JP2010143353A - 船舶における軸系アライメントの評価方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロペラ軸を支持する船尾管が水平であり且つ機関の据付状態が船尾管と平行であるとした場合における所定の制約条件を満足し得る機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組を上記各制約条件ごとに求め、次にこれら各制約条件ごとに求められたデータ組としての個別解を全て満足する全体解を二次元平面上にグラフにて表し、次にこのグラフにおける上記全体解を満足する機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組に対して、船体の喫水深さに応じた船体変形を所定の変形間隔でもって与えた場合における上記各制約条件を満足する許容変形量を、上記グラフ上で区分けして表示することにより、軸系アライメントの評価を行う方法である。
【選択図】図16
Description
上記クランク軸を支持する機関軸受の高さである機関軸受高さおよび上記中間軸を支持する中間軸受の高さである中間軸受高さをそれぞれ座標軸とする二次元平面を考え、
クランク軸における少なくとも想定し得る最大撓み量および中間軸における少なくとも想定し得る最大撓み量を所定間隔でもって分割するとともにこれら分割された両撓み値を一組とするデータ組を複数取得し、
これら取得されたデータ組の撓み値をクランク軸における船尾端の機関軸受高さおよび中間軸における中間軸軸受高さとなし、
次にプロペラ軸を支持する船尾管が水平であり且つ機関の据付状態が船尾管と平行であるとした場合において、上記各データ組に対して伝達マトリックス法を用いて得られた状態量に基づき、所定の制約条件を満足し得る機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組を上記各制約条件ごとに求め、
次にこれら各制約条件ごとに求められたデータ組としての個別解を全て満足する全体解を二次元平面上にグラフにて表し、
次にこのグラフにおける上記全体解を満足する機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組に対して、船体の喫水深さに応じた船体変形を所定の変形間隔でもって与えた場合における上記各制約条件を満足する許容変形量を、上記グラフ上で区分けして表示することにより、軸系アライメントの評価を行う方法である。
以下、本発明の実施の形態1に係る船舶における軸系アライメントの評価方法を図面に基づき説明する。
最初に、船体の基本的な構成、並びに機関軸受高さおよび中間軸受高さに基づき、軸系における変位、作用力などの状態量を求めるための伝達マトリックス法について説明する。なお、機関軸受高さとは、機関のクランク軸を支持する機関軸受の高さをいい、また中間軸受高さとは、中間軸を支持する中間軸受の高さをいう。
(1)まず、船体構造を図1に基づき簡単に説明する。
なお、エンジン1は、例えば7個のピストンによりクランク軸2を回転させるものについて説明する。
(2)次に、伝達マトリックス法の概要について説明する。
この伝達マトリックス法では、クランク軸2全体に亘って各部位の変位を演算する際に、梁のような直線部において変位を伝える格間伝達方程式(その係数を格間伝達マトリックスという)が使用されるとともに、梁の連続性を断ち切るような支点部(軸受または軸方向の変化点)において変位、撓み角、力およびモーメントを伝える格点伝達方程式(その係数を格点伝達マトリックスという)が使用される。
a:クランクアーム間の初期長さ
A:断面積
Dd:クランクアーム間距離
Def:クランクデフ(クランクデフレクションの略語)
E:縦弾性係数
F:せん断力
G:せん断係数
I:断面二次モーメント
J:断面二次極モーメント
k:軸受でのばね定数
L:長さ
M:曲げモーメント
T:ねじりモーメント
θ:クランク角
まず、下記の式に示すように、船首側軸受における状態量(変位および作用力)Bを未知数とする方程式を作成する。なお、下記式中、Sは格間伝達マトリックス、Pは格点伝達マトリックス、Rは船首側での境界条件を表す境界マトリックス、R′は船尾側での境界マトリックスで、それぞれ既知である。
なお、上記式中の沿え字nsは、船首側(Fore)と船尾側(Aft)の軸端間の軸が、その間の軸受により区切られる軸の個数を表している。
ここで、dx1,dy1,dz1をクランクスローにおける船首側部分での変位とし、dx2,dy2,dz2をクランクスローにおける船尾側部分での変位とし、またaをクランクスローでの初期長さとすると、互いに隣接するクランクスロー間の距離Ddは下記(11)式にて表される(但し、変位・撓み等のdに対する添え字の1は、後述する図4の(b)位置を示し、同じく、添え字の2は、図4の(h)位置を示す)。
B工程.(b)部の折曲部では、A工程における(5)式の左辺を、(6)式の座標変換式の右辺に代入し、その時の(6)式の左辺を、(8)式の座標変換式の右辺(ジャーナル部)に代入する。
D工程.(d)部では、C工程における(5)式の左辺を、(9)式の座標変換式の右辺に代入する。
F工程.(f)部では、E工程における(5)式の左辺を、(9)式の左辺とする。
H工程.(h)部では、G工程における(5)式の左辺を、(8)式の左辺とし、そのときの(8)式の右辺の[q′Q′1]Tjournalを、(7)式の座標変換式の右辺に代入する。
また、あるクランクスロー12から隣接するクランクスロー12への[(j部)に示す支点を境界とする)伝達は、(10)式の格点伝達方程式が使用され、I工程における(5)式の左辺を、(10)式の右辺に代入することにより行われる。
(a)軸受荷重Fは、下記(16)式で表される。
(c)プロペラ軸の撓み
プロペラ軸の撓みは、船尾管軸受後部位置におけるy軸回りの撓み角φyに相当する。
(d)軸の曲げモーメント
軸の曲げモーメントは、軸部におけるy軸回りのモーメントMyに相当する。
(e)軸の曲げ応力σyは、下記(18)式で表される。
但し、Zは軸の断面係数である。
ところで、本実施の形態1に係る軸系アライメントの評価方法を、具体的に説明すると、クランク軸を支持する機関軸受の高さである機関軸受高さおよび中間軸を支持する中間軸受の高さである中間軸受高さを座標軸とする二次元平面を考え、クランク軸における少なくとも想定し得る最大撓み量および中間軸における少なくとも想定し得る最大撓み量を所定間隔でもって分割するとともにこれら分割された両撓み値を一組とするデータ組を複数取得し、これら取得されたデータ組の撓み値をクランク軸における船尾端の機関軸受高さおよび中間軸における中間軸軸受高さとなし、次にプロペラ軸を支持する船尾管が水平であり且つ機関の据付状態が船尾管と平行であるとした場合において、上記各データ組に対して伝達モーメント法を用いて得られた状態量に基づき、所定の制約条件を満足し得る機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組を上記各制約条件ごとに求め、次にこれら各制約条件ごとに求められたデータ組である個別解を全て満足するデータ組である全体解を二次元平面上にグラフにて表し、次にこのグラフにおける上記全体解を満足する機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組に対して、船体の喫水深さに応じた船体変形を所定の変形間隔でもって与えた場合における上記各制約条件を満足する許容変形量を、上記グラフ上で区分けして表示することにより、軸系アライメントの評価を行うものである。
上記制約条件は、軸受荷重、軸受面圧、プロペラ軸の撓み、軸の曲げ応力、軸の曲げモーメントおよびクランクデフについての許容値である。なお、以下に示す各制約条件での許容値を求める際には、上述した伝達マトリックス法を用いて、状態量、すなわちクランクデフ、軸受荷重、その他の作用力などを求め、これらの値が許容値内であるか否かが判断される。
(1)初期の軸系アライメントを求める手順について説明する。
(a)以下、制約条件について説明する。
軸受荷重については、所定値以下の範囲とされる(例えば、機関ガイドラインまたは船級ガイドラインによる)。
軸受面圧Pについては、ゼロと許容値(設定値)との間の範囲とされる。例えば、0≦P≦10MPaとされ、材質などから決められる。
プロペラ軸の撓みについては、船尾管後部軸受位置における撓みであり、ゼロと許容値(設定値)との間の範囲とされる。例えば、θ≦約3.0×10−4radとされる。
軸の曲げ応力σについては、許容値(設定値)以下の範囲とされる。例えば、σ≦約20N/mm2(2kgf/mm2)とされる。
軸の曲げモーメントMiについては、プロペラ軸端のモーメント以下の範囲とされる。すなわち、Mi≦プロペラ軸端のモーメントとされる。
クランクデフDefについては、所定範囲、つまり下限設定値と上限設定値との間の範囲とされる。すなわち、x≦Def≦yとされる(例えば、機関ガイドラインによる)。
(b)次に、機関が基準線と平行であるとした場合における上記A1〜A6について、それぞれの許容値を満足する機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組を得る。勿論、全てのデータ組に対して行われる。
図6は軸受荷重を満足するデータ組の範囲を示しており、図7は船尾管の撓み角を満足するデータ組の範囲を示しており、図8は軸の曲げ応力を満足するデータ組の範囲を示しており、図9は軸の曲げモーメントを満足するデータ組の範囲を示しており、図10はクランクデフを満足するデータ組の範囲を示している。なお、軸受面圧については、軸受荷重を満足しているため軸受面圧も満足することになり、したがってそのグラフは省略している。
上記完全解Cを式で表すと下記(19)式のようになる。
但し、Bi(i=1〜6)は、各制約条件(A1〜A6)での解を示す。
また、完全解Cは据付の有効な領域を示し、その領域はマトリックス(m×n)で表される。この完全解Cを、両軸受高さのデータ組を示す図5上に表すと、図12のようになる。なお、図12中、黒で塗り潰されている箇所が有効な範囲、つまり完全解の部分を示している(以下に示す、図13、図14についても同様である)。
以下、許容変形量を求める具体的な手順について説明する。
この場合、図12に示すグラフ上での有効範囲(塗り潰し部で有効領域でもある)の複数の境界値、例えば4隅の点U1〜U4およびそれぞれの点を結ぶ線上の中間点V1〜V4を含む8点に対して(つまり、代表点に)、所定間隔置きでもって傾斜角θeを与え、そして各制約条件を満足しているか否かを判断する。
まず、機関の傾斜角θeの範囲を以下のように設定する。
したがって、Δθe=θe(i)=i×Δθe
(但し、i=1,・・・,n(=5)である)
そして、機関の傾斜に対する機関における各軸受高さは、下記(20)式で表される。
Hea:機関の船尾端に位置する軸受高さ
xe(j):機関の船首端に位置する軸受からj番目の主軸受までの距離
そして、上記各代表点に対して、機関を傾斜させた際の機関における端部軸受以外の残りの各軸受高さを上記(20)式により求め、代表点である中間軸受高さと、代表点における機関の船尾端軸受高さと、上記(20)式により求められた機関における残りの各軸受高さとを用いて、各制約条件を満足するデータ組としての個別解を求めるとともに、全ての個別解を満足するデータ解としての完全解を求め、この完全解に係る許容変形量としての最大傾斜角θeを得るようにすればよい。
上記説明においては、代表点を8個としたが、その個数を増やすことにより、より正確な許容範囲を示すグラフが得られる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る軸系アライメントの評価方法を図面に基づき説明する。
以下、船体撓み曲線に基づき、船体変形を付与する場合について説明する。
上記(23)式から得られる船体の撓みの許容値は、図18に示すグラフのようになる。
2 クランク軸
3 中間軸
4 プロペラ軸
5 軸受
Claims (4)
- 機関のクランク軸および当該クランク軸とプロペラ軸との間に配置される中間軸からなる軸系のアライメントの評価方法であって、
上記クランク軸を支持する機関軸受の高さである機関軸受高さおよび上記中間軸を支持する中間軸受の高さである中間軸受高さをそれぞれ座標軸とする二次元平面を考え、
クランク軸における少なくとも想定し得る最大撓み量および中間軸における少なくとも想定し得る最大撓み量を所定間隔でもって分割するとともにこれら分割された両撓み値を一組とするデータ組を複数取得し、
これら取得されたデータ組の撓み値をクランク軸における船尾端の機関軸受高さおよび中間軸における中間軸軸受高さとなし、
次にプロペラ軸を支持する船尾管が水平であり且つ機関の据付状態が船尾管と平行であるとした場合において、上記各データ組に対して伝達モーメント法を用いて得られた状態量に基づき、所定の制約条件を満足し得る機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組を上記各制約条件ごとに求め、
次にこれら各制約条件ごとに求められたデータ組としての個別解を全て満足する全体解を二次元平面上にグラフにて表し、
次にこのグラフにおける上記全体解を満足する機関軸受高さおよび中間軸受高さのデータ組に対して、船体の喫水深さに応じた船体変形を所定の変形間隔でもって与えた場合における上記各制約条件を満足する許容変形量を、上記グラフ上で区分けして表示することにより、軸系アライメントの評価を行うことを特徴とする船舶における軸系アライメントの評価方法。 - 船体変形を、機関を所定角度で傾斜させることにより与えることを特徴とする請求項1に記載の船舶における軸系アライメントの評価方法。
- 船体変形を、理論計算によりまたは既存の船体により得られた船体撓み曲線に基づき与えることを特徴とする請求項1に記載の船舶における軸系アライメントの評価方法。
- 制約条件が、軸受荷重、軸受面圧、プロペラ軸の撓み、軸の曲げ応力、軸の曲げモーメントおよびクランクデフのそれぞれにおける許容値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の船舶における軸系アライメントの評価方法。
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