JP2010098812A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】仮想回転座標系であるγδ座標系のγ軸電流Iγでモータが駆動される。γδ座標系は、制御上の回転角である制御角θCに従う座標系である。制御角θCとロータ角θMとの差は負荷角θLである。この負荷角θLに応じたアシストトルクTAが発生する。一方、操舵トルクTがフィードバックされ、指示操舵トルクT*に操舵トルクTを近づけるように、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に加算されることにより、制御角θCの今回値θC(n)が求められる。加算角αは、リミッタ24による制限を受ける。加算角αの絶対値が所定のしきい値以上の状態が継続する異常時には、制御角補正部27によって制御角θCが強制的に補正される。
【選択図】図1

Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、車両用操舵装置の駆動源として使用可能である。車両用操舵装置の一例は、電動パワーステアリング装置である。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転角を検出するための回転角センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。回転角センサとしては、一般的には、ロータ回転角(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。しかし、レゾルバは、高価であり、配線数が多く、また、設置スペースも大きい。そのため、ブラシレスモータを備えた装置のコスト削減および小型化が阻害されるという課題がある。
そこで、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、ステータに対してセンシング信号を注入し、このセンシング信号に対するモータの応答が検出される。このモータ応答に基づいて、ロータ回転位置が推定される。
特開2007-267549号公報
上記のセンサレス駆動方式は、誘起電圧やセンシング信号を用いてロータの回転位置を推定し、その推定によって得られた回転位置に基づいてモータを制御するものである。しかし、この駆動方式は、いずれの用途にも適しているわけではなく、たとえば、車両の舵取り機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置の駆動源として用いられるブラシレスモータの制御に適用するための手法は未だ確立されていない。そのため、別の方式によるセンサレス制御の実現が望まれている。
そこで、この発明の目的は、回転角センサを用いない新たな制御方式でモータを制御することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(55)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置であって、制御上の回転角である制御角(θC)に従う回転座標系の軸電流値(Iγ *)で前記モータを駆動する電流駆動手段(31〜36)と、所定の演算周期毎に、制御角の前回値に加算角(α)を加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段(26)と、前記加算角の状態を監視する監視手段(25)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、制御角に従う回転座標系(γδ座標系。以下「仮想回転座標系」といい、この仮想回転座標系の座標軸を「仮想軸」という。)の軸電流値(以下「仮想軸電流値」という。)によってモータが駆動される一方で、制御角は、演算周期毎に加算角を加算することによって更新される。これにより、制御角を更新しながら、すなわち、仮想回転座標系の座標軸(仮想軸)を更新しながら、仮想軸電流値でモータを駆動することによって、必要なトルクを発生させることができる。こうして、回転角センサを用いることなく、モータから適切なトルクを発生させることができる。前記加算角は、たとえば、モータが発生すべきトルクまたは前記仮想軸電流値に対する前記モータの応答に対応する値とされる。
さらに、この発明では、監視手段によって加算角の状態が監視されるようになっている。したがって、その監視結果に基づいて、制御上の異常の有無を判定できる。
請求項2記載の発明は、前記監視手段は、前記加算角の絶対値が所定のしきい値以上となる回数が所定回数連続するときに異常と判断する手段(S11,S12)を含む、請求項1記載のモータ制御装置である。この構成によれば、加算角の絶対値が所定回数連続して所定値のしきい値以上となると、異常と判断される。加算角の絶対値が大きな状態が長時間継続しているときには、制御角の変動が大きな状態が継続していて、制御角をその適値に収束させることができなくなっている異常状態であると判断できる。
前記所定回数は、加算角の絶対値が前記しきい値以上で継続する可能性のある最長時間(正常状態において想定される最長時間)および前記演算周期に応じて定めればよい。
前記監視手段による働きは、結局、制御角が前記しきい値以上の変動幅で一定時間以上変動し続ける状態、換言すれば、前記制御角が前記しきい値以上の変動幅で一定角度以上変動し続ける状態が生じたときに、異常と判断する働きである。
請求項3記載の発明は、前記異常と判断されたときに前記制御角を補正する制御角補正手段(27,29)をさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置である。この構成によれば、異常発生時には、制御角が補正される。たとえば、加算角が一定値(絶対値が前記しきい値以上の値)をとる場合に、制御角が有限個の複数の値を循環的にとる場合がある。このような状況では、必要なトルクに応じた適値を飛び越えて制御角が変化する状態が継続するおそれがあり、したがって、制御角を適値に近い値とすることができなくなる可能性がある。そこで、この発明では、異常発生時において、制御角が補正され、強制的に制御角がシフトされる。これにより、制御角が適値に近似した値をとる可能性が高まり、それに応じて、制御角を必要トルクに応じた適値へと収束させやすくなる。こうして、異常状態から脱するように促すことができる。
請求項4記載の発明は、前記異常と判断されたときに前記加算角を補正する加算角補正手段(28)をさらに含む請求項2記載のモータ制御装置である。この発明では、加算角を補正することによって、請求項3の発明と同様の効果が達成される。
前記モータ制御装置が、前記加算角を演算する加算角演算手段(22,23)を含む場合に、前記加算角補正手段は、前記加算角演算手段の演算特性を変更することによって前記加算角を補正するものであってもよい。より具体的には、前記モータ制御装置は、前記モータの駆動対象に作用させるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段(21)と、前記駆動対象に働くトルク(検出トルク)を検出するトルク検出手段(1)とを含むものであってもよい。この場合に、前記加算角演算手段は、前記検出トルクを前記指示トルクに近づけるように前記加算角を演算するフィードバック制御手段(22,23)を含むものであってもよい。そして、前記加算角補正手段は、前記フィードバック制御手段のゲインを変更するものであってもよい。
請求項5記載の発明は、前記モータの駆動対象に作用させるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段(21)と、前記駆動対象に働くトルクを検出するトルク検出手段(1)とをさらに含み、前記制御角補正手段(29)は、複数の制御角について、前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクおよび前記トルク検出手段によって検出される検出トルクをサンプリングする手段(S23,S24)と、前記複数の制御角のうち、サンプリングされた指示トルクと検出トルクとの差が最小となる制御角を選択して新たな制御角として設定する制御角選択手段(S26)とを含む、請求項3記載のモータ制御装置である。この構成によれば、異常と判断されると、複数の制御角について、指示トルクおよび検出トルクがサンプリングされる。そして、指示トルクと検出トルクとの差が最小となる制御角が新たな制御角として選択される。これにより、検出トルクを指示トルクに近づけることができる適値に近似した値に制御角を設定することができるから、制御角の適値への収束を促すことができる。
請求項6記載の発明は、前記加算角の絶対値を所定の制限値(既定値)に基づいて制限するための加算角制限手段(24)と、前記異常と判断されたときに前記制限値を変更(前記既定値から変更)する制限値変更手段(30)とをさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置である。この構成によれば、加算角に適切な制限を加えることによって、実際のロータの回転に比して過大な加算角が制御角に加算されることを抑制できる。より具体的には、ロータの回転速度範囲に対して妥当な範囲内で加算角が設定されるように制限を加えることによって、より適切にモータを制御することができる。一方、異常と判断されたときには、前記制限値が所定の制限値(既定値)から変更される。一定の制限値で加算角を制限すると、制御角が有限個の値を循環的にとる状態となるおそれがあり、制御角を適値に収束させることが困難な状況に陥る可能性がある。そこで、異常発生時に、制限値を既定値から変更することで、制御角の適値への収束を促すことができる。
前記所定の制限値(既定値)は、たとえば、次式によって定められた値であってもよい。ただし、次式における「最大ロータ角速度」とは、電気角でのロータ角速度の最大値である。
所定の制限値(既定値)=最大ロータ角速度×演算周期
たとえば、モータの回転を所定の減速比の減速機構を介して車両用操舵装置の操舵軸に伝達している場合には、最大ロータ角速度は、最大操舵角速度(操舵軸の最大回転角速度)×減速比×極対数で与えられる。「極対数」とは、ロータが有する磁極対(N極とS極との対)の数である。
請求項7記載の発明は、前記変更された制限値は、360度の約数でない値である、請求項6記載のモータ制御装置である。この構成によれば、変更後の制限値が360度の約数でない値とされている。そのため、加算角の絶対値が変更後の制限値に制限されても、制御角が小数の限られた値を循環的にとる状態とならない。これにより、制御角が適値に接近する可能性を高めることができ、制御角の適値への収束を促すことができる。
請求項8記載の発明は、前記変更された制限値は、前記所定の制限値(既定値)よりも小さい値である、請求項6記載のモータ制御装置である。この構成によれば、異常と判定されたときに、制限値を前記所定の制限値(既定値)よりも小さい値とすることで、制御角が適値に接近する可能性が高められている。これにより、制御角の適値への収束を促すことができる。
請求項9記載の発明は、前記異常と判断されたときにモータ指示電流値を低減するための電流制限手段(40)をさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置である。この構成によれば、異常発生時にはモータ指示電流が低減される。これにより、制御の発散傾向を抑制でき、制御系を収束状態へと導くことができる。
請求項10記載の発明は、前記異常と判断されたときに前記加算角、制御角およびモータ指示電流値をリセットする手段(41)をさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置である。この構成によれば、異常と判断されると、加算角、制御角およびモータ指示電流値がリセットされるので、異常状態を速やかに脱して、制御を再開することができる。
前記モータは、車両の舵取り機構(2)に駆動力を付与するものであってもよい。この場合に、前記モータ制御装置が、前記車両の操向のために操作される操作部材(10)に加えられる操舵トルクを検出するトルク検出手段(1)と、指示操舵トルクを設定する指示操舵トルク設定手段(21)と、前記指示操舵トルク設定手段によって設定される指示操舵トルクと前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクとの偏差に応じて前記加算角を演算する加算角演算手段(22,23)とをさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、指示操舵トルクが設定され、この指示操舵トルクと操舵トルク(検出値)との偏差に応じて前記加算角が演算される。これにより、操舵トルクが当該指示操舵トルクとなるように加算角が定められ、それに応じた制御角が定められることになる。したがって、指示操舵トルクを適切に定めておくことによって、モータから適切な駆動力を発生させて、これを舵取り機構に付与することができる。すなわち、ロータの磁極方向に従う回転座標系(dq座標系)の座標軸と前記仮想軸とのずれ量(負荷角)が指示操舵トルクに応じた値に導かれる。その結果、適切なトルクがモータから発生され、運転者の操舵意図に応じた駆動力を舵取り機構に付与できる。
操作部材と舵取り機構とが機械的に結合された車両用操舵装置(たとえば、電動パワーステアリング装置)では、仮想軸電流値に対するモータの応答(モータが発生するトルク)は、検出操舵トルクの変化となって現れる。したがって、このような車両用操舵装置においては、検出操舵トルクに応じて加算角を演算することは、仮想軸電流値に対するモータの応答に応じて加算角を演算することになると言うこともできる。
前記モータ制御装置は、前記操作部材の操舵角を検出する操舵角検出手段(4)をさらに含み、前記指示操舵トルク設定手段は、前記操舵角検出手段によって検出される操舵角に応じて指示操舵トルクを設定するものであることが好ましい。この構成によれば、操作部材の操舵角に応じて指示操舵トルクが設定されるので、操舵角に応じた適切なトルクをモータから発生させることができ、運転者が操作部材に加える操舵トルクを操舵角に応じた値へと導くことができる。これにより、良好な操舵感を得ることができる。
前記指示操舵トルク設定手段は、前記車両の車速を検出する車速検出手段(6)によって検出される当該車速に応じて指示操舵トルクを設定するものであってもよい。この構成によれば、車速に応じて指示操舵トルクが設定されるので、いわゆる車速感応制御を行うことができる。その結果、良好な操舵感を実現できる。たとえば、車速が大きいほど、すなわち、高速走行時ほど指示操舵トルクを小さく設定することより、すぐれた操舵感が得られる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構7を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルク、舵角センサ4が検出する操舵角および車速センサ6が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
各相のステータ巻線51,52,53の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ50の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ50の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ50とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ50のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ50の回転角(ロータ角)θMは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θMに従う実回転座標系である。このロータ角θMを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
一方、この実施形態では、制御上の回転角を表す制御角θCが導入される。制御角θCは、U軸に対する仮想的な回転角である。この制御角θCに対応する仮想的な軸をγ軸とし、このγ軸に対して90°進んだ軸をδ軸として、仮想二相回転座標系(γδ座標系。仮想回転座標系)を定義する。制御角θCがロータ角θMに等しいとき、仮想回転座標系であるγδ座標系と実回転座標系であるdq座標系とが一致する。すなわち、仮想軸としてのγ軸は実軸としてのd軸と一致し、仮想軸としてのδ軸は実軸としてのq軸と一致する。γδ座標系は、制御角θCに従う仮想回転座標系である。UVW座標系とγδ座標系との座標変換は、制御角θCを用いて行うことができる。
制御角θCとロータ角θMとの差を負荷角θL(=θC−θM)と定義する。
制御角θCに従ってγ軸電流Iγをモータ3に供給すると、このγ軸電流Iγのq軸成分(q軸への正射影)がロータ50のトルク発生に寄与するq軸電流Iqとなる。すなわち、γ軸電流Iγとq軸電流Iqとの間に、次式(1)の関係が成立する。
q=Iγ・sinθL …(1)
再び図1を参照する。モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ11と、このマイクロコンピュータ11によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)12と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流検出部13とを備えている。
電流検出部13は、モータ3の各相のステータ巻線51,52,53に流れる相電流IU,IV,IW(以下、総称するときには「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。これらは、UVW座標系における各座標軸方向の電流値である。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、指示操舵トルク設定部21と、トルク偏差演算部22と、PI(比例積分)制御部23と、リミッタ24と、加算角監視部25と、制御角演算部26と、制御角補正部27と、指示電流値生成部31と、電流偏差演算部32と、PI制御部33と、γδ/UVW変換部34と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部35と、UVW/γδ変換部36とが含まれている。
指示操舵トルク設定部21は、舵角センサ4によって検出される操舵角と、車速センサ6によって検出される車速とに基づいて、指示操舵トルクT*を設定する。たとえば、図4に示すように、たとえば、操舵角が正の値(右方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクT*は正の値(右方向へのトルク)に設定され、操舵角が負の値(左方向へ操舵した状態)のとき指示操舵トルクT*は負の値(左方向へのトルク)に設定される。そして、操舵角の絶対値が大きくなるに従って、その絶対値が大きくなるように(図4の例では非線型に大きくなるように)指示操舵トルクT*が設定される。ただし、所定の上限値(正の値。たとえば、+6Nm)および下限値(負の値。たとえば−6Nm)の範囲内で指示操舵トルクT*の設定が行われる。また、指示操舵トルクT*は、車速が大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。すなわち、車速感応制御が行われる。
トルク偏差演算部22は、指示操舵トルク設定部21によって設定される指示操舵トルクT*とトルクセンサ1によって検出される操舵トルクT(以下、区別するために「検出操舵トルクT」という。)との偏差(トルク偏差)ΔTを求める。PI制御部23は、このトルク偏差ΔTに対するPI演算を行う。すなわち、トルク偏差演算部22およびPI制御部23によって、検出操舵トルクTを指示操舵トルクT*に導くためのトルクフィードバック制御手段が構成されている。PI制御部23は、トルク偏差ΔTに対するPI演算を行うことで、制御角θCに対する加算角αを演算する。
リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αに対して制限を加える制限手段である。より具体的には、リミッタ24は、所定の上限値UL(正の値)と下限値LL(負の値)との間の値に加算角αを制限する。上限値ULおよび下限値LLは、所定の制限値ωmax(ωmax>0。たとえばωmax=45度)に基づいて定められる。この所定の制限値ωmaxは、たとえば、最大操舵角速度に基づいて定められる。最大操舵角速度とは、ステアリングホイール10の操舵角速度として想定され得る最大値であり、たとえば、800deg/sec程度である。
最大操舵角速度のときのロータ50の電気角の変化速度(電気角での角速度。最大ロータ角速度)は、次式(2)のとおり、最大操舵角速度と、減速機構7の減速比と、ロータ50の極対数との積で与えられる。極対数とは、ロータ50が有する磁極対(N極とS極との対)の個数である。
最大ロータ角速度=最大操舵角速度×減速比×極対数 …(2)
制御角θCの演算間(演算周期)におけるロータ50の電気角変化量の最大値(ロータ角変化量最大値)は、次式(3)のとおり、最大ロータ角速度に演算周期を乗じた値となる。
ロータ角変化量最大値=最大ロータ角速度×演算周期
=最大操舵角速度×減速比×極対数×演算周期 …(3)
このロータ角変化量最大値が一演算周期間で許容される制御角θCの最大変化量である。そこで、前記ロータ角変化量最大値を制限値ωmax(>0)とすればよい。この制限値ωmaxを用いて、加算角αの上限値ULおよび下限値LLは、それぞれ次式(4)(5)で表すことができる。
UL=+ωmax …(4)
LL=−ωmax …(5)
リミッタ24による制限処理後の加算角αが、制御角演算部26の加算器26Aにおいて、制御角θCの前回値θC(n-1)(nは今演算周期の番号)に加算される(Z-1は信号の前回値を表す)。ただし、制御角θCの初期値は予め定められた値(たとえば零)である。
制御角演算部26は、制御角θCの前回値θC(n-1)にリミッタ24から与えられる加算角αを加算する加算器26Aを含む。すなわち、制御角演算部26は、所定の演算周期毎に制御角θCを演算する。そして、前演算周期における制御角θCを前回値θC(n-1)とし、これを用いて今演算周期における制御角θCである今回値θC(n)を求める。
加算角監視部25は、PI制御部23によって求められる加算角αの絶対値と所定のしきい値αthとを比較する。そして、加算角監視部25は、加算角αの絶対値がしきい値αth以上の状態が所定数の演算周期に渡って連続すると、異常が発生したと判断し、制御角補正部27に異常発生を通知する。前記しきい値αthは、前記所定の制限値ωmaxと等しい値であってもよい。この場合において、前記所定数の演算周期は、前記最大操舵角速度での最長操舵継続時間の想定値以上の値とすればよい。これにより、最大操舵角速度での最長操舵継続時間として想定される時間よりも長時間に渡って制御角θCがリミッタ24による制限を受け続けるときに、異常が発生したものと判断できる。
制御角補正部27は、加算角監視部25から異常発生の通知を受けると、制御角演算部26で求められた制御角θCを所定値Δθ(たとえば、Δθ=5度〜10度)だけずらす補正を行う。すなわち、補正後の制御角θCは、補正前の制御角θCに対して所定値Δθを加算した値となる。むろん、補正前の制御角θCから補正値Δθを減算して補正後の制御角θCを用いても差し支えない。
指示電流値生成部31は、制御上の回転角である前記制御角θCに対応する仮想回転座標系であるγδ座標系の座標軸(仮想軸)に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、γ軸指示電流値Iγ *およびδ軸指示電流値Iδ *(以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Iγδ *という。)を生成する。指示電流値生成部31は、γ軸指示電流値Iγ *を有意値とする一方で、δ軸指示電流値Iδ *を零とする。より具体的には、指示電流値生成部31は、トルクセンサ1によって検出される検出操舵トルクTに基づいてγ軸指示電流値Iγ *を設定する。
検出操舵トルクTに対するγ軸指示電流値Iγ *の設定例は、図5に示されている。検出操舵トルクTが零付近の領域には不感帯NRが設定されている。γ軸指示電流値Iγ *は、不感帯NRの外側の領域で急峻に立ち上がり、所定のトルク以上でほぼ一定値となるように設定される。これにより、運転者がステアリングホイール10を操作していないときには、モータ3への通電が停止され、不必要な電力消費が抑制される。
電流偏差演算部32は、指示電流値生成部31によって生成されるγ軸指示電流値Iγ *に対するγ軸検出電流Iγの偏差Iγ *−Iγと、δ軸指示電流値Iδ *(=0)に対するδ軸検出電流Iδの偏差Iδ *−Iδとを演算する。γ軸検出電流Iγおよびδ軸検出電流Iδは、UVW/γδ変換部36から偏差演算部32に与えられるようになっている。
UVW/γδ変換部36は、電流検出部13によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相検出電流IU、V相検出電流IVおよびW相検出電流IW)をγδ座標系の二相検出電流IγおよびIδ(以下総称するときには「二相検出電流Iγδ」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部32に与えられるようになっている。UVW/γδ変換部36における座標変換には、制御角演算部26で演算される制御角θCが用いられる。
PI制御部33は、電流偏差演算部32によって演算された電流偏差に対するPI演算を行うことにより、モータ3に印加すべき二相指示電圧Vγδ *(γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *)を生成する。この二相指示電圧Vγδ *が、γδ/UVW変換部34に与えられる。
γδ/UVW変換部34は、二相指示電圧Vγδ *に対して座標変換演算を行うことによって、三相指示電圧VUVW *を生成する。三相指示電圧VUVW *は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *からなる。この三相指示電圧VUVW *は、PWM制御部35に与えられる。
PWM制御部35は、U相指示電圧VU *、V相指示電圧VV *およびW相指示電圧VW *にそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路12に供給する。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部35から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW *に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52、53に印加されることになる。
電流偏差演算部32およびPI制御部33は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、モータ3に流れるモータ電流が、指示電流値生成部31によって設定される二相指示電流値Iγδ *に近づくように制御される。
図3は、前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。ただし、説明を簡単にするために、リミッタ24の機能は省略してある。
指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの偏差(トルク偏差)に対するPI制御(KPは比例係数、KIは積分係数、1/sは積分演算子である。)によって、加算角αが生成される。この加算角αが制御角θCの前回値θC(n-1)に対して加算されることによって、制御角θCの今回値θC(n)=θC(n-1)+αが求められる。このとき、制御角θCとロータ50の実際のロータ角θMとの偏差が負荷角θL=θC−θMとなる。
したがって、制御角θCに従うγδ座標系(仮想回転座標系)のγ軸(仮想軸)にγ軸指示電流値Iγ *に従ってγ軸電流Iγが供給されると、q軸電流Iq=IγsinθLとなる。このq軸電流Iqがロータ50の発生トルクに寄与する。すなわち、モータ3のトルク定数KTをq軸電流Iq(=IγsinθL)に乗じた値が、アシストトルクTA(=KT・IγsinθL)として、減速機構7を介して、舵取り機構2に伝達される。このアシストトルクTAを舵取り機構2からの負荷トルクTLから減じた値が、運転者がステアリングホイール10に与えるべき操舵トルクTである。この操舵トルクTがフィードバックされることによって、この操舵トルクTを指示操舵トルクT*に導くように系が動作する。つまり、検出操舵トルクTを指示操舵トルクT*に一致させるべく、加算角αが求められ、それに応じて制御角θCが制御される。
このように制御上の仮想軸であるγ軸に電流を流す一方で、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの偏差ΔTに応じて求められる加算角αで制御角θCを更新していくことにより、負荷角θLが変化し、この負荷角θLに応じたトルクがモータ3から発生するようになっている。これにより、操舵角および車速に基づいて設定される指示操舵トルクT*に応じたトルクをモータ3から発生させることができるので、操舵角および車速に対応した適切な操舵補助力を舵取り機構2に与えることができる。すなわち、操舵角の絶対値が大きいほど操舵トルクが大きく、かつ、車速が大きいほど操舵トルクが小さくなるように、操舵補助制御が実行される。
このようにして、回転角センサを用いることなくモータ3を適切に制御して、適切な操舵補助を行うことができる電動パワーステアリング装置を実現できる。これにより、構成を簡単にすることができ、コストの削減を図ることができる。
図6は、リミッタ24の働きを説明するためのフローチャートである。リミッタ24は、PI制御部23によって求められた加算角αを上限値ULと比較し(ステップS1)、加算角αが上限値ULを超えている場合(ステップS1:YES)には、上限値ULを加算角αに代入する(ステップS2)。したがって、制御角θCに対して上限値UL(=+ωmax)が加算されることになる。
PI制御部23によって求められた加算角αが上限値UL以下であれば(ステップS1:NO)、リミッタ24は、さらに、その加算角αを下限値LLと比較する(ステップS3)。そして、その加算角αが下限値未満であれば(ステップS3:YES)、下限値LLを加算角αに代入する(ステップS4)。したがって、制御角θCに対して下限値LL(=−ωmax)が加算されることになる。
PI制御部23によって求められた加算角αが下限値LL以上上限値UL以下(ステップS3:NO)であれば、その加算角αがそのまま制御角θCへの加算のために用いられる。
このようにして、加算角αを上限値ULと下限値LLとの間に制限することができるので、制御の安定化を図ることができる。より具体的には、電流不足時や制御開始時に制御不安定状態(アシスト力が不安定な状態)が発生しても、この状態から安定な制御状態への遷移を促すことができる。
図7は、加算角監視部25および制御角補正部27による処理を説明するためのフローチャートである。加算角監視部25は、PI制御部23によって求められる加算角αの絶対値をしきい値αthと比較する(ステップS11)。加算角αの絶対値がしきい値αth以上のときは(ステップS11:YES)、加算角監視部25は、さらに、|α|≧αthの状態が所定数の演算周期だけ継続しているかどうかを判断する(ステップS12)。この判断が肯定されると、異常が発生していると判断され、加算角監視部25は、制御角補正部27に対して異常発生を通知する(ステップS13)。これを受けて、制御角補正部27は、制御角演算部26における制御角θCに対して所定値Δθを加算(または減算)する補正を行う(ステップS14)。ステップS11またはステップS12での判断が否定されれば、制御角θCの補正は行われない。
しきい値αthは、前記所定の制限値ωmax以下の値とすることが好ましく、たとえば、制限値ωmaxに等しい値としておけばよい。
加算角αの絶対値がしきい値αth以上である状態が継続しているときとは、加算角αがリミッタ24による制限処理を受ける状態が継続している場合である。この場合、演算周期毎に制御角θCが制限値ωmaxだけ変化することになるから、変化量が大きい。そのうえ、一定の制限値ωmaxずつ制御角θCが変化するため、制御角θCは有限個の値を循環的にとる状態となる。とくに、制限値ωmaxが360度の約数(たとえば45度)である場合には、制御角θCは少数の値を循環的に取ることになる。このような状態では、制御角θCは、検出操舵トルクTを指示操舵トルクT*に近づけるための適値に近い値をとることができなくなるおそれがある。すなわち、制御角θCは適値を飛び越えて変動し続ける。
そこで、この実施形態では、加算角αの絶対値がしきい値αth以上である状態が継続したときに、前述のような異常状態が発生していると判断し、制御角θCを所定値Δθだけ強制的にずらすようにしている。これにより、制御角θCが適値の近傍の値をとる可能性を高めることができ、その結果、前述のような異常状態を脱して、制御角θCを適値へと収束させることができる。こうして、操舵補助力が不安定な状態から速やかに脱することができるので、操舵感を向上することができる。
図8は、この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。この図8において、前述の図1に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、PI制御部23のゲインを変更するゲイン変更部28が備えられている。加算角監視部25は、加算角αの絶対値がしきい値αth以上である状態が所定数の演算周期に渡って継続したときに、ゲイン変更部28に対して異常発生を通知する。この通知を受けて、ゲイン変更部28はPI制御部23のゲインを減少補正する。
PI制御部23は、比例要素23aと、積分要素23bと、加算器23cとを備えている。ただし、KPは比例ゲイン、KIは積分ゲイン、1/sは積分演算子である。比例要素23aおよび積分要素23bの演算結果が加算器23cで加算されることによって、加算角αが求められる。ゲイン変更部28は、必要時に、比例要素23aのゲイン(比例ゲイン)KPと、積分要素23bのゲイン(積分ゲイン)KIとを減少補正する。
図9は、加算角監視部25およびゲイン変更部28による処理を説明するためのフローチャートである。この図9において、前述の図7に示された各ステップに対応するステップには同一参照符号を付して示す。
加算角監視部25は、PI制御部23によって求められる加算角αの絶対値をしきい値αthと比較する(ステップS11)。加算角αの絶対値がしきい値αth以上のときは(ステップS11:YES)、加算角監視部25は、さらに、|α|≧αthの状態が所定数の演算周期だけ継続しているかどうかを判断する(ステップS12)。この判断が肯定されると、異常が発生していると判断され、加算角監視部25は、ゲイン変更部28に対して異常発生を通知する(ステップS13)。これを受けて、ゲイン変更部28は、加算角αの演算のためのゲイン、すなわち、PI制御部23のゲイン(比例ゲインおよび積分ゲイン)を減少補正する(ステップS15)。ステップS11またはステップS12での判断が否定されれば、PI制御部23のゲインの補正は行われない。
PI制御部23のゲインが減少補正されることによって、このPI制御部23によって演算される加算角αの絶対値が小さくなる。これにより、加算角αがリミッタ24による制限を受け続ける異常状態から脱することができ、制御角θCは制限値ωmaxよりも小さな変化量で変化していく。これにより、制御角θCを小刻みに変化させることができるので、その適値への収束を促すことができる。
なお、PI制御部23に代えて、PID(比例・積分・微分)演算部を用いて加算角αを求める構成とすることもできる。この場合でも、異常発生時におけるゲインの減少補正は、比例ゲインおよび積分ゲインに対して行えばよい。
図10は、この発明の第3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。この図10において、前述の図1に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、加算角監視部25が異常発生を通知したときに、これを受けて制御角演算部26に対して新たな制御角θCを設定する制御角選択部29が備えられている。より具体的には、制御角選択部29は、異常発生の通知を受けると、演算周期毎に、指示操舵トルクT*、検出操舵トルクTおよび制御角θCをサンプリングする。そのサンプリング結果に基づいて、制御角選択部29は、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの差(すなわち、トルク偏差ΔT)が最小となる制御角θCを選択して、制御角演算部26に新たな制御角θCとして設定する。
図11は、制御角選択部29による処理を説明するためのフローチャートである。加算角監視部25から異常発生の通知を受けると(ステップS21:YES)、制御角選択部29は、演算周期毎に更新されて設定される制御角θCの値θ1,θ2,θ3,……,θmサンプリングし(ステップS22)、さらに、各制御角θCの値に対応した演算周期において、指示操舵トルクT*の値T* 1,T* 2,T* 3,……,T* mおよび検出操舵トルクTの値T1,T2,T3,……,Tmをそれぞれサンプリングする(ステップS23,S24)。制御角θC、指示操舵トルクT*および検出操舵トルクTのサンプリングは、たとえば、制御角θCが360度の範囲に渡って変化するまで行われる。加算角監視部25が異常発生を通知しているときには、制御角θCは、制限値ωmaxで変化する。したがって、たとえば制限値ωmax=45度のときには、45度間隔で変化する8個の制御角θC(=θ1,θ2,θ3,……,θ8)について、8個の指示操舵トルクT*(T* 1,T* 2,T* 3,……,T* 8)および8個の検出操舵トルクT(=T1,T2,T3,……,T8)がサンプリングされることになる。
こうして必要なサンプリングを終えると、制御角選択部29は、各制御角θCについて、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの差|T* i−Ti|(ただし、iは整数で、1≦i≦mである。)を求める(ステップS25)。そして、その差|T* i−Ti|が最小となる制御角θCを選択し、これを制御角演算部26の演算結果と置き換え、新たな制御角θCとして設定する(ステップS26)。さらに、制御角選択部29は、PI制御部23の内部値(積分項)を零にリセットし、また、制御角演算部26における制御角θCの前回値をリセットする(ステップS27)。このリセット処理では、さらに、加算角αおよびγ軸指示電流値Iγ *を併せて零に初期化してもよい。
このように、この実施形態では、加算角αがしきい値αth以上である状態が継続して加算角監視部25が異常発生を通知すると、制御角演算部26が演算する制御角θCの中から、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとの差が最小となる制御角θCが選択されて、制御のために用いられる。それとともに、PI制御部23の内部値および制御角θCの前回値などがリセットされる。これにより、指示操舵トルクT*と検出操舵トルクTとが近似した値となる制御角θCから、新たに制御を再開することができる。これにより、異常状態から速やかに脱して、制御角θCを適値へと収束させることができる。
図12は、この発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。この図12において、前述の図1に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、加算角監視部25からの異常発生通知を受けて制限値ωmaxをその規定値から変更する制限値変更部30が備えられている。
図13は、制限値変更部30の動作例を説明するためのフローチャートである。加算角監視部25が異常発生を通知すると、制限値変更部30は、制限値ωmaxをその規定値(たとえば45度)から、別の値に変更する。この変更後の制限値ωmaxは、360度の約数以外の値とされる。さらに、この変更後の制限値ωmaxは、その規定値よりも小さな値であることが好ましい。
加算角αがリミッタ24による制限処理を受ける状態となったとき、制限値ωmaxが360度の約数であると、制御角θCは極めて制限された有限個の値を循環的にとることになる。そのため、制御角θCは指示操舵トルクT*に対応した適値に収束しにくくなる。そこで、この実施形態では、制限値ωmaxを360度の約数以外の値に変更するようにしている。これにより、制御角θCが有限個の値を循環的にとる状態を脱することができ、制御角θCの適値への収束を促すことができる。
制御角θCが適値へと接近し、加算角αがリミッタ24による制限を受けない状態となると、ステップS31における判断が否定され、制限値ωmaxは既定値へと復帰することになる(ステップS33)。
制限値ωmaxの既定値を360度の約数とは異なる値とすることも考えられるが、最大操舵角速度でのステアリングホイール10の操作に対して制御角θCを追随させるために、制限値ωmaxの既定値を360度の約数に設定せざるを得ない場合もある。このような場合に、この実施形態の構成を適用することが有効である。
図14は、制限値変更部30の他の動作例を説明するためのフローチャートである。加算角監視部25が異常発生を通知すると(ステップS31:YES)、制限値変更部30は、制限値ωmaxをその規定値(たとえば45度)から、それよりも小さな値に変更する(ステップS34)。これにより、制御角θCが小刻みに変動するので、適値に近似した値をとることができるから、適値への収束を促すことができる。制限値ωmaxを一定時間(たとえば、100ミリ秒)だけ小さな値に変更した後には(ステップS35:YES)、制限値ωmaxは規定値へと戻される(ステップS33)。
制限値ωmaxの既定値を小さな値に設定しておくと、ステアリングホイール10が高速に操作されたときに、制御角θCを追随させることができなくなるおそれがある。したがって、最大操舵角速度に対して制御角θCを良好な応答性で追随させることができるように制限値ωmaxの既定値を比較的大きな値としておく一方で、異常発生時において、一時的に制限値ωmaxを小さな値に変更する構成とする方がよい。
図15は、この発明の第5の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。この図15において、前述の図1に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、加算角監視部25が異常発生を通知したときに、これを受けて指示電流値を減少補正する指示電流値補正部40が備えられている。指示電流値補正部40は、この実施形態では、γ軸指示電流値Iγ *を減少補正する。
図16は、指示電流値補正部40の動作を説明するためのフローチャートである。加算角監視部25が異常発生を通知すると、指示電流値補正部40は、γ軸指示電流値Iγ *を減少補正する。これにより、制御角θCが制限値ωmaxの既定値の変化幅で演算周期毎に変化している状態であっても、モータ3の発生トルクは小刻みに変化することになる。そのため、q軸電流の変化が小さくなり、実質的な制御ゲインが小さくなる。これにより、制御角θCが適値へと収束しやすくなるので、加算角αが継続的にリミッタ24による制限を受ける異常状態から脱することができる。
図17は、この発明の第6の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。この図17において、前述の図1に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。
この実施形態では、加算角監視部25が異常発生を通知すると、これを受けて初期化処理を実行する初期化部41が備えられている。
図18は、初期化部41の動作を説明するためのフローチャートである。加算角監視部25が異常発生を通知すると、初期化部41は、予め定められた初期化処理を行う。この初期化処理は、この実施形態では、(a)PI制御部23における積分値(積分項)のリセット、(b)PI制御部23が演算する加算角αのリセット、および(c)制御角演算部26における前回値(前演算周期における制御角θC)のリセットを含む。
このような初期化処理が行われることによって、加算角αがリミッタ24による制限処理を受け続けている状態を速やかに脱して、制御を再開することができる。これにより、制御角θCの適値への収束を促すことができる。
以上、この発明の6つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、加算角監視部25は、加算角αの絶対値がしきい値αth以上である状態の継続を監視するようにしているが、リミッタ24による制限がかかっている状態の継続時間を監視する構成とすることもできる。
また、前述の実施形態では、回転角センサを備えずに、専らセンサレス制御によってモータ3を駆動する構成について説明したが、レゾルバ等の回転角センサを備え、この回転角センサの故障時に前述のようなセンサレス制御を行う構成としてもよい。これにより、回転角センサの故障時にもモータ3の駆動を継続できるから、操舵補助を継続できる。
この場合、回転角センサを用いるときには、指示電流値生成部31,31Aにおいて、操舵トルクおよび車速に応じて、所定のアシスト特性に従ってδ軸指示電流値Iδ *を発生させるようにすればよい。
回転角センサの出力信号を用いる場合には、ロータ角θMが求まるので制御角θCを導入する必要がなく、制御角θCに従う仮想回転座標系を用いる必要がない。つまり、d軸電流およびq軸電流を制御すればよい。しかし、γδ軸に従って電流制御を行うγδ電流制御部と、dq軸に従って電流制御を行うdq電流制御部との両方を備えると、マイクロコンピュータ11においてプログラムを記憶するためのメモリ(ROM)の多くの領域を使用することになる。そこで、角度変数を共用化することによって、γδ電流制御部とdq電流制御部との共通化を図ることが好ましい。具体的には、共通化した電流制御部の角度変数を、回転角センサが正常なときにはdq座標用角度として用い、回転角センサの故障時にはγδ座標用角度として用いるように切り換えればよい。これにより、メモリの使用量を抑制できるから、それに応じてメモリ容量を削減でき、コストダウンを図ることができる。
さらに、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置にこの発明が適用された例について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外にも、ステア・バイ・ワイヤ(SBW)システム、可変ギヤレシオ(VGR)ステアリングシステムその他の車両用操舵装置に備えられたブラシレスモータの制御のために用いることができる。むろん、車両用操舵装置に限らず、他の用途のモータの制御のためにも本発明のモータ制御装置を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 前記電動パワーステアリング装置の制御ブロック図である。 操舵角に対する指示操舵トルクの特性例を示す図である。 γ軸指示電流値の設定例を示す図である。 リミッタの働きを説明するためのフローチャートである。 加算角監視部および制御角補正部による処理を説明するためのフローチャートである。 この発明の第2の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。 加算角監視部およびゲイン変更部による処理を説明するためのフローチャートである。 この発明の第3の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。 制御角選択部による処理を説明するためのフローチャートである。 この発明の第4の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。 制限値変更部の動作例を説明するためのフローチャートである。 制限値変更部の他の動作例を説明するためのフローチャートである。 この発明の第5の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。 指示電流値補正部の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第6の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を説明するためのブロック図である。 初期化部の動作を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1…トルクセンサ、3…モータ、4…舵角センサ、5…モータ制御装置、11…マイクロコンピュータ、26…制御角演算部、50…ロータ、51,52,52…ステータ巻線、55…ステータ

Claims (10)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    制御上の回転角である制御角に従う回転座標系の軸電流値で前記モータを駆動する電流駆動手段と、
    所定の演算周期毎に、制御角の前回値に加算角を加算することによって制御角の今回値を求める制御角演算手段と、
    前記加算角の状態を監視する監視手段とを含む、モータ制御装置。
  2. 前記監視手段は、前記加算角の絶対値が所定のしきい値以上となる回数が所定回数連続するときに異常と判断する手段を含む、請求項1記載のモータ制御装置。
  3. 前記異常と判断されたときに前記制御角を補正する制御角補正手段をさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置。
  4. 前記異常と判断されたときに前記加算角を補正する加算角補正手段をさらに含む請求項2記載のモータ制御装置。
  5. 前記モータの駆動対象に作用させるべき指示トルクを設定する指示トルク設定手段と、
    前記駆動対象に働くトルクを検出するトルク検出手段とをさらに含み、
    前記制御角補正手段は、
    複数の制御角について、前記指示トルク設定手段によって設定される指示トルクおよび前記トルク検出手段によって検出される検出トルクをサンプリングする手段と、
    前記複数の制御角のうち、サンプリングされた指示トルクと検出トルクとの差が最小となる制御角を選択して新たな制御角として設定する制御角選択手段とを含む、請求項3記載のモータ制御装置。
  6. 前記加算角の絶対値を所定の制限値に基づいて制限するための加算角制限手段と、前記異常と判断されたときに前記制限値を変更する制限値変更手段とをさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置。
  7. 前記変更された制限値は、360度の約数でない値である、請求項6記載のモータ制御装置。
  8. 前記変更された制限値は、前記所定の制限値よりも小さい値である、請求項6記載のモータ制御装置。
  9. 前記異常と判断されたときにモータ指示電流値を低減するための電流制限手段をさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置。
  10. 前記異常と判断されたときに前記加算角、制御角およびモータ指示電流値をリセットする手段をさらに含む、請求項2記載のモータ制御装置。
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