JP2010096043A - 螺旋水車及び該螺旋水車を用いた発電設備 - Google Patents

螺旋水車及び該螺旋水車を用いた発電設備 Download PDF

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Abstract

【課題】水のエネルギを効果的に利用し得る螺旋水車及びこれを用いた発電設備の提供
【解決手段】発電設備1の二軸螺旋水車2は、円筒状の第一の軸41A及び該第一の軸のまわりに左回りの螺旋状に延びた第一のスクリュ50Aを備えた第一の螺旋水車素体5Aと、前記第一の軸と平行な円筒状の第二の軸41B及び該第二の軸のまわりに右回りの螺旋状に延び前記第一の螺旋水車素体を構成する前記第一のスクリュと相互に嵌り合った第二のスクリュ50Bを備えた第二の螺旋水車素体5Bと、横断面が繭形で第一及び第二の螺旋水車素体を取囲むケース10とを有し、第一及び第二の螺旋水車素体の上端側に流れ込み該第一及び第二の螺旋水車素体の下端側に向かって流れる水Wに応じて第一の螺旋水車素体が第一の軸のまわりで右回りTAに回転し、第二の螺旋水車素体が第二の軸のまわりで左回りTBに回転するように構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は水車及び該水車を用いた発電設備に係り、より詳しくは、一種の螺旋水車及び該螺旋水車を用いた発電設備に係る。
円筒状の軸及び該軸のまわりに螺旋状に延びたスクリュを有し、該スクリュに当たる流水によって軸を回転させるようにした螺旋水車は、古くから知られている(例えば、特許文献1及び2)。螺旋水車の軸の回転を利用して、発電を行うことも知られている。
ところが、螺旋水車の場合、スクリュに沿って螺旋状の流路があることから、スクリュに当たった流水が該螺旋状の流路に沿って逃げる。このような水の流れの変化(転向)は、スクリュに当たった水の運動量の変化分が螺旋水車の回転に寄与する限りにおいては有効に機能しているけれども、その後の螺旋流路に沿った流れがスクリュの周囲の壁に当たって転向されて螺旋水車の回転にほとんど寄与しない場合には、(流水の落差分の位置エネルギが回転エネルギの変換されることを前提とする)重力水車の観点で見ると、該流水が螺旋水車を回転させるエネルギの一種の散逸が生じていることになり、その分だけ回転効率が低下することになる(例えば、特許文献2は螺旋水車の下流側部分が螺旋水車の回転の抵抗になってしまう程度を低減すべく螺旋水車の下流部分で該水車のスクリュの螺旋のピッチを小さくすることを提案している)。従って、ある程度以上の変換効率を得ようとすると、流量(単位時間当たりの体積流量又は質量流量)に応じてスクリュの数や形状等を適宜設計することが求められる。
一方、螺旋水車とは全く別の働きをするものであって、「円筒状の第一の軸及び該第一の軸のまわりに左回りの螺旋状に延びた第一のスクリュからなる第一の螺旋水車素体と、前記第一の軸と平行な円筒状の第二の軸及び該第二の軸のまわりに右回りの螺旋状に延び前記第一の螺旋水車素体を構成する前記第一のスクリュと相互に嵌り合った第二のスクリュからなる第二の螺旋水車素体と、第一及び第二の螺旋水車素体を取囲む横断面が繭形のケースとを有する」タイプの装置は、流動体を加圧下で送る圧搾機や汚泥脱水機や射出装置の分野では、二軸圧搾機や二軸対向スクリュー式汚泥脱水機や二軸射出装置として、知られている(例えば、特許文献3〜5)。
このタイプの装置(圧搾機や汚泥脱水機や射出装置)は、広義には、水車とは動作を逆転させた種類の流体機械に対応するけれども、従来は、このタイプの装置が、水車として効果的に用いられ得るとは、予想すらされていない。
本発明者は、螺旋水車における上述のような非効率性を改善するためには、スクリュの間の螺旋状の流路を少なくとも部分的に閉じる(塞ぐ)ことに思い至り、該部分的な閉塞を効果的に行うためには、別の螺旋状の羽根でこの螺旋状の流路を動的に閉じればよいことに思い至って、二軸螺旋水車の発明をなした。
しかも、このようにして達した二軸螺旋水車は、驚くべきことに、効果的に軸を高速回転させ得(従来の典型的な重力水車(水の位置エネルギの変化をそのまま回転に用いる開放型水車)である上掛け水車や胸掛け水車や下掛け水車の場合と比較して、軸の回転速度を格段に高め得)、電磁的な発電機本体を回転駆動させるに際して増速系をほとんど要しないことがわかって、本発明を完成した。
大正11年実用新案公告第10546号公報 特開2007−154862号公報 特公平7−80066公報 特開2000−246295号公報 特開平7−186213号公報
本発明は前記諸点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、水のエネルギを効果的に利用することを可能にし得る螺旋水車及び該螺旋水車を用いた発電設備を提供することにある。
本発明の螺旋水車は、前期目的を達成すべく、円筒状の第一の軸及び該第一の軸のまわりに左回りの螺旋状に延びた第一のスクリュ(螺旋羽根)からなる第一の螺旋水車素体と、前記第一の軸と平行な円筒状の第二の軸及び該第二の軸のまわりに右回りの螺旋状に延び前記第一の螺旋水車素体を構成する前記第一のスクリュと相互に嵌り合った第二のスクリュ(螺旋羽根)からなる第二の螺旋水車素体と、第一及び第二の螺旋水車素体を取囲む横断面が繭形のケースとを有し、第一及び第二の螺旋水車素体の一端側に流れ込む水に応じて第一の螺旋水車素体が第一の軸のまわりで右回りに回転し、第二の螺旋水車素体が第二の軸のまわりで左回りに回転するように構成された二軸螺旋水車からなる。
本発明の二軸螺旋水車では、「第一の軸と平行な円筒状の第二の軸及び該第二の軸のまわりに右回りの螺旋状に延び前記第一の螺旋水車素体を構成する前記第一のスクリュと相互に嵌り合った第二のスクリュからなる第二の螺旋水車素体と、第一及び第二の螺旋水車素体を取囲む横断面が繭形のケースとを有し、」且つ「第一及び第二の螺旋水車素体の一端側に流れ込む水に応じて第一の螺旋水車素体が第一の軸のまわりで右回りに回転し、第二の螺旋水車素体が第二の軸のまわりで左回りに回転するように構成されている」ので、第一の螺旋水車素体の第一のスクリュに当たった水が、該第一のスクリュによって形成された第一の螺旋状流路に沿って流れ去ってしまうのを該第一のスクリュと相互に嵌り合った第二のスクリュが抑制し、該水の流れが必然的に第二のスクリュを押して第二の螺旋水車素体を第二の軸のまわりで回転させる。逆に、第二のスクリュを押した後で該第二のスクリュによって形成された第二の螺旋状流路に沿って流れ去ろうとする水を該第二のスクリュと相互に嵌り合った第一のスクリュが抑制し、該水の流れが必然的に第一のスクリュを押して第一の螺旋水車素体を第一の軸のまわりで回転させる。従って、本発明の二軸螺旋水車では、水のエネルギを効果的に軸の回転として取り出すことが可能になる。
ここで、相互に嵌り合った一対の螺旋水車素体のうち右回りの螺旋状に延びたスクリュを有する方の螺旋水車素体を、説明の簡明化のために便宜上、第一の螺旋水車素体と呼び、他方の螺旋水車素体を第二の螺旋水車素体と呼んでいる。
なお、本発明の二軸螺旋水車では、ゴミその他の固形物によって動作が妨害され易いので、水車のうちの水の流入側に固形異物の流入を防ぐフィルタその他の手段を設けることが好ましい。
本発明の二軸螺旋水車では、典型的には、第一の軸に取付けられた第一の歯車と第二の軸に取付けられた第二の歯車とが噛合するように構成され、該第一及び第二の歯車のうちのいずれか一方から出力が取り出されるように構成される。
この場合、一方の軸の回転が他方の軸の回転を促すので、二つの軸が同期して回転され得る。
本発明の二軸螺旋水車では、典型的には、第一及び第二のスクリュが同一の内径及び外径を有する。
この場合、両螺旋水車素体が均等な負荷を受けて回転するので、バランスを取り易い。但し、両スクリュの外径と内径との差が実際上同程度(典型的には、実際上同一)であれば、内径及び外径が異なっていてもよい。
本発明の二軸螺旋水車では、典型的には、第一及び第二のスクリュの(螺旋羽根の)軸方向厚さが、該スクリュの全長にわたって一定で且つ相互に同一である。
この場合、第一及び第二の螺旋水車素体の回転に応じて、実際上、一定量の水が、上流側から下流側に流され得る。但し、例えば、第一のスクリュの(螺旋羽根の)軸方向厚さと第二のスクリュの(螺旋羽根の)軸方向厚さとが異なっていてもよい。また、第一のスクリュの(螺旋羽根の)軸方向厚さが、該スクリュの長手方向の部位によって異なっていてもよい。例えば、下流側程厚さが厚くなっていてもよい。同様に、第二のスクリュの(螺旋羽根の)軸方向厚さが、該スクリュの長手方向の部位によって異なっていてもよい。例えば、下流側程厚さが厚くなっていてもよい。
本発明の二軸螺旋水車では、典型的には、第一及び第二のスクリュが、夫々、全長にわたって、一定のピッチの螺旋状形状を有する。
この場合、螺旋水車素体の形成が容易に行われ得る。但し、所望ならば、螺旋水車素体のスクリュは、例えば、その下流側端部に近付く程、ピッチが小さくなっていてもよい。
本発明の二軸螺旋水車では、典型的には、第一及び第二の螺旋水車素体が、第一及び第二のスクリュの相互噛み合い部分の夫々について、一ピッチ毎に形成される領域が、相互に、分離されるように構成される。
なお、ここで、二つの螺旋水車素体の回転を抑制する虞れがないように、各螺旋水車素体とケースとの間、及び各螺旋水車素体のスクリュと他方の螺旋水車素体の回転軸及びスクリュとの間に最低限の間隙(例えば、1〜2mm程度)を残すことは、排除されないか又はむしろ好ましいことであり得る。
この場合、分離された各領域内に入った水が上から下に移動するに従って、第一及び第二の螺旋水車素体が回転される。従って、この領域の容積と回転数との積が流量に対応することになる。例えば、流量が一定の場合、容積が小さい程回転数が大きくなる。
但し、本発明の二軸螺旋水車において、第一及び第二の螺旋水車素体が、第一及び第二のスクリュの相互噛み合い部分の夫々について、一ピッチ毎に形成される領域が、相互に、連通されるように構成されいてもよい。
この場合、連通部分を形成する間隙を介して流れ落ちる水自体が、第一及び第二のスクリュを回転させ、第一及び第二の螺旋水車素体を回転させるのに、寄与する場合もあり得る。
このような連通を許容する間隙は、例えば、第一及び第二のスクリュのうちの一方のスクリュが他方のスクリュのうち対応する軸の延在方向に隣接する螺旋部分の間の間隙であったり、第一及び第二のスクリュのうちの夫々のスクリュの外周面と他方のスクリュに対応する軸の外周面との間の間隙であったり、第一及び第二のスクリュのうちの夫々のスクリュの外周面とケースの対向面との間の間隙であったりし得る。
本発明の二軸螺旋水車では、典型的には、第一及び第二の螺旋水車素体並びにケースからなる二軸螺旋水車本体への水の流入部に対して、加圧状態で水を導入する水供給部を有する。
この場合、二軸螺旋水車の第一及び第二の螺旋水車素体がスクリュの形状やサイズに起因して低抵抗で通過を許容する水量に限度があっても、該水車素体の流入側に圧力をかけて、通過する水量を高め得る。なお、水供給部は、塔状に延びた配管部からなっていてもよく、その場合、二軸螺旋水車本体の水の流入部に圧力をかけるようになっていても該該配管部の上側から流入または落下する水を受けるようになっていてもよい。落下水を受けるときは、場合によっては、該配管部は塔状に高く延びていなくてもよい。
本発明の発電設備は、典型的には、上述のような二軸螺旋水車と、該水車のうちの前記第一及び第二の軸のうちの一方の回転に応じて回転される発電機本体とを有する。
この場合、水の流れを利用して、効果的に、マイクロ発電を行い得る。
すなわち、本発明の発電設備を構成する本発明の二軸螺旋水車では、該二軸螺旋水車を構成する各螺旋水車素体に注目してみた場合、各螺旋水車素体のスクリュによって形成される螺旋状溝ないし螺旋状流路が、各時点では、他方の螺旋水車素体のスクリュによって少なくとも相当程度塞がれた状態になるので、水が螺旋状水路に沿って逃げてしまうことがないから、水の流量当りの軸の回転が高められ易い。また、従来の上掛け水車や胸掛け水車や下掛け水車のような重力水車と比較して、軸の一回転に要する水量が少なくなるので、水量当りの回転数を高め得る。
すなわち、水量当りの軸の回転数が高くなるので、実際上増速することなく又は中間の増速を最低限にして発電機本体を回転させ得る。
但し、本発明の二軸螺旋水車は、発電に用いられる代わりに、その機械的エネルギをそのまま利用して、従来の水車のように、各種の機械的仕事の駆動源として用いられてもよい。
本発明の好ましい一実施の形態を添付図面に示した好ましい一実施例に基づいて説明する。
図1に示したように、本発明の好ましい一実施例の発電設備1は、本発明の好ましい一実施例の二軸螺旋水車2と、発電機本体3とを有する。
二軸螺旋水車2は、図1に加えて図2の(a)〜(c)並びに図3に示したように、ケース4と、第一及び第二の螺旋水車素体5A,5Bとを有する。
ケース4は、螺旋水車本体ケース10と、取水口形成ケース20Eと、排水口形成ケース20Fと、発電機本体ケース30とを含む。
取水口形成ケース20Eは、図1に具体的な一例を示し図2の(c)に模式的に示したように、二軸螺旋水車2の二軸螺旋水車本体部6の最上流部6aに水Wを与えるべく該最上流部6aにつながった取水室21Eを形成する取水室形成部22Eと、取水室21Eに水Wを導入する流入路23Eを含み上流端に流入口24Eを備える流入路形成部25Eとを有する。
なお、流入路23Eや取水口形成ケース20Eの形状や構造は他のどのようなものでもよい。二軸螺旋水車本体部6への水の流入部6aに対して、加圧状態で水Wを導入し得るように、流入口24に水Wを与える水供給部7を有する。水供給部7は、流入口24に高所から水Wを与える水落下流路であっても、水を所定高さに蓄えて流入口24に所定加圧落差の水圧を与える溜め部又は塔状部であってもよい。後者の塔状部は、例えば、図9において示すような塔状部86であってもよい(但し、現場では、後述のポンプ83や配管84,85aはない)。
水供給部7または取水口形成ケース20Eの少なくとも一方には、異物が二軸螺旋水車本体部6に入り込むのを禁止するフィルタが設けられる。
排水口形成ケース20Fも、図1に具体的な一例を示し図2の(c)に模式的に示したように、二軸螺旋水車2の二軸螺旋水車本体部6の最下流部6bに水Wを与えるべく該最下流部6bにつながった排水室21Fを形成する排水室形成部22Fと、排水室21Fの水を排出する流出路23Fを含み下流端に流出口24Fを備える流出路形成部25Fとを有する。
取水室形成部22Eと排水室形成部22Fとは、同様に、構成されており、以下では、両者を総称するとき又は区別しないときには、取水口本体又は排水口本体として、符号22で表し、後述するように、図8の(a)〜(c)に詳しい構造が例示されている。
発電機本体ケース30は、取水口形成ケース20に一体的につながっている。
螺旋水車本体ケース10は、図2の(a)〜(c)に加えて図6の(a)〜(e)に詳細に例示したように、全体の横断面が繭形の側壁を形成する一対の側壁部12C,12Dからなるガイドパイプ11を有する(図6の(d))。側壁部12C,12Dは鏡映対称な形状を有するので、以下では、両者を区別する必要がない限り、総称して符号12で表す。図6の(a)からわかるように、側壁部12は、両端部12a,12bの夫々に、中央切欠部13a,14a並びに両側切欠部13b,14b及び13c,14cを有し、一方の切欠部13a,13bの間及び13a,13cの間に円弧状突出側壁部13d及び13eを有し、他方の切欠部14a,14bの間及び14a,14cの間に円弧状突出側壁部14d及び14eを有する。
側壁部11を構成する各側壁部12C,12Dは、両端12a,12a及び12b,12bの円弧状突出側壁部13d,13d,13e,13e及び14d,14d,14e,14eで、流入側及び排出側のガイドパイプ固定用プレート15E,15F(両者を総称するとき又は区別しないときには符号15で表す)の穴部16E,16F(両者を総称するとき又は区別しないときには符号16で表す)の対応する溝部16a,16a,16b,16bに係合し、円弧状突出側壁部13d,13d,13e,13e及び14d,14d,14e,14eがガイドパイプ固定用プレート15E,15Fを貫通・突出する。
ガイドパイプ固定用プレート15は、より詳しくは、図7の(a)〜(c)に例示したような形状ないし構造を有する。従って、側壁部12C,12Dがガイドパイプ固定用プレート15E,15Fに嵌合する際、溝部16a,16a,16b,16b間の凸部16c,16d,16c,16dが、側壁部12の上流側端部12aの切欠部13b,13c,13a,13b,13c,13a又は側壁部12の下流側端部12bの切欠部14b,14c,14a,14b,14c,14aに嵌り込む。
これによって、側壁部12C,12Dが繭形ガイドパイプ11を形成し螺旋水車本体ケース10を形成するように、ガイドパイプ固定用プレート15E,15Fによって位置決め固定される。
取水室形成部22E又は排水室形成部22Fすなわち取水口本体又は排水口本体22は、図1並びに図2の(a)及び(c)からわかるように、流入側及び排出側のガイドパイプ固定用プレート15E,15Fの外側に配置され、例えば、図8の(a)〜(c)に示したような構造を有する。
取水口本体ないし排水口本体22は、角筒26と、該角筒26の両端に固定された切り抜き板27,28とからなる。この例では、切り抜き板27,28は同一形状を有し、図8の(b)では、板27のみが示されているけれども、この図はそのまま板28にも当てはまる。角筒26の対向する二側壁26a,26bには、繭形側壁11が対応する突出壁部13d,13e,13d,13e又は14d,14e,14d,14eにおいて丁度貫通する繭形孔26c,26dが形成されている。切り抜き板27,28には、夫々、流入路23E又は排出路23Fに連通する開口27a,28aが形成されている。なお、図1に示した例では、開口27a,28aは、一方のみでよい。
ケース4のうち、取水口形成ケース20E及び排水口形成ケース20Fの両側には、図1や図2に加えて各種板ないしプレートについて詳しく示した図3からわかるように、繭形ガイドパイプ11の両端の長手方向位置及び横断方向位置を位置決めすべく、端部プレート17E,17F及び位置決めプレート18E,18Fが設けられている。
上流側及び下流側の端部プレート17E及び17Fは、繭形ガイドパイプ11の上流側突出端部13d,13e,13d,13e及び14d,14e,14d,14eの端面に当接して、繭形ガイドパイプ11の長手方向位置を規定する。一方、上流側及び下流側の位置決めプレート18E及び18Fは、夫々、対応する端部プレート17E及び17Fの内側面に取り付けられ、上流側及び下流側の位置決めプレート18E,18Fが、その繭形外周縁18a,18bで、上流側突出端部13d,13e,13d,13e及び14d,14e,14d,14eに嵌り込んで、繭形ガイドパイプ11の長手方向に対して垂直な面内での位置(横断方向位置)を規定する。なお、ここで、繭形ガイドパイプ11の上流側突出端部13d,13e,13d,13e及び14d,14e,14d,14eは、夫々、対応する取水口本体22Eの繭形孔26c及び排水口本体22Fの繭形孔26c内に、丁度嵌り込んでいる。
端プレート17E,17Fの外側には、ピローブロックの形態の軸受31E,31E,31F,31Fが取付けられて、螺旋水車素体5A,5Bの回転軸41A,41Bを回転自在に支持すると共に、軸41A,41Bの周囲を実際上水密にシールしている。
軸41A,41Bのうち発電機本体ケース30内に突出した軸部32,33には、相互に噛合する同一形状(同一径で同一歯数)の歯車34,35が取り付けられている。また、軸32の先端側には同軸に別の歯車36が取り付けられ、これに噛合する歯車37が発電機素体38の軸39に取り付けられている。歯車36と歯車37とは、多少(例えば、2割程度)増速結合している。但し、増速の程度はより大きくても、増速や減速がなくても(増速比が1(減速比が1))、出力軸として働く軸32の回転数(回転速度)が十分に大きくて発電出力が十分に得られる場合には出力側の機械的負荷による影響を受け難いように多少減速されるようになっていてもよい。
二軸螺旋水車2の第一及び第二の螺旋水車素体5A,5Bは、図1から図3に加えて図4及び図5に示したように、相互に平行な回転軸41A,41Bと、該回転軸41A,41Bの外周に沿って形成された相互に逆向きの螺旋羽根ないしスクリュ50A,50Bとを有する。図示の例では、第一の螺旋水車素体5Aの第一の螺旋羽根ないしスクリュ50Aが第一の回転軸41Aのまわりで左回りの螺旋状に延び、第二の螺旋水車素体5Bの第二の螺旋羽根ないしスクリュ50Bが第二の回転軸41Bのまわりで右回りの螺旋状に延びている。但し、逆であってもよい。
この例では、第一の回転軸41Aの羽根は、外径が4cm程度で、長さが120cm程度である。第一のスクリュ50Aは、ピッチが14〜15cm程度で、厚さが6cm程度である。スクリュ50Aの羽根の厚さは、径方向の位置に係らずほぼ一定である。第二の回転軸41Bは第一の回転軸41Aと同じサイズで、第二のスクリュ50Bのピッチ及びその羽根の厚さは、第一のスクリュ50Aのピッチ及びその羽根の厚さと同じである。
第一のスクリュ50Aは、図4や図5からわかるように、上流側螺旋状面51Aと、下流側螺旋状面52Aと、円筒に沿った螺旋状周面53Aとを有し、螺旋状周面53Aにおいて、外周間隙GaAを介して、ガイドパイプ11の内周面11aに対面する。上流側螺旋状面51Aは、外縁54Aで螺旋状周面53Aと交わり、内縁55Aで回転軸41Aの外周面42Aと交わる。また、下流側螺旋状面52Aは、外縁56Aで螺旋状周面53Aと交わり、内縁57Aで回転軸41Aの外周面42Aと交わる。
この第一の螺旋水車素体5Aでは、第一の回転軸41Aと第一のスクリュ50Aとの間に、左回りの第一の螺旋状の間隙60Aが形成されている。第一の螺旋状の間隙60Aは、厚さが8〜9cm程度で、そのピッチは、第一のスクリュ50Aのピッチに一致し、14〜15cm程度である。
第二のスクリュ50Bは、第一のスクリュ50Aと同様に、上流側螺旋状面51Bと、下流側螺旋状面52Bと、円筒に沿った螺旋状周面53Bとを有し、螺旋状周面53Bにおいて、外周間隙GaBを介して、ガイドパイプ11の内周面11aに対面する。上流側螺旋状面51Bは、外縁54Bで螺旋状周面53Bと交わり、内縁55Bで回転軸41Bの外周面42Bと交わる。また、下流側螺旋状面52Bは、外縁56Bで螺旋状周面53Bと交わり、内縁57Bで回転軸41Bの外周面42Bと交わる。
この第二の螺旋水車素体5Bでも、第一の螺旋水車素体5Aと同様に、第二の回転軸41Bと第二のスクリュ50Bとの間に、右回りの第二の螺旋状の間隙60Bが形成されている。第二の螺旋状の間隙60Bも、厚さが8〜9cm程度で、そのピッチが、第二のスクリュ50Bのピッチに一致し、14〜15cm程度である。
第一の螺旋水車素体5Aの第一のスクリュ50Aと第二の螺旋水車素体5Bの第二のスクリュ50Bとは、相互に、嵌り合う。すなわち、第一の螺旋水車素体5Aのスクリュ50Aが外周面53Aで第二の螺旋水車素体5Bの回転軸41Bの外周面42Bに実際上接する程度に対向間隙GbAを介して近接し、第二の螺旋水車素体5Bのスクリュ50Bが外周面53Bで第一の螺旋水車素体5Aの回転軸41Aの外周面42Aに実際上接する程度に対向間隙GbBを介して近接するように、第一及び第二の螺旋水車素体5A,5Bの回転軸41A,41Bが相互に近接せしめられた状態において、第一の螺旋水車素体5Aのスクリュ50Aが第二の螺旋水車素体5Bの螺旋状間隙60Bに嵌り込み、第二の螺旋水車素体5Bのスクリュ50Bが第一の螺旋水車素体5Aの螺旋状間隙60Aに嵌り込む。この相互嵌合状態ないし相互噛合い状態において、第一の螺旋状水車素体5Aの第一のスクリュ50Aの下流側螺旋状面52Aが噛合い間隙GcAを介して第二の螺旋状水車素体5Bの第二のスクリュ50Bの上流側螺旋状面51Bに対面し、第二の螺旋状水車素体5Bの第二のスクリュ50Bの下流側螺旋状面52Bが噛合い間隙GcBを介して第一の螺旋状水車素体5Aの第一のスクリュ50Aの上流側螺旋状面51Aに対面する。
この相互嵌合状態は、第一の螺旋水車素体5Aがその回転軸41Aの回転中心軸線CAの周りで右回りTAに回転し、それに同期して、第二の螺旋水車素体5Bがその回転軸41Bの回転中心軸線CBの周りで左回りTBに回転する限り、維持される。
以上の如く構成された二軸螺旋水車2では、該二軸螺旋水車2のうち流入路形成部25Eのある端部側が流出路形成部25Fのある端部側よりも鉛直方向上方に位置するように該二軸螺旋水車2が配置された状態で、流入路形成部25Eの流入口24Eから水Wが流入すると、該水Wが流入路形成部25Eを介して取水口形成ケース20Eの取水室形成部22Eの取水室21E内に入り、更に、該取水室21Eを介して、螺旋水車本体ケース10内に入る。螺旋水車本体ケース10内では、繭形ガイドパイプ11を形成する側壁部12C,12Dに囲まれた繭形パイプ室R内で第一及び第二の螺旋水車素体5A,5Bの間の領域S、即ち、繭形パイプ11を形成する側壁部12C,12Dに囲まれた室R内で、第一の螺旋水車素体5Aの回転軸41A及び第一のスクリュ50A並びに第二の螺旋水車素体5Bの回転軸41B及び第二のスクリュ50Bによって規定された水車内室Sに、水Wが入る。
ここで、スクリュ50A,50Bは、実際上相互に噛み合った状態であって、隙間(即ち、外周間隙GaA,GaB,対向間隙GbA,GbB,噛合い間隙GcA,GcB)が比較的小さいので、大まかには、第一の螺旋水車素体5Aのスクリュ50Aの螺旋状間隙60Aは、第二の螺旋状水車素体5Bのスクリュ50Bによって、嵌合部ないし噛合い部で閉じられる。同様に、大まかには、第二の螺旋水車素体5Bのスクリュ50Bの螺旋状間隙60Bは、第一の螺旋状水車素体5Aのスクリュ50Aによって、嵌合部ないし噛合い部で閉じられる。その結果、外周側がケース本体10の側壁11によって規定され内周側が回転軸41A,41Bの外周面42A,42Bによって規定された螺旋状間隙60A,60Bは、噛合い部毎に実際上分断された螺旋状室SA,SB,SA,SB,・・・になっている。
最上流側の螺旋状小室SAに入った水Wは、第一の螺旋水車素体5Aの左巻きのスクリュ50Aの上流側螺旋面51Aを押して該スクリュ50Aを回転軸41AのまわりでTA方向に回転させる。なお、回転軸41AのTA方向回転に伴い歯車34,35を介して相互に連結された回転軸41BはTB方向に回転される。同様に、最上流側の螺旋状小室SBに入った水Wは、第二の螺旋水車素体5Bの右巻きのスクリュ50Bの上流側螺旋面51Bを押して該スクリュ50 Bを回転軸41BのまわりでTB方向に回転させる。また、回転軸41BのTB方向回転に伴い歯車35,34を介して相互に連結された回転軸41AはTA方向に回転される。
なお、螺旋状小室SA又はSBに入った水Wが、螺旋状間隙60A,60Bに沿って下流側に逃げようとしてもその螺旋状の流れは、該間隙60A,60Bに嵌り込んだ他方のスクリュ50B,50Aによって対向間隙GcA,GcBでほぼ堰き止められる。その結果、螺旋状小室SA又はSBに入った水Wは、大まかには、螺旋水車素体5A,5BをTA,TB方向に回転させつつ、上流側から下流側に向かって、J1方向に進んでいく。
小室SA,SBの大きさ及び形状が同じである場合、水Wが入る小室SA,SBの数が増える程回転駆動が増す。例えば、径やピッチが同じであるとすると、他の条件が変わらなければ、段数が多いほど回転駆動力が増す。なお、ピッチが過度に小さい場合、スクリュ50A,50Bの表面に加わる圧力の回転方向(周方向)成分が小さくなるので、圧力が回転力として有効に取出し難くなり、ピッチが過度に大きいと、螺旋の段数が過度に少なくなるので、圧力が回転力として有効に取出し難くなる。
全ての小間隙に水が入った状態では、流量が増すほど、小間隙の中の水の割合が増す(空気の割合が減る)。これによって、回転駆動力が増し、回転速度(回転数)が上がる。
一方、全ての小室SA,SBが実際上、水Wで満たされるようになると、下流側の小室SA,SBに満たされた水Wが、スクリュ50A,50Bの下流側螺旋面52A,52Bに逆向きの圧力を及ぼして、TA,TB方向の回転駆動を多少なりとも相殺する働きをする。
但し、少なくとも各螺旋状小室SA,SB内において、その小室SA,SBの高さに相当する圧力差による分だけ正方向の回転駆動力が逆方向の回転駆動力を上回る。いずれにしても、螺旋水車素体5A,5Bを構成する各部の形状に起因して、上流端に流入する水が、実際上、速度ゼロである場合に、この二軸螺旋水車2の回転軸41A,41Bが達し得る回転速度には、上限がある。
従って、この二軸螺旋水車2において、回転軸41A,41Bの回転速度を更に高めるためには、取水口形成ケース20Eの取水室形成部22Eに圧力をかける必要がある。
そのためには、例えば、二軸螺旋水車2の流入口24に、上方から水を落下させる。その場合、この流入口24に落ちてくる落差すなわち加圧落差Ha(図9の試験例参照)に応じて、最上流部の螺旋状小室SA又はSBにおいて、螺旋水車素体5A,5Bのスクリュ50A,50BにかかるTA,TB方向の回転力が高まり、二軸螺旋水車2においてより大きな回転力を取り出せる。
水の粘性を無視し難くなって螺旋水車素体5A,5Bの回転が妨げられるようなことがない限り、外周間隙GaA,GaB、対向間隙GbA,GbB及び噛合い間隙GcA,GcBが小さくなればなる程、流れ去る水の割合が減るので、流れる水量当たりの発電効率は高められる。
但し、所与の水の流れの条件下で、螺旋水車2を相対的に小型に保ったまま発電量を上げるためには、外周間隙GaA,GaB、対向間隙GbA,GbB及び噛合い間隙GcA,GcBのうちの一部、例えば、噛合い間隙GcA,GcBを多少残しておいて、該噛合い間隙GcA,GcBから一部の水が流れ得るようにして動的な流れを維持することにより、該水流が螺旋水車素体5A,5Bに回転力を付与し得る場合もあり得る。同様に、例えば、代替的に又は付加的に対向間隙GbA,GbBを多少残しておいて、該対向間隙GbA,GbBから一部の水が流れ得るようにして動的な流れを維持することにより、該水流が螺旋水車素体5A,5Bに回転力を付与し得る場合もあり得る。
スクリュ50A,50Bについては、その径を一定にしたままであっても、各種の変形が可能である。
スクリュ50A,50Bのピッチを増加させても、減少させてもよい。なお、スクリュ50A,50Bの傾斜(軸線に対して垂直な平面に対して成す角度)は、典型的には、45度程度になるように選択されるけれども、より大きくても、より小さくてもよく、それに応じて、ピッチが変更され得る。
螺旋水車素体5A,5Bのピッチに対する羽根の厚さの割合が、変更されてもよい。この試験例の螺旋水車素体5A,5Bでは、スクリュ50A,50Bが比較的厚い。その結果、噛合い間隙GcA,GcBを小さくすることが比較的容易であるけれども、ケース10内で水が占める体積領域が比較的小さく、流量が比較的小さくなるのを避け難い。従って、スクリュ50A,50Bの素材を比較的薄くして、流量を上げ、これにより、発電量を上げることが期待され得る。
なお、以上においては、螺旋水車素体5A,5Bを構成するスクリュ50A,50Bが相互に逆向きの螺旋を描く点を除いて実際上全く同一の形状を有するとして、説明したけれども、例えば、二つのスクリュ50A,50Bの厚さが相互に異なっていてもよい。
また、スクリュの径方向の実効長が実際上同程度である限り、回転軸41A,41Bの太さ(外径の大きさ)が異なっていてもよい。
次に、以上の如く構成された二軸螺旋水車2を用いた発電設備1の実施試験例について、図1〜図3に加えて、図9の実施試験概要図及び図10の実施試験結果(表)を参照しつつ具体的に説明する。
[実施試験例]
図9の模式的な配置ないし構成図からわかるように、螺旋水車2をその螺旋水車素体5A,5Bの回転軸41A,41Bが水平方向に対して角度αだけ傾斜した状態で支持枠ないし支持フレーム81によって支持する(図9では支持フレーム81の基台部分は省略)と共に、排水口形成ケース20Fの排水路形成部25Fの流出口24Fの下に水槽82を配置して水の溜め部とした。
一方、水槽82の水を、ポンプ83及び配管84並びに大径配管85を介して螺旋水車2の取水口形成ケース20Eに送り、流入路(取水路)形成部25Eの流入口24Eから取水室形成部22Eを介して、螺旋水車本体ケース10内の流入部6aに水Wを送り込んだ。この例では、大径配管85は、上下方向延在配管部分85aと、水平方向延在配管部分85bとを有する。この例では、実際には、大径配管部85が水車本体ケース10の両側(図9でいえば、図表示面の手前側と奥側)にあり、各大径配管部85,85が、夫々、上下方向延在配管部分85a,85aと、水平方向延在配管部分85b,85bとを備え、水平方向延在配管部85b,85bは、両側から取水室形成部22Eにつながっていた。以下では、説明の簡明化のために、一方の配管85に多数のポンプ83及び配管84が繋がっているとして説明する。
ポンプ及び該ポンプに直接つながった配管は複数あり、ポンプを、符号83a,83b,・・・,83nで表し、夫々のポンプ83a,83b,・・・,83nにつながった配管を、符号84a,84b,・・・,84nで表す。ここで、ポンプ83a,83b,・・・,83nを複数個用いたのは、この実施試験で利用したポンプの場合には流量を広範囲に連続的に変動させて螺旋水車2及びこれを用いた発電設備1の性能をテストするためには複数個必要であったことによる(一台のポンプ83で連続的に流量の調整が可能であれば、ポンプは一台でもよかった)。従って、ポンプ83a,83b,・・・,83nを総称するとき又は相互に区別する必要がないときは、符号83で表し、その配管84a,84b,・・・,84nも総称するとき又は相互に区別する必要がないときは同様に符号84で表す。
また、水平に延びた大径配管部分85bに対してその上方に塔状配管部86を形成したのは、高所から落差を持って取水口形成ケース20Eに水を送り込んで螺旋水車2の螺旋水車素体5A,5Bを強制的にTA,TB方向に回転させる場合に、高所に相当する高さに水を蓄える一種の塔に代替させるためである。ここで、塔状配管部86は、流入口24Eに加圧状態で水を導入する水供給部として働く。
以上において、螺旋水車素体5A,5Bのスクリュ50A,50Bの外径が15cm、回転軸41A,41Bの外径が4.2cmでその実効長(スクリュ50A,50Bのある部分の長さ)が120cm(スクリュ長さ)、回転軸41A,41Bの軸間距離(中心軸線CA,CB間の距離)が9.8cm、断面繭形のケース11の二つの円の夫々の内径が15.52cm、傾斜角度αが45度であり、二軸螺旋水車本体部6の最上流部6aと最下流部6bとの高さの差すなわち基本水車落差Hoが、1m(100cm)であった。
従って、スクリュ50A,50Bの外周面53A,53Bとケース11の対応する内周面11aとの間隔すなわち外周間隙GaA,GaBはいずれも2.6mm程度、各螺旋水車素体5A,5Bのスクリュ50A,50Bの外周面53A,53Bと並設された螺旋水車素体5A,5Bの回転軸41B,41Aの外周面42A,42Bとの間隔すなわち対向間隙GbA,GbBはいずれも2mm程度であった。
但し、この実施試験では、スクリュ50A,50Bの螺旋羽根本体部は、基本の樹脂製の螺旋構造にゴム層を螺旋状に重ねて形成したものであったことから、間隙GaA,GaB,GbA,GbBはいずれも厳密には一定ではなく相当程度ばらつきがあり、且つ螺旋羽根本体の厚さ方向における各間隙GaA,GaB,GbA,GbBのばらつきも比較的大きかった。なお、この二軸螺旋水車2の螺旋水車素体5A,5B又はスクリュ50A,50Bは、実際には、例えば、鋼その他の金属又は機械的強度の高い樹脂で製造され得る。
以上のような構造・形状条件下で、実施試験を行った。その結果は、図10において、表として示した通りである。
試験結果を示す図10の表において、水量Qは、発電設備1を無負荷状態で運転させた場合において螺旋水車2を通過する水Wの流量Q(リットル/秒(即ち、10cm/秒))を指す。ここで、発電設備1について、無負荷状態とは、発電機素体38の出力側を開路にして出力電流をゼロにした状態で螺旋水車2の出力側の歯車36によって該歯車36に噛合した歯車37を介して電磁的な発電機本体(発電機素体)38の回転軸39を回転駆動させる状態をいう。水量Qは、該状態を実現するに要したポンプ83a,83b,・・・,83nの数(水量Qが少ない範囲では、ポンプ1台あたり、3.4×10cm/秒)から求めた。
この実施試験では、水量Qが、リットル/秒(即ち、10cm/秒)単位で、6.8,10.2,13.6,17.0,24.0の場合の結果を図10に示す。
なお、ここで、水量Qが、6.8×10cm/秒から13.6×10cm/秒の範囲では、取水室21E側の流入口24での水位は実際上一定に保たれた。
一方、水量Qが、約13.6×10cm/秒を超える場合、塔状配管部86内の水位を上げて加圧水位Haを与えた。
夫々の場合における発電機素体38の被動軸39の回転数Nは、無負荷回転数Nfとして示した通りで、夫々、回転/分(rpm)単位で、200,300,490,670,1140であった。
また、夫々の場合において、水Wの流れた発電機素体38に対して与え得るエネルギは、理論発電量Pi(効率100%の場合)として示したとおりであって、W単位で、約67,100,133,383,894程度であった。
一方、発電機素体38を負荷状態においた場合を、「水車出力軸32を負荷状態の発電機本体(発電機素体)38に接続」として、表に示す。発電量は、発電機素体38の出力側に負荷をつないだ場合における出力電圧及び出力電流を夫々測定し、該測定電圧値及び測定電流値から算出したものである。また、負荷時回転数Naは、該負荷状態においたときの回転数である。
負荷状態での実験結果の概要は、次の通りである。
流量Qが6.8×10cm/秒の場合、負荷としては電球1個(100Vで100Wの電球)を用いた。このとき、発電量Paは、27Wであった。なお、この負荷条件下では、回転数Nが、Nf=200rpmからNa=80rpmに落ちた。
同様に、流量Qが10.2×10cm/秒の場合、負荷としては電球(100Vで100Wの電球)を2個並列に用いた。このとき、発電量Paは、43Wであった。なお、この負荷条件下では、回転数Nが、Nf=300rpmからNa=130rpmに落ちた。
流量Qが13.6×10cm/秒の場合も、負荷としては電球(100Vで100Wの電球)を2個並列に用いた。このとき、発電量Paは、60Wであった。なお、この負荷条件下では、回転数Nが、Nf=490rpmからNa=220rpmに落ちた。
更に、加圧落差を与えた際についていえば、加圧落差1.3mの条件下で流量Qが17×10cm/秒の場合、負荷としては電球(100Vで100Wの電球)を3個並列に用いた。このとき、発電量Paは、181Wであった。なお、この負荷条件下では、回転数Nが、Nf=670rpmからNa=340rpmに落ちた。
また、加圧落差2.8mの条件下で流量Qが24×10cm/秒の場合、負荷としては電球(100Vで100Wの電球)を5個並列に用いた。このとき、発電量Paは、438Wであった。なお、この負荷条件下では、回転数Nが、Nf=1140rpmからNa=680rpmに落ちた。
以上の試験結果において、負荷状態での実際の発電量Paは、夫々W単位で、27,43,60,181,438であり、発電効率Ep(=(実際の発電量Pa)/(理論発電量Pi))は、夫々%単位で、約40,43.45,47,49程度であった。
以上のような試験結果から、流量Qの増大につれて、回転数Nが高められ得ることが確認された。無負荷時とはいえ、加圧落差Haが、1.3mで有効(実効)落差Hが2.3mの場合には、回転数Nfが670rpmに達し、加圧落差Haを2.8mとし有効(実効)落差Hを3.8mとすると、回転数Nfが1140rpmに達し得、通常の電磁式の発電機に十分な速度の回転を与え得ることが確認された。加圧落差Haが1.3m,2.8mの場合、負荷時においても、回転数Naは、夫々、340rpm,680rpmに達し、通常の上掛け、胸掛け又は下掛け水車の場合とは異なり、実際上増速系がなくても、軸39を十分な速度で回転させ得ることが確認された。
また、この二軸螺旋水車2に特有の現象として、加圧落差Haがゼロの状態では、水量Q(二軸螺旋水車2を通って流れ得る水の流量)に上限があることが、確認された。この上限Qcは、この二軸螺旋水車2の場合、13.6×10cm/秒程度であった。逆に言えば、この上限流量Qcより少ない水量の場合、水Wと共に空気が流れていること、水量Qの増加と共に空気の割合が減り、上限流量Qcでは実際上水Wのみの流れになることが確認された。
以上において、上限値Qcは、スクリュ50A,50Bとケース10と回転軸41A,41Bとによって形成される領域Sが、スクリュ50A,50Bの一ピッチ毎に小室SA,SBに分離される程度に依存する。即ち、上限値Qcは、外周間隙GaA,GaBの大きさ、対向間隙GbA,GbBの大きさ、及び噛合い間隙GcA,GcBの大きさ及び形状に依存する。
本発明の好ましい一実施例の二軸螺旋水車を備えた本発明の好ましい一実施例の発電設備の斜視説明図。 図1の二軸螺旋水車の概要を断面で示したもので、(a)は正面断面説明図、(b)は(a)のIIB−IIB線断面説明図、(c)は(a)のIIC−IIC線断面説明図(但し、螺旋水車本体ケースの手前側部分を最大径部まで破断した状態の図)。 図1の二軸螺旋水車を構成する部品の配置について示した図2の(a)と同様な断面説明図。 図1の二軸螺旋水車を構成する二つの螺旋水車素体の噛合い構造について詳しく示した説明図。 図4の噛合い構造の一部を拡大して示した説明図。 図1の螺旋水車の繭形ケース本体を示したもので、(a)は、正面説明図(なお、形状を見やすくするために、ハッチングをつけてある)、(b)は(a)のVIB−VIB線断面説明図、(c)は(a)のVIC−VIC線断面(ガイドパイプ固定用プレートと嵌り合った状態で示している)、(d)は(a)のVID−VID線断面説明図、(e)は(a)のVIE−VIE線断面説明図。 図1の螺旋水車のガイドパイプ固定用プレートを示したもので、(a)は(b)のVIIA−VIIA線断面説明図、(b)は(a)のVIIB−VIIB線断面説明図、(c)は(b)のVIIC−VIIC線断面説明図。 図1の螺旋水車の取水ケースないし排水ケースを示したもので、(a)は、(c)のVIIIA−VIIIA線断面説明図、(b)は(a)のVIIIB−VIIIB線断面説明図、(c)は(a)のVIIIC−VIIIC線断面説明図。 図1の二軸螺旋水車を用いた図1の発電設備の試験例を示した断面説明図。 図9の二軸螺旋水車及び発電設備の発電試験結果を示した表。
符号の説明
1 発電設備
2 二軸螺旋水車
3 発電機本体
4 ケース
5,5A,5B 螺旋水車素体。
6 二軸螺旋水車本体部
6a 最上流部
6b 最下流部
7 水供給部
10 螺旋水車本体ケース
11 繭形ガイドパイプ
11a ガイドパイプの内面
12,12C,12D 側壁部
12a 上流側端部
12b 下流側端部
13a,14a 中央切欠部
13b,13c,14b,14c 両側切欠部
13d,13e,14d,14e 円弧状突出壁部
15,15E,15F ガイドパイプ固定用プレート
16,16E,16F 穴部
16a,16b 溝部
16c,16d 凸部
17,17E,17F 端部プレート
18,18E,18F 位置決めプレート
18a,18b 繭形外周縁(外周面)
20 取水口形成ケース又は排水口形成ケース
20E 取水口形成ケース
20F 排水口形成ケース
21E 取水室
21F 排水室
22 取水口本体又は排水口本体
22E 取水室形成部
22F 排水室形成部
23E 流入路
23F 流出路
24E 流入口
24F 流出口
25E 流入路形成部
25F 流出路形成部
26 角筒
26a,26b 側壁
26c,26d 繭形孔
27,28 切り抜き板
27a,28a 開口
30 発電機本体ケース
31E,31F 軸受
32,33 軸部
34,35 歯車
36,37 歯車
38 発電機素体
39 軸
41,41A,41B 回転軸
42,42A,42B 外周面
50,50A,50B スクリュ(螺旋羽根)
51,51A,51B 上流側螺旋状面
52,52A,52B 下流側螺旋状面
53,53A,53B 螺旋状周面
54,54A,54B 外縁
55,55A,55B 内縁
56,56A,56B 外縁
57,57A,57B 内縁
60,60A,60B 螺旋状間隙
81 支持フレーム
82 水槽
83,83a,83b,・・・,83n ポンプ
84,84a,84b,・・・,84n 配管
85 大径配管
85a 上下方向延在配管部分
85b 水平方向延在配管部分
86 塔状配管部
CA,CB 回転中心軸線
Ep 発電効率
GaA,GaB 外周間隙
GbA,GbB 対向間隙
GcA,GcB 噛合い間隙
Ha 加圧落差
Ho 基本水車落差
Heff 有効落差(実効落差)
J1 水の移動方向
N 回転数
Na 負荷時回転数
Nf 無負荷時回転数
Pa 発電量
Pi 理論発電量
Q 水の流量
R 繭形ガイドパイプ室
S 水車内室
SA,SB 螺旋状小室
TA,TB 回転方向
W 水
α 傾斜角度

Claims (9)

  1. 円筒状の第一の軸及び該第一の軸のまわりに左回りの螺旋状に延びた第一のスクリュを備えた第一の螺旋水車素体と、
    前記第一の軸と平行な円筒状の第二の軸及び該第二の軸のまわりに右回りの螺旋状に延び前記第一の螺旋水車素体を構成する前記第一のスクリュと相互に嵌り合った第二のスクリュを備えた第二の螺旋水車素体と、
    横断面が繭形で第一及び第二の螺旋水車素体を取囲むケースと
    を有し、
    第一及び第二の螺旋水車素体の上端側に流れ込み該第一及び第二の螺旋水車素体の下端側に向かって流れる水に応じて第一の螺旋水車素体が第一の軸のまわりで右回りに回転し、第二の螺旋水車素体が第二の軸のまわりで左回りに回転するように構成された二軸螺旋水車。
  2. 第一の軸に取付けられた第一の歯車と第二の軸に取付けられた第二の歯車とが相互に噛合するように構成され、該第一及び第二の歯車の回転軸のうちのいずれか一方の回転軸から出力が取り出されるように構成された請求項1に記載の二軸螺旋水車。
  3. 第一及び第二のスクリュが同一の内径及び外径を有する請求項1又は2に記載の二軸螺旋水車。
  4. 第一及び第二のスクリュの軸方向厚さが、該スクリュの全長にわたって一定で且つ相互に同一である請求項1から3までのいずれか一つの項に記載の二軸螺旋水車素体。
  5. 第一及び第二のスクリュが、夫々、全長にわたって、一定のピッチの螺旋状形状を有する請求項1から4までのいずれか一つの項に記載の二軸螺旋水車。
  6. 第一及び第二の螺旋水車素体が、第一及び第二のスクリュの相互噛み合い部分の夫々について、一ピッチ毎に形成される領域が、相互に、分離されるように構成された請求項1から5までのいずれか一つの項に記載の二軸螺旋水車。
  7. 第一及び第二の螺旋水車素体が、第一及び第二のスクリュの相互噛み合い部分の夫々について、一ピッチ毎に形成される領域が、相互に、連通されるように構成された請求項1から5までのいずれか一つの項に記載の二軸螺旋水車。
  8. 第一及び第二の螺旋水車素体並びにケースからなる二軸螺旋水車本体への水の流入部に対して、加圧状態で水を導入する水供給部を有する請求項1から7までのいずれか一つの項に記載の二軸螺旋水車。
  9. 請求項1から8までのいずれか一つの項に記載の二軸螺旋水車と、該水車のうちの前記第一及び第二の軸のうちの一方の回転に応じて回転される発電機本体とを有する発電設備。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015535045A (ja) * 2012-10-31 2015-12-07 フーゴ・フォーゲルザング・マシネンバウ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングHugo Vogelsang Maschinenbau Gmbh 直接駆動を備える回転ローブポンプ
JP6249543B1 (ja) * 2017-05-16 2017-12-20 株式会社Wge 流体機械

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