JP2010128815A - 情報配信システム、情報配信サーバ、及びプログラム - Google Patents

情報配信システム、情報配信サーバ、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】移動体端末から送付されてくる位置情報を基に移動体端末保有者の状況を推定するシステムにおいて、利用者の個性を反映した状況推定や、端末操作のために停止しているなどの特殊な状況を正しく判別を行う。
【解決手段】移動体端末は定期的に測位を実施し、その測位結果と、測位時刻と十分近い時刻の端末操作状況のコードとを移動軌跡解析サーバに送信する。移動軌跡解析サーバでは、過去の測位データをも用いて状態判別を行うことにより、高精度な判定を行う。また、端末操作状況コードをもとにした状態判別処理を実行することにより、さらに判別精度が向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動体端末に情報を配信する情報配信システム、情報配信サーバ、及びプログラムに関し、特に、例えば移動体端末の測位データの解析する技術に関するものである。
近年、移動体端末において、現在位置に関連づけて様々な処理を実行したり、機能を呼び出したりすることが考え出されている。例えば、特許文献1は、所定の機能呼び出しを行った地点・時刻を記録しておき、ある地点・時刻において頻繁に呼び出される機能は呼び出しやすくなるように設定する技術を開示している。これによれば、移動体端末の保有者が現在いる地点とその時刻に基づき最適な情報提示が可能である。
また、特許文献2は、位置情報と測定時刻を関連づけて保存することにより移動速度を計算し、電車・自動車・徒歩などの移動状況を判別し、それに基づき適切なサービスを自動選択する技術を開示している。これによれば、移動体端末の保有者が歩行中の場合には情報提示を控え、電車にて移動中には次の駅周辺の情報を提示するなどの最適化が可能となる。
さらに、特許文献3は、移動体端末の位置と時刻を対応づけて記録しておき、地図データと照合することにより移動体端末保有者がいた場所の地名等を用いた行動履歴表や日報を自動生成することを開示している。これによれば、移動体端末保有者の現在地の地名等に関連した情報を提示するなどの最適化が実現できる。
特開2003−022229号公報 特開2006−292596号公報 特開2003−030375号公報
しかしながら、現在地のみの情報に基づく状態推定だけでは、個人の嗜好やその地点に至るまでの経緯に基づく最適化が困難である。このため、例えば、通過駅周辺の情報が駅毎に提示されるなど、過多な情報提示となってしまったり、逆に過小な情報提示となってしまったりすることが考えられる。
また、地図情報との関連づけを利用して移動体端末保有者が立ち寄った施設などに関する情報提示を行うことができるが、移動体端末自身の情報は地図情報に含まれていないため、判断を誤ることがある。例えば、歩行中に携帯電話に電話がかかってきた際に道端によけるなどした場合でも、立ち寄りと誤って判別してしまうこともある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、移動体端末の移動軌跡に基づいて、適切に移動体端末保有者の状態を推定することのできる仕組みを提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明では、移動体端末と、この移動体端末に対して情報を配信する情報配信サーバと、を含む情報配信システムが提供される。ここで、移動体端末は、この端末の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、ネットワークを介して位置情報と当該位置情報の取得時刻を情報配信サーバに送信し、情報を受信する通信部と、を備える。一方、情報配信サーバは、処理対象の移動体端末から、ネットワークを介して現在位置情報と位置情報の取得時刻を受信する受信部と、位置情報と位置情報の取得時刻を関連付けて蓄積する移動軌跡情報蓄積データベースと、移動軌跡情報蓄積データベースに蓄積された位置情報(複数の異動端末からの位置情報)を集計し、複数の移動体端末の移動に関する統計情報を生成する移動体統計処理部と、処理対象の移動体端末の位置情報と統計情報とに基づいて、当該処理対象の移動体端末の将来の状態を推定して状態推定情報を生成する推定情報生成部と、生成した状態推定情報を、ネットワークを介して処理対象の移動体端末に送信する送信部と、を備える。
さらに、移動体端末は、位置情報の取得時刻近傍における移動体端末の操作状態に関する情報を取得する操作状態情報取得部を備える。この場合、通信部は、操作状態に関する情報を情報配信サーバにさらに送信する。一方、情報配信サーバにおいて、受信部は、操作状態に関する情報をさらに受信し、移動軌跡情報蓄積データベースは、位置情報と位置情報の取得時刻と操作状態に関する情報を関連付けて蓄積する。また、推定情報生成部は、操作状態に関する情報に基づいて処理対象の移動体端末が所定の操作状態にあるか否かを判断し、所定の操作状態にある場合に、処理対象の移動体端末の位置情報と統計情報とに基づいて、処理対象の移動体端末の状態推定情報を生成する。なお、処理対象の移動体端末が過去の一定時間内に操作があった場合には操作状態にあると判断するようにしてもよい。
さらに、情報配信サーバは、移動体端末を操作するユーザの状態候補を示す状態候補情報と、第1の状態から第2の状態への遷移確率を示す因果関係情報と、ユーザの状態の履歴情報と、を格納する動線統計データベースを備える。この場合、状態推定情報生成部は、処理対象の移動体端末が所定の操作状態にない場合に、処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて、動線統計データベースから状態候補情報と、ユーザの状態の履歴情報と、履歴情報に含まれる状態から状態候補情報に示される状態についての因果関係情報と、を取得し、得られた因果関係情報に含まれる遷移確率に基づいて最尤の状態を状態推定情報とする。
さらに、状態推定情報生成部は、ユーザの状態の履歴情報及び処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて最尤の状態となる予測時刻を生成する。
なお、移動軌跡情報蓄積データベースは、処理対象の移動体端末について、過去の一定時間の位置情報を1レコードとして蓄積したものである位置データキューを有している。
さらなる本発明の特徴は、以下本発明を実施するための最良の形態および添付図面によって明らかになるものである。
本発明によれば、移動体端末の状態を適切に推定することができる。よって、情報配信の際、移動体端末の操作のための立ち止まりと、地物に興味がある場合の立ち止まりとを正確に区別でき、また、利用者の興味のある内容を適切に推薦することができるようになる。
また、道に迷うなどの理由で立ち止まっている利用者に対してのみ情報提示する場合に、誤って移動体端末を操作中の利用者にまで情報提示してしまわないように制御が可能となるなど、より適切な情報提示が可能となる。
本発明は、移動体端末において、現在位置に関連づけて利用者の状況を判別することにより最適な情報提供を実施する技術である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
<位置情報サービスシステムの構成>
図1は、本発明の実施形態による位置情報サービスシステムの概略構成(例)を示す図である。図1に示されるように、当該システムは、測位機能と通信機能を持つ1以上の移動体端末101と、移動体端末101からの通信を受け付ける機能をもつアプリケーションサーバ102と、屋内外の地図データへのアクセス機能をもつ地図情報サーバ103と、移動体端末から送信されてきた測位データを解析する機能を持った移動軌跡解析サーバ104と、から構成される。
移動体端末101は、測位機能及び通信機能を持つ可搬性のある小型端末であり、音声を出力するスピーカーや画像表示を行うスクリーンなどを通した情報提示機能を有するコンピュータを用いることができる。ただし、車載コンピュータ機器のように小型でない装置であっても、その位置が変化しうる装置であればどのような装置にも適用できる。また、アプリケーションサーバ102、地図情報サーバ103、移動軌跡解析サーバ104は汎用のコンピュータであり、演算処理を実施できる装置を用いて実施する。ただし、アプリケーションサーバ102、地図情報サーバ103、移動軌跡解析サーバ104は概念的には区別されているが、実体として分割されている必要はなく、一台のコンピュータなどを用いて実施してもよい。
移動体端末101が持つ測位機能としては、GPSなど、衛星から受信できる信号を用い現在位置座標を計算する方法を用いることができる。他の方法としては、例えば移動体が電波を発信し周囲に設置された受信機がそれを受信することにより位置を計測する方法や、移動体端末が信号を受信しその結果を外部へ問い合わせることにより座標演算を行わずに座標値を得る方法などがあるが、本発明においては移動体端末を識別できる情報とその端末の座標値を組み合わせて送信可能な測位手段であればどのような方法を用いてもよい。
アプリケーションサーバ102は、移動体端末101から送付されてくる測位データなどを受け取り、それに応じた情報を返答する機能を有する。アプリケーションサーバ102が持つ機能の例としては、移動体端末保有者を対象とした道案内の機能や、現在地周辺の店舗情報を検索する機能などがある。本発明においては、このアプリケーションサーバはどのような機能をもっていてもよく、移動体端末から測位データを受信できさえすればよい。
地図情報サーバ103は、地図データの検索や画像生成などの機能をもったGIS(Geographical Information System)エンジン105とGISエンジンが参照する地図データベース106を有している。アプリケーションサーバ102や移動軌跡解析サーバ104は地図情報サーバ103にアクセスすることによりGISエンジン105の機能を呼び出すことができ、それにより地図情報の取得ができるようになっている。
移動軌跡解析サーバ104は、アプリケーションサーバ102からの測位データ(位置データ)を受け取る測位データ受信部107と、受け取った測位データを蓄積する移動軌跡データベース108と、当該移動軌跡データベース108を統計処理し、統計データへと変換する動線統計処理部109と、動線統計処理部109の処理結果を蓄積する動線統計データベース112と、測位結果と動線統計データベースを照合することにより、現在の移動体端末の状態を識別する移動体状態判別部110と、移動体状態判別部110の判別結果を基に移動体端末101が必要とする推定データなどを生成し配信する動線統計情報配信部111と、を備える。移動軌跡解析サーバ104は、アプリケーションサーバ102から測位データを受け取り、測位データ受信部107に渡すことにより移動軌跡を蓄積し、統計解析結果と照合して移動体に関する推定情報を生成・返送する。
<情報通信のシーケンス>
図2は、図1の位置情報サービスシステムにおいて実行される情報サービスの通信シーケンスを示す図である。本サービスは、移動体端末101がアプリケーションサーバ102へ定期的に測位データを送信することによって、提供されるようになる。アプリケーションサーバ102は、移動体端末101から測位データを受信する度に地図情報サーバ103や移動軌跡解析サーバ104と通信し、サービスの機能を提供することができる。
図2において、最初に、移動体端末101がアプリケーションを起動する。この際、アプリケーションサーバ102の提供する機能によっては、アプリケーション起動コマンド201がアプリケーションサーバへと送付される。例えば、会員登録の認証などによって移動体端末101の起動と同時にアプリケーションサーバ102が動作しなければならない場合、このアプリケーション起動コマンド201が送付されることになる。なお、本コマンドの送付はない場合もある。
次に、移動体端末101においてアプリケーション操作が実行される。この際、アプリケーションサーバ102の提供する機能によっては、アプケーション操作コマンド202がアプリケーションサーバへと送付される。例えば、ナビゲーション機能における目的地設定や経路探索などではアプリケーションサーバ102は移動体端末101と通信を繰り返す。ここでは、この通信をアプリケーション操作コマンド202としている。本コマンドの送付はない場合もあるし、複数の通信からなっている場合もある。
以上の処理により通信準備が完了すると、移動体端末101は、定期的に測位を実施し、その結果をアプリケーションサーバへ102送信する。送信は測位結果送信コマンド203を送信することにより実行される。
次に、アプリケーションサーバ102は、測位結果送信203を受けると、測位送信データ300を基に生成される測位データ変換コマンド204を地図情報サーバ103に送信し、測位データの変換を要求する。測位データ変換コマンド204には測位送信データ300と同等の情報が含まれており、地図情報サーバ103が送信されてきた測位データの測位モード302を基にX座標303およびY座標304などを測位手段などによらない統一した形式に変換する。例えば、屋内の計測結果が屋内の直交座標系で、屋外の測位結果が緯度経度にて、それぞれ送信されてくる場合には、どちらも緯度経度系に変換する。あるいは、測位手段が他の対応表を検索せねばならないものである場合(例えば、受信できる電波強度と座標値の対応表を引くような場合)では、送信されてきた測位データを座標値に変換する処理が実行されることとなる。ここでは、測位データ変換処理2により統一した座標系に変換されたデータを位置データと呼ぶこととする。変換により得られた位置データは、アプリケーションサーバ102に送信される。
続いて、アプリケーションサーバ102は、地図情報サーバ103から取得した位置データを移動軌跡解析サーバ104へ送信する(205)。そして、移動軌跡解析サーバ104は、地図情報サーバ103に地図データを要求し(206)、地図データを取得する。また、移動軌跡解析サーバ104は、当該移動体端末の移動状態を判別し(207)、推定情報を生成する(208)。この移動状態判別処理や推定情報生成処理の詳細については後述する。
移動軌跡解析サーバ104は、生成した推定情報(推定結果)をアプリケーションサーバ102に送信する。
一方、アプリケーションサーバ102は、地図情報サーバ103に対して、地図データを要求し(209)、地図データを取得する。そして、アプリケーションサーバ102は、取得した推定結果と地図データとを合成して移動体端末101に送信する。
<測位結果送信コマンドのデータ内容(例)>
図3は、測位結果送信コマンド203にて送付されるデータ形式の例300を示す図である。測位送信データ300は、移動体端末の識別子であるID301と、測位手段を示すコードである測位モード302と、測位結果のX座標303と、測位結果のY座標304と、測位が行われた時刻305と、端末の操作状態を示す端末操作状態コード306とを含んでいる。なお、本発明の特徴の1つは端末操作状態コード306にある。端末操作状態コード306は測位が行われた時刻に十分近い時刻の端末の操作状態を示すコード値であり、例えば310に示すようなコード体系を用いることができる。この例では端末の操作状態を4パターンに分類しているため、2bitのデータにて操作状態を記述することができている。このように、本発明による送付データ量の増大はごく僅かで済む。
<移動体端末での処理シーケンス>
図4を参照して、測位データを送信するまでの移動体端末101での処理シーケンスについて説明する。移動体端末101は通常はメイン動作プロセス401にて動作している。測位機能の操作が完了し、測位が開始されるとバッファ確保の処理が実行され操作状態バッファ402が立ち上がる。その後、測位機能起動405により測位結果通信プロセス404が起動する。測位結果通信プロセス404は定期的に測位状態取得406を操作状態バッファ402に問い合わせるとともに、測位407を実行する。測位結果通信プロセス404は両者の結果を組み合わせることにより、測位送信データ300を生成し、アプリケーションサーバ102へ測位結果送信コマンド203として送信する。このとき、測位結果通信プロセス404とは別にメイン動作プロセス401は動作しており、移動体端末の操作状態に応じて操作状態更新401にて操作状態が書き換えられる。したがって、測位結果通信プロセス404はメイン動作プロセス401の動作状態に応じた端末操作状態コード306を測位送信データ300に付与できることとなる。
<移動軌跡解析サーバの動作(全体)>
図5は、位置データ受信後の移動軌跡解析サーバ全体の動作を示す図である。位置データは、移動軌跡データベース108を経由し移動状態判別部110へと渡される。移動体状態判別部110は動線統計データベース112を参照し、移動体の状態を推定、その結果が動線統計情報配信部111から返送される。
また、上記手順とは別に、動線統計処理部109は、移動軌跡データベース108を基に、動線統計データベース112を構築する。この構築処理は、例えば夜間のバッチ処理などリアルタイムではない処理として実行されるなどしてもよいし、リアルタイムに実行してもよい。ただし、リアルタイムに実行する場合、処理時間がかかることが予測されるので、動線統計データベース112の補正処理にするなどの計算量を削減する工夫が必要である。
移動軌跡データベース108は、更新された位置データキューを取得する。この位置データキューのレコードは移動状態判別部に送信される。移動状態判別部110はこの位置データキューのレコードと動線統計データベース112を照合し、移動体端末の状態を判別する。なお、位置データの内容や一データキュー、移動状態判別処理については後述する。
<位置データに関する処理>
図6は位置データ受信の手順を示す図である。測位(位置)データ受信部107は位置データを受け取り(601)、それをそのまま移動軌跡データベース108に蓄積する(602)。この際、移動軌跡データベースに含まれる位置データキューの取得、更新も実行する(603)。
図7は、上記処理で使用される移動軌跡データベースのデータ構造の例を示す図である。位置データテーブル700は位置データをそのまま格納するテーブルである。この例では、測位結果の座標値はすべて緯度702及び経度703に変換されている。また、端末の識別子301はそれを保持するユーザの識別子701に変換されている。他方、時刻705、端末操作状態コード706は変換されていない。データの変換に関しては、どのデータをどのように変換してもよいが、測位データを統一的に扱えるように変換しておくことにより、その後の処理にて別途の変換を行わなくともよくなり、計算処理が削減できるという利点がある。
また、位置データテーブルには位置データキュー707も含まれている。位置データキュー707は、ユーザ毎に過去数秒、もしくは数点程度の位置データを貯めておくためのテーブルである。位置データキュー707の構成要素は、ユーザを識別するID708、過去のデータ列である座標値列709、データ列の開始時刻710、およびその近辺の操作状態を示す操作状態コードの配列711である。
位置データキューの取得・更新処理603の具体例を図8に示す。Step1では、位置データテーブル700のユーザID701の値が位置データキュー708と一致するレコードを検索する。次にStep2として、該レコードの各カラムの先頭に位置データから追加し、末尾のデータを除去する処理を行う。最後にStep3として位置データキュー707の該レコードを更新する。この手続きにより、運用時間が経過してもキューのデータサイズが増大せずに済むという利点がある。なお、このデータ構造は一例であり、過去数秒の位置データが取得できる方法であればどのような方法でもよい。
<状態判別処理>
図9は、状態判別処理を説明するためのフローチャートである。なお、当該フローチャートの各ステップの処理主体は移動体状態判別部110である。
状態判別の処理では、まず位置データキューの端末操作状態コード711を基に、端末操作状態コードと状態判別結果の対応表に基づいた判別を行う。例として端末操作状態コード体系が310のときの方法を以下に示す。第1の方法としては、最新の操作状態コードから判別する方法であり、コード値=1(図3参照)、すなわち操作なしの場合には判別不能とし、それ以外の場合には端末操作中という判別結果とする方法がある。この方法は処理ステップが少ないため高速に処理が実行できるという利点がある。第2の方法としては、位置データキューの中に登場する操作状態コードが全て1の場合に限り判別不可とし、位置データキューの中に一つでも1以外の操作状態コードがある場合、端末操作中と判定することもできる。この方法であれば、端末操作を行う前の、例えば鞄から移動体端末を取り出すなどの事前動作を織り込んだ判別を実施できる。他にも状態を判別できる方法は考えられるが、端末を保持しているユーザの状態を推定出来る方法であればどのような方法を用いてもよい。
端末操作状態による判別処理にて判別が完了した場合(901)は、その判別結果を用いて、ユーザ状態履歴の取得・更新(904)が実行される。一方、端末操作状態による判別処理にて判別が不可能であると判断された場合(901)、位置データキューと動線統計データベース112に基づく状態判別として、状態候補選別処理902による状態候補の中から最も妥当と思われる状態を決定する状態判定処理903が実行される。これにより、上記いずれかの結果がユーザ状態履歴の取得・更新904に送られることとなる。その後、該状態判定の履歴情報(過去及び現在の状態)を基に次の(将来の)移動体情報を推定する移動体情報推定処理905が実行される。
<統計データベースの内容(例)及び図9の処理の詳細>
図10は、上記状態判別処理で使用する動線統計データベースに格納されているデータの内容を示す図である。以下、これを用いて上記処理のそれぞれを詳細に説明する。
状態候補テーブル1000は、状態候補選別処理902および状態判定処理903にて使用される状態候補の一覧である。状態候補テーブル1000の各レコードはそれぞれ一つの状態を表現しており、状態毎に一意の状態コード1001、該状態の中心位置を表す緯度1002、経度1003、該状態を表現するパラメータ1004からなる。状態コードとは、例えば、横断歩道横断中、飲食店前での立ち止まり、信号待ち等、状態を示すコードである。
状態候補選別処理902では、緯度1002、経度1003を基に、例えば半径10km以内の状態候補を検索するなどの処理を実行することにより状態候補の選別を行う。なお、状態候補の選別は現状を表現するのに最適な状態が候補に選択される方法であれば、他のどのような方法を用いてもよい。ただし、候補の数が少なければ少ないほど、状態判定処理903の判定対象が削減できるため、より高速な処理が実行できる。
また、状態判定処理903は、状態候補選別処理によって選出された状態候補から、最も現況を表現するのに適した状態を選択するものである。本処理ではパラメータ1004を用い、現在の位置データキューの座標値列が該状態に適している度合いである類似度を算定する。例えば、該パラメータ1004に座標値列から計算できる平均速度などの特徴量ベクトルが格納されている場合、現在の位置データキューの座標値列から同様の特徴量値列を計算し、該特徴量ベクトルの差の絶対値を上記類似度として用いる方法がある。なお、本状態判定は適切に移動体端末保有者の状態が推定できる方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
ユーザ状態履歴1010は、状態判別の結果が格納されているテーブルである。当該テーブルには、ユーザID1011、時刻1012、その時刻の状態判別結果1013が格納されている。したがって、当該テーブルを検索することにより過去の状態遷移が取得できる。上記状態判定処理の結果、もしくは端末操作状態による判別処理の結果は、ユーザ状態履歴の取得・更新904の処理にて、テーブル1010に追記され、それと同時に一定時間分の過去データが取得される。移動体情報推定処理905ではこの状態判別結果の履歴情報に基づき、移動体の情報を推定する。この推定の際に用いられるのが因果関係統計データ1020である。
因果関係統計データ1020は、状態判別結果の履歴情報から移動体情報を推定するための情報である。因果関係統計データ1020は、図10の例では、遷移前状態コード1021(例えば信号待ちを示すコード)と、遷移先状態コード1022(例えば、信号が青となり横断歩道を渡ることを示すコード)と、外部要因1023と、遷移確率1024とを含んでいる。そして、最新の状態判定結果と遷移前状態コード1021が等しくなるレコードを検索することにより、遷移先状態として最も尤もらしい遷移先状態コード1022が取得可能となる。この処理のとき、例えば、地図データ要求206(図2参照)の時点で地図情報サーバから取得した周辺地物情報を外部要因1023とし、より現況に一致する遷移確率1024を選択するという方法もある。より具体的には、移動軌跡データに基づき、これと同じような軌跡を取っている人達のデータから、A状態からB状態になるのが確率X、A状態からC状態になるのが確率Yという風に因果関係が統計的に決定される。なお、本例では本処理にて移動体端末状態遷移を予測するという移動体端末情報の推定を行っているが、他の情報を推定してもよいし、その方法もより高精度に判別できる任意の方法を用いてもよい。
以上の手順により、図2の移動状態判別207の処理が完了したこととなる。
<推定情報の生成処理>
図11は、推定情報(推定結果)のデータ内容例を示す図である。この推定情報は、アプリケーションサーバ102がアプリケーションを最適に実行するために必要な情報であればどのような情報でもよい。図11では、移動体状態推定結果1100は、移動体端末を保有するユーザの状態を示すユーザ状態コード1101と、最尤遷移状態1102と、予測遷移時刻1103とを含んでいる。
アプリケーションサーバ102は、例えばユーザ状態コード1101が「道に迷っている」ことを示すコードである場合、進行方向の詳細な指示を提示するようにしたり、最尤遷移状態1102の状態が「店舗内へ入る」ことを示しており、予測遷移時刻1103まで十分時間がある場合には進入先と予測される店舗に関する情報を提示するなどの機能を実行する。
以上の手順により、アプリケーションサーバ102は移動軌跡解析サーバ104より移動体端末に関101する推定情報を入手することができる。これにより、アプリケーションサーバ102は移動体端末101に対し、より適切な情報提示などが可能となる。アプリケーションサーバ102は、この後、例えば地図データ要求209などにより地図情報サーバ103から地図情報を受け取り、該地図情報と移動体端末状態推定結果を組み合わせた案内表示などが実施可能となる。移動体端末は、以上のプロセスを定期的に繰り返すため、例えば移動体端末を保持して歩行中、現況に応じて広告情報を配信するなどの機能が実現できる。
<動線統計情報生成処理>
図12は、上述の処理とは別に実行される動線統計情報の生成処理を説明背するためのフローチャートである。この処理は移動軌跡データベース108に蓄積された位置データを基に動線統計データベース112を更新するための処理である。
例えば、深夜のサービス停止時間に実行する方法や、稼働中のシステムとは別の処理系を動作させて動線統計データベース112と同等の別のデータベースを生成し、完成後に差し替える方法などにより、長時間の処理であっても稼働中のサービスに不具合を来たさないように実行する。
本処理では、まず状態候補テーブル更新処理1201が実行される。この処理は蓄積された位置データを基に、軌跡データを状態ごとのデータへと変換する処理である。本処理では上述の状態候補選別処理902に即したパラメータ1004を生成できる必要がある。パラメータ1004に座標値列から計算できる特徴量ベクトルを格納する例について上述したが、その場合には本処理でも同様の特徴量ベクトルを計算することとなる。例えば、移動軌跡データベース108に格納された全データに対し特徴量ベクトルが近い軌跡の集合を生成、該集合1つを状態候補テーブル1000の1レコードとし、パラメータ1004としては該集合に含まれる軌跡の特徴量ベクトルの平均値を用いる方法がある。また、周囲の地物情報と関連づけ、外部要因1023として使用することにより、例えば展示されている広告に興味を持って立ち止まった、などの事象を検出し、移動体端末保有者の興味の範囲を推定することができる。なお、本処理は状態候補テーブル1000を適切に構築できる方法であればどのような方法を用いてもよい。
次に、状態間相関算定処理1202が実行される。この処理は因果関係統計データ1020を更新する処理であり、移動体状態推定処理905に即したデータを生成する必要がある。図10の因果関係統計データ1020の例では、移動軌跡データベース108に格納されている各軌跡に関して、ある状態から他の状態への遷移頻度を計算し、それを元に遷移確率1024を算出するという方法となる。前述のとおり、本因果関係統計データ1020の形式としては他の形式も考えられるため、状態間相関算定処理1202はそれに適した方式でなければならない。
<具体的適用例>
以上の構成により、移動体端末101は保有者の移動履歴から推定される情報をもとにより現況に即した情報提示を実現することができる。そして、たとえ移動体端末101の操作のために立ち止まったとしてもそれを他の状態と明確に区別できるため、誤った情報を配信してしまう事例を低減することができる。以下、上記実施形態によるシステムをより具体的に実現したシステムについて説明する。
1)適用例1
まず、具体的適用例1として携帯電話にレストランなどの広告情報を配信するシステムの例について説明する。図13は、適用例1に係るシステムの概略構成を示す図である。適用例1では、移動体端末として携帯電話1301を使用し、アプリケーションサーバ102としては広告配信機能をもった広告配信サーバ1302を使用する。
携帯電話1301は、特定の電波信号を発し、周囲に設置された基地局・測位サーバ1304にて該信号を受信し、電波強度を元に測位演算を実行する。本発明の特徴の1つである端末操作状態コード306は、発せられる電波信号内に付加して送付される。そして、基地局・測位サーバ1304が、測位結果と操作状態コード306を合わせて、測位送信データ300としてアプリケーションサーバ102に送付する。また、動線統計情報表示用端末1303は移動軌跡解析サーバ104の動線統計データベース112の内容を図にて表示する機能を有しているが、これが移動軌跡解析サーバ104に接続される。
本システムの利用の手順としては、まず携帯電話1301を保有している利用者が携帯電話1301を操作し現在地付近の地図情報を確認する。広告配信サーバ1302は、通常は携帯電話1301の要求に基づき地図情報を配信しているが、利用者の状況推定により広告配信すべきと判断した場合には、広告情報を配信する。
図14は、適用例1における携帯電話の画面表示の例を示す。携帯電話画面には、店舗内の地図1401が表示されており、現在地1402とその周辺にある店舗情報を知ることができる。この地図表示は、携帯電話1301の測位を定期的に実行し、その結果を広告配信サーバ1302へ送信すると、それへの返答として得られる地図を表示することにより実現される。広告配信サーバ1302は、通常上記地図を地図情報サーバ103から得られる地図データを基に生成しているが、移動軌跡解析サーバ104からの状態推定結果が「立ち寄り地不確定状態」となっている場合に限り、立ち寄り先候補を画面上部1403に追加する。
図15は、適用例1におけるユーザ状態判別(移動軌跡解析サーバ104における処理)を説明するための図である。この例では、レストラン街における状態判別処理について説明する。ここで用いる地図データはレストラン等の配置の地図1500である。地図中には、メニューなどの展示1502の地点データ、各レストランの出入り口1503の地点データが格納されている。図15には地図データ上に移動体端末を保持する人々の移動軌跡が実線で示されているが、ここではメニューなどの展示データの前にて停止している状況をもって、メニュー閲覧状態1501とする。この状態は状態候補テーブル1000にレコードとして格納されており、携帯電話からの位置データがメニュー閲覧状態にあるか否かがユーザ状態として判別される。また、店舗内に入っているという状態である入店状態も同様にして判定され、状態候補テーブル1000にレコードとして格納される。因果関係統計データ1020には各店舗のメニュー閲覧状態と入店状態との相関が格納されており、どのメニューを閲覧した後にどの店舗に入店するかが遷移確率として取得できる。
移動軌跡解析サーバ104は、遷移確率計算の後、広告配信サーバ1302へ移動体状態推定結果1100を返送する。ユーザが複数のメニュー閲覧状態を経ている場合には、立ち寄り地不確定状態という値がユーザ状態コード1101に格納され、最終的に入店する可能性の高い店舗の入店状態コードが最尤遷移状態1102として設定され、返送される。
広告配信サーバ1302は、移動体状態推定結果1100を参照して、立ち寄り地不確定状態のユーザに対しては最尤遷移状態の入店先に関する情報を提示する。この形態により、携帯電話1301を保有しているユーザが好むと予測される店舗の情報を優先的に提示できるため、効果的な情報提供機能が実現できたこととなる。
なお、本処理(図15)の位置づけを明確にするため、図12と図15との対応を示す。図12の状態生成処理1201は図15のレストラン周囲の移動軌跡をメニュー閲覧状態1501に切り分ける処理に対応する。また、各メニュー閲覧状態1501間の遷移やメニュー閲覧状態1051から店舗に入った状態への遷移などを特定し、その遷移確率を計算する処理は、状態相関算定処理1202に対応する。この場合、状態生成処理1201にて生成されたメニュー閲覧状態などは状態候補テーブル1000に格納され、状態相関算定処理1202で生成された遷移確率は因果関係統計データ1020に格納されることとなる。
図16は、動線統計情報表示用端末1303への表示の例を示す図である。本表示端末1303の画面には、人流線の交差点である動線交差地点1601、店舗のカテゴリA1602、1603、標準的巡回路1604、メニュー閲覧状態から入店状態への遷移率に比例した太さの矢印にて表現した入店者比率1605等が表示可能になっている。この表示は、前述の因果関係統計データ1020を基に状態遷移確率を求めることによって可能となる。
例えば、店舗間の状態遷移確率が最も高い遷移を抽出することにより、標準的巡回路1604が得られる。また、メニュー閲覧状態から入店状態の遷移確率に比例して矢印の太さを変えると、入店者比率1605が描画できる。さらに、標準的巡回路1604にて巡回される店舗の集合はユーザが入店候補として確認した店舗集合となるので、それをもとに店舗カテゴリA1602、B1603の区別が可能である。また、標準的巡回路1604同士が交差する地点を動線交差地点1601とすることもできる。これらの統計情報表示は店舗や施設の管理者にとって有用な情報であり、他にも店舗ごとの売り上げなどの情報を表示したり、施設の配置などを画面上にて編集したりするなどの機能を付加することにより、より効果的に統計情報を活用できる。
2)適用例2
次に、具体的適用例2としてPND(Portable Navigation Device)に誘導情報を配信するシステムの例について説明する。図17は、適用例2に係るシステムの概略構成を示す図である。適用例1では、移動体端末としてPND1701が使用され、アプリケーションサーバ102としては広告配信機能を有する誘導情報配信サーバ1702が使用される。
PND1701は、通常、PND内に保有する地図データ1703を基に道案内を行うが、その際同時に測位結果を誘導情報配信サーバ1702に送付している。誘導情報配信サーバ1702は上述の手順に基づき移動軌跡解析サーバ104に位置データを送信し、移動軌跡解析サーバ104からの返信としてユーザ状態の推定結果を取得し、PND1701へ返送する。
PND1701では、取得したユーザ状態推定結果が、例えば迷い状態のときには進行方向が詳細に提示され、信号待ち状態のときには周辺の推薦情報が提示される、などの動作が可能となる。
図18は、PND1701の画面表示の一例を示す図である。画面には現在地1801が常時表示されており、目的地への道順が示される。本端末を所持しているユーザは、この道順に従って行動するのだが、それでも進行方向と地図の関係を見失うなどして迷うことがある。この際、ユーザの挙動は移動軌跡解析サーバ104にて解析され、迷い状態にあるという結果が得られた場合、目的地までの屋内まで含めた詳細な道順1802や、次に取るべき行動指示1803が提示される。
図19は、適用例2における移動軌跡解析サーバ104における解析処理を模式的に示す図である。適用例2では、状態判定処理903における状態判定によって、過去数秒間における平均移動速度が閾値を越えている場合は移動中、そうでない場合は停留中と判定する。その後、移動中の軌跡同士・停留中の軌跡同士の距離が閾値以下のものを併合し、それぞれ移動状態1901、停留状態1902とする。これらはそれぞれ平均移動速度1903を持っているが、停留状態ではこの大きさが小さくなる。
移動体状態推定処理905では、移動状態と停留状態のそれぞれの遷移を算定しており、例えば同じ地点にて移動状態と停留状態を一定回数以上繰り返している場合をユーザが迷っている迷い状態1904と判定する。この際、ユーザがPND1701操作するために道端に外れることがあるが、本発明では状態推定処理905の前に端末操作状態による状態判定処理903が実行されるため、端末操作中であることが判定できる。その結果、端末操作状態1905の状態が定義できるため、端末操作のために立ち止まった状況を道に迷っていると誤判別することがなくなり、PND1701は該端末操作状況に適した画面表示を行える。
なお、図19の処理の位置づけを明確にするため、図12と図19との対応を示す。移動軌跡を移動状態1901、停留状態1902へと分割する処理が状態生成処理1201に対応する。また、移動状態1901および停留状態1902間の遷移確率を計算する処理が状態相関算定処理1202に対応する。この場合、状態生成処理1201にて生成された移動状態1901及び停留状態1902は状態候補テーブル1000に格納され、状態相関算定処理1202で生成された遷移確率は因果関係統計データ1020に格納される。迷い状態1904はこの遷移確率を基に推定されることになる。
<まとめ>
以上の本実施形態によれば、移動体端末を保有しているユーザの興味や迷いなどをその移動軌跡から判別し活用するシステムにおいて、公知のシステムに比べて精度の高い判別が可能となるので、より利用者の状況に適した情報提示が可能となる。
つまり、本実施形態では、移動体端末は、ネットワーク及びアプリケーションサーバを介して、現在の位置情報(測位データ)と当該位置情報の取得時刻を移動軌跡解析サーバに送信する。一方、移動軌跡解析サーバでは、処理対象(推定情報を提供する対象)の移動体端末から取得した現在位置情報と位置情報の取得時刻が関連付けられて移動軌跡蓄積データベースに蓄積される。移動軌跡蓄積データベースに蓄積された位置情報(複数の移動体端末からの位置情報)を集計し、複数の移動体端末の移動に関する統計情報が生成される。そして、処理対象の移動体端末の位置情報(過去、現在の数点の位置情報)と統計情報とに基づいて(統計情報からは、ある地点に居る場合には次に移動する場所がどこか判断可能となっている)、当該処理対象の移動体端末の将来の状態を推定して状態推定情報を生成する。最終的に、生成した状態推定情報は、ネットワークを介して処理対象の移動体端末に送信される。このようにすることにより、精度良く(高確率に)移動体端末の将来の状態(位置)を推定して適用できるようになる。よって、その推定された状態に基づいて、状態に適した情報を利用者に提供することができるようになる。
さらに、移動体端末から移動軌跡解析サーバには、さらに位置情報の取得時刻近傍における移動体端末の操作状態に関する情報(図3参照)が送信される。この場合、移動軌跡蓄積データベースは、位置情報と位置情報の取得時刻と操作状態に関する情報を関連付けて蓄積することになる。また、状態推定情報生成に際しては、操作状態に関する情報に基づいて処理対象の移動体端末が所定の操作状態にあるか否かが判断され、所定の操作状態にある場合に、処理対象の移動体端末の位置情報と統計情報とに基づいて、処理対象の移動体端末の状態推定情報を生成する。なお、処理対象の移動体端末が過去の一定時間内に操作があった場合には操作状態にあると判断するようにしてもよい。このようにすることにより、位置情報だけでなく、移動体端末の操作状態も加味して状態推定を行うので、より正確に移動体端末の状態を推定することができるようになる。
さらに、移動軌跡解析サーバには、移動体端末を操作するユーザの状態候補を示す状態候補情報と、第1の状態(例えば、信号待ち状態)から第2の状態(例えば、信号が青で横断歩道を横断)への遷移確率を示す因果関係情報と、ユーザの状態の履歴情報と、を格納する動線統計データベース(図10参照)が設けられている。この場合、状態推定情報生成に際しては、処理対象の移動体端末が所定の操作状態にない場合に、処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて、動線統計データベースから状態候補情報と、ユーザの状態の履歴情報と、履歴情報に含まれる状態から状態候補情報に示される状態についての因果関係情報と、を取得する。そして、得られた因果関係情報に含まれる遷移確率に基づいて最尤の状態を状態推定情報とするようにしている。このようにすることにより、移動体端末を操作する利用者が採ると思われる一番確からしい次の状態を状態推定情報とすることができる。よって、利用者の状態に適した情報を適用することが可能となる。
さらに、ユーザの状態の履歴情報及び処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて最尤の状態となる予測時刻を生成し、これが状態推定情報に含められる。これにより、タイミングよく適切な情報をユーザに提供することが可能となる。
なお、本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータ上のメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータのCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現されるようにしてもよい。
また、実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することにより、それをシステム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、使用時にそのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしても良い。
本発明の実施形態による位置情報サービスシステム(情報配信システム)の概略構成を示す図である。 移動体端末とアプリケーションサーバの通信シーケンスを示す図である。 移動体端末からの測位結果送信データ形式の一例を示す図である。 移動体端末の測位結果送信までのフローチャートである。 移動軌跡解析サーバのデータフローを示すブロック図である。 位置データ送信時のフローチャートである。 移動軌跡データベースのフォーマットを示す図である。 位置データキューの更新手順を説明するための図である。 移動体状態判別のフローチャートである。 動線統計データベースのデータ形式の一例を示す図である。 移動体状態の推定情報の一例を示す図である。 動線統計情報の生成処理を示すフローチャートである。 適用例1に係る携帯電話向け広告配信サービスシステムの概略構成を示す図である。 適用例1における携帯電話画面表示の一例を示す図である。 適用例1におけるユーザ状態判別処理の概念を示す図である。 適用例1における動線統計情報表示用端末の画面表示の一例を示す図である。 適用例2に係るPND向け誘導情報配信システムの概略構成を示す図である。 適用例2における画面表示の一例を示す図である。 適用例2における解析内容を模式的に示す図である。
符号の説明
101 測位機能および通信機能を有する移動体端末
102 移動体端末(101)にて使用する情報を配信するアプリケーションサーバ
103 地図情報を検索・送信する機能を持った地図情報サーバ
104 位置データを蓄積し移動体端末(101)の保有者の状態を推定する機能を持つ移動軌跡解析サーバ
300 測位データを送信する際に使用するデータ形式の一例
310 移動体端末から送信される端末操作状態コードのコード体系の一例

Claims (10)

  1. 移動体端末と、この移動体端末に対して情報を配信する情報配信サーバと、を含む情報配信システムであって、
    前記移動体端末は、
    当該端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    ネットワークを介して前記位置情報と当該位置情報の取得時刻を前記情報配信サーバに送信し、情報を受信する通信部と、を備え、
    前記情報配信サーバは、
    処理対象の移動体端末から、前記ネットワークを介して前記位置情報と前記位置情報の取得時刻を受信する受信部と、
    前記位置情報と前記位置情報の取得時刻を関連付けて蓄積する移動軌跡情報蓄積データベースと、
    前記移動軌跡情報蓄積データベースに蓄積され、複数の移動体端末から得られた位置情報を集計し、前記複数の移動体端末の移動に関する統計情報を生成する移動体統計処理部と、
    前記処理対象の移動体端末の位置情報と前記統計情報とに基づいて、当該処理対象の移動体端末の将来の状態を推定して状態推定情報を生成する推定情報生成部と、
    前記生成した状態推定情報を、前記ネットワークを介して前記処理対象の移動体端末に送信する送信部と、を備える、
    ことを特徴とする情報配信システム。
  2. 前記移動体端末は、
    さらに、前記位置情報の取得時刻近傍における前記移動体端末の操作状態に関する情報を取得する操作状態情報取得部を備え、
    前記通信部は、前記操作状態に関する情報を前記情報配信サーバに送信し、
    前記情報配信サーバにおいて、
    前記受信部は、前記操作状態に関する情報をさらに受信し、
    前記移動軌跡情報蓄積データベースは、前記位置情報と前記位置情報の取得時刻と前記操作状態に関する情報を関連付けて蓄積し、
    前記推定情報生成部は、前記操作状態に関する情報に基づいて前記処理対象の移動体端末が所定の操作状態にあるか否かを判断し、所定の操作状態にある場合に、前記処理対象の移動体端末の位置情報と前記統計情報とに基づいて、前記処理対象の移動体端末の前記状態推定情報を生成する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
  3. 前記情報配信サーバは、
    さらに、移動体端末を操作するユーザの状態候補を示す状態候補情報と、第1の状態から第2の状態への遷移確率を示す因果関係情報と、前記ユーザの状態の履歴情報と、を格納する動線統計データベースを備え、
    前記状態推定情報生成部は、前記処理対象の移動体端末が前記所定の操作状態にない場合に、前記処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて、前記動線統計データベースから前記状態候補情報と、前記ユーザの状態の履歴情報と、前記履歴情報に含まれる状態から前記状態候補情報に示される状態についての前記因果関係情報と、を取得し、得られた因果関係情報に含まれる遷移確率に基づいて最尤の状態を前記状態推定情報とする、
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報配信システム。
  4. 前記状態推定情報生成部は、前記ユーザの状態の履歴情報及び前記処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて前記最尤の状態となる予測時刻を生成する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報配信システム。
  5. 前記移動軌跡情報蓄積データベースが、前記処理対象の移動体端末について、過去の一定時間の位置情報を1レコードとして蓄積する位置データキューを有する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報配信システム。
  6. 前記状態推定情報生成部は、前記処理対象の移動体端末が過去の一定時間内に操作があった場合には操作状態にあると判断する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報配信システム。
  7. さらに、前記移動体端末の位置情報に整合した地図情報を前記移動体端末に提供する地図情報サーバを備え、
    前記状態推定情報に対応する位置情報に整合した地図情報を取得し、前記状態推定情報を前記地図情報上に配置して前記移動体端末に提供する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報配信システム。
  8. 移動体端末に対して情報を配信する情報配信サーバであって、
    当該端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    ネットワークを介して前記位置情報と前記情報配信サーバに送信し、情報を受信する通信部と、を備え、
    処理対象の移動体端末から、ネットワークを介して、前記処理対象の移動体端末の位置情報と、当該位置情報の取得時刻と、前記位置情報の取得時刻近傍における前記処理対象の移動体の操作状態に関する情報と、を受信する受信部と、
    前記位置情報と前記位置情報の取得時刻と前記操作状態に関する情報を関連付けて蓄積する移動軌跡情報蓄積データベースと、
    前記移動軌跡情報蓄積データベースに蓄積され、複数の移動体端末から得られた位置情報を集計し、前記複数の移動体端末の移動に関する統計情報を生成する移動体統計処理部と、
    前記操作状態に関する情報に基づいて前記処理対象の移動体端末が所定の操作状態にあるか否かを判断し、所定の操作状態にある場合に、前記処理対象の移動体端末の位置情報と前記統計情報とに基づいて、当該処理対象の移動体端末の将来の状態を推定して状態推定情報を生成する推定情報生成部と、
    を備えることを特徴とする情報配信サーバ。
  9. さらに、移動体端末を操作するユーザの状態候補を示す状態候補情報と、第1の状態から第2の状態への遷移確率を示す因果関係情報と、前記ユーザの状態の履歴情報と、を格納する動線統計データベースを備え、
    前記状態推定情報生成部は、前記処理対象の移動体端末が前記所定の操作状態にない場合に、前記処理対象の移動体端末の位置情報に基づいて、前記動線統計データベースから前記状態候補情報と、前記ユーザの状態の履歴情報と、前記履歴情報に含まれる状態から前記状態候補情報に示される状態についての前記因果関係情報と、を取得し、得られた因果関係情報に含まれる遷移確率に基づいて最尤の状態を前記状態推定情報とする、
    ことを特徴とする請求項8に記載の情報配信サーバ。
  10. コンピュータを請求項8に記載の情報配信サーバとして機能されるためのプログラム。
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