JP2010161375A - バルク電流注入トランス、バルク電流注入試験方法、導体励起モード測定方法、およびトランス試験装置 - Google Patents

バルク電流注入トランス、バルク電流注入試験方法、導体励起モード測定方法、およびトランス試験装置 Download PDF

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Abstract

【課題】すぐれた特性を有するバルク電流注入トランスを提供する。
【解決手段】磁気コア510と、複数の巻線520,530とを有するBCIトランス500が提供される。磁気コア510は、1つ以上の被試験導体を取り囲むように構成される。複数の巻線520,530の各々は、磁気コア510の縦断面の周囲に少なくとも部分的に巻回され、この磁気コア510の方位角方向に離間して設けられる。注入試験に際しては、各「フィードポイント」において複数の巻線520,530のそれぞれに電流を供給すべく、電源580が接続される。複数の給電ポイントを磁気コア510の周囲に配置することにより、複数の巻線520,530に流れる電流は、方位角方向に均一な磁束密度を磁気コア510に生じさせることが可能となる。この均一な磁束密度により、BCIトランス500は、被試験導体にコモンモード電流のみを励起することができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、バルク電流注入(BCI)トランスに係り、特に磁界均一性、帯域幅および耐電力を改良したBCIトランスに関する。
以下の記載および例は、背景を説明することのみを目的として提供されている。
バルク電流注入(BCI:Bulk Current Injection)イミュニティ試験法(以下、BCI試験法)は、様々な電子機器の電磁感受性を評価するために頻繁に用いられている。BCI試験法は、被試験デバイス(DUT:Device Under Test)の導体または複数の導体に対し、連続波またはパルス電流を注入することにより、ファーフィールド(far field:遠方界)(平面波)電磁放射によって導体にコモンモード電流を生じさせるための方法である。BCI試験法は、放射イミュニティ試験法と比較すると、一般的に所定の周波数域に渡って、導体に特定のコモンモード電流を発生させるための電力が大幅に少なくて済むことから、望ましい方法である。
BCI試験では、BCIプローブと呼ばれる「磁束結合」トランスすなわちファラデートランスを用いて、電子機器の1つ以上の導体に対し大きなRF電流を注入する。図1は、一般的なBCIプローブ100を示している。図1に示すように、BCIプローブ100は磁気コア110を有しており、この磁気コア110はコモンモード電流(励起コモンモード電流Ic)が励起される(複数の)導体120からなるケーブル束CBを取り囲むようになっている。この磁気コア110には、一回以上の巻回数を有する単一の磁気コイル130が、トランスの入力部すなわち「フィードポイント(feed point)」の位置において巻回されている。
注入モードに際しては、磁気コイル130が一次巻線として機能し、DUTの導体120が二次巻線として機能する。一次巻線には、RF電源140が接続されている。一次巻線に流れる電流(「一次電流」I1)は、磁気コア110において、磁束の方向θに向かって磁束を発生させ、この磁束により、二次巻線を流れる電流が電磁結合を介して励起される。BCIトランスは、電流を注入する以外に、導体120のコモンモード電流を検知し、そのコモンモード電流を測定するために用いられる場合もある。検知モードの際、導体120は一次巻線として機能し、磁気コア110に巻回された磁気コイル130は二次巻線として機能する。BCIトランスは、コモンモード電流を検知するために使用される場合には「電流モニター」と呼ばれる。
近年、BCI試験の周波数帯がより一層の高い周波数に拡張していることに伴い、より広範囲の周波数域に渡ってBCIトランスの特性を測定する(Characterize)ための取り組みがなされている。しかしながら、そのようなデバイスによって生じた電磁界に関する論文は少ない。また、このようなトランスの磁気コアにおける分布電磁効果(distributed electromagnetic effects)すなわち遅延電磁効果(retarded electromagnetic effects)(寸法効果(dimensional effects)とも称される場合がある)に関する論文、すなわち、それらの効果が如何にして注入電流またはセンス電流という形で現れるか、に関する論文も少ない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、すぐれた特性を有するバルク電流注入トランス、バルク電流注入試験方法、およびトランス試験装置を提供することにある。すなわち、本発明は、BCIトランスの磁気コアにおいて生じた分布電磁効果を測定するための試験装置を提供することにより、このような課題を解消するものである。また、本明細書では、そのような分布電磁効果を克服するためのいくつかの解決手段の例が提供される。
いかなる場合であっても、以下に記載した、バルク電流注入(BCI)トランスの特性を測定するための試験装置、BCIトランス、およびBCI試験法の各種実施の形態が、添付の請求の範囲の主題事項を限定するものである、と解釈してはならない。
一実施の形態によれば、BCIトランスの特性を測定するためのトランス試験装置が提供される。このトランス試験装置は、互いに並行に且つ距離を設けて配置された、複数の導体を有する。このトランス試験装置はまた、複数の導体の周囲にBCIトランスを位置決めすべくBCIトランスの外側表面に結合され、これにより複数の導体がBCIトランスの内部を縦軸方向に沿って延在可能とする、誘電性クランプを有する。ここで、縦軸方向とは、BCIトランスの軸方向である。一つの実施の形態に係るトランス試験装置は、従来のBCIトランスによって複数の導体に生じた(複数の)非コモンモードを測定するために用いることが可能である。いくつかの実施の形態において、トランス試験装置は、非コモンモードに加え、コモンモードをも測定するように構成してもよい。
複数の導体は、詳細については後述するが、N本の導体と接地帰路(ground return:グラウンドリターン)とを有する「ケーブル束(cable bundle)」が用いられる。注入モードの際、複数の巻線に供給された電力は、磁気コアに磁界を発生させ、これにより、ケーブル束の導体に電流が励起される。いくつかの実施の形態に係る被試験トランスは、コモンモード電流と非コモンモード電流の双方を、ケーブル束に励起する。なお、本明細書において「コモンモード(common mode)」とは、瞬時電流が、N本のすべての導体において同一方向に流れるモードとして定義される(注:電流は、接地用導体を介して反対方向に戻って行く)。また、本明細書において「非コモンモード(non-common mode)」とは、瞬時電流が、N本のすべての導体において同一方向に流れないモードとして定義される。
本明細書で説明されるトランス試験装置は、単一の導体のみを用いる従来の較正装置とは異なり、均一な断面形状を有する2つ以上の導体から構成された、「ケーブル束」を有する。例えば、偶数の導体を、本明細書で説明されるトランス試験装置内に設けてもよい。一つの実施の形態に係る複数の導体は、従来のBCIトランスにより生じた方位角方向に不均一な磁界によって、複数の導体に非コモンモードが励起されるように選択された距離を隔てて設けられる。複数の導体に励起されるモードは、使用される導体数と、それらの間の距離とによって異なる。偶数の導体を用いた場合、導体に差動モードが励起されるように、導体間の距離が選択される。本明細書において「差動モード(differential mode)」とは、複数の導体の電流の和、すなわち正味電流が零であるモードとして定義される。なお、複数の導体間の距離は固定ではなく、いくつかの実施の形態では変更できるようにしてもよい。
BCIトランスにより複数の導体において励起された非コモンモードを測定すべく、自動ベクトルネットワークアナライザが、トランス試験装置内に設けられる。一つの実施の形態において、この測定は、被試験BCIトランスの出力ポートと、トランス試験装置の複数のポートのうちの一つのポートとの間の挿入損失を測定することにより行われる。また、複数の導体を漸進的にステップ回転させるための回動手段が設けられ、これにより、挿入損失の漸進的な測定を行うことができる。
一つの実施の形態に係るトランス試験装置は、複数の導体の両端部にそれぞれ接続された一対の電圧バランを有する。この実施の形態では、自動ベクトルネットワークアナライザの第1の入力ポートをBCIトランスの出力ポートに接続し、自動ベクトルネットワークアナライザの第2の入力ポートを一対の電圧バランの一方の電圧バランの出力ポートに接続することにより、挿入損失が測定される。回動手段は、導体を漸進的にステップ回転させるべく、一方の電圧バランの出力ポートと、自動ベクトルネットワークアナライザの第2の入力ポートとの間に接続される。
他の実施の形態に係るトランス試験装置は、BCIトランスにより励起された、コモンモードと非コモンモードとを測定するために構成される。例えば、トランス試験装置は、各々が複数の導体の両端部に接続された、一対の180°ハイブリッド回路網と、各々がこの一対の180°ハイブリッド回路網のそれぞれの、一対の和および差ポートに接続された、一対の同軸スイッチとを有する。この一対の同軸スイッチを選択的に動作させることにより、一対の180°ハイブリッド回路網が、コモンモード信号または非コモンモード信号を受け取るようにすることができる。挿入損失を測定するために、その選択された信号(すなわち、コモンモード信号または非コモンモード信号)を、自動ベクトルネットワークアナライザに送るようにしてもよい。一つの実施の形態では、自動ベクトルネットワークアナライザの第1の入力ポートを、BCIトランスの出力ポートに接続し、自動ベクトルネットワークアナライザの第2の入力ポートを、一対の同軸スイッチの一方の同軸スイッチの出力ポートに接続することにより、挿入損失の測定が行われる。回動手段は、導体を漸進的にステップ回転させるべく、一方の同軸スイッチの出力ポートと、自動ベクトルネットワークアナライザの第2の入力ポートとの間に接続される。
また、本明細書では改良されたBCIトランスが提供される。このBCIトランスは、1つ以上の被試験導体を取り囲むように構成された磁気コアを有する。磁気コアは、フェライト材料を有する。磁気コアは、閉磁路が得られる略任意の形状を有する。一つの実施の形態に係る磁気コアは、例えば、略円筒形状を有する。他の実施の形態に係る磁気コアは、積層された1つ以上の環状体から構成される。場合によっては、磁気コアを二等分することにより、磁気コアを、複数の導体の周りに設置するようにしてもよい。
本明細書で説明される改良されたBCIトランスは、従来のトランスとは異なり、各々が磁気コアの縦断面(longitudinal dimension)の周囲に少なくとも部分的に巻回された複数の巻線を有する。これらの複数の巻線は、互いに間隔をもって複数の方位角方向に設けられている。ここで、縦断面とは、磁気コアの断面のうちの、BCIトランスの軸(縦軸)を含む面である。この複数の巻線を、磁気コアの周囲に略対称的に離間して設けるようにすると、均一な磁束密度が生じる。一つの実施の形態に係る複数の巻線は、磁気コアの方位角方向に約180°離間して設けられた、2つの巻線を含み得る。他の実施の形態に係る磁気コアは、磁気コアの方位角方向に約120°離間して設けられた3つの巻線、または、磁気コアの方位角方向に約90°離間して設けられた4つの巻線を含む。複数の巻線を厳密に対称配置にした場合、最良の結果が得られる。ただし、本発明はそれには限定されず、基本的に、磁気コアの方位角方向に互いに離間して配置された、2つ以上の巻線を含むようにすればよい。
場合によっては、1回巻き以上の導体を用いて、複数の巻線を構成するようにしてもよい。他の場合では、磁気コアと複数の巻線とを包むように覆う、静電シールドを有するようにしてもよい。そのような場合、複数の巻線の各々は、半回巻きの導体から構成され得る。複数の巻線の各々の半回巻きの一端は、静電シールドに接続され、他端は、BCIトランスと電源とを接続する給電線に接続される。静電シールドにおける、半回巻きと給電線との間の部分は、他の「半回巻き」を構成し、これにより一回巻きの巻線を構成している。
いくつかの実施の形態では、複数の巻線のそれぞれに電流を注入するため、複数の巻線に電源が接続される。この電源が供給されるポイントは、「フィードポイント(feed point)」と称される。いくつかの実施の形態では、インピーダンス変換回路網を、電源と複数の巻線との間に接続してもよい。一つの実施の形態に係るインピーダンス変換回路網は、同相電力分配器を含む。他の実施の形態に係るインピーダンス変換回路網は、直列・直列バラン構成を含む。さらに他の実施の形態に係るインピーダンス変換回路網は、複数の巻線間に設けられた並列接続部を含む。複数のフィードポイントを磁気コアの周囲に配置することにより、複数の巻線に流れる電流は、磁気コアにおいて方位角方向に均一な磁束密度を生じさせることが可能となる。この均一な磁束密度により、本明細書で説明される改良型のBCIトランスは、被試験導体にコモンモード電流のみを励起することが可能となっている。
さらに、本明細書ではBCI試験法が提供される。一実施の形態に係るBCI試験法は、BCIトランスを、1つ以上の被試験導体の周囲に配置することから開始される。BCIトランスは、上述の改良されたBCIトランスの構造と同様とすることができる。例えば、BCIトランスは、被試験導体を取り囲むように構成された磁気コアと、各々が磁気コアの縦断面の周囲に少なくとも部分的に巻回された複数の巻線を有する。これらの複数の巻線は互いに間隔をもって複数の方位角方向に設けられている。上述したように、複数の巻線を、磁気コアの方位角方向に、対称的に離間して設けるようにしてもよい。
本明細書で説明されるBCIトランスは、注入モードおよび検知モードで動作する。注入モード試験に際しては、等量の電力(電流または電圧)を複数のフィードポイントの各々に供給することにより、被試験導体にコモンモード電流を励起する電磁界を磁気コアに生じさせる。いくつかの実施の形態において、等量の電力を複数のフィードポイントの各々に供給させる手段は、電源と複数のフィードポイントの各々との間に、インピーダンス平衡回路網を接続することにより行ってもよい。上述したように、インピーダンス平衡回路網は、同相電力分配器と、直列・直列バラン構成と、並列接続部構成とを含む群から選択される。
また、本明細書では導体励起モード測定方法が提供される。一実施の形態に係る導体励起モード測定方法は、BCIトランスを検知モードとして用いるものであり、BCIトランスはパッシブな電流モニターとして機能する。BCIトランスが複数の導体の周囲に配置されると、この導体に既に流れている電流が磁気コアにおいて磁界を励起し、これにより複数の巻線に電流が流れる。いくつかの実施の形態では、複数の巻線のそれぞれから受け取った出力信号を検知し、それらの出力信号を組み合わせることにより、被試験導体に流れるコモンモード電流を測定することができる。出力信号は、電流と、電圧と、電力とを含む群から選択される。出力信号は、任意の周知の手段を用いて検知される。
本発明のバルク電流注入トランス、バルク電流注入試験方法、およびトランス試験装置によれば、すぐれた特性を得ることができる。
本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照することにより明らかとなる。
従来のバルク電流注入(BCI)トランスを示す模式図である。 BCIトランスの電磁気的特性を説明するために用いられる座標系を定義する模式図である。 BCIトランスの電磁気的特性を測定するために用いられ得るトランス試験装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図1に示す従来のトランスにおいて一般的に生じる方位角方向依存性を有する不均一な磁束密度と、これにより励起された差動モード電流とを示す模式図である。 BCIトランスの電磁気的特性を測定するために用いられ得るトランス試験装置の他の実施の形態を示すブロック図である。 周波数および角度方向の関数として、図3に示すトランス試験装置を用いて測定した、図1に示すBCIトランスの挿入損失をプロットしたグラフである。 角度の関数として、図3に示すトランス試験装置を用いて測定した、50,100,150,および200MHzにおける挿入損失をプロットした図である。 トランスの磁気コアの複数の方位角方向に対称的に離間して設けられた、2つの一回巻き一次巻線を有する改良されたBCIトランスの実施の形態を示す断面図である。 トランスの磁気コアの複数の方位角方向に対称的に離間して設けられた、4つの一回巻き一次巻線を有する改良されたBCIトランスの実施の形態を示す断面図である。 対称的に離間した2つの巻線が同相電力分配器により駆動される、改良されたBCIトランスの実施の形態を示す断面図である。 対称的に離間した2つの巻線が直列接続部により駆動される、改良されたBCIトランスの実施の形態を示す断面図である。 図9に示す直列接続部の一実施態様を示す図である。 対称的に離間した2つの巻線が並列接続部により駆動される、改良されたBCIトランスの実施の形態を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施の形態を以下に詳細に説明する。但し、本発明は、以下に示す形態の様々な変形や他の形態をも許容するものである。また、以下に示す実施の形態の図面および詳細な説明は、本発明を、ここに開示した特定の形態に限定することを意図しているのではなく、むしろ、添付の請求の範囲により定まる本発明の精神および範囲に属するすべての改変、均等物および代替的手段を包含することを意図している。
BCIトランスは、通常、1つ以上の被試験導体を取り囲む磁気コアと、この磁気コアに巻回された磁気コイルとを有する。また、磁気コイルには、トランスの入力部すなわち「フィードポイント(feed point)」に電力を供給するためのRF電源が接続されている。電力が供給されると、磁気コイル(「一次巻線」)に流れる電流(一次電流I1)により、磁気コアの周囲に方位角方向の磁束が発生する。この磁束により、被試験導体(「二次巻線」)に流れる電流が励起される。
磁気コアは、閉磁路が得られる実質的に任意の形状を含み得る。図2に示すように、磁気コアは、軸方向(縦軸方向t)の長さが比較的短い(その周方向ψの寸法と比較した場合)円筒または環状(トロイダル)形状として構成されることが多い。一例として、磁気コアは、約127mmの外径、約70mmの厚さ、および約40mmの中心穴(被試験導体を収容するための中心穴)を有し得る。BCIトランスの中には、わずかな矩形状の局所断面をそれぞれ有する複数の「トロイダル」の積層体から構成された、複合コアを用いるものもある。磁気コアを積層した場合、励起される磁束は方位角方向ψに配向するため、空隙による問題は生じない。すなわち、複合コアの有効断面積(磁気コアの局所断面St。縦断面ともいう。)は、コア間に厳密な公差が維持されているか否かにかかわらず、本質的には個々のコアの断面の和である。複合コアの寸法は、設計により異なるが、4つの積層トロイダルから構成される代表的な複合コアは、約50mmの内径、約100mmの外径、および50mmの高さを有している。これによる直径の平均は75mmであり、対応する周方向ψの長さは約235mmである。以下に詳細に説明するが、このような寸法により、磁気コアにおける寸法効果が誘発され易くなる。
多くの場合、一次巻線と二次巻線との間に十分に高い結合を設けるため、フェライト材料を磁気コアに用いる。フェライト材料は、いずれも比較的高い誘電率および透磁率を示す。例えば、BCIトランスは、ほとんどの場合、ニッケル亜鉛(Ni−Zn)フェライトまたはマンガン亜鉛(Mn−Zn)フェライトを磁気コアに用いる。ニッケル亜鉛フェライトは、約10〜12の比誘電率を有し、マンガン亜鉛フェライトは、数千の比誘電率を示す。また、ニッケル亜鉛フェライトは、約10〜1000の比透磁率を示し、マンガン亜鉛フェライトにおいてはさらに大きな透磁率が見られる。上記のフェライト材料の誘電率および透磁率は、いずれも複合体に依存するとともに、周波数に依存する。また、フェライト材料には、誘電損失および磁気損失も存在する。ただし、一般的には磁気損失の方が支配的であることから、これにより誘電損失を無視することができる。
上述したように、磁気コアにおいて生じた磁束の大部分は、周方向すなわち方位角方向ψに配向する。このような配向性から、分布電磁効果すなわち遅延電磁効果(寸法効果とも称される場合がある)は、半径方向rもしくは縦軸方向tにのみ現れると予想されることもあると思われる。しかしながら、このような寸法の場合であっても、フェライト磁気コアの高誘電率と高透磁率との組み合わせに起因して電気的に大きくなり得ることから、方位角方向ψの分布電磁効果を詳細に調べることが賢明である。すなわち、磁気コアの方位角方向ψの寸法が、磁気コア内の波長に比べて相対的に大きくなり得るため、方位角方向ψにおいても分布電磁効果が現れ得る。場合によっては、高誘電率と高透磁率との組み合わせにより、フェライト磁気コアが、BCI試験に一般に用いられる周波数において分散的な挙動を示すこともある。
例えば、フェライト磁気コアが、125の実(無損失)比誘電率(いくつかのNi−Znフェライトでは一般的である)と、12の比透磁率(同様にいくつかのNi−Znフェライトでは一般的である)とを示す場合を想定すると、この透磁率と誘電率との結合により、フェライト磁気コア内の波長は、自由空間の波長の約1/40となってしまう。一般的な磁気コアの寸法(例えば、内径50mm、外径100mm)を考えた場合、分布電磁効果は数百MHz(まさに一般的なBCI試験の範囲内である)において現れる可能性があり、磁気損失を考慮した場合では状況はさらに悪化することになる。以下に説明するように、磁気コアにおける磁気損失は、磁気コアに生じた磁界の大部分は方位角方向ψに平行であるにもかかわらず、フィードポイントから方位角方向ψに離間するにしたがって、磁束密度を減衰させることがある。これにより、磁気コアの磁束密度に方位角方向の変化が生じ、ひいてはデバイスの磁界に方位角方向ψの変化が発生することになる。
[1.問題]
従来のBCIプローブおよび電流モニターは、いずれも一次巻線を1つだけ用いており、したがってフィードポイントを1つのみ有している。また、それらのほとんどは、漏れインダクタンスを最小限に抑制するとともに耐電力を改善するために、銅帯から構成された一回巻きのループを用いている。場合によっては、複数回巻きの磁気ワイヤを用いることもある。複数回巻きを用いることにより、結合を高めることができるが、巻線間静電容量に起因して高周波性能が制限され易くなる。一次巻線は、使用した巻線数にかかわらず、通常は磁気コアのわずかな角部分のみを占めるに過ぎない。
一次巻線(またはフィードポイント)の非対称性が極端であり、加えて磁気コアの磁気損失が存在する場合、方位角方向依存性を有する不均一な磁束密度が磁気コアの周囲に発生する。図4に模式的に示すように、この磁束密度は、一次巻線の近傍では全体的に強く、遠ざかるにしたがって弱くなる。磁束密度が方位角方向ψに変化する場合、被試験導体には、所望とされるコモンモード以外の他のモードが励起され易くなる。こうした「他のモード」は、本明細書では「非コモンモード(non-common modes)」と称する。励起電流は、導体の数とそれらの「ケーブル束」CBにおける配置とに応じて、いくつかの異なる形態を取り得る。しかしながら、ケーブル束CBに対する正味電流がゼロである横電磁界(TEM:Transverse electromagnetic)モードの和は、一般的に有害な励起電流となる。図4に示すように、2つの導体(およびケーブル束に対する外部の接地帰路)の場合では、この励起電流は差動電流モードの形態を取っている(励起差動モード電流Id)。
被試験導体に非コモンモードが励起されることは、多くの理由から望ましくない。例えば、導体またはケーブル束において非コモンモードに対し注入または結合が生じることは、非放射伝送線モードを駆動することに等しい。そのような場合の電流は、一様平面波からなる入射場を用いて励起させることができないため、BCI試験と放射イミュニティ試験との間に異なる結果が生じることになる。また、被試験導体がシールドされていない等のいくつかの状況では、導体またはケーブル束に励起された非コモンモードが、システムにおいて所望とされる信号を伝送するモードとなってしまう場合もある。少なくともこれらの理由から、被試験導体中の非コモンモードを抑制することは、所望のコモンモードのみを励起するようにする上で、多いに有益である。
[2.実験的な試験装置]
BCIトランスは、基本的に、接地上に配置されたケーブル束または複数導体から構成された伝送線に対して、コモンモード電流のみを注入し、またはそのコモンモード電流に対してのみ反応する必要がある。しかしながら、磁気コアが分布電磁効果すなわち遅延電磁効果を示す場合、ケーブル束において他のモードが励起され、または検知される場合がある。
BCIトランスの試験および較正を行うための装置は、現在のところ数多くの製造業者から入手することができる(例えば、フィッシャー・カスタム・コミュニケーションズ(Fischer Custom Communications)社や、ベルゴズ(Bergoz)社)。ただし、これらの較正装置は、BCIプローブに通され、すなわち固定され得る導体を、1つしか用いていない(注:接地帰路は、トランスの外部に設けられた、較正装置の接地平面(ground plane:グラウンドプレーン)を介している)。そのため、現在入手可能な較正装置は、1つの電流モードのみを注入し、または検知可能であるに過ぎない(通常は、所望のコモンモードのみ)。したがって、コモンモードおよびその他を検知することが不能であることから、これらの製造業者らは、磁気コアにおける分散的な挙動による効果と、これらの効果が如何にして注入電流またはセンス電流という形で現れるか、とを考慮してこなかったと考えられる。
図3は、改良された試験装置200の一実施の形態を示している。図3に示す試験装置200は、ケーブル束または複数導体から構成された伝送線220の周囲に設置された、BCIプローブ210により生じた差動電流モードを測定するための装置である。図1および図4に示すBCIプローブ100と同様の従来のプローブ構造を用いて、実験を行った。BCIプローブ210は、所定位置において、誘電性ポリマークランプ(例えば、デルリン(登録商標)よりなるクランプ215)により保持されている。なお、この誘電性ポリマークランプは、従来の較正装置には用いられていない。BCIプローブ210の位置は、コレットインデクサー260を介して伝送線220の向きを繰り返し変えることができるように、クランプ215により精確に固定されている。
例えば、試験装置200のケーブル束CB(伝送線220)は、差動モードに適合するように選択された寸法を有する、200Ωの平衡伝送線である。差動モード磁界は、コモンモードとは異なり、伝送線220の近傍領域において比較的強固に限局している。伝送線220は、その断面形状(d)が十分に小さい場合、BCIプローブ210を励起せず、それによって生じた磁界による影響をほぼ受けなくなり得る。一方で、伝送線220の導体間の距離(s)を十分に長くとることにより、結合を励起することができる。
一つの実施の形態では、d=4.76mmの断面形状と、s=12.7mmの分離とを用いて、伝送線220に差動モード磁界を励起している。このような寸法を用いた場合、伝送線220は、17.46mmの全幅を有し、ほとんどの電流プローブの開口の内部に容易に収まる。断面形状(d)は、1GHzにおける波長の1/20未満であるほどに、十分に小さいものである。これにより、図3に示す電圧バラン(4:1インピーダンス変換バラン230)にある程度の機械的ロバスト性を持たせて設計することができるので、試験装置200の設計に自由度を持たせることが可能となる。電圧バラン(4:1インピーダンス変換バラン230)は、例えば、2つの伝送線220の導体の配置位置を強固に固定するように構成された、低誘電率の熱可塑性ハウジングに設けられている。導体自体は、ベリリウム銅合金とすることができ、したがって屈曲に対し多少の強度を有している。
図3に示す試験装置200は、200Ωの平衡伝送線220に関連して説明すると、任意の互いに等しい2つの導線または複数の導線による線配置構造を回動させるように構成することが可能である。導体間の距離(s)を変化させることにより、異なる特性インピーダンス(例えば、200Ω以外)を有する線を用いることができる。一つの実施の形態では、導体間の距離(s)を変化させるために、誘電体ステージ(図示せず)を試験装置200の内部に設けてもよい。誘電体ステージは、伝送線220の導体間の距離を変化させるための誘電性マイクロメータネジを有する。また、一つの実施の形態では、ケーブル束CBにおける導体の数と、それらの配置を改変することにより、他の非コモンモード(すなわち、本明細書で説明する差動モード以外のもの)に対応するようにしてもよい。なお、伝送線220の導体は、図3に伝送線の断面Slとして示すように、略円形の断面を有しているが、これには限られず、実質的に任意の均一な断面形状を有してもよい。
図3に示す試験装置200は、2つの4:1インピーダンス変換バラン230を、平衡伝送線220の両端部に備えている。各4:1インピーダンス変換バラン230は、50Ωの同軸ポートを有している。図3に用いられている4:1インピーダンス変換バラン230は、1〜1000MHzの周波数帯域を有する等遅延型(equal-delay type)である。いかなるバランであっても、非理想的効果による影響を受けることから、何らかの有限な不平衡すなわちコモンモード除去比(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)を示すものである。しかしながら、図3の試験装置200に用いられている特定のバラン(メイコム(MACOM)社製モデルTP−103)は、本明細書で検討されている周波数域において極めて電気的に小さく、大変良好な平衡を示し得る。各4:1インピーダンス変換バラン230の非平衡同軸側には、均一な半剛性の同軸線240の一部が、フェノール樹脂から構成される軸部(ステム部)を介して延びている。同軸線240は、図中左側のベアリングブロック250、または図中右側のコレットインデクサー260に、4:1インピーダンス変換バラン230を取り付ける際にこれを容易とするために設けられている。場合によっては、フェライトチョークビーズ(図3では図示せず)を同軸線240に挿通することにより、4:1インピーダンス変換バラン230と、外部機器としてのベアリングブロック250またはコレットインデクサー260とを接続する同軸線240の、シールドされた状態におけるコモンモード電流を分離するようにしてもよい。一つの実施の形態では、試験装置200のベース部に、剛性を有するアルミプレート265が設けられている。4:1インピーダンス変換バラン230の同軸ポートのシールドは、この試験装置200のベース部から物理的に分離されており、これによりコモンモード電流の伝播をさらに分離している。
図に示す実施の形態では、50Ωの同軸整合負荷270と、図3において右側の4:1インピーダンス変換バラン230の同軸ポートとを接続することにより、200Ωの平衡伝送線220と、図中右側との整合を取っている。図中左側の同軸ポートは、自動ベクトルネットワークアナライザ290の第1ポート(チャネル1)に接続され、BCIプローブ210の同軸ポートは、自動ベクトルネットワークアナライザ290の第2ポート(チャネル2)に接続されている。ベアリングブロック250と自動ベクトルネットワークアナライザ290との間には、ロータリージョイント280が設けられている。これにより、伝送線220を回転させることが可能となり、一連の挿入損失の測定を一定間隔ごと、すなわち一定量ずつ回転させながら行うことができる。一実験例では、測定を15°間隔おきに行っている。一つの実施の形態では、ステッピングモータを制御することにより、伝送線220を回転させてもよい。
なお、本発明に係る試験装置200を、図3に示したものと多少異なるように構成してもよい。一つの実施の形態において、図3中、右側の4:1インピーダンス変換バラン230の同軸ポートを、上述した整合負荷270の代わりに、自動ベクトルネットワークアナライザ290の第2ポートに接続するようにしてもよい。この場合、BCIプローブ210の同軸ポートを、負荷(図示せず)に接続することにより、BCIプローブ210による伝送線220への摂動を定量化し得る。また、一つの実施の形態において、図3中、右側の4:1インピーダンス変換バラン230の同軸ポートを、ロータリー同軸ジョイント(図示せず)に接続するようにしてもよい。この場合、右側の4:1インピーダンス変換バラン230の同軸ポートを自動ベクトルネットワークアナライザ290に接続し、右側において漸進的な測定を行うことが可能となる。さらに、一つの実施の形態において、図3に示すケーブル束CB(伝送線220)は、2つ以上の導体を含んでもよい。この場合、試験装置200は、例えば自動車向けや航空電子工学向けのケーブル束CBを、さらに精度良く測定することが可能となる。なお、当業者であれば、平衡ネットワークを如何にして改変することにより、2つ以上の導体を駆動するかがわかるであろう。
図5は、本発明に係る試験装置のさらに他の実施の形態を示している。図5に示す試験装置200´は、図3に示した実施の形態と同様である。なお、同様の参照符号を有する構成については、簡潔さの観点からここでは詳細に説明しない。図5に示す試験装置200´は、全体としては、伝送線220の両側を、180°ハイブリッド回路網232および同軸スイッチ234に接続している点で、前述の実施の形態と異なっている。この180°ハイブリッド回路網232および同軸スイッチ234は、図3において用いた4:1インピーダンス変換バラン230を置き換えたものである。180°ハイブリッド回路網232と、双投(double-throw)同軸スイッチ234とを組み合わせて用いることにより、コモンモードと差動モードとの双方とに対する選択的な接続を行うことが可能となる。コモンモード接続は、試験装置200´の両端の同軸線240を、各同軸スイッチ234を介して、各ハイブリッド回路網232の和ポートPsに接続することにより可能となる。差動モード接続は、試験装置200´の両端の伝送線220を、対応する同軸スイッチ234を介して、各ハイブリッド回路網232の差ポートPdに接続することにより可能となる。
[3.測定データ]
測定データを得る前に、導電クランプを用いて2つの伝送線220の導体を試験装置の一端において互いに短絡させることにより、コモンモード除去(CMR:Common Mode Rejection)の定性検査を行った。そのような構成は、コモンモードエネルギーに対しては非常に低い摂動ではあるものの、差動モード伝送を強力に分離するはずである。導電クランプを用いたことにより、挿入損失はマイナス70dBを大きく下回った。この挿入損失の値は、次項に提示されるデータから明らかとなるように、測定データの代表値(短絡クランプ未使用)よりもはるかに小さな値である。したがって、次項で提示するデータは、コモンモードが偶発的に励起したことによるものとは考えられない。
図3に示した試験装置200を用いて、いくつかの異なるBCIプローブの特性を測定した。図6Aおよび図6Bは、そのうちの1つのBCIプローブ(フィッシャー・カスタム・コミュニケーションズ社製のモデルF−120−4A)の挿入損失のデータを示している。挿入損失データの測定は、上述したように、BCIプローブの出力ポートと、4:1インピーダンス変換バランのうちの1つの同軸ポートとの間で行った。一実験例では、アジレント社製の8720自動ベクトルネットワークアナライザを用いて、挿入損失を測定した。なお、他のプローブも試験したが、それらの結果は同様であったため、簡潔さの観点からそれらの結果については本明細書では提示しない。
図6Aは、周波数と、一次巻線の平面に対応する0°から角度方向に15°ずつ増分させた角度方向との関数として、挿入損失データをプロットした図である。図6Bは、角度の関数として、50,100,150,および200MHzにおける挿入損失データをプロットした図である。図6Aおよび図6Bに示すデータから、最大差動モード結合は、一次巻線の平面と伝送線の導体の平面とが一致した際に生じ、最小結合は、直交方向に生じることが明らかである。すなわち、差動モード結合は、一次巻線の付近で最も強力となり、それから離間するにしたがって弱くなる磁界に起因したものである(図4参照)。
差動モード結合は、多くの場合、コモンモード結合と比較して非常に小さいことから(コモンモード結合の伝送損失は、約マイナス10dBである)、4:1インピーダンス変換バラン230の有限なコモンモード除去比(CMRR)が、図6Aおよび図6Bに示した有限な挿入損失に関与しているのかと疑問に思うことは当然である。仮に、4:1インピーダンス変換バラン230のCMRRが20dB(周波数によらず一定である)であって、BCIプローブが差動モード磁界に対し何ら反応を示さなかったとした場合、差動モードの励起を示す図6Aの曲線は、20dBだけ下にシフトした以外はコモンモード励起を示す曲線のレプリカであると予想することもあると考えられ得る。しかしながら、これはそうではなく、コモンモード結合は、特定の動作周波数域に渡る周波数に伴って比較的平坦である。すなわち、この場合、差動モード結合もまた比較的平坦になるはずであるが、図6Aではそのようになっていない。また、伝送線220による差動モード結合は、図6Aに示したように、極めて再現可能な態様で、その伝送線220の、BCIプローブ210に対する向きに依存する。これは、コモンモード電流の場合には当てはまらないはずである。すなわち、この場合、BCIプローブの性能は、その方位角方向の向き、つまり伝送線の向きに依存しないはずである。
[4.数値シミュレーション]
上述した実験において見られる挙動を理解する目的から、市販の有限要素シミュレーションを採用した数値モデルを用いた。また、フェライトを表すべく、簡易的な一次有理関数分散モデルを用いた。このモデルは、クラマース・クローニッヒの関係式を満足し、したがって自己無撞着(self-consistent)である点で、有利である。単一の折れ点周波数を有し、複素透磁率に適合する一次有理関数を用いることにより、フェライトの分散的性質のための比較的優れたモデルが得られる。この数値シミュレーションは、トランスの断面における磁界が、それが方位角方向の変化を有しているという意味では、まさに不均一であることを示している。方位角方向における不均一性は、もはや純粋な方位角ではないベクトル場の方向に伴うものである。ただし、その磁界の総幾何分布は、一次巻線の近傍領域の半分は強く、それからより離間したもう半分は弱いというものである(図4参照)。このような磁界の変化は、コモンモードと差動モードとの重畳の励起に関与する。
[5.実験から得た結論]
図3に示した試験装置200は、市販のBCIプローブに対し差動モード電流(例えば、平衡伝送線モード)を励起させ、検討するための手段を提供する。また、図5に示した試験装置200´は、コモンモード結合と差動モード結合とを励起させ、検討するための手段を提供する。図3の試験装置200により得られた測定は、市販のプローブの中には、一般的なBCI試験の範囲内の周波数で、差動モードエネルギーを励起し、受け取ることが可能なものもあることを示している。この挙動は、プローブのフェライト磁気コアにおける分布電磁効果および分散効果に起因するようにも思われ、定量化する価値があると考えられる。その理由としては、差動モードが、シールドを施していないケーブル束における所望信号と同様であり、放射による干渉ではない可能性があるからである。最後に、有限要素シミュレーションを行い、実験において見られた挙動を検証し、理解するようにした。このシミュレーションは、磁気損失が磁界の方位角方向の変動の原因であることから、フェライト中の磁気損失が差動モードの励起に有益であることを、少なくとも定性的に示している。
磁界不均一性は、周波数が増加するに伴い悪化する。したがって、磁界の不均一性は、使用可能な周波数範囲を制限する。また、多くの場合、プローブの寸法は、耐電力に影響を及ぼし、大型のプローブは、一般的により巨大な電力レベルを扱っている。ただし、磁界の不均一性は、プローブの寸法の増加に伴っても悪化する。そのため、磁界の不均一性は、達成可能な耐電力をも制限するとも言える。
[6.解決法]
図7A〜図11は、磁界均一性、帯域幅および耐電力を改良したBCIトランスの各種実施の形態を示している。各実施の形態に係るBCIトランスは、磁気コアの周囲に巻回された、複数の一次巻線を有している。磁気コアは、上述のように、円筒または環状(トロイダル)形状を有し得る。複数の巻線の各々は、磁気コアの小さな角部分を占める、一回巻または隙間なく設けた複数回巻きとして実施される。複数の巻線は、巻線の数によらず、互いに離間して設けられ、磁気コアの複数の方位角方向ψに分散して配置される。巻線を対称的に分散配置した場合、最良の結果が得られるものと考えられる。ただし、本明細書で説明されるBCIトランスは、それには限定されず、基本的に、互いに離間して設けられ磁気コアの複数の方位角方向に分散配置された、2つ以上の巻線を備え得る。
図7A〜図11に示すBCIトランスは、注入試験モードにて動作するように構成されている。例えば、各フィードポイントにおいて各巻線に電流を供給するため、電源と、インピーダンス変換回路網とが設けられている。複数の巻線は、0°電力分配器若しくは180°電力分配器(同相電力分配器)(図8)、または場合によっては、直列接続部(直列・直列バラン構成)(図9および図10)またはシャント接続部(並列接続部)(図11)を用いて、結果として得られる磁束が同相で加えられるように駆動される。適宜位相を制御した信号を用いて2つ以上のフィードポイントでBCIトランスを駆動することにより、磁気コアに生じる磁束は飛躍的に均一となる。これにより、「マルチフィードトランス(multiply-fed transformer)」(すなわち、2つ以上のフィードポイントを有するトランス)は、ケーブル束に所望コモンモードをさらに完全に近い形で励起することが可能となっている。
図7A〜図11に示す実施の形態のBCIトランスは、注入モード用に構成されているが、当業者であれば、図面に示した実施の形態を如何にして改変することにより、検知モードで動作させるかを容易にわかるであろう。例えば、当業者であれば、図8〜図11に示す電源とインピーダンス変換回路網とを撤去し、電流測定デバイス、電圧測定デバイス、または電力測定デバイスに置き換え得ることがわかるであろう。
すなわち、BCIトランスは、検知モードで動作する場合はパッシブな電流モニター装置として機能するので、電源およびインピーダンス変換回路網を必要としない。BCIトランスが被試験導体の(複数の)導体の周囲に配置されると、この導体に既に流れている電流が、磁気コアにおいて磁界を励起し、これにより複数の巻線に電流が流れる。いくつかの実施の形態では、複数の巻線のそれぞれから受け取った出力信号を検知し、これらの出力信号を組み合わせることにより、被試験導体を流れるコモンモード電流を測定することができる。出力信号は、電流と、電圧と、電力とを含む群から選択され得る。出力信号は、任意の周知の手段を用いて検知され得る。このように、磁気コアの周りに複数のフィードポイントを配置することにより、本明細書で説明されるBCIトランスは、注入モードと同様、不要な非コモンモードを受けないようにすることが可能となっている。
本発明の一実施の形態に係るBCIトランスは、2つ以上の一次巻線を有している。各一次巻線は、磁気コアの縦断面Stの周囲に巻回され、磁気コアの方位角方向ψに互いに対称的に離間して設けられている。図7Aおよび図7Bは、複数の一回巻きの巻線を用いた2つの構成を模式的に示している。図7Aに示すトランス300は、磁気コアの方位角方向ψに互いに約180°離間して設けられた、2つの一回巻きの巻線310,320を有する。場合によっては、3つ以上のフィードポイントを用いることが必要となり得る。例えば、120°の間隔で配置された3つの巻線を用いることにより、2つの巻線を用いた場合よりもさらに均一な励起を得ることができる。また、当然ながら、90°の間隔で配置された4つの巻線を用いた場合、より一層均一な磁束を発生させることができる。図7Bは、互いに約90°離間して設けられた、4つの一回巻き巻線410,420,430,440を有するトランス400を示している。なお、図7Aおよび図7Bでは一回巻きの巻線を示しているが、そのような配置構成においても複数巻きの巻線を用いることが可能であることは、容易に理解されることである。この場合、巻線間静電容量が、巻線の回数における唯一の制限要素となる。
図7Aおよび図7Bに示すように、各巻線により生じた磁束は、同一方向に配向している。そのような配置構成は、同様に巻線に流れる電流についても、方位角単位ベクトルに対して同一方向となるように定める。すなわち、2つの巻線の電流検知は同じでなくてはならず、それらの巻線は直列的な相互支援関係にある必要がある。このような状況において、複数の巻線は、シングルエンド型のソースにより駆動することができる。ただし、BCIプローブへの入力は、ほとんどの場合、シングルエンド型の50Ω同軸接続であることに注目する必要がある。そのため、この配置構成を実施するために、平衡回路網が必要となり得る。以下に、平衡回路網の例を詳細に説明する。
いかなるBCIトランスであっても(現在入手可能なユニットを含む)、インピーダンス整合を用いることにより、その性能を向上させることは可能である。ただし、本発明の重要な特徴は、より均一な磁束(すなわち、方位角方向の変動を低減した磁束)を得ることを目的として、電気的に大きなフェライト磁気コア上の複数の巻線に、略対称的な間隔を設けることである。磁束の方位角方向の均一性は、コモンモードのみを励起し、コモンモードのみを受け取るための中核をなすものである。上述したように、現在入手可能なBCIトランスの多くは、ケーブル束に対しコモンモードのみならず、BCI試験に悪影響を及ぼす非コモンモードも励起し、またはこれを受け取ってしまう。そのようなモードは、磁気コアの方位角方向ψに対称的、またはある程度対称的に離間して設けられた、複数の巻線とフィードポイントとを、BCIトランスに設けることにより防ぐことができる。
インピーダンス変換技術によりデバイスの性能が向上することは、認められている。これに関連して、電力分配器や混合器(特に広帯域的手法を用いて実施されるもの)の多くが、偶数の出力ポートを有していることに注目する必要がある。そのため、偶数の巻線を用いることは有利である可能性がある。特に、2つまたは4つの巻線を用いることは、最も有用であると考えられる。その理由としては、これよりも多くの巻線数を用いる場合、これを実際に実施することは困難であることが多い上、おそらく性能にとっても重要ではないからである。2つの巻線を用いることにより、過度の複雑さを生じることなく、従来の構造と比較して大幅な改善を得ることができる。また、複数の巻線を対称的に離間させた場合、最良の結果を得ることができる。したがって、対称的に離間された2つのフィードポイントを有する構成の詳細を、以下に説明する。ただし、本発明に係るトランスは、本発明の範囲から逸脱することなく、2つ以上の巻線(各巻線は1回以上の巻線数を有している)を有し得ることは理解されることであろう。
図8は、2つの対称的に離間して設けられたフィードポイントFを有するBCIプローブ500の一実施の形態を示す断面図である。BCIプローブ500は、磁気コア510と、一対の一次巻線520,530とを有する。磁気コア510は、上述したように、フェライト材料(例えば、Ni−ZnまたはMn−Zn)から構成され、円筒または環状(トロイダル)形状を有し得る。場合によっては、磁気コア510を、わずかな矩形状の局所断面をそれぞれ有する複数の「トロイダル」の積層体から構成された、複合コアとしてもよい。ただし、磁気コア510の形状は、円筒や環状に限定されず、閉磁路が得られる実質的に任意の形状を有し得る。
図8に示す実施の形態では、一次巻線520,530は、磁気コア510の縦断面Stの周囲に「巻回」されているとともに、この磁気コア510の方位角方向ψに互いに180°離間されている。なお、本明細書において「縦断面(longitudinal dimension)St」とは、方位角単位ベクトルに対して垂直な断面として説明される(図2参照)。言い換えれば、磁気コアの断面のうちの、BCIトランスの軸(縦軸t)を含む面である。なお、一次巻線520,530は、一回巻きの銅帯または複数回巻きの磁気ワイヤとして実施され得るが、図8に示す実施の形態では異なる手法を用いている。この場合、各一次巻線520,530は、半回巻き(例えば、銅帯を半回巻きしたもの)として実施される。この半回巻きの一端は、同軸入力ポート540または550の同軸給電線に接続され、他端は、磁気コア510を取り囲む静電シールド560(ファラデーシールドとも称される)に接続されている。静電シールド560の断面は、図8に示されている。静電シールド560の内部には、この静電シールド560と一次巻線520,530との短絡を防止するためのギャップ570が設けられている。同軸給電線のシールドは、共通接地(common ground:コモングラウンド)を設けるべく静電シールド560に接続されている。
上述したように、電流は、複数の一次巻線を同一方向に流れ、これによりシングルエンド型のソースを用いてBCIプローブを駆動することが可能となっている。場合によっては、ソースとBCIプローブの同軸入力ポートとを整合させるために、平衡回路網が必要となり得る。図8に示すように、BCIプローブ500の入力(同軸入力ポート540,550)は、RF電源580と、0°電力分配器(または、180°電力分配器)585とにより、同相で駆動される。BCIプローブ500の同軸入力ポート540,550は、互いに等しい長さを有する2つの同軸線590を介して電力分配器585に接続されている。RF電源580は、入出力ポートを介して電力分配器585に接続されている。
図8に示すBCIプローブ500の構成は、複数のフィードポイントFを磁気コア510の複数の方位角方向ψに離間して設けたことにより、磁界均一性を飛躍的に改善させるとともに、帯域幅および耐電力を改善させる。図8に示すBCIプローブ500からは、ロバストな構成が得られるが、本明細書で説明される発明概念は、図8に示した特定の実施の形態に限定されない。他の実施の形態(例えば、図9〜図11を参照)では、図8に示したものとは多少異なる平衡回路網を用いてもよい。他の実施の形態(ここでは図示せず)では、静電シールドを設けず、または静電シールドに依存しないプローブ構成を備え得る。本明細書の記載事項は、そのような実施の形態や変形例をすべてカバーすることを意図している。
図9および図10は、他のBCIプローブの構成の一実施の形態を示している。図9および図10に示すBCIプローブ600は、対称的に離間した2つのフィードポイントFと、直列・直列バラン構成とを有している。図9および図10に示す実施の形態は、BCIプローブ600が、磁気コア610と、この磁気コア610の方位角方向ψに対称的に離間して設けられた、一対の一次巻線620、630とを有する点において、前述した実施の形態と同様である。磁気コア610は、上述したようにして構成し得る。
図9および図10に示す実施の形態において、一次巻線620,630は、磁気コア610の縦断面Stの周囲に「巻回」されているとともに、この磁気コア610の方位角方向ψに互いに180°離間されている。各一次巻線620,630は、前述の実施の形態と同様、半回巻き(例えば、銅帯を半回巻きしたもの)として実施される。この半回巻きの一端は、同軸入力ポート640または650の同軸給電線に接続され、他端は、磁気コア610を取り囲む静電シールド660に接続されている。静電シールド660の内部には、この静電シールド660と、一次巻線620,630との短絡を防止するためのギャップ670が設けられている。同軸給電線のシールドは、共通接地を設けるべく静電シールド660に接続されている。
BCIプローブ600の入力ポート640,650は、前述した実施の形態とは異なり、直列・直列バラン構成により同相で駆動される。このバランは、50Ωのソースに対して比較的良好な整合が得られるように構成することができる。例えば、一回巻きの一次巻線を1つ有する単一の給電構造は、50Ωのソースに対し比較的良好な整合をもたらすものである。仮にこの単一給電構造を改変して2つの対称的に離間されたフィードポイントFを用いるとした場合、フィードポイントFのインピーダンスは、単一のフィードポイントFを有するBCIプローブの場合の約半分となることが予想され得る。したがって、仮に単一フィードポイントFを有するBCIプローブを、50Ωに良好に整合させる場合、2つの25Ωの相互接続伝送線と、1つの「直列」入力接続部とを用いた直列接続部は、ほぼ最良であると思われる。理論的には、2つのフィードポイントFを駆動するということは、2つの同相25Ωの出力を有するトランスを用いることと、同じことである。しかしながら、そのようなデバイスの非常に広範囲な動作周波数域を考慮すると、実際の給電回路網は、一見した場合よりも幾分さらに複雑である。
BCIプローブのシールド特性は、複数のフィードポイントFの実施をさらに複雑化させる。静電シールドを用いない場合において巻線の検知を逆にするには、巻線方向を逆にすれば十分であるはずである。しかしながら、本実施の形態では、一次巻線として半回巻きのコイルを用いており、この半回巻きのコイルは、静電シールドに接続される上、この静電シールドそのものは、巻線のターン全体の中間点に位置している。
仮に、2つの25ΩのフィードポイントFと、1つの直列接続部とを入力部に用いた場合、所望の直列接続を行うためには、一方のフィードポイントFを「チョーク」させる必要がある。すなわち、付加磁束を発生させることが必要とされる電流検知を行う場合において、静電シールドが設けられている場合、直列接続部に、チョーク型の接続部が必要となる。チョーク型のトランスの一実施の形態は、図9および図10に示されている。
チョーク型トランスを実施するために用いられる同軸線は、プローブが十分に広い帯域幅を有するようにする場合、25Ωの特性インピーダンスを有する必要がある。25Ωの同軸ケーブルは、一般に市販されている。ただし、場合によっては、両端が並列接続された2つの50Ωケーブル680(図10参照)を用いるか、あるいは、トランスの場合に適合する25Ωストリップ線(図示せず)を用いることが、より実用的である。そのようなストリップ線には、フロロポリマー(PTFE)またはポリイミド(カプトン(登録商標))等の低損失ポリマーから構成された、柔軟性を有する基板を用いることが好ましい。
図9および図10に示すように、直列接続部は、1つ以上のフェライトチョークビーズ690を、一方の50Ωケーブル680に設けることにより実施される。このフェライトチョークビーズ690は、装置にさらに対称性を設けるため、両方の50Ωケーブル680に用いることも可能であるが、50Ωケーブルのシールド効果が理想的である場合、電気的性能に違いは生じない。
図11は、さらに他のプローブの構成の一実施の形態を示している。図11に示すBCIプローブ700は、互いに並列に接続された、2つの対称的に離間したフィードポイントFを有している。図11に示す実施の形態は、BCIプローブ700が、磁気コア710と、この磁気コア710の複数の方位角方向ψに対称的に離間して設けられた、一対の一次巻線720、730とを有する点において、前述した各実施の形態と同様である。磁気コア710は、上述したようにして構成し得る。
図11に示す実施の形態において、一次巻線720,730は、磁気コア710の縦断面Stの周囲に「巻回」されているとともに、この磁気コア710の方位角方向ψに互いに180°離間されている。各一次巻線720,730は、前述の各実施の形態と同様、半回巻き(例えば、銅帯を半回巻きしたもの)として実施される。この半回巻きの一端は、同軸入力ポート740または750の同軸給電線に接続され、他端は、磁気コア710を取り囲む静電シールド760に接続されている。静電シールド760の内部には、この静電シールド760と、一次巻線720,730との短絡を防止するためのギャップ770が設けられている。同軸給電線のシールドは、共通接地を設けるべく静電シールド760に接続されている。
BCIプローブ700の入力ポート740,750は、前述した各実施の形態とは異なり、並列接続部により同相で駆動される。この並列接続部は、50Ωのソースに対して比較的良好な整合が得られるように構成することができる。一つの実施の形態では、2つの100Ω同軸ケーブル780が、BCIプローブ700の入力ポート740,750に接続され得る。各100Ω同軸ケーブル780のシールドと中心導体とは、50Ωシングルエンド同軸ポート790の位置において並列に接続され得る。なお、いくつかの他の実施の形態において、50Ωシングルエンド同軸ポート790を、50Ωシングルエンドソースを用いて駆動するようにしてもよい(図11には図示せず)。
市販のBCIプローブに共通する1つの特徴として、磁気コアと静電シールドとの分割性が挙げられる。磁気コアおよび静電シールドをそれぞれ「二等分」した部分は、互いに精密ヒンジを用いて結合されている。これは、トランスをケーブル束の周囲に固定(クランプ)するために、トランスを「開く(開ける)」ためである。本発明のいくつかの実施の形態では、分割トランス(split transformer)構造に対応するように構成され得る。ここで、2つ以上の一次巻線を用いることは、1つ以上の巻線が、分割トランスにおける二分割部分のうちの他方に位置することを意味する。このため、フィードポイントFの伝送線の経路網が若干さらに複雑となるが、柔軟性を有する伝送線用媒体を用いることにより、トランスを開く動作に対応することが可能となる。実際には、低特性インピーダンスの伝送線を用いることが、柔軟性のある伝送線の使用を促進させることになる(より大型の導体を用いた場合、伝送線の屈曲性が低下するからである。)。柔軟性の低周波伝送線を実施するための非常に効果的な方法は、カプトン(登録商標)よりなるフレキシブル回路基板を用いることである。ただし、編組シールドを有する一般的な同軸ケーブルを用いてもよい。
本明細書の開示内容に接した当業者であれば、本発明により、磁界均一性、帯域幅および耐電力を改良したBCIトランスが提供されることを理解することがわかるであろう。具体的には、本発明は、トランスの磁気コアの方位角方向ψに互いに離間して設けられた、複数の一次巻線(フィードポイントF)を有するBCIトランスを提供するものである。トランスを、適宜位相化した信号を用いて2つ以上のフィードポイントFで駆動することにより、磁気コアに生じる磁束は飛躍的に均一となる。これにより、本明細書で説明したマルチフィードトランスは、ケーブル束CBにコモンモードのみを励起し、非コモンモードを分離することが可能となっている。
また、本発明により、改良されたBCI試験法が提供される。例えば、上述したBCIトランスを用いて、注入モード試験または検知モード試験を行う。
注入モード試験に際しては、等量の電力を(フィードポイントFにおける)複数の巻線のそれぞれに供給することにより、磁気コアに電磁界を生じさせ得る。いくつかの実施の形態では、電源と、複数の巻線のそれぞれとの間に、インピーダンス平衡回路網を接続することにより、複数の巻線のそれぞれに等量の電力を供給し得る。インピーダンス平衡回路網は、上述したように、同相電力分配器と、直列・直列バラン構成と、並列接続構成とを含む群から選択され得る。複数の巻線(フィードポイントF)に電力を供給することにより、被試験導体にコモンモード電流のみを励起するための、方位角方向に均一な磁界が磁気コアに励起される。
検知モード試験に際しては、(フィードポイントFにおける)複数の巻線のそれぞれから受け取った出力信号を検知し、それらの出力信号を組み合わせることにより、被試験導体に流れるコモンモード電流が測定され得る。出力信号は、電流と、電圧と、電力とを含む群から選択される。出力信号は、任意の周知の手段を用いて検知され得る。磁気コアの周囲に複数のフィードポイントFを設けることにより、本明細書で説明したBCIトランスは、注入モードと同様、不要な非コモンモードを受けないようにすることが可能となっている。
さらに、本発明により、BCIトランスの特性を測定するための改良された試験装置が提供される。本明細書で説明した試験装置は、従来の較正装置とは異なり、並行に配置されるとともに距離を置いて分離された、2つ以上の導体を有している。誘電性クランプは、複数の導体の周囲にBCIトランスを設置するため、BCIトランスの外側表面に結合され、これにより複数の導体がBCIトランスの内部を縦軸に沿って延在可能としている。複数の導体に非コモンモードを確保すべく、複数の導体間の距離を変更・固定するための手段が設けられている。自動ベクトルアナライザ回路網は、被試験BCIトランスの出力ポートと、BCIトランスにより生じたコモンモードと非コモンモードとを測定するための試験装置の出力ポートとの間に接続される。
本明細書の記載を考慮すれば、本発明の各種態様のさらなる改変や代替的な実施の形態は当業者にとって明らかなものであろう。したがって、本願の特許請求の範囲は、そのような改変や変更のすべてを包含するように解釈がなされることを意図しており、よって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的な意味合いで考慮されるべきである。
200,200´…トランス試験装置、210,500,600,700…BCIプローブ、215…クランプ、220…伝送線、230…4:1インピーダンス変換バラン、232…180°ハイブリッド回路網、234…同軸スイッチ、240…同軸線、250…ベアリングブロック、260…コレットインデクサー、270…同軸整合負荷、280…ロータリージョイント、290…自動ベクトルネットワークアナライザ、300…トランス、310,320…1回巻き巻線、410,420,430,440…巻線、510,610,710…磁気コア、520,530,620,630,720,730…一次巻線、540,550,640,650,740,750…同軸入力ポート、560,660,760…静電シールド、580…RF電源、585…電力分配器、590…同軸線、680…50Ωケーブル、690…フェライトチョークビーズ、780…100Ω同軸ケーブル、790…50Ωシングルエンド同軸ポート、CB…ケーブル束、Ic…励起コモンモード電流、Id…励起差動モード電流、Ps…和ポート、Pd…差ポート、r…半径方向、St…縦断面、Sl…伝送線の断面、t…縦軸方向、θ…磁束の方向、ψ…方位角方向(周方向)。

Claims (30)

  1. 1つ以上の被試験導体を取り囲むように構成された磁気コアと、
    各々が前記磁気コアの縦断面の周囲に少なくとも部分的に巻回された複数の巻線と
    を備え、
    前記複数の巻線は、互いに間隔をもって前記磁気コアの複数の方位角方向に設けられている
    バルク電流注入トランス。
  2. 前記磁気コアがフェライト材料を含有する
    請求項1に記載のバルク電流注入トランス。
  3. 前記磁気コアが、閉磁路を得られるように構成された幾何学的形状を有する
    請求項1に記載のバルク電流注入トランス。
  4. 前記複数の巻線が、前記磁気コアの前記複数の方位角方向に対称的に離間して設けられている
    請求項1に記載のバルク電流注入トランス。
  5. 前記複数の巻線が、前記磁気コアの前記複数の方位角方向に約180°離間して設けられた2つの巻線を含む
    請求項4に記載のバルク電流注入トランス。
  6. 前記複数の巻線の各々が1回巻き以上の導体を含む
    請求項1に記載のバルク電流注入トランス。
  7. さらに、前記磁気コアと前記複数の巻線とを包むように覆う静電シールドを備えた
    請求項1に記載のバルク電流注入トランス。
  8. 前記複数の巻線の各々が半回巻きの導体を含み、
    前記複数の巻線の各々の前記半回巻きの導体の一端が前記静電シールドに接続され、
    前記複数の巻線の各々の前記半回巻きの導体の他端が前記バルク電流注入トランスと電源とを接続する給電線に接続されている
    請求項7に記載のバルク電流注入トランス。
  9. さらに、前記複数の巻線の各々に接続され、前記複数の巻線の各々に電流を供給する電源を備え、
    前記複数の巻線に流れる電流が、均一になるような磁束密度を前記磁気コアに生じさせる
    請求項1に記載のバルク電流注入トランス。
  10. さらに、前記電源と前記複数の巻線との間に接続されたインピーダンス変換回路網を備えた
    請求項9に記載のバルク電流注入トランス。
  11. 前記インピーダンス変換回路網が同相電力分配器を含む
    請求項10に記載のバルク電流注入トランス。
  12. 前記インピーダンス変換回路網が直列・直列バラン構成を含む
    請求項10に記載のバルク電流注入トランス。
  13. 前記インピーダンス変換回路網が前記複数の巻線間に並列接続部を有する
    請求項10に記載のバルク電流注入トランス。
  14. バルク電流注入トランスを1つ以上の被試験導体の周囲に配置する工程を含み、
    前記バルク電流注入トランスは、
    前記被試験導体を取り囲むように構成された磁気コアと、
    各々が前記磁気コアの縦断面の周囲に少なくとも部分的に巻回された複数の巻線と
    を備え、
    前記複数の巻線を、互いに間隔をもって前記磁気コアの複数の方位角方向に設ける
    バルク電流注入試験方法。
  15. さらに、等量の電力を前記複数の巻線の各々に供給することにより、前記被試験導体にコモンモード電流の流れを励起する電磁界を前記磁気コアに生じさせる工程を含む、
    請求項14に記載のバルク電流注入試験方法。
  16. 等量の電力を前記複数の巻線の各々に供給する前記工程が、電源と前記複数の巻線の各々との間にインピーダンス平衡回路網を接続することにより行われる
    請求項15に記載のバルク電流注入試験方法。
  17. 前記インピーダンス平衡回路網が、同相電力分配器と、直列・直列バラン構成と、並列接続構成とを含む群から選択される
    請求項16に記載のバルク電流注入試験方法。
  18. バルク電流注入トランスを1つ以上の被試験導体の周囲に配置する工程と、
    前記被試験導体に流れるコモンモード電流を測定する工程と
    を含み、
    前記バルク電流注入トランスが、
    前記被試験導体を取り囲むように構成された磁気コアと、
    各々が前記磁気コアの縦断面の周囲に少なくとも部分的に巻回された複数の巻線と
    を含むようにすると共に、
    前記複数の巻線を、互いに間隔をもって前記磁気コアの複数の方位角方向に設け、前記複数の巻線の各々から受け取った出力信号を検知し、前記出力信号を組み合わせて前記コモンモード電流を測定する
    導体励起モード測定方法。
  19. 前記出力信号が、電流と、電圧と、電力とを含む群から選択される
    請求項18に記載の導体励起モード測定方法。
  20. バルク電流注入トランスの特性を測定するための試験装置であって、
    互いに平行に且つ距離を設けて配置された複数の導体と、
    前記複数の導体の周囲に前記バルク電流注入トランスを設置すべく前記バルク電流注入トランスの外側表面に配置され、これにより前記複数の導体が前記バルク電流注入トランスの内部を縦軸に沿って延在可能とする誘電性クランプと
    を備えた
    トランス試験装置。
  21. 前記複数の導体が、それぞれ均一な断面形状を有する2つ以上の導体を含む
    請求項20に記載のトランス試験装置。
  22. 前記バルク電流注入トランスにより生じた方位角方向に不均一な磁界により、前記複数の導体に非コモンモードが励起されるように前記複数の導体間の前記距離が選択される
    請求項20に記載のトランス試験装置。
  23. さらに、前記複数の導体の両端部にそれぞれ接続された一対の電圧バランを備えた
    請求項22に記載のトランス試験装置。
  24. さらに、前記バルク電流注入トランスにより励起された前記非コモンモードを測定するために接続された自動ベクトルネットワークアナライザを備え、
    前記測定が、挿入損失を測定することにより行われる
    請求項23に記載のトランス試験装置。
  25. 前記自動ベクトルネットワークアナライザの第1の入力ポートが前記バルク電流注入トランスの出力ポートに接続され、前記自動ベクトルネットワークアナライザの第2の入力ポートが前記一対の電圧バランの一方の電圧バランの出力ポートに接続され、前記バルク電流注入トランスの出力ポートと前記一方の電圧バランの出力ポートとの間の挿入損失が測定される
    請求項24に記載のトランス試験装置。
  26. さらに、前記一方の電圧バランの前記出力ポートと前記自動ベクトルネットワークアナライザの前記第2の入力ポートとの間に接続され、前記挿入損失の測定が漸進的になされるように前記複数の導体を漸進的にステップ回転させる回動手段を備えた
    請求項25に記載のトランス試験装置。
  27. さらに、
    各々が前記複数の導体の異なる端部に接続された一対の180°ハイブリッド回路網と、
    各々が前記一対の180°ハイブリッド回路網のそれぞれの一対の和および差ポートに接続された一対の同軸スイッチと
    を備え、
    前記一対の同軸スイッチを動作させることにより、前記一対の180°ハイブリッド回路網がコモンモード信号または非コモンモード信号を受け取る
    請求項22に記載のトランス試験装置。
  28. さらに、前記バルク電流注入トランスにより励起されたコモンモードと前記非コモンモードとを測定するために接続された自動ベクトルネットワークアナライザを備え、
    前記測定が、挿入損失を測定することにより行われる
    請求項27に記載のトランス試験装置。
  29. 前記自動ベクトルネットワークアナライザの第1の入力ポートが前記バルク電流注入トランスの出力ポートに接続され、前記自動ベクトルネットワークアナライザの第2の入力ポートが前記一対の同軸スイッチの一方の同軸スイッチの出力ポートに接続され、前記バルク電流注入トランスの出力ポートと前記一方の同軸スイッチの出力ポートとの間の挿入損失が測定される
    請求項28に記載のトランス試験装置。
  30. さらに、前記一方の同軸スイッチの前記出力ポートと前記自動ベクトルネットワークアナライザの前記第2の入力ポートとの間に接続され、前記挿入損失の測定が漸進的になされるように前記複数の導体を漸進的にステップ回転させる回動手段を備えた
    請求項29に記載のトランス試験装置。
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