JP2010164080A - 車両用駆動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】差動装置の複雑化、大型化及び重量増加を回避することを可能とし、車両の旋回特性を的確に制御することを可能とした車両用駆動制御装置を提供する。
【解決手段】リアLSD16は、ドライブ側のトルクバイアスレシオをコースト側のトルクバイアスレシオよりも大きく設定している。車両の旋回走行状態に応じて、左右車輪17,18の旋回内輪に伝達される駆動力を減少させるようにブレーキ装置19,20を制御し、リアLSD16により左右車輪17,18の旋回外輪に伝達される駆動力をドライブ側のトルクバイアスレシオに応じて増大させるように電子制御カップリング13を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の旋回走行状態に応じて車両の左右車輪間のトルク移動を制御する車両用駆動制御装置に関する。
従来、例えば車両の左右車輪間に機械式LSD(リミッテッドスリップデフ)を配置し、車両の前後及び左右の車輪のブレーキ力を独立に制御することで車両の左右駆動力を制御する駆動制御装置がある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
この種の駆動制御装置の他の一例としては、例えば車両の旋回中におけるコースト時にあっては差動制限効果をキャンセルできるように、機械式LSD内にワンウェイクラッチを配置した構造の駆動制御装置がある(例えば、特許文献3参照)。
この種の駆動制御装置の更に他の一例としては、例えば車両の旋回中において旋回内輪にブレーキ力を加えることで、デファレンシャル装置のデフ作用により旋回外輪に旋回方向とは反対方向のトルクを発生させ、車両の回頭方向のヨーモーメントを発生させる駆動制御装置がある(例えば、非特許文献1参照)。
特開2006−188204号公報 特開平7−179167号公報 特開平11−348595号公報
SAE Technical Paper Series 2008-01-0596
上記特許文献1及び2に記載された従来の駆動制御装置の機械式LSDにおいては、左右車輪間のトルク移動は、高速で回転している一方の車輪から低速で回転している他方の車輪へだけに限られる。車両の旋回中においては、旋回外輪の回転速度が旋回内輪の回転速度よりも速いので、旋回外輪側から旋回内輪側へしかトルク移動が行われない。このため、車両をコーナーに沿って曲げていく旋回方向のヨーモーメントが得られないばかりでなく、旋回方向とは反対方向のヨーモーメントが発生してしまうこととなる。その結果、車両の走行性能を十分に高めることができなくなるという問題点があった。
また、上記特許文献3に記載された従来の駆動制御装置は、機械式LSD内にワンウェイクラッチを配置した構造となっているため、機械式LSDの軸方向への大型化、構造の複雑化や重量の増加は避けられなくなる。機械式LSDの軸方向への大型化、構造の複雑化及び重量増加は、車両に搭載するうえで大きな制約となっていた。
一方、上記非特許文献1に記載された従来の駆動制御装置では、旋回内輪にブレーキ力を加えることでヨーモーメント発生制御を行うと、旋回外輪の駆動方向回転にトルクバイアスレシオ(TBR)に比例したブレーキを掛けてしまうこととなるので、車両に有効なヨーモーメントが得られなくなる。また、この従来の駆動制御装置は、例えば片輪が浮き上がったような状態で走行する場合、不整地あるいは低μ路面を走行する場合等には、その片輪にブレーキ力を付加しても、接地側の片輪には、ブレーキ力のみしか伝わらないので、車両に有効なヨーモーメントが得られなくなる。
従って、本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、差動装置の複雑化、大型化及び重量増加を回避することを可能とし、車両の旋回特性を的確に制御することを可能とした車両用駆動制御装置を提供することにある。
[1]上記目的を達成するため、本発明は、車両の駆動源から発生する駆動力を伝達する動力伝達経路の左右車輪間に配置され、前記駆動源からの駆動力に応じて前記左右車輪間に差動制限力を発生する差動制限機構付きの差動装置と、前記左右車輪にブレーキ力を個別に付与可能に設置されたブレーキ装置と、前記ブレーキ装置を制御する制御部とを備え、前記差動装置は、ドライブ側のトルクバイアスレシオがコースト側のトルクバイアスレシオよりも大きく設定された構成を有していることを特徴とする車両用駆動制御装置にある。
[2]上記[1]記載の発明にあって、前記制御部は、前記車両の旋回走行状態がコースト状態にある場合に、前記左右車輪のうち旋回内輪に伝達される駆動力を減少させるように前記ブレーキ装置を制御し、前記差動装置により旋回外輪に伝達される駆動力を前記旋回内輪の駆動力が減少した分に応じて増大させるように制御することを特徴としている。
[3]上記[1]記載の発明にあって、前記制御部は、前記車両の旋回走行状態がドライブ状態にある場合に、前記左右車輪のうち回転速度が大きい側の車輪に駆動力を減少させるように前記ブレーキ装置を制御し、前記差動装置により、回転速度が小さい側の車輪にトルクバイアスレシオにより増幅された駆動トルクを伝達させるように制御することを特徴としている。
[4]上記[1]記載の発明にあって、前記差動装置の差動制限機構は、左右前輪間に連結されたフロントデファレンシャル及び左右後輪間に連結されたリアデファレンシャルの少なくとも一方に設けられたことを特徴としている。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の発明にあって、前記差動装置は、カムを用いたトルク感応型の差動制限機構を備えたことを特徴としている。
[6]上記[5]記載の発明にあって、前記差動装置は、前記駆動源からの駆動力が入力されるケージと、前記ケージの内部に軸方向摺動可能に設けられた複数のカムフォロワと、前記複数のカムフォロワの両側端部に噛み合わされ、前記左右車輪の一方の車軸と一体回転する第1のフェースカム及び前記左右車輪の他方の車軸と一体回転する第2のフェースカムとを備え、前記複数のカムフォロワの両側端部のそれぞれは、ドライブ側カム端面とコースト側カム端面とを有し、前記コースト側カム端面の傾斜角が、前記ドライブ側カム端面の傾斜角よりも大きく設定されたことを特徴としている。
[7]上記[1]記載の発明にあって、前記動力伝達経路に配置され、前記制御部の駆動力配分制御に従い駆動力配分を行う駆動力配分装置を備え、前記駆動力配分装置の前輪側からの回転数を後輪側からの回転数よりも常時速く回転させる構成を有していることを特徴としている。
[8]上記[7]記載の発明にあって、前記駆動力配分装置は前記駆動源の駆動力を前記後輪側に伝達するプロペラシャフト上に配置され、前記駆動力配分装置の前記後輪側からの回転速度が前記前輪側からの回転速度よりも減速するように前記前輪側のギヤ比と前記後輪側のギヤ比とを設定したことを特徴としている。
[9]上記[7]記載の発明にあって、前記駆動力配分装置は後輪の車軸上に配置され、前記後輪側のトータルギヤ比が前記前輪側よりも増速するギヤ比となるように左右前輪間に連結されたフロントデファレンシャルから左右後輪間に連結されたリアデファレンシャルまでの動力伝達系のトータルギヤ比を設定したことを特徴としている。
本発明は、例えば左右車輪にブレーキ力を独立に制御することにより旋回内輪が浮き上がるような場合は、接地側の旋回外輪に差動装置のトルクバイアスレシオに比例した駆動力を確保することで十分な駆動力及び車両安定性を得ることが可能になる。合わせて、車両の旋回時においてプッシングアンダーを避けることができるようになる。
本発明の代表的な実施の形態である駆動制御装置を備えた四輪駆動車の動力伝達系を概略的に示す全体構成図である。 (a)は、車両が減速するコースト時における差動制限機構の状態を説明するための部分展開図であり、(b)は、車両が加速するドライブ時における差動制限機構の状態を説明するための部分展開図である。 (a)はアクセルオフ操作が行われる旋回開始時の四輪駆動制御を説明する図であり、(b)は左右後輪ブレーキ制御後の四輪駆動制御を説明する図である。 (a)はアクセルオン操作が行われる旋回開始時の四輪駆動を説明する図であり、(b)は旋回開始後に電子制御カップリングにより後輪へのトルク配分を増大させた四輪駆動を説明する図、(c)は旋回内輪のトラクション制御後の四輪駆動を説明する図である。 (a)及び(b)は本発明の第2の実施の形態である車両の動力伝達系を概略的に示す全体構成図である。 本発明の第3の実施の形態である駆動制御装置を備えた四輪駆動車の動力伝達系を概略的に示す全体構成図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は駆動制御装置を備えた四輪駆動車の動力伝達系を示している。同図に示す四輪駆動車は、エンジン駆動力で前輪を直接駆動するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車をベースとしている。FFタイプの四輪駆動車の構成部分は、従来のものと基本的な構成において変わるところはない。従って、FFタイプの四輪駆動車の基本構成は、図示例に限定されるものではない。
(駆動力伝達装置の構成)
図1において、符号1は、FFベースの四輪駆動車における横置き配置されたエンジン(駆動源)を示している。このエンジン1にはトランスミッション2が連結されている。トランスミッション2の出力ギヤ2aには、左右一対の前輪車軸4,5間に配された前輪側差動装置であるフロントデファレンシャル(フロントデフ)3のリングギヤ3aが噛合されている。フロントデフ3のサイドギヤ3bは左右の前輪車軸4,5を介して左右前輪6,7と連結されている。左右前輪6,7のそれぞれにはブレーキ装置8,9が設けられている。それらのブレーキ装置8,9は個別に制動可能とされている。エンジン1からの駆動力はフロントデフ3を介して左右前輪6,7に伝達される。
フロントデフ3のフロントデフケース3cにはリングギヤ3dが接続されている。リングギヤ3dにはトランスファ10のピニオンギヤ10aが噛合されている。フロントプロペラシャフト11の前端はトランスファ10の伝動軸10bに連結されている。フロントプロペラシャフト11の後端にはリアプロペラシャフト12が連結されている。
リアプロペラシャフト12には回転数(トルク)制御可能な電子制御カップリング(駆動力配分装置)13が設けられている。リアプロペラシャフト12の後端に設けられたピニオンギヤ12aは、左右一対の後輪車軸14,15間に配されたリアLSD16のリングギヤ16aと噛合されている。リアLSD16にはトルク感応型のリミテッドスリップデフ(LSD)が装備されている。リアLSD16は左右の後輪車軸14,15を介して左右後輪17,18と連結されている。左右後輪17,18のそれぞれにはブレーキ装置19,20が備えられており、それらのブレーキ装置19,20は個別に制動可能とされている。
エンジン1からトランスファ10に伝達された駆動力はフロントプロペラシャフト11及びリアプロペラシャフト12を介して電子制御カップリング13へと伝達される。電子制御カップリング13がトルク伝達可能に連結されると、エンジン1の駆動力はリアプロペラシャフト12を介してリアLSD16に伝達されるとともに、左右の後輪車軸14,15を介して左右後輪17,18へ伝達される。
電子制御カップリング13は、トルク伝達クラッチである多板式の摩擦クラッチ13aの締結力を調整することでフロントプロペラシャフト11からリアLSD16へ伝達される駆動力を制御する。電子制御カップリング13によりトルク伝達が行われる場合は、左右前輪6,7及び左右後輪17,18により四輪駆動状態で走行する。一方、電子制御カップリング13によりトルク遮断状態となっている場合は、左右後輪17,18へのトルク伝達は行われることなく、左右前輪6,7へのトルク伝達により二輪駆動状態で走行する。この第1の実施の形態によると、電子制御カップリング13は更に、リアLSD16に配分される駆動力を調整して、アンダーステア及びオーバーステアを抑制するように制御する。
(差動制限機構の構成)
リアLSD16は、リアプロペラシャフト12から電子制御カップリング13を介して入力されるトルクに応じて差動制限力を発生させ、左右後輪17,18間の差動制限を行うトルク感応型機械式の差動制限機構を備えている。この第1の実施の形態によれば、トルク感応型機械式の差動制限機構としては、カムを用いたトルク感応型のカム式差動制限機構を使用しているが、これに限定されるものではない。差動制限機構の他の一例としては、例えばヘリカルギヤ式、多板式、トルセン式などの構造を用いることができる。
図2(a)は、車両が減速するコースト時の差動制限機構の状態を示しており、図2(b)は、車両が加速するドライブ時の差動制限機構の状態を示している。これらの図において、リアLSD16は、左右の後輪車軸14,15のそれぞれに連結された円盤形状の第1及び第2のフェースカム16b,16cと、これらのフェースカム16b,16c間に噛合される軸線方向に細長い六角台錐形状をなす複数のカムフォロワ16d,…,16dとを有している。カムフォロワ16dは、リアLSD16の図示しないケージの内周面に軸線方向摺動可能にスプライン嵌合されている。フェースカム16bのコースト側カム面16e及びドライブ側カム面16gは、相対回転方向に対して非対称な円環状のジグザグ面に連続形成されている。一方のフェースカム16cのコースト側カム面16f及びドライブ側カム面16hにあっても、フェースカム16bと同様の外郭形態を有している。
フェースカム16b,16cのコースト側カム面16e,16fは、図2(a)に示すように、軸線とは直交する垂線に対して傾斜角θ2をもって傾斜している。一方、フェースカム16b,16cのドライブ側カム面16g,16hは、図2(b)に示すように、コースト側カム面16e,16fの傾斜角θ2よりも小さい傾斜角θ1で傾斜している(コースト側カム面16e,16fの傾斜角θ2>ドライブ側カム面16g,16hの傾斜角θ1)。これにより、カムフォロワ16dのドライブ側カム端面16m,16n及びコースト側カム端面16j,16kは、コースト側カム端面16j,16kの傾斜角θ2>ドライブ側カム端面16m,16nの傾斜角θ1の関係を有している。
コーストトルクを発生するコースト時には、図2(a)に示すように、左右後輪17,18によりエンジン側が駆動されるので、左右の後輪車軸14,15が矢印X方向に回転される。各フェースカム16b,16cのコースト側カム面16e,16fによりカムフォロワ16dのコースト側カム端面16j,16kが接触して押され、カムフォロワ16dのケージを介してリアLSD16のリングギヤ16aに回転トルクを伝達する。このとき、コースト側のトルクバイアスレシオ(TBR)は、各フェースカム16b,16cのコースト側カム面16e,16fの傾斜角θ2によって決定されることになる。
一方、ドライブトルクを発生するドライブ時においては、図2(b)に示すように、エンジン側からリアLSD16のリングギヤ16aを介してケージからカムフォロワ16dに回転トルクが伝達され、矢印Y方向にカムフォロワ16dが移動する。カムフォロワ16dのドライブ側カム端面16m,16nが各フェースカム16b,16cのドライブ側カム面16g,16hに接触して押され、左右の後輪車軸14,15に回転トルクが伝達される。このとき、ドライブ側のTBRは、各フェースカム16b,16cのドライブ側カム面16g,16hの傾斜角θ1によって決定されることになる。
コースト側TBR、ドライブ側TBR、及び駆動トルクTの関係は、次式により表すことができる。
TBR ∝ μ・(T/tanθ)……(1)
ここで、μはフェースカム16b,16cとカムフォロワ16dの接触部摩擦係数である。
上記式(1)からも明らかなように、この第1の実施の形態にあっては、カムフォロワ16dのドライブ側カム端面16m,16nの傾斜角θ1をコースト側カム端面16j,16kの傾斜角θ2よりも小さく設定することで、ドライブ側TBRはコースト側TBRよりも大きく設定されている(ドライブ側TBR>コースト側TBR)。リアLSD16はドライブ側TBR>コースト側TBRの関係に設定されているため、例えば左右後輪17,18が接地したアクセルオフのコースト状態における旋回においては、左右後輪17,18の旋回内輪にブレーキ制御を行うことで旋回内輪に伝達される駆動力を減少させると、リアLSD16のデファレンシャル機能により旋回内輪のブレーキ力に応じた駆動トルクが旋回外輪に増幅される。このとき、左右後輪17,18の回転速度を抑える役割のコースト側TBRは小さく抑えられるので、旋回外輪のトルク増幅を大きく妨害しない。
アクセルオンのドライブ状態における旋回においては、左右後輪17,18の旋回内輪の接地荷重が減少し、その回転数が上昇するので、旋回内輪の回転速度が旋回外輪よりも大きくなる。この場合は、旋回内輪にブレーキ制御を行い、旋回内輪に伝達される駆動力を減少させると、リアLSD16の差動制限機能により、ドライブ側TBRに応じて旋回外輪の駆動トルクが増幅されることになる。これにより、アクセルオフのコースト状態、あるいはアクセルオンのドライブ状態において左右後輪17,18の旋回外輪に十分な駆動トルクを伝達することができるようになり、車両の旋回挙動を安定化させることができるようになる。
(駆動制御ユニットの構成)
図1において、符号30は、車両室内に設けられた駆動制御ユニット(ECU)であり、ECU30の機能をブロック化して示している。図示例によれば、ECU30は、駆動力配分制御部31、アンチロックブレーキ制御部(ABS)32、制動力制御部(ESC)33、及びヨーレート制御部34などにより主に構成されている。このECU30は、図示しない入出力装置と、制御プログラム、制御マップ、車両緒元としてのリアトレッドTr等が格納された記憶装置(ROM、RAM等)と、中央処理装置(CPU)とを備えている。
ECU30には、駆動制御に必要な種々のパラメータを得るために各種の検出信号が入力される。図示例に限定されるものではないが、ECU30の入力側には、図1に示すように、車両の旋回によるヨーモーメントを検出するヨーモーメントセンサ35、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ36、左右前輪6,7及び左右後輪17,18の車輪速を検出する車輪速センサ37、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ38、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル開度センサ(ACC)39、及びエンジン1の回転数を検出するエンジン回転数センサ40、及び前後・左右Gセンサ41等の各種のセンサが電気的に接続されている。これらのヨーモーメントセンサ35、ヨーレートセンサ36、車輪速センサ37、操舵角センサ38、アクセル開度センサ39、エンジン回転数センサ40、及び前後・左右Gセンサ41からの検出信号に基づいて、駆動力配分制御部31、アンチロックブレーキ制御部32、制動力制御部33、及びヨーレート制御部34などの制御部が機能する。
ECU30の出力側には、駆動制御に必要な各種の装置が電気的に接続される。図示例に限定されるものではないが、ECU30の出力側には、図1に示すように、電子制御カップリング13及びブレーキ装置8,9,19,20が電気的に接続されている。
ECU30は、例えばヨーモーメントセンサ35、ヨーレートセンサ36及び操舵角センサ38からの検出信号に基づいて車両の走行状態を演算する。左右後輪17,18が接地した状態にあってアクセルオフのコースト状態、あるいはアクセルオンのドライブ状態における車両の旋回中において、例えば車両がアンダーステア挙動を示した場合は、ECU30は、ヨーモーメントセンサ35により検出されたヨーモーメント、ヨーレートセンサ36により検出されたヨーレート、及び操舵角センサ38により検出された操舵角などの各種情報により、左右後輪17,18の旋回内輪側のブレーキ装置19,20に付与するブレーキ力を演算する。この演算結果に基づいて、ECU30は、左右後輪17,18の旋回内輪側のブレーキ装置19,20を作動させることで、左右後輪17,18の旋回内輪にブレーキ力を付加する制御を行う。
ECU30は更に、リアLSD16の回転数を電子制御カップリング13により増大制御することで、リアLSD16に連結された左右の後輪車軸14,15間に相対的な回転力を付与して左右後輪17,18間の差動(駆動力差)を制御する。ECU30は、例えば車輪速センサ37からの車輪速信号に基づき左右前輪6,7及び左右後輪17,18の車輪速を演算するとともに、左右前輪6,7及び左右後輪17,18の回転速度差を演算し、この回転速度差に基づき電子制御カップリング13への指令トルクを演算する。この演算結果に基づいて、電子制御カップリング13の摩擦クラッチ13aの締結力を制御するように動作させ、左右前輪6,7及び左右後輪17,18への駆動力を制御するように配分させることができる。
上記構成によれば、左右後輪17,18が接地した状態にあってアクセルオフのコースト状態における左旋回においては、左後輪17(旋回内輪)にブレーキ制御を行うことにより左後輪17に伝達される駆動力を減少させ、リアLSD16のデファレンシャル機能により左後輪17のブレーキ力に応じた駆動トルクを右後輪18に増幅させることができ、またコースト側TBRも小さいので、右後輪18への駆動トルク増幅への影響も小さい。また、アクセルオンのドライブ状態における左旋回においては、リアLSD16の差動制限機能により、ドライブ側TBRに応じて右後輪18の駆動トルクを増幅させることができる。これにより、車両に左回りのヨーモーメントを作用させ、アンダーステアを抑制することができる。
これとは逆に、車両の右旋回時において右後輪18にブレーキ力が付加されると、電子制御カップリング13の配分制御及び/又はリアLSD16の差動制限機能によりドライブ側TBRに応じて左後輪17に伝達される駆動力が増大される。これにより、車両に右回りのヨーモーメントを作用させ、アンダーステアを抑制することができる。
(駆動制御)
ところで、車両の旋回走行状態によっては、前輪側の回転速度が後輪側の回転速度よりも遅くなる場合がある。このような場合は、電子制御カップリング13の前輪側(入力側)の回転速度が後輪側(出力側)の回転速度よりも遅くなり、トルク移動を行うことはできなくなるので、車両の旋回時における旋回内輪にブレーキ力を付加しても、旋回外輪側の駆動トルクを増大することはできない。車両の旋回時においてリアLSD16に拘束力を与え、旋回内輪にブレーキ力を付加することで、旋回外輪側への駆動トルクを増大させるには、前輪側の回転速度を後輪側の回転速度よりも速くすることが肝要である。
この第1の実施の形態に係る駆動制御装置は、電子制御カップリング13の前輪側を後輪側よりも増速側に設定する増速機能を有している。この増速機能を有する装置の一例としては、特に限定されるものではないが、例えば電子制御カップリング13の前輪側からの回転速度、即ちフロントプロペラシャフト11の回転速度が後輪側からの回転速度、即ちリアプロペラシャフト12のピニオンギヤ12aの回転速度よりも速くなるように、ピニオンギヤ12a及びリアデフ16のリングギヤ16aのギヤ比を3%減速側に変更するか、あるいはフロントデフ3のリングギヤ3d及びトランスファ10のピニオンギヤ10aのギヤ比を3%増速側に変更する。これにより、車両の旋回時において、フロントデフ3のギヤ機構のギヤ比に応じて電子制御カップリング13の前輪側から後輪側へ駆動力が伝達され、左右後輪17,18の旋回外輪を増速することができるようになり、更に安定したリア制御が可能となる。
図3を参照すると、アクセルペダルの踏み込み解除によって車両が減速しながら旋回するコースト時における四輪駆動の一例が示されている。図3(a)は旋回開始時の四輪駆動を示しており、図3(b)は左右後輪ブレーキ制御後の四輪駆動を示している。
図3(a)において、車両が横Gで左旋回しながら前進を開始する時は、左右前輪6,7には、前輪横滑り角βflに応じてコーナーリングフォース(横力)Yfl、Yfrが発生するので、車両には車両重心位置Gc周りの前輪ヨーモーメントMyfが作用する。一方、左右後輪17,18には、後輪横滑り角βrlに応じてコーナーリングフォースYrl、Yrrが発生するので、車両重心位置Gc周りに車両を直進させようとする後輪ヨーモーメント(旋回方向とは逆方向のヨーモーメント)Myrが作用する。
車両の左旋回開始後において、例えば車両がアンダーステア挙動を示した場合は、図3(b)に示すように、ECU30の指令に基づいてブレーキ装置19により左後輪17(旋回内輪)にブレーキ力を付加して旋回内輪に伝達される駆動力を減少させることで、旋回内輪を減速させる。一方、ECU30の指令に基づき電子制御カップリング13からリアLSD16へ伝達される駆動力を増大させるとともに、リアLSD16のドライブ側TBRに応じて右後輪18(旋回外輪)に伝達される駆動力を増大させることで、旋回外輪を増速させる。
これにより、ブレーキ力によりブレーキヨーモーメントMybを発生させるとともに、前輪ヨーモーメントMyf及び左右前輪6,7のコーナーリングフォースYfl、Yfrを減少させることなく、左右後輪17,18のコーナーリングフォースYrl、Yrr及び後輪ヨーモーメントMyrを減少させることができる。アクセルペダルの踏み込みを解除する旋回時においては、左右後輪17,18の旋回外輪に対して電子制御カップリング13を介してエンジン1からの駆動力又は制動力を分配することで、車両の回頭側に有効な左回りのヨーモーメントを的確に発生させることができるとともに、アンダーステアを抑制することができる。その結果、全体として十分な駆動トルクを得ることができるようになり、車両の旋回安定性及び操縦性を向上させることができる。
図4はアクセルペダルの踏み込みによって車両が加速する旋回時における四輪駆動の一例を示している。図4(a)は旋回開始時の四輪駆動を、図4(b)は旋回開始後に電子制御カップリングにより後輪へのトルク配分を増大させた四輪駆動を、図4(c)は旋回内輪のトラクション制御後の四輪駆動をそれぞれ示している。
図4(a)において、車両が横Gで左旋回加速しながら前進を開始する時は、左右前輪6,7にはコーナーリングフォースYfl、Yfrが発生するので、車両には車両重心位置Gc周りの前輪ヨーモーメントMyfが作用する。一方、左右後輪17,18にはコーナーリングフォースYrl、Yrrが発生するので、車両重心位置Gc周りに車両を直進させようとする後輪ヨーモーメントMyrが作用する。
車両のアンダーステア挙動を改善したい場合は、図4(b)に示すように、ECU30の指令に基づき電子制御カップリング13からリアLSD16を介して左右後輪17,18側へ伝達される駆動力Frl,Frrを増大させるとともに、左右前輪6,7側に伝達される駆動力Ffl,Ffrを減少させることで、車両の回頭側に有効な左回りのヨーモーメントが作用する。
このような場合は、ECU30の指令に基づいてブレーキ装置19により左後輪17(旋回内輪)にブレーキ制御を行い、旋回内輪に伝達される駆動力Frlを減少させることで、旋回内輪を減速させることができる。一方、リアLSD16の差動制限機能により、右後輪18(旋回外輪)の駆動力Frrに加えて、リアLSD16のドライブ側TBRに応じて右後輪18(旋回外輪)に伝達される駆動力Frrを増大させることで、旋回外輪を増速させることができる。これにより、アクセルペダルの踏み込みによって車両が加速する旋回時においては、左右後輪17,18に対して常にエンジン1からの駆動力分配とブレーキ制御とを連動して行うことで、全体として十分な駆動トルクを得ることができるようになり、車両の回頭側に有効なヨーモーメントの発生が可能となる。
車両が横Gで左旋回加速しながら前進を開始した後、例えば左後輪17(旋回内輪)が浮き上がったような状態で走行する場合、不整地あるいは低μ路面を走行する場合等には、左右後輪17,18の駆動トルクが抜けてしまう。このような場合は、ECU30の指令に基づいてブレーキ装置19により左後輪17(旋回内輪)にブレーキ力を付加することで旋回内輪のトルク抜けを防止し、図4(c)に示すように、電子制御カップリング13からリアLSD16へ伝達される駆動力を旋回内輪に付加したブレーキ力BKのドライブTBR倍に増幅して右後輪18(旋回外輪)へ伝達することができる。これにより、全体として十分な駆動トルクを得ることができるようになり、車両の操縦安定性及びトラクション性能を確保することができる。
なお、車両の旋回中において、例えば車両がオーバーステア挙動を示した場合は、左右後輪17,18の旋回外輪にブレーキ制御を行うことで駆動力配分を減少させ、リアLSD16の差動制限機能によりドライブ側TBRに応じて左右後輪17,18の旋回内輪に対する駆動力配分を増大させることで、オーバーステアを抑制することができることは勿論である。
(第1の実施の形態の効果)
以上のように構成された第1の実施の形態に係る駆動制御装置によると、次の様々な効果が得られる。
(1)一般に、差動制限力を持たないデファレンシャル装置(コンベンショナルデフ)の場合は、路面摩擦係数が異なる低μ路面側に左右後輪17,18の一方の車輪が接地し、車輪のトラクション(車輪のグリップ力)が減少すると、他方の車輪の駆動力(トルク)も低下してしまうので、車両の左右駆動力が十分に得られなくなる。これに対して、上記第1の実施の形態に係る車両用駆動制御装置にあっては、車両の旋回中において、左右後輪17,18のうちトラクション側の片輪にブレーキ力を付加するとともに、左右後輪17,18の高μ路面側に接地された他方の車輪にリアLSD16のドライブ側TBRに比例して駆動方向の駆動力を増大する構成となっているので、ドライブ側TBRに比例したトルクが、高μ路面側に接地された車輪に増幅され、有効な車両推進力が得られる。
(2)コーナーリング中及びコーナーアウト時において大きな横Gを掛けて走行し、旋回内輪側の接地荷重が大きく減少するような場合は、旋回内輪側の接地荷重抜けによる駆動力不足、コーナーリングフォースYfl、Yfrの急激な立ち上がりによるタックイン減少を回避することができる。これにより、旋回外輪側に十分な駆動トルクを伝達することができるとともに、車両の挙動を安定化させることができる。
(3)車両の旋回中において、左右前輪6,7のコーナーリングフォースYfl、Yfrを減少させることなく、左右後輪17,18の旋回内輪側のブレーキ制御により旋回方向のヨーモーメントMyfを発生することができるとともに、左右後輪17,18のコーナーリングフォースYrl、Yrrを減少することができるようになり、総合的に強い旋回方向のヨーモーメントMyfが効果的に得られる。
(4)左右前輪6,7側に駆動力Ffl,Ffrが付加されている場合は、左右前輪6,7の駆動力Ffl,Ffrにより左右前輪6,7のコーナーリングフォースYfl、Yfrが低下するが、左右後輪17,18への駆動力配分を増大させることで、左右前輪6,7のコーナーリングフォースYfl、Yfrを回復させ、左右後輪17,18のブレーキ制御を行うことにより、車両の走行安定性や旋回操縦性などを向上させることができるようになる。
(5)既存のリアLSD16の設計変更を伴わずに、電子制御カップリング13の前輪軸側を増速側に設定する増速機能により左右後輪17,18のブレーキ制御を有効に作用させ、左右後輪17,18の旋回外輪への駆動力を左右後輪17,18の旋回内輪よりも大きくすることができる。
(6)ブレーキ装置は車両に備えられた従来のブレーキシステムを使用してもよいが、応答性を考慮すると、一対のブレーキアームによりリムを挟んで制動するキャリパーブレーキやブレーキ付与装置を従来のブレーキシステムとは別に独立して設けることができる。
[第2の実施の形態]
図5(a)及び図5(b)は、本発明の第2の実施の形態である車両の動力伝達系を示している。なお、これらの図において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
これらの図において上記第1の実施の形態と大きく異なるところは、上記第1の実施の形態ではリアプロペラシャフト12にトルク伝達クラッチを配置した構成であったものを、この第2の実施の形態にあっては、トルク伝達クラッチをリアLSD16と左右後輪17,18との間に配置した点にある。
(駆動力伝達装置の構成)
図5(a)に示す動力伝達系は、リアLSD16のアウタケーシング16rとインナケーシング16sとの間に摩擦クラッチ13aを設けている。図5(b)に示す動力伝達系は、左右の後輪車軸14,15上に摩擦クラッチ13aを設けている。図示例では、ECU30の出力側に電気的に接続された電動モータ21及びオイルポンプ26により摩擦クラッチ13aを断続操作している。なお、トルク伝達クラッチの配置位置は、後輪側への動力伝達経路に配置可能であれば、特に限定されるものではない。
図示例による駆動制御装置は、トルク伝達クラッチである摩擦クラッチ13aと、摩擦クラッチ13aを断続操作する回転駆動装置である電動モータ21及びオイルポンプ26とからなる駆動力配分装置を備えている。駆動力配分装置の摩擦クラッチを押圧する装置は特に限定されるものではない。その押圧装置としては、例えば油圧アクチュエータ、あるいは電磁石等を使用することができる。
前輪側を後輪側よりも増速側に設定する増速装置としては、例えばリアプロペラシャフト12のピニオンギヤ12aのギヤ比とリアLSD16のリングギヤ16aのギヤ比とが、左右前輪6,7の回転速度を左右後輪17,18の回転速度よりも増速させるギヤ比となる設定としている。増速装置の他の一例としては、例えばトランスファ10のピニオンギヤ10aのギヤ比とリアLSD16のリングギヤ16aのギヤ比とが、左右前輪6,7の回転速度を左右後輪17,18の回転速度よりも増速させるギヤ比となる設定とすることができる。
(駆動制御)
車両の旋回中において、ECU30は、例えば車輪速センサ37からの車輪速信号に基づき左右前輪6,7及び左右後輪17,18の回転速度差を演算し、電動モータ21への通電量を演算する。この演算結果に基づき電動モータ21を通電制御することにより摩擦クラッチ13aの締結力を制御し、リアLSD16の左右駆動力を配分制御する。車両の回頭側に有効なヨーモーメントを発生させたい車両の旋回時においては、特に限定されるものではないが、例えばリアLSD16のリングギヤ16aのギヤ比を約3%程度増速させる設定とする。この構成により、例えば前輪側の回転速度が後輪側の回転速度よりも遅くなる場合があっても、左右後輪17,18の旋回外輪を増速することができるようになり、安定したリア制御が可能となる。
(第2の実施の形態の効果)
上記第2の実施の形態に係る駆動制御装置では、電磁クラッチ13aをリアLSD16と左右の後輪17,18との間に配置した構成を備えたことにより、上記第1の実施の形態の効果に加えて、次の効果が得られる。
(1)リアLSD16の複雑化、大型化及び重量増加を伴わずに、リアLSD16の駆動力を左右配分制御することができるようになり、簡単な構成で車両の回頭側に有効なヨーモーメントが得られる。
[第3の実施の形態]
図6は、本発明の第3の実施の形態に係る駆動制御装置を備えた四輪駆動車の動力伝達系を示している。同図に示す四輪駆動車は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車をベースとしている。なお、同図において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。また、FRタイプの四輪駆動車の構成部分は、従来のものと基本的な構成において変わるところはない。従って、FRタイプの四輪駆動車の基本構成は、図示例に限定されるものではない。
(駆動力伝達装置の構成)
エンジン1にはトランスミッション2が連結されている。トランスミッション2の出力駆動軸2bには、トランスファ10内に設けられた電子制御カップリング13の入力軸が連結されている。トランスファ10の伝動軸10bはトランスミッション2の出力駆動軸2bに直結されている。電子制御カップリング13の出力軸にはスプロケット13bが連結されており、入力軸及び出力軸間は図示を省略した摩擦クラッチでトルク伝達制御されるように構成されている。電子制御カップリング13のスプロケット13bとトランスファ10のスプロケット10cとにはチェーン22が掛け回されている。トランスファ10の伝動軸10bはフロントプロペラシャフト11を介してドライブピニオンシャフト23に連結されている。ドライブピニオンシャフト23のピニオンギヤ23aはフロントデフ3のリングギヤ3aに噛合されている。エンジン1からの駆動力は、電子制御カップリング13の摩擦クラッチ13aの締結制御により、トランスミッション2、電子制御カップリング13のスプロケット13b、チェーン22、トランスファ10のスプロケット10c、伝動軸10b、フロントプロペラシャフト11、ドライブピニオンシャフト23、ドライブピニオンギヤ23のピニオンギヤ23a、フロントデフ3を介して左右前輪6,7に伝達される。
電子制御カップリング13の出力軸の後端には、リアプロペラシャフト12を介してドライブピニオンシャフト24が連結されている。ドライブピニオンシャフト24のピニオンギヤ24aは、デフキャリヤ25に回転自在に支持されたリアLSD16のリングギヤ16aと噛合されている。リアLSD16には、上記第1の実施の形態と同様に、カムを用いたトルク感応型のカム式差動制限機構が装備されている。前輪側を後輪側よりも増速側に設定する増速装置としては、例えばドライブピニオンシャフト24のピニオンギヤ24aのギヤ比とリアLSD16のリングギヤ16aのギヤ比とが、左右前輪6,7の回転速度を左右後輪17,18の回転速度よりも増速させるギヤ比となる設定とすることができる。
エンジン1からの駆動力は、電子制御カップリング13の摩擦クラッチ13aの締結制御により、トランスミッション2、リアプロペラシャフト12、ドライブピニオンシャフト24、ドライブピニオンシャフト24のピニオンギヤ24aを介してリアLSD16へと伝達され、リアLSD16から左右の後輪車軸14,15を介して左右後輪17,18へ伝達される。電子制御カップリング13の締結制御により二輪駆動及び四輪駆動を行うことができる。
(駆動制御)
ECU30は、例えば車両の旋回時において車両がアンダーステア挙動を示した場合は、ヨーモーメント、ヨーレート、車輪速及び操舵角などの各種情報により、左右後輪17,18の旋回内輪側のブレーキ装置19,20を作動させ、電子制御カップリング13の摩擦クラッチ13aの締結力を制御するように動作させる。エンジン1から電子制御カップリング13を介して左右後輪17,18の旋回外輪に伝達される駆動力は、リアLSD16のドライブ側TBRに比例して増大制御するように配分され、左右後輪17,18の旋回内輪に伝達される駆動力が減少される。
この第3の実施の形態にあっても、車両の旋回時において車両がアンダーステア挙動を示した場合は、ECU30の指令に基づき左右後輪17,18の旋回内輪にブレーキ力を付加して旋回内輪に伝達される駆動力が減少し、リアLSD16の差動制限機能によりドライブ側TBRに応じて左右後輪17,18の旋回外輪が増速する構成となっているので、車両に旋回方向のヨーモーメントを適切に作用させ、アンダーステアを抑制することができる。なお、左右後輪17,18の旋回外輪にブレーキ制御を行うことで駆動力配分を減少させると、リアLSD16の差動制限機能によりドライブ側TBRに応じて左右後輪17,18の旋回内輪に対する駆動力配分を増大させ、オーバーステアを抑制することができる。
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態に係るFRタイプの四輪駆動車にあっても、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
以上の説明からも明らかなように、上記各図示例では、FF車ベースあるいはFR車ベースの4輪駆動車における左右後輪17,18間の差動制限力を制御する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばFF車の4輪駆動車における左右前輪6,7間の差動制限力を制御する構成、FR車ベースの4輪駆動車における左右前輪6,7間の差動制限力を制御する構成に適用することができる。また、上記図示例では、FR車ベースの4輪駆動車における左右後輪17,18の左右駆動力配分を行う構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばFF車の4輪駆動車における左右前輪6,7の左右駆動力配分を行う構成、FF車における左右前輪6,7の左右駆動力配分を行う構成などに適用できることは勿論であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。従って、本発明は、上記各実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
本発明は、例えば農業機械、建設土木機械、運搬機械等の作業用車両、バギー車及び自動車などの各種の車両における駆動制御装置に効果的に使用することができる。
1 エンジン
2 トランスミッション
2a 出力ギヤ
2b 出力駆動軸
3 フロントデフ
3a,3d,16a リングギヤ
3b サイドギヤ
3c フロントデフケース
4,5 前輪車軸
6,7 前輪
8,9,19,20 ブレーキ装置
10 トランスファ
10a,12a,23a,24a ピニオンギヤ
10b 伝動軸
10c,13b スプロケット
11 フロントプロペラシャフト
12 リアプロペラシャフト
13 電子制御カップリング
13a 摩擦クラッチ
14,15 後輪車軸
16 リアLSD
16b,16c フェースカム
16d カムフォロワ
16e,16f フェースカムコースト側カム面
16g,16h フェースカムドライブ側カム面
16j,16k カムフォロワコースト側カム端面
16m,16n カムフォロワドライブ側カム端面
16r アウタケーシング
16s インナケーシング
17,18 後輪
21 電動モータ
22 チェーン
23,24 ドライブピニオンシャフト
25 デフキャリヤ
26 オイルポンプ
30 ECU
31 駆動力配分制御部
32 アンチロックブレーキ制御部
33 制動力制御部
34 ヨーレート制御部
35 ヨーモーメントセンサ
36 ヨーレートセンサ
37 車輪速センサ
38 操舵角センサ
39 アクセル開度センサ
40 エンジン回転数センサ
41 前後・左右Gセンサ
Ffl,Ffr 前輪駆動力
Frl,Frr 後輪駆動力
Gc 車両重心位置
Myb ブレーキヨーモーメント
Myf 前輪ヨーモーメント
Myr 後輪ヨーモーメント
Yfl,Yfr 前輪コーナーリングフォース
Yrl,Yrr 後輪コーナーリングフォース
βfl 前輪横滑り角
βrl 後輪横滑り角
θ1,θ2 傾斜角

Claims (9)

  1. 車両の駆動源から発生する駆動力を伝達する動力伝達経路の左右車輪間に配置され、前記駆動源からの駆動力に応じて前記左右車輪間に差動制限力を発生する差動制限機構付きの差動装置と、
    前記左右車輪にブレーキ力を個別に付与可能に設置されたブレーキ装置と、
    前記ブレーキ装置を制御する制御部とを備え、
    前記差動装置は、ドライブ側のトルクバイアスレシオがコースト側のトルクバイアスレシオよりも大きく設定された構成を有していることを特徴とする車両用駆動制御装置。
  2. 前記制御部は、前記車両の旋回走行状態がコースト状態にある場合に、前記左右車輪のうち旋回内輪に伝達される駆動力を減少させるように前記ブレーキ装置を制御し、前記差動装置により旋回外輪に伝達される駆動力を前記旋回内輪の駆動力が減少した分に応じて増大させるように制御することを特徴とする請求項1記載の車両用駆動制御装置。
  3. 前記制御部は、前記車両の旋回走行状態がドライブ状態にある場合に、前記左右車輪のうち回転速度が大きい側の車輪に駆動力を減少させるように前記ブレーキ装置を制御し、前記差動装置により、回転速度が小さい側の車輪にトルクバイアスレシオにより増幅された駆動トルクを伝達させるように制御することを特徴とする請求項1記載の車両用駆動制御装置。
  4. 前記差動装置の差動制限機構は、左右前輪間に連結されたフロントデファレンシャル及び左右後輪間に連結されたリアデファレンシャルの少なくとも一方に設けられたことを特徴とする請求項1記載の車両用駆動制御装置。
  5. 前記差動装置は、カムを用いたトルク感応型の差動制限機構を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用駆動制御装置。
  6. 前記差動装置は、前記駆動源からの駆動力が入力されるケージと、前記ケージの内部に軸方向摺動可能に設けられた複数のカムフォロワと、前記複数のカムフォロワの両側端部に噛み合わされ、前記左右車輪の一方の車軸と一体回転する第1のフェースカム及び前記左右車輪の他方の車軸と一体回転する第2のフェースカムとを備え、
    前記複数のカムフォロワの両側端部のそれぞれは、ドライブ側カム端面とコースト側カム端面とを有し、前記コースト側カム端面の傾斜角が、前記ドライブ側カム端面の傾斜角よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項5記載の車両用駆動制御装置。
  7. 前記動力伝達経路に配置され、前記制御部の駆動力配分制御に従い駆動力配分を行う駆動力配分装置を備え、
    前記駆動力配分装置の前輪側からの回転数を後輪側からの回転数よりも常時速く回転させる構成を有していることを特徴とする請求項1記載の車両用駆動制御装置。
  8. 前記駆動力配分装置は前記駆動源の駆動力を前記後輪側に伝達するプロペラシャフト上に配置され、
    前記駆動力配分装置の前記後輪側からの回転速度が前記前輪側からの回転速度よりも減速するように前記前輪側のギヤ比と前記後輪側のギヤ比とを設定したことを特徴とする請求項7記載の車両用駆動制御装置。
  9. 前記駆動力配分装置は後輪の車軸上に配置され、
    前記後輪側のトータルギヤ比が前記前輪側よりも増速するギヤ比となるように左右前輪間に連結されたフロントデファレンシャルから左右後輪間に連結されたリアデファレンシャルまでの動力伝達系のトータルギヤ比を設定したことを特徴とする請求項7記載の車両用駆動制御装置。
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