置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
R2とR4が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、またはシクロブタン環等の飽和脂肪族環、シクロペンテン環、またはシクロヘキセン環等の部分飽和脂肪族環等が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
本実施形態において、R2〜R5として、好ましくは、各々独立して水素原子、アルキル基、またはアリール基、R2とR4が互いに結合して環を形成している場合であり、より好ましくは、R2とR4が互いに結合して環を形成している場合が化学構造上安定であるので好ましい。具体的には、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、またはシクロブタン環が挙げられる。より好ましくはシクロペンタン環が保存安定性の上からも好ましい。
前記一般式(I)中のR6におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
前記一般式(I)中のR6におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R6におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
本実施形態において、R6として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、またはアルコキシ基の場合であり、より好ましくは水素原子、またはハロゲン原子の場合である。
前記一般式(I)中のR7及びR8におけるアルケニル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−シアノアクリル酸基、エチリデンマロノニトリル基、2−エチリデンマロン酸ジメチルエステル基、2−エチリデンマロン酸ジエチルエステル基、2−エチリデンマロン酸ジブチルエステル基、5−エチリデン−4−オキソ−チオキソチアゾリジニル−3−酢酸、5−エチリデン−4−オキソ2−チオキソチアゾリジニル−3−プロパン酸、3−エチル−5−エチリデン−2−チオキソチアゾリジン−4−オン、5−エチリデン−4−オキソ−2−(3−エチル−4−オキソ−2−チオキソチアゾリデン)−4−チアゾリジニル−3−酢酸等が挙げられる。
R7及びR8におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R7及びR8におけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、または2−ナフトイル基等が挙げられる。
R7及びR8におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
本実施形態において、R7及びR8として好ましくは、化合物の合成の容易さからR7もしくはR8のどちらか一方が、シアノ基、またはカルボン酸基、ヘテロ環基を表す場合であり、特に好ましくは、R7もしくはR8のどちらか一方がシアノ基を表す場合である。
また、R7もしくはR8のどちらか一方が水素原子を表す時、もう一方は下記一般式(II)で表されるヘテロ環基を表す場合が好ましい。
一般式(II)中、R9はアルキル基、アリール基を表す。R10〜R13は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基、アミノ基、またはハロゲン原子を表す。また、R10とR11、R11とR12、またはR12とR13は互いに結合して環を形成しても良い。X−は陰イオン性基を表す。Q1は硫黄原子、酸素原子、−C(R14)(R15)−、−CH=CH−、または−N(R16)−を表す。R14〜R16は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。
一般式(II)中、R9におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R9におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R9としては、更に置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
本実施形態において、R9として好ましくは、アルキル基の場合であり、更に該カルボン酸にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩等の置換基を有すると化合物の水溶性が増し、蛍光強度も増すので好ましい。
一般式(II)中、R10〜R13におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R10〜R13におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
R10〜R13におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、またはオクタデシルオキシ基等の炭素数1〜20個のアルコキシ基が挙げられる。
R10〜R13におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
R10〜R13におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基、N−メチルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−テトラデシルアミノ基、N−フェニルアミノ基、またはN−ナフチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、またはN,N−メチルプロピルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基、またはメトキシカルボニルアミノ基等のカルボニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、またはiso−プロポキシスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基が挙げられる。
R10〜R13におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等が挙げられる。
本実施形態において、R10〜R13として、好ましくは、水素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アミノ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、スルホン酸基の場合は化合物の水溶性があがるため好ましい。また、カルボン酸塩、スルホン酸塩のような塩類の形も好ましく本発明の範疇である。
R10とR11、R11とR12、またはR12とR13が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭素数3〜10の芳香環、シクロオクタン環、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロブタン環等の飽和環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等の部分飽和環、ピリジン環、またはピリミジン環等のヘテロ環が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
また、本実施形態において、R10とR11、R11とR12、またはR12とR13が互いに結合して形成する環として、化合物の保存安定性が向上するため、ベンゼン環の場合が好ましい。
一般式(II)中、X−は陰イオン性基を表す。ここで陰イオン性基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、またはヨウ化物イオン等のハロゲンイオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、またはヘキサフルオロリン酸イオン等の無機酸イオン、テトラクロロアルミニウムイオン等の含ルイス酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、またはテトラフェニルホウ酸イオンなどの有機酸イオン等を表す。
本実施形態において、X−の陰イオン性基としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、メタンスルホン酸イオン等が好ましく、より好ましくは化合物合成の容易さからも臭化物イオン、ヨウ化物イオンの場合である。
一般式(II)中、Q1は硫黄原子、酸素原子、−C(R14)(R15)−、−CH=CH−、または−N(R16)−を表す。
Q1中、R14〜R16におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
Q1中、R14〜R16におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
本実施形態において、Q1としては、酸素原子を表す時のベンゾオキサゾリル環基、硫黄原子を表す時のベンゾチアゾリル環基、−C(CH3)(CH3)−を表す時のジメチルインドレニル環基の場合が、化合物の保存安定性が良いため特に好ましい。
一般式(I)中、R7及びR8が互いに結合して形成する環としては、特に限定されるものではないが、例えば、5〜6員環で構成される部分飽和環、または、ヘテロ環等が挙げられる。
R7及びR8が互いに結合して形成する環が5〜6員環で構成される脂肪族環としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,3−ジヒドロインデン環、インデン−1,3−ジオン環、4−シクロペンテン−1,3−ジオン環、フルオレン環、シクロヘキサノン環、または5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン環等が挙げられる。
本実施形態において、R7及びR8が互いに結合して形成する環が5員環からなるヘテロ環としては、特に限定されるわけではないが、特に好ましい例として、例えば、下記一般式(III)〜(IV)で表される環が挙げられる。
一般式(III)中、R17は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R18はアルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ヒドロキシル基、またはアミノ基を表す。一般式(IV)中、Q2は、酸素原子、硫黄原子、または−N(R21)−を表す。R19は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基をし、R20は硫黄原子、酸素原子、=NR22、ヘテロ環、ヘテロ環で置換されたメチレン基またはジシアノメチレン基を表す。R21及びR22は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。
一般式(III)中、R17及びR18におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
R17及びR18におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。更に該環には、置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
R17におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、または酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
本実施形態において、一般式(III)中、R17として好ましくは、化合物の安定性からアリール基の場合である。更にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩等の置換基を有していると水溶性が向上するため好ましい。
R18におけるカルボン酸エステル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、またはカルボン酸ブチル基等が挙げられる。
R18におけるアミノ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、無置換アミノ基、N−メチルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−テトラデシルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−ナフチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、またはN,N−メチルプロピルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ナフトイルアミノ基、またはメトキシカルボニルアミノ基等のカルボニルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、tert−ブチルスルホニルアミノ基、またはiso−プロポキシスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基が挙げられる。
本実施形態において、一般式(III)中、R18として好ましくは、化合物の合成の容易さからアルキル基、アリール基、カルボン酸基、またはアミノ基であり、特に好ましくは、アルキル基、カルボン酸基である。
一般式(IV)中、Q2は、酸素原子、硫黄原子、または−N(R21)−を表す。
一般式(IV)及びQ2中、R19及びR21〜R22におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、または分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基等が挙げられる。
更に、置換基を有していてもよく、化合物の保存安定性を著しく阻害するものでなければ特に限定されるものではない。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、またはtert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、またはナフチル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、またはブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、またはナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、チオメチル基、チオエチル基、チオプロピル基、チオブチル基、またはチオフェニル基等のアルキルスルファニル基、メチルアミノ基、またはブチルアミノ基等のモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、またはジフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはカルバモイル基等のアシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、またはスルファモイル基等のスルホニル基、ピリジル基、トリアジニル基、またはベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子等のハロゲン原子、ポリエチレングリコール基、または4級アンモニウム塩、カルボン酸塩基、またはスルホン酸塩基等の塩類が挙げられる。
これらの置換基で水溶性を向上させる性質のある置換基を有する事が好ましく、これらに限定されるわけではないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩が特に好ましい。
一般式(IV)及びQ2中、R19及びR21〜R22におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、またはアントラセニル基等の6〜14員環の単環式または多環式アリール基が挙げられる。
一般式(IV)及びQ2中、R19〜R22におけるヘテロ環基としては、特に限定されるものではないが、4〜10員環の単環式または二環式の窒素、または酸素及び硫黄から選択される1〜4個の原子を含有するヘテロ環基が挙げられ、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、2−チオキソチアゾリジン−4−オン基またはベンゾチエニル基等が挙げられる。
本実施形態において、一般式(IV)中、R19として好ましくは、アルキル基の場合であり、更に該アルキル基にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩等の置換基を有すると化合物の水溶性が増し、蛍光強度も増すので好ましい。
本実施形態において、一般式(IV)中、R20として好ましくは、硫黄原子、酸素原子、ヘテロ環、またはヘテロ環で置換されたメチレン基の場合である。R20が硫黄原子の場合は染色性が良くなる傾向があり、3位に置換基を有する2−チオキソチアゾリジン−4−オンのようなヘテロ環の場合には、最大蛍光波長の検出が近赤外波長の領域に長波長化するものが多いため、近赤外での応用に用いる事ができるためより好ましい。
前記、一般式(I)で表される化合物中にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基を少なくとも1つ以上有すると水溶性が向上するため好ましい。また、カルボン酸もしくはスルホン酸の塩類も本発明の範疇である。これらの具体的な例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、またはカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、またはカルシウム塩等のようなアルカリ土類塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ピペリジニウム塩、またはトリエチルアンモニウム塩等のアミン塩、トリプトファン塩、リジン塩、ロイシン塩、フェニルアラニン塩、バリン塩、またはアルギニン塩等のアミノ酸塩が挙げられる。好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、またはピペリジニウム塩等である。
以下に、本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例(1)〜(49)を示すが、下記の例に限定されるものではない。また、本発明の一般式(I)で表される化合物には、シス体及びトランス体の構造異性体も存在するものがあるが、それらも本発明の技術的範囲内に属する。
本実施形態の蛍光標識捕捉複合体に担持させる一般式(I)で表される化合物は、優れた分光特性を持つため、当該蛍光標識捕捉複合体は標的生体物質と特異的に結合させることにより、標的生体物質を光学的手段で感度よく明瞭に検出することができる。そのため、例えば、生体組織試料、細胞試料または生体分子試料などに対して、明瞭にこれら試料の状態や局在を検出することができる。
また、本実施形態では、蛍光標識捕捉複合体の生体物質捕捉分子の選択は、分析すべき標的生体物質または被検体によって適宜選択する事ができる。例えば、生体物質捕捉分子は被検体に対して、特異的結合性を示すものを選択する。
本実施形態の生体物質捕捉分子としては、特に制限されないが、例えば、天然もしくは合成ペプチド、蛋白質、酵素、糖類、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプター、サイトカイン、オータコイド、神経伝達物質、ウイルス、細菌、抗原、抗体、臨床病理的に有用な物質、またはそれらの一部等が挙げられる。
生体物質捕捉分子の臨床病理的に有用な物質としては、特に制限されるものではないが、例えば、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD等の免疫グロブリン、補体、CRP.フェリチン、α1マイクログロブリン、β2マイクログロブリン等の血漿タンパク及びそれらの抗体、α−フェトプロテイン、癌胎児抗原(CEA)、前立線性酸性ホスファターゼ(PAP)、CA19‐9、CA‐125等の腫瘍マーカー及びそれらの抗体、黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト繊毛性ゴナドトロビン(hCG)、エストロゲン、インスリン等のホルモン類及びそれらの抗体、HBV関連抗原(HBs.HBe.HBc).HIV.ATL等のウイルス感染関連物質及びそれらの抗体、等が挙げられる。
さらに、ジフテリア菌、ボツリヌス菌、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ等のバクテリア及びそれらの抗体、トキソプラズマ、トリコモナス、リーシュマニア、トリバノゾーマ、マラリア原虫等の原虫類及びそれらの抗体、ELM3、HM1、KH2、v6.5、v17.2、v26.2(由来マウス129、129/SV、C57BL/6、BALB/c)等のES細胞及びそれらの抗体、フェニトイン、フェノバルビタール等の抗てんかん薬、キニジン、ジゴキニシン等の心血管薬、テオフィリン等の抗喘息薬、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン等の抗生物質等の薬物類及びそれらの抗体、その他の酵素、菌体外毒素(スチレリジンO等)及びそれらの抗体等も挙げられる。また、Fab’2、Fab、Fv等の抗体断片も用いる事ができる。
また、本実施形態の複合体は、生体物質捕捉分子と直接結合してもよいし、リンカーもしくは蛋白質を介して結合してもよい。蛋白質を介した結合は、特に限定されるものではないが、例えばアルブミン等の蛋白質に一般式(I)で表される化合物と生体物質捕捉分子を導入し、アルブミン等の蛋白質を介して一般式(I)で表される化合物と生体物質捕捉分子を結合してもよい。アルブミン等の蛋白質には、前記一般式(I)で表される化合物を1分子あたり1または2以上、好ましくは約10個以上導入することができ、抗体などの生体物質捕捉分子の導入も容易にできるため、このような蛋白質を用いた複合体は本発明の好ましい実施態様である。
また、アルキレン鎖、ポリオキシエチレン鎖や、ポリオキシプロピレン鎖などのリンカーを介して生体分子補足物質と前記一般式(I)で表される化合物を結合してもよい。
本実施形態において、標的生体物質となる具体的な蛋白質としては、いわゆる疾患マーカーが挙げられる。疾患マーカーとしては、特に制限はされるものではないが、例えば、α−フェトプロテイン(AFP)、PIVKA−II、BCA225、塩基性フェトプロテイン(BFP)、CA15−3、CA19−9、CA72−4、CA125、CA130、CA602、CA54/61(CA546)、癌胎児性抗原(CEA)、DUPAN−2、エラスターゼ1、免疫抑制酸性タンパク(IAP)、NCC−ST−439、γ−セミノプロテイン(γ−Sm)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)、神経特異エノラーゼ(NSE)、扁平上皮癌関連抗原(SCC抗原)、シアリルLeX−i抗原(SLX)、SPan−1、組織ポリペプタイド抗原(TPA)、シリアルTn抗原(STN)、シフラ(cytokeratin:CYFRA)ペプシノゲン(PG)、C−反応性タンパク(CRP)、血清アミロイドAタンパク(SAA)、ミオグロビン、クレアチンキナーゼ(CK)、トロポニンT、心室筋ミオシン軽鎖I等が挙げられる。
標的生体物質となる細菌としては、細胞微生物学的検査の対象とされる細菌であり、特に制限されるものではないが、例えば、大腸菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌、公衆衛生に問題の生じる菌等が挙げられる。
標的生体物質となるウイルスとしては、特に制限されるものではないが、例えば、C型、B型肝炎ウイルスの抗原等の肝炎ウイルス抗原、HIVウイルスのp24タンパク抗原、CMV(サイトメガロウイルス)のpp65タンパク抗原、HPV(パピローマウイルス)のE6或いはE7タンパク等が挙げられる。
検体中の被測定標的生体物質と抗原−抗体反応等を起す物質が検体の種類に応じて適宜選択して使用する事ができる。これらは定法に従って調製する事が可能である。
本実施形態において、前記複合体を製造する方法は、(i)生体物質捕捉分子と、前記生体物質捕捉分子に結合する一般式(I)で表される化合物とを用意する工程と、(ii)前記生体物質捕捉分子と前記一般式(I)で表される化合物とを反応し、結合させる工程と、を含むことを特徴とする。
ここでの生体物質捕捉分子及び一般式(I)で表される化合物は上述したものであり、その目的に応じて当業者はこれに適合した生体物質捕捉分子を適宜選択することができる。また、生体物質捕捉分子と一般式(I)で表される化合物とを反応させ、結合させる工程において、以下のような方法で結合させることができるが、本発明はそれに限定されない。当業者は、その目的に適合した結合方法を適宜に選択することができる。
本実施形態において、一般式(I)で表される化合物を生理活性化合物等の生体物質捕捉分子に結合担持(固定化)させるには、例えば、イオン結合法、物理吸着法、または共有結合法等の公知の方法によって容易に達成する事ができる。特に共有結合法による担持は、一般式(I)で表される化合物または生体由来の少なくとも一方に反応性の高い官能基を含有させ、これを介して両者を強固な共有結合で結合させるため好ましい。
共有結合法により一般式(I)で表される化合物と生体物質捕捉分子とを結合させる際に、生体物質捕捉分子中の結合に関与可能な官能基としては、特に制限はされないが、例えば、アミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシル基、リン酸基、スルホン酸基、イミダゾール基等が挙げられる。より好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基である。これらの官能基は、種々のジアゾニウム基、酸アミド、イソシアナート、活性型のハロゲン化アルキル、活性型のエステル基等と反応させる事ができる。
生体関連物質、特に蛋白質からなる生体物質捕捉分子の高次構造は、水素結合、疎水結合、イオン結合等の比較的弱い結合で保持されており壊れやすい。このため、一般式(I)で表される化合物との反応に際しては、穏和な条件下で行う事が好ましい。
穏和な条件下としては特に制限はされないが、例えば、一般式(I)で表される化合物と生体物質捕捉分子の官能基に反応する二官能性の架橋剤を使用する事ができる。二官能性の架橋剤としては、特に制限はされないが、例えば、カルボジイミド、ジアルデヒド、ジイソシアネート等が挙げられ、好ましくはカルボジイミドである。
カルボジイミドとしては、特に制限はされないが、例えば、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル、N−ヒドロキシスクシンイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDAC)等が挙げられる。
本発明の第二実施形態は、第一実施形態で説明した複合体を含む診断用マーカーである。特に、組織に対する障害性が少ない近赤外線あるいは遠赤外線の照射により励起されて蛍光を発する標識用化合物を選択し、これを生体物質捕捉分子に結合させた複合体を用いることにより、生体に適用可能な診断用マーカーを提供できる。
具体的には、がん細胞などを特異的に認識する抗体に、近赤外線あるいは遠赤外線の照射により励起されて蛍光を発する一般式(I)の化合物を結合したものが挙げられる。
具体的には、がん細胞などを特異的に認識する抗体に、近赤外線あるいは遠赤外線の照射により励起されて蛍光を発する一般式(I)の化合物を結合したものが挙げられる。
本発明の第一実施形態で説明した抗体等を用いて、本発明の診断用マーカーを構成することができる。例えば、がん細胞には、がん細胞特異的な遺伝子産物などのがん抗原が存在する。このがん抗原に特異的に結合する抗体を用いることで、がん細胞やがん組織などの病巣が本発明の診断用マーカーにより免疫的に染色される。その後、赤外線レーザーなどを用いて近赤外線ないし遠赤外線を照射することにより、蛍光を発する病巣を確認することができる。また抗体には、生体に存在する様々な抗原に対する結合能を有する抗体を適宜用いることが出来る。
本実施形態において、一般式(I)で表される化合物をアビジンまたはビオチン、または二次抗体などの増幅系物質に結合させ複合体とすることができる。例えば、がん抗原に特異的に結合する抗がん抗体(A)とビオチン(B)を結合させた、ビオチン標識化抗がん抗体(AB)を用いて、がん細胞またはがん組織を一次標識する。さらに、このビオチン標識化抗がん抗体を標的生体物質とするアビジン(C)と、一般式(I)で表される化合物と(D)、を結合させた複合体(CD)を二次標識として製造する。これらの複合体を接触させると、ビオチンとアビジンの親和力が強いため、複数の二次標識が結合した複合体(AB(CD)n)が形成され、一般式(I)で表される化合物(D)を指標にがん抗原からの信号を増幅して検出することができる。同様に、抗がん抗体(A)を用いてがん細胞またはがん組織中のがん抗原を一次標識し、次に抗がん抗体を標的生体物質とする二次抗体(E)と一般式(I)で表される化合物(D)を結合させた複合体(ED)を用いることで、がん抗原からの信号を増幅して検出することが出来る。
増幅系物質としては、前記のように、特定の標的生体物質に対して、結合する複合体の割合を増幅させるものならばいかなるものを用いてもよい。
前記の説明した標的生体物質は例示のための一態様であり、本発明の診断用マーカーに用いることができる標的生体物質は上記のものに限定されることはない。検査・診断の目的となる標的細胞や標的組織に実質的に、直接的、または間接的に特異的に結合する性質を有するものならば、いかなるものを標的生体物質として用いてもよい。
また、本実施発明の診断用マーカーは、600〜800nmの波長の励起光を照射することにより650nm以上、好ましくは680〜1100nm、特に好ましくは700nm〜900nmの波長の蛍光を発する一般式(I)で表される化合物からなるものである。このような一般式(I)で表される化合物としては、600〜800nmの波長の励起光を照射することにより650nm以上の波長の蛍光を発するものならば、いかなるものを用いてもよい。本発明の診断用マーカーは、使用目的や使用する励起光の種類などに応じて、当業者により適宜選択可能である。
さらに、本実施形態において、一般式(I)で表される化合物を、例えば、シアニン系、フタロシアニン系、ジチオールニッケル錯体系、ナフトキノン系、アントラキノン系、インドフェノール系、アゾ系などの近赤外線吸収性の化合物と直接あるいはリンカーを介して結合させた場合、吸収極大波長が長波長側に移動することがある。そのため、一般式(I)で表される化合物自体の励起光の波長は600nmを下回っても差し支えない。
本発明の診断用マーカーの使用態様は生体に適用するものに限定されることはなく、生体外に摘出した組織や標本などに適用可能である。
本発明の第三実施形態は、第二実施形態で説明した診断用マーカーを有効成分として含むことを特徴としている診断用組成物(診断薬)である。本実施形態の診断薬は、近赤外線ないし遠赤外線により励起することができ、診断にあたり生体組織やDNAの損傷を惹起することがないので有用である。また、本実施形態の診断薬は、1種あるいはそれ以上の第二実施形態の診断用マーカーを含んでいてもよい。
本実施形態の診断薬は、例えば、上記の診断用マーカーを生理食塩水やリン酸緩衝液などの水系媒体に溶解した溶液剤、あるいは、微粒子状粉末や凍結乾燥粉末等の固形剤として提供される。診断薬の形態は上記のものに限定されることはなく、当業者が使用目的などに応じて適宜選択可能である。
本実施形態の診断薬は、薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物を添加する事ができる。例えば、ブドウ糖、乳糖、D−マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D−マンニトール、グリセリン等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤;ビタミンA、ビタミンE、コエンザイムQなど安定化に寄与しうる薬剤等の製剤用添加物を添加してもよい。
本実施形態の診断薬は、例えば、
赤外線内視鏡を用いた検査に使う事が出来る。病巣の存在が疑われる組織に、上記診断薬を噴霧あるいは塗布して病変部に接触させ、適宜洗浄した後、近赤外線ないし遠赤外線を照射して蛍光を検出する事で病巣を見つけ出す事が出来る。照射する励起波長は、600〜800nmであり、好ましくは650nm〜780nm、特に好ましくは680nm〜750nmである。
赤外線内視鏡を用いた検査に使う事が出来る。病巣の存在が疑われる組織に、上記診断薬を噴霧あるいは塗布して病変部に接触させ、適宜洗浄した後、近赤外線ないし遠赤外線を照射して蛍光を検出する事で病巣を見つけ出す事が出来る。照射する励起波長は、600〜800nmであり、好ましくは650nm〜780nm、特に好ましくは680nm〜750nmである。
本実施形態の診断薬は、静脈注射や経口服用等により投与し、生体内における標的生体物質に対する特異的結合により疾病を診断する事が可能である。小動物であれば、蛍光イメージング装置としてXenogen社製のIVIS(登録商標)ImagingSystem等を利用できる。
本発明の第四実施形態は、複合体による標的生体物質を検出する方法であり、(i)前記標的生体物質と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子に一般式(I)で表される化合物が結合している複合体(蛍光標識捕捉複合体)とを用意する工程と、(ii)前記標的生体物質と前記複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる工程と、(iii)前記標的生体物質と結合した前記複合体に、前記複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記複合体が発する蛍光を検出する工程と、を含む、ことを特徴とする。
本発明の第五実施形態は、標的生体物質の定量を行う方法であり、(i)前記標的生体物質と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子に一般式(I)で表される化合物が結合している複合体を用意する工程と、(ii)前記標的生体物質と前記複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる工程と、(iii)前記標的生体物質と結合した前記複合体に、前記複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記複合体が発する蛍光の量を測定する工程と、を含むことを特徴とする。
ここでの生体物質捕捉分子及び一般式(I)で表される化合物は前記第一実施形態で説明したもので、当業者は目的とする複合体を製造するために、その目的に適合した生体物質捕捉分子を選択することができる。また、前記生体物質捕捉分子と前記一般式(I)で表される化合物とを反応し、結合させる工程において、以下のような方法で結合させることができるが、それには限らない。当業者は、その目的に適合した結合方法を適宜に選択することができる。
ここでいう(ii)前記標的生体物質と前記複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる工程とは、前記第一実施形態において説明したように、荷電基間の相互作用(静電結合)、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス力等を用いることができる。
本実施形態(第四及び第五実施形態)は、前記第一実施形態において得た複合体(を生体物質捕捉分子に担持させた蛍光標識捕捉複合体を用いて、特定の目的物質(標的生体物質)の検出、及び、定量を行う方法である。いずれの方法でも、以下で説明するように、標的生体物質と結合した複合体に、複合体が吸収する波長域の光を照射し、複合体が発する蛍光の検出及び、定量を行うことで標的生体物質を検出し定量を行う方法である。
なお、本実施形態では、より効率的に、標的生体物質を検出し定量を行うため、工程(ii)において、標的生体物質と結合しなかった蛍光標識捕捉複合体と、標的生体物質と結合した前記蛍光標識捕捉複合体とを分離する工程をさらに含むことが好ましい。
ここで用いる分離する方法として、抗原抗体反応を利用して検出する場合を例にすると一般式(I)で表される化合物を抗原(あるいは抗体)に結合させた複合体と、測定すべき抗体(一般式(I)で表される化合物が抗体の方に結合している場合は抗原)とを、抗原抗体反応させて、抗体(抗原)と結合した複合体(B=結合型)を抗体(抗原)と結合しなかった複合体(F=遊離型)から分離した後(B/F分離)、結合した複合体(B)の量を蛍光量から決定できる。上記に示した抗原抗体反応を利用した手法は“検査と技術”vol・16No7(1988)に詳しく記載されている。
本実施形態では、B/F分離を容易にするために測定対象物質に対するプローブを微粒子に固定して固定化担体としてサンドイッチアッセイにより検出する事ができる。その原理の一態様を図1に示すが、本発明がこれに限定させるわけではない。図1には、測定対象物質(標的生体物質)Tに特異的に結合しうる生体物質捕捉分子A(抗原、抗体等)を担持させた固定化担体と、測定対象物質Tに対する標識複合体(蛍光標識捕捉複合体)B、及び、測定対象物質Tがサンプルにある状態を示している。そこで、サンドイッチアッセイによって蛍光標識捕捉複合体Bは測定対象物質Tと生体物質捕捉分子Aを介して固定化担体上に結合する。反応後、結合しなかった蛍光標識捕捉複合体BをB/F分離する事により測定対象物質Tの有無を確認したり、定量したりする事ができる。
本発明の蛍光標識捕捉複合体(複合体)は、標的生体物質(分析対象物)が一種の細胞もしくは微生物である時は、蛍光標識捕捉複合体の生体物質捕捉分子部分が、抗原、抗体、またはその一部と特異的結合で結合するため、蛍光量から抗原、抗体、またはその一部の検出及び/または定量を行うことができる。
本発明で用いられる観察方法は、標的生体物質と蛍光標識捕捉複合体に影響を与えなければ特に制限はされないが、標的生体物質の状態、局在、及び変化を画像とし捉える方法である。例えば、観察対象物に可視光または近赤外光を照射してカメラやCCD等で観察する赤外光観察、蛍光顕微鏡、蛍光内視鏡、多光子励起蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、または共焦点内視鏡等のように標的生体物質に対して励起光光源から励起光を照射する。それによって発光している蛍光標識捕捉複合体の蛍光を観察する蛍光観察等が挙げられる。
また、本発明の蛍光標識捕捉複合体は、標的生体物質と蛍光標識捕捉複合体に影響を与えなければ特に制限はされないが、例えば、ウエスタンブロッティング、プロテインアレイ、フローサイトメトリー、蛍光ELISA、蛍光免疫染色、FRET、invivoイメージング等に適用する事ができる。
本発明で用いられる励起するための波長は、標的生体物質と蛍光標識捕捉複合体に影響を与えなければ特に制限はされないが、使用する蛍光標識捕捉複合体によって異なり、本発明の蛍光標識捕捉複合体が効率よく蛍光を発すれば特に限定はされない。通常、200〜1010nm、好ましくは400〜900nm、より好ましくは、480〜800nmである。近赤外領域の光を用いる場合は、通常600〜1100nmで、好ましくは、生体透過性に優れている650〜900nmの波長が用いられる。
本発明で用いられる蛍光励起光源としては、標的生体物質と蛍光標識捕捉複合体に影響を与えなければ特に制限はされないが、各種レーザー光源を用いることができる。例えば、色素レーザー、半導体レーザー、イオンレーザー、ファイバーレーザー、ハロゲンランプ、キセノンランプ、エバネッセント波、またはタングステンランプ等が挙げられる。また、各種光学フィルターを用いて、好ましい励起波長を得たり、蛍光のみを検出したりする事ができる。
このように観察対象物に励起光を照射する事により観察対象物の内部において発光させた状態で観察対象物を撮像すれば発光部位を容易に検出する事ができる。また、可視光を照射して得られた明視野画像と励起光を照射して得られた蛍光画像を画像処理手段で組み合わせる事で、より詳細に観察対象物中の標的生体物質を観察する事もできる。
本発明の蛍光標識捕捉複合体は、ストークスシフトが大きいものが多数存在する。本発明で言うストークスシフトとは、励起極大波長と蛍光極大波長の差を表すものとする。一般的に、ストークスシフトが小さいと、励起光やその散乱光による測定誤差を生じやすい。そのため、2種以上の標的生体物質に対する蛍光標識捕捉複合体を目的に応じて相応しいものを選択する事で、1つの励起波長の光で複数の標的生体物質を同時に検出する事や、同じ部位に存在する標的生体物質を蛍光波長の違いでより詳細に観察する事もできる。
本発明の蛍光標識捕捉複合体は、溶解した成分、例えば、血清、唾液、鼻汁、涙液等の体液中に含まれる成分を検出する事ができる。
本実施形態の蛍光標識捕捉複合体は、1分子の測定対象物質に対し、2分子以上の一般式(I)で表される化合物が結合していると検出時の感度が向上するためより好ましい。
本実施形態の蛍光標識捕捉複合体における一般式(I)で表される化合物の結合量は生体物質捕捉分子1分子に対し1〜10分子の範囲であり、より好ましくは1.5〜5分子、特に好ましくは2〜4分子である。
本実施形態発明の検出方法及び定量する方法において、検出もしくは定量する際には、界面活性剤を添加する事ができる。界面活性剤を添加する事でS/N比が向上し、検出感度が向上する。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤のような化学合成された界面活性剤を用いることができる。その他、天然物由来及びこれを酵素等により改質したものも用いることができる。これらの界面活性剤は、単独若しくは併用して用いることができる。
界面活性剤の使用量は、測定溶媒に対し0.001〜10重量%の範囲で用いられ、より好ましくは0.005〜5重量%の範囲であり、特に好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
界面活性剤としては、特に限定されないが、イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖または分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、塩化、臭化またはヨウ化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化、臭化またはヨウ化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルまたはジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
また、高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、ポリリン酸等の陰イオン性高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性高分子等が挙げられる。
一方、天然物由来及びこれを酵素等により改質した界面活性剤としては、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、アラビアゴム等の天然ゴム、サポニン等のグルコキシド、アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子や、レシチン、酵素分解レシチンといった食品用界面活性剤が挙げられる。
本発明の第六実施形態は、前記第一実施形態の複合体を用いる、標的生体物質を検出するキットである。当該キットは、(i)前記標的生体物質と前記蛍光標識捕捉複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記蛍光標識捕捉複合体と前記標的生体物質とを結合させる手段と、(ii)前記標的生体物質と結合した前記蛍光標識捕捉複合体に、前記蛍光標識捕捉複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記蛍光標識捕捉複合体が発する蛍光を検出する手段と、を含むことを特徴とする。
本発明の第七実施形態は、前記第一実施形態の複合体を用いる、標的生体物質を検出するキットである。当該キットは、(i)前記標的生体物質と前記蛍光標識捕捉複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記蛍光標識捕捉複合体と前記標的生体物質とを結合させる手段と、(ii)前記標的生体物質と結合した前記蛍光標識捕捉複合体に、前記蛍光標識捕捉複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記蛍光標識捕捉複合体が発する蛍光の量を測定する手段と、を含むことを特徴とする。
本実施形態(第六及び第七実施形態)は、前記第四及び第五実施形態を応用したキットである。そこに、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子に一般式(I)で表される化合物が結合している複合体を提供する手段、をさらに含むことができる。
ここでの生体物質捕捉分子及び一般式(I)で表される化合物は、前記第一実施形態で説明したもので、当業者は目的とする複合体を得るために、その目的に適合した生体物質捕捉分子を選択することができる。また、前記生体物質捕捉分子と前記一般式(I)で表される化合物とを反応し、結合させる工程において、以下のような方法で結合させることができるが、それには限らない。当業者は、その目的に適合した結合方法を適宜に選択することができる。
本実施形態の標的生体物質を検出するキット及び標的生体物質を検出するキットは、本発明の蛍光標識捕捉複合体を含むことを特徴とし、さらに、前記一般式(I)〜(V)で表される化合物と二官能性の架橋剤とを含むことが好ましい。
本発明の第八実施形態は、前記第一実施形態の複合体を用いる、標的生体物質を分析する方法である。当該方法は、(i)前記標的生体物質と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子に一般式(I)で表される化合物が結合している複合体と、光学的透明材から成り光入出射部と光導波部とを有する光学プローブとを用意する工程と、(ii)前記光学プローブの光導波部表面に、前記生体物質捕捉分子を固定化する工程と、(iii)前記標的生体物質と前記固定化された生体物質捕捉分子とを反応し、前記光学プローブの光導波部表面に、前記標的生体物質を捕捉する工程と、(iv)前記複合体と前記捕捉された標的生体物質とを反応し、前記光学プローブの光導波部表面に、前記複合体を捕捉する工程と、(v)前記光学プローブの光入出射部から、前記複合体が吸収する波長域の光を入射する工程と、(vi)前記光学プローブの光入出射部から出射された、前記捕捉された複合体が発する蛍光を測定する工程とを含むことを特徴とする。
工程(i)で用意する前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子(Aとする)と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子に一般式(I)で表される化合物が結合している複合体(Bとする)は、共に前記標的生体物質に対して特異的に結合可能である。(A)に対する標的生体物質の結合部位(aとする)と、(B)に対する標的生体物質の結合部位(bとする)は、相異なることが好ましい。但し、(a)が標的生体物質中に複数存在する場合には、(b)と(a)は同じでも構わない。
工程(i)で用意する光学プローブは、光学的透明材から成り光入出射部と光導波部とを有する。光学的透明材としては、特に限定するものではないが、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどが挙げられ、離型剤や外部潤滑剤は、支障のない範囲で用いてもよい。
光導波部の形状は特に限定するものではないが、円柱状又は板状などが挙げられる。光プローブの光入出射部は、光入射部と光出射部として分離されていてもよい。
工程(ii)の前記光学プローブの光導波部表面に、前記生体物質捕捉分子を固定化する操作は、マイクロタイタープレートなどの固相表面に抗体等のタンパク質を固定化するために採られている当該技術分野の公知の方法を用いることができる。すなわち物理的吸着法、化学的結合法などである。
工程(ii)から工程(iv)により、光学プローブの光導波部表面に標的生体物質の量に相関する量の(B)が捕捉されることになる。
工程(v)により、光入出射部から入射された励起光は、光学プローブ内部を全反射光として伝播され、光導波部に導かれ、光導波部表面に発生させたエバネッセント波により、光導波部表面に捕捉されている(B)を励起する。
工程(vi)により、光導波部表面に捕捉されている(B)から発せられた蛍光は、光プローブの光導波部を伝播し、光入出射部から出射される。計測される蛍光量は、光導波部表面に捕捉されている(B)の量に相関し、また上記のごとく(B)の量は標的生体物質の量に相関するので、計測された蛍光量から標的生体物質の量を推定することが可能となる。
光プローブの光入出射部と光導波部は光学的に連続であることが好ましい。光入出射部と光導波部は光学的に連続であるとは、伝播された光による光導波部表面に捕捉されている(B)の励起が可能であり、また複合体から発せられた蛍光を光入出射部から出射される光として検出可能であることである。
工程(i)で用意する複合体(B)は、ストークスシフトが大きいため、入射光と出射光との分離識別が容易になるという特徴がある。この特徴を利用すれば、複数種類の標的生体物質に対して、その各々に特異的に結合可能な複数種類の(A)と、蛍光波長の違いに基づき各々の分離識別が可能な複数種類の(B)を使用することにより、一つの光学プローブで複数種類の標的生体物質を分析することなどが可能になる。
また前記一般式(I)で表される化合物は、経時安定性に優れるため、光学プローブの洗浄工程を通じて蛍光強度が保持されるという特徴がある。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例)
アルデヒドB3.0g(11.4mmol)の酢酸20mL溶液に化合物C3.7g(11.6mmol)、酢酸アンモニウム1.0gを添加して、還流下2時間攪拌させた。反応終了後、冷却させながら、ゆっくり水50mLを滴下して室温まで冷却した。析出した個体をろ過して、水100mLで2回洗浄し、更に、2−プロパノール50mLで洗浄して、化合物(6)3.8g(収率59.1%)を得た。
同様にして次の表の化合物を合成した。各化合物の励起波長、蛍光波長、及びストークスシフトを掲げる。各化合物の励起波長および蛍光波長は、化合物を10mg/mLでDMSOに溶解した溶液を精製水に500倍希釈した水溶液を、日立ハイテク社製FL4500蛍光分光測定機で測定して求めた。
(実施例1)
化合物(6)100μMのジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記する)溶液を調製した後、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(DSC:ナカライテスク株式会社製)100μMを添加して室温下12時間攪拌した。反応修了後、ジエチルエーテル150mLで希釈し、析出した固体をろ過し、得られた固体をジエチルエーテル20mLで2回洗浄し、粗活性エステル体Aを得た。
化合物(6)100μMのジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略記する)溶液を調製した後、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(DSC:ナカライテスク株式会社製)100μMを添加して室温下12時間攪拌した。反応修了後、ジエチルエーテル150mLで希釈し、析出した固体をろ過し、得られた固体をジエチルエーテル20mLで2回洗浄し、粗活性エステル体Aを得た。
次に抗ヒトCRPヒツジ血清(IgG抗体)(Cooper Biomedical Inc.製)と活性エステル体Aを室温下で30分反応させた後、反応混合液をPBSバッファ4mLでPD−10カラムを用いて溶出させ、未反応の色素活性エステル体を除去した。更にアミコンウルトラ4(30K)を用いて濃縮し、抗体を化合物(6)で標識させた標識複合体を得た。得られた標識複合体の吸収スペクトルを図2に、励起・蛍光スペクトルを図3に示す。
(実施例2〜3)
実施例1において使用した化合物、IgG抗体を表1に示した一般式(I)で表される化合物、生物関連物質〈抗ヒトHCGモノクローナル抗体(ZyMED Lab.Inc.製品)、レクチン・コンカナバリンA(E.Y.ラバラトリー社製品)〉に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、対応する化合物で標識させた標識複合体を得た。
実施例1において使用した化合物、IgG抗体を表1に示した一般式(I)で表される化合物、生物関連物質〈抗ヒトHCGモノクローナル抗体(ZyMED Lab.Inc.製品)、レクチン・コンカナバリンA(E.Y.ラバラトリー社製品)〉に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、対応する化合物で標識させた標識複合体を得た。
(比較例1〜2)
実施例1において使用した化合物(6)を下記比較色素化合物(M)または(N)に記載した化合物に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、比較色素化合物(M)または(N)で標識させた各標識複合体を得た。
実施例1において使用した化合物(6)を下記比較色素化合物(M)または(N)に記載した化合物に変更した以外は、実施例1と同様の操作で、比較色素化合物(M)または(N)で標識させた各標識複合体を得た。
前記染色実施例1〜3、前記染色比較例1〜2の各標識複合体を10ng/mLのPBS溶液になるように調製し、ガラス製の密閉容器に入れ、常温で1ヶ月間静止放置した。保存安定性テストの開始時の吸光度及び蛍光強度を所定の波長で測定しその変化率を調べた。図4に、実施例1の保存安定性テストの開始時(Day 0)、1日後(Day 1)、および1週間後(Day 7)の励起スペクトルを示す。保存安定性は、以下の基準に従って評価した。(◎:吸光度及び蛍光強度の変化率が5%未満で、保存安定性に非常に優れる、○:吸光度及び蛍光強度の変化率が5〜15%で、保存安定性に優れる、×:吸光度及び蛍光強度の変化率が15%より大きく、保存安定性が悪い)。
以上の結果を次の表2に示す。
表2から本発明の標識複合体は、ストークスシフトが大きいため、検出において励起と蛍光の分離が容易である。そのため、S/N比が高く、生体関連物質の標的生体物質が同じでも検出感度は著しく向上する。
(実施例4)
化合物(6)の代わりに化合物(24)を用いる他は実施例1と同様にして、粗活性エステル体[化合物(42)]を得る。
化合物(6)の代わりに化合物(24)を用いる他は実施例1と同様にして、粗活性エステル体[化合物(42)]を得る。
抗ヒトCRPヒツジ血清の代わりに抗ヒトCD45モノクローナル抗体(Abnova社製MEM−28クローン)を用いる他は実施例1と同様にして、抗体を化合物(24)で標識させた標識複合体を得る。標識複合体の励起極大波長、蛍光極大波長はそれぞれ591nm、670nmであることを確認する。
化合物(6)の代わりに化合物(2)を用いる他は実施例1と同様にして、粗活性エステル体[化合物(43)]を得る。
抗ヒトCRPヒツジ血清の代わりに抗ヒトCD34モノクローナル抗体(ベックマン・コールター社製Immu133クローン非標識)を用いる他は実施例1と同様にして、抗体を化合物(2)で標識させた標識複合体を得る。標識複合体の励起極大波長、蛍光極大波長はそれぞれ515nm、622nmであることを確認する。
採血容器製造元のガイドラインに従って末梢血検体を採取する。国際血液療法・移植学会(TheInternational Society of Hematotherapy andGraft Engineering,ISHAGE)のガイドライン(Journalof Hematotherapy 1996 Jun,5(3):213−26.)に従いフローサイトメトリーによる造血肝細胞数測定を行う。CD34抗体とCD45との同時染色を行ない、CD45強陽性のCD34非特異染色細胞とCD45弱陽性のCD34陽性造血前駆細胞とを識別し解析する。
蛍光標識CD34抗体と蛍光標識CD45抗体のそれぞれをガラス製の密閉容器に入れ、常温で静止放置する。前記保存安定性テストと同様にして開始時の吸光度及び蛍光強度を所定の波長で測定しその変化率を調べる。常温一ヶ月間の吸光度及び蛍光強度の変化率が5%未満で、保存安定性に非常に優れることが確認される。
(実施例5)
抗ヒトErbBに抗体(Abnova社製クローン2d4)から、ImmunoPure Fab Preparation Kit(タカラバイオ社製)を用いて、Fabフラグメントを調製する。化合物(6)の代わりに化合物(31)を用いる他は実施例1と同様にして、粗活性エステル体[化合物(44)]を得る。
抗ヒトErbBに抗体(Abnova社製クローン2d4)から、ImmunoPure Fab Preparation Kit(タカラバイオ社製)を用いて、Fabフラグメントを調製する。化合物(6)の代わりに化合物(31)を用いる他は実施例1と同様にして、粗活性エステル体[化合物(44)]を得る。
抗ヒトCRPヒツジ血清の代わりに前記Fab抗体断片を用いる他は実施例1と同様にして、Fabを化合物(31)で標識させた標識複合体を得る。標識複合体の励起極大波長、蛍光極大波長はそれぞれ636nm、676nmであることを確認する。
上皮成長因子受容体(ErbB2)陽性細胞株として、乳癌より単離・樹立されたMDAMB468、及びErbB2陰性細胞株(対照)としてチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、マウス皮下に移植し腫瘍塊が100立方ミリメートル程度になるまで成長させる。
蛍光標識捕捉複合体を、1%BSAを含有するPBSに溶解し、0.5μg/μlとする。この溶液100μLを、担癌マウスの尾静脈を介して投与する。
実験小動物用In vivo蛍光イメージングシステムART Optix MXに(ART Advanced Research Technologies社製)を用いて、635nmのパルスダイオードレーザー波長で励起し、蛍光信号を得る。蛍光標識捕捉複合体のMDAMB468腫瘍塊部位への集積局在化を確認する。
蛍光標識ErbB2抗体をガラス製の密閉容器に入れ、常温で静止放置する。前記保存安定性テストと同様にして開始時の吸光度及び蛍光強度を所定の波長で測定しその変化率を調べる。常温一ヶ月間の吸光度及び蛍光強度の変化率が5%未満で、保存安定性に非常に優れることが確認される。
(実施例6)
本発明の蛍光標識補足分子は、次に述べる光学プローブを用いた抗原抗体反応の高感度検出に利用する事が出来る。図5は本実施例で用いる光学プローブ1の側面図である。図5において、光学プローブ1は光学的に透明な合成樹脂材等から成り、主として円柱状の光導波部2と、上部に光を入出射するための凸レンズを有する光入出射部3とから成り、光導波部2と光入射部3の間には後述する測定装置に装着する際に取付け部として使用されるフランジ4が形成されている。光学プローブ1の光導波部2の表面には、特定の抗原に対する抗体が固定されている。
本発明の蛍光標識補足分子は、次に述べる光学プローブを用いた抗原抗体反応の高感度検出に利用する事が出来る。図5は本実施例で用いる光学プローブ1の側面図である。図5において、光学プローブ1は光学的に透明な合成樹脂材等から成り、主として円柱状の光導波部2と、上部に光を入出射するための凸レンズを有する光入出射部3とから成り、光導波部2と光入射部3の間には後述する測定装置に装着する際に取付け部として使用されるフランジ4が形成されている。光学プローブ1の光導波部2の表面には、特定の抗原に対する抗体が固定されている。
固定化抗体と蛍光標識補足分子は、例えば、同一の抗原のそれぞれ異なるエピトーブを認識するように、それらの組み合わせを選択する。もしくは、標識物質が同一のエピローブを複数提示している場合には、固定化抗体と蛍光標識補足分子は、共に同一のエピローブを認識するものとしても良い。これらの組み合わせを選択する事により、光導波部2の表面に固定化された固体化抗体と蛍光標識補足分子による標識物質のサンドイッチ複合体が形成され、標的物質の量に相関して蛍光標識補足分子が光導波部の表面近傍に補足される。形成されたサンドイッチ複合体は、例えば図6に示す測定装置を用いて、蛍光信号を取得し、その蛍光量に基づいて表面に補足された蛍光標識補足分子の量、即ちサンドイッチ複合体を形成した標的物質の量を推量する事が出来る。
光学プローブ1に対する測定は、光学プローブ1を6に示す測定ポート21内の挿入部22に挿入し、フランジ4により固定して行う。測定ポート21には、挿入部22に対して送液口23、廃液口24が設けられている。
測定光学系においては、半導体レーザー光源31からの光(635nm)は、レンズ32、ハーフミラー33、レンズ34を通過して光学プローブ1の上方の光入出射部3から入射される。光導波部2において励起光は内部全反射されると共に表面にエバネッセント波を発生させる。
発生されたエバネッセント波により表面近傍に補足された蛍光標識補足分子が励起され蛍光を発する。発生された蛍光は、光導波部2を帰還し、ハーフミラー33で水平方向へ取り出され、フィルター35、レンズ36を介して分光され、フォトダイオード37で検出される。
洗浄液として0.5%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.4)を調製した。蛍光標識補足分子溶液は抗大腸菌抗体に化合物(12)を実施例5と同様にして作用させて作製し、洗浄液に2μg/mLで溶解して用いた。
検体溶液として、10〜1,000,000CFU/mLの大腸菌O157:H7を含む溶液を調製した。
光学プローブ1の光導波部2表面に抗大腸菌抗体を物理吸着させた後、測定装置にセットした。
測定手順は下記の通りで行った。
1)検体溶液1mLを0.1mL/minで測定ポート21内に送液した。
2)洗浄液2mLを10mL/minで測定ポ−ト21内に送液した。
3)蛍光標識補足分子溶液を測定ポート21内に注入し、5分静置した。
4)洗浄液2mLを10mL/minで測定ポート21内に送液した。
5)測定ポート21内に洗浄液が満たされた状態で、光学系を用いて光学プローブ1に対する励起及び蛍光の測光を行った。
6)測定ポート21内で検体(10倍濃度)に交換し、上記1)〜6)の操作を実施した。
1)検体溶液1mLを0.1mL/minで測定ポート21内に送液した。
2)洗浄液2mLを10mL/minで測定ポ−ト21内に送液した。
3)蛍光標識補足分子溶液を測定ポート21内に注入し、5分静置した。
4)洗浄液2mLを10mL/minで測定ポート21内に送液した。
5)測定ポート21内に洗浄液が満たされた状態で、光学系を用いて光学プローブ1に対する励起及び蛍光の測光を行った。
6)測定ポート21内で検体(10倍濃度)に交換し、上記1)〜6)の操作を実施した。
大腸菌濃度[CFU/mL]と、測光された蛍光量[pA] の間には相関関係が認められた。化合物(12)は半導体レーザー光源31からの光(635nm)で良く励起され、本実施例の蛍光標識補足分子を構成する化合物としては好適に利用出来ることが確認された。
本発明により、生体関連物質を高感度に検出可能であり、水中で貯蔵安定性が高く、ストークスシフトが大きい標識複合体が提供される。本発明の標識複合体は、分子イメージング技術に必要不可欠な材料であり、創薬の迅速化(スクリーニング)や低コスト化、新しい病気の高精度な診断や治療法の開発に貢献し得る。以上のことから、本発明は産業上及び実用上で、きわめて有効な基盤技術となる。
また、本発明の標識複合体を目的に応じて2種以上同時に使用する事で、1つの励起波長の光で複数の生体関連物質を検出する事や、同じ部位に存在する複数の生体関連物質を蛍光波長の違いでより詳細に観察する事もできる。
1 光学プローブ
2 光導波部
3 光入出射部
4 フランジ
11 マスタ
13 メッキ層
15 駒
21 測定ポート
31 半導体レーザー光源
32 ハーフミラー
35 フィルター
37 フォトダイオード
2 光導波部
3 光入出射部
4 フランジ
11 マスタ
13 メッキ層
15 駒
21 測定ポート
31 半導体レーザー光源
32 ハーフミラー
35 フィルター
37 フォトダイオード
Claims (15)
- 生体物質捕捉分子と、下記の一般式(I):
(前記一般式(I)中、R1は水素原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、またはアシル基を表す。R2〜R5は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、またはアシル基を表し、R2とR4が互いに結合して環を形成しても良い。R6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。R7及びR8は各々独立して水素原子、アルケニル基、シアノ基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、スルホン酸基、アシル基、またはヘテロ環基を表す。R7とR8は互いに結合して環を形成しても良い。)で表される化合物とが結合している複合体。 - 前記一般式(I)中のR7もしくはR8のどちらか一方がシアノ基、カルボン酸基、ヘテロ環基であることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
- 前記一般式(I)中のR7もしくはR8のどちらか一方が水素原子、もう一方は下記式(II):
(式(II)中、R9はアルキル基、またはアリール基を表す。R10〜R13は各々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボン酸基、スルホン酸基、ヘテロ環基、アミノ基、またはハロゲン原子を表す。また、R10とR11、R11とR12、またはR12とR13は互いに結合して環を形成しても良い。X−は陰イオン性基を表す。Q1は硫黄原子、酸素原子、−C(R14)(R15)−、−CH=CH−、または−N(R16)−を表す。R14〜R16は水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。)で表されるヘテロ環基であることを特徴とする請求項1に記載の複合体。 - 前記一般式(II)で表されるヘテロ環基がベンゾチアゾリル環基、ベンゾオキサゾリル環基、またはジメチルインドレニル環基であることを特徴とする請求項3に記載の複合体。
- 前記一般式(I)中で表されるR7とR8とが互いに結合して形成される環が、5または6員環からなるヘテロ環、またはアルケニル基であることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
- 前記5員環からなるヘテロ環が、下記式(III):
(式(III)中、R17は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R18はアルキル基、アリール基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ヒドロキシル基、またはアミノ基を表す。)で表されることを特徴とする請求項5に記載の複合体。 - 前記5員環からなるヘテロ環が、下記式(IV):
(式(IV)中、Q2は、酸素原子、硫黄原子、または−N(R21)−を表す。R19は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基をし、R20は硫黄原子、酸素原子、=NR22、ヘテロ環、ヘテロ環で置換されたメチレン基またはジシアノメチレン基を表す。R21及びR22は水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。)で表されることを特徴とする請求項5に記載の複合体。 - 前記一般式(I)中で表されるR2とR4とが互いに結合して形成される環が脂肪族環であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合体。
- 前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物中にカルボン酸基、スルホン酸基、ポリエチレングリコール基、カルボン酸塩、またはスルホン酸塩を少なくとも1つ以上有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の複合体。
- 前記生体物質捕捉分子が抗体、抗原、酵素、またはその一部であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合体。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合体を含むことを特徴とする診断用マーカー。
- 請求項11に記載の診断用マーカーを有効成分として含む診断用組成物。
- 標的生体物質を検出または定量する方法であって、
(i)前記標的生体物質と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子が結合した請求項1〜9の何れか1項で表される複合体とを用意する工程と、
(ii)前記標的生体物質と前記複合体の生体物質捕捉分子とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる工程と、
(iii)前記標的生体物質と結合した前記複合体に、前記複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記複合体が発する蛍光を検出する、または蛍光の量を測定する工程と、
を含むことを特徴とする前記標的生体物質を検出または定量する方法。 - 標的生体物質を検出または定量するキットであって、
(i)前記標的生体物質と、前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子が結合した請求項1〜9の何れか1項で表される複合体とを反応し、前記複合体と前記標的生体物質とを結合させる手段と、
(ii)前記標的生体物質と結合した前記複合体に、前記複合体が吸収する波長域の光を照射し、それによって、前記複合体が発する蛍光を検出する、または蛍光の量を測定する手段と、
を含む、ことを特徴とする前記標的生体物質を検出するキット。 - 標的生体物質を分析する方法であって、
(i)前記標的生体物質と、
前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子と、
前記標的生体物質と特異的に結合可能な生体物質捕捉分子が結合した請求項1〜9の何れか1項で表される複合体と、
光学的透明材から成り光入出射部と光導波部とを有する光学プローブと
を用意する工程と、
(ii)前記光学プローブの光導波部表面に、前記生体物質捕捉分子を固定化する工程と、
(iii)前記標的生体物質と前記固定化された生体物質捕捉分子とを反応し、前記光学プローブの光導波部表面に、前記標的生体物質を捕捉する工程と、
(iv)前記複合体と前記捕捉された標的生体物質とを反応し、前記光学プローブの光導波部表面に、前記複合体を捕捉する工程と、
(v)前記光学プローブの光入出射部から、前記複合体が吸収する波長域の光を入射する工程と、
(vi)前記光学プローブの光入出射部から出射された、前記捕捉された複合体が発する蛍光を測定する工程と
を含む、ことを特徴とする前記標的生体物質を分析する方法。
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JP2009283454A JP2010169666A (ja) | 2008-12-25 | 2009-12-14 | 複合体、それを用いる診断用マーカー及び診断薬、それを用いる検出方法、検出キット |
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Cited By (2)
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WO2014065440A1 (en) * | 2012-10-26 | 2014-05-01 | Canon Kabushiki Kaisha | Cancer cell inhibitory drug and cancer stem-cell detection probe |
CN104884056A (zh) * | 2012-11-12 | 2015-09-02 | 雷德伍德生物科技股份有限公司 | 用于制备缀合物的化合物和方法 |
-
2009
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