JP2010163929A - ダイヤフラム式ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が可能で、保護膜の配置数が少なく、単位時間あたりの流体の吐出量が大きいダイヤフラム式ポンプを提供することを課題とする。
【解決手段】ダイヤフラム式ポンプ1は、膜張設口200と流入口22aと流出口22bとポンプ室24とを有するケース2と、複数の電極膜300と誘電膜301とが積層された伸縮膜30と伸縮膜30のポンプ室24側に配置される保護膜31とを有する膜部材3と、ポンプ室24に収容され膜部材3に付勢力を加える導電性の付勢部材4とを備える。低電圧状態においては、付勢部材4が付勢力を蓄積している。高電圧状態においては、膜部材3が面方向に伸張しようとして弛緩し、膜部材3の弛緩量に応じて、付勢部材4が膜部材3を駆動方向に変形させ、ポンプ室24の容積を増加または減少させる。
【選択図】図1
【解決手段】ダイヤフラム式ポンプ1は、膜張設口200と流入口22aと流出口22bとポンプ室24とを有するケース2と、複数の電極膜300と誘電膜301とが積層された伸縮膜30と伸縮膜30のポンプ室24側に配置される保護膜31とを有する膜部材3と、ポンプ室24に収容され膜部材3に付勢力を加える導電性の付勢部材4とを備える。低電圧状態においては、付勢部材4が付勢力を蓄積している。高電圧状態においては、膜部材3が面方向に伸張しようとして弛緩し、膜部材3の弛緩量に応じて、付勢部材4が膜部材3を駆動方向に変形させ、ポンプ室24の容積を増加または減少させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電歪する膜部材を用いて流体を圧送するダイヤフラム式ポンプに関する。
例えば、特許文献1の[図6]には、電歪する膜部材を用いたダイヤフラム式ポンプが開示されている。図7に、同文献記載のダイヤフラム式ポンプの軸方向断面図を示す。図7に示すように、同文献記載のダイヤフラム式ポンプ100は、第一ケース101と、第二ケース102と、膜部材103と、コイルスプリング104と、を備えている。膜部材103は、第一ケース101と第二ケース102との間に介装されている。第一ケース101と膜部材103との間には、ポンプ室105が区画されている。第二ケース102と膜部材103との間には、スプリング室106が区画されている。コイルスプリング104は、スプリング室106に収容されている。また、コイルスプリング104は、第二ケース102底壁内面と膜部材103との間に、介装されている。
膜部材103は、コイルスプリング104により、ポンプ室105方向に付勢されている。膜部材103に電圧を印加すると、膜部材103が弛緩する。当該弛緩量に応じて、コイルスプリング104の付勢力により、膜部材103はポンプ室105方向に膨出する。このため、ポンプ室105の容積が減少する。したがって、ポンプ室105内の流体が外部に送り出される。電圧の印加を解除すると、コイルスプリング104の付勢力に抗して、自身の有する弾性復元力により、膜部材103が収縮する。このため、ポンプ室105の容積が増加する。したがって、外部からポンプ室に流体が流れ込む。このように、同文献記載のダイヤフラム式ポンプ100は、膜部材103を変形させることにより、ポンプ室105の容積を増減させている。すなわち、流体を圧送している。
しかしながら、同文献記載のダイヤフラム式ポンプ100によると、ポンプ室105とは別に、スプリング室106が必要である。このため、ダイヤフラム式ポンプ100が大型化してしまう。
また、膜部材103は、流体の液性やコイルスプリング104の付勢力などにより、劣化するおそれがある。膜部材103を保護するためには、膜部材103の膜厚方向両側(ポンプ室105側とスプリング室106側)に、合計二枚の保護膜を配置する必要がある。
ところで、特許文献2の[図6]には、弾性体を有する膜部材が開示されている。弾性体は、電極膜の表面に積層されている。弾性体は、膜部材の弾性復元力を増強するために配置されている。
ここで、膜部材103保護用の保護膜として、特許文献1のダイヤフラム式ポンプ100に、特許文献2の弾性体を転用する場合を想定する。保護膜として弾性体を配置すると、流体の吐出圧力を大きくすることができる。その反面、保護膜として弾性体を配置すると、弾性体が膜部材103の変形を規制してしまう。このため、不可避的に単位時間あたりの流体の吐出量が小さくなる。
本発明のダイヤフラム式ポンプは、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、小型化が可能で、保護膜の配置数が少なく、単位時間あたりの流体の吐出量が大きいダイヤフラム式ポンプを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のダイヤフラム式ポンプは、膜張設口と、流体が流入する流入口と、該流体が流出する流出口と、該流入口および該流出口に連通するポンプ室と、を有するケースと、複数の電極膜と、複数の該電極膜のうち少なくとも一対の該電極膜の間に介装され、一対の該電極膜間の印加電圧の変化により面方向に伸縮する誘電体エラストマー製の誘電膜と、を有する伸縮膜と、該伸縮膜の該ポンプ室側に配置され該伸縮膜の伸縮を規制しないように伸縮可能な保護膜と、を有し、周縁部が該膜張設口の口縁部に固定された状態で、該膜張設口を封止する膜部材と、該ポンプ室に収容され、該膜部材に、該膜部材の該面方向に対して交差する駆動方向に、付勢力を加える付勢部材と、を備えてなり、該印加電圧が低い低電圧状態においては、該付勢部材が付勢力を蓄積しており、該低電圧状態と比較して該印加電圧が高い高電圧状態においては、該周縁部が該口縁部に固定された状態で、該膜部材が該面方向に伸張しようとして弛緩し、該膜部材の弛緩量に応じて、該付勢部材が、蓄積した該付勢力を解放することにより、該膜部材を該駆動方向に変形させ、該ポンプ室の容積を増加または減少させることを特徴とする(請求項1に対応)。
本発明のダイヤフラム式ポンプによると、付勢部材がポンプ室に収容されている。このため、前出図7に記載のダイヤフラム式ポンプ100のスプリング室106のように、ポンプ室とは別に、付勢部材を収容するための室を設ける必要がない。したがって、小型化が可能である。
また、本発明のダイヤフラム式ポンプによると、伸縮膜を劣化させやすい付勢部材および流体は、共にポンプ室に収容されている。このため、伸縮膜のポンプ室側にのみ保護膜を配置すれば、流体の液性からの伸縮膜の保護と、付勢部材の付勢力からの伸縮膜の保護と、を両立することができる。したがって、保護膜の配置数が少なくなる。
また、本発明のダイヤフラム式ポンプによると、保護膜が伸縮膜の伸縮を規制しない。このため、膜部材の変形が規制されにくい。したがって、単位時間あたりの流体の吐出量が大きくなる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記保護膜は、前記ポンプ室に表出する前記電極膜と、前記流体および前記付勢部材と、の間の導通を遮断する絶縁性の絶縁膜である構成とする方がよい(請求項2に対応)。本構成によると、流体および付勢部材が導電性を有する場合であっても、電極膜と流体との間、および電極膜と付勢部材との間の導通を遮断することができる。
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記付勢部材は、コイルスプリングであり、さらに、前記絶縁膜の前記ポンプ室側に配置され、該コイルスプリングの軸方向一端を保持する絶縁性の第一スプリング座部材を備えている構成とする方がよい(請求項3に対応)。本構成によると、さらに確実に、電極膜とコイルスプリングとの絶縁を確保することができる。
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記ケースは、筒状の側壁部と、該側壁部の軸方向一端に開設される開口と、前記コイルスプリングの軸方向他端を保持する第二スプリング座を有し該側壁部の軸方向他端を封止する底壁部と、を有し、前記膜張設口は該開口であり、前記流入口および前記流出口は、該側壁部および該底壁部のうち少なくとも一方に開設されており、前記ポンプ室は、該ケースと前記膜部材とにより区画されている構成とする方がよい(請求項4に対応)。本構成によると、ダイヤフラム式ポンプの構造が簡単になる。
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記低電圧状態における前記付勢部材と前記膜部材とのばね定数比は、1以下であり、負荷の無い自然状態の該付勢部材の軸方向全長を100%として、該付勢部材の該自然状態に対する該低電圧状態の軸方向変形量は、20%以上である構成とする方がよい(請求項5に対応)。
ここで、付勢部材と膜部材とのばね定数比とは、(付勢部材のばね定数/膜部材のばね定数)をいう。
本構成によると、付勢部材と膜部材とのばね定数比が、1以下に設定されている。ばね定数比を1以下にしたのは、1超過の場合、大きな吐出性能が得にくくなるからである。
また、本構成によると、自然状態の付勢部材の軸方向全長を100%として、付勢部材の自然状態に対する低電圧状態の軸方向変形量が、20%以上に設定されている。軸方向変形量を20%以上にしたのは、20%未満の場合、低電圧状態と高電圧状態とを切り替える際の膜部材の変形量が小さくなるからである。
本発明によると、小型化が可能で、保護膜の配置数が少なく、単位時間あたりの流体の吐出量が大きいダイヤフラム式ポンプを提供することができる。
以下、本発明のダイヤフラム式ポンプの一つの実施形態である、ダイヤフラム式ポンプについて説明する。
[冷却回路]
まず、本実施形態のダイヤフラム式ポンプが配置される冷却回路について説明する。図1に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプの低電圧状態における軸方向断面図を示す。図1に示すように、冷却回路Cには、ダイヤフラム式ポンプ1と、流出側逆止弁Vbと、熱源と、放熱器と、流入側逆止弁Vaと、が配置されている。冷却回路Cには、冷却液が循環している。冷却液は、導電性を有している。冷却液は、本発明の流体に含まれる。冷却液は、ダイヤフラム式ポンプ1から吐出され、流出側逆止弁Vbを通過し、熱源を冷却する。熱源を冷却することにより高温になった冷却液は、放熱器で冷却される。放熱器で冷却された冷却液は、流入側逆止弁Vaを通過し、再びダイヤフラム式ポンプ1に流入する。このようにして、冷却液は、冷却回路Cを循環している。
まず、本実施形態のダイヤフラム式ポンプが配置される冷却回路について説明する。図1に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプの低電圧状態における軸方向断面図を示す。図1に示すように、冷却回路Cには、ダイヤフラム式ポンプ1と、流出側逆止弁Vbと、熱源と、放熱器と、流入側逆止弁Vaと、が配置されている。冷却回路Cには、冷却液が循環している。冷却液は、導電性を有している。冷却液は、本発明の流体に含まれる。冷却液は、ダイヤフラム式ポンプ1から吐出され、流出側逆止弁Vbを通過し、熱源を冷却する。熱源を冷却することにより高温になった冷却液は、放熱器で冷却される。放熱器で冷却された冷却液は、流入側逆止弁Vaを通過し、再びダイヤフラム式ポンプ1に流入する。このようにして、冷却液は、冷却回路Cを循環している。
[ダイヤフラム式ポンプの構成]
次に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1の構成について説明する。図2に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプの低電圧状態における斜視図を示す。図3に、同ダイヤフラム式ポンプの分解斜視図を示す。
次に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1の構成について説明する。図2に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプの低電圧状態における斜視図を示す。図3に、同ダイヤフラム式ポンプの分解斜視図を示す。
図1〜図3に示すように、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1は、ケース2と、膜部材3と、コイルスプリング4と、第一スプリング座部材6と、流入筒部7aと、流出筒部7bと、を備えている。
(ケース2)
ケース2は、筒部材20と、底壁部材21と、を備えている。筒部材20は、本発明の側壁部に含まれる。底壁部材21は、本発明の底壁部に含まれる。筒部材20は、樹脂製であって、円筒状を呈している。筒部材20は、上端開口と、下端開口201と、膜固定溝202と、を備えている。上端開口は、本発明の開口に含まれる。上端開口と下端開口201とは、上下方向に対向している。上端開口は、膜張設口200に相当する。膜固定溝202は、筒部材20の外周面の膜張設口200付近に周設されている。
ケース2は、筒部材20と、底壁部材21と、を備えている。筒部材20は、本発明の側壁部に含まれる。底壁部材21は、本発明の底壁部に含まれる。筒部材20は、樹脂製であって、円筒状を呈している。筒部材20は、上端開口と、下端開口201と、膜固定溝202と、を備えている。上端開口は、本発明の開口に含まれる。上端開口と下端開口201とは、上下方向に対向している。上端開口は、膜張設口200に相当する。膜固定溝202は、筒部材20の外周面の膜張設口200付近に周設されている。
底壁部材21は、樹脂製であって、円板状を呈している。底壁部材21は、筒部材20の下端開口201を封止している。底壁部材21は、第二スプリング座210と、流入筒部固定孔211aと、流出筒部固定孔211bと、を備えている。流入筒部固定孔211aと流出筒部固定孔211bとは、底壁部材21を上下方向に貫通している。流入筒部固定孔211aと流出筒部固定孔211bとは、底壁部材21の周方向に、略180°対向して配置されている。流入筒部固定孔211aの上端には、流入口22aが配置されている。流出筒部固定孔211bの上端には、流出口22bが配置されている。第二スプリング座210は、短軸円柱状を呈している。第二スプリング座210は、底壁部材21上面の略中央から、上方に突出している。
(流入筒部7a、流出筒部7b)
流入筒部7aは、樹脂製であって、円筒状を呈している。流入筒部7aは、流入筒部固定孔211aに挿入され、固定されている。流入筒部7aは、流入側逆止弁Vaの下流側に配置されている。
流入筒部7aは、樹脂製であって、円筒状を呈している。流入筒部7aは、流入筒部固定孔211aに挿入され、固定されている。流入筒部7aは、流入側逆止弁Vaの下流側に配置されている。
流出筒部7bは、樹脂製であって、円筒状を呈している。流出筒部7bは、流出筒部固定孔211bに挿入され、固定されている。流出筒部7bは、流出側逆止弁Vbの上流側に配置されている。
(膜部材3)
膜部材3は、上方の伸縮膜30と、下方の絶縁膜31と、を備えている。膜部材3は、筒部材20の膜張設口200に、所定の張力で張設されている。膜部材3の周縁部は、筒部材20の膜固定溝202に入り込んだ状態で、径方向外側からクランプリング32により締め付けられている。ケース2の内部には、ケース2と膜部材3とにより区画された、ポンプ室24が配置されている。ポンプ室24は、流入口22aおよび流出口22bに連通している。
膜部材3は、上方の伸縮膜30と、下方の絶縁膜31と、を備えている。膜部材3は、筒部材20の膜張設口200に、所定の張力で張設されている。膜部材3の周縁部は、筒部材20の膜固定溝202に入り込んだ状態で、径方向外側からクランプリング32により締め付けられている。ケース2の内部には、ケース2と膜部材3とにより区画された、ポンプ室24が配置されている。ポンプ室24は、流入口22aおよび流出口22bに連通している。
膜部材3の積層構造について説明する。図4に、膜部材の伸縮膜の分解斜視図を示す。図5に、図1の枠V内の拡大図を示す。図4、図5に示すように、伸縮膜30は、六層の電極膜300と、五層の誘電膜301と、を備えている。六層の電極膜300と五層の誘電膜301とは、電極膜300が最上層および最下層になるように、上下方向に交互に積層されている。電極膜300は、導電性カーボンブラックを分散させたゴム製であって、円形の薄膜状を呈している。電極膜300は、誘電膜301の伸縮を規制しないように、伸縮可能である。六層の電極膜300のうち、三層の電極膜300は、スイッチSを介して、電源のプラス側に接続されている。六層の電極膜300のうち、残りの三層の電極膜300は、電源のマイナス側に接続されている。プラス側の電極膜300とマイナス側の電極膜300とは、誘電膜301を介して、上下方向に隣接している。誘電膜301は、ニトリルゴム製であって、円形の薄膜状を呈している。誘電膜301は、電極膜300よりも、大径である。絶縁膜31は、アクリル系ゴム膜である。絶縁膜31は、円形の薄膜状を呈している。絶縁膜31は、最下層の電極膜300の下面に配置されている。絶縁膜31は、伸縮膜30の伸縮を規制しないように、伸縮可能である。
(第一スプリング座部材6)
第一スプリング座部材6は、樹脂製であって、短軸の段付き円柱状を呈している。第一スプリング座部材6は、大径部60と、小径部61と、を備えている。大径部60は、円形の平板状を呈している。大径部60は、絶縁膜31の下面に固定されている。小径部61は、大径部60の下面から下方に突出している。第一スプリング座部材6は、底壁部材21の第二スプリング座210の上方に、第二スプリング座210と対向して配置されている。
第一スプリング座部材6は、樹脂製であって、短軸の段付き円柱状を呈している。第一スプリング座部材6は、大径部60と、小径部61と、を備えている。大径部60は、円形の平板状を呈している。大径部60は、絶縁膜31の下面に固定されている。小径部61は、大径部60の下面から下方に突出している。第一スプリング座部材6は、底壁部材21の第二スプリング座210の上方に、第二スプリング座210と対向して配置されている。
(コイルスプリング4)
コイルスプリング4は、金属製であって、ポンプ室24に収容されている。コイルスプリング4の上端(軸方向一端)は、第一スプリング座部材6に固定されている。コイルスプリング4の下端(軸方向他端)は、底壁部材21の第二スプリング座210に固定されている。コイルスプリング4は、自然状態(無負荷状態)に対して軸方向に圧縮された状態で、第一スプリング座部材6と第二スプリング座210との間に、介装されている。コイルスプリング4は、膜部材3に、上向きの付勢力を加えている。
コイルスプリング4は、金属製であって、ポンプ室24に収容されている。コイルスプリング4の上端(軸方向一端)は、第一スプリング座部材6に固定されている。コイルスプリング4の下端(軸方向他端)は、底壁部材21の第二スプリング座210に固定されている。コイルスプリング4は、自然状態(無負荷状態)に対して軸方向に圧縮された状態で、第一スプリング座部材6と第二スプリング座210との間に、介装されている。コイルスプリング4は、膜部材3に、上向きの付勢力を加えている。
[ダイヤフラム式ポンプの動き]
次に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1の動きについて説明する。図6に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプの高電圧状態における軸方向断面図を示す。
次に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1の動きについて説明する。図6に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプの高電圧状態における軸方向断面図を示す。
(低電圧状態から高電圧状態に切り替える場合の動き)
図1に示す低電圧状態から図6に示す高電圧状態に切り替える場合は、図4に示すスイッチSを閉成する。スイッチSを閉成すると、プラス側の三層の電極膜300と、マイナス側の三層の電極膜300と、の間に電圧が印加される。このため、誘電膜301を介して上下方向に隣接する一対の電極膜300間に、静電引力が発生する。当該静電引力により、誘電膜301は、上下方向(膜厚方向)から圧縮される。並びに、誘電膜301は、圧縮された分だけ、径方向(面方向)に伸張しようとする。ここで、誘電膜301(つまり膜部材3)の周縁部は、クランプリング32により、固定されている。このため、誘電膜301は、径方向に伸張できず、弛緩する。また、誘電膜301に追随して、電極膜300、絶縁膜31も弛緩する。したがって、膜部材3全体が弛緩する。
図1に示す低電圧状態から図6に示す高電圧状態に切り替える場合は、図4に示すスイッチSを閉成する。スイッチSを閉成すると、プラス側の三層の電極膜300と、マイナス側の三層の電極膜300と、の間に電圧が印加される。このため、誘電膜301を介して上下方向に隣接する一対の電極膜300間に、静電引力が発生する。当該静電引力により、誘電膜301は、上下方向(膜厚方向)から圧縮される。並びに、誘電膜301は、圧縮された分だけ、径方向(面方向)に伸張しようとする。ここで、誘電膜301(つまり膜部材3)の周縁部は、クランプリング32により、固定されている。このため、誘電膜301は、径方向に伸張できず、弛緩する。また、誘電膜301に追随して、電極膜300、絶縁膜31も弛緩する。したがって、膜部材3全体が弛緩する。
図1に示す低電圧状態において、膜部材3は、コイルスプリング4により、上向きに付勢されている。当該付勢力により、膜部材3は、図6に示すように、上方に膨出する。膜部材3が上方に膨出すると、その分、ポンプ室24の容積が増加する。ここで、流入側逆止弁Va、流出側逆止弁Vbは、冷却液を上流側から下流側に流す方向にしか、開かない。このため、ポンプ室24の容積が増加する場合は、流入側逆止弁Vaのみが開弁する。したがって、ポンプ室24に冷却液が流れ込む。このように、低電圧状態から高電圧状態に切り替えると、ポンプ室24に冷却液が流れ込む。
(高電圧状態から低電圧状態に切り替える場合の動き)
高電圧状態から低電圧状態に切り替える場合は、図4に示すスイッチSを開成する。スイッチSを開成すると、プラス側の三層の電極膜300と、マイナス側の三層の電極膜300と、の間の印加電圧が解除される。このため、誘電膜301を介して上下方向に隣接する一対の電極膜300間の静電引力が解除される。したがって、誘電膜301は、自身の有する弾性復元力により、コイルスプリング4の付勢力に抗しながら、径方向に収縮し、上下方向に伸張する。また、誘電膜301に追随して、電極膜300、絶縁膜31も、各自の有する弾性復元力により、コイルスプリング4の付勢力に抗しながら、径方向に収縮し、上下方向に伸張する。したがって、膜部材3全体が径方向に収縮し、上下方向に伸張する。膜部材3は、図1に示すように、略平面状態まで復動する。膜部材3が復動すると、その分、ポンプ室24の容積が減少する。このため、流出側逆止弁Vbのみが開弁する。したがって、ポンプ室24から、冷却液が送り出される。このように、高電圧状態から低電圧状態に切り替えると、ポンプ室24から、冷却液が送り出される。
高電圧状態から低電圧状態に切り替える場合は、図4に示すスイッチSを開成する。スイッチSを開成すると、プラス側の三層の電極膜300と、マイナス側の三層の電極膜300と、の間の印加電圧が解除される。このため、誘電膜301を介して上下方向に隣接する一対の電極膜300間の静電引力が解除される。したがって、誘電膜301は、自身の有する弾性復元力により、コイルスプリング4の付勢力に抗しながら、径方向に収縮し、上下方向に伸張する。また、誘電膜301に追随して、電極膜300、絶縁膜31も、各自の有する弾性復元力により、コイルスプリング4の付勢力に抗しながら、径方向に収縮し、上下方向に伸張する。したがって、膜部材3全体が径方向に収縮し、上下方向に伸張する。膜部材3は、図1に示すように、略平面状態まで復動する。膜部材3が復動すると、その分、ポンプ室24の容積が減少する。このため、流出側逆止弁Vbのみが開弁する。したがって、ポンプ室24から、冷却液が送り出される。このように、高電圧状態から低電圧状態に切り替えると、ポンプ室24から、冷却液が送り出される。
[作用効果]
次に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1の作用効果について説明する。本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、コイルスプリング4がポンプ室24に収容されている。このため、ポンプ室24とは別に、コイルスプリング4を収容するための室を設ける必要がない。したがって、小型化が可能である。
次に、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1の作用効果について説明する。本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、コイルスプリング4がポンプ室24に収容されている。このため、ポンプ室24とは別に、コイルスプリング4を収容するための室を設ける必要がない。したがって、小型化が可能である。
また、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、膜部材3が絶縁膜31を有している。このため、電極膜300から、冷却液、コイルスプリング4に、電流が流れるのを防止することができる。
また、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、膜部材3が絶縁膜31を有している。このため、伸縮膜30を、冷却液の液性やコイルスプリング4の付勢力から、保護することができる。
また、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、絶縁膜31の下面に第一スプリング座部材6が固定されている。第一スプリング座部材6は、絶縁性を有している。このため、電極膜300からコイルスプリング4に電流が流れるのを、より確実に防止することができる。
また、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、導電性を有するコイルスプリング4および冷却液は、共にポンプ室24に収容されている。このため、伸縮膜30のポンプ室24側にのみ絶縁膜31を配置すれば、電極膜300と冷却液との絶縁および電極膜300とコイルスプリング4との絶縁を、両立することができる。並びに、伸縮膜30のポンプ室24側にのみ絶縁膜31を配置すれば、冷却液からの伸縮膜30の保護およびコイルスプリング4の付勢力からの伸縮膜30の保護を、両立することができる。したがって、絶縁膜31の配置数が少なくなる。
また、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、絶縁膜31が伸縮膜30の伸縮を規制しない。このため、膜部材3の変形が規制されにくい。したがって、単位時間あたりの冷却液の吐出量が大きくなる。
また、本実施形態のダイヤフラム式ポンプ1によると、流入口22aと流出口22bとが、共に底壁部材21に配置されている。このため、ケース2の径方向全長を小さくすることができる。
<その他>
以上、本発明のダイヤフラム式ポンプの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
以上、本発明のダイヤフラム式ポンプの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
上記実施形態においては、絶縁膜31をアクリル系ゴム膜としたが、絶縁膜31の材質は特に限定しない。誘電膜301の伸縮に応じて伸縮可能である方が好ましい。例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム等の柔軟なものが好適である。また、絶縁膜31の材質と誘電膜301の材質とを一致(母材のみを一致させる場合を含む)させると、誘電膜301の変形に絶縁膜31の変形が、さらに追従しやすくなる。
また、ケース2の材質は特に限定しない。各種樹脂製、各種金属製としてもよい。また、上記実施形態においては、付勢部材としてコイルスプリング4を配置したが、板ばね、皿ばねなど、他の種類のスプリングを配置してもよい。また、上記実施形態においては、膜部材3をクランプリング32で固定したが、接着など他の方法で固定してもよい。
また、上記実施形態においては、ダイヤフラム式ポンプ1に、流入口22a、流出口22bを各々一つずつ配置した。しかしながら、ダイヤフラム式ポンプ1に、流入口22a、流出口22bを各々複数配置してもよい。また、流入口22aの配置数と流出口22bの配置数とが、一致しなくてもよい。
また、上記実施形態においては、筒部材20と底壁部材21とを別体としたが、両部材を一体に形成してもよい。すなわち、ケース2を有底円筒状(カップ状)の一体物としてもよい。こうすると、部品点数が少なくなる。
また、上記実施形態においては、本発明のダイヤフラム式ポンプ1を冷却回路Cの冷却液圧送用として具現化したが、ダイヤフラム式ポンプ1の用途は特に限定しない。例えば、燃料、水など、導電性を有する各種流体の圧送に用いてもよい。
また、誘電膜301を形成する誘電体エラストマーの種類も特に限定しない。誘電膜301は、当該誘電膜301を介して上下方向に隣り合う電極膜300間の静電引力に応じて変形するものであればよい。ニトリルゴムの他、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムから選ばれる一種以上としてもよい。これらの誘電体エラストマーは、いずれも誘電性、絶縁破壊性が高いため、誘電膜301を形成するのに好適である。また、膜部材3における電極膜300、誘電膜301の積層数も特に限定しない。
また、上記実施形態においては、低電圧状態から高電圧状態に切り替える際ポンプ室24の容積を増加させ、高電圧状態から低電圧状態に切り替える際ポンプ室24の容積を減少させた。しかしながら、低電圧状態から高電圧状態に切り替える際ポンプ室24の容積を減少させ、高電圧状態から低電圧状態に切り替える際ポンプ室24の容積を増加させてもよい。この場合、コイルスプリング4により、膜部材3に、上下方向に収縮する方向(引っ張り方向)の付勢力を加えればよい。
1:ダイヤフラム式ポンプ、2:ケース、3:膜部材、4:コイルスプリング、6:第一スプリング座部材、7a:流入筒部、7b:流出筒部。
20:筒部材(側壁部)、21:底壁部材(底壁部)、22a:流入口、22b:流出口、24:ポンプ室、30:伸縮膜、31:絶縁膜、32:クランプリング、60:大径部、61:小径部。
200:膜張設口、201:下端開口、202:膜固定溝、210:第二スプリング座、211a:流入筒部固定孔、211b:流出筒部固定孔、300:電極膜、301:誘電膜。
C:冷却回路、S:スイッチ、Va:流入側逆止弁、Vb:流出側逆止弁。
20:筒部材(側壁部)、21:底壁部材(底壁部)、22a:流入口、22b:流出口、24:ポンプ室、30:伸縮膜、31:絶縁膜、32:クランプリング、60:大径部、61:小径部。
200:膜張設口、201:下端開口、202:膜固定溝、210:第二スプリング座、211a:流入筒部固定孔、211b:流出筒部固定孔、300:電極膜、301:誘電膜。
C:冷却回路、S:スイッチ、Va:流入側逆止弁、Vb:流出側逆止弁。
Claims (5)
- 膜張設口と、流体が流入する流入口と、該流体が流出する流出口と、該流入口および該流出口に連通するポンプ室と、を有するケースと、
複数の電極膜と、複数の該電極膜のうち少なくとも一対の該電極膜の間に介装され、一対の該電極膜間の印加電圧の変化により面方向に伸縮する誘電体エラストマー製の誘電膜と、を有する伸縮膜と、該伸縮膜の該ポンプ室側に配置され該伸縮膜の伸縮を規制しないように伸縮可能な保護膜と、を有し、周縁部が該膜張設口の口縁部に固定された状態で、該膜張設口を封止する膜部材と、
該ポンプ室に収容され、該膜部材に、該膜部材の該面方向に対して交差する駆動方向に、付勢力を加える付勢部材と、を備えてなり、
該印加電圧が低い低電圧状態においては、該付勢部材が付勢力を蓄積しており、
該低電圧状態と比較して該印加電圧が高い高電圧状態においては、該周縁部が該口縁部に固定された状態で、該膜部材が該面方向に伸張しようとして弛緩し、該膜部材の弛緩量に応じて、該付勢部材が、蓄積した該付勢力を解放することにより、該膜部材を該駆動方向に変形させ、該ポンプ室の容積を増加または減少させるダイヤフラム式ポンプ。 - 前記保護膜は、前記ポンプ室に表出する前記電極膜と、前記流体および前記付勢部材と、の間の導通を遮断する絶縁性の絶縁膜である請求項1に記載のダイヤフラム式ポンプ。
- 前記付勢部材は、コイルスプリングであり、
さらに、前記絶縁膜の前記ポンプ室側に配置され、該コイルスプリングの軸方向一端を保持する絶縁性の第一スプリング座部材を備えている請求項2に記載のダイヤフラム式ポンプ。 - 前記ケースは、筒状の側壁部と、該側壁部の軸方向一端に開設される開口と、前記コイルスプリングの軸方向他端を保持する第二スプリング座を有し該側壁部の軸方向他端を封止する底壁部と、を有し、
前記膜張設口は該開口であり、
前記流入口および前記流出口は、該側壁部および該底壁部のうち少なくとも一方に開設されており、
前記ポンプ室は、該ケースと前記膜部材とにより区画されている請求項3に記載のダイヤフラム式ポンプ。 - 前記低電圧状態における前記付勢部材と前記膜部材とのばね定数比は、1以下であり、
負荷の無い自然状態の該付勢部材の軸方向全長を100%として、該付勢部材の該自然状態に対する該低電圧状態の軸方向変形量は、20%以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のダイヤフラム式ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009005903A JP2010163929A (ja) | 2009-01-14 | 2009-01-14 | ダイヤフラム式ポンプ |
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JP2009005903A Pending JP2010163929A (ja) | 2009-01-14 | 2009-01-14 | ダイヤフラム式ポンプ |
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JP2019112970A (ja) * | 2017-12-21 | 2019-07-11 | 豊田合成株式会社 | ポンプ |
WO2023105565A1 (ja) * | 2021-12-06 | 2023-06-15 | 日本電信電話株式会社 | マイクロダイアフラムポンプ |
-
2009
- 2009-01-14 JP JP2009005903A patent/JP2010163929A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP7020645B2 (ja) | 2017-12-21 | 2022-02-16 | 豊田合成株式会社 | ポンプ |
WO2023105565A1 (ja) * | 2021-12-06 | 2023-06-15 | 日本電信電話株式会社 | マイクロダイアフラムポンプ |
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