JP2010129824A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多種多様な基板に対して適切なドーズ量で、しかも均一に電子ビームを照射して短時間で良好な基板処理を行うことができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】電子ビーム発生ユニット40A,40Bの出射窓40gから電子ビームEBがスキャン方向(第1方向)Yに走査されながら基板表面に照射されるとともに、当該基板Wが水平移動方向(第2方向)Xに移動して基板表面Wfに対して電子ビームEBが2次元的に照射される。ここで、出射窓40gと基板Wとの距離Dについては、基板Wに対応した値に調整される。また、基板Wの移動速度、電子銃40bに与える電流および電子銃40bに与える加速電圧についても、基板Wに応じた値に調整される。このように距離D、移動速度および電流値が基板Wに対応して調整された状態で電子ビーム照射が基板W上の層間絶縁膜Fに対して行われる。
【選択図】図4

Description

この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(電界放出ディスプレイ:Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板(以下、単に「基板」という)に電子ビームを照射して所定の基板処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関するものである。
基板の表面に電子ビームを照射する技術は多方面で利用されているが、そのひとつとして半導体装置の製造工程における層間絶縁膜の改質技術がある。半導体装置の層間絶縁膜として熱CVDやプラズマCVDにより形成されたシリコン酸化膜が従来多用されていたが、配線間容量を低減するために、有機シリコン酸化膜あるいはシリコンを含まない有機膜などの低誘電率膜、いわゆるLow−k膜の採用が進んでいる。この低誘電率膜を製造する際に加熱処理のみでは十分な強度が得られないため、電子ビーム発生と加熱処理を組み合わせて層間絶縁膜を硬化させる基板処理技術が提案されている。また、層間絶縁膜中のポロジェン等の有機物を導入し、これを電子ビームで分解・ガス化して空孔を得ると同時に、末端基をガス化する誘電率を下げる処理も提案されている。
例えば特許文献1に記載の装置では、チャンバの内部にウエハを載置可能なステージが設けられる一方、チャンバの天井部に電子ビームを発生させるためのEBチューブが複数設けられている。そして、未処理ウエハがヒータにより加温されたステージ上に載置されると、ウエハに電子ビームを照射してEBキュア処理を行い、ウエハ上の低誘電率絶縁膜を硬化させる。
特開2007−59617号公報(図1)
上記した従来装置では、EBキュア処理の条件としてアルゴンガスを1000sccmの流量でチャンバに導入しながら、加速電圧10kV、チャンバ内の圧力10Torr、電子ビームのドーズ量0.5mC/、処理時間3分に設定することで、絶縁膜を硬化させている。また、このときのステージの温度は略350゜Cに設定されている。このような条件を採用している理由は、ウエハの上方に複数のEBチューブを配列しており、これらのEBチューブから出射された電子ビームをウエハ上の低誘電率絶縁膜に対して所定のエネルギー量で、かつ均一な分布で照射するためである。より詳しくは、真空下(常圧の76分の1の分子密度)で各EBチューブから電子ビームを出射することでエネルギーの低下を防ぐとともに、各EBチューブからウエハまでの距離を比較的長く(例えば常圧の76倍の距離)設定することで電子ビームが十分に拡散するのに必要な距離を確保し、ウエハ表面におけるエネルギー分布の均一化を図っている。このように従来装置では、真空下で、かつ十分な拡散距離を設けることが良好なEBキュア処理を行う上での必須条件となっていた。このため、ウエハ表面に達する電子ビームは非常に弱く、絶縁膜を所望の硬度まで硬化させるためには、電子ビームをウエハに長時間照射し続ける必要があった。
また、ウエハ上に形成される絶縁膜は多種多様である。したがって、EBキュアの対象となる絶縁膜の膜種や膜厚などが異なると、それに応じてEBキュア処理時のドーズ量も膜種や膜厚などに適合した値に設定する必要がある。しかしながら、従来装置はこの点に対して十分な考慮がなされておらず、多種多様な基板に対して適切に対応することが困難であり、汎用性に欠けていた。即ち、基板によって処理時間が大幅に変化するので、処理装置の処理能力も大幅に変化し、これが工程上の問題のひとつになっていた。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、多種多様な基板に対して適切なドーズ量で、しかも均一に電子ビームを照射して短時間で良好な基板処理を行うことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
この発明にかかる基板処理装置は、上記目的を達成するため、基板を保持するステージと、ステージに保持された基板に出射窓を対向させた状態で電子放出部から放出される電子ビームを第1方向に走査しながら出射窓を介して大気中に出射させて基板の表面に電子ビームをライン状に照射する電子ビーム発生手段と、電子放出部に与える電流および/または加速電圧を調整する電子放出制御手段と、第1方向と異なる第2方向において電子ビーム発生手段に対してステージを相対移動させる移動手段と、ステージの相対移動速度を調整する速度制御手段と、基板と出射窓との距離を調整する距離制御手段とを備え、距離制御手段が基板と出射窓の距離をステージに保持される基板に応じた値に調整するとともに、ステージの相対移動速度、電流および加速電圧の少なくとも一つをステージに保持される基板に応じた値に調整することを特徴としている。
また、この発明にかかる基板処理方法は、上記目的を達成するため、電子放出部から放出される電子ビームを第1方向に走査しながら出射窓を介して大気中に出射する電子ビーム発生手段に対し、基板を出射窓と対向させながら第1方向と異なる第2方向に相対移動させることによって基板の表面に電子ビームを照射する照射工程と、照射工程での基板と出射窓の距離を基板に応じた値に調整する第1調整工程と、照射工程での基板の相対移動速度、電子放出部に与える電流および電子放出部に与える加速電圧の少なくとも一つを基板に応じた値に調整する第2調整工程とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明(基板処理装置および基板処理方法)では、電子ビーム発生手段から電子ビームが第1方向に走査されながら基板表面に照射される。また、基板は第1方向と異なる第2方向において電子ビーム発生手段に対して相対的に移動する。このように第1方向への電子ビーム走査と第2方向への基板の相対移動とを組み合わせることで基板表面における電子ビームの照射位置が時々刻々と移動し、電子ビームが基板表面に対して均一に照射される。
また従来装置では、EBチューブとウエハとの距離が近い場合には、EBチューブから出射された電子ビームがウエハ表面に局部的に照射されてしまい均一性を損なう。そこで、均一性を考慮して各EBチューブからウエハまでの距離を比較的長く設定することで電子ビームの拡散を促している。その結果、ウエハ表面には比較的低強度の電子ビームが照射されることとなり、処理時間が長くなるという問題を有していた。これに対し、本発明では、電子ビーム照射位置の移動により基板表面への局部的な照射がないため、電子ビーム発生手段から出射された電子ビームを広く拡散させることなく、基板表面に照射している。このため、従来装置に比べて処理時間が大幅に短縮される。
電子ビームを基板に照射した際に汚染物質が発生し、大気中を飛散することがある。このような汚染物質が電子ビーム発生手段の出射窓に付着して蓄積すると、照射強度が低下して結果的に処理効率が低下してしまう。また、汚染物質の種類や量などは基板上の電子ビームの照射対象物によって異なる。したがって、これらの点を考慮すると、汚染物質の影響を受けない範囲に出射窓と基板との距離を調整するのが望ましい。そこで、本発明では基板と出射窓の距離が基板に応じた値に調整され(第1調整工程)、上記汚染物質の影響を受けることなく、基板処理を良好に行うことが可能となっている。
このように基板によって上記距離の最適値は異なることがあり、しかも基板上の電子ビームの照射対象物に応じて単位面積当たりの電子ビームの照射量、つまりドーズ量を最適化する必要がある。そこで、本発明では、上記第1調整工程に加え、基板の相対移動速度、電子放出部に与える電流および電子放出部に与える加速電圧の少なくとも一つが基板に応じた値に調整される(第2調整工程)。これによって、多種多様な基板に対し、常に適切なドーズ量で電子ビームが照射される。
この発明によれば、電子ビームを第1方向に走査しながら出射窓を介して大気中に出射する電子ビーム発生手段に対し、基板を出射窓と対向させながら第1方向と異なる第2方向に相対移動させることによって基板の表面に電子ビームを照射している。また、基板と出射窓の距離をステージに保持される基板に応じた値に調整するとともに、ステージの相対移動速度、電流および加速電圧の少なくとも一つをステージに保持される基板に応じた値に調整する。したがって、多種多様な基板に対して適切なドーズ量で、しかも均一に電子ビームを照射して短時間で良好な基板処理を行うことができる。
(基板処理システムの概略構成)
図1はこの発明にかかる基板処理装置の一実施形態である電子ビームキュア装置を装備した基板処理システムを示す図である。この基板処理システムは、複数の基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)から取り出した未処理基板Wに対して加熱処理および硬化処理を施した後に基板Wを常温に冷却してFOUPに戻すという一連の処理を実行する。すなわち、基板処理システムは搬送ロボット室1を中心として当該搬送ロボット室1の周囲に、ロードロック室2と、ホットプレート3と、2つの電子ビームキュア装置4A、4Bと、コールドプレート5と、ロードロック室6が配置されている。また、搬送ロボット室1と、ロードロック室2、ホットプレート3、電子ビームキュア装置4A、4B、コールドプレート5およびロードロック室6との間にはシャッター72A、73、74A、74B、75、76Aがそれぞれ配置されている。
このロードロック室2はローダ用であり、FOUPに対して基板Wの搬入出を行う搬送ロボット8に対向する側面にローダ用開口(図示省略)を有している。また、ロードロック室2には、ローダ用開口を開閉するシャッター72Bが設けられている。この実施形態では、ロードロック室2は大気雰囲気であり、シャッター72Bを開いた状態で搬送ロボット8がFOUPから未処理基板W、つまり表面に未硬化状態の層間絶縁膜(図9中の符号F)が塗布された基板W、あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜された基板Wをロードロック室2に搬入可能となっている。一方、シャッター72Aが開いた状態で、搬送ロボット室1に配置された搬送ロボット11はハンド(図示省略)をロードロック室2に移動させて未処理基板Wを受け取り、搬送ロボット室1に搬送する。なお、基板Wのロードロック室2の載置部から搬送ロボット11への受け渡しの際、基板Wに搬送ロボット11がアクセスできるように基板Wを載置部から上昇させる突き上げピンを備えるが、図示説明を省略する。この突き上げピンはロードロック室6、ホットプレート3、コールドプレート5にも同様な構造を備えるが、以下の説明において説明を省略する。
この搬送ロボット室1は窒素ガス雰囲気に調整されており、その内圧は略大気圧となっている。この点に関しては、ホットプレート3、電子ビームキュア装置4A、4Bおよびコールドプレート5も同一である。ただし、電子ビームキュア装置4A、4Bの基板表面側の雰囲気については電子ビーム発生中にはアルゴンガス雰囲気に保たれている。この点については、後で詳述する。
未処理基板Wを受け取った搬送ロボット11は基板Wをホットプレート3、電子ビームキュア装置4A(または4B)およびコールドプレート5に、この順序で搬送する。一方、基板Wが搬送されてきたホットプレート3、電子ビームキュア装置4A(または4B)およびコールドプレート5はそれぞれ加熱処理、硬化処理および冷却処理を実行して層間絶縁膜Fを硬化させて所望特性(低誘電率膜で、かつ十分な強度)を付与する。なお、ホットプレート3およびコールドプレート5の構成および動作については従来から周知であるため、ここでは説明を省略する一方、電子ビームキュア装置4A、4Bは本発明の基板処理装置に相当するため、後で詳しく説明する。
上記のようにして層間絶縁膜Fに所望特性が与えられると、搬送ロボット11はコールドプレート5から基板Wを搬送ロボット室1に取り出す。そして、シャッター76Aが開いた状態で、搬送ロボット11は基板Wを保持したハンド(図示省略)をアンロード用のロードロック室6に移動させて基板Wの搬出を行う。この実施形態では、ロードロック室6も、ロードロック室2と同様に大気雰囲気であり、シャッター76Bを開いた状態で搬送ロボット8がロードロック室6に基板Wを取り出し、FOUPに収納可能となっている。
(電子ビームキュア装置の構成および動作)
図2は本発明にかかる基板処理装置の一実施形態である電子ビームキュア装置を示す断面図である。また、図3はバージボックスを下方から見た斜視図および部分拡大底面図である。また、図4は電子ビーム発生ユニットの構成を示す断面図である。さらに、図5は図2に示す電子ビームキュア装置の電気的構成を示すブロック図である。電子ビームキュア装置4A、4Bはともに同一構成であり、以下のように構成されている。
電子ビームキュア装置4A(4B)は電子ビーム発生ユニット40A、40Bから出射される電子ビームを基板Wの表面Wfに向けて照射して層間絶縁膜を硬化する装置であり、次のように構成されている。この電子ビームキュア装置4A(4B)には、硬化処理を実行するための処理空間41aを有する処理チャンバ41が設けられている。この処理チャンバ41の搬送ロボット側(図2の左手側)の側壁には、搬送ロボット11(図1)のハンドが挿入可能な形状を有する基板通過口41bが設けられるとともに、この基板通過口41bに対してシャッター74A(74B)が設けられている。そして、搬送ロボット11による基板Wの搬入出時には、電子ビームキュア装置全体を制御する制御ユニット42からの開指令に応じてシャッター74A(74B)は上方に移動して基板通過口41bを開放する。逆に、後述するように硬化処理を施す際には制御ユニット42からの閉指令に応じてシャッター74A(74B)は図2に示すように下方に移動して基板通過口41bを閉じている。
また、この処理チャンバ41のチャンバ天井には窒素ガス供給ユニット43が接続されており、制御ユニット42からの指令に応じて窒素ガス供給ユニット43が作動すると、処理空間41a内に窒素ガスが供給されて処理空間41aが窒素ガス雰囲気となる。ただし、基板表面側の雰囲気APは後述するように硬化(キュア)処理時にはアルゴンガス雰囲気に調整される。
処理チャンバ41の処理空間41aには、基板Wを保持可能なステージ44が水平移動方向(本発明の「第2方向」に相当)Xに移動自在に、しかも上下方向Zに昇降自在に設けられている。このステージ44の上面には、球状のプロキシミティボール(図示省略)が複数個設けられており、各ボールの球面頂部で基板Wの裏面を支持可能となっている。これにより基板表面Wfを上方に向けた水平状態で基板Wはステージ44の上面から僅かに浮いた状態で支持される。こうして支持された基板Wの周縁部を取り囲むようにピンが複数本だけステージ44の上面から突設されて基板Wの水平方向における位置ずれを防止している。また、この実施形態では、ステージ44にはヒータ45が内蔵されており、制御ユニット42からの動作指令に応じてヒータ45が作動することで基板Wを裏面側から加熱して基板温度を硬化処理に適した温度、例えば350〜400゜C程度まで昇温可能となっている。なお、基板Wの温度の均一性が厳しく要求されない処理用途の場合、プロキシミティボールを無くしてステージ44上に基板Wを接触載置するようにしてもよい。
このように構成されたステージ44はステージ駆動ユニット46に接続されている。このステージ駆動ユニット46はステージ44を上下方向Zに昇降駆動する昇降駆動部46aと、昇降駆動部46aおよびステージ44を一体的に水平移動方向Xに駆動するリニア駆動部46bとを有している。そして、制御ユニット42からの移動指令に応じてリニア駆動部46bが作動すると、昇降駆動部46aおよびステージ44が一体的に移動方向Xに駆動されて基板Wを所定の基板移動範囲MRに渡って往復移動させることが可能となっている。また、この実施形態では、リニア駆動部46bは制御ユニット42により駆動制御され、これによってステージ44および基板Wは移動方向Xにおいて電子ビーム発生ユニット40A、40Bに対して所望の速度でX方向に相対移動する。つまり、リニア駆動部46bは本発明の「移動手段」として機能するとともに、制御ユニット42は本発明の「速度制御手段」の機能を有している。
また、制御ユニット42からの昇降指令に応じて昇降駆動部46aが作動すると、ステージ44が昇降して基板Wを搬送高さ位置(図2の破線高さ位置)と処理高さ位置(図2の1点鎖線および実線高さ位置)に位置決め可能となっている。なお、この実施形態では、基板Wの搬入出を行う際には、図2の破線に示すように、ステージ44を搬送ロボット室1側(同図の左手側)に移動させるとともに搬送高さ位置に下降させている(搬送ポジション)。そして、硬化処理を行う際には、処理高さ位置まで上昇させた後にステージ44を反搬送ロボット室1側(同図の右手側)に移動させる。そして、硬化処理終了後には、上記とは逆の動作を行ってステージ44を元の搬送ポジションに移動させる。
また、本実施形態では、制御ユニット42は、ステージ44に載置される基板W上に形成される層間絶縁膜F(図4)の膜種や厚みなどに応じた昇降指令を昇降駆動部46aに与える。これによって、電子ビーム発生ユニット40A、40Bと基板Wとの距離D(図4)をステージ44に保持される基板Wに応じた値に調整することが可能となっている。このように、本実施形態では、制御ユニット42は本発明の「距離制御手段」の機能を有している。なお、本実施形態ではステージ44全体を昇降移動させることで距離Dを調整しているが、ステージ44に対して基板Wを昇降させて距離Dを調整してもよい。また、電子ビーム発生ユニット40A、40Bを昇降させることで距離Dを調整してもよい。要は、制御ユニット42が基板Wと電子ビーム発生ユニット40A、40B(の出射窓)との距離Dを調整するように構成すればよい。
この実施形態では、処理チャンバ41内で、上記のようにして基板移動範囲MRを移動する基板Wの表面Wfを上方側から覆うようにパージボックス47が配置されている。このパージボックス47は図3に示すように直方体形状を有しており、水平移動方向Xと直交する幅方向Yの長さLyは基板Wの外径より大きく、移動方向Xの長さLxは基板Wの外径の2倍以上となっている。このため、基板Wが移動方向Xに移動している間、基板Wはパージボックス47の下面プレート47aと常に対向しており、基板表面側の雰囲気APは下面プレート47aにより規制される。なお、基板表面Wfと下面プレート47aとの距離は1〜10mmに設定される。
このパージボックス47の内部には、図2に示すように、幅方向Yに延びる中空室47b〜47dが移動方向Xに並設されている。これらのうち中央の中空室47cは電子ビーム発生用の中空室であり、中空室47cに電子ビーム発生ユニット40A、40Bの一部が取り付けられている。本実施形態では、電子ビーム発生ユニット40A、40Bはともに同一構成を有しており、幅方向Yに150mmのスキャン幅で電子ビームを走査可能となっている。そして、この実施形態では、下面プレート(プレート部材)47aに対して基板表面Wfの反対側(図2の上方側)において上記2つの電子ビーム発生ユニット40A、40Bが幅方向Yに千鳥配列されて略300mmのスキャン幅で電子ビームを幅方向Yに走査可能となっている。なお、上記実施例においては、300mmのスキャン幅を2個の電子ビーム発生ユニット40A、40BをY方向に配列することで本発明の「電子ビーム発生手段」を構成しているが、300mmのスキャン幅を有する1個の電子ビーム発生ユニットで構成しても良い。
次に、各電子ビーム発生ユニット40A、40Bの構成について、図4を参照しつつ詳述する。各電子ビーム発生ユニット40A、40Bは、フィラメント40aから電子ビームEBを放出する電子銃(電子放出部)40bを有している。この電子銃40bのフィラメント40aは真空容器40cの収容室40dに収容されている。また電子銃40bには、電子放出駆動部40h(図5)が電気的に接続されており、制御ユニット42からの制御指令に応じて電子銃40bに与える電流値や加速電圧、電子ビームEBの放出タイミングを制御する。このように本実施形態では、制御ユニット42が本発明の「電子放出制御手段」の機能を有している。なお、「加速電圧」とは、電子ビーム利用の際に用いられる直流高電圧のことであり、電子銃内のフィラメントで構成される陰極と陽極間に加えられる高電圧と定義される。
真空容器40cには、電子通路40eが収容室40dから電子ビームEBの出射方向(この実施形態では下方向)に延設されている。そして、収容室40dと電子通路40eの連通部の周囲には、電磁偏向レンズとして機能する筒状の電磁コイル(偏向部)40fが設けられており、電子銃40bから出射される電子ビームEBを幅方向(本発明の「第1方向」に相当)Yにスキャン可能となっている。また、電子ビームEBのスキャンに対応して電子通路40eは円筒状の収容室40dとの連通部を境に、その先端に設けられた出射窓40gに向けて扇状に拡大している。すなわち、電子通路40eは幅方向Yの幅のみが徐々に拡大しており、移動方向Xの幅は一定となっている。したがって、電子通路40eの先端は幅方向(スキャン方向)Yを長手方向として細長く延びている。そして、電子通路40eの後端部が処理チャンバ41の天井中央部に取り付けられるとともに先端部がパージボックス47の中空室47cに取り付けられて電子ビーム発生ユニット40A、40Bが処理チャンバ41に対して固定配置されている。
このように構成された電子ビーム発生ユニット40A、40Bでは、電子銃40bから出射された電子ビームEBは電子通路40eを通過するとき、電磁コイル40fによってその出射方向Yが偏向される。これにより、電子ビームEBの出射軸線が幅方向(スキャン方向)Yに沿って移動する。そして、電子ビームEBは真空容器40cの先端に設けられた出射窓40gに達する。なお、この実施形態では、電子銃40bから電子ビームEBを効率的に放出させ、またエネルギー損失を抑制しながら電子ビームEBをスキャン方向Yに走査するために真空容器40c(収容室40d+電子通路40e)の内部は真空となっている。
各出射窓40gは電子銃40bから出射された電子ビームEBを真空容器40cの外部、つまり大気中へ出射するための構成要素であり、真空容器40cの先端(電子通路40eの端部)において、幅方向(スキャン方向)Yに延設された矩形形状に仕上げられている(図3(b)参照)。また、各矩形状出射窓40gは同図(a)に示すようにパージボックス47の下面中央部に形成された電子ビームEB照射用の矩形状の開口部47eに対向しており、出射窓40gから出射された電子ビームは開口部47eを通過して基板表面Wfに向けて照射される。なお、この実施形態では、同図(b)に示すように、2つの出射窓40gは電子ビーム発生ユニット40A、40Bと同様に千鳥配列されている。
また、パージボックス47の中央中空室47cの上面にはアルゴンガス供給ユニット48が接続されており、制御ユニット42からの指令にしたがってアルゴンガス供給ユニット48が作動することで中央中空室47cにアルゴンガスが供給される。この中央中空室47cの下面には、開口部47eを取り囲むようにガス供給口47fが複数個穿設されているため、上記のようにして供給されたアルゴンガスは、電子ビームEBをその側方から周囲を取り囲みながら、対向する基板表面Wfに向けて吐出される。これによって、基板表面Wfと下面プレート47aの間に形成される基板表面側雰囲気APのうち電子ビームEBが基板表面Wfに向けて照射される電子ビーム発生領域(図8の符号IR)はアルゴンガス雰囲気となる。この実施形態では、アルゴン雰囲気を形成することによって酸素濃度を略1ppmに低減させている。
パージボックス47には、図2に示すように、上記した中央中空室47cを挟み込むように上流側中空室47bと下流側中空室47dが設けられるとともに、両中空室47b、47dに対して排気ユニット49が接続されている。また、各中空室47b、47dの下面には、排気口47gが複数個穿設されており、基板表面Wfと下面プレート47aの間に形成される基板表面側雰囲気APのうち電子ビーム発生領域IR以外の領域、つまり非照射領域(図8中の符号NIR)と、各中空室47b、47dとが相互に連通されている。このため、制御ユニット42からの動作指令に応じて排気ユニット49が作動すると、非照射領域NIRが排気口47gおよび中空室47b、47dを介して排気される。
次に、上記のように構成された電子ビームキュア装置4A(4B)の動作について図6ないし図8を参照しつつ詳述する。図6は図2の電子ビームキュア装置の動作を示すフローチャートである。また、図7は硬化処理を示すフローチャートである。さらに、図8は電子ビーム発生領域の近傍を模式的に示す図である。電子ビームキュア装置4A、4Bはともに同一構成であり、各装置の動作も同一である。したがって、この実施形態にかかる基板処理システムでは、ホットプレート3による加熱処理を受けた基板Wはこれらの電子ビームキュア装置4A、4Bの一方に搬送されて以下の硬化(キュア)処理を受ける。なお、ここでは、電子ビームキュア装置4Aにおける動作について説明する。
電子ビームキュア装置4Aに搬送されてくる基板Wの表面に形成されている層間絶縁膜Fがキュア対象膜であり、電子ビームキュア装置4Aでは、層間絶縁膜Fに関する情報、例えば膜種、厚み等を制御ユニット42が取得する(ステップS1)。そして、制御ユニット42は取得情報に基づき層間絶縁膜Fに対する硬化処理を施す際の最適条件を設定する(ステップS2〜S4)。この実施形態では、最適条件として、(1)基板Wと出射窓40gとの距離D、(2)ステージ44の移動速度、(3)電子銃40bに与える電流、(4)電子銃40bに与える加速電圧の全てを基板Wに応じた値に設定している。例えば層間絶縁膜Fが低誘電率膜である場合には、
出射窓40gと基板Wとの間隔D:5〜50[mm]
ステージ44の移動速度:1〜10[mm/秒]
電子銃40bに与える電流値:1〜10[mA]
電子銃40bに与える加速電圧値:5〜70[kV]
の範囲内で上記条件(1)〜(4)をそれぞれ設定することで良好な硬化処理を行うことができる。例えば厚み200nmの低誘電率膜により層間絶縁膜Fが構成されている場合には、
出射窓40gと基板Wとの間隔D=15[mm]
ステージ44の移動速度:2.5[mm/秒]
電子銃40bに与える電流値:4[mA]
電子銃40bに与える加速電圧値:65[kV]
に設定し、次に説明する硬化処理(ステップS5)を実行することで層間絶縁膜Fを良好に硬化させることができた。なお、この実施形態では、加速電圧を65kVに設定して電子ビーム照射を行っているが、加速電圧を調整することで電子ビームの到達深さ、いわゆるドーズ深さも制御することができる。この実施形態では、加速電圧を例えば5[kV]〜70[kV]の範囲で調整することができ、加速電圧を増大させるにしたがってドーズ深さも正確に制御することができる。
この硬化処理では、基板Wが搬送されてくるまでシャッター74Aは閉じたままであるが、この間も、窒素ガス供給ユニット43から窒素ガスが処理チャンバ41の処理空間41aに供給されて処理空間41aは窒素ガス雰囲気となっている。また、処理空間41aの内圧が大気圧となるように圧力調整されている。そして、制御ユニット42はメモリ(図示省略)に記憶されているプログラムにしたがって装置各部を以下のように制御して搬送ロボット11によりホットプレート3から搬送されてくる基板Wに対して硬化処理を施す(図7)。
ホットプレート3から電子ビームキュア装置4Aに基板Wが搬送される前に、シャッター74Aが開成されて基板通過口41bが開放状態となる(ステップS501)。そして、搬送ロボット11はホットプレート3から取り出した基板Wを基板通過口41bを介して処理チャンバ41に搬入してステージ44に載置する(ステップS502)。そして、基板Wの搬入完了後にシャッター74Aが閉じられる(ステップS503)。このようにして搬入された基板Wの表面Wfには未硬化状態の層間絶縁膜Fが形成されており、次に説明する硬化処理(ステップS504〜S506)を受けることで硬化して所望特性が付与される。なお、図8では、層間絶縁膜Fのうち未硬化状態の部位を白抜きで、硬化処理中の部位を梨地で、また硬化処理後の部位を斜線で示している。
ステップS504では、アルゴンガス供給ユニット48がアルゴンガスの供給を開始して中央中空室47cおよびガス供給口47fを介して基板表面側雰囲気AP、特に電子ビーム発生領域IRおよびそれを取り囲む範囲にアルゴンガスが吐出されてアルゴンガス雰囲気が形成される。この実施形態では、電子ビーム発生領域IRを大気圧あるいは多少陽圧に調整している。また、これと同時、あるいは前後して排気ユニット49の作動が開始されて基板表面側雰囲気AP、特に非照射領域NIRが排気口47gおよび中空室47b、47dを介して排気される。なお、この実施形態では、ヒータ45への通電は基板搬入より前に開始されて基板Wの加熱が開始されて予め所定温度に昇温されているが、ヒータ45の作動タイミングはこれに限定されるものではなく、基板Wや層間絶縁膜Fの種類などのプロセス条件に応じて任意に設定することができる。
この実施形態では、特に基板Wの表面に形成された層間絶縁膜Fの膜種に応じてヒータ45による基板加熱を制御している。なお、この実施形態では、層間絶縁膜Fが連続(連結)空孔の低誘電率膜である場合には基板Wを略200゜Cに加熱し、孤立空孔の低誘電率膜である場合には基板Wを略300゜Cに加熱している。このように層間絶縁膜Fの膜種に応じた温度に基板Wを加熱しながら次に説明するように電子ビームを照射することにより、層間絶縁膜Fをより良好に硬化させることができる。
上記のようにして電子ビーム発生の前準備が完了すると、電子ビーム発生ユニット40A、40Bからの電子ビームの出射が開始され、ステージ44が駆動されて基板Wのスキャンが開始されて電子ビームによる層間絶縁膜Fの硬化処理が開始される(ステップS505)。すなわち、ステージ44は搬送ポジション(図2の破線位置)から上昇されて出射窓40gから下方にステップS2で設定された距離Dだけ離れた位置に位置決めされるのに続いて(+X)方向、つまり図2の左手側から右手側にステップS3で設定された速度で移動して基板Wが電子ビーム発生領域IRを通過する。また、ステージ44の移動動作に連動して電子ビーム発生ユニット40A、40Bが前もってステップS4で設定された電流値と加速電圧値で電子ビームを放出し、当該電子ビームをスキャン方向Yに走査しながら出射窓40gから基板表面Wfに向けて出射する。このため、図8に示すように、基板表面Wに形成された層間絶縁膜Fのうち電子ビーム発生領域IRに位置する部位(同図の梨地部分)に対してアルゴンガス雰囲気で電子ビームが照射されて硬化する。この電子ビーム発生は基板Wの移動中に連続的に行われて層間絶縁膜F全体が硬化する。
上記のように基板Wの移動により電子ビーム発生領域IRが基板表面Wfの全面に対してX方向に走査する、つまり基板表面Wf全体が電子ビーム発生領域IRを通過して基板Wが基板移動範囲MRの下流側エンドに達すると、ステージ44の移動を停止して基板移動を完了させる。この基板移動完了をトリガーとして(ステップS506)、先に電子ビーム発生ユニット40Aの作動を停止して(ステップS507)、電子ビームの照射を停止し、次にアルゴンガスの供給および排気ユニット49による排気動作が停止される(ステップS508)。また、アルゴンガスの供給および排気ユニット49による排気動作が停止されるとともに、ステージ44が上記したステージ動作と逆の動作により搬送ポジションに戻る(ステップS509)。なお、予定された全ての基板の処理が終われば、このタイミングでヒータ45を停止してもよい。このように本実施形態では、基板WをX方向に往復移動させているが、そのうち往路移動時のみに電子ビーム発生を行って層間絶縁膜Fを硬化させているため、短時間で、かつ効率的に硬化処理を実行することができる。もちろん、復路移動(図2の右手側から左手側への移動)中においても往路移動中と同様にして硬化処理を実行してもよく、層間絶縁膜Fの種類や厚みなどのプロセス条件に応じて適宜選択することができる。また、プロセス条件に応じて往復移動を複数回行ってもよい。
上記のようにして硬化処理が完了すると、シャッター74Aが開成されて基板通過口41bが開放状態となる(ステップS510)。そして、搬送ロボット11は硬化処理済の基板Wをステージ44から受け取り、処理チャンバ41から搬出し(ステップS511)、コールドプレート5に搬送する。この基板搬出後にシャッター74Aが閉じられる(ステップS512)。
こうして1枚の基板Wに対する硬化処理が完了すると、次の基板Wが搬送されてくるのを待つ(ステップS6)。そして、次の基板Wに対して処理を実行する際には、ステップS1に戻って上記した一連の処理を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、電子ビーム発生ユニット40A,40Bから電子ビームEBがスキャン方向(第1方向)Yに走査されながら基板表面Wfに照射されるとともに、当該基板Wが移動方向(第2方向)Xに移動して基板表面Wfに対して電子ビームEBが2次元的に照射される。このため、基板Wの表面に形成された層間絶縁膜Fに対して電子ビームが均一に照射されて硬化処理の均一性が確保される。また、このような電子ビーム照射を採用したことにより、基板表面への電子ビームの局所照射が防止されるため、特許文献1に記載の装置のようにEBチューブからの電子ビームを幅広く拡散させる必要がなく、比較的高強度の電子ビームを基板表面に照射することができる。その結果、従来装置に比べて処理時間を大幅に短縮することができる。例えば厚み200nmの低誘電率膜(層間絶縁膜F)に対して硬化処理を実行する場合、従来装置の処理時間は5分程度であったものが、本実施形態では2分に短縮される。また、上記実施形態では、出射窓40gと基板Wとの距離Dを基板Wに対応した値に調整した上で電子ビーム照射を行っているため、電子ビーム照射時に発生する汚染物質(有機物や炭化水素などのガス汚染成分)の影響を受けることなく、硬化処理を良好に行うことができる。
また、上記実施形態では、基板表面側雰囲気APを大気圧あるいは多少陽圧に設定した状態で硬化処理を行うことができるため、減圧状態で電子ビーム発生を行うことが必須であった従来技術に比べて汚染物質が広がるのをより確実に防止することができる。すなわち、従来装置のように処理チャンバ内を減圧すると、汚染物質は処理チャンバ内に広く拡散して内壁面に付着して蓄積汚染を引き起こしてしまう。このような蓄積汚染が発生する装置では、上記した硬化処理とは別にクリーニング処理を頻繁に行う必要があり、これがスループットの低下要因となっている。これに対し、本実施形態では、汚染物質の拡散が効果的に抑制されることから蓄積汚染を大幅に抑制することができ、クリーニング処理の実行頻度を低減することができる。その結果、装置のスループットを大幅に向上させることができる。
また、大排気量の真空ポンプを装備する必要も、また大量のアルゴンガスを供給する必要もなく、装置コストおよびランニングコストを大幅に低減することができる。
また、上記実施形態では、処理空間41aから遮断された基板表面側雰囲気APにアルゴンガスを供給してアルゴンガス雰囲気で硬化処理を行っているので、硬化処理を清浄に行うことができる一方、処理チャンバ41の処理空間41aにはアルゴンガスに比べて安価な窒素ガスを供給して雰囲気管理している。このように使用する不活性ガスの種類を使い分けることでランニングコストを抑制しつつ基板Wに対してが高い清浄度で硬化処理を行うことができる。
さらに、上記実施形態では、基板Wの移動速度および電子銃40bに与える電流と加速電圧を基板Wに応じた値に調整しているので、次のような作用効果も得られる。すなわち、上記電子ビームキュア装置により硬化処理すべき基板Wの種類は多種多様であり、基板表面に形成される層間絶縁膜Fの膜種や膜厚も異なることがある。したがって、基板Wごとに上記距離Dの最適値は異なることがある。それに加え、層間絶縁膜Fの膜種や膜厚などに応じてドーズ量を最適化する必要がある。本実施形態では、基板Wの移動速度および電子銃40bに与える電流および/または加速電圧を基板Wに応じた値に調整しているため、いずれの基板Wに対しても常に適切なドーズ量で電子ビームEBを照射することができ、電子ビームキュア装置の汎用性を高めることができる。なお、この実施形態では、移動速度、電流および加速電圧の全てを基板Wに応じて調整しているが、少なくとも一つを基板Wに応じた値に調整してもよい。例えば電子銃40bに与える電流値および加速電圧値を一定に保って電子放出を安定化させつつ基板Wの移動速度のみと調整するように構成してもよい。
(その他)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では図4に示す構成を有する電子ビーム発生ユニット40A、40Bを用いているが、電子ビーム発生ユニットの構成はこれに限定されるものではなく、電子ビームをスキャン方向(第1方向)に走査して基板表面に電子ビームをライン状に照射することができる電子ビーム発生ユニット全般を用いることができる。
また、上記実施形態では、ステージ44を移動方向(第2方向)Xに移動させているが、電子ビーム発生ユニット40A,40Bを移動方向Xに移動させてもよい。つまり、移動方向Xにおいて電子ビーム発生ユニット40A,40Bに対してステージ44を相対移動させることで上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、上記実施形態では、アルゴンガスを基板表面Wfに向けて吐出して電子ビーム発生領域IRをアルゴンガス雰囲気としているが、アルゴンガス以外の不活性ガス(例えばキセノンガスや窒素ガス等)を用いてもよいことはいうまでもない。
また、上記実施形態では、基板表面Wfに向けて電子ビームを照射して未硬化状態の層間絶縁膜Fを硬化する電子ビームキュア装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、基板表面に向けて電子ビームを照射して所定の基板処理を施す基板処理装置全般に本発明を適用することができる。
また、層間絶縁膜の誘導率(k値)を現在のk=3程度から更に下げたk=2.2〜2.4の膜、即ち、Ultra
Low−k膜を得るためLow−k膜中に空孔を発生させるようポロジェン(Porogen)等の有機物をLow−k膜中に導入し、これに電子ビームを照射し、ポロジェンを分解・ガス化して空孔を得ると同時に、水素などの末端基をガス化し、より強固な膜を得る基板処理方法にも適用することができる。
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板全般の表面に電子ビームを照射して所定の処理を実行する基板処理装置および基板処理方法に適用することができる。
この発明にかかる基板処理装置の一実施形態を装備した基板処理システムを示す図である。 本発明にかかる基板処理装置の一実施形態である電子ビームキュア装置を示す断面図である。 バージボックスを下方から見た斜視図および部分拡大底面図である。 電子ビーム発生ユニットの構成を示す断面図である。 図2に示す電子ビームキュア装置の電気的構成を示すブロック図である。 図2の電子ビームキュア装置の動作を示すフローチャートである。 硬化処理を示すフローチャートである。 電子ビーム発生領域の近傍を模式的に示す図である。
符号の説明
4A、4B…電子ビームキュア装置(基板処理装置)
40A、40B…電子ビーム発生ユニット
40f…電磁コイル(偏向部)
42…制御ユニット(速度制御手段、距離制御手段、電子放出制御手段)
44…ステージ
46b…リニア駆動部(移動手段)
47…パージボックス(雰囲気管理手段、ガス流形成手段))
48…アルゴンガス供給ユニット(雰囲気管理手段、ガス流形成手段)
49…排気ユニット(雰囲気管理手段、ガス流形成手段))
AP…(基板表面側)雰囲気
EB…電子ビーム
F…層間絶縁膜
W…基板
Wf…基板表面
X…水平移動方向(第2方向)
Y…スキャン方向(第1方向)

Claims (10)

  1. 基板を保持するステージと、
    前記ステージに保持された基板に出射窓を対向させた状態で電子放出部から放出される電子ビームを第1方向に走査しながら前記出射窓を介して大気中に出射させて前記基板の表面に電子ビームをライン状に照射する電子ビーム発生手段と、
    前記電子放出部に与える電流および/または加速電圧を調整する電子放出制御手段と、
    前記第1方向と異なる第2方向において前記電子ビーム発生手段に対して前記ステージを相対移動させる移動手段と、
    前記ステージの相対移動速度を調整する速度制御手段と、
    前記基板と前記出射窓との距離を調整する距離制御手段とを備え、
    前記距離制御手段が前記基板と前記出射窓の距離を前記ステージに保持される基板に応じた値に調整するとともに、前記ステージの相対移動速度、前記電流および前記加速電圧の少なくとも一つを前記ステージに保持される基板に応じた値に調整することを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記移動手段による前記ステージの相対移動中に、前記基板表面側で前記電子ビームの周囲から前記基板表面の雰囲気を管理する雰囲気管理手段をさらに備えた請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記雰囲気管理手段は前記基板表面側雰囲気の酸素濃度をほぼ1ppm以下に雰囲気管理する請求項2記載の基板処理装置。
  4. 前記基板表面に連続空孔を有する低誘電率膜が形成された基板を処理する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
    前記ステージは前記基板を加熱するヒータを有し、前記基板をほぼ200゜Cに加熱する基板処理装置。
  5. 前記基板表面に孤立空孔を有する低誘電率膜が形成された基板を処理する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
    前記ステージは前記基板を加熱するヒータを有し、前記基板をほぼ300゜Cに加熱する基板処理装置。
  6. 前記電子ビーム発生手段は、1つの電子ビーム発生ユニットにより構成されており、
    前記電子ビーム発生ユニットは、電子ビームを放出する電子銃と、前記電子銃から放出される電子ビームを出射窓に案内する通路が設けられた容器と、前記通路内を通過する電子ビームを前記第1方向に偏向して走査させる偏向部とを有している請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  7. 前記電子ビーム発生手段は、複数の電子ビーム発生ユニットを前記第1方向に配列して構成されており、
    各電子ビーム発生ユニットは、電子ビームを放出する電子銃と、前記電子銃から放出される電子ビームを出射窓に案内する通路が設けられた容器と、前記通路内を通過する電子ビームを前記第1方向に偏向して走査させる偏向部とを有している請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  8. 前記通路は、前記電子銃から前記出射窓側に向けて扇状に広がっており、真空雰囲気中で電子ビームを前記第1方向に走査可能となっている請求項6または7記載の基板処理装置。
  9. 電子放出部から放出される電子ビームを第1方向に走査しながら出射窓を介して大気中に出射する電子ビーム発生手段に対し、基板を前記出射窓と対向させながら前記第1方向と異なる第2方向に相対移動させることによって前記基板の表面に電子ビームを照射する照射工程と、
    前記照射工程での前記基板と前記出射窓の距離を前記基板に応じた値に調整する第1調整工程と、
    前記照射工程での前記基板の相対移動速度、前記電子放出部に与える電流および前記電子放出部に与える加速電圧の少なくとも一つを前記基板に応じた値に調整する第2調整工程とを
    備えたことを特徴とする基板処理方法。
  10. 表面に低誘電率膜が形成された基板を処理する請求項9記載の基板処理方法であって、
    前記第1調整工程では、前記基板と前記出射窓との距離を5mmないし50mmの範囲で調整し、
    前記第2調整工程では、前記相対移動速度を1mm/秒ないし10mm/秒の範囲で調整するとともに、前記電子放出部に与える電流を1mAないし10mAの範囲で、また加速電圧を5kVないし70kVの範囲で調整する基板処理方法。
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