JP2010161061A - 熱電子放出電流測定装置および熱電子放出電流測定方法 - Google Patents

熱電子放出電流測定装置および熱電子放出電流測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 カソードのみの仕事関数を正確に把握するために必要な熱電子放出電流測定装置を提供すること。
【解決手段】 熱電子放出電流測定装置100は、測定装置本体1、直流電源2、パルス電源3、電流電圧測定装置6を有している。
測定装置本体1は、真空チャンバ13と、真空チャンバ13内に設けられ、測定試料であるカソード15を載置する試料載置台17と、真空チャンバ13内に設けられたアノード19と、フィラメント21とを有している。
カソード15の熱電子放出電流を測定する場合は、フィラメント21に電流を流して加熱し熱電子を放出させ、フィラメント21に直流電源2で電圧を印加して電子を加速し、カソード15に電子衝撃を与えて加熱し、加熱したカソード15の熱電子放出電流を電流電圧測定装置6を用いて測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放電ランプ用電極の熱電子放出電流測定装置及びそれを用いた熱電子放出電流測定方法および仕事関数測定方法に関する。
放電ランプに用いられるタングステン電極(以下、「カソード」ともいう)には、高温下における熱電子放出特性を向上させるために酸化トリウムや特定の希土類酸化物を含有させたものがある。
ここで、従来、材料の電子放出特性を示す値である仕事関数の測定には幾つかの手法がある。
大別すると、光による電子放出から測定する方法と、熱による電子放出(以下、熱電子放出という)から測定する方法が知られている。
光による電子放出から測定する方法は、紫外線やX線を固体表面に照射すると電子が放出される光電効果の現象によって、放出面全体の平均的な情報として仕事関数を求める方法である。なお、この測定方法は、光電効果による仕事関数を大気中常温下で求めるもので、常温付近で用いられる半導体や有機化合物が対象となる(特許文献1)。
光電効果は非特許文献1によれば以下の式で表される(非特許文献1)。
(mv)/2=hν−φ
ここでmは電子の質量、vは放出した電子の最大速度、νは照射した光の振動数、h=2πhはプランク定数でφは仕事関数である。ここでの光電効果はhνというエネルギーを持つ粒子の振る舞いを示唆する。
一方、熱電子放出から測定する方法とは、熱電子放出による電流(以下、熱電子放出電流という)を測定し、その電流値から材料の仕事関数を導出する方法であり、例えば特許文献2では蛍光ランプを作成して熱電子放出の現象からそのカソードの仕事関数を評価している(特許文献2)。
ここで、仕事関数は熱電子の放出し易さ、つまり、カソード(陰極とも言う)として優れた特性を得ることができるかどうかを判別する目安となる。
金属の熱電子放出電流密度J(A/cm)は、以下の式(リチャードソン・ダッシュマンの式)により求められる。
J=ATexp(‐eφ/kT)
ただし、A=4πmke/h=1.20×10(A/cm):リチャードソン定数 e=1.60×10‐19(J)、k=1.38×10‐23(J/K):ボルツマン定数、φ(eV):仕事関数である。Tは熱電子放出物質の絶対温度である。
なお、リチャードソン・ダッシュマンの式に従えば、例えば純タングステンの熱電子放出電流密度は1773Kで4.52×10−5A/cmと、現実的には測定ができないレベルであるのに対し、2273Kで0.052A/cm、2373Kで0.15A/cm、2473Kで0.40A/cm、と温度を高くしないと熱電子放出電流が測定できるレベルにならない。
そのため、純タングステンの熱電子放出電流を測定する場合は通常の電流測定精度からしておよそ2200K以上のカソード温度が必要である。
また、測定可能な熱電子放出電流を得るために高温を得る手段としては、例えば細線を用いて通電加熱を行う方法がある(非特許文献2)。
さらに、上記に示した測定方法の他に、非特許文献1では電界放出による仕事関数の測定手法を開示している(非特許文献1)。
特開平11−94780号公報 特開2006−12035号公報
塚田捷、"仕事関数"、共立出版、1983年6月1日発行、P42−89 星合正治、岡村 総吾、"電子管(1959年) (無線技術講座〈第2巻〉)"、オーム社、1959年、P14−25
しかしながら、特許文献1記載の光による電子放出から測定する方法は、前述のとおり固体表面の仕事関数を大気中常温下で測定する技術であり、さらに、その測定原理は、光電子によって大気中の酸素がイオン化され、その酸素イオンを検出するものであるため、前述放電ランプに用いるカソードの実際の動作温度における仕事関数を正確に測定することができないという問題点がある。
また、上記カソードにはトリエーテッドタングステン(トリウム酸化物を含有したタングステン)が多用されており、このトリウム(Th)は放射性物質でありβ線を放出するため、光電子の放出に関係なくβ線によって酸素がイオン化されるため光電子放出を正確に捉えることができない。
即ち、光電効果による仕事関数の導出は、動作温度が高くかつ放射性物質を含むカソード材の特性評価、比較に適用できない技術であり、さらに、放電ランプのカソードの特性として重要な熱電子放出特性およびその経時変化の情報は得られないという問題点があった。
一方、特許文献2記載の蛍光ランプを用いた測定方法は、実際に使用される蛍光ランプを作製して熱電子放出の現象からそのカソードの仕事関数を評価する測定方法であり、カソードの面積やランプの組み付け精度、電極コイルの形状や雰囲気となる希ガスや真空度など電極材料特性以外の種々のファクターの影響を受け易く、これらファクターの影響を除いてカソード材料の電子放出特性のみを正確に測定するのは事実上困難であった。
即ち、熱電子放出電流から仕事関数を求める際にはリチャードソン・ダッシュマンの式から分かるように電流密度を求める必要があり、熱電子放出が起きている箇所の面積と温度を正確に規定する必要性に対して、ランプ構造の正確な規定および温度の正確な制御・測定が困難であるという問題点がある。特に、温度は測定する物質の放射率を規定する必要があり、金属の表面では0.2〜0.8といった種々の放射率を持った表面となる可能性がある。そして、異なる放射率を用いて測定した場合、得られる測定温度は真温と差異が生じることから、仕事関数の導出に大きな誤差を生じさせることになる。
一方、非特許文献2記載の細線を用いて通電加熱する方法には、以下のような問題点があった。
1.線径を正確に測定するのが容易でなく、電子放出する面の表面積を正確に規定できないため、測定誤差の影響が大きい。
2.線径が細いため、必要な部分を高温に加熱し維持するのが困難である。
3.線径が細いため、接触式・非接触式温度測定の両者ともカソード温度の正確な測定が困難であり、接触式(熱電対など)では、接触子を通じて熱が奪われて温度を上げることが困難になる。また非接触式(放射温度計など)では、細線表面の放射率を定めることが難しく真温を求めることができない。
4.細線の垂下や変形によりアノードとカソードとの電極間距離が変化する可能性があり正確に該電極間距離を規定できない。
さらに、非特許文献1記載の電界放出による仕事関数の測定手法は、10〜10V/cm以上の強い電場を必要とし、特殊な装置が必要となり容易に仕事関数を求めることが出来ないという欠点があり、さらに、この測定手法は熱電子放出と異なる原理による電子放出現象を利用しているため、放電ランプなどに用いられるカソードの特性として重要な熱電子放出特性の情報が得られないなどの欠点があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その技術的課題は、カソードのみの仕事関数を正確に把握するために必要な熱電子放出電流測定装置、及びその測定方法、及び仕事関数の算出方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、カソードを加熱する方法として電子衝撃加熱を用いることによって該カソードからの熱電子放出電流を取得し、この熱電子放出電流から正確にカソードの仕事関数を算出できることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明の第1の態様は、カソードを電子衝撃加熱する電子衝撃加熱手段と、前記電子衝撃加熱手段が前記カソードを電子衝撃加熱することによって発生する熱電子放出電流を測定する熱電子放出電流測定手段と、を有することを特徴とする熱電子放出電流測定装置である。
また、本発明の第2の態様は、カソードを電子衝撃加熱する(a)と、前記電子衝撃加熱手段が前記カソードを電子衝撃加熱することによって発生する熱電子放出電流を測定する(b)と、を有することを特徴とする熱電子放出電流測定方法である。
また、本発明の第3の態様は、カソードの保持温度を2点以上定めて前記カソードを電子衝撃加熱して熱電子放出電流を取得して電流密度を得る(d)と、前記2点以上の保持温度を直線近似して最小2乗法で外挿して傾きと切片を求める(e)と、熱電子放出電流密度の対数を表す式である式1を用いて右辺第一項である前記直線の傾きから仕事関数φを求める(f)と、を有することを特徴とする仕事関数算出方法である。
ln(J/T)=−eφ/k×(1/T)+lnA ・・・(式1)
φ:仕事関数(eV)、−e:電子の電荷、k:ボルツマン定数、
T:カソード温度(K)、熱電子放出電流密度J(A/cm)、A:リチャードソン定数(A/cm
本発明においては、カソードのみの仕事関数を正確に把握するために必要な熱電子放出電流測定装置、及びその測定方法、及び仕事関数の算出方法を提供することができる。
本発明の熱電子放出電流測定装置100の概略構成を示す図である。 図1のボンバード(電子衝撃)加熱部分の拡大図である。 カソード15、アノード19の測定系と、アノード19、ガードリング35の配置を示す図である。 アノード19、ガードリング35の電界分布の計算結果を示す図である。 パルス電圧を印加した際の電子放出電流を示す図である。 測定電圧と熱電子放出電流の外挿値を示す図である。 仕事関数の導出の例を示す図である。 経時変化測定の例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る熱電子放出電流測定装置100の構造の概略を説明する。
図1に示すとおり、熱電子放出電流測定装置100は、電子衝撃加熱手段を構成する測定装置本体1、直流電源2、パルス電源3、および熱電子放出電流測定手段を構成する電流電圧測定装置6(オシロスコープ)を有している。
なお、直流電源2とパルス電源3とで電源装置を構成している。
また、熱電子放出電流測定装置100は、加熱温度測定手段としての温度測定部5を有している。
次に、図1を参照して測定装置本体1についてより詳細に説明する。
図1に示すように、測定装置本体1は、真空チャンバ13と、真空チャンバ13内に設けられ、測定試料であるカソード15を載置する試料載置台17と、真空チャンバ13内に設けられたアノード19と、真空チャンバ13内に設けられたフィラメント21とを有している。
なお、フィラメント21には絶縁トランス23を備えたフィラメント電源4が接続されている。
なお、絶縁トランス23はフィラメント21の加熱を行うためのもので、電子衝撃加熱用の直流電源2と、フィラメント電源4とが直接導通しないように絶縁している。
次に、熱電子放出電流測定装置100を用いた熱電子放出電流測定方法の概略について図1および図2を参照して簡単に説明する。
まず、フィラメント電源4を用いてフィラメント21に電流を流して加熱して熱電子を放出させ、そのフィラメント21に直流電源2で電圧を印加して熱電子を加速し、カソード15となる試料に電子衝撃を与えて加熱する。
次に、アノード19にパルス電圧を印加して電流電圧測定装置6(オシロスコープ)でアースとアノード19、カソード15間の電圧を測定する。これと同時に、加熱したカソード15の熱電子がアノード19に到達する量、即ち、電流も電流電圧測定装置6(オシロスコープ)を用いて測定する。
ここで、図2(a)の電子衝撃(ボンバードともいう)加熱部分の拡大図に示すとおり、絶縁トランス23から交流で電力供給され加熱するフィラメント21を、電子衝撃加熱用の直流電源2を用いてアースからマイナスの電位とする。カソード15はアースと同電位であるのでフィラメント21から放出された熱電子はカソード15に向かっていき、カソード15の電子衝撃加熱(ボンバード加熱ともいう)を行う。これにより、面積を規定したカソード15を所定の温度に加熱可能となる。
次に、測定装置本体1の構成および熱電子放出電流の測定方法および仕事関数算出方法について図1〜図4を参照してより詳細に説明する。
<測定装置本体1>
前述の通り、測定装置本体1は、真空チャンバ13と、カソード15を載置する試料載置台17と、アノード19と、フィラメント21とを有している。
(真空チャンバ13)
真空チャンバ13は、カソード15となる試料の酸化変質を避け電子衝撃加熱が問題なく行うことができることを考えると、高真空が得られることが望ましいが、一般的な真空装置であれば目的を果たすことができ、例えば、株式会社アルバック製のMUE-ECOのチャンバ内を適宜改造することによって、本発明が求める安定した真空雰囲気が得られる。真空チャンバ13内の圧力は加熱時でも10−4Pa以下であることが電子衝撃加熱のためには必要であるが、公知のベーク設備とターボ分子ポンプやクライオポンプとロータリーポンプを組み合わせることにより実現が可能である。
(試料載置台17)
試料載置台17は、カソード15の裏面側を電子衝撃加熱する構造とすることにより、大面積のカソード15の面を通電加熱では得難い熱電子放出に十分な高温に正確に加熱することを可能とすることが必要である。
従って、本発明目的の電極材料評価用のカソード15を固定できる構造であれば良い。
具体的には、試料載置台17は耐熱性を有する例えばモリブデン材料を用いて作製するのが好ましい。
また、その構造は、図2(a)に例示するように、電子衝撃を受ける円形状の平面部分を凹形状の環状に構成し、この中に該カソード15を差し込んで、ネジ32などで固定できるものであればよい。
なお、固定方法は図2(b)に例示するように、ろう付けでもよく、あるいは電子ビーム溶接など、任意の手法を用いることができる。
(カソード15)
カソード15は高融点金属を基材とする材質が好ましい。
また、図2(c)に示すように、カソード15は円板状としかつカソード15を一定以上の大きさにすることによって、高温加熱における変形を少なくすることができ、さらに、熱電子放出電流をより正確に測定することができる。
さらに、カソード15の外径寸法は後述の実施例に示すように例えば直径φ8mm位にするのが好ましい。その理由は測定限界である電流密度と、必要なパルス電圧、電流を得ることができるからである。
また、カソード15の温度を正確に測定するために、図2(c)に示すように、カソード15の側面から中心に向けて測温穴33を設ける。これは、入り口径が1に対して深さが4以上の測温穴33を設けることにより、黒体放射に相当する放射率が1となり、放射温度測定を精度高く行うことができるためである。
なお、電子衝撃加熱を行うには導電性が必要であり、非導電性のセラミックスや樹脂を基材とする材質は加熱が困難である。しかし、カソード15は高融点純金属に限定されるものではない。酸化物・炭化物等を含んだ金属や複数の成分を含む合金でもよい。具体的には電気導通が確認でき、例えば室温で抵抗率が1×10−6Ωm以下程度の材質であればよい。
(アノード19)
図3(a)に示すとおり、アノード19はカソード15を載置する試料載置台17と同軸上に配設する構造とする。
図3(b)に示すように、本実施形態では、アノード19は円形中実のモリブデンの丸棒から作製しかつ前記アノードの先端部の外周に同じくモリブデンで作製した円筒状のガードリング35を備えているガードリング付きアノードとする構造としている。
なお、アノード19の先端の端面とガードリング35の端面は電界分布のムラを生じさせず、目的であるエッジ効果を除去するため、同一平面上に設けられるようにすることが必要である。アノードおよびガードリング35の材質は試験中に変質することのない高融点の金属であれば、モリブデンに限定する必要はない。
また、アノード19は真空チャンバ13と絶縁した状態で配設されればよい。
また、アノード19はガードリング35を用いる構造のため、径の精度はプラス公差であれば良く、中心軸のずれもガードリング35がかかっている範囲(カソード15の端部の垂直上にガードリング35の外周が収まる位置)にあれば、問題なくアノード19の面積を規定した測定を行うことができる。
上記の構造により、カソード15から放出された熱電子をガードリング35を備えたアノード19で捉えて正確な熱電子放出電流密度を測定することが可能となる。
図4に示すように、カソード15に対向するアノード19を単独で設置すると、印加したパルス電圧によるアノード・カソード間の電界がアノード19の中央部とアノード19の端部で不均一になる(エッジ効果が現れる)ため、対向するアノード19の外周にガードリング35を設けている。
即ち、ガードリング35を設けることによって、アノード19にエッジ効果の影響が生じず、均一な電界分布となり、均一な電流密度の測定を行うことができる。
また、本実施形態では対向するアノード19及びガードリング35とカソード15は平行に保持して0.5mmの間隔とした。ガードリング35はアノード19以上の断面積とした。また、対向するアノード19とガードリング35の位置はカソード15の同軸上に配設した。
(カソード15とアノード19の寸法の関係)
本実施形態では、カソード15の熱電子放出面は直径φ8mmあり、対向するアノード19の電極断面は直径φ6.2mmとした。カソード15からアノード19の電極断面、つまり直径φ6.2mmの断面に届いた熱電子による電流が熱電子放出電流である。ここで、本実施形態では、ガードリング35は外径φ9.2mmとし、内径φ6.6mmでアノード19と0.2mmのクリアランスを設け測定電流に影響を与えない構造とした。
ここで、カソード15、アノード19、ガードリング35の好ましい形状や構造、配置について詳しく説明する。
図1〜4に示すように、いずれも円形が好ましい。これは、例えば正方形など円以外の形状では隅にエッジ効果がさらに強く現れるためである。
カソード15の直径は、アノード19と同様にエッジ効果を防ぐため直径φ1mm以上、さらには、後に説明する電流の測定下限と加熱用電源の制約から直径φ3mm〜φ20mmが好ましい。
公知の測定機器を用いた本発明の測定では、電流の測定下限はおよそ1mAである。カソード15として純タングステンを用いて2200Kまで加熱して仕事関数を4.5eVとした場合、リチャードソン・ダッシュマンの式からカソード15からの熱電子放出電流密度はおよそ0.029A/cmである。よって1mAの電流を放出するのに必要なカソード面積は1×10−3/0.029=0.034cmとすればカソード15の直径の下限は2.1mmとなる。
カソード15の直径の上限は電子衝撃加熱用の直流電源2の出力上限の制約を受ける。直径が大きいほど試料重量が大きくなり加熱に必要な出力が大きくなる。公知の機器を用いた本発明では直径20mmが上限である。
アノード19の直径は3〜19mmの範囲で「カソード直径≧アノード直径+1mm」を満たすことが好ましい。ただしアノード19の直径の上限19mmはカソード15の熱電子放出電流密度と測定機器の測定上限に応じて19mm未満になる場合もありうる。
アノード19の直径が3mmより小さいと電流の測定下限を下回り測定が困難になる。19mmを超えるとカソード直径が最大20mmのときにエッジ効果の影響が無視できなくなる。また熱電子放出電流が相対的に大きい試料の場合、アノード19の直径が大きいと電流の測定上限を上回り測定機器を破損する懸念がある。
また、ガードリング35の内径は「アノード直径+1mm≧ガードリング内径>アノード直径」を満たすことが好ましい。アノード19のエッジ効果を除去するにはできるだけアノード19の直径に近い方がよく、またアノード直径+1mmを超えるとエッジ効果を除く効果が低くなるためである。
ガードリング35の外径は、「ガードリング外径≧カソード直径+1mm」かつ「ガードリング断面積/アノード断面積≧1」が好ましい。これらを満たさないと、エッジ効果を除く効果が低くなるためである。ただしガードリング35の外径の上限はカソード15の熱電子放出電流密度と測定機器の測定上限に応じて小さく見直す必要がある。
また、カソード15とアノード19の間隔は0.1mmから1mmの範囲が好ましい。間隔が大きいと同じパルス電圧でも電界強度が小さくなり実際の測定電流が小さくなり測定領域下限に近づくためである。
一方、カソード15とアノード19の間隔が0.1mmを下回ると構成部品の熱膨張等によりカソード15とアノード19が接触する可能性が高まる。1mmを上回ると放出電流の測定下限を下回り測定できない可能性があるからである。
また、アノード19とガードリング35の高低差は0.1mm以下にしないと電界分布のムラを生じ、正確な電流測定を行うことができない。
(フィラメント21)
電子衝撃加熱の電子源であるフィラメント21は、本実施形態では直径φ1mmのタングステン線をコイル状にし、上記試料載置台17の背面に配設した。
<直流電源2>
カソード15に電子衝撃を行うための直流電源2には、例えばGAMMA社の直流高圧安定化電源RR5−120を用いることができる。
<パルス電源3>
放出電流の正確な読み取りはパルス電圧を印加することによって行うことができる。
熱電子放出電流の測定には、熱電子をアノード19に集めるためにパルス電圧すなわち電界をかける必要がある。
パルス電源3はごく一般的な高圧パルス電源であれば良く、例えば株式会社YAMABISHIのYHPG−40K−20ATRなどを用いることができる。
<絶縁トランス23及びフィラメント電源4>
フィラメント21の加熱用のフィラメント電源4は100Vの電源をスライダックにより適切な電圧に調整して行う。また、絶縁トランス23は、例えば株式会社ユニオン電機製のMNR−GTを用いることができる。
なお、絶縁トランス23はフィラメント21の加熱を行うためのもので、電子衝撃加熱用の直流電源2と、フィラメント電源4とが直接導通しないように絶縁している。
<温度測定部5>
温度測定部5はカソード15の温度測定に用いられるものであり、放射温度計が適する。単色式で測定波長の短い放射温度計が温度測定の信頼性が高く、例えばミノルタ株式会社製TR‐630とクローズアップレンズNo.110を用いることで、直径φ0.4mmの領域の温度測定ができる。
本実施形態では放射による温度測定領域以下例えば1000℃以下の領域は試料反対側にタングステンレニウム熱電対を設置し、測定する。試料温度は、穴深さL=5mm、直径D=1mmの比L/D=5の測温穴33を設けて試料の放射率を1とみなし、試料から放射温度計までの光路上の吸収率0.92を乗じた実効放射率0.92を用いて算出する。
<電流電圧測定装置6>
パルス電圧印加時の電流を読み取るために、電流電圧測定装置6として本実施形態ではオシロスコープを用いる。例えば横河電機製のDL9710Lを用いることができる。
<熱電子放出電流の測定>
図3(a)にカソード15、アノード19の測定系を示す。同図に示す電気回路とすることでアノード19で受け取りした熱電子放出電流と、ガードリング35とアノード19及びパルス電源3の正極、負極間の電位差、とを電流電圧測定装置6(オシロスコープ)で読み取ることができる。
なお、測定手順及び測定条件として以下を例示することができる。
1.カソード15の熱電子を放出する面および該カソード15と対向し熱電子を授受する電極の面は研磨し、その面粗さは好ましくはRa1.6μm以下に仕上げる。Ra5μm以内であれば安定して測定を行うことができる。面粗さがRa10μmを超えると突起部の異常放電が起こることがある。
2.カソード15の加熱時の温度上昇速度は、例えば1〜20K/minに設定する。
3.加熱時や温度保持時のフィラメント電圧とフィラメント電流は、例えば4〜5V、24〜26Aに設定する。
4.電子衝撃加熱の加速電圧は、例えば3〜4kVで電子衝撃電流を30〜240mAに設定することでカソード15を目的とする高温に加熱できる。
5.熱電子放出電流の測定はカソード15を所定の温度で保持してから開始する。
仕事関数の導出で熱電子放出電流を測定するには、カソード温度が安定し放出電流が安定してから行うことが好ましいため、温度保持開始から5分以後に行うことが好ましい。その理由は、温度保持開始から5分未満では、カソード15やカソード周辺部品の温度が安定しないことから熱電子放出も安定しないので仕事関数の導出の再現性が得られないからである。
6.熱電子放出電流はカソード15と対向するアノード19に例えば200〜1000Vのパルス電圧を印加して計測する。
7.パルスのデューティーは1:1000とする。
これは、パルス印加中はカソード15からの熱電子放出によってカソード15の冷却が起こるため、その温度変化を最小限に抑えるためと、空間電荷の飽和をさけて、電流密度の測定を行うために必要である。
なお、ガードリング35の設置の目的であるエッジ効果の除外と均一な電界分布のため、ガードリング35にはアノード19と同一のパルス電圧を印加する。
8.電流電圧測定装置6(オシロスコープ)を用いて、パルス電圧印加時の電流を読み取る。
次に、得られた電流から(ガードリング35を除く)アノード19に流れる電流値をアノード19の電極の断面積で割ってカソード15の熱電子放出電流密度を求める。
図4は、本発明のアノード19、ガードリング35の電界分布の計算結果を示す図である。
本発明の実施においては、カソード15からの熱電子放出電流をアノード19で正確に捉えるには、アノード19付近の電界分布が均一、即ち、エッジ効果がないことが好ましい。
従って、アノード19の外周にガードリング35を設けている。その効果を明らかにするため、印加電圧1000V、カソード・アノード間隔0.5mmの条件でカソード・アノードの中心軸から半径方向について電界分布を計算した。
同図からアノード19やカソード15付近の電界は均一に分布しており、ガードリング35の外周から外のみ電界が不均一に分布する(エッジ効果は測定範囲外のみ現れる)ことが分かる。
図5は、本発明のパルス電圧を印加した際の電子放出電流を示す図である。
パルス電圧を印加すると熱電子放出による電流は徐々に上昇し一定の値に達する。パルス電圧印加直後は過渡的に変化する。本発明でいう熱電子放出電流の測定値は一定の値に達した時点の値である。
なお、金属を基材とする試料のうち基材の金属や試料に含まれる酸化物等の蒸発によって電子放出特性は過渡的に変化するため、特に2300Kを超えると変化が著しく仕事関数の導出には温度保持開始から5分以降30分以内を目処に終了することが好ましい。
即ち、リチャードソン・ダッシュマンの式が示す通り、指数の項に温度が含まれており温度測定の誤差は熱電子放出電流に大きく影響するので、加熱された試料であるカソード15の正確な温度測定が重要である。
以下、熱電子放出電流の測定方法について、さらに具体的に説明する。
カソード15を真空チャンバ13内に設置し、真空チャンバ13内を真空雰囲気(10‐4Pa以下)に保ち、電子衝撃によりカソード15を加熱して例えば1500〜2473Kに保持する。真空チャンバ13内の圧力は加熱時には1×10−3Pa以上になる場合があるが、測定時には真空中での電子放出を測定するために1×10−4Pa以下とする必要がある。真空系列を2つに分け、電子衝撃加熱の空間と電子放出特性の測定空間を別々の真空系列にすれば、電子放出特性測定に加熱時の電子衝撃加熱による圧力上昇の影響を与えることなく測定することができる。
<仕事関数算出方法>
仕事関数の算出は、まず、保持温度を2点以上定め、各温度において、熱電子放出電流密度を測定する。保持温度の点数は4点以上がより好ましく、保持温度の最高温度と最低温度の差を40K以上あけるとよい。
次に、上記の測定で取得した熱電子放出電流から仕事関数を導出する。
まず、測定した熱電子放出電流密度から電界の影響を除いた電流密度を求める。
これは、仕事関数は本来、電界の影響がない場合の理想的な値であり、本実施形態では熱電子放出電流の測定の際にパルス電圧を印加しているので、電界の影響を差し引かなければならないからである。
具体的には、各温度における上記電流密度を次のように求める。
まずパルス電圧とカソード・アノード間距離から電界を求め、その電界の平方根を横軸に電流密度の対数を縦軸に測定点をプロットする。プロットした点が直線状に並んだ測定点について回帰直線を求めると電界の影響を差し引く補正ができ、その直線の切片がその温度における電界の影響を除いた電流密度に該当する(図6)。
図6に測定電圧と熱電子放出電流の外挿値を示す。
熱電子放出電流の測定には熱電子をアノード19に集めるためにパルス電圧すなわち電界をかける必要がある。その電界の影響を除いた熱電子放出電流を求めるには、直線状になった測定点を直線近似し、その直線の切片から計算する。
熱電子放出電流密度の対数lnJをグラフの縦軸Yとし、印加した電界の平方根F1/2をグラフの横軸Xとして、例えば、2251Kの測定点を直線近似すると、Y=0.0060X−2.61で、この式の切片の値:−2.61が2251Kにおける電界の影響を除いた熱電子放出電流密度J0(2251K)の対数となる。すなわちlnJ0(2251K)=−2.61である。
次に、電界の影響を除いた熱電子放出電流密度から仕事関数を導出する。
図7を参照して具体的な手順を示す。
まず、保持温度(絶対温度)の逆数を横軸に、電流密度をカソード温度の2乗で除した値の対数を縦軸に測定点をプロットし、それらの点から回帰直線を求める。次に、最小2乗法などでその直線の傾きと切片を算出する。さらに、前述したリチャードソン・ダッシュマンの式を変形して、傾きから仕事関数、切片からリチャードソン定数を算出する。
次に、カソード保持温度ごとに、横軸にカソード温度(絶対温度)の逆数と、縦軸に熱電子放出電流をカソード温度の2乗で除した値の対数をプロットする。最後に、これらの点の回帰直線の傾きから仕事関数を求める。
例えば、実験点となる保持温度を2251Kとした場合は
まず、熱電子放出電流密度の対数、具体的には、電界の影響を除いた熱電子放出電流密度をカソード温度の2乗で除した値の対数
ln(J/T)をグラフの縦軸Yとし、
カソード温度の逆数1/Tをグラフの横軸Xとして、
Y=ln(J0(2251K)/2251)=−18.0
X=1/2251=0.000444
をプロットする。
次に、各保持温度の実験点を直線近似して最小2乗法で傾きと切片を求める。
後述する実施例1の場合、傾きは−50800で切片は4.55である。
一方、リチャードソン・ダッシュマンの式を変形すると
ln(J/T)=−eφ/k×(1/T)+lnA
となる。
すなわち、傾き−eφ/k=−50800となり、eとkは定数であるから仕事関数φを求めることができる。この場合、φ=4.38eVとなる。
なお、熱電子放出材料は熱電子放出電流の経時変化を測定することも重要であり、これについても本実施形態に係る熱電子放出電流測定装置100を用いることにより、時間を追って測定することが可能である。図8に、経時変化測定の例を示す。
このように、本実施形態によれば、熱電子放出電流測定装置100は、電子衝撃加熱手段を構成する測定装置本体1、直流電源2、パルス電源3、および熱電子放出電流測定手段を構成する電流電圧測定装置6(オシロスコープ)を有し、電子衝撃加熱によりカソード15を加熱して熱電子を放出させ、放出電流を測定する。
そのため、カソード15を、熱電子放出を行うのに十分な高温に精確に加熱することができ、任意の温度における熱電子放出電流を正確に測定することができる。
また、熱電子放出電流を正確に測定することができるため、カソード15のみの仕事関数を正確に把握することができる。
さらに、カソード15の熱電子放出特性の経時変化を正確に測定することができる。
また、カソード15の電子放出特性の評価をランプを製作することなく正確・容易に把握することができる。
さらに、面積を正確に規定した試料(カソード15)を準備することで、任意の温度における熱電子放出電流を正確に測定することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
純タングステンの仕事関数を本発明の熱電子放出電流測定装置100を用いて導出した例について説明する。
まず、棒状の純度99.99質量%のタングステン材料から試料となるカソード15を作製した。カソード15の直径は8mm、厚みは10mmとした。
上記の試料の測定面を研磨し、脱脂の後、真空チャンバ13内に固定し、真空チャンバ13内を真空雰囲気(10‐5Pa以下)に保った。実施形態で述べた方法で電子衝撃加熱によりカソード15を加熱した。加熱時の温度上昇速度は15K/minとし、保持温度(実験点)は2203K、2217K、2231K、2251Kの4点とした。温度保持中の真空チャンバ13内圧力は1×10−4Pa以下であった。
このときの測定条件は、フィラメント電圧4V、フィラメント電流24〜26Aとした。電子衝撃加熱の条件は3.2kV、105〜125mAとした。測定用のパルス電圧は200〜1200V、デューティーは1:1000とした。カソード・アノード間隔は0.5mm、カソード15は直径8.0mm、アノード19は直径6.2mm、ガードリング35は外径11mm、内径6.6mmとした。
保持温度(実験点)を2203K、2217K、2231K、2251Kの4点と定めて、
夫々の保持温度(実験点)毎に、アノード19で受け取りした熱電子放出電流と、ガードリング35とアノード19及びパルス電源3の正極、負極間の電位差とを電流電圧測定装置6(オシロスコープ)で読み取った。
その値から電界強度の平方根と熱電子放出電流密度の対数を求めてプロットして、直線状に並んだプロット点を直線近似する。そのプロット点を以下の表1に示す。
Figure 2010161061
次に、図6に示すようにその切片を熱電子放出電流密度の外挿値として求めた。
グラフから2203K、2217K、2231K、2251Kの測定点の直線近似をすると、それぞれ
Y=0.0072X−3.12
Y=0.0074X−3.01
Y=0.0065X−2.78
Y=0.0060X−2.61
であるため、各温度における電界の影響を除いた熱電子放出電流密度の対数はそれぞれ、−3.12、−3.01、−2.78、−2.61である。
(仕事関数の導出)
次に、図7のグラフに示すように、保持温度(絶対温度)の逆数を横軸に、電流密度をカソード温度の2乗で除した値の対数を縦軸に測定点をプロットし、それらの点から回帰直線を求めた。
本実施例では最小2乗法でその直線の傾きと切片を算出した。求めた直線は
Y=−50800X+4.55
この傾きから仕事関数を算出した。
傾き−eφ/k=−50800、eとkは定数であるので仕事関数φ=4.38、と求めることができる。
上記のように、タングステンの2203K〜2251Kで測定した仕事関数は4.38eVであった。これは非特許文献1の理論値4.55eVに近い値であった。
純タンタルの仕事関数を導出した例について説明する。
棒状の純度99.9質量%のタンタル材料から試料を作製しカソード15とした。上述の測定と同様にタンタルの電子放出特性を測定した結果、仕事関数は4.18eVであることが判明した。これは非特許文献1の理論値4.25eVに近い値であった。
任意の温度で試料の温度を保持して熱電子放出電流の経時変化を測定した。
なお、図8(a)、(b)は棒状の純度99.99質量%の純タングステンに酸化物を添加した試料を測定した結果であり、図8(c)は棒状の純度99.99質量%の純タングステン試料を測定した結果である。いずれも2150Kで保持し測定した。図8(a)、(b)の測定ではいずれの試料も徐々に電流が減衰して図8(c)の純タングステン試料の電流に相当する約0.05A/cmに収束した。例えば図8(b)の電流減衰が早い例では、50分で0.142A/cm、100分で0.080A/cmであり、電流減衰が遅い例では、50分で0.336A/cm、250分で0.125A/cmであった。
また、図8(c)の純タングステンの測定では約0.05A/cmと一定の電流値を示した。例えば50分では0.049A/cm、150分では0.051A/cm、300分では0.050A/cm、であった。そして図8(b)に示す測定結果と放電ランプでの寿命特性の傾向とが一致した。すなわち電流減衰が遅い試料ほど放電ランプでの寿命が長い傾向であった。
従って、経時変化を測定することでランプ寿命を評価することが可能であることが分かった。
本発明は真空中で熱電子放出特性を正確に計測することができる。さらに、熱電子放出電流の経時変化も測定することができるためランプ用の電極のみならず、放電加工用電極や溶接用電極の評価としても用いることができる。
1…………測定装置本体
2…………直流電源
3…………パルス電源
4…………フィラメント電源
5…………温度測定部
6…………電流電圧測定装置
13………真空チャンバ
15………カソード
17………試料載置台
19………アノード
21………フィラメント
23………絶縁トランス
32………ネジ
33………測温穴
35………ガードリング
100……熱電子放出電流測定装置

Claims (13)

  1. カソードを電子衝撃加熱する電子衝撃加熱手段と、
    前記電子衝撃加熱手段が前記カソードを電子衝撃加熱することによって発生する熱電子放出電流を測定する熱電子放出電流測定手段と、
    を有することを特徴とする熱電子放出電流測定装置。
  2. 前記カソードの加熱温度を測定する加熱温度測定手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の熱電子放出電流測定装置。
  3. 前記電子衝撃加熱手段は、
    真空チャンバと、前記真空チャンバ内に設けられ、前記カソードを位置決め固定する試料載置台と、前記真空チャンバ内に設けられ、前記試料載置台と同軸上に配設したアノードと、前記真空チャンバ内に設けられ、前記試料載置台の背面に配設されたフィラメントと、を有する測定装置本体と、
    前記フィラメントを加熱するフィラメント電源と、
    前記フィラメントに直流電圧を印加する直流電源と、前記アノードにパルス電圧を印加するパルス電源と、を有する電源装置と、
    を有し、
    前記熱電子放出電流測定手段は、
    前記カソードから前記アノードに到達する電流値と、前記アノードと前記パルス電源の正極と負極間の電位差とを読み取る電流電圧測定装置と、を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の熱電子放出電流測定装置。
  4. 前記アノードは、円形中実丸棒であり、先端部の外周に円筒状のガードリングを備えているガードリング付きアノードであることを特徴とする請求項3記載の熱電子放出電流測定装置。
  5. 前記ガードリングの外径は、ガードリング外径≧カソード直径+1mmで、かつガードリング断面積/アノード断面積≧1の関係に作製されていることを特徴とする請求項4記載の熱電子放出電流測定装置。
  6. カソードを電子衝撃加熱する(a)と、
    前記電子衝撃加熱手段が前記カソードを電子衝撃加熱することによって発生する熱電子放出電流を測定する(b)と、
    を有することを特徴とする熱電子放出電流測定方法。
  7. 前記カソードの加熱温度を測定する(c)をさらに有することを特徴とする請求項6記載の熱電子放出電流測定方法。
  8. 前記(a)は、
    真空チャンバと、前記真空チャンバ内に設けられ、前記カソードを位置決め固定する試料載置台と、前記試料載置台と同軸上に配設したアノードと、前記真空チャンバ内に設けられ、前記試料載置台の背面に配設されたフィラメントと、を有する測定装置本体と、
    前記フィラメントを加熱するフィラメント電源と、
    前記フィラメントに直流電圧を印加する直流電源と、前記アノードにパルス電圧を印加するパルス電源と、を有する電源装置と、
    を有する熱電子放出電流測定装置を用い、前記カソードを前記試料載置台に取付け固定し、前記フィラメントに電流を流して前記フィラメントから熱電子を放出させ、前記フィラメントに前記直流電圧を印加して前記熱電子を加速して前記カソードに電子衝撃加熱を行い、前記カソードから熱電子放出電流を発生させ、
    前記(b)は、前記アノードにパルス電圧を印加して前記熱電子放出電流を前記アノードで受け取り、前記アノードで受け取った前記熱電子放出電流と、前記ガードリングとアノード及び前記パルス電源の正極、負極間の電位差、とを前記電流電圧測定装置で読み取ることを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の熱電子放出電流測定方法。
  9. 前記アノードは、円形中実丸棒であり、先端部の外周に円筒状のガードリングを備えているガードリング付きアノードであり、
    前記(a)は、前記アノードと前記ガードリングに印加する前記パルス電圧が同電位となるようにパルス電圧を印加することを特徴とする請求項8記載の熱電子放出電流測定方法。
  10. 前記(a)の前に、前記カソードの側面に温度を測定するための測定穴を設ける(g)を有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の熱電子放出電流測定方法。
  11. カソードの保持温度を2点以上定めて前記カソードを電子衝撃加熱して熱電子放出電流を取得して電流密度を得る(d)と、
    前記2点以上の保持温度を直線近似して最小2乗法で外挿して傾きと切片を求める(e)と、
    熱電子放出電流密度の対数を表す式である式1を用いて右辺第一項である前記直線の傾きから仕事関数φを求める(f)と、を有することを特徴とする仕事関数算出方法。
    ln(J/T)=−eφ/k×(1/T)+lnA ・・・(式1)
    φ:仕事関数(eV)、−e:電子の電荷、k:ボルツマン定数、
    T:カソード温度(K)、熱電子放出電流密度J(A/cm)、A:リチャードソン定数(A/cm
  12. 前記(d)は、
    真空チャンバと、前記真空チャンバ内に設けられ、前記カソードを位置決め固定する試料載置台と、前記試料載置台と同軸上に配設したアノードと、前記真空チャンバ内に設けられ、前記試料載置台の背面に配設されたフィラメントと、を有する測定装置本体と、
    前記フィラメントを加熱するフィラメント電源と、
    前記フィラメントに直流電圧を印加する直流電源と、前記アノードにパルス電圧を印加するパルス電源と、を有する電源装置と、
    を有する熱電子放出電流測定装置を用い、
    前記カソードの保持温度を2点以上定めて前記カソードを加熱し、
    前記カソードと前記アノードの電界強度を変化させて前記カソードの前記保持温度ごとの前記熱電子放出電流を取得し、
    前記パルス電圧と、カソード・アノード間距離から電界を求め、
    保持温度(絶対温度)の逆数を横軸に、電流密度をカソード温度の2乗で除した値の対数を縦軸に測定点をプロットし回帰直線を求めて電界の影響を差し引いて補正された電流密度を得ることを特徴とする請求項11記載の仕事関数算出方法。
  13. 前記(d)は、アノードとして円形中実丸棒で、先端部の外周に円筒状のガードリングを備えているガードリング付きアノードを用い、前記カソードと前記アノードおよび前記ガードリング間の電界強度を変化させて前記カソードの前記保持温度ごとの前記熱電子放出電流を取得することを特徴とする請求項12記載の仕事関数算出方法。
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