JP2010139830A - 複合位相差板、複合光学部材及び液晶表示装置 - Google Patents

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誠子 松井
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Abstract

【課題】有機修飾粘土複合体を含む位相差層を有しながら、位相差層と感圧性接着剤層との間の密着力に優れる複合位相差板、並びにこれを用いた複合光学部材及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透明樹脂ベースフィルム2の一方の面に、位相差層3と、透明樹脂層4と、感圧性接着剤層5とをこの順に積層して複合位相差板1とする。位相差層3は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含み、面内の位相差値が10nm以下であり、厚み方向の位相差値が40〜300nmの範囲にあるもので構成する。透明樹脂層4は、分子内に脂環式環と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する脂環式(メタ)アクリレート化合物を硬化性成分として含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて形成する。複合位相差板1に光学機能層(例えば直線偏光板)を積層した複合光学部材及びそれを用いた液晶表示装置も提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶セルに貼り合わせて用いられる複合位相差板、並びに当該複合位相差板を用いた複合光学部材及び液晶表示装置に関するものである。
近年、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶ディスプレイが、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、テレビなど、情報用表示デバイスとして急速に普及してきている。液晶技術の発展に伴い、様々なモードの液晶ディスプレイが提案されて、応答速度やコントラスト、狭視野角といった液晶ディスプレイの問題点が解消されつつある。しかしながら、依然として、ブラウン管(CRT)に比べて視野角が狭いことが指摘され、視野角拡大のための各種の試みがなされている。
このような液晶表示装置の一つに、正又は負の誘電率異方性を有する棒状の液晶分子を基板に対して垂直に配向させた、垂直配向(VA)モードの液晶表示装置がある。この垂直配向モードは、非駆動状態においては、液晶分子が基板に対して垂直に配向しているため、光は偏光の変化を伴わずに液晶層を通過する。このため、液晶パネルの上下に互いに吸収軸が直交するように直線偏光板を配設することで、正面から見た場合にほぼ完全な黒表示を得ることができ、高いコントラスト比を得ることができる。
しかし、このような液晶セルに偏光板のみを備えたVAモードの液晶表示装置では、それを斜めから見た場合に、配設された偏光板の軸角度が90°からずれてしまうこととセル内の棒状の液晶分子が複屈折を発現することに起因して、光漏れが生じ、コントラスト比が著しく低下したり、斜視時の色目が見る角度によって大きく異なったりしてしまう。斜視時のコントラスト比及び色変化を含めて、本明細書では「視野角特性」と呼ぶ。
この視野角特性の不良を解消するためには、液晶セルと直線偏光板の間に光学補償フィルムを配設する必要があり、従来は、二軸性の位相差板を液晶セルと上下の偏光板の間にそれぞれ1枚ずつ配設する仕様や、一軸性の位相差板と完全二軸性の位相差板を、それぞれ1枚ずつ液晶セルの上下に、又は2枚とも液晶セルの片側に配設する仕様が採用されてきた。例えば、特開 2001-109009号公報(特許文献1)には、垂直配向モードの液晶表示装置において、上下の偏光板と液晶セルの間に、それぞれAプレート(すなわち、正の一軸性の位相差板)及びCプレート(すなわち、完全二軸性の位相差板)を配置することが記載されている。
正の一軸性の位相差板とは、Nz係数が概ね1のフィルムであり、また完全二軸性の位相差板とは、面内の位相差値Ro がほぼ0のフィルムである。ここで、フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、フィルムの面内進相軸方向の屈折率をny、フィルムの厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとしたとき、面内の位相差値Ro、厚み方向の位相差値Rth、及びNz係数は、それぞれ下式(1)〜(3)で定義される。
Ro =(nx−ny)×d (1)
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
Nz係数=(nx−nz)/(nx−ny) (3)
一軸性のフィルムでは、nz≒nyとなるため、Nz係数はほぼ1となる。一軸性のフィルムであっても、Nz係数は延伸条件の変動により、0.8〜1.5程度の間で変化することもある。完全二軸性のフィルムでは、nx≒nyとなるため、Ro はほぼ0となる。完全二軸性のフィルムは、厚み方向の屈折率のみが異なる(小さい)ものであることから、負の一軸性を有し、光学軸が法線方向にあるフィルムとも呼ばれ、また上述のとおり、Cプレートと呼ばれることもある。
一軸性の位相差フィルムは、例えば、自由端縦一軸延伸や固定端横一軸延伸によって延伸された樹脂フィルムなどが一般に多く用いられている。自由端一軸延伸のフィルムは、例えば、フィルムの長手方向(流れ方向)に縦一軸延伸する方法により得られ、その場合は概ね、0.9≦Nz係数≦1.1となる。固定端一軸延伸のフィルムは、例えば、テンターなどを用いて横一軸延伸する方法により得られ、1.1≦Nz係数≦1.5といった若干の二軸性を帯びる場合が多いが、概ね一軸性の特性であるといえることから、本明細書中では当該範囲のNz係数を有するフィルムも含めて一軸性の位相差フィルムと呼ぶこととする。
一方、完全二軸性のフィルム(Cプレート)としては、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂を含む塗工液のコーティングにより得られる位相差層が、厚み方向の位相差値Rthを容易にコントロールできることから、広く用いられている。例えば、特開 2005-338215号公報(特許文献2)には、面内に配向している透明樹脂フィルムからなる位相差板に、感圧性接着剤層(粘着剤層)を介して、屈折率異方性を有するコーティング位相差層を積層し、さらにそのコーティング位相差層の表面に粘着剤層を設けて複合位相差板とすることが開示されており、その樹脂位相差板側に偏光板を積層することも記載されている。また特開 2006-10912 号公報(特許文献3)には、脂肪族ジイソシアネートをベースとするウレタン樹脂をバインダーとし、これと有機修飾粘土複合体とを含む組成物をフィルム状に形成してなる位相差層が開示されており、その位相差層に、粘着剤層を介して偏光板を積層し、複合偏光板とすることも記載されている。具体的には、粘着剤付き偏光板の粘着剤層側に位相差層を転写し、その位相差層表面に第二の粘着剤層を設ける構成が示されている。これら特許文献2及び3に開示される構成では、位相差層と液晶ガラスセルが、粘着剤層のみを介して貼着されている。
上記の複合位相差板ないし複合偏光板では、位相差層の上に感圧性接着剤層が形成されているが、位相差層の形成材料の一つに有機修飾粘土複合体を用いているためか、この位相差層の表面と感圧性接着剤層との間の密着力が低いことが多かった。これに伴って、複合位相差板ないし複合偏光板を製造する際に、感圧性接着剤層が部分的に抜け落ちやすいため、取り扱い性が悪かったり、熱をかけたときの収縮力が強い光学フィルムと貼り合わせて液晶表示装置とし、これを高温状態に晒した場合に、この位相差層と感圧性接着剤層の間で剥離が生じたりすることがあった。
特開2001−109009号公報(請求項15及び段落0036) 特開2005−338215号公報 特開2006−10912号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、有機修飾粘土複合体を含む位相差層を有しながらも、位相差層と感圧性接着剤層との間の密着力に優れる複合位相差板、並びにこれを用いた複合光学部材及び液晶表示装置を提供することにある。
本発明の複合位相差板は、透明樹脂ベースフィルムの一方の面に、位相差層と、透明樹脂層と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を備えており、前記位相差層は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含み、面内の位相差値Ro が10nm以下であり、厚み方向の位相差値Rthが40〜300nmの範囲にあり、前記透明樹脂層は、分子内に脂環式環と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する脂環式(メタ)アクリレート化合物を硬化性成分として含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されている。
本発明の複合位相差板において、透明樹脂ベースフィルムは、セルロース系樹脂、鎖状又は環状のポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などで構成することができる。また、この透明樹脂ベースフィルムは、1/4波長板であってもよい。1/4波長板は、直線偏光で入射する光を、円偏光をはじめとする楕円偏光に、また円偏光をはじめとする楕円偏光で入射する光を直線偏光に、それぞれ変換して出射する機能を有する。nx、ny及びnz を前記のとおりに定義して、1/4波長板には通常、nx>ny=nzの屈折率異方性を示すポジティブAプレートや、nx>ny>nzの屈折率異方性を示すポジティブBプレートが用いられる。
本発明の複合位相差板において、透明樹脂層を形成する脂環式(メタ)アクリレート化合物は、下式(I)又は(II)で示される化合物を含むことが好ましい。
Figure 2010139830
式中、Q1及びQ2は互いに独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表し、ここでアルキルの炭素数は1〜10であり、Rは水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
本発明の複合位相差板において、透明樹脂ベースフィルムと位相差層との間には、透明樹脂からなるプライマー層が介在していることが好ましい。この場合、プライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤及び溶媒を含有する塗工液から溶媒を除去して得られたものであることが好ましい。
本発明はまた、上記いずれかの複合位相差板と、光学機能層とが積層された構造を備える複合光学部材も提供する。この複合光学部材において、光学機能層は、直線偏光板を含むことが好ましい。この直線偏光板を含む複合光学部材において、複合位相差板を構成する透明樹脂ベースフィルムを、面内位相差を有するもので構成すれば、楕円偏光板となる場合がある。楕円偏光板は、1/4波長板のような面内位相差を有する位相差板を所定の軸角度で直線偏光板と積層することにより、あるいは1/2波長板とともに所定の軸角度で直線偏光板と積層することにより得られる。
本発明はさらに、液晶セルの少なくとも片面に、上記した複合位相差板と、直線偏光板を含む光学機能層とが積層された複合光学部材を配置してなる液晶表示装置も提供する。
本発明の複合位相差板は、有機修飾粘土複合体を含む位相差層を有しながらも、位相差層と感圧性接着剤層との間の密着力に優れている。したがって、この複合位相差板に直線偏光板などの他の光学機能層を積層した光学複合部材、さらにはそれを用いた液晶表示装置は、各種の使用環境下において、位相差層と感圧性接着剤層との間で剥がれることがなく、耐久性に優れたものとなる。
[複合位相差板]
図1は、本発明に係る複合位相差板の基本的な層構成例を示す断面模式図である。本発明においては、図1に示す例のように、透明樹脂ベースフィルム2の一方の面に、位相差層3と、透明樹脂層4と、感圧性接着剤層5とをこの順に積層して、複合位相差板1とする。感圧性接着剤層5の外側には、セパレートフィルム9を配置して、その表面を仮着保護するのが通例である。ここでセパレートフィルム9としては、ポリエチレンテレフタレートなどの透明樹脂からなるフィルムに、離型処理を施したものが、通常用いられる。
[透明樹脂ベースフィルム]
透明樹脂ベースフィルム2の形成材料としては、一般的に透明樹脂として知られているものを特に制限なく使用することができ、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレートなどを包含するセルロース系樹脂、プロピレンやエチレンの如き鎖状オレフィン又はノルボルネンの如き多環式の環状オレフィンを主要なモノマーとする重合体であるポリオレフィン系樹脂、アクリル酸エステルを主要なモノマーとするアクリル系樹脂、メタクリル酸メチルの如きメタクリル酸エステルを主要なモノマーとするメタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどを包含するポリエステル系樹脂、その他、ポリエーテルサルホン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリ(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。中でも、光学的な透明性、均一性、高い耐熱性、低い光弾性係数などの特徴を有することから、セルロース系樹脂、鎖状若しくは環状のポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂からなる透明樹脂ベースフィルムを用いることが好ましい。セルロース系樹脂フィルムの中でも、トリアセチルセルロースフィルムは、光学的な透明性に優れ、直線偏光板と積層して複合光学部材とする際に、偏光フィルムの有効な保護層ともなるので、好ましい透明樹脂ベースフィルムの一つである。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムの中でも、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムは、光学的な透明性に優れるうえに、高耐熱性などの特徴があるため、別の好ましい透明樹脂ベースフィルムの一つである。
透明樹脂ベースフィルム2の厚みは、特に制限されるものでないが、10〜200μm の範囲内であることが好ましく、20〜100μm の範囲内であることがより好ましい。透明樹脂ベースフィルム2の厚みが10μm を下回ると、強度が低下し、加工性に劣るものとなる傾向にあり、また、その厚みが200μm を超えると、透明性が低下したり、複合位相差板全体の重量が大きくなったりするなどの問題が生じやすくなる。
透明樹脂ベースフィルム2をトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂で構成する場合、その表面にはケン化処理を施しておくことが好ましい。ケン化処理は、一般にアルカリ水溶液に浸漬することにより行われる。また、透明樹脂ベースフィルムと位相差層又は後述するプライマー層との間の密着力を高めるために、透明樹脂ベースフィルムの表面に、コロナ放電処理やプラズマ処理などの表面処理を施すこともできる。
透明樹脂ベースフィルム2は、目的に応じて様々な種類のもので構成することができ、光学的に等方性のフィルムを選択してもよいし、光学的異方性を有するフィルムを選択してもよい。透明樹脂ベースフィルム2として光学的に等方性のフィルムを採用する場合、かかる光学的に等方性のフィルムは、上述した各種透明樹脂を無配向の状態で製膜することにより得られる。また、透明樹脂ベースフィルムとして光学的異方性を有するフィルムを採用する場合、かかる光学的異方性を有するフィルムは、上述した各種透明樹脂を物理的に配向させることにより得られる。物理的に配向させる方法は特に限定されるものでないが、延伸、収縮などの方法や、配向膜を用いる方法などが挙げられる。
透明樹脂ベースフィルム2として光学的異方性を有するフィルムを採用する場合には、直線偏光板と組み合わせて円偏光板とするために、1/4波長板が好適に用いられる。1/4波長板は、面内の位相差値Ro が通常90〜160nm程度の範囲にあるものであり、この面内の位相差値Ro は、好ましくは100〜150nmであり、より好ましくは110〜140nmである。その位相差値Ro は、1/4波長板が直線偏光板と組み合わされて楕円偏光板となる場合に、直線偏光が楕円偏光に変換されるときの当該楕円偏光の楕円率や長軸方位角を考慮して決定される。
[コーティング位相差層]
位相差層3は、複合位相差板1を液晶表示装置に適用したときの視野角補償を有利とする観点から、面内の位相差値Ro が10nm以下、好ましくは0〜5nmの範囲であり、厚み方向の位相差値Rthが40〜300nmの範囲、好ましくは80〜250nm、より好ましくは100〜200nmの範囲にあるものとする。このような位相差特性は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを用いて位相差層3を形成することで実現することができる。位相差層3における面内の位相差値Ro が10nmを超えると、正面位相差に伴う偏光解消が起こり、コントラスト比を低下させる。一方、厚み方向の位相差値Rthが40nmを下回ると、液晶セルにおける液晶の複屈折を十分に相殺できずに、視野角が狭くなり、また、厚み方向の位相差値Rthが300nmを超えると、逆に液晶セルにおける液晶の複屈折を過補償することとなり、やはり視野角が狭くなる。
面内の位相差値Ro 及び厚み方向の位相差値Rthは、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器(株)から“KOBRA” シリーズとして販売されているものであって、“KOBRA-21ADH”や“KOBRA-WR” などがある)を用いて測定することができる。この測定装置において、厚み方向の位相差値Rthを求める原理を説明すると、面内の位相差値Ro (前記式(1)で定義されるが、以下に再掲する)、遅延軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定される位相差値R40、フィルムの厚みd、及びフィルムの平均屈折率n0 を用い、以下の式(1)、(4)及び(5)から数値計算によりnx、ny及びnz を求め、これらを前記式(2)に代入して、厚み方向の位相差値Rthを算出するようになっている。
Ro =(nx−ny)×d (1)
40=(nx−ny')×d/cos(φ) (4)
(nx+ny+nz)/3=n0 (5)
ここで、
φ=sin-1〔sin(40°)/n0
y'=ny×nz/〔ny 2×sin2(φ)+nz 2×cos2(φ)〕1/2
位相差層3を構成する有機修飾粘土複合体は、層状構造を有する粘土鉱物(無機層状化合物)を有機化合物と複合化させたものであって、有機溶媒に分散可能なものである。位相差層3は、このような有機修飾粘土複合体をバインダー樹脂とともに有機溶媒中に含有させて塗工液を調製し、当該塗工液の塗布層を設けた後、そこから溶媒を除去することにより形成することができる。この塗工液を塗布するときの厚みを調整するだけで、得られた位相差層3における上述した厚み方向の位相差値Rthが容易に制御できる。
層状構造を有する粘土鉱物としては、スメクタイト族や膨潤性雲母などが挙げられる。中でもスメクタイト族は、透明性にも優れることから好ましく用いられる。スメクタイト族に属するものとしては、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイトなどが例示できる。これらの中でも化学合成されたものは、不純物が少なく、透明性に優れるなどの点で好ましい。特に、粒径を小さく制御した合成ヘクトライトは、可視光線の散乱が抑制されるために好ましく用いられる。
粘土鉱物と複合化される有機化合物としては、粘土鉱物の酸素原子や水酸基と反応するか又は相互作用し得る化合物、また交換性陽イオンと交換可能なイオン性の化合物などが挙げられるが、有機修飾粘土複合体が有機溶媒に膨潤又は分散できるようになるものであれば特に制限はない。粘土鉱物の酸素原子や水酸基と相互作用しうる化合物の具体例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などの表面修飾剤や、系中で重合させることで修飾を行うことができるε−カプロラクタム、さらには、ポリビニルピロリドン、アルキル置換ピロリドンなどが挙げられる。また、交換性陽イオンと交換可能なイオン性化合物の具体例として、含窒素化合物、含リン化合物などを挙げることができ、例えば、1級、2級又は3級のアミン、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物などが挙げられる。中でも、陽イオン交換が容易であることなどから、4級アンモニウム化合物、4級ホスホニウム化合物が好ましく用いられ、例えば、長鎖アルキル基を有するもの、アルキルエーテル鎖を有するものなどが挙げられる。とりわけ、炭素数6〜30、特に炭素数6〜10の長鎖アルキル基を有するものや、n=1〜50、特にn=5〜30の−(CH2CH(CH3)O)nH基、又は −(CH2CH2CH2O)nH基を有するものが好ましい。
有機修飾粘土複合体には、その製造の際に用いられる各種副原料に起因して、塩素を含む化合物が不純物として混入していることが多い。そのような塩素化合物の量が多いと、位相差層3を形成したときに、フィルムからブリードアウトする可能性がある。その場合には、感圧性接着剤を介してその位相差層3を液晶セルガラスに貼合したときに、粘着力が経時的に大幅に低下してしまう。そこで、有機修飾粘土複合体からは、洗浄により塩素化合物を除去しておくのが好ましく、その中に含まれる塩素の量を2,000ppm以下とした状態で有機溶媒中に含有させれば、かかる粘着力の低下を抑えることができる。塩素化合物の除去は、有機修飾粘土複合体を水洗する方法により行うことができる。
有機修飾粘土複合体は、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。適当な有機修飾粘土複合体の市販品には、合成ヘクトライトと4級アンモニウム化合物との複合体である“ルーセンタイト STN”、“ルーセンタイト SPN”(いずれも商品名、コープケミカル(株)製)などが挙げられる。
このような有機溶媒に分散可能な有機修飾粘土複合体は、基材などへのコーティングのしやすさ、光学特性の発現性や力学的特性などの点から、バインダー樹脂と組み合わせて用いられる。有機修飾粘土複合体と併用されるバインダー樹脂は、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解するもの、とりわけ、ガラス転移温度が室温以下(約20℃以下)であるものが好ましい。また、液晶表示装置に適用する場合に必要とされる良好な耐湿熱性及びハンドリング性を得るためには、疎水性を有するものが望ましい。このような好ましいバインダー樹脂としては、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマールの如きポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレートの如きセルロース系樹脂、ブチルアクリレートの如きアクリル系樹脂、ウレタン樹脂、メタクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。中でも、有機修飾粘土複合体の分散性が良好であることから、ウレタン樹脂が好ましい。
好適なバインダー樹脂の市販品として具体的には、いずれも商品名で表して、ポリビニルアルコールのアルデヒド変性樹脂である“デンカブチラール #3000-K”〔電気化学工業(株)製〕、アクリル系樹脂である“アロン S1601”〔東亞合成(株)製〕、イソホロンジイソシアネートベースのウレタン樹脂である“SBUラッカー 0866” 〔住化バイエルウレタン(株)製〕などを挙げることができる。
位相差層3における有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂との割合は、前者:後者の重量比で1:2〜10:1の範囲、とりわけ1:1〜2:1の範囲にあることが、位相差層3の割れ防止などの力学的特性向上の観点から好ましい。
有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂は、上述したように、有機溶媒と混合して調製された塗工液の状態で基材上に塗布される。この際、一般には、バインダー樹脂は有機溶媒に溶解され、そして有機修飾粘土複合体は有機溶媒中に分散される。この塗工液の固形分濃度は、調製後の塗工液が実用上問題ない範囲でゲル化したり白濁したりしなければ制限はないが、通常、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂の合計固形分濃度が3〜15重量%程度となる範囲で使用される。最適な固形分濃度は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂それぞれの種類や両者の組成比により異なるため、組成毎に設定される。また、製膜する際の塗布性を向上させるための粘度調整剤や、疎水性及び/又は耐久性をさらに向上させるための硬化剤など、各種の添加剤を加えてもよい。
またこの塗工液は、カールフィッシャー水分計で測定される含水率を0.15〜0.35重量%の範囲内としておくことが好ましい。この含水率が 0.35重量%を超えると、非水溶性有機溶媒中で相分離を生じ、塗工液が2層に分離してしまう可能性がある。一方、含水率が 0.15重量%を下回ると、形成された位相差層のヘイズ値が高くなってしまう可能性がある。
塗工液の含水率を上述した範囲内とする方法は特に制限されないが、塗工液中に水を添加することにより含水率を簡便に調整することができる。上述したような有機溶媒、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を通常の方法で混合しただけでは、 0.15重量%以上の含水率を示すことはほとんどない。そのため、有機溶媒、有機修飾粘土複合体及びバインダー樹脂を混合した塗工液に少量の水を添加することによって、含水率を上記範囲内に調整することが好ましい。水を添加する時点は、特に制限されないが、塗工液を調製して一定時間経過後にサンプリングして含水率を測定した後、所定量の水を添加するようにすれば、再現性及び精度よく含水率を制御することができるので、好ましい。
塗工液を塗布する方式は特に制限されるものでなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法など、公知の各種の方式を用いることができる。
位相差層3の厚みは特に制限されるものでなく、複合位相差板1に求められる位相差値を実現するのに必要な厚みであればよい。したがって、上述した40〜300nmの範囲内から液晶セルの特性に合わせて適宜選択される位相差層3の厚み方向の位相差値Rthに対応して、塗工液を塗布する際の厚みを決定すればよい。
[透明樹脂層]
透明樹脂層4は、位相差層3と感圧性接着剤層5との両者に対して優れた密着性を示すものである必要がある。感圧性接着剤層5との密着性を得るために、透明樹脂層4の表面に、コロナ放電処理やプラズマ処理などの表面処理を施してから感圧性接着剤層5を形成することもできる。
そして本発明においては、上記のように位相差層3と感圧性接着剤層5との両者に対して優れた密着性を示す観点から、透明樹脂層4は、分子内に脂環式環と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する脂環式(メタ)アクリレート化合物を硬化性成分として含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で形成する。一般に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは、紫外線や電子線、X線などの活性エネルギー線の照射を受け、直接あるいは重合開始剤を介して重合硬化する化合物を少なくとも1種類含むものであり、例えば、エポキシ系化合物、(メタ)アクリル系化合物、オキセタン系化合物、イソシアネート系化合物、エン−チオール系化合物などを単独又は組み合わせて主成分として含有する樹脂組成物が例示される。中でも、透明性、接着性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れる観点から、本発明では、(メタ)アクリレート化合物、特に脂環式(メタ)アクリレート化合物を硬化性成分として含む樹脂組成物が採用される。
透明樹脂層4は、光学的に透明であって、かつ光学的に等方性であることが好ましい。透明樹脂層4が光学的異方性を有する場合には、複合位相差板全体の位相差値の制御が困難となるおそれがあるため、好ましくない。
分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、ラジカル重合性である。なお本明細書においては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と、それぞれ略記する。
透明樹脂層4の形成に用いられる脂環式(メタ)アクリレート化合物の具体例として、前記式(I)で示される化合物や前記式(II)で示される化合物を挙げることができる。前記式(I)で示される化合物は、トリシクロデカンジオール又はトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類と呼ぶことができ、また前記式(II)で示される化合物は、ジオキサングリコール又はジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート類と呼ぶことができる。このような脂環式環を有する(メタ)アクリレート化合物は、脂環式構造を有するため、透明性に優れ、着色が起こりにくいことから、好ましい。特に位相差層3を構成するバインダー樹脂が、イソホロンジイソシアネートのような脂環式構造を有する場合、かかる位相差層との密着性も格段に高めることができるという利点がある。また、前記式(I)又は(II)の構造を含む低分子量の多官能(メタ)アクリレート化合物を硬化して得られる塗膜は、一般にオリゴマー等の高分子量のモノマーを硬化させて得られた塗膜よりも耐熱性に優れ、高硬度になる。硬化性成分として、このような脂環式(メタ)アクリレート化合物を主成分とするもの、特に硬化性成分のうち、このような脂環式(メタ)アクリレート化合物が50重量%以上を占めるものが好ましい。硬化性成分のうち脂環式(メタ)アクリレート化合物が50重量%を下回ると、位相差層3との密着性及び粘着剤層5との密着性の双方を満足させるという特性が効果的に発揮されない可能性があるため、好ましくない。また、硬化膜が架橋構造を与え、硬い透明樹脂層を与える観点から、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物を用いる。
本発明においては、脂環式(メタ)アクリレート化合物の中でも特に、密着性と弾性率がともに優れている点から、前記式(I)又は(II)で示される化合物を少なくとも1つ使用することが好ましい。
前記式(I)及び(II)において、Q1及びQ2は互いに独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表す。Q1又はQ2が(メタ)アクリロイルオキシアルキル基である場合、そのアルキルは直鎖でも分岐していてもよく、1〜10の炭素数をとることができるが、一般には炭素数1〜6程度で十分である。また式(II)において、Rは水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、炭化水素基は、直鎖でも分岐していてもよく、典型的にはアルキル基であることができる。この場合のアルキル基も、一般には炭素数1〜6程度で十分である。
式(I)で示される化合物は、水添ジシクロペンタジエン又はトリシクロデカンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート誘導体であり、その具体例としては、次のものを挙げることができる。
水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート〔式(I)において、Q1=Q2=(メタ)アクリロイルオキシ基の化合物〕、
トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート〔式(I)において、Q1=Q2=(メタ)アクリロイルオキシメチル基の化合物〕など。
また、式(II)で示される化合物は、ジオキサングリコール又はジオキサンジアルカノールのジ(メタ)アクリレート誘導体であり、その具体例としては、次のものを挙げることができる。
1,3−ジオキサン−2,5−ジイルジ(メタ)アクリレート〔式(II)において、
1=Q2=(メタ)アクリロイルオキシ基、R=Hの化合物〕、
ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物〔化学名:2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン〕のジ(メタ)アクリレート〔式(II)において、 Q1=(メタ)アクリロイルオキシメチル基、 Q2=2−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ジメチルエチル基、R=エチル基の化合物〕など。
透明樹脂層4の形成に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、コスト削減、重合度の増加等を目的として、上記した脂環式(メタ)アクリレート化合物以外の活性エネルギー線硬化性化合物を含んでもよい。透明樹脂層4の形成に用いる副成分の例として、以下に示すような活性エネルギー線硬化性化合物を挙げることができる。
すなわち、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物として、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、「(メタ)アクリレートモノマー」と呼称する)、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、「(メタ)アクリレートオリゴマー」と呼称する)などを挙げることができる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(以下、「単官能(メタ)アクリレートモノマー」と呼称する)、分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する2官能(メタ)アクリレートモノマー(以下、「2官能(メタ)アクリレートモノマー」と呼称する)、及び、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートモノマー(以下、「多官能(メタ)アクリレートモノマー」と呼称する)が挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの他、カルボキシル基含有の(メタ)アクリレートモノマーとして、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ−N′,N′−ジカルボキシ−p−フェニレンジアミン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸などが挙げられる。また、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1−カルボキシメチルピペリジンの如き(メタ)アクリロイルアミノ基を有する化合物も、単官能モノマーとなりうる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ハロゲン置換アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、脂肪族ポリオールのジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA又はビスフェノールFのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA又はビスフェノールFのエポキシジ(メタ)アクリレート類などが代表的であるが、これらに限定されるものではなく、種々のものが使用できる。2官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートの他、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシシクロヘキシル]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3価以上の脂肪族ポリオールのポリ(メタ)アクリレートが代表的なものであり、その他に、3価以上のハロゲン置換ポリオールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ]プロパン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、2官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、「多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」と呼称する)、2官能以上の多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、「多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー」と呼称する)、2官能以上の多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(以下、「多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー」と呼称する)などが挙げられる。(メタ)アクリレートオリゴマーは1種又は2種以上使用できる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、1分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び水酸基をそれぞれ少なくとも1個有する(メタ)アクリレートモノマーとポリイソシアネートとのウレタン化反応生成物、ポリオール類をポリイソシアネートと反応させて得られるイソシアネート化合物と1分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基及び水酸基をそれぞれ少なくとも1個有する(メタ)アクリレートモノマーとのウレタン化反応生成物などが挙げられる。
ウレタン化反応に用いられる1分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基及び水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウレタン化反応に用いられるポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらのうち芳香族ジイソシアネート類を水素添加して得られるもの(例えば、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなど)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネートの如き、ジ−又はトリ−イソシアネート、ジイソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネートなどが挙げられる。
ウレタン化反応に用いられるポリオール類としては、一般的に芳香族、脂肪族及び脂環式のポリオールの他、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが使用される。通常、脂肪族及び脂環式のポリオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチリオン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールは、前記のポリオール類と多塩基性カルボン酸又はその無水物との脱水縮合反応により得られるものである。多塩基性カルボン酸又はその無水物の具体的な例としては、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとしては、ポリアルキレングリコールの他、上記ポリオール又はフェノール類とアルキレンオキサイドとの反応により得られるポリオキシアルキレン変性ポリオールが挙げられる。
多官能ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸、多塩基性カルボン酸又はその無水物、及びポリオールの脱水縮合反応により得られる。脱水縮合反応に用いられる多塩基性カルボン酸(無水物)としては、(無水)コハク酸、アジピン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。また、脱水縮合反応に用いられるポリオールとしては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチリオン酸、グリセリン、水添ビスフェノールAなどが挙げられる。
多官能エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる。ポリグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物を用いる場合、通常、活性エネルギー線の照射により光硬化性組成物の硬化を開始する光ラジカル重合開始剤が配合される。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンをはじめとするアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノンをはじめとするベンゾフェノン系開始剤、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテルをはじめとするベンゾインエーテル系開始剤;4−イソプロピルチオキサントンをはじめとするチオキサントン系開始剤;その他、キサントン、フルオレノン、カンファーキノン、ベンズアルデヒド、アントラキノンなどが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の配合量は特に制限されないが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100重量部に対して 0.5〜20重量部であることが好ましく、1〜6重量部であることがより好ましい。光ラジカル重合開始剤の配合量が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100重量部に対して 0.5重量部未満である場合には、硬化が不十分になり、機械強度や接着強度が低下する傾向にあり、また、光ラジカル重合開始剤の配合量が活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100重量部に対して20重量部を超える場合には、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する可能性があるので、好ましくない。
光ラジカル重合開始剤に加え、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーズケトン、チオキサントンなどを挙げることができる。
透明樹脂層4を形成する方法は特に制限されないが、使用する硬化性化合物によっては酸素による反応阻害を起こす場合がある。それを避けるため、上述した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を未硬化の塗工液の状態で、直接位相差層上に塗布し、窒素雰囲気下で活性エネルギー線(可視光線、紫外線、X線、電子線など)の照射によって硬化させる方法や、塗布後、適宜のフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)を塗布樹脂上に貼合した後、活性エネルギー線の照射によって硬化させ、次にフィルムを除去する方法などの手順にて好適に形成することができる。また、塗工液を適当な溶媒で希釈し、塗布後に溶媒を除いてから硬化させる方法を用いることもできる。位相差層3と透明樹脂層4との密着力を高めるために、位相差層3の表面に、コロナ放電処理、プラズマ処理などの表面処理を施してから、透明樹脂層4を形成することもできる。
活性エネルギー線の照射に用いる光源も特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への光照射強度は、目的とする組成物ごとに決定されるものであって、やはり特に限定されないが、開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が10〜2,500mW/cm2となるようにするのが好ましい。光照射強度が10mW/cm2 を下回ると、反応時間が長くなりすぎ、2,500mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱及び組成物の重合時の発熱により、組成物の黄変などを引き起こす可能性がある。組成物への光照射時間は、硬化する組成物ごとに制御されるものであって、やはり特に限定されないが、照射強度と照射時間の積として表される積算光量が10〜2,500mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2 を下回ると、開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、組成物の硬化が十分になされなくなる可能性があり、一方でその積算光量が2,500mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
透明樹脂層4の形成に使用する塗工方式も特に制限されるものでなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法、ラミネート法など、公知の各種コーティング法を用いることができる。
透明樹脂層4の厚みは特に制限されないが、10μm 以下であることが好ましい。位相差層3への透明樹脂層4形成用の塗工液の侵食や染込みを低減させる観点、及び薄肉化する観点からは、透明樹脂層4の厚みは5μm 以下であることがより好ましい。厚みの下限も特に制限されず、位相差層3及び感圧性接着剤層5に対して十分な密着性を示す厚みであればよい。例えば0.5μm以上、さらには1μm 以上が適当である。
[感圧接着剤層]
感圧性接着剤層5は、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとする感圧性接着剤(粘着剤)を用いて形成することができる。中でも光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないことから、アクリル系感圧性接着剤を用いることが好ましい。アクリル系感圧性接着剤は、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合し、共重合させて得られる、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体をベースポリマーとするものが、特に有用である。
感圧性接着剤層5は、上述したようなベースポリマーを主体とする感圧性接着剤溶液を塗布し、乾燥する方法によって形成できるほか、離型処理が施されたフィルムの離型処理面に感圧性接着剤層が形成されたもの(感圧性接着剤シート)を用意し、それを感圧性接着剤層側で透明樹脂層4の表面に貼り合わせる方法によっても形成できる。
[プライマー層]
図2は、本発明に係る複合位相差板の別の好ましい層構成例を示す断面模式図である。図2に示す例の複合位相差板11は、透明樹脂ベースフィルム2と位相差層3との間にプライマー層12が介在していること以外は、図1に示した例の複合位相差板1と同様であり、同様の構成を有する部分については同一の参照符を付して説明を省略する。この例のように、透明樹脂ベースフィルム2と位相差層3との間に透明樹脂からなるプライマー層12が介在してもよく、このようなプライマー層12を介在させることで、透明樹脂ベースフィルム2と位相差層3との密着性をさらに向上させることができる。
プライマー層12の材質は特に限定されるものではないが、一般に透明樹脂ベースフィルム2上に塗布されることから、多くの材料に対して非溶媒である水を溶媒とするものが有利であり、水溶性樹脂で形成されることが好ましい。具体的には、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂を包含するポリビニルアルコール系樹脂であることが好ましい。このようなポリビニルアルコール系樹脂は、市販品を用いてもよく、具体的には、アニオン性基含有ポリビニルアルコールである“KL-318”〔商品名、(株)クラレ製〕などが、好適な例として挙げられる。
また、プライマー層12に耐水性が要求される場合には、架橋剤を添加することが好ましく、このような架橋剤としては、例えば、ポリアミドエポキシ樹脂、水溶性有機チタン化合物などが挙げられる。
ポリアミドエポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られる水溶性のポリアミドエポキシ樹脂を好適に用いることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品として、“スミレーズレジン 650 (30)”、“スミレーズレジン 675” 〔いずれも商品名、住化ケムテックス(株)製〕などが挙げられる。
水溶性有機チタン化合物は、チタンに有機基が結合し、水溶性を示すものである。水溶性を付与するために通常、水酸基やカルボキシル基などの親水性基を有することが多い。具体例として、以下のものを挙げることができる。
式: (HO)2Ti[OCH(CH3)COOH]2の組成を有し、「乳酸チタン」とも呼称される化合物、
式: (C37O)2Ti[OCH2CH2N(CH2CH2OH)2]2の組成を有し、「チタントリエタノールアミネート」とも呼称され化合物など。
かかる水溶性有機チタン化合物も市販品を用いることができ、具体的にはそれぞれ商品名で表して、“オルガチックス TC-310” (上記乳酸チタン44重量%、イソプロピルアルコール40重量%、水16重量%の溶液)、“オルガチックス TC-315” (上記乳酸チタン44重量%、水56重量%の溶液)、“オルガチックス TC-300” (上記乳酸チタン42重量%、イソプロピルアルコール38重量%、水20重量%の溶液)、“オルガチックス TC-400” (上記チタントリエタノールアミネート80重量%、イソプロピルアルコール20重量%の溶液)〔以上、いずれも松本製薬工業(株)製〕などが好適な例として挙げられる。
プライマー層12は、上述したようなポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤及び溶媒を含有する塗工液から溶媒を除去して得られたものであることが好ましいが、この塗工液の塗布方法については特に制限されるものでなく、ダイレクト・グラビア法、リバース・グラビア法、ダイコート法、カンマコート法、バーコート法など、公知の各種の塗布方法を用いることができる。
[複合光学部材]
図3は、図2に示した複合位相差板11に光学機能層22を積層して複合光学部材とする場合の例を示す断面模式図である。また図4は、図2に示した複合位相差板11に光学機能層22を積層して複合光学部材とする場合のもう一つの例を示す断面模式図である。図2に示した複合位相差板1や、図2に示した複合位相差板11は、それぞれ、他の光学機能層22と積層して、複合光学部材とすることができる。図3は、図2に示した複合位相差板11の透明樹脂ベースフィルム2側に、光学機能層22を積層して、複合光学部材21とした例である。また図4は、図2に示した複合位相差板11の透明樹脂ベースフィルム2側に、感圧性接着剤層32を介して光学機能層22を積層し、複合光学部材31とした例である。かかる複合光学部材21,31に用いられる光学機能層22は、少なくとも直線偏光板を含んでいることが好ましい。また、本発明の複合位相差板を構成する位相差層とは異なる位相差フィルムが1枚以上積層されてなるものであってよい。
図3においては光学機能層22が配置されていること、また図4においては感圧性接着剤層32と光学機能層22が配置されていること以外は、図2に示した複合位相差板11と同じなので、同様の構成を有する部分については同一の参照符を付して、説明を省略する。
複合位相差板を直線偏光板と組み合わせれば、視野角補償機能が付与された直線偏光板としても、楕円偏光板としても使用できる。直線偏光板として使用する場合は、光学機能層22を構成する直線偏光板の吸収軸と光学的異方性層としての透明樹脂ベースフィルム2の遅相軸とを直交させることが好ましい。また、円偏光板として使用する場合は、光学機能層22を構成する直線偏光板の吸収軸と光学的異方性層としての透明樹脂ベースフィルム2の遅相軸とを所定の角度で交差させる。
直線偏光板とは、フィルム面に向かってある方向に振動する直線偏光を透過し、それと直交する方向に振動する直線偏光を吸収などによって遮断する性質を有する光学機能フィルムであって、典型的には、ポリビニルアルコール系樹脂にヨウ素や二色性有機染料などの二色性色素が吸着配向している偏光フィルムを含むものであることができる。通常、かかるポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面又は両面にセルロース系樹脂などからなる透明保護フィルムが積層され、直線偏光板として用いられる。本発明の複合位相差板を直線偏光板に積層して複合光学部材とする場合、その複合位相差板を構成する透明樹脂ベースフィルム2が、直線偏光板の透明保護フィルムとしての機能を果たすため、図3に例を示すように、透明樹脂ベースフィルム2に直接、接着剤を介して偏光フィルムを貼り合わせることができる。この場合、偏光フィルムの他面には、別の透明保護フィルムを設けるのが通例である。また例えば、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に透明保護フィルムが積層された直線偏光板を光学機能層22とする場合や、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムそれ自体に、又は偏光フィルムに透明保護フィルムが積層された状態の偏光板に、位相差フィルムが貼合された状態のものを光学機能層22とする場合は、図4に例を示すように、感圧性接着剤層32を介して、複合位相差板を構成する透明樹脂ベースフィルム2と光学機能層22とを接合するのが通例である。
このように、光学機能層22は、本発明の複合位相差板11の透明樹脂ベースフィルム2側に直接形成されていてもよいし(図3に示す例)、感圧性接着剤層32を介して形成されていてもよい(図4に示す例)。
[液晶表示装置]
上記した複合位相差板を用い、光学機能層として直線偏光板を含む複合光学部材(例えば、図3や図4に示した複合光学部材21,31)を液晶セルの少なくとも一方側に配置して、液晶表示装置とすることができる。この場合、液晶セルの両面に上述した複合光学部材を配置するようにしてもよいし、液晶セルの一方側にのみ上述した複合光学部材を配置するようにしてもよい。後者の場合は通常、液晶セルの他方側には、本発明の複合光学部材以外の直線偏光板を含む光学部材が配置される。
本発明の液晶表示装置に用いられる液晶セルは、垂直配向(VA)モードのものが好ましいが、その他、ベンド配向(ECB)モードなど、他の方式の液晶セルに対しても、本発明の複合位相差板及びそれを用いた複合光学部材は有効に機能する。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り重量基準である。以下の例で用いたプライマー層用塗工液、位相差層用塗工液及び、本発明に従う透明樹脂層用塗工液の組成は、それぞれ次のとおりである。
(プライマー層用塗工液)
架橋剤として、有機チタン化合物である“オルガチックス TC-310” 〔商品名、松本製薬工業(株)製で、(株)マツモト交商から入手〕を用い、またポリビニルアルコール系樹脂として、アニオン性基含有ポリビニルアルコールである“KL-318”〔商品名、(株)クラレ製〕を用い、以下の組成で配合して、プライマー層用塗工液を調製した。
水 100部
有機チタン化合物“オルガチックス TC-310” 1.5部
ポリビニルアルコール系樹脂“KL-318” 3部
この塗工液は、水を80℃に温めながらポリビニルアルコール系樹脂“KL-318”を混合し、攪拌した後、室温まで冷却し、さらに有機チタン化合物“オルガチックス TC-310” を加えて混合し、攪拌して調製した。なお、ここで用いた有機チタン化合物“オルガチックス TC-310”は、上述したとおり、式:(HO)2Ti[OCH(CH3)COOH]2の組成を有する乳酸チタンとも呼ばれる有効成分が44%、イソプロピルアルコールが40%、水が16%の溶液の形で入手したものであり、上のプライマー層用塗工液の調製にあたって用いた量は、溶液自体の重量で示した。
(位相差層用塗工液)
有機修飾粘土複合体として、合成ヘクトライトとトリオクチルメチルアンモニウムイオンの複合体である“ルーセンタイト STN”〔商品名、コープケミカル(株)製〕を用い、またバインダー樹脂として、イソホロンジイソシアネートベースのポリウレタン樹脂で固形分濃度30%の樹脂ワニスである“SBUラッカー 0866” 〔商品名、住化バイエルウレタン(株)製〕を用い、以下の組成で配合して、位相差層用塗工液を調製した。
ウレタン樹脂ワニス“SBUラッカー 0866” 16.0部
有機修飾粘土複合体“ルーセンタイト STN” 7.2部
トルエン 76.8部
水 0.3部
ここで用いた有機修飾粘土複合体“ルーセンタイト STN”は、メーカーにて、有機修飾前の合成ヘクトライト製造後に酸洗浄し、それを有機修飾し、さらに水洗した状態で入手したものである。そこに含まれる塩素量は1,111ppmであった。またこの塗工液は、上記組成で混合し、攪拌した後、孔径1μm のフィルターで濾過して調製したものであり、カールフィッシャー水分計で測定された含水率は 0.25%であった。この塗工液における有機修飾粘土複合体/バインダー樹脂の固形分重量比は、6/4(=7.2/4.8)である。
(透明樹脂層用塗工液1)
紫外線硬化性のアクリレートである“NKエステル A-DOG”〔商品名、新中村化学工業(株)製、化学名はヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物のジアクリレート〕と、光重合開始剤“イルガキュア 184”〔商品名、チバ・ジャパン(株)から入手、化学名は1−ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン〕とを以下の組成で配合し、透明樹脂層用塗工液1とした。
“NKエステル A-DOG” 97.0部
開始剤“イルガキュア 184” 3.0部
なお、上記“NKエステル A-DOG”(ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物のジアクリレート)の具体的構造は、次式のとおりであり、メーカーでは俗に「ジオキサジングリコールジアクリレート」とも呼ばれている。
Figure 2010139830
(透明樹脂層用塗工液2)
紫外線硬化性のアクリレートである“NKエステル A-DCP”〔商品名、新中村化学工業(株)製、化学名はトリシクロデカンジメタノールジアクリレート〕と、上と同じ光重合開始剤“イルガキュア 184”とを以下の組成で配合し、透明樹脂層用塗工液2とした。
“NKエステル A-DCP” 97.0部
開始剤“イルガキュア 184” 3.0部
[実施例1]
環状オレフィン系樹脂の延伸フィルムである厚み28μm の1/4波長板〔商品名“ゼオノアフィルム”、(株)オプテス製〕を透明樹脂ベースフィルムとして用い、その片面に前記プライマー層用塗工液を塗布し、80℃で約1分間乾燥してプライマー層を形成した。次に、そのプライマー層の上に前記の位相差層用塗工液を塗布し、90℃で3分間乾燥して、コーティング位相差層を形成した。さらにそのコーティング位相差層の上に、前記の透明樹脂層用塗工液1を、バーコーター〔第一理化(株)製〕を用いて厚さ約2μm で塗布し、その上にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔商品名“エステルフィルム E7002”、東洋紡(株)製〕を配置し、貼付装置 “LPA3301”〔フジプラ(株)製〕を用いて貼合した。
この貼合品に、“Fusion UV ランプシステム”(フュージョンUVシステムズ社製)のDバルブにより、紫外線を積算光量2,000mJ/cm2で照射し、位相差層上に形成された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(透明樹脂層用塗工液1)を硬化させた後、PETフィルムを除去して透明樹脂層を形成させた。別途、離型処理されたPETフィルム(セパレートフィルム)上にアクリル系樹脂をベースポリマーとする厚さ25μm の感圧性接着剤層が形成されたシート“P-3132”〔商品名、リンテック(株)製〕を用意し、その感圧性接着剤層側を上で形成した透明樹脂層に貼着して、図2に示したように、透明樹脂ベースフィルム2、プライマー層12、コーティング位相差層3、透明樹脂層4、感圧性接着剤層5及びセパレートフィルム9がこの順で積層された構造を備える複合位相差板11を作製した。
[実施例2]
透明樹脂層を形成する塗工液として透明樹脂層用塗工液2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合位相差板を作製した。
[比較例1]
透明樹脂層用塗工液1を用いた透明樹脂層の形成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、図5に示すように、透明樹脂ベースフィルム2、プライマー層12、位相差層3、感圧性接着剤層5及びセパレートフィルム9がこの順で積層された構造の複合位相差板51を作製した。
[実施例3]
表面ケン化処理が施された厚み約40μm のトリアセチルセルロースフィルムを透明樹脂ベースフィルムとして用い、その他は実施例1に準じて、図2に示したように、上記トリアセチルセルロースフィルム(透明樹脂ベースフィルム2)の片面に、前記プライマー層用塗工液からのプライマー層12、前記位相差層用塗工液からのコーティング位相差層3、及び前記透明樹脂層用塗工液1からの透明樹脂層4を順次形成し、さらにその上に感圧接着剤層5とセパレートフィルム9が積層された複合位相差板11を作製した。
[実施例4]
透明樹脂層を形成する塗工液として透明樹脂層用塗工液2を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、複合位相差板を作製した。
[比較例2]
透明樹脂層用塗工液1を用いた透明樹脂層の形成を行わなかったこと以外は実施例3と同様にして、図5に示すように、透明樹脂ベースフィルム2、プライマー層12、位相差層3、感圧性接着剤層5及びセパレートフィルム9がこの順で積層された構造の複合位相差板51を作製した。
[評価試験1]
(a)複合位相差板の厚み測定
実施例1〜4並びに比較例1及び2で作製したそれぞれの複合位相差板を、幅25mm、長さ850mmに切断し、その感圧性接着剤層上のセパレートフィルムを剥がした状態で、デジタル測長器“MH-15M”〔(株)ニコン製〕を用いて長さ方向に9点の厚みを測定し、その平均を複合位相差板の厚みとした。
(b)透明樹脂層の厚み測定
実施例1〜4で複合位相差板を作製する際に、位相差層形成後、透明樹脂層用塗工液を塗布する直前の時点で、上と同じデジタル測長器“MH-15M”を用いて長さ方向に9点の厚みを測定し、その平均を算出した。また透明樹脂層形成後に、再び同様に厚みを測定してその平均を算出した。そして、透明樹脂層形成後の厚みから透明樹脂層形成前の厚みを差し引いて、透明樹脂層の厚みを算出した。
(c)光学性能評価
実施例1〜4並びに比較例1及び2で作製したそれぞれの複合位相差板を一辺が40mmの正方形に切断し、その感圧性接着剤層側でソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行い、位相差測定装置“KOBRA-WR”〔王子計測機器(株)製〕を用いて、厚み方向の位相差値Rthを測定した。なお、複合位相差板の面内位相差値は、実施例1、2及び比較例1については1/4波長板の値とほぼ同じであり、実施例3、4及び比較例2についてはほぼ0nmであった。
(d)感圧性接着剤層の密着力評価
実施例1〜4並びに比較例1及び2で作製したそれぞれの複合位相差板を、幅25mm、長さ200mmに切断し、密着力評価装置〔(株)日本システムグループ製〕を用いて、長さ方向に3点の密着力を評価した。評価は、硬度60度のスチレンゴムを用い、0.4MPaの押圧力で押圧しながら、幅方向に一定の方向から20回摺動させたときに、感圧性接着剤層がコーティング位相差層から剥離した長さの3点平均を剥離長として求めた。
以上の評価試験1で得られた結果を表1に示す。なお表1において、比較例1及び2の密着力が「>25mm」とあるのは、25mmの全幅にわたって感圧性接着剤層が剥離したことを意味する。
Figure 2010139830
[参考例](偏光フィルムの作製)
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が 8.5/8.5/100 の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを作製した。
[実施例5]
表面にケン化処理が施されたトリアセチルセルロースからなる厚み約40μm の透明保護フィルムを2枚用意し、それぞれの片面(ケン化処理されている)に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を塗布した。それぞれの接着剤を塗布した側で、上記参考例で作製した偏光フィルムを挟み込んで貼合し、80℃で7分間乾燥して、直線偏光板を作製した。
実施例1と同様にして、環状オレフィン系樹脂の延伸フィルムである1/4波長板からなる透明樹脂ベースフィルムの片面に、プライマー層、コーティング位相差層、透明樹脂層及び感圧性接着剤層の順で形成し、感圧接着剤層の上にセパレートフィルムを有する複合位相差板を作製した。別途、離型処理されたPETフィルム(セパレートフィルム)上にアクリル系樹脂をベースポリマーとする厚さ15μm の感圧性接着剤層が形成されたシート“P-3132”〔商品名、リンテック(株)製、実施例1で用いた“P-3132”と同じ組成の感圧性接着剤層を有するが、その厚さが異なる〕を用意し、上記複合位相差板の1/4波長板(透明樹脂ベースフィルム)側表面にその感圧性接着剤層を貼合し、そこからセパレートフィルムを剥がして、その感圧性接着剤層に前述した直線偏光板の片側トリアセチルセルロース保護フィルム表面を貼着し、図4に示したように、光学機能層22(直線偏光板)、感圧性接着剤層32、透明樹脂ベースフィルム2、プライマー層12、位相差層3、透明樹脂層4、感圧性接着剤層5及びセパレートフィルム9がこの順で積層された構造を備える複合光学部材31を作製した。
[実施例6]
実施例2と同様にして作製した複合位相差板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、複合光学部材を作製した。
[比較例3]
透明樹脂層用塗工液1からの透明樹脂層を形成していない複合位相差板を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、図6に示すように、光学機能層22(直線偏光板)、感圧性接着剤層32、透明樹脂ベースフィルム2、プライマー層12、位相差層3及び感圧性接着剤層5がこの順で積層された構造を備える複合光学部材61を作製した。
[実施例7]
実施例3の前半と同様にして、トリアセチルセルロースからなる透明樹脂ベースフィルムの片面に、プライマー層、コーティング位相差層及び透明樹脂層の順で形成し、複合位相差板(感圧性接着剤層が設けられていない状態)を作製した。別途、表面ケン化処理が施された厚み約40μm のトリアセチルセルロースフィルムを用意し、その片面と、上記複合位相差板のトリアセチルセルロースフィルム面に、それぞれポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を塗布し、それぞれの接着剤を塗布した側で、参考例に示した方法により作製した偏光フィルムを挟み込んで貼合し、80℃で7分間乾燥した。ここで、偏光フィルムとその片面に貼着したトリアセチルセルロースフィルムとの積層体を直線偏光板とする。次に、実施例3で用いたのと同じセパレートフィルム上にアクリル系樹脂をベースポリマーとする厚さ25μm の感圧性接着剤層が形成されたシート“P-3132”の感圧性接着剤層側を、上記複合位相差板の透明樹脂層表面に貼着して、図3に示したように、光学機能層22〔直線偏光板:偏光フィルムの片側(図の下側)にトリアセチルセルロース保護フィルムが積層されている状態〕、透明樹脂ベースフィルム2、プライマー層12、位相差層3、透明樹脂層4、感圧接着剤層5及びセパレートフィルム9がこの順で積層された構造を備える複合光学部材21を作製した。
[実施例8]
実施例4の前半と同様にして作製した複合位相差板を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、複合光学部材を作製した。
[比較例4]
透明樹脂層用塗工液1からの透明樹脂層を形成していない複合位相差板を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、光学機能層(直線偏光板)、透明樹脂ベースフィルム、プライマー層、位相差層、感圧接着剤層及びセパレートフィルムがこの順で積層された複合光学部材を作製した。
[評価試験2]
(a)複合光学部材の厚み測定
実施例5〜8並びに比較例3及び4で作製したそれぞれの複合光学部材について、評価試験1の(a)に示したのと同様の方法で、厚みを測定した。
(b)複合光学部材の耐熱性評価
実施例5〜8並びに比較例3及び4で作製したそれぞれの複合光学部材を、267mm×150mmの大きさに切断し、それぞれセパレートフィルムを剥がしてから、その感圧性接着剤層側でソーダガラスに貼合した後、オートクレーブ中、圧力5kgf/cm2、温度50℃で20分間の加圧処理を行った。この状態で80℃の乾燥オーブン中に100時間放置する耐熱性試験を行った。試験後、複合光学部材において層間剥離が生じている部分を観察し、端辺からの剥離距離の最大値を剥離長とした。層間剥離を生じた例(比較例)では、ソーダガラス上の感圧接着剤層と位相差層との間で当該層間剥離が生じていた。
以上の評価試験2で得られた結果を表2に示す。
Figure 2010139830
本発明に係る複合位相差板の基本的な層構成例を示す断面模式図である。 本発明に係る複合位相差板の別の層構成例を示す断面模式図であり、実施例1〜4で作製した複合位相差板にも相当する。 図2に示す複合位相差板に光学機能層を積層して複合光学部材とする場合の例を示す断面模式図であり、実施例7及び8で作製した複合光学部材にも相当する。 図2に示す複合位相差板に光学機能層を積層して複合光学部材とする場合のもう一つの例を示す断面模式図であり、実施例5及び6で作製した複合光学部材にも相当する。 比較例1及び2で作製した複合位相差板の層構成を示す断面模式図である。 比較例3で作製した複合光学部材の層構成を示す断面模式図である。
符号の説明
1,11……複合位相差板、
2……透明樹脂ベースフィルム、
3……位相差層、
4……透明樹脂層、
5……感圧性接着剤層、
9……セパレートフィルム、
12……プライマー層、
21,31……複合光学部材、
22……光学機能層(直線偏光板)、
32……感圧性接着剤層、
51……比較例の複合位相差板、
61……比較例の複合光学部材。

Claims (9)

  1. 透明樹脂ベースフィルムの一方の面に、位相差層と、透明樹脂層と、感圧性接着剤層とがこの順で積層された構造を備える複合位相差板であって、
    前記位相差層は、有機修飾粘土複合体とバインダー樹脂とを含み、面内の位相差値Ro が10nm以下であり、厚み方向の位相差値Rthが40〜300nmの範囲にあり、
    前記透明樹脂層は、分子内に脂環式環と少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する脂環式(メタ)アクリレート化合物を硬化性成分として含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物で形成されていることを特徴とする複合位相差板。
  2. 透明樹脂ベースフィルムが、セルロース系樹脂、鎖状若しくは環状のポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂である請求項1に記載の複合位相差板。
  3. 透明樹脂ベースフィルムが1/4波長板である請求項1又は2に記載の複合位相差板。
  4. 透明樹脂層を形成する脂環式(メタ)アクリレート化合物は、下式(I)又は(II)
    Figure 2010139830
    (式中、Q1及びQ2は互いに独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表し、ここでアルキルの炭素数は1〜10であり、Rは水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す)
    で示される化合物を含む請求項1〜3のいずれかに記載の複合位相差板。
  5. 透明樹脂ベースフィルムと位相差層との間に透明樹脂からなるプライマー層が介在している請求項1〜4のいずれかに記載の複合位相差板。
  6. プライマー層は、ポリビニルアルコール系樹脂、架橋剤及び溶媒を含有する塗工層から溶媒を除去して形成される請求項5に記載の複合位相差板。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の複合位相差板と、光学機能層とが積層されていることを特徴とする複合光学部材。
  8. 光学機能層が直線偏光板を含む、請求項7に記載の複合光学部材。
  9. 液晶セルと、その少なくとも片面に配置された請求項8に記載の複合光学部材とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
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