JP2010140672A - 接合部構造 - Google Patents

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Akizo Tsuruta
明三 鶴田
Tadashi Ito
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Hisashi Otsuka
久 大塚
Takenori Baba
丈典 馬場
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Abstract

【課題】好適な機械的信頼性を有する、被覆つき銅製ワイヤと銅製端子を熱かしめ接合した接合部構造を提供する。
【解決手段】本発明の接合部構造は、加熱により溶融する被覆を施された棒状の銅製ワイヤ1と、錫めっきが施され、銅製ワイヤ1の周囲に巻かれるようにして熱かしめされる板状の銅製端子2とを備え、銅製ワイヤ1および銅製端子2の接合部の界面の錫組成比が、この界面に対して垂直方向の距離で積分した積分値で、0.25〜4.95原子パーセント・マイクロメートルである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、良好な機械的品質が要求される接合部構造に関するものであり、特に樹脂絶縁体により被覆された銅製ワイヤと、この銅製ワイヤの周囲を囲むように配置された帯状の銅製端子とを熱かしめ接合した接合部の構造に関するものである。
モータやスピーカなどの結線工程や端子接合工程において、樹脂絶縁体により被覆された銅製ワイヤと、この銅製ワイヤの周囲を囲むように配置された帯状の銅製端子とを熱かしめして接合する接合部構造が使用されている。この熱かしめ接合には、ヒュージングといわれる工法が用いられる。被覆つき銅製ワイヤは、その表面が絶縁被覆されているために通常の抵抗溶接では溶接できない。そのため、銅製ワイヤの周囲に銅製端子を巻くようにかしめた上で、銅製端子を一対の電極で挟み込み、電極間に第1の電流、第2の電流を流して、加熱しながら加圧する。これにより、銅製ワイヤの被覆が溶けて芯線が剥き出しになり、銅製ワイヤと銅製端子とが直接接合される。このようなヒュージング工法においては、被覆除去作業が不要であり、ネジや接着剤などを使わないので、低コスト、高生産効率の接合方法として使用されている。
従来、ヒュージング接合部の信頼性を確保するために、構造上、製造プロセス上の研究がなされてきた。たとえば、複数のワイヤをより線とし、複数のフックで接続する構成が特許文献1に提案されている。また端子の形状を切り欠き形状とし、端子やワイヤのつぶれ量が安定するような構造が、特許文献2に提案されている。
特開平5−38583号公報 特開2000−348785号公報
しかしながら、従来このような構造上の工夫は見られるものの、熱かしめ後の接合界面としてどのような状態が機械的、電気的に望ましく、信頼性が高いかに関する規定がなかった。先行技術の構造をもちいて接合を行ったとしても、接合界面の状態をコントロールしなければ、かならずしも信頼性が高い接合状態を得ることができない。
本発明は前記の課題を鑑みてなされたものであり、好適な機械的信頼性を有する、被覆つき銅製ワイヤと銅製端子を熱かしめ接合した接合部構造を提供することを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の接合部構造は、加熱により溶融する被覆を施された棒状の第1の接合部材と、錫めっきが施され、第1の接合部材の周囲に巻かれるようにして熱かしめされる板状の第2の接合部材とを備え、第1の接合部材および第2の接合部材の接合部の界面の錫組成比が、この界面に対して垂直方向の距離で積分した積分値で、0.25〜4.95原子パーセント・マイクロメートルであることを特徴とする。
この発明に係る接合部構造によれば、機械的、電気的に好適で、信頼性が高い接合部構造とすることができる。
以下、本発明にかかる接合部構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施の形態]
図1は、本発明にかかる接合部構造の実施の形態を示す銅製ワイヤに巻かれてかしめられる銅製端子の様子を示す斜視図である。本実施の形態の接合部構造100は、加熱により溶融する被覆1bが施された長尺棒状の銅製ワイヤ(第1の接合部材)1と、錫めっきが施され銅製ワイヤ1に熱かしめされる長尺細長板状の銅製端子(第2の接合部材)2とを有している。銅製端子2は、端部をU字状に折り曲げられて銅製ワイヤ1の周囲を囲むようにして巻かれて銅製ワイヤ1にかしめられる。このような構造によって接合される銅製ワイヤ1と銅製端子2とから成る接合部構造100は、モータやスピーカなどの結線部や端子接合部に用いられる。
図2は、銅製端子2が銅製ワイヤ1の周囲に巻かれてかしめられる手順を示す図1の矢印A方向から見た模式図である。図3は、接合部構造100が加圧されるとともに電圧が印加され第1の電流が流れる様子を示す模式図である。図4は、接合部構造100にさらに加圧されて銅製端子2が銅製ワイヤ1にかしめられるとともに電圧が印加され第2の電流が流れる様子を示す模式図である。銅製ワイヤ1は、銅製のワイヤ芯線1aが、ポリイミド或いはポリウレタンなどの樹脂絶縁体により被覆されて構成されている。一方、銅製端子2は、帯状の芯材に錫めっきが施されて構成されている。このような構成の接合部構造100においては、銅製ワイヤ1は、その表面が被覆1bにより絶縁されているために通常の抵抗溶接では溶接することができない。そのため、背景技術にて述べたように銅製ワイヤ1と銅製端子2とを熱かしめするヒュージングといわれる工法が使用される。この工法においては、図2に示すように、銅製ワイヤ1に銅製端子2をかしめた後、加熱しながら加圧する。
上記工法は2工程に分かれる。まず、最初の工程については、図3に示すように、銅製ワイヤ1に銅製端子2をかしめた接合部構造100を、2つの電極30,30で挟み込み、両電極30,30間に電源20からの電圧を印加する。このとき、まず、図3中矢印Bで示すように所望の電流(第1の電流)が流れる。すると、この第1の電流によるジュール熱で銅製ワイヤ1の被覆1bが溶融する。これにより、被覆1bが除去されて、ワイヤ芯線1aが剥き出しになり、ワイヤ芯線1aと銅製端子2とが直接接触する。
次の工程については、図4に示すように、銅製ワイヤ1の被覆1bが除去された接合部構造100に対して、2つの電極30,30で両側部からさらに押圧する。この加圧により、銅製ワイヤ1及び銅製端子2がつぶれ、銅製ワイヤ1と銅製端子2とが密着する。このとき、銅製ワイヤ1と銅製端子2との間に図4中矢印Cで示すように所望の電流(第2の電流)が流れる。すると、この第2の電流によるジュール熱で銅製ワイヤ1と銅製端子2との接合界面の拡散が促進する。
そして、本実施の形態の接合部構造100は、熱かしめ接合後の銅製ワイヤ1と銅製端子2の界面の錫組成比が、界面の垂直方向の距離で積分した積分値で、0.25〜4.95原子パーセント・マイクロメートルである。この特徴により、本実施の形態の接合部構造100は、好適な機械的信頼性を有する。
たとえば、モータのリード線や、コイル巻線に用いる銅製ワイヤ1の場合、直径は0.2〜2.0ミリメートル程度であり、銅製端子2の板厚は0.4〜3.0ミリメートル程度である。また、主に銅製端子2の防錆を目的にめっきされた錫の膜厚は1〜5マイクロメートル程度である。
銅製ワイヤ1及び銅製端子2の寸法や、被覆材料の融点、熱伝導係数などの違いによって、上記のような所望の界面状態(界面組成)を得るためには、接合時の通電加熱量を電流値や通電時間で調整する必要がある。これらのパラメータ値はそれぞれのプロセスで最適化される必要がある。しかしながら、重要な点は、接合後に接合界面の組成がどのように仕上がっているかであり、上記所望の錫組成比が得られておれば、部材の寸法や被覆材料の種類、及び通電加熱のための接合条件は特に実施の形態に限定されるものではない。
以下に具体的な実施例に基づき比較例も交えてその構成及び効果に関して説明する。
図5は、実施例1の接合部構造の接合部断面の電子顕微鏡写真の図である。図5において、銅製ワイヤ1は接合前には樹脂絶縁体の被覆が施されていたが、接合後は被覆が溶融、気化され、銅製端子2と銅製ワイヤ1の接合界面Dは金属同士が直接接合していることが分かる。
図5における接合界面Dの組成を以下のようにして計測した。サンプル101の断面を包埋研磨、及び導電処理(金スパッタ)し、サブミクロンオーダの微小領域を計測できるオージェ電子分光分析法(AES:AugerElectronSpectroscopy)で主成分の銅および錫の組成線分析を行った。なお、この組成線分析は、図5に破線で四角く囲う領域(界面の長手方向中央部位置)Eを計測箇所とし、矢印Fで示す計測方向(界面を垂直に横切る方向)により行った。計測箇所は、銅製ワイヤ1の長径中心から決定した。
図6は、実施例1の接合界面の錫の組成を示す図である。図6において、縦軸は錫の組成比(単位:原子パーセント)を示し、横軸は界面を横切る方向の距離(単位:μm)を示す。本実施例においては、図6に示される、界面の中央部位置の錫の組成比(組成分布)Gに着目した。AES計測装置はULVAC-PHI製SMART-200を用い、AESの計測条件は一次入射電子15kV−10nA、エッチングレート約6nm/分で実施した。
図6に示す錫の組成分布Gを、界面を横切る方向の距離で積分した量(積分値)Hを求め、これを積分組成値と定義し、接合界面における錫の残存量の指標とした。図6の組成の積分値Hは3.53(単位:原子パーセント・μm、以下同じ)であった。
本実施例のサンプル101は、実施の形態の図1及び図2で示す手順により、以下のような材料及び接合プロセスによって作製した。まず、表面に錫めっき(厚さ約3μm)が施された銅を母材とする銅製端子(板厚1mm)2をU字型に曲げ、その内側に、銅をワイヤ芯線1aとするエナメルの被覆つき銅製ワイヤ(直径φ1.2mm)1を配置した。そして、この銅製ワイヤ1の外面より、成形用のジグ(図示せず)で機械的にかしめて予備成形した。
次に、実施の形態の図3及び図4に示したように銅製端子2の外面部両側から、通電用電極30(タングステン製)を約350Nの力で押し当てるとともに、図7のプロファイルで第1の電流I1及び第2の電流I2を通電し、銅製ワイヤ1のつぶれ量が初期の直径の約60%(1.2mm×0.6=0.72mm)になるように電極を位置制御しながら加圧した。通電終了後、通電用電極30による加圧を保持したまま、通電用電極30を水冷しながら十分低い温度(Cu-Snの共晶温度227℃以下)まで冷却した。通電終了後からの冷却時間は500msであった。
サンプル101の引張試験は、以下のように行った。銅製ワイヤ1と銅製端子2で成るサンプル101を図9のように配置し、サンプル下端部をワイヤ下部把持用チャック202に固定し、上端部を固定治具204に係合させ、固定治具204を上方に移動するように付勢して、サンプル101に引張荷重を与えた。引張試験装置は島津製作所製オートグラフDCS-25Tを用い、引張速度は20mm/分で実施した。以上の方法により、サンプル101の接合部構造が破断するまで荷重を与え、図10に示すような振動劣化前の荷重-変位特性(初期の応力−変位特性)41を得た。ここで、荷重の最大値を引張強度40と定義した。
次に、振動劣化前の引張試験を実施したサンプル101と同等のサンプルに後述の方法で振動負荷を与え、その後、引張試験を行って、荷重-変位特性(振動劣化後の応力−変位特性)42を得た。本実施例のサンプルでは、振動劣化前後で荷重-変位特性に大きな変化はなく、また当然のことながら、振動負荷を与えている最中での接合界面D(図8)や端子根元部J(図8)の銅製ワイヤ1の破断もなかった。このようなことから、製品が市場に出て振動、衝撃の外乱を受けた場合においても、出荷時と同等の良好な接合品質が得られていることが予想される。
錫めっき厚さのばらつき(1〜5μm)を加味してn=24の繰り返しを実施した場合でも、錫組成積分値の範囲は2.64ないし4.95であった。これらのいずれのサンプルも前記代表サンプルと同様の機械的品質が得られた。
[比較例1]
以下、比較例との対照により実施例1の効果を説明する。一般的に、導体の銅製ワイヤ1と銅製端子2とを接合する場合には、初期強度を得るために、界面が錫と銅、あるいは銅と銅の金属結合となるような状態が好ましい。たとえば、特許文献3(特開平11−176552)では、銅製端子2のめっき材の錫と銅製ワイヤ1の銅が通電下での加熱拡散より金属的に結合しており、強度の低下を防ぐ構造としている。
しかしこのような過剰に通電加熱を行い、銅製ワイヤ1を過剰につぶしてしまうような接合部構造は、市場で振動、衝撃の外乱をうけたときに、特に端子根元部J(図8)で破断しやすくなってしまい、信頼性が著しく低下することがわかった。
本比較例1の接合部構造をもつ製品が市場に出て、外部から振動・衝撃を受ける状態を模擬するために、図11のように、サンプル101の銅製端子2にばね定数k、質量mのイナーシャを取り付け、サンプル101の下端を加振器206に固定し、外部から矢印Lのように加振して、振動負荷を与える。加振条件は、加振加速度8G、加振時間5分、加振周波数はサンプル101とイナーシャからなる系の固有値と一致させた。
図12は、比較例1の接合部構造の接合部断面の電子顕微鏡写真の図である。図13は、比較例1の接合界面の錫の組成を示す図である。図12に示すような接合部構造108においては、接合界面の強固な金属接合を得るために、銅製ワイヤ1は初期の直径の50%以下にまで押しつぶされており、端子根元部J(図8)のワイヤ径もそれにともなって細くなっている。図13に示されるように、本比較例1の構造を示す組成では、錫が接合部から機械的に押し出されたり、拡散したりして、まったく検出されない(錫組成積分値0.00)。このような接合部構造108においては、上記実施例1と同様な振動負荷を与えている最中に端子根元部J(図8)で銅製ワイヤ1が破断した。破断は完全な不良品であるのでサンプルの引張試験は省略した。
錫めっき厚さのばらつき(1〜5μm)を加味してn=24の繰り返しを実施した場合でも、錫組成積分値の範囲は0.00ないし0.10であった。これらのいずれのサンプルも前記代表サンプルと同様、振動負荷を与えている最中に端子根元部J(図8)で破断した。このように、好適な接合状態とは、初期の強度が大きいだけでなく、振動・衝撃の外乱による影響を加味したものでなければならない。また逆に、通電加熱が不十分であり、また熱かしめが不十分で接合強度が十分に得られていない場合は、市場で振動、衝撃の外乱をうけたときに、特に接合界面D(図8)で破断しやすくなってしまい、信頼性が著しく低下することがわかった。
[比較例2]
図14は、比較例2の接合部構造の接合部断面の電子顕微鏡写真の図である。図15は、比較例2の接合界面の錫の組成を示す図である。図14に示すような接合部構造109においては、通電加熱量が不足しており、銅製ワイヤ1は初期の直径の70%程度しかつぶれていない。図15に示されるように、本比較例2の構造を示す組成では、錫組成積分値が、比較的多く検出されている(錫組成積分値9.25)。このような接合部構造109においては、上記実施例1と同様の振動負荷を与えている最中に接合界面D(図8)で破断した。破断は完全な不良品であるのでサンプルの引張試験は省略した。
錫めっき厚さのばらつき(1〜5μm)を加味してn=24の繰り返しを実施した場合でも、錫組成積分値の範囲は6.48ないし11.1であった。これらのいずれのサンプルも前記代表サンプルと同様、振動負荷を与えている最中に接合界面D(図8)で破断した。
なお、上記特許文献3では、信頼性の評価として熱サイクル試験を実施しているが、端子とワイヤの母材(いずれも銅)が同一の場合には、接合界面には線膨張係数の差異による機械的な負荷はかからないため、接合部そのものの機械強度の評価として適していない。
さらに、上記特許文献3では、信頼性の指標として接合部の電気抵抗を測定しているが、電気的導通は、界面がただ接触している場合でも得られるため、判別の感度、精度が低く信頼性の指標としては不適切である。ワイヤの被覆が完全に溶けており、金属同士が機械的強度をもって接合されていれば、十分低い電気抵抗で電気的導通は得られているので、電気抵抗に変わる指標として、機械的強度での評価を実施した。すなわち、比較例1,2のように完全な破断をともなわないサンプルについては、振動劣化前と振動劣化後のサンプルについて引張試験を行うことにより、振動劣化前後の強度低下の有無をみることで優劣を評価したのである。
接合時の通電加熱量と錫の量の関係、通電加熱量と接合部の機械的な品質の関係は以下のように考えることができる。接合部の通電加熱による入熱量が不足した状態では、接合界面に絶縁被覆が残るため接合面積が十分でなかったり、接合界面での金属同士の相互拡散が不十分であったりして、接合界面の接合強度が十分に得られない。
通電過熱による入熱量の増加によって、1)十分に絶縁被覆が除去され、2)接合界面の錫の物理的な除去や拡散が促進され、界面中心位置の錫含有量が減少するとともに、3)ワイヤのつぶれが促進されることで導通接触面積が増大、接合界面の銅の相互拡散が促進する。これらは入熱量の増加にともない、接合界面での機械強度を向上させる要因となる。
しかし、通電過熱による入熱量が上限を超えると、1)界面中心位置の錫はほぼ完全に除去され、2)同時にワイヤのつぶれが過剰となり端子根元部が細くなったり、3)ワイヤの溶融・再結晶成長促進による粒径増大や加工硬化が促進したりする。これらは端子根元部の疲労強度を低下させる要因となる。言い換えれば、接合界面中心の錫含有量と、接合部の機械的な品質は、通電加熱による入熱量という共通原因によって相関づけることができる。
以上のように、初期に端子にめっきされていた錫が、接合後にどの程度残っているかによって、接合部への通電加熱量の程度を知ることができ、ひいては接合部の機械的な品質を錫の残存量で規定することができることがわかった。
図16は、実施例2の接合界面の錫の組成を示す図である。図16に示す組成の組成積分値は1.80であった。本実施例は、以下の接合プロセスによって実現された。本実施例の接合部構造は、実施例1と同様の構成を成すものにおいて、通電用電極の加圧力を約460Nとし、図17のプロファイルで通電し、銅製ワイヤのつぶれ量が初期の直径の約60%(0.72mm)になるように電極を位置制御しながら加圧した。通電終了後、電極の加圧を保持したまま、電極を水冷しながら銅製端子が十分低い温度となるまで冷却した。その他の構成は実施例1と同様である。
本実施例における、振動劣化前後のサンプルの荷重-変位特性は図18のとおりであり、振動劣化前後の引張強度に大きな変化はなかった。振動劣化中の破断もなかった。錫めっき厚さにばらつき(1〜5μm)が存在する場合において、上記と同じ条件で24サンプル(n=24個の範囲)を分析した。その結果、錫組成積分値の範囲は1.25〜2.35であった。そしていずれのサンプルにおいても、前記代表サンプルと同様の機械的品質を得ることができた。
図19は、実施例3の接合界面の錫の組成を示す図である。図19に示す組成の組成積分値は1.72であった。本実施例は、以下の接合プロセスによって実現された。本実施例の接合部構造は、実施例1と同様の構成を成すものにおいて、通電用電極の加圧力を約350Nとし、図20のプロファイルで通電し、銅製ワイヤのつぶれ量が初期の直径の約60%になるように電極を位置制御しながら加圧した。通電終了後、電極の加圧を保持したまま、電極を水冷しながら銅製端子が十分低い温度となるまで冷却した。その他の構成は実施例1と同様である。
本実施例における、振動劣化前後のサンプルの荷重-変位特性は図21のとおりであり、振動劣化前後の引張強度に大きな変化はなかった。振動劣化中の破断もなかった。錫めっき厚さにばらつき(1〜5μm)が存在する場合において、上記と同じ条件で24サンプル(n=24個の範囲)を分析した。その結果、錫組成積分値の範囲は1.54〜2.32であった。そしていずれのサンプルにおいても、前記代表サンプルと同様の機械的品質を得ることができた。
図22は、実施例4の接合界面の錫の組成を示す図である。図22に示す組成の組成積分値は0.48であった。本実施例は、以下の接合プロセスによって実現された。本実施例の接合部構造は、実施例1と同様の構成を成すものにおいて、銅製ワイヤの直径をφ1.5mmとしたものである。通電用電極の加圧力を約350Nとし、図23のプロファイルで通電し、銅製ワイヤのつぶれ量が初期の直径の約55%になるように電極を位置制御しながら加圧した。通電終了後、電極の加圧を保持したまま、電極を水冷しながら銅製端子が十分低い温度となるまで冷却した。その他の構成は実施例1と同様である。
本実施例における、振動劣化前後のサンプルの荷重-変位特性は図24のとおりであり、振動劣化前後の引張強度に大きな変化はなかった。振動劣化中の破断もなかった。錫めっき厚さにばらつき(1〜5μm)が存在する場合において、上記と同じ条件で24サンプル(n=24個の範囲)を分析した。その結果、錫組成積分値の範囲は0.25〜0.62であった。そしていずれのサンプルにおいても、前記代表サンプルと同様の機械的品質を得ることができた。
図25は、実施例5の接合界面の錫の組成を示す図である。図25に示す組成の組成積分値は0.57であった。本実施例は、以下の接合プロセスによって実現された。本実施例の接合部構造は、実施例1と同様の構成を成すものにおいて、銅製ワイヤの直径をφ1.0mmとしたものである。通電用電極の加圧力を約350Nとし、図26のプロファイルで通電し、銅製ワイヤのつぶれ量が初期の直径の約65%になるように電極を位置制御しながら加圧した。通電終了後、電極の加圧を保持したまま、電極を水冷しながら銅製端子が十分低い温度となるまで冷却した。その他の構成は実施例1と同様である。
本実施例における、振動劣化前後のサンプルの荷重-変位特性は図27のとおりであり、振動劣化前後の引張強度に大きな変化はなかった。振動劣化中の破断もなかった。錫めっき厚さにばらつき(1〜5μm)が存在する場合において、上記と同じ条件で24サンプル(n=24個の範囲)を分析した。その結果、錫組成積分値の範囲は0.45〜0.86であった。そしていずれのサンプルにおいても、前記代表サンプルと同様の機械的品質を得ることができた。
表1は、上記実施例1〜5および、比較例1、2における接合部の組成分布から積分組成値をまとめて比較したものである。表1によれば、好適な接合状態を有する錫の積分組成値の範囲は、下限(実施例4の下限0.25)と上限(実施例1の上限4.95)を有するものであることが分かった。そして、錫の積分組成値が下限を下回った場合は、振動劣化中の端子根元部ワイヤの破断を生じやすくなり、錫の積分組成値が上限を超えた場合は、振動劣化中の接合界面の破断が生じやすくなることがわかった。
本発明の接合部構造は、良好な機械的品質が要求される接合部構造に適用されて好適なものであり、特に被覆つき銅製ワイヤと銅製端子とを熱かしめ接合した接合部構造に適用されて最適なものである。
本発明にかかる接合部構造の実施の形態を示す銅製ワイヤに巻かれてかしめられる銅製端子の様子を示す斜視図である。 銅製端子が銅製ワイヤの周囲に巻かれてかしめられる手順を示す図1の矢印A方向から見た模式図である。 接合部構造が加圧されるとともに電圧が印加され第1の電流が流れる様子を示す模式図である。 接合部構造にさらに加圧されて銅製端子が銅製ワイヤにかしめられるとともに電圧が印加され第2の電流が流れる様子を示す模式図である。 実施例1の接合部構造の接合部断面の電子顕微鏡写真の図である。 実施例1の接合界面の錫の組成を示す図である。 実施例1における通電プロファイルを示す図である。 接合部構造の接合界面と端子根元部の位置を示す図である。 引張試験のセットアップした状態を示す図である。 実施例1の接合界面の錫の組成を示す図である。 振動劣化装置による振動負荷を与える様子を示す模式図である。 比較例1の接合部構造の接合部断面の電子顕微鏡写真の図である。 比較例1の接合界面の錫の組成を示す図である。 比較例2の接合部構造の接合部断面の電子顕微鏡写真の図である。 比較例2の接合界面の錫の組成を示す図である。 実施例2の接合界面の錫の組成を示す図である。 実施例2における通電プロファイルを示す図である。 実施例2における接合部の応力-変位特性(初期、振動劣化後)を示す図である。 実施例3の接合界面の錫の組成を示す図である。 実施例3における通電プロファイルを示す図である。 実施例3における接合部の応力-変位特性(初期、振動劣化後)を示す図である。 実施例4の接合界面の錫の組成を示す図である。 実施例4における通電プロファイルを示す図である。 実施例4における接合部の応力-変位特性(初期、振動劣化後)を示す図である。 実施例5の接合界面の錫の組成を示す図である。 実施例5における通電プロファイルを示す図である。 実施例5における接合部の応力-変位特性(初期、振動劣化後)を示す図である。
符号の説明
1 銅製ワイヤ(第1の接合部材)
1a ワイヤ芯線
1b 被覆(絶縁体)
2 銅製端子(第2の接合部材)
20 電源
30 通電用電極
40 引張強度
41 初期の応力-変位特性
42 振動劣化後の応力-変位特性
100 接合部構造(実施の形態1)
101 サンプル
108 接合部構造(比較例1)
109 接合部構造(比較例2)
202 ワイヤ下部把持用チャック
204 固定治具
206 加振器
I1 第1の電流
I2 第2の電流

Claims (3)

  1. 加熱により溶融する被覆を施された棒状の第1の接合部材と、
    錫めっきが施され、前記第1の接合部材の周囲に巻かれるようにして熱かしめされる板状の第2の接合部材とを備え、
    前記第1の接合部材および前記第2の接合部材の接合部の界面の錫組成比が、当該界面に対して垂直方向の距離で積分した積分値で、0.25〜4.95原子パーセント・マイクロメートルである
    ことを特徴とした接合部構造。
  2. 前記第1の接合部材は、樹脂絶縁体により被覆された銅製ワイヤであり、
    前記第2の接合部材は、前記銅製ワイヤに周囲を囲むようにかしめられる帯状の銅製端子である
    ことを特徴とした請求項1に記載の接合部構造。
  3. 前記樹脂絶縁体が、ポリイミド及びポリウレタンのいずれかである
    ことを特徴とした請求項2に記載の接合部構造。
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