JP2010135106A - 放電灯点灯回路 - Google Patents

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Tomoyuki Ichikawa
知幸 市川
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Abstract

【課題】簡易な構成で高精度にランプ電圧を監視する。
【解決手段】第1DC/DCコンバータCONV1は、放電灯4の一端P1に第1駆動電圧Vo1を供給する。第2DC/DCコンバータCONV2は、放電灯4の他端P2に第2駆動電圧Vo2を供給する。第1抵抗Rd1および第2抵抗Rd2は、放電灯4の一端P1と接地端子の間に直列に設けられる。第3抵抗Rd3は、第1抵抗Rd1と第2抵抗Rd2の接続点P3と、放電灯4の他端P2の間に設けられる。制御回路30は、第1、第2DC/DCコンバータCONV1、CONV2を所定の点灯周期で相補的に交互にアクティブ状態に設定する。制御回路30は、アクティブ状態に設定された一方のDC/DCコンバータCONV1(CONV2)のスイッチング素子M1(M2)のオン、オフのデューティ比を、接続点P3の電位にもとづいて制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放電灯点灯回路に関する。
近年、車両用灯具(前照灯)として、従来のフィラメントを有するハロゲンランプに代えて、メタルハライドランプ(以下、放電灯と称する)が利用されている。放電灯は、ハロゲンランプに比べて発光効率、長寿命が得られる反面、駆動電圧として数十〜数百Vが必要であるため、12V(もしくは24V)の車載バッテリでは直接駆動することができず、放電灯点灯回路(バラストとも称される)が必要となる。
放電灯を点灯する方式は、直流駆動と高周波駆動に分類されるが、直流駆動すると放電のアークが非対称となり、発光プロファイルが不均一となるため、車両用灯具としての利用には適さず、車両用灯具では交流駆動するのが一般的である。放電灯を10kHz以上の高周波で交流駆動すると、放電管内の気流と点灯周波数が共振する現象(音響共鳴などと呼ばれる)が発生し、放電アークが不安定になるという問題が発生する。そこで現在では、直流駆動と高周波交流駆動の双方のデメリットを解消するために、10kHz以下の低周波で駆動する方式(低周波駆動方式)が主流となっている。
放電灯点灯回路は、バッテリ電圧を昇圧するDC/DCコンバータと、DC/DCコンバータの出力電圧を交流変換するHブリッジ回路などのスイッチング回路と、点灯補助回路およびスタータ回路、およびこれらの回路ブロックを制御する制御回路とを備えている(たとえば特許文献1参照)。
放電灯点灯回路は、放電灯に印加される電圧(ランプ電圧ともいう)および/または放電灯に流れる電流(ランプ電流という)を監視し、DC/DCコンバータをフィードバック制御することにより、放電灯に供給される電圧、電流、電力を制御する。加えてランプ電圧は、負荷オープンあるいはショートなどの回路異常を検出するためにも監視される。ランプ電圧は数十V〜数百Vと非常に大きいため、そのまま制御回路へと入力すると、制御回路の耐圧を超えてしまう。そこで制御回路には、抵抗ネットワークによって分圧されたDC/DCコンバータの出力電圧がフィードバックされる。
特開平11−329777号公報
いま、放電灯の両端にDC/DCコンバータを設け、それらを交互に動作させることにより、放電灯の両端に交流の駆動電圧を供給し、交流点灯する回路構成について考察する。本出願人はかかる回路構成(以下、ダブルコンバータ型と称する)を、特願2008−054970にて提案している。ダブルコンバータ型を採用する場合、2つのDC/DCコンバータそれぞれの出力電圧(つまり放電灯の両端のランプ電圧)を監視し、これを制御回路へとフィードバックする必要がある。つまり直列接続された2個の分圧用抵抗素子を含む抵抗ネットワークを、2組設けなければならず、合計4個の抵抗素子が必要となり、回路面積や回路素子数が増加し、コスト高となってしまうという問題がある。また、制御回路のうちランプ電圧監視部を含む部分をIC化する場合には、2系統のランプ電圧がフィードバック入力される2つの端子を設ける必要があるため、チップサイズが増大するという問題も発生する。
放電灯点灯回路において、ランプ電圧を高精度で監視することは、ランプの点灯確率を高め、異常を検出し、あるいはその輝度を安定化させる上で極めて重要であるが、同時に、放電灯点灯回路を簡易に低コストで構成することも重要である。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的は、簡易な構成で高精度にランプ電圧を監視することが可能な放電灯点灯回路の提供にある。
本発明のある態様は、放電灯点灯回路に関する。この放電灯点灯回路は、アクティブ状態において駆動対象の放電灯の一端に第1駆動電圧を供給する第1DC/DCコンバータと、アクティブ状態において放電灯の他端に第2駆動電圧を供給する第2DC/DCコンバータと、第1、第2DC/DCコンバータを制御する制御回路と、放電灯の一端と固定電圧端子の間に直列に設けられた第1、第2抵抗と、第1、第2抵抗の接続点と放電灯の他端の間に設けられた第3抵抗と、を備える。制御回路は、第1、第2DC/DCコンバータを所定の点灯周期で相補的に交互にアクティブ状態に設定することにより、放電灯に交流の駆動電圧を供給し、アクティブ状態に設定された一方のDC/DCコンバータのスイッチング素子のオン、オフのデューティ比を、第1、第2抵抗の接続点の電位にもとづいて制御する。
この態様によると、3つの抵抗素子で2つのDC/DCコンバータの出力電圧をそれぞれ監視することができ、また制御回路へとフィードバックされる信号が1系統のみであるため、回路面積を縮小し、低コスト化を図ることができる。
ある態様の放電灯点灯回路は、放電灯の一端側に設けられ、オン状態において、放電灯の一端と固定電圧端子の間を電気的に導通させる第1スイッチと、放電灯の他端側に設けられ、オン状態において、放電灯の他端と固定電圧端子の間を電気的に導通させる第2スイッチと、をさらに備えてもよい。第1、第2、第3抵抗の抵抗値をRd1、Rd2、Rd3、第1スイッチのオン抵抗をRon1、第2スイッチのオン抵抗をRon2と書くとき、第1、第2、第3抵抗それぞれの抵抗値Rd1、Rd2、Rd3は、
(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)/{(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)+Rd3}
=(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)/{(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)+Rd1}
を満たすように設定されてもよい。
この場合、第1スイッチと第2スイッチのオン抵抗が異なる場合においても、放電灯の一端側と他端側それぞれの分圧比が等しくなるため、制御回路の内部における分圧比の調整が不要となる。
ある態様の放電灯点灯回路は、放電灯の一端側に設けられ、オン状態において、放電灯の一端と固定電圧端子の間を電気的に導通させる第1スイッチと、放電灯の他端側に設けられ、オン状態において、放電灯の他端と固定電圧端子の間を電気的に導通させる第2スイッチと、をさらに備えてもよい。制御回路は、第1DC/DCコンバータをアクティブ状態に設定するとき、第2スイッチをオンし、第2DC/DCコンバータをアクティブ状態に設定するとき、第1スイッチをオンするよう構成されてもよい。第1、第2スイッチの特性が実質的に同じであり、第1、第3抵抗の抵抗値は実質的に等しくてもよい。
この場合、回路設計が容易となり、また放電灯の一端と他端で高い対称性が保証されるため、放電灯を良好に交流駆動することができる。
本発明のある態様によれば、簡易な構成で高精度にランプ電圧を監視することが可能な放電灯点灯回路が提供される。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図1は、実施の形態に係る車両用灯具2の構成を示す回路図である。車両用灯具2は、メタルハライドランプである放電灯4と、それを駆動する放電灯点灯回路100、および車載バッテリ(以下、単にバッテリと称する)6、電源スイッチ8を備える。
バッテリ6は、12V(もしくは24V)の直流電圧Vbatを発生する。電源スイッチ8は放電灯4の点灯のオン、オフを制御するために設けられたリレースイッチであり、バッテリ6と直列に設けられる。
放電灯点灯回路100は、平滑化されたバッテリ電圧Vbatを昇圧し、交流変換して放電灯4へと供給する。以下、放電灯点灯回路100の詳細な構成を説明する。
放電灯点灯回路100は、第1DC/DCコンバータCONV1、第2DC/DCコンバータCONV2、スタータ回路20、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、電流検出抵抗R1、制御回路30、入力キャパシタC1、第1抵抗Rd1〜第6抵抗Rd6を備える。
入力キャパシタC1は、バッテリ6と並列に設けられ、バッテリ電圧Vbatを平滑化する。より具体的には、入力キャパシタC1は第1トランスT1、第2トランスT2の近傍に設けられており、第1DC/DCコンバータCONV1、第2DC/DCコンバータCONV2のスイッチング動作に対する電圧平滑化の機能を果たす。
制御回路30は、放電灯点灯回路100全体を制御する機能IC(Integrated Circuit)を含み、放電灯点灯回路100の動作シーケンスを制御するとともに、放電灯4に供給する電力を調節する。制御回路30は、以下のシーケンスを実行することにより放電灯4を点灯させ、その光出力を安定化させる。
1. 電源投入
2. ブレイクダウン
3. アーク成長
4. ランナップ
5. 定常点灯
各シーケンスの詳細は後述する。
第1DC/DCコンバータCONV1、第2DC/DCコンバータCONV2、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2および制御回路30は、放電灯4に対する駆動電圧(ランプ電圧ともいう)VLを生成する駆動電圧生成部12を形成する。駆動電圧生成部12は、上述のランナップ期間および定常点灯期間において、放電灯4の両端間に第1周波数(点灯周波数)f1の交流の駆動電圧VLを供給する。第1周波数f1は10kHz以下、具体的には250Hz〜750Hz程度に設定される。点灯周波数f1の逆数を点灯周期T1(=1/f1)という。
第1DC/DCコンバータCONV1は、絶縁型のスイッチングレギュレータであり、第1スイッチング素子M1、第1トランスT1、第1整流ダイオードD1、第1出力キャパシタCo1を含む。第1DC/DCコンバータCONV1のトポロジーは一般的なものであるため簡潔に説明する。
第1トランスT1の1次コイルL1と第1スイッチング素子M1は、入力キャパシタC1と並列に、第1DC/DCコンバータCONV1の入力端子Pinと接地端子(GND)間に直列に設けられている。たとえば第1スイッチング素子M1はNチャンネルMOSFETで構成される。第1トランスT1の2次コイルL2の一端は接地されており、その他端は第1整流ダイオードD1のアノードと接続される。第1出力キャパシタCo1は第1整流ダイオードD1のカソードと接地端子間に設けられる。
第1スイッチング素子M1の制御端子(ゲート)には、上述の第1周波数f1より高い第2周波数f2の第1制御パルス信号S1が印加される。たとえば第2周波数f2は400kHzである。第1スイッチング素子M1は、第1制御パルス信号S1がハイレベルのときオン、ローレベルのときオフする。後述するように、制御回路30は、放電灯4の電気的状態にもとづいてフィードバックによって第1制御パルス信号S1のハイレベルとローレベルのデューティ比を調節する。
第1DC/DCコンバータCONV1は、アクティブ状態と非アクティブ状態が切り換え可能であり、アクティブ状態において、放電灯4の一端P1に第1駆動電圧(以下、出力電圧とも称する)Vo1を供給する。
第2DC/DCコンバータCONV2は、第1DC/DCコンバータCONV1と同様の回路トポロジーを有している。すなわち、第1整流ダイオードD1と第2整流ダイオードD2、第1出力キャパシタCo1と第2出力キャパシタCo2、第1トランスT1と第2トランスT2、第1スイッチング素子M1と第2スイッチング素子M2は対応している。第2スイッチング素子M2のオン、オフは、放電灯4の電気的状態にもとづいたフィードバックによって、制御回路30が生成する第2制御パルス信号S2によって制御される。
第2DC/DCコンバータCONV2も、アクティブ状態と非アクティブ状態が切り換え可能であり、アクティブ状態において、放電灯4の他端P2に第2駆動電圧(以下、第2出力電圧とも称する)Vo2を供給する。
第1スイッチSW1は、放電灯4の一端P1側に設けられ、オン状態において、放電灯4の一端P1と固定電圧端子(接地端子)の間を電気的に導通させる。第2スイッチSW2は、放電灯4の他端P2側に設けられ、オン状態において、放電灯4の他端P2と接地端子の間を電気的に導通させる。第1スイッチSW1および第2スイッチSW2にはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)もしくはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が好適であるが、その他の代替デバイスを用いても構わない。第1スイッチSW1、第2スイッチSW2それぞれのオン、オフ状態は、制御回路30からの制御信号S3、S4に応じて制御される。
第1DC/DCコンバータCONV1と第2DC/DCコンバータCONV2は、所定の周期T1(つまり第1周波数f1)で相補的にアクティブ状態と非アクティブ状態を繰り返す。つまり第1DC/DCコンバータCONV1がアクティブな期間と、第2DC/DCコンバータCONV2がアクティブな期間はそれぞれ、点灯周期T1の半周期となる。以下、第1DC/DCコンバータCONV1がアクティブな状態を第1状態φ1、第2DC/DCコンバータCONV2がアクティブな状態を第2状態φ2と称する。第1スイッチSW1は第2DC/DCコンバータCONV2がアクティブのとき、つまり第2状態φ2においてオンし、第2スイッチSW2は第1DC/DCコンバータCONV1がアクティブのとき、つまり第1状態φ1においてオンする。
第1状態φ1においては、放電灯4の一端P1に第1駆動電圧Vo1が、他端P2に接地電圧(0V)が印加され、その結果、放電灯4には、駆動電圧VL(≒Vo1)が第1極性にて印加される。第2状態φ2においては、放電灯4の他端P2に第2出力電圧Vo2が、一端P1に接地電圧が印加され、その結果、放電灯4には、駆動電圧VL(≒Vo2)が第1極性と反対の第2極性にて印加される。
ランナップ期間および定常点灯期間において、制御回路30は、第1状態φ1と第2状態φ2を所定の点灯周期T1にて交互に繰り返す。その結果、放電灯4には、交流の駆動電圧VLが供給される。
電流検出抵抗R1は、放電灯4に流れるランプ電流ILの経路上に設けられる。図1の回路では、共通接続された第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のエミッタと、接地端子の間に設けられる。第1状態φ1においては、放電灯4に第1極性(図1中の右向き)に流れるランプ電流が流れ、第2状態φ2においては、第2極性(図1中の左向き)に流れるランプ電流が流れる。電流検出抵抗R1には、第1状態φ1、第2状態φ2のそれぞれにおいて、ランプ電流ILに比例した電圧降下(電流検出信号SILと称する)が発生する。電流検出信号SILは、制御回路30へとフィードバックされる。
スタータ回路20は、放電灯4をブレイクダウンさせるために設けられ、スタータトランス22およびパルス発生部28を含む。スタータ回路20のパルス発生部28は、スタータトランス22の1次コイル24に対して、振幅が400Vのパルス電圧を印加する。その結果、2次コイル26側には、スタータトランス22の巻線比に応じた高電圧パルス(たとえば20kV)が発生し、放電灯4に印加される。その結果、放電灯4がブレイクダウンし、放電が開始する。
第1抵抗Rd1、第2抵抗Rd2、第3抵抗Rd3は、放電灯4に印加されるランプ電圧VL、すなわち第1DC/DCコンバータCONV1、第2DC/DCコンバータCONV2の出力電圧Vo1、Vo2を分圧するために設けられている。
第1抵抗Rd1、第2抵抗Rd2は、放電灯4の一端P1と固定電圧端子(接地端子)の間に直列に設けられる。第1DC/DCコンバータCONV1の出力端子と放電灯4の一端P1の間には、スタータトランス22の2次コイル26(高圧コイル)が設けられており、かかる構成においては、一端P1と接地端子の間には、2次コイル26、第1抵抗Rd1、第2抵抗Rd2が順に直列に設けられる。言い換えれば、第1抵抗Rd1と第2抵抗Rd2は、第1DC/DCコンバータCONV1の出力端子と接地端子の間に直列に設けられる。
第3抵抗Rd3は、第1抵抗Rd1および第2抵抗Rd2の接続点P3と、放電灯4の他端P2の間に、言い換えれば接続点P3と第2DC/DCコンバータCONV2の出力端子の間に設けられている。
第1抵抗Rd1と第2抵抗Rd2の接続点P3(第1抵抗Rd1と第3抵抗Rd3の接続点でもある)の電位は、電圧検出信号SVL1として制御回路30にフィードバックされる。
第1抵抗Rd1、第2抵抗Rd2、第3抵抗Rd3の抵抗値をそれぞれ、Rd1、Rd2、Rd3と書き、第1スイッチSW1のオン抵抗をRon1、第2スイッチSW2のオン抵抗をRon2と書く。
第1状態φ1、つまり第1DC/DCコンバータCONV1がアクティブ状態であり、第2スイッチSW2がオン状態において、電圧検出信号SVL1は、
VL1=α1×Vo1
α1=(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)/{(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)+Rd1}
で与えられる。
反対に、第2状態φ2、つまり第2DC/DCコンバータCONV2がアクティブ状態であり、第1スイッチSW1がオン状態において、電圧検出信号SVL1は、
VL1=α2×Vo2
α2=(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)/{(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)+Rd3}
で与えられる。
つまり制御回路30には、第1状態φ1、第2状態φ2それぞれにおいて、出力電圧Vo1、Vo2に比例した電圧検出信号SVL1がフィードバックされる。
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン抵抗Ron1、Ron2が十分に小さく無視できる場合、
α1≒Rd3×Rd2/(Rd3+Rd2)/{Rd3×Rd2/(Rd3+Rd2)+Rd1}
α2≒Rd1×Rd2/(Rd1+Rd2)/{Rd1×Rd2/(Rd1+Rd2)+Rd3}
の近似式が成り立つ。
分圧比(係数ともいう)α1、α2が互いに異なる場合、制御回路30の内部に係数α1、α2を補正するための係数補正部(不図示)を設ける必要がある。係数補正部は、第1状態φ1と第2状態φ2それぞれにおいて、フィードバックされた電圧検出信号SVL1に所定の補正係数β1、β2を乗算する。β1、β2は、
β1×α1=β2×α2
を満たすように設定される。この機能を有する係数補正部を設ければ、それ以降の処理を、第1DC/DCコンバータCONV1側と第2DC/DCコンバータCONV2側で共通化することができる。
制御回路30がデジタル回路で構成される場合、電圧検出信号SVL1はA/Dコンバータによってデジタル値に変換されるであろう。この場合、係数補正部は、A/D変換されたデジタルの電圧検出信号SVL1を補正すればよい。
あるいは係数補正部は、電圧検出信号SVL1と比較されるべき基準電圧(Vref)を、第1状態φ1と第2状態φ2とで切り替える。具体的には、第1状態φ1における基準電圧Vref1と第2状態φ2における基準電圧Vref2は、
Vref1/α1=Vref2/α2
を満たすように設定される。
ただし、係数補正部を設けると、信号処理が複雑となり、また回路面積が増加するおそれがある。
ここで実施の形態に係る放電灯点灯回路100では、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2の特性が互いに異なる場合であっても、第1抵抗Rd1〜第3抵抗Rd3の抵抗値を最適化することにより、α1=α2を満たすこと、つまり以下の式(1)を満たすことが可能となる。この場合、係数補正部を省略し、回路を簡略化することが可能となる。
(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)/{(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)+Rd3}
=(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)/{(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)+Rd1} …(1)
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2の特性が実質的に同じであり、具体的には、第1スイッチSW1のオン抵抗Ron1と第2スイッチSW2のオン抵抗Ron2が等しい場合には、第1抵抗Rd1と第3抵抗Rd3の抵抗値は実質的に等しくすればよい。この場合、等式(1)が自動的に成り立つため、係数補正処理を省略できる。
第1抵抗Rd1〜第3抵抗Rd3は、放電灯4に印加される定格付近の電圧をモニタするために設けられる。
たとえばRd1=Rd3=180kΩ、Rd2=10kΩとした場合、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン抵抗を無視すれば、分圧比としてα1=α2=0.05が得られる。放電灯4の定常点灯時において出力電圧Vo1、Vo2が45Vであれば、2.25Vが程度の電圧検出信号SVL1がフィードバックされることになる。
一方、後述する電源投入過程およびブレイクダウン過程、つまり放電灯4の放電開始前(つまりオープンループ状態)において、放電灯4には数百V(たとえば400V)程度の大電圧が印加される。この状態(またはこのときの電圧)をOCV(Open-Loop Circuit Voltage)と称する。400Vを抵抗Rd1〜Rd3によって分圧すると、分圧比がα1=α2=0.05の場合に、電圧検出信号SVL1は20V程度となるが、これは制御回路30において適切な信号処理を行うには高すぎる。
そこで放電灯点灯回路100には、第4抵抗Rd4〜第6抵抗Rd6を含む第2の電圧検出系が設けられる。第4抵抗Rd4〜第6抵抗Rd6の回路トポロジーは、第1抵抗Rd1〜第3抵抗Rd3の回路トポロジーと同じであり、接続点P4に生ずるランプ電圧Vo1、Vo2に比例した電圧を、電圧検出信号SVL2として制御回路30へとフィードバックする。
具体的には、第2スイッチSW2がオン状態において、
VL2=γ1×Vo1
γ1=(Rd6+Ron2)×Rd5/(Rd6+Ron2+Rd5)/{(Rd6+Ron2)×Rd5/(Rd6+Ron2+Rd5)+Rd4}
が成立する。また第1スイッチSW1がオン状態において、
VL2=γ2×Vo2
γ2=(Rd4+Ron1)×Rd5/(Rd4+Ron1+Rd5)/{(Rd4+Ron1)×Rd5/(Rd4+Ron1+Rd5)+Rd6}
が成立する。
分圧比γ1、γ2は、抵抗Rd1〜Rd3の分圧比α1、α2よりも低く設定される。
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン抵抗Ron1、Ron2を無視すれば、近似式として、
γ1≒Rd6×Rd5/(Rd6+Rd5)/{Rd6×Rd5/(Rd6+Rd5)+Rd4}
γ2≒Rd4×Rd5/(Rd4+Rd5)/{Rd4×Rd5/(Rd4+Rd5)+Rd6}
を得る。
たとえばRd4=Rd6=390kΩ、Rd5=3kΩとした場合、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2のオン抵抗を無視すれば、分圧比としてγ1=γ2≒0.0075が得られる。OCV状態において出力電圧Vo1が400V程度のとき、3V程度の電圧検出信号SVL2がフィードバックされることになる。制御回路30はOCV状態において、電圧検出信号SVL2にもとづいた信号処理を実行する。制御回路30の内部の信号処理に関して、当業者によれば、第1抵抗Rd1〜第3抵抗Rd3に対する説明、配慮が、第4抵抗Rd4〜第6抵抗Rd6についても適用できることが理解できよう。
以上が放電灯点灯回路100の構成である。続いてその動作を、シーケンスに従って説明する。図2(a)〜(d)は、放電灯点灯回路100の動作状態を示すタイムチャートである。図2(a)〜(d)の縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化されている。図2(a)〜(d)はそれぞれ、ブレイクダウン過程、アーク成長過程、ランナップ過程および定常点灯時の波形を示している。
1. 電源投入
ユーザが電源スイッチ8をオンすると、放電灯点灯回路100が起動する。制御回路30は第1DC/DCコンバータCONV1をアクティブ状態、第1スイッチSW1をオフ状態とし、バッテリ電圧Vbatを所定の高電圧(400V)に昇圧して安定化する。具体的に制御回路30は、第1DC/DCコンバータCONV1の出力電圧Vo1に比例した電圧検出信号SVL2を参照し、第1DC/DCコンバータCONV1の出力電圧Vo1が400VとなるようにPWM(Pulse Width Modulation)、PFM(Pulse Frequency Modulation)方式などを利用して第1スイッチング素子M1のデューティ比を調節する。PWM・PFM制御については公知の技術を用いればよい。
一例として、PWM制御は、出力電圧Vo1に比例した電圧検出信号SVL2(=γ1×Vo1)と基準電圧(Vref)の誤差を増幅する誤差増幅器と、三角波やのこぎり波の周期信号を誤差増幅器の出力でスライスして第1制御パルス信号S1を生成するコンパレータによって実現できる。あるいは出力電圧Vo1に比例した電圧検出信号SVL2をA/Dコンバータによってデジタル信号に変換し、マイコン制御によって第1制御パルス信号S1を生成してもよい。つまり第1スイッチング素子M1の制御方式は限定されない。
この間、第1DC/DCコンバータCONV1の第1出力キャパシタCo1が電圧Vo1(≒400V)で充電され、エネルギーが蓄えられる。
2. ブレイクダウン
スタータ回路20は、第1DC/DCコンバータCONV1により生成された400Vの電圧Vo1を受ける。パルス発生部28は振幅400Vのパルスをスタータトランス22の1次コイル24に印加する。図2(a)に示すように、このとき2次コイル26の2次コイル26には、20kV以上の高電圧パルスが発生する。その結果、放電灯4の駆動電圧は13〜15kV程度まで上昇してブレイクダウンし、グロー放電が開始する。
3. アーク成長
放電灯4がブレイクダウンすると、第1出力キャパシタCo1(および図示しない点灯補助回路)から、放電灯4に対して数A(具体的には10A程度)の大電流が供給される。この過程を経て、立ち消えを防止しつつグロー放電からアーク放電へと移行させる(図2(b))。
4. ランナップ
アーク成長過程が終了してアーク放電が安定すると、制御回路30は、第1DC/DCコンバータCONV1、第2DC/DCコンバータCONV2および第1スイッチSW1、第2スイッチSW2を制御して、所定の周期T1にて相補的に第1状態φ1と第2状態φ2を繰り返す。
アーク放電の成長にともない、放電灯4の光出力が上昇していく。光出力の立ち上がりは規格で定められており、規格にマッチした光出力(電力)が得られるように、制御回路30は、第1駆動電圧Vo1および第2駆動電圧Vo2に比例した電圧検出信号SVL1と、ランプ電流ILに比例した電流検出信号SILを監視し、フィードバックによって、第1スイッチング素子M1、第2スイッチング素子M2のオン・オフのデューティ比を調節する。放電灯点灯回路100は、ランナップ期間において放電灯4の光出力を急速に上昇させるため、一時的に定格電力より高い過電力を供給し、その後、ランプ電圧を45V、ランプ電流ILを0.8Aに安定化して定格電力(35W)に近づけていく(図2(c))。
5. 定常点灯
ランナップ過程を経て、放電灯4の光出力が安定化すると、放電灯4に供給される電力が定格値35Wに安定化される(図2(d))。なお、図2(c)、(d)に示されるランプ電圧VLおよびランプ電流ILの波形は、見やすさのために簡略化したものであり、実際には250Hz〜750Hzの周波数を有している。
以上が実施の形態に係る放電灯点灯回路100の動作である。この放電灯点灯回路100によって以下の効果が奏される。
(1) 実施の形態に係る放電灯点灯回路100によれば、第1DC/DCコンバータCONV1、第2DC/DCコンバータCONV2それぞれの出力電圧Vo1、Vo2を、3つの抵抗Rd1〜Rd3によって分圧し、共通の電圧検出信号SVL1(またはSVL2)として制御回路30へとフィードバックすることができる。制御回路30は、フィードバックされた電圧検出信号SVL1(SVL2)を利用して放電灯4の光出力を調節し、あるいは放電灯4の異常状態を検出する。
出力電圧Vo1とVo2を独立に分圧する場合、放電灯4の一端P1と接地端子間に2つの抵抗を設け、放電灯4の他端P2と接地端子間に2つの抵抗を設けることになり、合計で4個の抵抗が必要となる。これに対して実施の形態では、抵抗の個数を1個削減でき、回路面積およびコストを削減することができる。
(2) また出力電圧Vo1とVo2を独立に分圧する場合、制御回路30には、出力電圧Vo1に応じた電圧検出信号と、出力電圧Vo2に応じた電圧検出信号とを、個別に受けるために、2つの端子を設ける必要がある。これに対して実施の形態では、電圧検出信号SVL1およびSVL2をフィードバックするための端子をそれぞれ1個づつ設ければよい。制御回路30を半導体チップに集積化する場合、端子ごとに、ボンディング用のパッドを設ける必要があるため、端子数の増加は、チップ面積の増大に結びつくところ、実施の形態ではチップ面積を削減でき、低コスト化に資することとなる。
(3) さらに、第1抵抗Rd1〜第3抵抗Rd3を用いた抵抗ネットワークでは、それらの抵抗値を最適化することにより、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2のオン抵抗に代表される特性のばらつきを好適にキャンセルすることができる。このことは、車両用灯具2全体の量産性を高め、歩留まりを改善することに寄与することとなる。
(4) 放電灯4を定格点灯させる際に使用する抵抗ネットワーク(第1抵抗Rd1〜第3抵抗Rd3)に加えて、OCV状態において使用する抵抗ネットワーク(第4抵抗Rd4〜第4抵抗Rd4)を設けることにより、レンジの大きく異なる2つの電圧を、制御回路30が適切に処理することが可能となる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、正の駆動電圧Vo1、Vo2を生成して、放電灯4に印加する場合(正極点灯と称する)について説明したが、負の駆動電圧Vo1、Vo2を生成して放電灯4を駆動してもよい(負極点灯と称する)。この場合、図1における第1整流ダイオードD1、第2整流ダイオードD2の向き、第1、第2トランスT1、T2それぞれの2次巻線の極性、および各トランスの2次巻線側に接続されたスイッチング素子M1、M2の向き、ならびに当該スイッチング素子M1、M2と並列に接続された整流素子の向きを反転すればよい。
実施の形態では、車両用灯具を例に説明をしたが、本発明の用途はこれに限定されず、放電灯点灯回路に広く適用できる。
実施の形態にもとづき、特定の語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
実施の形態に係る車両用灯具の構成を示す回路図である。 図2(a)〜(d)は、放電灯点灯回路の動作状態を示すタイムチャートである。
符号の説明
2…車両用灯具、4…放電灯、100…放電灯点灯回路、CONV1…第1DC/DCコンバータ、CONV2…第2DC/DCコンバータ、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、20…スタータ回路、30…制御回路、Rd1…第1抵抗、Rd2…第2抵抗、Rd3…第3抵抗、Rd4…第4抵抗、Rd5…第5抵抗、Rd6…第6抵抗。

Claims (3)

  1. アクティブ状態において、駆動対象の放電灯の一端に第1駆動電圧を供給する第1DC/DCコンバータと、
    アクティブ状態において、前記放電灯の他端に第2駆動電圧を供給する第2DC/DCコンバータと、
    前記第1、第2DC/DCコンバータを制御する制御回路と、
    前記放電灯の前記一端と固定電圧端子の間に直列に設けられた第1、第2抵抗と、
    前記第1、第2抵抗の接続点と、前記放電灯の前記他端の間に設けられた第3抵抗と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記第1、第2DC/DCコンバータを所定の点灯周期で相補的に交互にアクティブ状態に設定することにより、前記放電灯に交流の駆動電圧を供給し、アクティブ状態に設定された一方のDC/DCコンバータのスイッチング素子のオン、オフのデューティ比を、前記第1、第2抵抗の接続点の電位にもとづいて制御することを特徴とする放電灯点灯回路。
  2. 前記放電灯の前記一端側に設けられ、オン状態において、前記放電灯の前記一端と前記固定電圧端子の間を電気的に導通させる第1スイッチと、
    前記放電灯の前記他端側に設けられ、オン状態において、前記放電灯の前記他端と前記固定電圧端子の間を電気的に導通させる第2スイッチと、
    をさらに備え、
    前記第1、第2、第3抵抗の抵抗値をRd1、Rd2、Rd3、第1スイッチのオン抵抗をRon1、第2スイッチのオン抵抗をRon2と書くとき、前記第1、第2、第3抵抗それぞれの抵抗値Rd1、Rd2、Rd3は、
    (Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)/{(Rd1+Ron1)×Rd2/(Rd1+Ron1+Rd2)+Rd3}
    =(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)/{(Rd3+Ron2)×Rd2/(Rd3+Ron2+Rd2)+Rd1}
    を満たすように設定されることを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯回路。
  3. 前記放電灯の前記一端側に設けられ、オン状態において、前記放電灯の前記一端と前記固定電圧端子の間を電気的に導通させる第1スイッチと、
    前記放電灯の前記他端側に設けられ、オン状態において、前記放電灯の前記他端と前記固定電圧端子の間を電気的に導通させる第2スイッチと、
    をさらに備え、
    前記制御回路は、前記第1DC/DCコンバータをアクティブ状態に設定するとき、前記第2スイッチをオンし、前記第2DC/DCコンバータをアクティブ状態に設定するとき、前記第1スイッチをオンするよう構成され、
    前記第1、第2スイッチの特性が実質的に同じであり、前記第1、第3抵抗の抵抗値は実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載の放電灯点灯回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06124790A (ja) * 1992-01-27 1994-05-06 Mitsubishi Electric Corp 高圧放電灯点灯装置及び放電灯点灯装置
JP2008277219A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Mitsubishi Electric Corp 放電灯点灯装置

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