JP2010126100A - 操舵機構の設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動および異音の発生を抑制するとともに操舵フィーリングの向上に寄与し設計諸元の最適化が可能な操舵機構の設計方法を提供する。
【解決手段】本設計方法は、互いに噛み合うラック軸10のラック歯9およびピニオン軸7のピニオン歯8を有するラックアンドピニオン式の操舵機構11における、ラック歯9およびピニオン歯8の設計諸元を、所定の性能諸元を満足する値に設定するための方法である。本設計方法は、設計諸元に仮値を設定する工程と、設計諸元を変数として性能諸元を演算する演算式を用い、変数に仮値を代入して性能諸元値を得る工程と、得られた性能諸元値の合否を判定する工程と、を有している。性能諸元は、ラック歯8およびピニオン歯9のかみあいに伴ってラック軸10をその軸線37の周りに揺動させる揺動トルクを含んでいる。
【選択図】図2

Description

本発明は、操舵機構の設計方法に関する。
操舵機構として、ラックアンドピニオン式の操舵機構が知られている。ラックアンドピニオン式の操舵機構は、互いに噛み合うピニオンとラック軸とを有している。また、ピニオンのピニオン歯およびラック軸のラック歯の設計諸元の設定方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−199776号公報
しかし、特許文献1では、設計諸元を、ピニオン歯およびラック歯の強度等に基づいて設定するので、設定された設計諸元に従って製作された操舵機構に振動および異音が発生することがある。
また、操舵機構においては、振動および異音の発生を抑制することや、操舵フィーリングを向上することのために、ピニオン歯およびラック歯の設計諸元を最適化するための手法の確立が要請されている。
また、設計諸元の最適化のために、振動、異音および操舵フィーリングを実験により測定することが考えられる。しかし、最適化には膨大な数の実験が必要なので、非常に多くの手間とコストがかかる。その結果、設計諸元の最適化は実質的にできなかった。
そこで、本発明の目的は、振動および異音の発生を抑制するとともに操舵フィーリングの向上に寄与し設計諸元の最適化が可能な操舵機構の設計方法を提供することである。
本願発明者は、上述の課題を解決するべく、振動および異音の発生に関係するとともに操舵フィーリングの向上にも関係する現象、すなわち、ピニオン歯とラック歯とが互いに噛み合うときにラック軸がその軸線の周りに微小角度で回転(以下、揺動ともいう)する現象に着目した。例えば、この現象が生じ難いときには、振動および異音が発生し難く、また、操舵フィーリングが向上する傾向にある。そこで、本願発明者は、上述の現象の原因となる、操舵時にラック軸をその軸線の周りに揺動させる揺動トルク(ラック揺動トルクともいう。)を用いて、上述の課題を解決できるように操舵機構の設計諸元を決定する本設計方法に到達したものである。
本発明の操舵機構の設計方法は、互いに噛み合うラック軸(10)のラック歯(9)およびピニオン(7)のピニオン歯(8)を有するラックアンドピニオン式の操舵機構(11)における、上記ラック歯および上記ピニオン歯の設計諸元を、所定の性能諸元を満足する値に設定するための、操舵機構の設計方法であって、上記設計諸元に仮値を設定する工程(S3)と、上記設計諸元を変数として上記性能諸元を演算する演算式を用い、上記変数に上記仮値を代入して性能諸元値を得る工程(S5)と、得られた性能諸元値の合否を判定する工程(S6)と、を備え、上記性能諸元は、上記ラック歯および上記ピニオン歯のかみあいに伴って上記ラック軸を当該ラック軸の軸線(37)周りに揺動させる揺動トルクを含むことを特徴とする(請求項1)。
本発明によれば、揺動トルクの値が小さくなるような設計諸元値を求めることが可能となる。例えば、上述の合否を判定する工程では、得られた性能諸元値としての揺動トルクの値が、予め定める条件を満たすときに、得られた性能諸元値を合格と判定する。上述の予め定める条件としては、揺動トルクの値が相対的に小さな値であることや、揺動トルクの値が所定値よりも小さいことを例示できる。これらの条件が満たされる場合の設計諸元値に基づいて製作される操舵機構においては、揺動トルクを小さくできるので、振動および異音の発生を抑制できて、また、操舵フィーリングの向上を図ることができる。
また、揺動トルクは、振動、異音および操舵フィーリングと比較して、計算により精度よく求め易い。また、性能諸元値としての揺動トルクの値を計算により求めるので、揺動トルク、振動、異音および操舵フィーリングを実験で求める場合と比較して、性能諸元値を容易に求めることができる。その結果、例えば、操舵機構の開発コストおよび開発に要する時間を低減できる。ひいては、設計諸元の最適化も可能となる。
また、本発明において、上記設計諸元は、上記ピニオン歯のモジュールmと、上記ピニオン歯の圧力角αと、上記ピニオンの歯数zと、上記ピニオン歯のねじれ角βp と、上記ラック歯のねじれ角βr と、上記ピニオン歯の転位係数ξと、ラック軸およびピニオンの中心軸線間の最短距離aとを含み、上記性能諸元としての上記揺動トルクTは、上記モジュールm、上記圧力角α、上記歯数z、上記ねじれ角βp 、上記ねじれ角βr 、上記転位係数ξ、および上記最短距離aを含む関数Tを用いた下記の演算式、T=T(m,α,z,βp ,βr ,ξ,a)、により求められる場合がある(請求項2)。この場合、揺動トルクを、上記設計諸元を用いて容易に求めることができる。
また、本発明において、上記性能諸元値の合否を判定する工程では、設計諸元値として設定された複数の仮値の中から、上記揺動トルクTを最小とする仮値を求め、当該仮値を合格であると判定する場合がある(請求項3)。この場合、設計諸元値として設定された複数の仮値の中において、設計諸元を最適化することができる。ひいては、合格と判定された仮値が設計諸元値として用いられて製作される操舵機構において、振動および異音の発生を確実に抑制できて、また、操舵フィーリングを確実に向上することができる。
なお、上記括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を示すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の実施の形態を、添付図面を参照しつつ説明する。以下では、先ず、車両用操舵装置としての電動パワーステアリング装置(EPS:Electric Power Steering System) を説明し、次に、操舵機構の設計方法を説明する。さらに、設計方法で用いる数式を説明し、次に、本設計方法を適用した実施例と比較例との比較を説明する。
[車両用操舵装置について]
図1は、車両用操舵装置の概略構成の模式図である。図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に第1の自在継手4を介して連結された中間シャフト5と、中間シャフト5に第2の自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7に設けられたピニオン歯8に噛み合うラック歯9を有して車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸10とを有している。
ピニオン軸7およびラック軸10によりラックアンドピニオン機構からなる操舵機構11が構成されている。ラック軸10は、車体12に固定されるラックハウジング13内に図示しない複数の軸受を介して直線往復可能に支持されている。ラック軸10には、一対のタイロッド14が結合されている。各タイロッド14は対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪16に連結されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン歯8およびラック歯9によって、自動車の左右方向に沿ってのラック軸10の直線運動(ラック軸10の軸方向移動に相当する。)に変換される。これにより、転舵輪16の転舵が達成される。
ステアリングシャフト3は、操舵部材2に連なる入力軸17と、ピニオン軸7に連なる出力軸18とに分割されている。これら入力軸17および出力軸18はトーションバー19を介して同一の軸線上で互いに連結されている。入力軸17に操舵トルクが入力されたときに、トーションバー19が弾性ねじり変形し、これにより、入力軸17および出力軸18が相対回転するようになっている。
トーションバー19を介する入力軸17および出力軸18の間の相対回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ20が設けられている。また、車速を検出するための車速センサ21が設けられている。また、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)22が設けられている。また、操舵補助力を発生させるための電動モータ23と、この電動モータ23の出力回転を減速する減速機24とが設けられている。
トルクセンサ20および車速センサ21からの検出信号が、ECU22に入力されるようになっている。ECU22は、トルク検出結果や車速検出結果等に基づいて、操舵補助用の電動モータ23を制御する。電動モータ23の出力回転が減速機24を介して減速されてピニオン軸7に伝達され、ラック軸10の直線運動に変換されて、操舵が補助されるようになっている。
図2は、図1の要部としての操舵機構11の断面図である。図2を参照して、車両用操舵装置1は、ピニオン軸7を回転可能に支持する一対の軸受26,27と、ラック軸10を支持するラック軸支持装置28と、ピニオン軸7の一部および一対の軸受26,27を収容するピニオンハウジング29と、ラック軸支持装置28を収容するサポートヨークハウジング30とを有している。
ピニオンハウジング29は、筒形状をなしている。ピニオンハウジング29は、ラックハウジング13が延びる方向(図2の紙面垂直方向に相当する。)とは交差する方向に平行に延びている。
サポートヨークハウジング30は、筒状をなしており、ピニオン軸7の軸方向A1に直交する方向であり且つラック軸10の軸方向に直交する方向に延びている。
ラックハウジング13の一部とピニオンハウジング29とサポートヨークハウジング30とが、単一部材により一体に形成されている。互いに一体に形成されたラックハウジング13の一部とピニオンハウジング29とサポートヨークハウジング30とにより、ピニオン軸7およびラック軸10が互いに噛み合う部分と、この噛み合う部分の周辺部分とが収容されている。
ピニオン軸7は、歯部としてのピニオン33と、第1および第2の軸部34,35とを有している。ピニオン33は、はすば歯車からなる。ピニオン33の外周は、複数のピニオン歯8を有している。第1および第2の軸部34,35は、ピニオン軸7の軸方向A1に関してピニオン33を挟んだ両側に配置されている。第1および第2の軸部34,35は、一対の軸受26,27を介して、ピニオンハウジング29により支持されている。
ラック軸10は、図2の紙面垂直方向に延びており、はすばラックを含んでいる。このはすばラックが、はすば歯車からなるピニオン33と互いに噛み合っている。
図1および図2を参照して、ピニオン軸7の中心軸線36およびラック軸10の中心軸線37は、互いに食い違って配置されている。両中心軸線36,37に対して直交する方向(サポートヨークハウジング30の延びる方向に相当する。図1参照。)に沿って見るときに、ピニオン軸7の中心軸線36およびラック軸10の中心軸線37は、互いに斜めに交差して見えるようになっている。
図2を参照して、ラック軸支持装置28は、ラック軸10を支持する支持部材としての円筒状のサポートヨーク41と、サポートヨークハウジング30の開口を封止する封止部材42と、サポートヨーク41を介してラック軸10をピニオン軸7に向けて付勢する付勢部材43とを有している。
[操舵機構の設計方法について]
本実施形態の操舵機構の設計方法(以下、単に設計方法ともいう。)では、ラック歯9およびピニオン歯8の設計諸元(例えば、モジュール、ねじれ角、転位係数等)を、所定の性能諸元を満足する値に設定するようにしている。
ところで、ラックアンドピニオン式の操舵機構11は、ラック軸10とピニオン33とを有している。ラック軸10のラック歯9と、ピニオン33のピニオン歯8とが互いに噛み合っている。ラック歯9およびピニオン歯8のかみあいに伴って、ラック軸10を当該ラック軸10の軸線37の周りに揺動させるトルク(揺動トルクTともいう。)が生じることがある。揺動トルクが小さいほどに、操舵機構11における振動および異音が発生し難くなり、また、操舵フィーリングが向上し易くなる。
そこで、本実施形態の設計方法では、設計諸元を、所定の性能諸元、例えば、揺動トルク等を満足する値に設定するために、設計諸元値の合否を、揺動トルクの計算値に基づいて判断している。
従って、本実施形態の設計方法を用いて設計諸元値を定めたときには、この設計諸元値で製作された操舵機構11においては、揺動トルクを小さくできる。その結果、操舵機構11における振動および異音の発生を抑制できる。また、操舵機構11の操舵フィーリングを向上させることができる。
図3は、本実施形態の設計方法のフローチャートである。図1および図3を参照して、設計方法は、操舵機構11の設計諸元の設計諸元値を決定する。また、本実施形態では、設計諸元は、第1、第2および第3の設計諸元を含んでいる。
設計方法は、第1の設計諸元に予め定められた所定値を設定する工程(ステップS1)と、第2の設計諸元に予め定められた範囲を設定する工程(ステップS2)と、第3の設計諸元に仮値を設定する工程(ステップS3)と、所定の幾何学的条件が満足されることを判定する工程(ステップS4)と、仮値および演算式を用いて性能諸元値としての揺動トルクを得る工程(ステップS5)と、得られた性能諸元値としての揺動トルクの合否を判定する工程(ステップS6)と、合格と判定された仮値が所定の強度条件を満足するか否かを判定する工程(ステップS7)とを有している。
ステップS1では、操舵機構11の第1の設計諸元としての軸角および比ストロークを予め決められた所定値に設定する。軸角の値、および比ストロークの値は、車両の設計諸元および性能諸元から決められた値であり、通常、変更不能な定数である。
ここで、比ストロークは、ストロークレシオとも呼ばれており、ピニオン軸7の1回転当たりのラック軸10の軸方向移動量である。また、軸角は、ピニオン軸7の中心軸線36とラック軸10の中心軸線37との両方に直交する方向から見たときに、ピニオン軸7の中心軸線36と、ラック軸10の中心軸線37と直交する線(図4(b)のZ軸に相当)とがなす角(図4(b)のΣ参照)である。
図1および図3に戻って、ステップS2では、操舵機構11の第2の設計諸元としてのラック軸10の直径(半径でもよい。)の範囲を設定する。ここで設定される範囲は、車両の設計諸元により決められているが、設定された範囲内で変更することが可能とされている。なお、本実施形態では、ラック軸10の直径の仮値は、ステップS3で設定され、設定された値から変更されない。
ステップS3では、第3の設計諸元に仮値を設定する。第3の設計諸元は、揺動トルクに影響する設計諸元としての以下の設計諸元を含んでいる。すなわち、第3の設計諸元は、ピニオン歯8のモジュールmと、上記ピニオン歯8の圧力角αと、上記ピニオン軸7の歯数zと、上記ピニオン歯8のねじれ角βp (図4(b)参照)と、上記ラック歯9のねじれ角βr (図4(b)参照)と、上記ピニオン歯8の転位係数ξと、ピニオン軸7およびラック軸10の中心軸線36,37間の最短距離a(以下、芯間距離aともいう。図4(c)参照。)と、ピニオン軸7の歯先円半径ra (図7参照)と、ラック軸10の歯先高さha (図5(a)参照)と、ラック軸10のラック半径Rr (図5(a)参照)とを含んでいる。ここで、ラック軸10の歯先高さha は、ラック軸10の中心軸線37とラック歯9の歯先との間の距離である。
これらの設計諸元のうちの一部、具体的には、モジュールm、圧力角α、歯数z、ねじれ角βp 、ねじれ角βr 、転位係数ξ、および最短距離aは、後述するように揺動トルクを算出するときに変数として用いられる。
また、残りの設計諸元、すなわち、歯先円半径ra 、歯先高さha 、およびラック半径Rr は、揺動トルク以外の性能諸元に影響を及ぼすこともあるので、揺動トルクを算出するときには定数として用いられる。
図3に戻って、ステップS3では、具体的に説明しないが、上述の設計諸元以外の設計諸元、例えば、ステップS4で所定の幾何学的条件を確認するための設計諸元と、ステップS7で所定の強度条件を確認するための設計諸元とに、仮値を設定するようにしている。
また、ステップS3では、特定の設計諸元に仮値が設定されると、ステップS1およびステップS2で設定された設計諸元の値および範囲が維持されるように、他の設計諸元の仮値が計算される。例えば、ラック歯9のねじれ角βr の仮値を設定すると、比ストロークSRの値を維持するように、後述する演算式(50)を用いて、モジュールmの仮値を算出できる。
また、ステップS3では、複数の仮値が設定される。具体的には、複数の仮値は、第1の仮値と、…第Nの仮値とを含んでいる(ここで、Nは、2以上の整数である。)。第1の仮値は、モジュールmの第1の値、ピニオン歯8のねじれ角βp の第1の値、ラック歯9のねじれ角βr の第1の値、…等を含んでいる。第Nの仮値は、モジュールmの第Nの値、ピニオン歯8のねじれ角βp の第Nの値、ラック歯9のねじれ角βr の第Nの値、…等を含んでいる。
ステップS4では、設計諸元に設定された仮値が、所定の幾何学的条件を満たすか否かを判定する。判定は、計算に基づいてなされる。
具体的には、所定の幾何学的条件を判定するための指標値を演算する演算式を用いる。この演算式は、設計諸元を変数として含む。この変数に、仮値が代入される。これにより、上述の指標値が算出される。算出された指標値が所定の条件を満たす場合に、仮値が所定の幾何学的条件を満たす、と判定される。
また、上述の所定の幾何学的条件には、以下の第1および第2の幾何学的条件が含まれている。第1および第2の幾何学的条件の両方が満たされるときに、仮値が合格と判定される。
第1の幾何学的条件は、仮値により規定されるピニオン歯8およびラック歯9が、干渉することなく噛み合わせ可能であることである。例えば、ラック歯9とピニオン歯8の噛合状態において、所定の噛合位置を超えたラック歯9の歯先がピニオン歯8の歯元をえぐるように干渉する現象、いわゆる、アンダーカットやトロコイド干渉と呼ばれる現象が生じるか否かを判定する。この現象の発生の指標値としてのトロコイド干渉クリアランスは、公知の演算式(例えば、上述の特許文献1参照。)を用いて求めることができる。求めたトロコイド干渉クリアランスの値が、0.3mm以上確保される場合に、第1の幾何学的条件が満足されると、判定する。
第2の幾何学的条件は、仮値により規定されるピニオン歯8の歯先に十分な歯厚が確保されていること、換言すれば、いわゆる歯先尖りが生じていないことである。歯先歯厚の良否は、歯切り後の熱処理時における焼入れ過剰の防止のために設定されている。例えば、歯先尖り発生の指標値としてのピニオン歯8の歯先歯厚(歯直角方向)が、動力伝達歯車の設計しきい値として用いられている0.3m(mはモジュール)以上確保されている場合に、第2の幾何学的条件が満足されると、判定される。ピニオン歯8の歯先歯厚は、公知の演算式(例えば、上述の特許文献1参照。)を用いて求めることができる。
また、ステップS4では、ステップS3で設定された各仮値が所定の幾何学的条件を満たすか否かを判定する。ステップS3で設定された全ての仮値の判定が、繰り返される。所定の幾何学的条件を満たす仮値は、記憶され、ステップS5以降の工程でも判定される。一方、所定の幾何学的条件を満たさない仮値は、廃棄される。なお、本実施形態では、複数の仮値が、ステップS4で合格とされる場合に則して説明する。
ステップS5では、仮値を用いて、性能諸元値としての揺動トルクを計算により得ている。具体的には、上記性能諸元としての揺動トルクを演算する演算式を用いる。この演算式は、上記設計諸元を変数として含んでいる。この変数に、上記仮値を代入して性能諸元値としての揺動トルクを得ている。揺動トルクの算出には、ステップS4で合格とされた複数の仮値(例えば、上述の第1の仮値、…第Nの仮値)が用いられる。
上記性能諸元としての上記揺動トルクTは、上記モジュールm、上記圧力角α、上記歯数z、上記ねじれ角βp 、上記ねじれ角βr 、上記転位係数ξ、および上記最短距離aを変数として含む関数Tを用いた演算式、T=T(m,α,z,βp ,βr ,ξ,a)、により求められる。
関数Tを用いた演算式については、後で詳しく説明するが、後述する式(44)の各変数に、モジュールm、上記圧力角α、上記歯数z、上記ねじれ角βp 、上記ねじれ角βr 、上記転位係数ξ、および上記最短距離aが含まれている。これらの各設計諸元(モジュールm等)に、仮値を代入することにより、揺動トルクTが得られる。
また、ステップS5では、ステップS4で合格した複数の仮値の全てについて、揺動トルクTが求められる。例えば、第1の仮値を用いるときには、モジュールmの第1の値、ピニオン歯8のねじれ角βp の第1の値、…等を用いて、揺動トルクTの第1の値が算出される。第Nの仮値を用いるときには、モジュールmの第Nの値、ピニオン歯8のねじれ角βp の第Nの値、…等を用いて、揺動トルクTの第Nの値が算出される。このようにして、N個の揺動トルクTの値が求められる。
また、関数Tを用いた演算式には、変数としてピニオン軸7の回転角度が含まれている。従って、各仮値、すなわち、第i(1≦i≦N)の仮値を演算式に代入して、揺動トルクTを求めると、ピニオン軸7の回転角度が変化するのに応じて、求められた揺動トルクTの値は変動する。そこで、本実施形態では、第iの仮値を用いて得た揺動トルクTの変動する値のなかの最大値を求める。この最大値を、第iの仮値に対応する性能諸元値、すなわち、揺動トルクTの第iの値(代表値)に採用するようにしている。
ステップS6、すなわち、上記性能諸元値の合否を判定する工程では、設計諸元値として設定された複数の仮値の中から、上記揺動トルクTを最小とする仮値を求め、当該仮値を合格であると判定する。
例えば、ステップS5で求められた揺動トルクTの複数の値、例えば、揺動トルクTの第1の値、…揺動トルクTの第Nの値を、互いに比較し、その中の最小値を求める。これとともに、この最小値をステップS5で算出するときに用いられた仮値が求められる。
また、ステップS6では、算出された揺動トルクTの値、具体的には、揺動トルクTの最小値が、予め定める閾値(上限値)よりも小さいか否かが判断される。
揺動トルクTの最小値が、閾値以下の場合(ステップS6でYES)には、最小値が得られた仮値を合格であると判定する。一方、揺動トルクTの最小値が上限値を超えて大きい場合(ステップS6でNO)には、ステップS3で設計諸元に仮値を設定し直す。
ステップS7では、上述のステップS6で合格とされた仮値が、所定の強度条件を満たすか否かを判定する。判定は、計算に基づいてなされる。
具体的には、所定の強度条件を判定するための指標値を演算する演算式を用いる。この演算式は、設計諸元を変数として含む。この変数に、仮値が代入される。これにより、上述の指標値が算出される。算出された指標値が所定の条件を満たす場合に、仮値が所定の強度条件を満たす、と判定される。
所定の強度条件は、第1の強度条件と、第2の強度条件とを含んでいる。第1および第2の強度条件の両方が満たされるときに、所定の強度条件が満たされている、と判定される(ステップS7でYES)。これにより、仮値が合格と判定される。ここで合格の場合に、当該仮値が、最終的な設計諸元値として合格と判定される。
所定の強度条件が満たされていない場合、すなわち、第1および第2の強度条件の少なくとも一方が満たされていない場合(ステップS7でNO)には、ステップS3で設計諸元に仮値を設定し直す。
第1の強度条件は、ピニオン歯8の歯元の曲げ強さが十分であることである。例えば、歯元の曲げ強さの指標値としての歯元の曲げ応力は、歯車における曲げ応力の計算式(例えば、ルイスの式。上述の特許文献1参照。)を用いて求めることができる。ピニオン歯8の曲げ応力が材料の許容応力以下の場合に、第1の強度条件が満たされている、と判定する。
第2の強度条件は、ピニオン歯8の歯面の疲れ強さが十分であることである。例えば、歯面の疲れ強さの指標値としての歯面の接触応力は、ヘルツの弾性接触論を適用した歯面接触応力の演算式(例えば、上述の特許文献1参照。)を用いて求めることができる。ピニオン歯8の歯面接触応力が材料の許容応力以下の場合に、第2の強度条件が満たされると、判定する。
ステップS1〜ステップS7の各工程は、具体的には、コンピュータを利用して実行される。上述した各演算式は、コンピュータのプログラム(ソフトウェア)に含まれている。例えば、プログラムが実行されると、上述の設計諸元に仮値が入力され、揺動トルク、強度等の性能諸元値が出力される。さらに、出力された性能諸元値が、予め入力された基準値(または許容値)と自動的に比較される。その結果、出力された性能諸元値およびこれに対応する設計諸元値の合否が自動的に判定されるようになっている。
図1および図3を参照して、以上説明したように、本実施形態の操舵機構の設計方法では、ステップS3,5,6に示す各工程を備えており、ステップS3の工程で設計諸元として設定された仮値を用いて、ステップS5の工程で揺動トルクTを計算により求め、算出された揺動トルクTの合否をステップS6の工程で判定するようにしている。
これにより、揺動トルクTの値が小さくなるような設計諸元値を求めることができる。例えば、上述の合否を判定するステップS6の工程では、得られた性能諸元値としての揺動トルクTの値が、予め定める条件を満たすときに、得られた性能諸元値を合格と判定する。上述の予め定める条件としては、上記最小値や、揺動トルクTの値が相対的に小さな値であることや、揺動トルクTの値が所定値よりも小さいことを例示できる。これらの条件が満たされる場合の設計諸元値に基づいて製作される操舵機構11においては、揺動トルクTを小さくできるので、振動および異音の発生を抑制できて、また、操舵フィーリングの向上を図ることができる。
また、揺動トルクTは、振動、異音および操舵フィーリングと比較して、計算により精度よく求め易い。また、性能諸元値としての揺動トルクの値を計算により求めるので、揺動トルク、振動、騒音および操舵フィーリングを実験で求める場合と比較して、性能諸元値を容易に求めることができる。その結果、例えば、操舵機構11の開発コストおよび開発に要する時間を低減できる。ひいては、設計諸元の最適化も可能となる。
また、本実施形態では、揺動トルクTを求める演算式は、上記モジュールm、上記圧力角α、上記歯数z、上記ねじれ角βp 、上記ねじれ角βr 、上記転位係数ξ、および上記最短距離aを含む関数T(m,α,z,βp ,βr ,ξ,a)を用いている。これにより、上述の設計諸元を用いて揺動トルクTを容易に求めることができる。
また、本実施形態のステップS6の工程では、仮値を判定するのに、複数の仮値の中から、上記揺動トルクTを最小とする仮値を求めるようにしている。この場合、設計諸元値として設定された複数の仮値の中において、設計諸元を最適化することができる。ひいては、合格と判定された仮値が設計諸元値として用いられて製作される操舵機構において、振動および異音の発生を確実に抑制できて、また、操舵フィーリングを確実に向上することができる。
また、本実施形態について、以下のような変形例を考えることができる。以下の説明では、上述の実施形態と異なる点を中心に説明する。他の構成については、上述の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
例えば、上述の実施形態では、所定の幾何学的条件の判定と、揺動トルクの所定の条件の判定と、所定の強度条件の判定とが、この順で行われていたが、この順序は特に限定されない。また、少なくとも揺動トルクの所定の条件の判定がなされればよい。
また、揺動トルクの最小値の求め方としては、上述の実施形態では、複数の仮値を予め準備し、複数の揺動トルクの値を求めて、そのなかの最小値を選んでいたが、これには限定されない。例えば、単一の仮値を出発値として、揺動トルクが小さくなるように、設計諸元の仮値を徐々に変化させるようにすることも考えられる。
また、揺動トルクの所定の条件は、揺動トルクの最小値を求めることと、この最小値が閾値以下であることとの両方を含んでいたが、これには限定されず、例えば、揺動トルクが予め定める所定値よりも小さい場合に、合格としてもよいし、揺動トルクが最小値である場合に、合格としてもよい。
また、揺動トルクを求めるために設計諸元を変数として含む演算式は、上述した解析的に求めた式に限定されず、例えば、実験的に求めた式であってもよい。
また、上述の実施形態では、いわゆるコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置に本発明が適用された例について説明したが、これに限らず、いわゆるピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置や、いわゆるラックアシスト式の電動パワーステアリング装置に、本発明を適用してもよい。
また、上述の実施形態では、本発明が、電動モータの出力を操舵補助力として出力する電動パワーステアリング装置に適用された例について説明したが、これに限らず、油圧アクチュエータの出力を操舵補助力として用いる油圧式のパワーステアリング装置に、本発明を適用してもよい。その他、ラックアンドピニオン機構を有する操舵装置に、本発明を適用することができる。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更を施すことができる。
[揺動トルクの式の導出]
(1.はじめに)以下では、揺動トルクの演算式と、その導出過程とを説明する。
操舵機構11のラック軸10の軸線37とピニオン軸7の軸線36とが、車両の搭載条件により、互いに斜めに食い違う場合がある。このタイプの操舵機構11では、かみあいの進行とともに、歯すじ方向にすべりが生じる。これに伴い、円筒状の外周を有するラック軸10を回転させるトルク(揺動トルクT)が生じる。ステアリングの構造上、このラック軸10の回転を拘束できるのは、ピニオン33とラック軸10において互いに噛み合う歯面同士だけなので、かみあいにより生じたラック軸10の回転が、かみあいの良否に影響を及ぼすと考えられる。
ここで、ハンドル操作には左右両方向があるので、ハンドル操作に伴うラック軸10のその軸線周りの回転を、揺動と言う。また、このときにラック軸10を回転させるトルクを揺動トルクという。また、ラック軸10のその軸線周りの回転角を揺動角と言う。
また、[揺動トルクの式の導出]の欄では、ピニオン軸7を単にピニオンともいう。ラック軸10を単にラックともいう。また、ピニオン軸の中心軸線36を、ピニオン軸線ともいう。また、ラック軸10の中心軸線37を、ラック軸線ともいう。
(2.ラックおよびピニオンのかみあい解析)
(2.1 座標系の定義)
図4は、ピニオン座標系およびラック座標系の説明図であり、図4(a) にピニオンおよびラックの要部の斜視図を、図4(b) にピニオンおよびラックの要部の平面図(ラック軸線およびピニオン軸線にともに直交する方向に沿って見た図)を、図4(c) のピニオンおよびラックの要部の側面図(ラック軸線に沿って見た図)を示す。
まず、ピニオンとラックの座標系を定義する。ピニオン軸線と一致する座標軸をもつ絶対座標系をピニオン座標系、ラック軸線と一致する座標軸をもつ絶対座標系をラック座標系とする。
ピニオン座標系Sp(o−x,y,z)は、互いに食い違ったラック軸線とピニオン軸線とを最短距離で結ぶ線を含むピニオン軸直角面(ピニオン軸線とは直交する平面)をxy面とし、両軸線を最短距離で結ぶ線をx軸とする。x軸は、ラックに向かう方向を正とする。さらに、右手系に従い、ピニオン軸直角面上にy軸を定義する。また、xy面とピニオン軸線の交点を原点o、ピニオン軸線をz軸とする。
一方、ラック座標系Sr(O−X,Y,Z)は、互いに食い違ったラック軸線とピニオン軸線とを最短距離で結ぶ線を含むラック軸平面(ラック軸線を含む平面)をXY面とし、両軸線を最短距離で結ぶ線をX軸とする。X軸の方向はx軸方向と一致させる。さらに、X軸とラック軸線との交点を原点Oとし、ラック軸線をY軸とする。また、Y軸とy軸の挟み角(食い違い角)が鋭角になるようにY軸の方向を定義し、右手系にしたがってラック軸直角面(ラック軸線とは直交する平面)上にZ軸とその方向を定義する。
また、ラックおよびピニオンの両軸線間に角度差(食い違い角)があるとき、ピニオン歯のねじれ角をβp 、ラック歯のねじれ角をβr とすると、ピニオン軸線とラックの垂直線(ラック軸線とは直交する線)とのなす角を軸角Σ(Σ=βp +βr )とする。これらの各角度の向きは、図4(b)において右側に捩じれている場合を正と定義した。
ピニオン座標系およびラック座標系の関係は、x(X)軸周りに軸角Σ(−Σ)回転し、それぞれの原点はx(X)軸上で両軸線の最短距離aで離れていることになる。
(2.2 座標系の変換)
上述のピニオン座標系とラック座標系の位置関係は、両座標系のx(X)軸が同一であり、x(X)軸周りにΣ(−Σ)回転させ、x(X)軸上で± a移動させればよい。
例えば、ピニオン座標系を用いて、空間上の任意の点の位置ベクトルを表すときに、当該任意の点の位置ベクトルは、下記の式(1) で表される。
一方、ラック座標系Srを用いて、空間上の任意の点の位置ベクトルを表すときに、当該任意の点の位置ベクトルは、下記の式(2) で表される。
また、両座標系の位置関係を用いて、式(1) 、式(2) に示された2つのベクトルは、下記式(3) により互いに変換できる。
Figure 2010126100
(3.揺動トルクを推定する理論式の導出)
(3.1 ラックにかかる荷重および摩擦の定義)
ラックおよびピニオンのかみあいに伴って生じるラックの揺動トルクTを導出するため、ラックにかかる力について検討する。
ラックには、ピニオンとのかみあいによる歯面法線荷重が作用し、また、ピニオンとラックとの歯面間の相対すべり摩擦荷重が作用する。これに加えて、ラックには、ステアリング装置に特有な力、すなわち、ラックおよびピニオンの両歯面で常に接触を保つためのラック支持装置によるラック半径方向荷重、ラック支持装置とラックとの間のすべり摩擦荷重、さらに、車輪からの外力が作用する。
図5には、ラックが受ける上述した各荷重および外力と、ラックに生じる揺動トルクTとを示している。図5(a) はラック軸平面(XY平面)に直交する方向に沿って見た図であり、図5(b) はラック軸直角面(XZ平面)に直交する方向に沿って見た図である。また、表1に上述の各荷重および摩擦係数などの定義をまとめて示す。
Figure 2010126100
このうち、ピニオン歯面から受ける法線荷重は、ピニオン右歯面から受ける法線荷重 PR と、ピニオン左歯面から受ける法線荷重PL とに分けている。また、このように分けたそれぞれの法線荷重PR 、PL は、かみあい線単位長さ当たりに一定の荷重がかかるものとする。
図6に示すように、各法線荷重PR 、PL は、歯面に垂直方向に働くため、それらの方向ベクトルepR、epLをラック座標系で表し、歯直角圧力角αn を用いると、方向ベクトルepR、epLは、下記の式(4) で与えられる。
Figure 2010126100
(3.2 歯面かみあいの相対すべり速度の導出)
(3.2.1 歯すじ方向の相対すべり速度の導出)
ラックおよびピニオンの軸角Σが0でないとき(Σ≠0 )には、ラック歯9とピニオン歯8のねじれ角が互いに異なるため、ラックおよびピニオンのかみあいから、歯たけ方向だけでなく、歯すじ方向にも相対すべりが生じる。以下では、この歯すじ方向の相対すべり速度を導出する。
ピニオン座標系において、歯面上の任意のかみあい点Kの座標を(x,y,z)とし、ピニオンの角速度をωとすれば、かみあい点におけるピニオン周速度は下記の式(5) で与えられる。
Figure 2010126100
図7に示すように、ピニオン周速度の歯法線方向の成分は、式(5) から、下記の式(6) のように求められる。
Figure 2010126100
式(6) のα’はピニオン軸直角面上のかみあい点Kにおける圧力角である。また、インボリュート歯形であるので下記の式(7) が成り立っている。
Figure 2010126100
式(7) において、rはピニオンのピッチ円半径、αt はピニオン軸直角面上のピッチ円における圧力角である。さて、式(7) を式(6) に代入すれば、ピニオン周速度の歯法線方向成分は下記の式(8) のように書き換えられる。
Figure 2010126100
よって、ピニオン周速度により得られた、図7に示すようなラック軸平面(YZ面)における成分(y軸成分)が下記の式(9) のように求められる。
Figure 2010126100
式(9) からわかるように、上述のy軸成分は、かみあい位置と関係なく、一定値である。さらに、式(9) により表されたy軸成分vpNy のベクトルvpNy をピニオン座標系で表せば、下記の式(10)により示される。
Figure 2010126100
ピニオン周速度により得られたy軸成分をラック座標系で表すvp は座標変換式(3) を用いて下記の式(11)により示される。
Figure 2010126100
さて、ピニオン軸線とラック軸線とも平行な面において、図8に示すように、ピニオン周速度の成分vp とラック軸方向の移動速度vr がある。ラックおよびピニオンがかみあうとき歯面の離れがない、つまり、ラックとピニオンの共用面(歯直角面)の速度vN が等しいので、vp とvr の関係式が下記の式(12)のように導出できる。
Figure 2010126100
よって、図8に示したラックおよびピニオンのかみあいの歯面すべり速度は、式(11)と式(12)により下記の式(13)で与えられる。
Figure 2010126100
式(13)に示されたベクトルの大きさを求めれば、歯すじ相対すべり速度は、下記式(14)のように得られる。
Figure 2010126100
(3.2.2 歯たけ方向の相対すべり速度の導出)
インボリュート歯形を持つ歯車の歯たけ方向では、かみあう両歯のかみあい長さが互いに異なり、滑りながら転がっているため、両かみあい歯面上で相対すべりが生じている。 歯車歯面同士がかみあうとき、歯面相対すべり率により実際の歯たけ方向の歯面すべり摩擦を把握できる。歯面上の任意のかみあい点K(x,y,z)における歯たけ方向のすべり速度vαは下記の式(15)で与えられる。なお、式(15)中、uは歯面相対すべり率である。
Figure 2010126100
歯面上の任意のかみあい点Kにおけるピニオンの半径(噛み合い点Kとピニオン軸線との距離に相当する。)をr’とすれば次の関係式(16)が得られる。
Figure 2010126100
式(16)を式(15)に代入すれば、歯たけ相対すべり速度は下記の式(17)で表される。
Figure 2010126100
また、歯たけ相対すべり速度は、ピニオン座標系を用いてベクトルで表すと下記式(18)で表される。
Figure 2010126100
(3.2.3 歯面かみあいの総合相対すべり速度の導出)
式(14)および式(18)より、両歯面でかみあうときに、歯面間で生じる総合相対すべり速度vS のベクトルは、ラック座標系において下記の式(19)で与えられる。
Figure 2010126100
ただし、歯たけ方向の相対すべり速度はピニオン座標系で表されているため、式(3) の座標変換マトリクスを用いてラック座標系に変換している。
また、その単位方向ベクトルeS は、下記の式(20)で与えられる。
Figure 2010126100
(3.3 歯面相対すべり摩擦を含めた歯面にかかる荷重)
式(4) および式(20)から、すべり摩擦を含めたピニオン右歯面から受ける荷重の単位方向ベクトルは、下記の式(21)で与えられる。
Figure 2010126100
式(21)中、μ1 は歯面摩擦係数である。よって、その荷重fR は、下記の式(22)で与えられる。
Figure 2010126100
次に、式(22)を用いて、ピニオン右歯面から受ける荷重全体を求める。
上述のように、式(22)はかみあい線単位長さ当たりの荷重なので、各かみあい線の荷重を微小長さdlR を用いて、同時かみあい歯の荷重の和から、ピニオン右歯面から受ける荷重全体は下記の式(23)で与えられる。
Figure 2010126100
同様に、式(4) および式(20)から、すべり摩擦を含めたピニオン左歯面から受ける荷重の単位方向ベクトルは、下記の式(24)で与えられる。
Figure 2010126100
その荷重fL は、下記の式(25)で与えられる。
Figure 2010126100
また、式(25)を用いて、ピニオン左歯面から受ける荷重全体を求める。右歯面と同様に、各かみあい線の荷重を微小長さdlL を用いて、ピニオン左歯面から受ける荷重全体は下記の式(26)で与えられる。
Figure 2010126100
(3.4 ラックにかかる力のつりあい)
前節で導出した式(23)および式(26)により、歯面すべり摩擦を含めたピニオン両歯面から受ける荷重が得られたので、本節では、ラックにおける力のつりあい式を導出し、ピニオン両歯面から受けるかみあい線単位長さ当たりの荷重PR 、PL を求める。
ラックにかかる力は、式(23)および式(26)から求められた歯面荷重に加えて、ラックの軸方向にラックに作用する外力(ラック軸方向外力)Fr 、ラック軸支持装置28のサポートヨーク41からのラジアル荷重W、およびサポートヨーク41との摩擦によるスラスト荷重μ2 Wがある。それらの力のつりあいを考えると、下記の式(27)が得られる。
Figure 2010126100
ただし、サポートヨーク41との摩擦はピニオン回転方向の逆向きに働くものとする。 さて、ラックに働く荷重を、ラックの軸方向と、ラック軸線およびピニオン軸線にともに垂直な方向(つまり、x軸(またはX軸)と平行な方向)で討論するため、式(21)および式(24)に示された単位方向ベクトルを下記の式(28)で表しておく。
Figure 2010126100
また、各荷重の正方向を図5の矢印方向で定義すると、ラックの軸方向のつりあいから下記の式(29)が得られる。
Figure 2010126100
一方、ラック軸線およびピニオン軸線にともに垂直な方向のつりあいから下記式(30) が成り立つ。
Figure 2010126100
ここで、PR 、PL はそれぞれかみあい線単位長さ当たり一定と定義しているので、式(29)、式(30)を用いて、下記の式(31)および式(32)が得られる。
Figure 2010126100
一般的にはPR ≧0、PL ≧0であると考えられるので、式(31)、式(32)でPR <0あるいはPL <0の場合はラック軸支持装置28が降伏したと考え、次のようにする。
L <0 のとき、式(29)においてPL =0とし、PR は下記の式(33)となる。同様に、PR <0 のとき、式(29)においてPR =0とし、PL は下記の式(34)となる。
Figure 2010126100
(3.5 揺動トルクの導出)
ラック軸線周りのモーメントから、揺動トルクを導出する。ラック軸直角面(XZ平面)に働く荷重成分を検討するので、先に求めたピニオン両歯面から受ける荷重fR 、fL を下記の式(35)で表す。
Figure 2010126100
まず、ピニオン右歯面から受ける荷重によるラック軸線周りのモーメントを求める。図9に示すように、かみあい線上の点(ZR ,XR )とすると、そのときの荷重成分は下記の式(36)となる。
Figure 2010126100
また、かみあい点を通り荷重成分の直線の方程式は下記の式(37)で与えられる。
Figure 2010126100
さらに、荷重成分とラック軸中心O(0,0,0)の距離dR は下記の式(38)で求められる。
Figure 2010126100
よって、ピニオン右歯面から受ける荷重によるラック軸線周りのモーメントTR は、式(36)および式(38)より下記の式(39)で与えられる。
Figure 2010126100
さて、導出したラック軸線周りのモーメントTR を求める式(39)の方向は次のように決められる。
式(37)においてX=0のとき、下記の[数36]の(i) または (ii) とする。
Figure 2010126100
[数36]の関係とすることで、ピニオン右歯面から受ける荷重によるラック軸線周りのモーメント和が求められる。
同様にピニオン左歯面から受ける荷重によるラック軸線周りのモーメントTL も求められ、図9に示すように、かみあい線上の点(ZL ,XL )とすると、そのときの荷重成分は下記の式(40)となる。
Figure 2010126100
また、かみあい点を通り荷重方向の直線の方程式は下記の式(41)で与えられる。
Figure 2010126100
さらに、荷重成分とラック軸中心O(0,0,0)の距離dL は下記の式(42)で求められる。
Figure 2010126100
式(40)および式(42)より、ピニオン左歯面から受ける荷重によるラック軸線周りのモーメントTL は、下記の式(43)で与えられる。
Figure 2010126100
導出したラック軸線周りのモーメントTL を求める式(43)の方向は次のように決められる。
式(41)においてX=0のとき、下記の[数41]の(i) または (ii) とする。
Figure 2010126100
[数41]の関係とすることで、ピニオン左歯面から受ける荷重によるラック軸線周りのモーメント和が求められる。
式(39)と式(43)をまとめると、図9に示したラック軸線周りのモーメント、つまり揺動トルクTは下記の式(44)で与えられる。
Figure 2010126100
式(44)中の、Rr は図9に示したラックの半径である。サポートヨーク41との摩擦によるモーメントは、揺動トルクTの絶対値が小さくなる方向に働くことを示している。
以上により、操舵機構のラックの揺動トルクの演算式(44)を導出した。
(3.6 揺動トルクと設計諸元との対応)
次に、式(44)が、具体的な設計諸元(上述のステップS3で説明した設計諸元)を用いて表されることを、説明する。
まず、ステップS3で説明した設計諸元から、他の設計諸元が以下のように導かれる。すなわち、ピニオンの軸直角モジュールmt が、下記の式(45)で与えられる。ピニオン の軸直角圧力角αt が、下記の式(46)で与えられる。ピニオンのピッチ円直径rが、下 記の式(47)で与えられる。ピニオンの基礎円直径rb が、下記の式(48)で与えられる。 また、軸角Σが、下記の式(49)で与えられる。比ストロークSRが、下記の式(50)で与 えられる。
Figure 2010126100
式(44)において、設計諸元が影響するのは、モーメントTR とモーメントTL である。モーメントTR を与える式(39)には、噛み合い点座標XR 、ZR が含まれている。また、モーメントTL を与える式(43)には、噛み合い点座標XL 、ZL が含まれている。
各噛み合い点座標は、ピニオンの回転により変化し、各歯で線上に存在しているので、下記の式(51)で与えられる。
Figure 2010126100
式(51)において、
s :かみあい範囲内のみ存在する変数
θ:ピニオン回転角度
k :隣接歯に関する係数
である。
s,θ、kを具体的に説明する。ピニオンが回転すると、ピニオン歯の1ピッチ(例えば、ピニオン歯が6歯のときには、1ピッチに対応するピニオン回転角度は60度)ごとに噛み合い状態は周期的に変化する。この噛み合い状態を特定するための変数として、θは用いられる。
kは、その噛み合い状態のときに、同時に噛み合う歯数に応じて必要な係数である。例えば、ピニオンの第1,第2および第3の歯からなる3歯が同時にラック歯に噛み合うならば、k=−1,0,1の何れかに設定される。第1の歯に関する噛み合い点座標を求めるときには、k=−1とする。第2の歯に関する噛み合い点座標を求めるときには、k=0とする。第3の歯に関する噛み合い点座標を求めるときには、k=1とする。
sは、その噛み合い状態のときに、各歯の噛み合い線の端から端までの範囲(噛み合い範囲)内の任意の位置を表す変数である。噛み合い範囲は、ピニオンおよびラックの両歯先間と歯幅方向の歯の縁とにより決まる空間内にある。ピニオン回転角度θが所定値であり且つ係数kが上述の何れかの値に設定される特定の歯における噛み合い線の両端部が、点Aと点Bとで与えられるときに、上述の噛み合い範囲内の任意の位置を示す変数sは、sa≦s≦sbで与えられる。例えば、任意の位置の成分毎の変数sは、点Aの対応する成分の値saと、点Bの対応する成分の値sbとの間の値として設定される。
ここで、点Aおよび点Bは、端部が歯先にあるか、歯幅方向の歯の縁にあるかで具体的な座標は異なるが、歯先円半径ra 、歯先高さha およびラック半径Rr を用いて求められる。
また、式(51)において、噛み合い範囲を求めるときに、ピニオンの歯先円半径ra と 、ラックの歯先高さha と、ラックのラック半径Rr とを用いる。
また、モーメントTR を与える式(39)には、荷重方向のベクトルの成分fZR、fXRが含まれている。また、モーメントTL を与える式(43)には、荷重方向のベクトルの成分fZL、fXLが含まれている。これらの成分を、上述の説明とは逆にたどると、[数45]、[数46]および[数47]に示すようになる。結局、上述の設計諸元は、式(4) と式(19)に含まれている。
Figure 2010126100
Figure 2010126100
Figure 2010126100
ここで、μ1 は、歯面摩擦係数である。r’は、任意のかみあい点Kにおけるピニオン軸の半径であり、上述の式(16)により与えられる。また、uは、上述の相対すべり率である。また、uの式中のα’は、上述のように、ピニオン軸直角面上のかみあい点Kにおける圧力角であり、上述の式(7) により与えられる。
また、式(39)および式(44)には、ピニオン軸の回転角度も含まれている。ピニオン軸の回転角度に、適宜異なる仮値を代入し、これにより回転角度に応じた揺動トルクを求めることができる。
(実施例と比較例) 実施例として、上述の設計方法を用いて、操舵機構11のピニオン軸7とラック軸10の設計諸元値を得た。具体的には、揺動トルクTが最小になるように、ピニオン歯8およびラック歯9のねじれ角を変更し、ねじれ角の最適値を得た。また、これに伴い、車両への搭載条件や強度条件が変化しないように、例えば、軸角、芯間距離、比ストローク、ラック半径が変化しないように、ピニオン歯8およびラック歯9のモジュール、ピニオン歯8の転位係数、ピニオン軸7の歯先半径、ラック軸10の歯先高さを決定した。
また、比較例として、従来の設計方法を用いて、設計諸元値(従来から用いられている操舵機構の設計諸元値に相当する。)を得た。
なお、車両への搭載条件や強度条件において、実施例および比較例の間で違いが生じないように、例えば、軸角、芯間距離、比ストローク、およびラック半径は、実施例および比較例の間で互いにほぼ等しくされている。
(試験) 実施例の設計諸元値を用いて、上述の演算式を用いて揺動トルクの値を算出した。
また、実施例の設計諸元値に従って操舵機構のピニオン軸7とラック軸10とを製作し、これらを用いて、揺動トルクに比例する揺動角を測定した。
具体的には、製作したピニオン軸7とラック軸10とを、噛み合い試験機に取り付けて、ピニオン軸7を一定速度の低負荷状態で往復回転させる。このとき、ラック軸10が、軸方向直線移動するとともに、当該ラック軸10の中心軸線周りに微小角度で揺動する。このときのラック軸10の揺動角度を測定する。このとき、ピニオン軸7およびラック軸10は、噛み合い試験機に取り付けられ、これにより、実際のステアリング装置の操舵機構に用いられているときと同様に、ラック軸支持装置の付勢を受けることによりバックラッシが無くされた状態とされている。
また、比較例についても、実施例と同様に、揺動トルクの値を算出し、また、揺動角を測定した。
(結果) 実施例および比較例の比較結果を、図10および図11に示す。
図10は、実施例と比較例におけるピニオン軸の回転角度θと、ラック軸の揺動トルクTの計算結果との関係のグラフであり、縦軸に揺動トルクT(Nm)を示し、横軸にピニオン軸の回転角度θ(rad)を示し、実施例を実線G1で示し、比較例を破線G2で示す。
図10を参照して、実施例および比較例ともに、ピニオン軸の回転に伴って、ラック軸に揺動トルクが生じている。また、ピニオン軸の回転方向に応じて、揺動トルクの向きが変化している。また、ピニオン軸が、ピニオン歯の1ピッチ分回転する間に、ラック軸の揺動トルクに変動が生じている。このときの揺動トルクの最大値と変動量を、実施例および比較例の間で比べる。
実施例の揺動トルクの最大値は、比較例の揺動トルクの最大値と比べて、小さくなっている。比較例の揺動トルクの最大値を100%としたときに、実施例の揺動トルクの最大値は、約82%になっている。
また、実施例の揺動トルクの変動幅は、比較例の揺動トルクの変動幅と比べて、小さくなっている。例えば、比較例の揺動トルクの変動幅を100%としたときに、実施例の揺動トルクの変動幅は、約82%になっている。
図11は、実施例および比較例の設計諸元に従って製作した操舵機構における、ピニオン軸の回転角度θとラック軸の揺動角θ1との関係のグラフであり、かみあい試験機により測定した測定結果を示し、縦軸に揺動角θ1(rad) を示し、横軸にピニオンの回転角度θ(rad) を示し、実施例を実線G3で示し、比較例を破線G4で示す。
図11を参照して、実施例の揺動角の最大値は、比較例の揺動角の最大値と比べて、小さくなっている。また、実施例の揺動角の変動幅は、比較例の揺動角の変動幅と比べて、小さくなっている。
また、図11に示す測定結果と、図10に示す計算結果とにより、本実施形態の設計方法により得た設計諸元値にしたがって製作された操舵機構において、揺動トルクを小さいでき、ひいては、振動および異音の発生を抑制でき、操舵フィーリングの向上を図ることができるといえる。
本発明の一実施形態の操舵機構の設計方法が適用される車両用操舵装置の概略構成の模式図である。 図1の車両用操舵装置の要部の断面図である。 本発明の一実施形態の操舵機構の設計方法のフローチャートである。 揺動トルクの演算式を求めるための説明図であり、ピニオン軸の要部、ラック軸の要部、ピニオン座標系およびラック座標系を、図4(a) ,(b) ,(c) のそれぞれに視点を変えて図示した。 揺動トルクの演算式を求めるための説明図であり、ピニオン軸の要部、ラック軸の要部、サポートヨークの要部、およびラック軸にかかる荷重を、図5(a) ,(b) のそれぞれに視点を変えて図示した。 揺動トルクの演算式を求めるための説明図であり、ラック歯、およびラック軸の歯面にかかる荷重の方向を示す。 揺動トルクの演算式を求めるための説明図であり、ラック軸の要部、ピニオン軸の要部、および噛み合い点におけるピニオン周速度を、ピニオン軸直角断面において示す。 揺動トルクの演算式を求めるための説明図であり、ラック歯、および歯すじ方向相対すべり速度を示す。 揺動トルクの演算式を求めるための説明図であり、ピニオン軸の要部、ラック軸の要部、サポートヨークの要部、ラック軸にかかる荷重、および揺動トルクを示す。 実施例と比較例におけるピニオン軸の回転角度θと、ラック軸の揺動トルクTの計算結果との関係のグラフであり、縦軸に揺動トルクT(Nm)を示し、横軸にピニオンの回転角度θ(rad) を示し、実施例を実線G1で示し、比較例を破線G2で示す。 実施例および比較例の設計諸元に従って製作した操舵機構における、ピニオン軸の回転角度θとラック軸の揺動角θ1との関係のグラフであり、かみあい試験機により測定した測定結果を示し、縦軸に揺動角θ1(rad) を示し、横軸にピニオンの回転角度θ(rad) を示し、実施例を実線G3で示し、比較例を破線G4で示す。
符号の説明
7…ピニオン軸(ピニオン)、8…ピニオン歯、9…ラック歯、10…ラック軸、11…操舵機構、37…ラック軸の軸線、S3…ステップ(設計諸元に仮値を設定する工程)、S5…ステップ(性能諸元値を得る工程)、S6…ステップ(性能諸元値の合否を判定する工程)、T…揺動トルク

Claims (3)

  1. 互いに噛み合うラック軸のラック歯およびピニオンのピニオン歯を有するラックアンドピニオン式の操舵機構における、上記ラック歯および上記ピニオン歯の設計諸元を、所定の性能諸元を満足する値に設定するための、操舵機構の設計方法であって、
    上記設計諸元に仮値を設定する工程と、
    上記設計諸元を変数として上記性能諸元を演算する演算式を用い、上記変数に上記仮値を代入して性能諸元値を得る工程と、
    得られた性能諸元値の合否を判定する工程と、を備え、
    上記性能諸元は、上記ラック歯および上記ピニオン歯のかみあいに伴って上記ラック軸を当該ラック軸の軸線周りに揺動させる揺動トルクを含むことを特徴とする操舵機構の設計方法。
  2. 請求項1において、上記設計諸元は、上記ピニオン歯のモジュールmと、上記ピニオン歯の圧力角αと、上記ピニオンの歯数zと、上記ピニオン歯のねじれ角βp と、上記ラック歯のねじれ角βr と、上記ピニオン歯の転位係数ξと、ラック軸およびピニオンの中心軸線間の最短距離aとを含み、
    上記性能諸元としての上記揺動トルクTは、上記モジュールm、上記圧力角α、上記歯数z、上記ねじれ角βp 、上記ねじれ角βr 、上記転位係数ξ、および上記最短距離aを含む関数Tを用いた下記の演算式、T=T(m,α,z,βp ,βr ,ξ,a)、により求められることを特徴とする操舵機構の設計方法。
  3. 請求項2において、上記性能諸元値の合否を判定する工程では、設計諸元値として設定された複数の仮値の中から、上記揺動トルクTを最小とする仮値を求め、当該仮値を合格であると判定することを特徴とする操舵機構の設計方法。
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