JP2010154290A - エレクトレットコンデンサマイクロホン - Google Patents

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Abstract

【課題】 音響装置であるECMには、ノイズに対する規格条件が設定されており、このノイズに対する規格条件を満足するとともに、価格アップや形状の増大を伴わないECMの提供が望まれていた。
【解決手段】集積回路を実装した回路基板と、エレクトレット層を形成した背面電極と振動膜とを対向配置させてコンデンサマイクロホンを形成し、前記回路基板上の集積回路の入力電極と前記コンデンサマイクロホンを形成する背面電極とを接続したECMにおいて、前記回路基板に集積回路がフリップチップ実装されるとともに、前記回路基板上に形成された前記集積回路の信号入力電極への配線パターンが、前記集積回路の実装領域からわずかに突出する接続電極部として形成され、前記接続電極部と前記背面電極とが導電バネ部材によって空間的に接続される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、集積回路を実装した回路基板と、エレクトレット層を形成した背面電極と振動膜とを対向配置させてコンデンサマイクロホンを形成し、前記回路基板上の集積回路と前記コンデンサマイクロホンを形成する背面電極または振動膜とを接続したエレクトレットコンデンサマイクロホンに関し、特に回路基板上に形成された前記集積回路の入力電極への配線パターンと前記背面電極との電気的接続構造に関する。
近年、携帯電話、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に広く用いられる小型で高性能なマイクロホンとして、エレクトレットコンデンサマイクロホンが広く用いられている。
このエレクトレットコンデンサマイクロホンの構成としては集積回路を実装した回路基板と、エレクトレット層を形成した背面電極と振動膜とを対向配置させてコンデンサマイクロホンを形成し、前記回路基板上の集積回路と前記コンデンサマイクロホンを形成する背面電極とを接続すると共に、回路基板に設けたスルーホールによって回路基板の下面側に出力電極を設ける構成となっている。(例えば特許文献1)
以下、特許文献1に開示された従来のエレクトレットコンデンサマイクロホンの構成を説明する。図12は従来のエレクトレットコンデンサマイクロホンの断面図であり、趣旨を逸脱しない範囲で本願との関係が分かる様に一部変更して記載している。図13は図12に示すエレクトレットコンデンサマイクロホンの集積回路実装部Hの拡大断面図、図14は図13における集積回路を実装する前の回路基板の平面図である。
図12において、50はエレクトレットコンデンサマイクロホン(以後ECMと略記する)である。2は回路基板であり、前記回路基板2は絶縁基板により構成され、上面側に接続配線2a、下面側に出力電極2bが形成されると共に集積回路11が実装されている。そして回路基板2に設けたスルーホール2cによって回路基板2の上面側に実装された集積回路11が下面側の出力電極に接続されている。
3は背面電極ユニットであり、前記背面電極ユニット3は絶縁基板である背面電極基板3aの上面側に電極膜による背面電極4が形成され、また前記背面電極4の上面にエレクトレット層5が膜形成されている。6は振動膜ユニットであり、前記振動膜ユニット6は金属材料または絶縁部材の表面に金属膜を形成した振動膜支持枠6aの下面側に導電性の振動膜7が固着されることにより一体化されている。
そして回路基板2と背面電極ユニット3と振動膜ユニット6とは第1スペーサ8と第2スペーサ9を挟んで積層されており、この積層状態において背面電極4は背面電極基板3aに設けられたスルーホール3cと第1スペーサ8の内周面に設けられた接続電極8aを介して回路基板2の接続配線2aに接続されている。又85は金属製のシールドケースであり上面側に音響孔85aが設けられている。
すなわち、ECM50の構成は、前記回路基板2と背面電極ユニット3の間に第1スペーサ8、また背面電極ユニット3と振動膜ユニット6の間に第2スペーサ9を挟んだ状態で積層した後に、接着材等により固着一体化してECMカプセルを構成し、該ECMカプセルに前記シールドケース85を被覆することによりECM50が完成する。
図13は図12に示すECM50の点線で示す集積回路実装部Hの拡大断面図、図14は図13における集積回路11を実装する前の回路基板2の平面図であり、図13は図14のA−A断面を示している。以下図13,図14により集積回路実装部分Hの詳細を説明する。
1例として本実施形態においては、回路基板2の上面側には6個のパッド電極20a〜20fが設けられており、例えばこれらのパッド電極は、20aがデータ出力パッド、20bが電源のGNDパッド、20cがクロック信号パッド、20dが電源のVDDパッド、20eが信号入力パッド、20fがRLセレクトパッドである。
そしてこれらのパッド電極の内20a、20c、20d、20fの4個はスルーホール2cに接続されている。また20eは回路基板2の接続配線2aの1つである信号入力配線2aeに接続されることにより第1スペーサ8の内周面に設けられた接続電極8a及び背面電極基板3aに設けられたスルーホール3cを介して背面電極4に接続されている。さらに20bは電源のGNDに接続されている。そして上記6個のパッド電極20a〜20fには集積回路11がバンプ11aによってフリップチップ実装されている。
上記構成を有するECM50におけるノイズ問題として次の2種類が考えられる。第1のノイズ問題はデータ出力パッド20a、クロック信号パッド20c等のデジタル信号が印加されるパッド電極に接続されたスルーホール2cや、電源のVDDパッド20dに接続されたスルーホール2cよりノイズ信号N1が発生し、このノイズ信号N1が樹脂材料であるために誘電率の大きい回路基板2を通して、回路基板2の上面に形成されている信号入力配線2aeに干渉してECMとしてのノイズ特性を悪化させる原因となることである。
また、第2のノイズ問題としては、上記構成を有する従来のECM50においてはスルーホール2cの設置位置が集積回路11の実装領域(図14に点線で示す)の外側に設けられている。このために図13に示す如くデータ出力パッド20a、クロック信号パッド20c等のデジタル信号が印加されるパッド電極に接続されたスルーホール2cや、電源のVDDパッド20dに接続されたスルーホール2cよりノイズ信号N2が発生し、マイクロホンのコンデンサを形成している背面電極4や信号入力配線2aeに干渉してECMとしてのノイズ特性を悪化させる原因となる。
この第2のノイズ問題によるノイズ特性の悪化を低減させる方法としてシールドを行う方法が提案されている。(例えば特許文献2)
図15はシールドを設けた従来のECMにおける集積回路実装部Hの拡大断面図であり、図13と基本構成を同じにして記載してある。図15において図13と異なるところは集積回路11の実装部分をシールド性の樹脂30で被覆したことである。
上記樹脂30は封止樹脂の内部に導電粒子を混入して、シールド性を持たせたり、また封止樹脂の外表面に導電被膜を形成してシールド性を持たせたものである。そしてデータ出力パッド20a、クロック信号パッド20c等のデジタル信号が印加されるパッド電極に接続されたスルーホール2cや、電源のVDDパッド20dに接続されたスルーホール2cより発生するノイズ信号N2をこのシールド性の樹脂30で遮蔽してECMとしてのノイズ特性の悪化を低減させている。
さらに第1のノイズ問題によるノイズ特性の悪化を低減させる方法としては、回路基板2の上面に形成される信号入力配線2aeの長さを出来るだけ短くすることが考えられる。この信号入力配線2aeの長さを短くした構成として、信号入力パッド20eと背面電極4との電気的接続を、信号入力配線2ae、第1スペーサ8の内周面に設けられた接続電極8a及び背面電極基板3aに設けられたスルーホール3cを介して行わず、回路基板2の上面で信号入力配線2aeの1部に接続パターンを形成し、この接続パターンと背面電極4の間を金属製バネ部材によって電気的に接続する構成が提案されている。(例えば特許文献3)
特開2007−129543号公報 特開平11−266499号公報 特開2006−115008号公報
音響装置であるECMには、音響装置の各メーカーによってノイズに対する規格条件が設定されており、例えばfoHzの方形波及び広帯域ノイズ(ホワイトノイズ)を、共に所定レベルのノイズ信号Vppとして電源のVDD端子に印加した状態において、データ出力パッド20aで検出されるノイズ信号レベルを所定の基準値以下にする必要がある、
まず第1のノイズ問題について考えると、特許文献1のように信号入力パッド20eと背面電極4との電気的接続を、信号入力配線2ae、第1スペーサ8の内周面に設けられた接続電極8a及び背面電極基板3aに設けられたスルーホール3cを介して行う構成においては、回路基板2上の信号入力配線2aeの長さが長すぎてノイズ信号レベルを所定の基準値以下にすることは困難である。
これに対して、特許文献3の構成は信号入力配線2aeの長さを短く出来るため、特許文献1の構成に比べて第1のノイズ問題によるノイズ特性の悪化を低減させる効果がある。
しかし、本発明者がこの回路基板2の上面に形成される信号入力配線2aeの長さとデータ出力パッド20aで検出されるノイズ信号レベルの関係を調査した結果を以下に説明する。図16は図14に示す回路基板2の部分平面図及び断面図であり、回路基板2における信号入力配線2aeの長さを変化させてデータ出力パッド20aで検出されるノイズ信号レベルの変化を調べるためのものである。図16(A)は回路基板2における信号入力パッド20e及び信号入力配線2aeの配設部分を示す部分平面図、図16(B)、図16(C)は図16(A)のA−A断面図であり、回路基板2の表面に形成された信号入力配線2aeを部分的に剥離した状態を示している。
図16(B)は回路基板2上に形成された信号入力配線2aeを、信号入力パッド20eから回路基板2の端部(図12に示す第1スペーサ8の内周面に設けられた接続電極8aと接続する部分)までの中間位置で剥離した50%剥離状態を示し、図16(C)は回路基板2上に形成された信号入力配線2aeを、信号入力パッド20eのすぐそばから剥離した90%剥離状態を示している。すなわち信号入力配線2aeが回路基板2に密着している長さを変化させることによって、図14に示すノイズ信号N1が樹脂材料であるために誘電率の大きい回路基板2を通して、信号入力配線2aeに干渉する状態を調べることを目的としている。
図17は各剥離条件に対するノイズ値を表したノイズ特性表(表1)であり、3個のサンプル、NO1,NO2,NO3について、図16(B)に一点鎖線で示す信号入力配線2aeを剥離していない状態(剥離無し)、図16(B)に示す信号入力配線2aeを中間位置まで剥離した状態(50%剥離)、図16(C)に示す信号入力配線2aeを信号入力パッド20eのすぐそばまで剥離した状態(90%剥離)の各条件下において、データ出力パッド20aにおけるノイズの測定を行った結果を示している。
図17の表1に示す如く3個のサンプルにおいて、剥離無しでは−80.8〜−80.9[dBFS]のノイズ値が50%剥離では−87.8〜−87.9[dBFS]と減少し、更に90%剥離では−88.3〜−88.8[dBFS]と減少している。この結果より、回路基板2に密着する信号入力配線2aeの長さを短くすることが、ノイズ信号N1の低減に効果があることがわかる。
上記表1に示す如く、回路基板2の上面において信号入力配線2aeの長さを出来るだけ短くする必要があり、引用文献3のように回路基板2の上面において、信号入力配線2aeに接続された接続パターンを回路基板2の中央に設け、インピーダンス変換用の集積回路とコンデンサ等のエレメントをその周辺に配置する構成では、信号入力配線2aeの長さが十分に短くならず、ノイズ特性の悪化を低減させる効果が不十分で有ることがわかった。
また、第2のノイズ問題について考えると、特許文献1のような、デジタル信号が印加されるデジタルパッド電極や、電源のVDDパッド電極に接続されたスルーホールを集積回路の実装領域の外側に形成する構成においてはノイズ特性の悪化が問題となり、特許文献2に示すような対策が必要であった。しかし特許文献2に示す対策を行うことは、樹脂充填に伴う部材の追加及び工数の増加によるコストアップが問題となり、さらにこれらの部材を設けることにより、ECMとしての小型、薄型化の妨げになるという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の目的は回路基板の信号入力配線に接続された接続パターンと背面電極の間を導電バネ部材によって電気的に接続する構成において、回路基板上の配線パターンと導電バネ部材の形状を改良することによって、第1のノイズ問題に対するノイズ特性の悪化を十分に低減させ得るECMを提供することである。
さらに本発明の第2の目的は、集積回路を実装する回路基板におけるスルーホールの配設位置を工夫することによって、第2のノイズ問題に対するノイズ特性の悪化を十分に低減させ得るECMを提供することである。
上記課題を解決するための本発明におけるECMの構成は、集積回路を実装した回路基板と、エレクトレット層を形成した背面電極と振動膜とを対向配置させてコンデンサマイクロホンを形成し、前記回路基板上の集積回路の入力電極と前記コンデンサマイクロホンを形成する背面電極とを接続したエレクトレットコンデンサマイクロホンにおいて、前記回路基板に集積回路がフリップチップ実装されるとともに、前記回路基板上に形成された前記集積回路の入力電極への配線パターンが、集積回路の実装領域からわずかに突出する接続電極部として形成され、前記接続電極部と前記背面電極とが導電バネ部材によって空間的に接続されていることを特徴とする。
上記構成によると、回路基板上に形成された前記集積回路の入力電極から引き出される接続電極部までの距離が極めて短くなり、この接続電極部と背面電極とを導電バネ部材によって空間的に接続できるため、第1のノイズ問題に対するノイズ特性の悪化を十分に低減させ得る効果がある。
前記導電バネ部材は矩形リング形状に形成されており、前記回路基板における前記導電バネ部材の矩形リング形状の内部に対応する位置に、前記集積回路が実装されていると良い。
前記導電バネ部材の矩形リング形状の4角に前記背面電極に当接する突起部が形成され、前記矩形リング形状の中心線上に回路基板の接続電極部に当接する突起部が形成されていると良い。
上記構成により、接続電極部を集積回路の実装領域からわずかに突出する位置に形成することができ、この接続電極部と背面電極とを導電バネ部材によって空間的に接続させることができる。
前記集積回路を実装した回路基板にスルーホールを設け、前記集積回路からの出力電極を回路基板の下面側に引き出す構成であって、前記スルーホールを前記集積回路の実装領域内に形成すると良い。
上記構成によれば、ノイズ発生源となる電源端子やデジタル端子の配線であるスルーホールを、フリップチップ実装された集積回路の実装領域内に形成することによって、集積回路が発生ノイズの遮蔽部材として機能し、発生ノイズが背面電極や信号入力配線に干渉することを防止するので第2のノイズ問題に対するノイズ特性の悪化をも十分に低減させ得る効果がある。
前記回路基板に上面側と下面側とをシールドするためのシールド電極層を設けると良い。
上記構成によれば、回路基板の下面側の出力電極側より発生するノイズ信号が回路基板上の配線電極や背面電極に干渉して発生するノイズ問題を完全に防止できる。
上記の如く本発明によれば、回路基板上に形成された接続配線における集積回路の入力電極から引き出される接続電極部までの距離が極めて短くなり、この接続電極部と背面電極とを導電バネ部材によって空間的に接続できるため、第1のノイズ問題に対するノイズ特性の悪化を十分に低減させ得る効果がある。
さらに、ノイズ発生源となる電源端子やデジタル端子の配線であるスルーホールを、フリップチップ実装された集積回路の実装領域内に形成することによって、集積回路が発生するノイズの遮蔽部材として機能し、発生ノイズが背面電極や信号入力配線に干渉することを防止するので第2のノイズ問題に対しても十分に低減させ得る効果がある。
以下図1〜図6により本発明の第1実施形態におけるECM10の構成を説明する。図1はECM10の断面図、図2は図1に示すECM10の集積回路実装部Hの拡大断面図、図3は図2における集積回路実装前の回路基板の平面図、図4は導電バネ部材の平面図、図5は図4に示す導電バネ部材のA−A断面図、図6は図1に示す回路基板と導電バネ部材の平面図である。なお図1、図2、図3に示す本発明の第1実施形態におけるECM10の基本的構成は、図12、図13、図14に示す従来のECM50の構成と同じであり、同一部材には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
以下、図面により本発明の第1実施形態におけるECM10の構成を説明する。図1は本発明の第1実施形態におけるECM10の断面図であり、図12に示す従来のECM50に対応しており基本的構成は同じである。そしてECM10がECM50と異なるところは、図14に示す如く従来のECM50においては信号入力パッド20eが回路基板2の接続配線2aの1つである信号入力配線2aeに接続されることにより、第1スペーサ8の内周面に設けられた接続電極8a及び背面電極基板3aに設けられたスルーホール3cを介して背面電極4に接続されていたのに対し、ECM10では信号入力パッド20eから引き出された信号入力配線2eaが集積回路11(点線で示す)の実装領域からわずかに突出する位置に接続電極部2esとして形成されている。
また図1に示す如く背面電極基板3aにおける背面電極4はスルーホール3cを介して裏面側に接続電極部3eを形成している。そして回路基板2に設けられた接続電極部2esと背面電極基板3aに設けられた接続電極部3eとの間は導電バネ部材1によって空間的に接続されている。
次に従来のECM50と本発明のECM10とのノイズ信号N1に対する干渉について説明する。
ECM10は上記構成によって、データ出力パッド20a、クロック信号パッド20c等のデジタル信号が印加されるパッド電極に接続されたスルーホール2cや、電源のVDDパッド20dに接続されたスルーホール2cよりノイズ信号N1が発生し、このノイズ信号N1が樹脂材料であるために誘電率の大きい回路基板2を通して、回路基板2の上面に形成されている信号入力配線2aeに干渉することは、図14で説明したECM50と同じである。
しかし、ECM50とECM10との違いは信号入力配線2aeの長さの違いである。すなわちECM50では図12に示す如く信号入力配線2aeが回路基板2の上面を横切って接続電極8aに接続され、さらに背面電極基板3aに設けられたスルーホール3cを介して背面電極4に接続されているのに対し、ECM10では信号入力配線2aeが集積回路11の実装領域からわずかに突出する位置に接続電極部2esとして形成され、この接続電極部2esと背面電極基板3aに設けられた接続電極部3eとの間は導電バネ部材1によって空間的に接続されている。
すなわち、信号入力配線2aeが回路基板2の上面を横切って長く延びているECM50に対して、信号入力配線2aeが集積回路11の実装領域からわずかに突出する位置までしか延びていないECM10は、その回路基板2に接している信号入力配線2aeが短くなることによって、ECM50と同様のノイズ信号N1が発生してもその干渉が小さくなり、ECMとしてのノイズ特性の悪化を小さくすることができる。そのノイズ信号N1による干渉が小さ理由は図17の表1で説明した通りである。
次に図4,図5により図1に示す導電バネ部材1の構成に付いて説明する。
図4は導電バネ部材1の平面図、図5は図4のA−A断面図であり、導電バネ部材1は矩形リング形状に形成されており、導電バネ部材1の矩形リング形状の4角に前記背面電極基板3aの接続電極部3eに当接する突起部1bが形成され、前記矩形リング形状の中心線Y(以後単に中心線と記載する)上に回路基板2の接続電極部2esに当接する突起部1aが形成されている。なお突起部1aの対向位置にも突起部1cが設けられているが、本実施形態ではバネとしてのバランスをとるためのダミー突起となっている。
上記導電バネ部材1は中心線上より両端に向かって反り上がった形状を有し、中心線上には回路基板2の接続電極部2esに当接する突起部1aが下向きに形成され、両端には背面電極基板3aの接続電極部3eに当接する突起部1bが上向きに形成されている。
次に回路基板2の上面に形成された電極パターンと導電バネ部材1との位置関係及び接続関係を説明する。図6は図1に示す回路基板2における第1スペーサ8の内周部分の範囲を示しており、その電極パターンは図3に示す通りである。
すなわち、回路基板2の上面側には6個のパッド電極20a〜20fが設けられており、これらのパッド電極の内20a、20c、20d、20fの4個はスルーホール2cに接続されている。また信号入力パッド20eは信号入力配線2aeを介して接続電極部2esに接続されている。
そして回路基板2と重なるように太点線で示す集積回路11と導電バネ部材1が配置されており、回路基板2における前記導電バネ部材1の矩形リング形状の内部に対応する位置に、前記集積回路11が実装されている。また導電バネ部材1の矩形リング形状の4角に背面電極基板3aの接続電極部3eに当接する突起部1bが形成され、また矩形リング形状の中心線上には、回路基板2の接続電極部2esに当接する突起部1aが形成されている。
回路基板2の上面は絶縁膜で被覆されているが、6個のパッド電極20a〜20fに対応する6個の開口2h1(細点線円で示す)と接続電極部2esの部分に対応する1個の開口2h2が設けられており、この開口2h1を通して集積回路11とパッド電極20a〜20fとのボンディングが行われ、また開口2h2を通して接続電極部2esと導電バネ部材1の突起部1aとの圧接が行われる。
図6に示す構成の如く、回路基板2の上面において導電バネ部材1の矩形リング形状の内部に対応する位置に集積回路11が実装され、導電バネ部材1の矩形リング形状の4角に前記背面電極3の接続電極部3eに当接する突起部1bが形成され、また矩形リング形状の中心線上に回路基板2の接続電極部2esに当接する突起部1aが形成されることによって、接続電極部2esを集積回路11の実装領域からわずかに突出する位置に形成することができ、この接続電極部2esと背面電極3の接続電極部3eとを導電バネ部材1によって空間的に接続されている。この結果信号入力配線2aeの長さを極めて短くできることでノイズ信号N1による干渉を小さくすることができる。
次に前記ECM10の動作を説明する。
上記構成を有するECM10の動作は、表面に導電膜を有する振動膜7と、表面にエレクトレット層5が形成された背面電極4とが第2スペーサ9を挟んでコンデンサマイクロホンを形成する。そして音響孔85aより入力される音響入力信号Psの空気振動により前記振動膜7が変位すると、前記コンデンサマイクロホンのコンデンサがこの変位を電気信号に変換し、この電気信号が背面電極4から背面電極基板3aに設けられたスルーホール3c、接続電極部3e、導電バネ部材1、回路基板2の接続電極部2aeを介して集積回路11に入力され、処理された後に回路基板2の下面に設けられた出力電極2bより出力される。
次に図7〜9により本発明の第2実施形態におけるECMの構成を説明する。
図7は第2実施形態におけるECM20の断面図、図8は図7に示すECM20の集積回路実装部Hの拡大断面図、図9は図8における集積回路実装前の回路基板2の平面図であり、図1〜3に示すECM10の断面図、ECM10の集積回路実装部Hの拡大断面図、集積回路実装前の回路基板2の平面図に対応している。従ってECM20の構成において、ECM10の構成における各要素と同一要素には同一番号を付し、重複する説明を省略する。
ECM20は第2のノイズ問題について改良した実施形態であり、ECM10と異なるところは図9に示す如く、データ出力パッド20a、クロック信号パッド20c等のデジタル信号が印加されるパッド電極に接続されたスルーホール2cや、電源のVDDパッド20dに接続されたスルーホール2cが集積回路11の下面の面積内、すなわち実装領域の内側に設けられたことである。
周知の如く集積回路11は、その基板領域はGNDレベルに接地されており、また素子形成領域においてもGNDレベルの領域を有するため、全体としてはシールド機能を有する如く構成されている。この結果図9に示す如くデータ出力パッド20a、クロック信号パッド20c等のデジタル信号が印加されるパッド電極に接続されたスルーホール2cや、電源のVDDパッド20dに接続されたスルーホール2cより発生されるノイズ信号N2は、図8に示す如く集積回路11によってシールドされ、背面電極4や信号入力配線2aeへのノイズ信号N2による干渉が少なくなる。従ってECMとしてのノイズ特性を悪化させる原因を小さくすることができる。
図10は本発明の第3実施形態におけるECMの部分拡大断面図であり、図8に示す集積回路実装部Hの拡大断面図に対応している。図10に示す部分拡大断面図において図8に示す部分拡大断面図と異なるところは、回路基板2を2層基板にしてその中間層にシールド電極2dを設けたことである。このシールド電極2dによって回路基板2の下面側に形成されたノイズ発生電極からのノイズ信号が、回路基板2の上面側に存在する背面電極4や信号入力配線2aeに干渉することを完全に防止できるため、集積回路11によるシールド機能とあわせてより完全なシールド機能をはたすことができる。
図11は本発明におけるECMと従来のECMとのノイズ特性を比較して示す特性図であり、横軸は周波数を示し、縦軸はノイズレベルを示している。この特性図は前述のようにfoHzの方形波及び広帯域ノイズを、共に所定レベルのノイズ信号Vppとして電源電圧VoのVDD端子に重畳印加した状態において、データ出力パッド20aのノイズ信号レベルを測定したものである。
実線で示すN10は本発明におけるECM10のノイズ特性を示し、1点鎖線で示すN20はECM20のノイズ特性を示し、点線で示すN50は従来のECM50のノイズ特性を示している。そして各特性はいずれも印加信号の周波数であるfoHzに最大のピークを有し、1000Hz以上に複数のピークを有する特性となっている。そして最大のピークを有するfoHzにおいて比較すると、従来のECM50はかろうじて所定の基準値である−D0dBVを切っているに対し、本発明における第1のノイズ対策を行ったECM10は−D4dBVとなっており、そのノイズ改善量がΔN1dBVとなっている。すなわち本発明における構成によって、ノイズ規格条件をクリアーしていることが分かる。さらに第1のノイズ対策に加えて第2のノイズ対策を行ったECM20はそのノイズ改善量がΔN2dBVとなっており、余裕を持ってノイズ規格条件をクリアーしていることが分かる。
上記各実施形態においては、コンデンサマイクロホンの構成として、背面電極ユニット3側の背面電極4にエレクトレット層5を設けたバックエレクトレット型のECMについて説明したが、これに限定されるものではなく振動膜ユノット6側の振動膜7にエレクトレット層5を設ける膜エレクトレット型のECMにも適用できることは当然である。
本発明の第1実施形態におけるECMの断面図である。 図1に示すECMの集積回路実装部Hの拡大断面図である。 図2における集積回路実装前の回路基板の平面図である。 図1に示す導電バネ部材の平面図である。 図4に示す導電バネ部材のA−A断面図である。 図1に示す回路基板と導電バネ部材の平面図である。 本発明の第2実施形態におけるECMの断面図である。 図7に示すECMの集積回路実装部Hの拡大断面図である。 図8における集積回路実装前の回路基板の平面図である。 本発明の第3実施形態におけるECMの部分拡大断面図である。 本発明におけるECMと従来のECMとのノイズ特性を比較して示す特性図である。 従来のECMの断面図である。 図12に示す従来のECMの集積回路実装部Hの拡大断面図である。 図13における集積回路実装前の回路基板の平面図である。 シールドを設けた従来のECMにおける集積回路実装部Hの拡大断面図である。 図14に示す回路基板2の部分平面図及び断面図であり、図16(A)は回路基板2における信号入力パッド20e及び信号入力配線2aeの配設部分を示す部分平面図、図16(B)、図16(C)は図16(A)のA−A断面図である。 図16に示す各剥離条件に対するノイズ値を表したノイズ特性表(表1)である。
符号の説明
1 導電バネ部材
1a,1b、1c 突起部
2 回路基板
2a 接続配線
2ae 信号入力配線
2es、3e 接続電極部
2b 出力電極
2c、3c スルーホール
2d シールド電極
2h1,2h2 開口
3 背面電極ユニット
3a 背面電極基板
4 背面電極
5 エレクトレット層
6 振動膜ユニット
6a 振動膜支持枠
7 振動膜
8 第1スペーサ
8a 接続電極
9 第2スペーサ
10、20,50 ECM
11 集積回路
11a バンプ
20a データ出力パッド
20b GNDパッド
20c クロック信号パッド
20d VDDパッド
20e 信号入力パッド
20f RLセルクトパッド
85 シールドケース
85a 音響孔
H 集積回路実装部
Ps 音響入力信号
N1,N2, ノイズ信号

Claims (5)

  1. 集積回路を実装した回路基板と、エレクトレット層を形成した背面電極と振動膜とを対向配置させてコンデンサマイクロホンを形成し、前記回路基板上の集積回路の入力電極と前記コンデンサマイクロホンを形成する背面電極とを接続したエレクトレットコンデンサマイクロホンにおいて、前記回路基板に集積回路がフリップチップ実装されるとともに、前記回路基板上に形成された前記集積回路の信号入力電極への配線パターンが、前記集積回路の実装領域からわずかに突出する接続電極部として形成され、前記接続電極部と前記背面電極とが導電バネ部材によって空間的に接続されていることを特徴とするエレクトレットコンデンサマイクロホン。
  2. 前記導電バネ部材は矩形リング形状に形成されており、前記回路基板における前記導電バネ部材の矩形リング形状の内部に対応する位置に、前記集積回路が実装されている請求項1記載のエレクトレットコンデンサマイクロホン。
  3. 前記導電バネ部材の矩形リング形状の4角に前記背面電極に当接する突起部が形成され、前記矩形リング形状の中心線上に回路基板の接続電極部に当接する突起部が形成されている請求項2記載のエレクトレットコンデンサマイクロホン。
  4. 前記集積回路を実装した回路基板にスルーホールを設け、前記集積回路からの出力電極を回路基板の下面側に引き出す構成であって、前記スルーホールを前記集積回路の実装領域内に形成した請求項1から3のいずれか1項に記載のエレクトレットコンデンサマイクロホン。
  5. 前記回路基板に上面側と下面側とをシールドするためのシールド電極層が設けられている請求項4記載のエレクトレットコンデンサマイクロホン。
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