JP2010129368A - オリフィス型温度調節用ヒーター - Google Patents

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Abstract

【課題】流通する流体を応答性良く、均一に大容量加熱でき、小型化が可能な温度調節用ヒーターを提供する。
【解決手段】本発明のオリフィス型温度調節用ヒーターは、一端側に流体入口部13を有し、他端側に流体出口部16を有し、内部を流体が流通する円筒胴11と、円筒胴11の軸方向に並設される複数のシースヒーター12を有し、内部を複数のシースヒーター12が挿通する複数の開口が設けられた複数のバッフル板18が円筒胴11の軸方向に所要間隔で複数配置されている。バッフル板18の開口とシースヒーター12とで形成されるクリアランスからなるオリフィスを流体が通過し、流体がシースヒーター12と平行に流動し、流体を所定の温度に加熱する。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体を所定の温度に調節するためのオリフィス型温度調節用ヒーターに関するものである。
従来、流体(気体や液体)を加熱するためのヒーターとして、シェルアンドチューブのような熱交換器型のヒーターが使用されてきた(例えば、特許文献1)。このタイプのヒーターは、図1に示すように、多数のチューブ型シースヒーター1の束が円筒胴(以下、シェルとも称する)2内に納められており、このシェル2内にバッフル板3を図1に示すように交互に設けた構造になっている。このタイプのヒーターでは、図示のように、流体はシースヒーター1に対してほぼ垂直方向に流れるようになっている。
上記のようなシェルアンドチューブ型ヒーターでは、ヒーターエレメントとして、シースヒーター1を採用しているので、シェル2内の流体を直接加熱することができるだけでなく、比較的大きな伝熱面積が得られるという特徴を有しているために、大容量型ヒーターとしてこれまで広く利用されてきた。また、シースヒーター1とシェル2という簡単な構造のため、伝熱面積のわりに比較的容易に製作することができることも利点であった。
しかしながら、上記のようなシェルアンドチューブ型ヒーターでは、バッフル板3間の流れは均一ではなく、流れとしてよどみの領域が存在するため、局所的に熱伝達が悪くなる。そのため、設計時において、その点を十分考慮に入れた設計を行う必要があった。また、シェル2の体積が大きくなるために、設置スペースやメンテナンススペースを大きく取る必要があり、かつ、大型化により、シェル、および、大口径のフランジ等の材料費のコストも高価になるという問題があった。
一方、日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が協力して建設した陽子加速器を利用した最先端科学研究施設である大強度陽子加速器研究施設(J−PARC)において、多岐の中性子利用実験を実現するために、核破砕反応で発生した高速中性子を超臨界圧状態の極低温水素によって冷中性子に冷却するための極低温水素循環システムに関わる技術開発が進められてきた。
極低温水素循環システムでは、陽子ビームの入射、停止時のkWオーダーのパルス熱負荷変動に対する圧力制御が重要な技術的課題であった。これは、極低温水素循環システムで供給循環している1.5MPa、20Kの超臨界圧水素は、非圧縮性の性質を有しているため、水素ループ内の僅かな温度上昇でも非常に大きな圧力上昇を引き起こすからである。
このため、上記のような極低温水素循環システムでは、ヒーターによって水素を加熱して陽子ビームによる熱負荷変化を補償し、かつ、アキュムレータによって、圧力変動に応じて水素循環システムの容積を可変させて圧力制御を行ってきた。
アキュムレータとは、水素循環ループ内に容積可変のベロー構造を有するものであり、このベローの内部には極低温水素温度においても圧縮性の性質を有するヘリウムガスが満たされている。つまり、アキュムレータとは、単相状態である超臨界圧水素内に、ベローで仕切られた圧縮性領域を設けた構造となっている。水素循環システムに大きな圧力変動が与えられても、このベローの伸縮により、水素循環システム内の圧力変動を緩和することができる。
また、本システムでは、陽子ビーム停止時において、陽子ビーム熱負荷に相当する4kWという大きな熱負荷変動をヒーターによって補償するという制御を低温水素領域において実現するためには、応答性良く、均一に大容量加熱できるヒーターの開発が必要不可欠であった。さらに、本システムは、低温システムであるので、ヒーターを真空断熱容器内に設置しなければならなかった。そのため、できるだけ小型化することもヒーター開発の重要な課題であった。
特開平8−193795号公報
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたもので、流通する流体を応答性良く、均一に大容量加熱でき、小型化が可能な温度調節用ヒーターを提供することを課題とする。
また、本発明は、特に上記のような極低温水素循環システムにおける循環水素を加熱するヒーターに用いて好適な温度調節用ヒーターを提供することも課題とする。
本発明によれば、上記課題を解決するため、第1には、一端側に流体入口部を有し、他端側に流体出口部を有し、内部を流体が流通する円筒胴と、円筒胴の軸方向に並設される複数のシースヒーターを有し、内部を複数のシースヒーターが挿通する複数の開口が設けられた複数のバッフル板が円筒胴の軸方向に所要間隔で複数配置され、バッフル板の開口とシースヒーターとで形成されるクリアランスからなるオリフィスを流体が通過し、流体がシースヒーターと平行に流動し、流体を所定の温度に加熱することを特徴とするオリフィス型温度調節用ヒーターを提供することができる。
また、第2には、上記第1の発明において、シースヒーターのシース管を上部フランジと溶接により固定したことを特徴とするオリフィス型温度調節用ヒーターを提供することができる。
また、第3には、上記第1または第2の発明において、最下端のバッフル板に、シースヒーター振れ止めのための複数の鍔部を有する振れ止め金具を設けたことを特徴とするオリフィス型温度調節用ヒーターを提供することができる。
また、第4には、上記第1ないし第3のいずれかの発明において、下端に流体入口部が設けられ、上端近傍の円筒胴側面に流体出口部が設けられていることを特徴とするオリフィス型温度調節用ヒーターを提供することができる。
さらに、第5には、上記第1ないし第4のいずれかの発明において、シースヒーター電極部を円筒胴の外側に設けたことを特徴とするオリフィス型温度調節用ヒーターを提供することができる。
本発明によれば、流体の流動領域に、バッフル板の開口とシースヒーターとで形成されるクリアランスからなるオリフィスを設けることにより、流体の流速が局所的に上昇し、かつ、ヒーター表面に形成される温度境界層が撹絆されるため、熱伝達の促進が可能となり、その撹拌効果によって流体を均一に加熱することができるようになる。
また、本発明によれば、シースヒーターに開口を設けたバッフル板を複数枚通した非常に簡易な構造であるため、従来のシェルアンドチューブ型ヒーターに比べて、非常に小型化することができ、かつ、大容量の加熱を行うことができ、製作コストも軽減できる。
また、本発明のオリフィス型温度調節用ヒーターは、小型化により、スペースの制約を受けることなく設置でき、たとえば、極低温用のヘリウム冷凍機の断熱真空容器内に設置するヒーターに適している。
また、本発明では、ヒーターエレメントとしてシースヒーターを採用したため、流体を直接加熱し、かつ、オリフィス効果により流体を均一に加熱できるので、温度応答性が良く任意の温度に調節可能である。
さらに、本発明のオリフィス型温度調節用ヒーターは、気密構造を維持でき、高温から極低温領域にいたるまでの高圧条件下で、使用することができるため、高圧ガス保安法の対象機器としての利用が可能である。
以下、本発明によるオリフィス型温度調節用ヒーターの実施形態について詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係るオリフィス型温度調節用ヒーター(以下、温度調節用ヒーターまたはヒーターとも称する)の内部構造を示す斜視図であり、ヒーター容器が半分カットされた状態を示している。図3は、同温度調節用ヒーターのバッフル部分での断面図である。ここでは、温度調節用ヒーターを前記した極低温水素循環システムにおける熱補償用ヒーターに適用した場合を例に説明する。
本実施形態の温度調節用ヒーターでは、長尺の円筒胴(シェル)11内に、シェル11の軸方向に複数(本例では20本)のシースヒーター12が並設されている。シェル11の下端は流体入口部13以外の部分が底壁14で閉塞されており、上端には上部フランジ15が設けられ、上部フランジ15のやや下寄りのシェル11の側壁には流体出口部16が設けられている。円形の複数の開口17を有する円板状の複数のバッフル板18がシェル11の軸方向に所要間隔で配置され、バッフル板18の複数の開口17を複数のシースヒーター12が挿通するようになっている。図3に示すように、バッフル板18の開口17とシースヒーター12はクリアランスを形成している。このクリアランスを本明細書ではオリフィス(絞り機構)19と称する。シェル11、シースヒーター12のシース管、底壁14、上部フランジ15は同じ材質のステンレス鋼で形成されている。
シースヒーター12のシース管と上部フランジ15は溶接により固定され、シースヒーター12の上端にある電極部を有する端子箱20は上部フランジ15の上方に配置され、流体部と接触しないようになっている。また、バッフル板18に設けた開口17とシースヒーター12のクリアランスを所定幅に確保し、かつ、シースヒーター振れ止めの対策として、最も下方のバッフル部には、図4に示すように、3点接触型の鍔型振れ止め金具21を設けている。また、バッフル板18には、別の開口が設けられ、この開口をバッフル支持棒22がはめ込まれ、最下端のバッフル部のところでナットで締め付け固定されている。このバッフル支持棒22にはバッフル間隔と同じ長さの円管(支持棒より内径の大きい配管)がはめ込まれバッフル間隔を任意に調整できるようになっている。さらに、本実施形態の温度調節用ヒーターは気密性が確保されたものとなっている。
本実施形態で採用したシースヒーター12は、シース管内にヒーター素線としてニクロム線が配置されたものであり、前述した従来型のシェルアンドチューブ型ヒーターで用いているシースヒーターと同様に、流体を直接加熱することができるため、応答性に優れている。シェル11内に複数配置したシースヒーター12に対して、流体を平行に流動させることにより、シェル11内において均一な流動分布が形成される。さらに、流体出口部16の部分から上部フランジ部15までの領域は、シースヒーター12のヒーターエレメントは非加熱部とし、この領域における熱流体の滞留を防止できるようになっている。
上記構成の温度調節用ヒーターでは、対象流体である超臨界圧水素がシェル11下側の流体入口部13から流入し、シースヒーター12に対して平行に流れ、この上部フランジ15近傍のシェル11側面の流体出口部16から流出する。シェル11内において、超臨界圧水素がバッフル部を通過する際、オリフィス19により局所的に絞られ、流速が上昇し、かつ、それまでヒーター表面に形成されて発達した温度境界層は、そのオリフィス19により、一旦、初期化されるために、熱伝達が向上し、大容量の加熱が可能となる。そのため、シースヒーターの表面熱流束(単位面積あたりの熱量)を大きく設計することができ、ヒーターエレメントの数は少なくなり、小型化が可能になる。また、オリフィス19による撹拌効果により、シェル11の半径方向の温度分布を小さくすることができるので、流体を均一に加熱することができる。
次に、具体的なオリフィス型温度調節用ヒーターの設計例について述べる。この設計例は、後ほど述べるシミュレーションに基づいて設計されたものである。
本実施形態のオリフィス型温度調節用ヒーターが適用される極低温水素循環システムでは、前記したように、1.5MPa、20Kの超臨界圧水素を強制循環し、閉サイクルが形成されるようになっている。そして陽子ビームの入射・停止に伴い、大きな圧力変動が与えられることから、アキュムレータによる容積制御と水素加熱用ヒーター(本温度調節用ヒーター)による熱補償が行われる。
図5に示すように、1.5MPaの超臨界圧水素の密度の温度依存性として、28K以上で密度の減少傾向は大きくなり、擬臨界温度(33K)付近での変化は非常に大きい。超臨界圧水素をヒーターにより加熱する場合、ヒーター表面近傍温度が擬臨界温度近くになると、このような密度の急激な変化により、流動不安定性を引き起こす可能性がある。そのため、ヒーターの設計条件として、最大表面温度を28K以下とした。そこで、設計の初期段階として、非沸騰域で一般的に使用されている強制対流熱伝達の相関式であるDittus-Boelter式を用いて、定格状態(流量160g/s)における超臨界圧水素(1.5MPa、20K)中での強制対流熱伝達を評価した。その結果を図6に示す。図6中の斜線で示された領域が、表面温度28K以下という設計条件を満足するためのヒーターエレメントの表面熱流束となる。したがって、水素循環システム用のヒーターは、5kWの熱入力時においてヒーターエレメント表面熱流束が5×10W/m以下になるように設定した。また、極低温水素循環システムにおける圧力損失、および、循環ポンプの特性を考慮にいれて、ヒーター容器内で発生する許容圧力損失を1kPa以下となるようにした。
シェル11は内径133mm(外径139.8mm)、全長1600mmのステンレス製の円管を用い、ヒーターへの流体入口部13および流体出口部16の流入流出配管は循環ループの主配管と同サイズである32A(内径38.7mm)とした。
ヒーターエレメント表面熱流束が5×10W/m以下になるように、シース管がステンレス鋼製のシースヒーター12の寸法を外径12mm、長さ1340mmとし、全20本を図2、図3に示すように並列に配置した。
シースヒーター電極部は流体部と直接接触しない構造にした。これは、可燃性流体である水素に対する防爆対策、および、1.5MPaの高圧条件下で用いるため、高圧ガス保安法に準拠した気密構造の維持が必要であるためである。
φ12mmのヒーター径より大きいφ16mmの開口17を20個開けたステンレス鋼製のφ130mmのバッフル板18をシースヒーター長さ方向に100mm間隔で配置した。
バッフル板18のφ16mmの開口17にヒーター径φ12mmのシースヒーター12をそれぞれ挿通させ、幅2mmのクリアランスからなるオリフィス19を形成した。
ヒーターエレメント部とシェル11はメンテナンス性を考慮に入れて、フランジ構造とした。ただし、低温領域での気密性を確保するために、シール材としてアルミニウムのメタルOリングシールを採用した。
バッフル板18の支持のために、上部フランジ15から3箇所ねじを切ったステンレス鋼製のバッフル支持棒22(φ8mm/M6)を設置した。バッフル間隔と同じ長さの円管(バッフル支持棒22より内径の大きい6A配管)をそれらのバッフル支持棒22にはめ込むことにより、バッフル間隔を任意に調整できるようにし、最下端のバッフル部においてナットで締め付け固定した。また、バッフル板18に設けた開口17とシースヒーター11のクリアランスを確保するために、最下端のバッフル部に3点接触型の鍔を有するステンレス鋼製の触れ止め部金具21を設けた。
本実施形態の温度調整用ヒーターは低温システムに適用されるため、断熱真空容器内に設置される。そのため、端子箱20の放電対策として、端子箱20については樹脂でうめた。
材料の熱収縮を考慮して、シースヒーター12とバッフル板18との接触、および、シェル11とバッフル板18間の接触や過度のクリアランスを避けるために、上記のように、各部材は全て同一材質にした。
ここで、温度調整用ヒーターの設計手順の一例について述べる。なお、ここでは、流体が一般の液体と気体の場合を例にする。
(1) 使用流体、使用圧力(P)、使用温度(Tin)を決める。
(2) 液体であれば使用圧力における飽和温度(Tsat)を求める。
(3) 液体の場合、サブクール度ΔTL (=Tin−Tsat)、または、ヒーター加熱上限温度THとの使用温度との差(TH−Tin)の小さい方をヒーターの最大表面温度上昇度とする。気体の場合は、後者のみとなる。
(4) 必要な熱入力量を決める。Q(W)
(5) ヒーターの表面積を決める。S(m
(6) ヒーター表面熱流束q(W/m)をQ/Sから算出する。
(7) 流速は循環流量(既知の場合)とヒーターのシェル(円筒胴)の断面積から求め、Re(レイノルズ数)を評価する。なお物性値は使用温度、圧力条件下のもので構わない。
(8) 一般的な強制対流熱伝達表示式であるDittus-Boleterの式を用いて温度上昇(T:ヒーター表面温度)を評価し、上記(3)で設定した温度以上にならないように、流量を増やすか、または、ヒーター表面熱流束を下げる(つまり、ヒーター表面積を増加させる、または、シースヒーター1本あたりの入熱量を下げる)。ただし、これは平均温度Tであるため、入口温度Tinを用いて図7のようにヒーター長さ方向に対するヒーターの局所的な表面温度を近似する。この外挿線を用いて、許容最大温度上昇(a)からバッフル間隔lbuffを決定する。
(9)バッフル部の開口径について:1)開口径を適当に決める。2)オリフィス部を通過する際の流速を求める(有効オリフィス断面積とシェルとの断面積比で)。
*有効オリフィス断面積とは、開口径とシースヒーター径との間のクリアランスの面積である。3)ベルヌーイの定理より、オリフィス部で局所的に圧力が降下を評価する。これは、オリフィス部での圧力が使用温度における飽和圧力以下になるとキャビテーションの発生原因となるからである。4)、3)に示すように飽和圧力以下になれば、開口径を大きくする対策を施す。
次に、上記設計例のオリフィス型温度調節用ヒーターの特性についてシミュレーションにより評価した。評価には、汎用の熱流体解析プログラムSTAR−CDを用いた。
本発明者らは、水素と同じ低温流体である液体窒素を用いて単純な形状(円管)において、サブクール状態から超臨界圧に至るまでの広範囲の圧力、温度、流速の条件下における強制対流熱伝達を計測し、多くの実験データを取得した。さらに、液体窒素の強制対流熱流動現象を把握するために、取得した実験データと同一条件下で数値解析を行い、かつ、解析コードの妥当性を検証した。ここで行った乱流モデル、および、パラメータを用いて、オリフィス型ヒーター内の設計熱負荷5kW時における温度分布を数値解析により求め、極低温水素循環システム用のオリフィス型ヒーターの最適形状を決定した。
図8に、流体入口部13から定格流量である160g/sに相当する流速1.87m/sの流速で20K、1.5MPaの超臨界圧水素を流入させた場合の本温度調整用ヒーター内での流速分布を示す。
バッフル板18を通過する際、バッフル板18に設けたオリフィス19により、局所的に流速が増加し、約1m/sに達している。オリフィス19を通過後、流体の拡がりの影響のために、流速は徐々に低下している。バッフル板18から5mm離れた地点では、0.7m/sになり、バッフル板18とバッフル板18の中間部においては、シェル断面平均流速である0.2m/sまで減少している。このように、設計時に予測したように、各バッフル板18間において、ほぼ同じような流速分布が繰り返し形成されていることがわかった。
図9に、この時の圧力分布を示す。図9には流体出口部16を基準圧力1.5MPaとしたときの上昇分を示している。本温度調整用ヒーターのヒーター容器内の圧力損失は約640Paである。また、ヒーター容器から流体出口部16へ流路が収縮する際に生じる圧力損失はヒーター容器内で発生する圧力損失の半分の約300Paが発生しているが、本温度調節用ヒーター全体として、設計条件である1kPa以下になることが確認された。
図10に、5kW熱負荷時における温度分布を示す。シースヒーター12の長さ方向に温度境界層は発達しているが、バッフル部において局所的に流路を狭めているため、温度境界層外の主流の流体との温度境界層内の過熱液との撹拌がおこり、一時的に温度境界層の初期化が行われている。バッフル通過後、シースヒーター表面近傍には再び温度境界層が発達するが、次のバッフル部で、再び撹拌されている。その結果、図11に示すように、バッフル部において、各々のシースヒーター表面温度は、その地点における主流の温度まで降下し、バッフル−バッフル中間部で最も温度が高くなるが、その温度上昇は、バッフル部に比べて3K程度に抑制できている。定格時において、20Kの超臨界圧水素が流入した場合、本温度調節用ヒーター内の最大温度は26.6Kであり、設計条件を十分満足することが確認できた。温度境界層外部とバルク液との撹拌効果により、シェル11内の流体を均一に加熱できることが解析により確認できた。また、流体出口部16がある部分から上部フランジ部15の空間において、シースヒーター12を非加熱部にすることによって、設計どおり、熱流体の滞留は起こらないことも確認できた。
以上、本発明を一実施形態に基づいて説明したが、上記実施形態に限定されず、種々の変形、変更ができることはいうまでもない。
また、本発明は、上記の極低温水素循環システム以外の下記に例示する各種の用途に適用される。
本発明は、大型ヘリウム冷凍機や液化機の温度調節用大容量ヒーター、水素液化設備、低温水素循環設備の温度調節用大容量ヒーター、電気ボイラー、温水加熱、原子炉等の実験用としての大容量ヒーター、空気加熱器(乾燥用)化学薬品製造ラインの温度調節用ヒーターなど全般的な流体(気体・液体)加熱用ヒーターに利用が可能である。
従来のシェルアンドチューブ型ヒーターの説明図である。 本発明の実施形態に係るオリフィス型温度調節用ヒーターの内部構造を示す斜視図であり、ヒーター容器が半分カットされた状態を示す。 上記オリフィス型温度調節用ヒーターのバッフル部分での断面図である。 シースヒーターの振れ止め用金具の平面図である。 1.5MPa超臨界圧水素の密度の温度依存性を示すグラフである。 ヒーターエレメントの設計条件の説明図である。 オリフィス型温度調節用ヒーターの設計においてバッフル間隔を決定するための説明図である。 上記オリフィス型温度調節用ヒーターのヒーター容器内に超臨界圧水素を流入させた場合の流速分布を示す図である。 上記オリフィス型温度調節用ヒーターのヒーター容器内に超臨界圧水素を流入させた場合の圧力分布を示す図である。 上記オリフィス型温度調節用ヒーターのヒーター容器内を5kWの熱負荷で流動する超臨界圧水素の温度分布を示す図である。 各シースヒーターの表面温度分布を示す図である(5kWの熱負荷時)。
符号の説明
11 円筒胴(シェル)
12 シースヒーター
13 流体入口部
14 底壁
15 上部フランジ
16 流体出口部
17 開口
18 バッフル板
19 オリフィス(絞り機構)
20 端子箱
21 シースヒーター振れ止め金具
22 バッフル支持棒

Claims (5)

  1. 一端側に流体入口部を有し、他端側に流体出口部を有し、内部を流体が流通する円筒胴と、
    円筒胴の軸方向に並設される複数のシースヒーターを有し、
    内部を複数のシースヒーターが挿通する複数の開口が設けられた複数のバッフル板が円筒胴の軸方向に所要間隔で複数配置され、
    バッフル板の開口とシースヒーターとで形成されるクリアランスからなるオリフィスを流体が通過し、流体がシースヒーターと平行に流動し、流体を所定の温度に加熱することを特徴とするオリフィス型温度調節用ヒーター。
  2. シースヒーターのシース管を上部フランジと溶接により固定したことを特徴とする請求項1に記載のオリフィス型温度調節用ヒーター。
  3. 最下端のバッフル板に、シースヒーター振れ止めのための複数の鍔部を有する振れ止め金具を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のオリフィス型温度調節用ヒーター。
  4. 下端に流体入口部が設けられ、上端近傍の円筒胴側面に流体出口部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のオリフィス型温度調節用ヒーター。
  5. シースヒーター電極部を円筒胴の外側に設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のオリフィス型温度調節用ヒーター。
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