JP2010139452A - 反射法探査システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 地中浅部の埋設物および地層構造の反射法探査において、発振波と反射波の干渉を回避することで、測定データに含まれるノイズを低減し、測定精度の向上、およびデータ解析の容易化を図ることが可能な反射法探査システムを提供する。
【解決手段】
本発明にかかる反射法探査システム100の構成は、反射法を用いた地中浅部の埋設物150および地層構造106の探査において、地表面102に設置され、地中104に対して振動を発振する発振器110と、振動によって生じた発振波142が埋設物もしくは地層境界で反射し地表に達した反射波144を検知する検知器120と、反射波によって埋設物もしくは地層境界の位置を推定する位置推定装置130と、を備え、発振器の発振継続時間は、発振器による振動の発振開始から検知器への反射波の到達までの時間である往復伝播時間よりも短いことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射法を用いて地中浅部の埋設物および地層構造を探査する反射法探査システムに関する。
従来から、地中に埋設された埋設物を、地面を掘り起こすことなく非破壊で推定する反射法探査が用いられている。これは、物理的な振動を伴う弾性波を地中に向かって発振し、埋設物からの反射波を通じてその埋設物の位置を推定する技術である。
かかる反射法探査の振源として、音波、ハンマ打撃、ダイナマイト、起振車による発破等を用いた地下探査が実施されていた。しかし、音波を用いた場合、振動エネルギーが小さく軟弱地盤や不飽和地盤に適用するのは困難であった。このとき音波の周波数を低く設定すれば軟弱地盤に適用可能ではあるが、探査精度が低下し、埋設物もしくは地層境界を正確に推定できないという問題が生じる。また、音波の特性上、地面に対して縦波(P波)しか発振することができないという問題もある。更に、縦波は伝達速度が高いといった特性を有するがエネルギーの減衰率が高く、所望するレベルの反射波が得られないといった問題を含んでいる。
また、ハンマ打撃等の地震波を用いた場合、振動エネルギーを大きくでき、探査領域を拡大することも可能となる。しかし、周波数が低い上、任意の周波数に設定することができないので、地下深部の大雑把な地質構造の探査にしか利用できなかった。
そこで、近年、本願発明者により、振源として磁歪発振器を用いる反射法探査が開発された(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の反射法探査は、磁歪発振器を用いた連続波発振を特徴としており、かかる連続波を、その周波数を連続的に変化させたスイープ波とし、対象となる埋設物および地盤の探査に最適な周波数帯を特定する。そして、最適な周波数帯における測定データの反射信号を処理することにより、探査の精度を高めている。これによれば、振源の振動エネルギーを大きくしつつ、その周波数を調整し、且つ縦波と横波を自由に切り替えることが可能となった。このため、広い範囲の地盤構造や埋設位置に対応し、汎用性の高い反射法探査システムを提供することができる。
ここで、上記の測定データには反射信号だけでなくノイズも含まれる。したがって、かかるノイズを低減するために、複数回の測定データを重ね合わせる処理、所謂スタッキングを行う。ノイズはランダム信号であるためスタッキングにより互いを相殺する。一方、反射信号は重ね合わせ(スタッキング)の回数に応じて増幅される。その結果、ノイズが低減され、反射信号の分解能が向上する。
特願2007−187506号
地中深部における埋設物および地盤の反射波による探査では、上述したスタッキングにより測定データに含まれるノイズを十分に低減することが可能であった。しかし、地中浅部における埋設物および地盤の反射波による探査では、スタッキングを行ってもノイズを十分に低減することが困難であった。これは、地中浅部の探査の場合、発振波(入射波)と反射波による干渉が生じやすいことが原因であると考えられる。
すなわち、地中浅部の探査では、発振波を発振している最中に、先に発振した発振波が地中の埋設物および地盤に到達し、反射波が発生する。これにより、発振波と反射波との干渉が生じ、かかる干渉がノイズとして測定データに含まれてしまう。このため、測定データにおけるノイズが増大し、スタッキングを行ってもノイズを低減しきれなくなり、反射信号の分解能が低下してしまう。その結果、測定精度の低下およびデータ解析への支障を招くこととなる。
本発明は、このような課題に鑑み、地中浅部の埋設物および地層構造の反射法探査において、発振波と反射波の干渉を回避することで、測定データに含まれるノイズを低減し、測定精度の向上、およびデータ解析の容易化を図ることが可能な反射法探査システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかる反射法探査システムの代表的な構成は、反射法を用いて地中浅部の埋設物および地層構造を探査する反射法探査システムであって、地表面に設置され、地中に対して振動を発振する発振器と、振動によって生じた発振波が地中の埋設物もしくは地層境界で反射し地表に達した反射波を検知する検知器と、検知器が検知した反射波によって埋設物もしくは地層境界の位置を推定する位置推定装置と、を備え、発振器の発振継続時間は、発振器による振動の発振開始から検知器への反射波の到達までの時間である往復伝播時間よりも短いことを特徴とする。
上記構成によれば、発振器の発振継続時間、すなわち発振器による発振波の発振は、発振器が最初に発振した振動によって生じた発振波が、地中の埋設物もしくは地層境界で反射し、かかる反射によって生じた反射波が検知器に到達する前に終了することとなる。したがって、検知器が反射波の検知を行う際には、発振波が発生していないため、発振波と反射波との干渉の発生を防止することが可能となる。
なお上記構成によれば、発振器の発振継続時間は、従来の反射法探査よりも短時間となる。すなわち従来では、検知器に反射波が到達していても、発振器は発振波を発振し続けていたのに対し、上記構成では、検知器に反射波が到達する前に発振器による発振波の発振を停止している。したがって、本発明にかかる反射法探査では、地中に向かって発振する発振波のエネルギーは従来よりも少なくなることが想定される。このため、本発明にかかる反射法探査システムを用いる場合、測定データのスタッキング回数を増加させるとよい。
一般に、反射法探査において地中に向かって発振する発振波(弾性波)のエネルギーは、「振幅×発振波数(発振時間)×スタッキング回数」の式で定義される。したがって、従来は、「振幅100Hzの発振波×10波+振幅200Hzの発振波×10波+振幅300Hzの発振波×10波」のスイープ波の発振波を5回スタッキングしており、本発明では「振幅100Hzの発振波×1波+振幅200Hzの発振波×1波+振幅300Hzの発振波×1波」のスイープ波の発振波を入射すると仮定すると、スタッキング回数を50回とすることにより、発振波のエネルギーは従来と同量となる。これにより、発振波のエネルギーを従来と同様に高エネルギーとしつつ、地中浅部の探査の探査を高精度で行うことが可能となる。
上記の発振器の発振継続時間は、発振器による振動の発振開始から振動の埋設物もしくは地層境界への到達までの時間である片道伝播時間よりも短いとよい。
これにより、発振器の発振継続時間、すなわち発振器による発振波の発振は、発振器が最初に発振した振動(発振波)が地中の埋設物もしくは地層境界への到達する前に終了することとなる。したがって、反射波が発生する前に発振波を発振し終わるため、発振波と反射波との干渉の発生をより確実に防止することが可能となる。
上記の発振器の発振継続時間は、測定深度に応じて変化させるとよい。
例えば測定深度が深い場合、すなわち地中深部における埋設物を測定対象とする場合、発振器が発振した発振波(入射波、振動)が埋設物に到達するまでの時間(片道伝播時間)はある程度長い時間となる。故に、発振波が埋設物に到達することにより生じる反射波が検知器に到達するまでの時間(往復伝播時間)は、当然にして片道伝播時間よりも長くなる。したがって、発振器の発振継続時間を比較的長く設定しても、発振波(入射波)と反射波との干渉を防ぐことができる。
しかし、測定深度が浅い場合、すなわち地中浅部における埋設物を測定対象とする場合、片道伝播時間は極めて短時間であり、往復伝播時間も短時間である。このため、発振継続時間を長く設定すると、発振波と反射波との干渉が生じてしまう。その結果、かかる干渉がノイズとなり、データの解析に支障を来すおそれがある。
したがって、上記構成のように測定深度に応じて発振継続時間を変化させることで、発振波(入射波)と反射波との干渉を防ぐことができる。これにより、干渉によるノイズが低減されるため、反射波における反射信号の分解能が向上し、精度の高い測定結果を得ることができる。
上記の発振器は、周波数を変化させたスイープ波を、発振波として発振するとよい。これにより、振動の周波数に応じた利点、すなわち低周波数の振動が有する利点、および高周波数の振動が有する利点の両方を得ることができる。
例えば、低周波数の振動(発振波)は、振動の減衰率が低いため、到達深度が深い。すなわち、地中深部まで到達する。したがって、地中深部の埋設物を探査可能であるという利点を有する。しかし、低周波数の振動は、波長が長いため小型の埋設物であると振動をすり抜けてしまう可能性がある。したがって、振動が埋設物へ衝突する回数が低下するため、反射波が発生しづらく、小型の埋設物の探査の精度が低下するという欠点を有する。
反対に、高周波数の振動(発振波)は、波長が短いため小型の埋設物に衝突しやすい。したがって、埋設物による反射波が生じやすく、小型の埋設物を高精度で探査可能であるという利点を有する。しかし、高周波数の振動は、振動の減衰率が高いため、地中を通過する際に著しく減衰してしまう。したがって、到達深度が浅くなり、地中深部の埋設物を探査が難しいという欠点を有する。
故に、周波数を、低周波数または高周波数のいずれか一方で一定にした振動を用いて探査を行う場合、いずれにしても上述したような弊害が生じてしまう。したがって、上記構成のように周波数を変化させたスイープ波を発振波として発振することで、低周波数の振動と高周波数の振動の両方の利点を得ることができる。
上記の発振器は、スイープ波の周波数帯を分割し、分割した分割スイープ波を順次発振するとよい。
上記構成によれば、周波数が連続的に変化したスイープ波が分割され、分割された分割スイープ波が発振される。これにより、発振器の発振継続時間を分割しつつ(短くしつつ)、スイープ波(分割スイープ波)の振動を発振することができるため、上述したように、発振器の発振継続時間を短くすることによる利点と、スイープ波を用いることによる利点との両方を得ることが可能となる。
上記のスイープ波の周波数は、1波長分以下の周期で変化するとよい。これにより、所定の時間内において、スイープ波の周波数をより多く変化させることが可能となる。したがって、従来よりも短時間となった発振器の発振継続時間において、周波数が異なる多くの発振波を発振し、地中に入射することができる。
また上記構成によれば、同一周波数の発振波と反射波が干渉する影響を最小限に抑えることができる。更に、同一周波数の発振波(振動)を複数波長発振すると、磁歪素子や共鳴体(保護ケース)内で波が増幅され、意図している波と違う波が発振される可能性がある(楽器の本体による共鳴効果がこれにあたる)が、これを回避することも可能となる。
上記のスイープ波の周波数は、1000Hzから50Hzの間で変化するとよい。これにより、高周波を利用した小型の埋設物の探査や、低周波を利用した大型の埋設物および地中深部の埋設物の探査が可能となる。また地層境界等の位置を推定することもできる。
なお、1000Hz以上となると減衰が大きいため反射波を検知することが困難であり、50Hz以下となると波長が大きくなりすぎて想定する埋設物に反射されなくなる。したがって、スイープ波の周波数は上記範囲内であることが好ましい。
上記の発振器は、圧電素子または磁歪素子により振動を発振するとよい。これにより、周波数を変化させたスイープ波を、特に、周波数を高周波から低周波へ変化させたスイープ波を好適に発振することが可能となる。
中でも、磁歪素子は音波等と比較して高エネルギーの振動が可能である。このため、軟弱地盤や不飽和地盤であっても埋設物の位置を確実に推定することができる。また磁歪素子は地震波等と比較して高い周波数で振動させることが可能である。高周波の振動は、分解能が高いだけでなく、指向性が高いので拡散も少ない。このため、埋設物が小さい場合においても高精度でその位置を特定することができる。したがって、発振器には磁歪素子を用いることが好ましい。
上記の発振器は、保護ケースに内包されているとよい。これにより、精密機器である発振器の防水および防塵が可能となる。したがって、屋外における地盤探査において、降雨中等の多少の悪環境下であっても当該反射法探査システムを利用することができる。
本発明にかかる反射法探査システムによれば、地中浅部の埋設物および地層構造の反射法探査において、発振波と反射波の干渉を回避することで、測定データに含まれるノイズを低減し、測定精度の向上、およびデータ解析の容易化を図ることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態にかかる反射法探査システム100を示す縦断面図である。図1に示すように、反射法探査システム100は、発振器110と、検知器120と、位置推定装置130とを含んで構成される。なお、図1中、地盤の表面を地表面102、地盤の内部(地中)を地盤内104、地盤内に存在する地層の境界を地層境界106とする。また、地盤内104の浅部に埋設される小型の埋設物を埋設物150、地盤内104の深部に埋設される大型の埋設物を埋設物152とする。
発振器110は、地表面102に設置され、後述する位置推定装置130により印加される発振信号に基づいて磁歪素子112を振動させることで、地盤内104(地中)に対して振動140を発振する。これにより地盤内104に発振波142(142a、142b、142c)が入射される。
図2は、発振器110の拡大図である。図2に示すように、発振器110は、磁歪素子112と、保護ケース114とから構成され、磁歪素子112は、保護ケース114に内包されている。これにより、精密機器である磁歪素子112(発振器110の振源)の防水および防塵が可能となる。したがって、屋外における地盤探査において、降雨中等の多少の悪環境下であっても当該反射法探査システム100を利用することができる。
磁歪素子112は、振動140を発振するための振源であり、位置推定装置130が印加する発振信号によって伸縮動作する。これにより、磁歪素子112は振動140を発振することができる。特に、本実施形態のように発振器110の振源として磁歪素子112を用いることで、周波数が変化するスイープ波の発振波142、中でも高周波から低周波へ変化するスイープ波の発振波142を発振することが可能である。
また磁歪素子112は、振動方向を地表面102に対して平行に振動するように配置されており、地盤内104に、振動140によって生じた発振波142(入射波)である横波を印加する。高周波数の横波(S波)は指向性が高く拡散が少ないので、浅部の小さな埋設物150を探査するのに特に適している。しかし、周波数が高いと波長が短くなり発振波142の減衰率が高くなるので、測定可能範囲を狭めてしまう。従って測定深度との兼ね合いで周波数を決定するとよい。
なお、本実施形態においては、振源として磁歪素子112を用いたがこれに限定するものではなく、かかる振源として圧電素子を用いることも可能である。また、保護ケース126の地表面102との接触面積等は、使用環境や埋設物150および152の大きさに基づき設定変更してもよい。これにより、状況に応じた探査精度の維持が可能である。
発振器110の発振継続時間は、かかる発振器110による振動140の発振開始から検知器120への反射波144の到達までの時間である往復伝播時間よりも短いとよい。これにより、発振波142の発振は、最初に発振された発振波142(振動140)の地盤内104の埋設物150もしくは152または地層境界106での反射によって生じた反射波144が検知器120に到達する前に終了する。したがって、発振継続時間が従来よりも短時間となり、検知器120が反射波144の検知を行う際には発振器110による発振波142が発生していないため、発振器110から検知器120に伝わる直接波(発振波142)を除外し、発振波142と反射波144との干渉の発生を防止することが可能となる。
更に好ましくは、上記の発振継続時間は、発振器110による振動140の発振開始からかかる振動140の埋設物150もしくは152または地層境界106への到達までの時間である片道伝播時間よりも短いとよい。これにより、発振波142の発振は、最初に発振された発振波142(振動140)の地盤内104の埋設物150もしくは152または地層境界106への到達前に終了する。したがって、発振器110の発振継続時間が更に短時間となり、埋設物150または152近傍で発振波142と反射波144が干渉して振動が減衰してしまうことを防止し、発振波142と反射波144との干渉の発生をより確実に防止することが可能となる。
また上記の発振継続時間は、測定深度に応じて変化させるとよい。これにより、探査の目的の深度、ならびに、探査の目的の埋設物に応じた発振信号の印加を行うことができる。したがって、浅々部から深部に到るまでの埋設物150および152の確実な探査が可能である。
なお、本実施形態では、発振器110は、周波数を変化させたスイープ波を所定の周波数帯に分割した分割スイープ波を、発振波142として順次発振する。これにより、周波数が連続的に変化したスイープ波が分割されて分割スイープ波となり、発振器110は、かかる分割スイープ波の振動140を発振波142として発振することとなる。
上記のように、周波数帯を分割することにより、発振器110の発振継続時間が短時間となるため、上述した利点を得ることができる。
また周波数を変化させたスイープ波を発振波142として発振することより、振動の周波数に応じた利点、すなわち低周波数の振動が有する利点、および高周波数の振動が有する利点の両方を得ることができる。例えば、図1を参照すると、発振波142の振動周波数は、発振波142a、発振波142b、発振波142cの順に低くなる(低周波となる)。すなわち、発振波142aの振動周波数は高周波数、発振波142bの振動周波数は高周波数と低周波数との中間の周波数(以下、中周波数と称する。)、発振波142cの振動周波数は低周波数である。
発振波142aは周波数が高いため、地盤内104の浅部の埋設物150に反射し、反射波144aが生じる。したがって、発振波142aにより、小型の埋設物である埋設物150を探査することができる。発振波142bは中周波数であるため、埋設物150はすり抜けてしまう。しかし、発振波142bは地盤内104の浅部で減衰しないため、比較的高い深度まで到達し、埋設物152に反射し、反射波144bが生じる。したがって、発振波142bにより、大型の埋設物である埋設物152を探査することができる。発振波142cは低周波数であるため、埋設物150および152はすり抜けてしまう。しかし、発振波142cは減衰率が低いため、地盤内104の深部まで到達し、地層境界106を探査することができる。したがって、本実施形態のように周波数を変化させたスイープ波の発振波142を発振することにより、地中の様々な埋設物150および152および地層境界106を探査することが可能となる。
また本実施形態において、スイープ波の周波数は、高周波から低周波へ変化する。これにより、地盤内104に発振される発振波142の周波数は、減衰の起こりやすい高周波から減衰の起こりにくい低周波へと変化する。したがって、発振した発振波142(スイープ波)の反射波144の先方部分の地表面102での再反射による地盤内104への残留が、後に検知する発振波142(スイープ波)の反射波144の後方部分に与える影響を少なくすることができ、反射波144の検知の際のノイズを低減させ、探査精度を向上させることが可能である。
なお、上記のスイープ波の周波数は、1000Hzから50Hzの間で変化するとよい。これにより、上述したように、高周波を利用した小型の埋設物150の探査や、低周波を利用した大型の埋設物152および地中深部の埋設物の探査、地層境界106の探査が可能となる。なお、1000Hz以上となると減衰が大きいため反射波144を検知することが困難であり、50Hz以下となると波長が大きくなりすぎて想定する埋設物に反射されなくなる。
図3は、周波数が高周波から低周波へ変化するスイープ波146の例を示す図である。図3中、縦軸は振幅、横軸は時間を表している。
図3(a)は、短時間の間に周波数が高周波から低周波へ変化するスイープ波146が、所定間隔の時間を空けて複数回印加される。なお、かかるスイープ波146の周波数は1波長分以下の周期で変化する。これにより、スイープ波146の発振継続時間、すなわち発振器110の発振継続時間が短時間であっても、その時間内において周波数をより多く変化させることが可能となる。したがって、従来よりも短時間の発振器110の発振継続時間において、周波数が異なる多くの発振波を発振し、地中に入射することができる。またこれにより、同一周波数の発振波142と反射波144が干渉する影響を最小限に抑えることができる。更に、同一周波数の発振波142を複数波長発振した場合の磁歪素子112や保護ケース114内での発振波142の増幅を防ぐことができる。これにより、発振波142が意図している波と異なる波になってしまうという事態を回避することが可能となる。
図3(b)は、スイープ波146の他の例である。図3(b)では、周波数が高周波から低周波へ変化するスイープ波146を所定時間単位で分割している。したがって、図3(b)に示すスイープ波146は複数の分割スイープ波を有する。これにより、高周波数の分割スイープ波から順に周波数帯ごとに所定間隔の時間を空けて発振器110から発振される。これによっても、発振器110の発振継続時間を短時間としつつ、周波数が連続的に変化した発振波142を発振することが可能となる。
検知器120は、発振器110の振動によって生じた発振波142(142a、142b、142c)が地盤内104(地中)の埋設物150もしくは152または地層境界106で反射し、地表面102に達した反射波144(144a、144b、144c)を検知する。検知器120は、検知した反射波144を信号として取り出せるものであればよく、加速度センサや速度センサ、歪みセンサなどを用いた地震計を好適に用いることができる。
位置推定装置130は、発振器110(磁歪素子112)に発振信号を印加し、発振器110から地盤内104に所定の発振波142を発振させる。また位置推定装置130は、反射波144を検知した検知器120から出力される測定データを受信し、これに所定の処理を行うことにより埋設物150および152もしくは地層境界106の位置(深さ)を推定する。
図4は、埋設物として埋設管を配した人工地盤において探査実験を行った結果を示す図である。図4(a)は実施例の測定結果であり、図4(b)は比較例の測定結果である。図4中、縦軸は発振から到達までの遅延時間(往復走時)であって、上が原点(ゼロ)である。横軸は位置(絶対位置)であって、少しずつ位置をずらして複数回測定し、1つの画面に並べて表示したものである。
なお、実施例および比較例共に、発振波142としてのスイープ波の周波数は、500Hzから100Hzまで変化させた。また、埋設物の埋設深さは1mであり、発振波142の速度Vsは100m/secである。したがって、片道伝播時間は10msecであり、往復伝播時間は20msecである。
実施例では、上記範囲で周波数が変化するスイープ波146の発振波142を1波のみ発振し、スタッキングを50回行った。このとき、発振器110の発振継続時間は約10msecである。したがって、発振継続時間は、片道伝播時間とほぼ同じ時間であり、往復伝播時間よりも短い。比較例では、上記範囲で周波数が変化するスイープ波146の発振波142を10波発振し、スタッキングを5回行った。このとき、発振器110の発振継続時間は約100msecである。したがって、発振継続時間は、片道伝播時間および往復伝播時間よりも著しく長い。
図4(a)を参照すると、測定対象である埋設管の反射波160は、地層境界の反射波162とは分離して検知されている。したがって、埋設管の埋設位置を正確に推定でき、且つ地層境界の位置をも推定することができる。これに対し、図4(b)を参照すると、図4(a)に示した埋設管の反射波160および地層境界の反射波162のいずれも検知されていない。これは、比較例では、発振器110の発振継続時間が長いため、発振波142と反射波144との干渉が生じたと考えられる。その結果、測定データがランダム信号の集合体となってしまい、反射信号がノイズに埋もれ、スタッキングを行っても反射信号の分解能が向上せず正確な解析が行われなかったと推測される。
したがって、上記説明したように、本実施形態にかかる反射法探査システム100を用いることにより、発振器110の発振継続時間が短縮されるため、発振波142と反射波144の干渉を回避することができる。これにより、測定データに含まれるノイズを低減し、反射信号の分解能を高め、測定精度の向上およびデータ解析の容易化を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、反射法を用いて地中浅部の埋設物および地層構造を探査する反射法探査システムに利用することができる。
本実施形態にかかる反射法探査システムを示す縦断面図である。 発振器の拡大図である。 周波数が高周波から低周波へ変化するスイープ波の例を示す図である。 埋設物として埋設管を配した人工地盤において探査実験を行った結果を示す図である。
符号の説明
100 …反射法探査システム
102 …地表面
104 …地盤内
106 …地層境界
110 …発振器
112 …磁歪素子
114 …保護ケース
120 …検知器
130 …位置推定装置
140 …振動
142、142a、142b、142c …発振波
144、144a、144b、144c …反射波
146 …スイープ波
150、152 …埋設物

Claims (9)

  1. 反射法を用いて地中浅部の埋設物および地層構造を探査する反射法探査システムであって、
    地表面に設置され、地中に対して振動を発振する発振器と、
    前記振動によって生じた発振波が前記地中の埋設物もしくは地層境界で反射し地表に達した反射波を検知する検知器と、
    前記検知器が検知した反射波によって前記埋設物もしくは地層境界の位置を推定する位置推定装置と、を備え、
    前記発振器の発振継続時間は、該発振器による前記振動の発振開始から前記検知器への前記反射波の到達までの時間である往復伝播時間よりも短いことを特徴とする反射法探査システム。
  2. 前記発振器の発振継続時間は、該発振器による前記振動の発振開始から該振動の前記埋設物もしくは地層境界への到達までの時間である片道伝播時間よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の反射法探査システム。
  3. 前記発振器の発振継続時間は、測定深度に応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の反射法探査システム。
  4. 前記発振器は、周波数を変化させたスイープ波を、前記発振波として発振することを特徴とする請求項1に記載の反射法探査システム。
  5. 前記発振器は、前記スイープ波の周波数帯を分割し、該分割した分割スイープ波を順次発振することを特徴とする請求項4に記載の反射法探査システム。
  6. 前記スイープ波の周波数は、1波長分以下の周期で変化することを特徴とする請求項4に記載の反射法探査システム。
  7. 前記スイープ波の周波数は、1000Hzから50Hzの間で変化することを特徴とする請求項4に記載の反射法探査システム。
  8. 前記発振器は、圧電素子または磁歪素子により前記振動を発振することを特徴とする請求項1に記載の反射法探査システム。
  9. 前記発振器は、保護ケースに内包されていることを特徴とする請求項1に記載の反射法探査システム。
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