JP2010094515A - 眼内レンズをモデル化する方法および眼内レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】人間の眼の視覚障害を少なくとも軽減させる眼内レンズをモデル化する方法と、そのような眼内レンズを提供する。別の目的は、先行技術においてよく知られている眼内レンズの比較的低い適用性を改善する眼内レンズをモデル化する方法と、そのような眼内レンズを提供する。別の目的は、人間の眼の既知の異なる種類の視覚障害を矯正するのに必要とされる異なる眼内レンズの種類数を大幅に減らす眼内レンズをモデル化する方法と、そのような眼内レンズを提供する。
【解決手段】眼内レンズをモデル化するための方法に関し、眼内レンズの少なくとも1つの表面の形状および/または眼内レンズの内容部は、その屈折効果に関して、人間の眼内での第一の向きで、眼内レンズがこの人間の眼の第一の視覚障害を少なくとも部分的に矯正し、人間の眼内での第二の向きで、眼内レンズがその人間の眼の第二の視覚障害を少なくとも部分的に矯正するような方法で構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、人間の眼の視覚障害を軽減する眼内レンズをモデル化するための方法に関する。さらに、本発明は、こうした視覚改善を実現できるレンズに関する。
全世界で失明の最大の原因となっている白内障の治療は、古代ローマ時代(紀元前1,2世紀)から広く知られている。古代以来現在に至ってもなお、人間の混濁した水晶体を完全に摘出することが、患者の視力を部分的に回復するための最良の方法である。しかし、得られる結果は予想通りに芳しくなく、その理由は、自然の人間の水晶体が屈折力の点で視器官に及ぼす貢献度が勘案されておらず、この状況では十分に補償されないからである。
白内障手術が急進展を遂げたのは、1949年にイギリス人医師、ハロルド・リドリーが硬質PMMAプラスチックで製作された最初の眼内レンズの埋植に成功したときであろう。このレンズは、自然の人間の眼の屈折力の低下を補償することができた。この初期の段階から、IOL(眼内レンズ)と手術手技の改良が続けられている。今日、白内障手術は眼科において最も多く行われている手術であり、米国では年間230万人を超える患者がこの手術を受けている。
これに加え、ヨーロッパと日本では約300万件の手術が行われている。しかしながら、多くの場合、IOLの光学性能は、生来の角膜収差によって低下することがある。人間の角膜は一般に正の球面収差を有し、これは通常、自然の水晶体の負の球面収差によって打ち消される。この角膜の正の球面収差が考慮されないと、角膜と埋植されたIOLとの複合系による集光にマイナスの影響が及ぶ。
偽水晶体人眼の光学性能は、光学系の理解において、人工レンズが視軸に関して適正に、網膜受容体細胞に関して最良の焦点位置に位置づけられ、光路全体の全術後収差が合理的に小さいときに最良となる。この文脈における収差とは、波面収差を意味する。このことは、理想的な点像を形成するには、収束する波面が完璧な球面でなければならないという理解、つまり、眼の網膜受容体層の上に完全な像が形成されるには、眼の光学表面、たとえば角膜と自然または人工のレンズ等を通過した波面が完璧に球面でなければならないとの理解に基づく。波面が球面から逸脱すると、歪んだ像が形成される。この条件を満たすことにより、離れた物点から入ってくる光線が網膜上で形成するスポットのぼけは最小限となり、光線モデルにおいて鮮鋭な視野が提供される。そして、点像の質は開口絞りでの回折効果のみによって低下し、したがって「回折限界」と呼ばれる。
患者の眼の個々の要求に適合するようにIOLを正しく選択することは依然として困難であり、患者の術後の光学誤差は、4つの主な誤差貢献要素(contribution)集合に依存する。術後の全体的な誤差は、各集合の貢献要素の誤差伝播方程式による平方和である。
Figure 2010094515
第一の集合(ΔBiometry,pre)は、角膜曲率測定誤差(Δ)、ACD(前房深度)誤差(ΔACD)、軸長誤差(ΔAL)、使用されるIOL度数方程式の精度(Δequation)、角膜非球面性誤差(Δ)等の術前の生物計測データの誤差を含み、IOL計算のための誤った入力データとなる可能性がある。
Figure 2010094515
第二の集合(ΔBiometry,post)は、手術創、創傷治癒工程および水晶体嚢結合等、術後の生物計測データの変化によるものである。
Figure 2010094515
第三の集合(ΔIOLPower)は、IOL表示度数の精度の限界、IOLメーカが決定するIOL度数増加、IOL定数(たとえば、A定数、Haigis定数、ELP(有効レンズ位置)等)の精度および、異なる光学度数のIOL設計の関数としての第二主面の相対的ずれを含む。
Figure 2010094515
最後の集合(ΔAberration)は、残存乱視度数(remaining cylinder)、残存SA(球面収差)、高次収差の総和等の術後収差を含む。
Figure 2010094515
上記の集合のうち術後光学誤差を最小限にするために、医師、研究者、業界は、個々の誤差要素の貢献度を低減させる方法を見出した。カール・ツァイスIOLMasterの恒常的使用は生物計測の至適基準となっており、これによって術前の生物計測データ査定の精度が臨床的に有意に改善された。現代のIOL計算式は、非標準的な生物計測データについて、より正確であり、医師ごと、IOLごとのIOL定数の最適化を助けるものである。
小切開白内障手術(MICS)等の新規な術式により、望ましくない術後の角膜乱視誘発の危険性が低減される。さらに、乱視を引き起こさない切開術や角膜輪部減張切開術は、先在する角膜乱視の減消に役立つ。
2つの特定の研究において、眼の構成要素の発達が別個に調査され、より若年の眼の各構成要素の光学収差は相互に打ち消し合うとの結論が導き出された。角膜データを他の眼球パラメータと併せて使用し、後の偽水晶体眼の光学性能を最大限にすることを目的とした眼内レンズの度数と非球面性を予測できることが知られている。さらに、被術者の角膜の形状が正の球面を呈することも観察された。研究は、被術者の角膜が正の球面収差を生じさせ、これは年齢と共に若干増加することを示している。これに対し、別の研究によれば、角膜前面の回転対称収差は、より若年とより高齢の眼の間に差がないようである。
球面収差の劣化効果は、球面収差補正用IOLを使用することによって軽減される。先行技術から、IOLの球面収差補償が、非球面表面改質を利用して達成できることはよく知れている。非球面IOLは、対称表面形状でも非対称表面形状でも構成できる。
上記のような非対称非球面IOLの例は、米国特許第6,609,793号明細書において開示されている。このIOLの前面は、非球面に設計されている。球面ベースカーブとの偏差は、6次多項式展開で表現される。IOLの設計は、大きな患者集団について得られた波面収差測定器によるデータの平均に基づく。非球面化の目的は、平均的な人間の角膜により誘発される正の球面収差を補償することである。IOLは、光学器官全体を球面収差ゼロに調整するために、ある程度の量の負の球面収差を生じさせるように設計されている。理論的視点から見ると、この設計は、角膜球面収差がその設計に用いられたモデル集合の平均的な量と同じ、またはこれに非常に近ければ、可能なかぎり狭い点像強度分布関数で最大の光学性能を提供する。
球面収差補正を提供する、より進化した非球面IOLの例は、ドイツ公開特許第10 2006 021 521号において開示されている。球面視覚誤差の補正のほかに、同発明による表面改変によって、摘出前に存在していた自然の人間の水晶体の光学特性を回復できる。その上、上記のように前面と後面の修正のバランスを意図的にとることにより、手術の不正確さ、手術創または水晶体嚢結合により誘発される可能性のあるIOLの偏心や傾斜等の機械的な位置決めの乱れの影響を光学性能がなるべく受けないようにすることができる。これは、光学収差を、自然の人間の水晶体の効果と同様のものとなるように意図的に調整することによって実現される。
非球面IOLの光学的改善能力は、先行技術から良く知られている。しかし、これを最も有利に利用するためには、患者の生物計測データと角膜形状が、初期設計に用いられたモデル集団の平均的な量と同じまたは非常に近くあるべきである。“one−fits−all”方式による利点を享受するには、特定の患者の眼特性が設計条件と一致しなければならない。一致しないと、IOLは光学性能を低下させるであろう。これは、非対称IOLが意図せず初期設計モデルと逆の向きにされた場合の影響につながる。埋植方向およびIOL設計の違いによる像質への影響のいくつかの例が、R.ローワ他による論文、"Imaging quality of intraocular lenses", Journal Cataract Refractive Surgery - Vol 31, August 2005とスプロール、ローワのKlinische Monatsblatter d. Augenheilkunde 2005; 222:972-976 "Spielt die Orientierung der IOL im Auge eine Rolle"において紹介されている。
平均された角膜モデルに基づくIOLは、多くの患者にとっては十分であろう。しかし、残念ながら、角膜が平均的な角膜に適合しない患者も少なからずいる。このような平均との偏差の理由は多種多様であるが、いくつかの重要な理由を以下に示す。
一般化された平均的角膜との違いは、単に民族集合間の平均的角膜形状の違いであるかもしれない。また、RK(放射状角膜切開手術)、レーシック(レーザ原位置角膜屈折矯正手術)、LASEK(レーザ上皮角膜屈折矯正手術)、PRK(角膜表層切開手術)等の屈折矯正手術による治療を受けた角膜の多くは一般に、一般化された平均的角膜とは異なる角膜形状を見せる。この個体群の大きさは、世界における屈折矯正手術治療の実施件数の急増により、増加している。
さらに、非常に急峻および非常に平坦な角膜の球面収差の量は一般的な量ではなく、平均的な角膜であれば略完璧に補正できる非球面IOLでは補正できない。
米国特許第6,609,793号明細書 ドイツ公開特許第10 2006 021 521号明細書
R.ローワ他による論文、"Imaging quality of intraocular lenses", Journal Cataract Refractive Surgery - Vol 31, August 2005 スプロール、ローワのKlinische Monatsblatter d. Augenheilkunde 2005; 222:972-976 "Spielt die Orientierung der IOL im Auge eine Rolle"
本発明の目的は、人間の眼の視覚障害を少なくとも軽減させる眼内レンズをモデル化する方法と、そのような眼内レンズを提供することである。本発明の別の目的は、先行技術においてよく知られている眼内レンズの比較的低い適用性を改善する眼内レンズをモデル化する方法と、そのような眼内レンズを提供することである。本発明のまた別の目的は、人間の眼の既知の異なる種類の視覚障害を矯正するのに必要とされる異なる眼内レンズの種類数を大幅に減らす眼内レンズをモデル化する方法と、そのような眼内レンズを提供することである。
本発明は、人間の眼の視覚障害を軽減させる眼内レンズをモデル化する方法に関する。この方法は、眼内レンズの少なくとも1つの表面の形状および/またはこの眼内レンズの内容部を、その屈折力に関して、人間の眼内での第一の向きで、眼内レンズが人間の眼の第一の視覚障害を少なくとも部分的に矯正し、人間の眼内での第二の向きで、眼内レンズが人間の眼の第二の視覚障害を少なくとも部分的に矯正するような方法でモデル化するステップを含む。
したがって、非常に有効で、効率的なモデル化工程を実現する方法が提供される。特に、1枚のレンズでより多くの視覚障害を矯正することに関して、1回の設計工程のみで、2通りのモデル化を行うことに焦点が当てられる。したがって、1枚のレンズだけで、人間の眼内でのレンズの向きに応じて、少なくとも2種類の視覚障害を矯正することが可能となる。1種類の視覚障害しか矯正できないレンズの種類の数が大幅に削減される。さらに、計算されたステップをとることによって1枚のレンズだけで少なくとも2種類の視覚障害の特定かつ計画的な矯正が可能になるため、眼内レンズの適用性も増大する。この方法を用いれば、少なくとも2種類の視覚誤差が計画的、意識的に少なくとも修正されるようにレンズをモデル化することができる。
レンズの向きとは、レンズを人間の眼内に設置する際、レンズの両表面、つまり前面と裏面のどちらを角膜側にするかを意味する。さらに、レンズは、特にレンズの足部(haptic part)の角度と角度の向きに応じて、人間の眼内で異なる体勢(position)をとることができる。したがって、人間の眼内でのレンズの配置は特に、その向きと体勢で定義される。好ましくは、第一の向きは第二の向きを反転または逆転させたものである。
特に、モデル化の方法は、光学表面の完全な球面形状とは異なる表面形状の改変を含む。球面屈折視覚誤差の修正のほかに、このような表面改変により、健康な自然の人間の眼の光学特性を回復することができる。埋植物を患者の光学系の具体的な光学特性に適合させるために、IOLは、患者の眼への埋植の方向に応じて、2つの異なる、しかし十分に定義された光学特性を示すように設計される。このような表面形状の改変に加え、またはそれに代わって、眼内レンズの内容部をモデル化すること、特に内容部の屈折効果をモデル化することによっても、同じ利点が得られる。
好ましくは、この方法は、眼の第一の視覚障害を矯正することに関してレンズの形状を変更することと、眼の第二の視覚障害を矯正することに関してレンズの形状を変更することを連結させるステップを含む。特に、形状変更の連結のモード、つまり方法は、そのレンズで修正すべき特定の視覚障害に応じて異なる。
特に、このモデル化の方法は、眼内のレンズの向きに応じて、眼の少なくとも2種類の視覚障害を矯正することに関して、眼内レンズの第二の表面をレンズの第一の表面の変更に応じて変更するステップを含む。同じことが、レンズの内容部の変更にも当てはまる。
眼内レンズの内容部のモデル化は特に、レンズの内側部分の屈折力の変化に関する。好ましくは、レンズの媒質、つまり素材の屈折力が連続的に変化させられる。
好ましくは、人間の眼の少なくとも1つの数理モデルを、眼内レンズのモデル化の基礎として、少なくとも人間の眼内での眼内レンズの向きに応じて上記の第一または第二の視覚障害のいずれかを矯正するために、人間の水晶体の代わりに眼内レンズをこの数理モデルに挿入するという方法で利用する。
本発明の好ましい実施例において、2種類の視覚障害を矯正するための眼内レンズのモデル化の基礎として、ある数理モデルの、第一の仕様が第一の視覚障害を特徴付け、第二の仕様が第二の視覚障害を特徴付ける2種類の仕様が用いられる。したがって、数理モデルは、その基本状態で選択される。特定の視覚障害を特徴付けるために、数理モデルの基本状態が特定の方法で変更され、この特定の視覚障害を数理モデルでも説明できるようになる。特定の視覚障害を特徴付けることに関して数理モデルを変更するために、1つまたは複数のパラメータが変更される。したがって、モデル化工程では、数理モデルがその基本状態から変更された状態で使用されることが好ましい。
利用できる数理モデルは、たとえば、リョウ&ブレナン眼モデル、ナヴァロ眼モデル、デュベルマン眼モデル、グルストランド眼モデル等である。これらのモデルはそれぞれ、特定の個別の基本状態を有する。
上記の具体的なモデルは利用可能な例にすぎず、他の眼モデルももちろん、眼内レンズをモデル化する方法の基礎として使用できる。したがって、モデル化された内眼レンズで矯正されるべき少なくとも2つの特定の視覚障害に応じて、最も好適なモデルが選択される。矯正されるべき視覚障害に関するレンズのモデル化のためのその時の状況に応じて、モデルをさまざまに組み合わせることが可能である。たとえば、リョウ&ブレナンモデルまたはその仕様を用いれば、非回転対称の視覚障害を特徴付けることができる。たとえば、ナヴァロモデルまたはその仕様を用いれば、焦点ぼけや球面収差のような回転対称の視覚障害を特徴付けることができる。
好ましくは、2種類の方法で眼内レンズをモデル化するための基礎として、第一の数理モデルが第一の視覚障害を特徴付け、第二の数理モデルが第二の視覚障害を特徴付ける2種類の数理モデルが用いられる。前述のモデルの1つを選択し、そのレンズで矯正すべき特定の視覚障害を最もよく特徴付ける、つまり定義するように、異なるバリエーションを作ることが可能である。この実施例によって1つの基本的な眼モデルでのモデル化が可能となり、その眼モデルを特徴付けるいくつかの一般的な数値とパラメータに基づいて2つの仕様が定められ、したがって、両方の視覚障害のための一般的データベースが得られる。これに対し、眼モデルを特徴付けるその他の数値とパラメータを特に変更し、その眼モデルの2つの仕様を作ってもよい。したがって、レンズのモデル化と、モデル化された眼内レンズでの少なくとも両方の視覚障害の矯正が、共通のデータベースに基づいて行われる。これにより、両方の視覚障害を非常に正確に矯正することに関して、非常に正確なモデル化が可能となる。さらに、モデル化のための労力が軽減される。
好ましい実施例において、上記のモデル化により、人間の眼内での第一の向きで収差補正用レンズとして機能する眼内レンズが得られる。
好ましくは、上記のモデル化により、人間の眼内での第二の向きで収差補正済みレンズとして機能する眼内レンズが得られる。
前述の少なくとも1つの数理モデルは、好ましくは、角膜の非球面形状および/または前述の模型眼の屈折媒質の屈折率分布および/または自然の人間の水晶体の非球面形状および/または眼球の長さによって特徴付けられる。これらは、人間の眼を説明することに関して、非常に特徴的なパラメータである。そのため、これらのパラメータによって、たとえば、ある数理モデルの仕様を非常に正確に特徴付けることが可能となる。したがって、上記のようなモデルの仕様を正確に定義でき、さらにそれにより、レンズの正確なモデル化と、1枚のレンズで修正されるべき視覚障害のうちの1つだけでなく両方の矯正において非常に良好な結果が得られる。
好ましい実施例において、モデル化は、各数理モデルまたは1つの数理モデルの各仕様の少なくとも1つのパラメータの相互の結合、つまり連結を定義するステップを含む。特に、パラメータの連結モードおよび/またはどのパラメータを連結するかは、レンズで矯正すべき少なくとも2つの視覚障害に依存する。数理モデルまたは数理モデルの仕様を特徴付けるパラメータがモデル化の基礎として用いられ、1つのモデルまたは1つの仕様の少なくとも1つのパラメータを変更すると、他のモデルまたはあるモデルの他の仕様の1つのパラメータが、眼内レンズの表面の形状および/またはその内容部がその屈折効果に関して、第一と第二の視覚障害を矯正するために変化させられるように変更される。
好ましくは、眼内レンズの上記の表面の少なくとも一方が非球面表面として設計される。また、眼内レンズの両方の外表面を非球面表面として設計することもできる。
好ましくは、眼内レンズのモデル化は相互作用的工程を含む。したがって、モデル化工程中、ある時点での眼内レンズのモデル化状態がチェックされ、視覚障害の矯正が十分な規模で可能か否かが確認される。これは、そのレンズで矯正されるべき両方の視覚障害について行われる。その結果判断された修正規模が視覚障害のうち少なくとも一方について不十分であれば、モデル化工程が続けられる。したがって、レンズのある時点でのモデル化の結果が個別に変更される。特に、眼内レンズのある時点での具体的状態の変更は、その時点での具体的状態そのものおよび/または、モデル化工程の終了時に最終的に達成されるべき矯正の程度と比較して、視覚障害の矯正をどの程度達成できないかに応じて行われる。
特に、設計プログラムまたはモデル化プログラムの1つのファイルの中で、いわゆるコンフィギュレーションの構築により、2種類の数理的眼モデルが事前に設定される。したがって、1つの眼の異なる形態が構成され、各コンフィギュレーションが特定の視覚障害を伴う人間の眼の状態を特徴付ける。視覚障害は眼疾患および/または外科的治療の結果として発生しうる。たとえば、第一のコンフィギュレーションは、眼の屈折矯正手術後の一般的な角膜形状を特徴付ける。別の、つまり第二のコンフィギュレーションは、典型的な欧米型角膜(european cornea)または典型的なアジア型角膜(asian cornea)を特徴付ける。これらは、考えられるコンフィギュレーションの例にすぎない。他にも多数のコンフィギュレーションがある。
相互作用的工程の別のステップで、各コンフィギュレーションについて、モデル化される眼内レンズを特徴付ける各パラメータまたはその他の数値が選択される。次に、これらのパラメータは相互に結合、つまり連結される。パラメータの連結は、モデル化手順開始後に、第一のコンフィギュレーションの少なくとも1つのパラメータが変更されると、第二のコンフィギュレーションの少なくとも1つのパラメータが変更されるように行われる。したがって、たとえば、第一のコンフィギュレーションのあるパラメータを変更することによって、眼内レンズの第一の表面の形状が変化する場合、パラメータの連結の結果、もう一方のコンフィギュレーションの少なくとも1つのパラメータはその眼内レンズの第二の表面の形状が変更されるように自動的に変化する。
パラメータの例としては、角膜半径および/または円錐定数および/または多項式非球面の係数および/または屈折力および/または球面収差および/または局所曲率および/または屈折力分布がある。考えられるパラメータはこれらだけではない。もちろん、その他多くのパラメータをモデルの基礎とすることができ、ある具体的な状況に関して最善の方法で眼内レンズをモデル化するために変更できる。
上記の方法の別の好ましいステップの中で、眼内レンズをモデル化するための相互作用的工程において、レンズは第一の表面、つまり前面と、第二の表面、つまり後面を有する。第一、第二、つまり前面と後面という上記の定義は一例にすぎない点を強調する。好ましい実施例において、第一のコンフィギュレーションの少なくとも1つのパラメータが変更されると、モデル化されるべきレンズの第一の表面がその形状において特定の方法で変更され、2種類のコンフィギュレーションのパラメータが結合されていることにより、第二のコンフィギュレーションの少なくとも1つのパラメータが自動的に変更され、その結果、レンズの第二の表面はその形状において特定の方法で変更される。したがって、好ましい実施例において、たとえば、上記第一のコンフィギュレーションにおける眼内レンズの前方、つまり前面および第二のコンフィギュレーションの後面と定義される第一の表面が特定の方法で変更されると、前記第一のコンフィギュレーションにおける眼内レンズの裏、つまり後面および第二のコンフィギュレーションの前方、つまり前面が特定の方法で変更される。これにより、1枚のモデル化されたレンズで、眼内におけるレンズの体勢と向きに応じて2種類の視覚障害が矯正される。第一の人間の眼の第一の視覚障害を矯正するためには、レンズがこの眼に第一の向きで挿入される。第二の人間の眼の第二の視覚障害を矯正するためには、レンズがこの第二の目に第二の向きで挿入される。
相互作用的工程の好ましい別のステップにおいて、定義されたメリット関数が、このモデル化工程で達成されるべき目標を事前に設定する。したがって、目標とする規模および目標とする規模の重み付けは、具体的なモデル化の状況に応じて予め決定される。具体的なモデル化の状況は、選択された数理モデルおよび/または矯正されるべき特定の視覚障害に依存する。
相互作用的工程の別のステップでは、1つまたは複数のパラメータが可変値として選択され、相互作用的な最適化工程が開始される。好ましくは、これは1つのコンフィギュレーションについてのみ行われる。この方法の好ましいステップが、異なるコンフィギュレーションのパラメータのうち少なくともいくつかを結合するステップを含むため、これは、両方の視覚障害を少なくとも部分的に矯正することに関する両方のコンフィギュレーションに対する最適化工程につながる。
相互作用的工程中、この方法の好ましいステップは、メリット関数を評価するステップ、特にメリット関数の改善を評価するステップを含む。これが好適な結果、つまり容認可能な結果を導くように満足されないのであれば、変更対象として選択された少なくとも1つのパラメータを少なくとももう一度変更し、および/または少なくとも1つの別のパラメータを変更する。この手順は、眼内の特定の向きと体勢に応じて、モデル化された眼内レンズで矯正されるべき少なくとも2つの視覚障害に関して容認可能な結果が得られるまで繰り返される。容認可能な結果は、各種の性能目標で定義することができる。特に、最適化パラメータの数値の許容誤差を定義することができ、数値と相互作用的工程の結果が許容誤差範囲に入ると、工程は停止され、最適化目標が満たされる。
相互作用的工程のステップの順序は異なっていてもよい。所与の、具体的なモデル化の状況に応じて、工程を調整できるため、非常に柔軟である。個々のモデル化ステップと手順全体のチェックはより柔軟で、モデル化されたレンズの一時的な結果のチェックはより容易であり、より迅速に行うことができる。
好ましくは、2つの異なるコンフィギュレーションのパラメータの結合は、第一のコンフィギュレーションの特定のパラメータが変更されると、第二の構成の対応する、つまり等しいパラメータも変更されるように定義される。
特定の好ましい実施例において、上記の眼内レンズの上記の面の少なくとも1つおよび/または上記の眼内レンズの内容部は、その屈折効果に関して、上記の第一と上記の第二の視覚障害がそれぞれ、基礎として使用された数理モデルまたは数理モデルの仕様に関して少なくとも0.5、特に少なくとも0.8、特に少なくとも0.95のシュトレール比で修正されるように構成される。両方の視覚障害は、モデル化されたレンズ1枚だけで、理論的屈折限界の非常に近い数値まで矯正することができる。
好ましい実施例において、眼内レンズによって矯正されるべき視覚障害を特徴付けるための基礎として使用された上記の数理モデルまたは1つの数理モデルの仕様の特定のパラメータが変更される。好ましくは、角膜のパラメータが変更される。好ましくは、特定の視覚障害を特徴付ける角膜半径および/または角膜の曲率および/または円錐定数および/または多項式非球面の少なくとも1つの係数が変更される。
考えられる視覚障害とは、たとえば、いわゆる欧米型角膜またはいわゆるアジア型角膜である。これらの状態は、半径、曲率、円錐定数等の特徴的パラメータで説明することができる。たとえば、欧米型角膜は、7.70mmから7.85mmの半径の数値、−0.1700から−0.1900の円錐定数の数値で特徴付けられる。アジア型角膜は、たとえば、7.56mmから7.69mmの半径の数値、−0.1700から−0.1800の円錐定数の数値で特徴付けられる。この具体的な数値と範囲は例に過ぎない点を強調する。もちろん、その他の数値や他の限界値の範囲でも、上記の具体的な角膜形状を特徴付けることができる。
その他の視覚障害は、たとえば、一般的な屈折矯正手術治療後の眼の一般的な生物計測データに見られる。たとえば、屈折矯正手術治療後の近視眼または遠視眼の一般的な球面収差である。近視眼は、たとえば、8.1mmから8.3mmの角膜半径の数値、+0.4900から+0.5100の円錐定数の数値で特徴付けられる。遠視眼は、たとえば、7.4mmから7.6mmの角膜半径の数値、−0.4900から−0.5100の円錐定数の数値で特徴付けられる。もちろん、その他の数値やその他の限界値の範囲も可能である。
別の視覚障害は、たとえば、急峻な角膜または平坦な角膜である。非常に急峻な角膜は、たとえば、7.3mmから7.5mmの半径の数値、−0.1700から−0.1900の円錐定数の数値で特徴付けることができる。非常に平坦な角膜は、たとえば、8.3mmから8.5mmの半径の数値、−0.1700から−0.1900の円錐定数の数値で特徴付けることができる。もちろん、これらの数値は例にすぎず、他の数値や他の範囲の限界値でこれらの具体的な角膜形状を特徴付けることも可能である。
特に、この方法が意図するものは、異なる角膜形状によって引き起こされる収差、特に球面収差が、レンズの両方の向きについて、0.8を超える、特に0.95を超えるシュトレール比で少なくとも部分的に修正されるように眼内レンズをモデル化することである。
好ましい実施例において、この方法は、患者に最適な視覚矯正を提供するために、眼の収差を調整できる眼内レンズを設計するステップを含み、このステップには以下の要素が含まれる。
・人間の眼の光学設定と性能を説明する、少なくとも1つの非球面角膜表面、屈折率分布および/または非球面水晶体モデルを含む数理模型眼
・眼内の自然の人間の水晶体の代わりとなり、人間の水晶体の特定の光学特性を保持しながら球面視覚誤差を補正する非球面レンズ形状の光学的モデル化
・上記の非球面レンズの向きに応じて、2つの異なる上記の数理模型眼によって2種類の矯正機能を果たすための上記の非球面レンズの光学的モデル化
レンズの前面は球面形状で、後面は非球面形状を有することが好ましい。別の好ましい実施例において、レンズの前面は非球面形状を有し、後面は球面形状を有する。また、レンズの両方を非球面形状にすることも可能である。
好ましい実施例において、数理模型眼の視軸は、眼の対称軸である「光軸」に関して傾転され、偏心化された虹彩は偏心化された入射瞳を表す。
数理モデルは、好ましくは、手術または創傷治癒工程により誘発される可能性のあるレンズの位置ずれと位置決め誤差の統計を説明する。さらに、光学性能と、結果として生じる収差の計算には、上記の数理眼モデルをレンズの位置ずれに関する統計モデルを組み合わせることが好ましい。また別の好ましい実施例は、上記の向きの少なくとも一方に関して、瞳孔径の関数として、偽水晶体眼が有水晶体模型眼と同じ量の球面収差および同じレベルの像質を有するようにレンズを設計するステップを含む。
さらに、光学的屈折力の放射状分布は、好ましくは、明所視および/または薄明視を説明する少なくとも3つの機能的領域に分割される。非球面形状の光学的最適化は、好ましくは、光学的性能のパラメータが手術の効果または水晶体嚢結合により誘発されうるレンズの傾転による影響をなるべく受けないようにするために行われる。
非球面形状の光学的最適化は、好ましくは、光学的性能のパラメータが手術の効果または創傷治癒工程によって誘発されうるレンズの偏心による影響をなるべく受けないようにするために行われる。
好ましい実施例において、非球面形状の光学的最適化は、光学的性能のパラメータが手術の効果または創傷治癒工程によって誘発されうるレンズの偏心またはレンズの傾転による影響をなるべく受けないようにするために行われる。
レンズ形状のモデル化と最適化のステップは、前面と後面のベースカーブの曲率半径および中央の厚さ、周縁部の厚さ、屈折率を選択するステップを含むことが好ましい。
人工レンズの球面収差の量は、好ましくは、自然の人間の水晶体のそれが幅広い範囲の瞳孔径について保持されるのと同じレベルに保持される。
改変されたレンズ形状は、好ましくは、多項式の線形結合により定義される。
改変されたレンズ形状は、好ましくは、次式により定義される。
Figure 2010094515
ただし、
Figure 2010094515
(曲率=1/ベースカーブの曲率半径)
r=独立可変値、光軸を中心とした半径
Q=円錐定数
=n次の多項式係数
したがって、定数Qは好ましくは0である。定数はまた、−1<=Q<=0の範囲内の数値であってもよい。好ましくは、kは0である。n≧2の時のkを0としてもよい。好ましくは、n>8のときのすべての係数kが0である。
改変されたレンズ形状は、好ましくは、多項式の線形結合により定義される。特に、改変されたレンズはスプラインで定義される。改変されたレンズ形状は、好ましくは、多項式の線形結合により個体ごとに(piecewise)定義される。好ましくは、光学性能は、MTF(変調伝達関数)コントラストとして定義される。したがって、光学性能は、好ましくは、シュトレール比として定義される。また、光学性能を波面誤差として定義することもできる。さらに、光学性能は、好ましくは、点像強度分布関数とエンサークルドエネルギーによって定義される。
好ましい実施例において、人間の眼の光学ユニット全体の収差は、ゼルニケ多項式の線形結合によって表される。
また、人間の眼の光学ユニット全体の収差を、好ましくは、ザイデル多項式の線形結合で表すこともできる。さらに、人間の眼の光学ユニット全体の収差を、OPD/波面のフーリエ解析でも表すことができる。
好ましくは、眼内レンズは、軟質で透明な生体適応素材で作製される。軟質素材とは、好ましくは、親水性アクリルポリマまたはコポリマ等の親水性素材とすることができる。さらに、軟質素材は、疎水性アクリルまたはシリコン等の疎水性素材であってもよい。また、眼内レンズを、PMMAとも呼ばれるポリメチルメタクリレート等の硬質素材で製造することも可能である。
本発明はさらに、第一の表面と第二の表面および内容部を有する眼内レンズに関し、上記の眼内レンズの上記の表面および/または内容部は、その屈折効果の点で、人間の眼内での眼内レンズの第一の向きで、第一の視覚障害が少なくとも部分的に矯正可能であり、人間の眼内での眼内レンズの第二の向きで、第二の視覚障害が少なくとも部分的に矯正可能であるように構成される。したがって、1枚のレンズだけで、人間の眼内でのレンズの向きに応じて少なくとも2種類の視覚誤差を補正することが可能である。1つの視覚効果しか修正できないレンズの種類数が大幅に減少される。さらに、用いられる計算ステップにより、1枚のレンズだけで少なくとも2つの視覚障害を特定的かつ計画的に矯正することができるため、眼内レンズの適用可能性も増大される。
上記の眼内レンズは、好ましくは、人間の眼内での少なくとも上記の第一の向きで収差補正用レンズとして機能するように構成される。別の好ましい実施例において、上記の眼内レンズは、人間の眼内での少なくとも上記の第二の向きで収差補正済みレンズとして機能するように構成される。第一と第二の体勢および第一と第二の向きで収差補正用および収差補正済みとしての機能を果たすとの記載は、例に過ぎない点を強調する。もちろん、この一般的な記載は、別の方法でも、特に逆の記載にも定義できる。
好ましくは、上記のレンズの上記の表面の少なくとも1つは非球面設計である。また、両方の表面を非球面設計、特に2種類の非球面設計とすることができる。両方の表面の形状を球面設計としてもよい。
両方の視覚障害が球面収差である可能性がある。
上記の眼内レンズは、好ましくは、垂直軸に関して好ましく傾転されている足部を有する。
上記の眼内レンズは、好ましくは、人間の眼内での第一の体勢と第一の向きについて、第一の数値のレンズ定数、特にA定数を有し、人間の眼内での第二の体勢と第二の向きについて、第二の数値のレンズ定数、特にA定数を有する。
上記の眼内レンズは、好ましくは、人間の眼内での第一の体勢と第一の向きについて、第一の特徴付けマーカを有し、人間の眼内での第二の体勢と第二の向きについて、第二のマーカを有する。
上記の眼内レンズは、好ましくは、1つの方向を用いることで、平均的な欧米型角膜にとって最良の視覚性能を有し、反対の方向を用いると、平均的なアジア型角膜にとって最良の視覚性能が提供される。
上記の眼内レンズは、好ましくは、屈折矯正手術後の眼の一般的な生物計測テータに合わせて製造される。したがって、レンズの第一の向きは、好ましくは、自然の、治療を受けていない眼の平均的な眼球モデルの球面収差を補正するのに用いられる。第二のレンズの向きは、好ましくは、近視眼の屈折矯正手術治療後の一般的な球面収差を補正する。生物計測データは、求められる多数の患者グループの生理学的数量、特に眼球モデルを特徴付ける。
好ましくは、上記の眼内レンズは、屈折矯正手術後の眼の一般的な生物計測データに合わせて修正される。レンズの第一の向きは、自然の、治療を受けていない眼の平均的眼球モデルの球面収差を補正するために使用される。第二のレンズの向きは、遠視眼の屈折矯正手術治療後の一般的な球面収差を補正する。
上記の眼内レンズは、向きを変更することにより、近視眼と遠視眼の矯正のために、屈折矯正手術治療を受けた後の生物計測データを有する眼を矯正するように製造される。
好ましくは、上記の眼内レンズは、角膜半径が異なる眼を矯正する。好ましくは、第一の向きは、非常に急峻な角膜形状の場合の矯正に使用され、もう一方の向きは、非常に平坦な角膜形状の場合の矯正に使用される。
上記の眼内レンズは、好ましくは、IOLの1つまたは両方の矯正機能のための偏心によって光学性能(MTF)が受ける影響を大幅に減少させる。上記の眼内レンズは、好ましくは、IOLの1つまたは両方の矯正機能のための傾転によって光学性能(MTF)が受ける影響を大幅に削減する。
上記の眼内レンズは、好ましくは、偽水晶体眼が、IOLの1つまたは両方の矯正機能について、瞳孔径の関数として、水晶体眼のモデルと同じ量の球面収差および同じレベルの像質を有するようにモデル化される。
上記の眼内レンズは、好ましくは、少なくとも部分的に軟質素材であり、この軟質素材は親水性アクリルポリマまたはコポリマ等の親水性素材とすることができる。軟質素材はまた、疎水性アクリルまたはシリコン等の疎水性素材であってもよい。眼内レンズは、PMMAとしも呼ばれるポリメチルメタクリレート等の硬質材素材でも作製できる。
眼内レンズは、好ましくは、足部、特に埋植方向間の主面のシフトを補償するための、レンズの赤道面と足部の平面(haptics plane)の間で目的をもって角度を付けられた足部を有する。特に、この角度は0°<=角<=10°である。
これらの足部に角度をつけることにより、眼内レンズを人間の水晶体液(crystalline humour)に圧迫することができる。さらに、レンズの主面のばらつきは、足部の角度に応じて補償することが可能である。
好ましくは、本発明は、先行技術の欠点を克服するための新たな非球面IOL設計方式を提案し、IOL埋植を必要とする患者に、大幅に改善された知覚可能な光学性能を提供する。
眼内レンズをモデル化するための方法の好ましい実施例は、眼内レンズの好ましい実施例である。
本発明の別の態様は、少なくとも人間の眼内でのその向きに応じて、異なる視覚障害が矯正されるように製造された眼内レンズに関して、その目的に応じた二重目的のラベル(dual labeling)を有するレンズ容器に関する。これにより、一方でレンズを非常に安全に保管、出荷でき、もう一方で矯正されるべき特定の視覚障害に関するレンズの特定の仕様を容易に識別できる。
好ましくは、レンズ容器には、矯正の特徴、対応するA定数および、たとえば角膜非球面性、Q値、角膜曲率測定値、角膜球面収差、角膜形状等の患者の適用基準を表示する。
レンズ容器には、好ましくは、矯正の特徴と、IOLの向きを示す図が表示される。
本発明のまた別の態様は、人間の眼内でのその向きに応じて、異なる視覚障害が矯正されるように製造された、二重目的の眼内レンズのための埋植システムに関する。
レンズは、好ましくは、埋植後のIOLの向きを示すマーカを有する。
埋植システムは、好ましくは、使い捨て埋植システムであり、特に、いわゆる装填済みシステムである。
上記の埋植システムは、好ましくは、埋植のために挿入可能な、適切なIOL容器、カセットまたはカートリッジを備える。カートリッジの挿入方向は、好ましくは、カートリッジまたはインジェクタ本体の上のマーカに関して向けられる。
本発明のさらに別の態様は、眼内レンズの製造方法に関し、この方法は、上で説明した発明性のある方法またはその好ましい実施例によって眼内レンズをモデル化するステップと、モデル化された眼内レンズに基づいて、上記眼内レンズを製造するステップを含む。
本発明の他の態様は、人間の眼の視覚障害を矯正する方法に関し、この方法は、自然の人間の水晶体を摘出するステップと、上で説明した発明性のある方法またはその好ましい実施例により、眼内レンズを、人間の眼内での眼内レンズの上記の向きの一方が人間の眼の特定の視覚障害を少なくとも部分的に矯正するようにモデル化するステップと、モデル化されたレンズに基づいてモデル化された眼内レンズを製造するステップと、矯正されるべき特定の視覚障害の矯正のために、上記の眼内レンズを特定の体勢と特定の向きで人間の眼内に埋植するステップを含む。これにより、患者と治療後の人間の眼にストレスをなるべく与えない外科的治療を行うことができる。さらに、本発明で提案される特別な多機能眼内レンズを使わずに行う治療より副作用を避けることのできる外科的治療が提案される。
本発明の別の態様は、特定のプログラミング言語で書かれたプログラム部を有するコンピュータプログラム製品に関し、このプログラム部は単独で、または当該のコンピュータプログラムの少なくとも1つの別のプログラム部と一緒に、眼内レンズ、特に、上記の眼内レンズの表面および/または上記の眼内レンズの内容部を、その屈折率に関して、人間の眼の第一の視覚障害が、人間の眼内での眼内レンズの第一の向きで少なくとも部分的に矯正され、人間の眼の第二の視覚障害が、人間の眼内での眼内レンズの第二の向きで少なくとも部分的に矯正されるようにモデル化することができる。
眼内レンズをモデル化する方法の好ましい実施例は、コンピュータプログラム製品の好ましい実施例である。
上で説明した眼内レンズをモデル化する方法の好ましい実施例の各特徴は、それ自体の実現に利点がある。もちろん、これらの各特徴を組み合わせて実現したものも有利である。同じことが、眼内レンズの好ましい実施例の特徴、埋植システムの特徴、レンズ容器の特徴、眼内レンズの製造方法の特徴、手術方法の特徴、コンピュータプログラム製品の特徴にも当てはまる。
本発明の実施例を、図面を参照しながら以下に説明する。
リョウ&ブレナン眼モデルの概略図である。 眼内レンズの実施例を示す図である。 眼内に眼内レンズが第一の体勢で第一の向きにある眼の断面図である。 眼内レンズの第一の向きの前面図である。 眼内に眼内レンズが第二の体勢で第二の向きにある眼の断面図である。 眼内レンズの第二の向きの前面図である。 眼内レンズの別の実施例の断面図である。 図7の眼内レンズが第一の体勢で第一の向きに挿入された眼の断面図である。 図7の眼内レンズが第二の体勢で第二の向きに挿入された眼の断面図である。 眼内レンズの実施例の前面図である。 眼内レンズの別の実施例の前面図である。 眼内レンズを眼に埋植するための埋植システムの実施例を示す図である。 レンズ容器の実施例を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第一の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第二の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第三の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第四の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第五の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第六の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第七の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 モデル化された眼内レンズで矯正されるべき第八の視覚障害について、周期を単位とする空間周波数に対するOTFの係数を示す図である。 眼内での体勢に応じて2種類の視覚障害を矯正できる眼内レンズをモデル化するための、設計データを記した表の一例としての第一の表である。 眼内での体勢に応じて2種類の視覚障害を矯正できる眼内レンズをモデル化するための、図22の第一の表に記載されたデータに基づく収差データを記した表の一例である。
自然の人間の眼における像形成は、眼の媒質と界面の組み合わせで実現される。屈折力を主に担う(〜75%)のは、人間の眼の最初の空気/媒質界面である角膜である。離れた物点により発せられた光線は角膜へ光軸と略平行に入る。角膜の屈折によって光線が光軸に向かって曲げられ、収束する。この光線束は前房を通過して、人間の水晶体に入る。水晶体がないと、光線は、角膜の屈折力の逆数にあたる距離で、1つの回折限界内の小さなスポットに収束する。このスポットの大きさは、入射瞳の周縁での回折効果と波長によって決定される。
残念ながら、光学系は完璧ではなく、それ自体が長年の間に発達し、最適化してきた。角膜のわずかな非球面形状は非線形のスネルの屈折法則に従って作用し、離れた点光源から発生されたすべての光線が1つのスポットに収束するとはかぎらない。瞳孔の外側部分からの光線は、軸上光線より短い距離で光軸に当たるようである。この効果は球面収差(SA)と呼ばれ、符合に関係する。瞳孔周縁部の光線が軸上光線より前に光軸に当たる場合、SAは「正」と考えられる。正の球面レンズはこの挙動を示す。瞳孔周縁部の光線が軸上光線より光軸上の遠くの地点で光軸に当たる場合、SAは「負」と考えられる。この挙動は、平坦で平行な(plano-parallel)ガラス板または負レンズに見られる。
角膜周縁部の光線は軸上光線より前に光軸に当たるため、これは光学系に正のSAを与える。この効果により、無限に鮮鋭な黄斑部への結像が阻害される。そして、ぼけたスポットで多くの光拡散が生じる。人間の眼の進化により、これに対応するために、きわめて複雑な水晶体の設計へと発達した。水晶体は、焦点距離をちょうど人間の眼の利用可能な軸長に調節するために、光学系の屈折力の残りの25%を担う。さらに、これにより、水晶体の屈折力を内部調節することで、異なる視野距離に合わせることができる。これらの明確な事実のほかに、水晶体は角膜により提供される光学誤差を補償する、人間の眼の光学的修正手段として機能する。角膜の正のSAにより誘発される過剰なスポットのぼけを回避する点で、水晶体は、角膜により誘発される量をほとんど完全に補償する、十分に調整された量の負のSAを提供する。この複合的光学系の光学性能は、その単独の要素より格段によい。この生来の補償メカニズムは、異なる視距離や、異なる照明条件による瞳孔径に対しても機能する。
人間の眼の進化の主目的は、現在、点像強度分布関数またはシュトレール比で広く公表されているような眼の理論上の光学性能を最適化することではなかった。しかしながら、光学器官は、網膜の錐体視細胞と桿体視細胞の構造の要求事項、その局所密度関数および色認知特性に完全に合致する光学性能を提供するべきである。モザイク状の錐体と桿体により、最大空間周波数75cpdでしか像を見ることができず、これより空間周波数が高いとエイリアシングが発生し、認知された像が歪むことがある。視器官の光学特性、網膜構造および視覚野の中の視覚情報の生理学的処理が、患者の知覚可能な視力を最終的に決定する。このことが、新規な眼内レンズの主要目的を説明する。IOLは、最善の知覚可能な視覚性能を得るように神経−視覚光学系をサポートするために、自然の人間の水晶体の光強度と収差特性を回復するものでなければならない。
IOLの設計環境を提供するために、特定の理論的眼モデルを利用する必要がある。その多くの基本状態は、文献からよく知られている。たとえば、グルストランドモデル、ナヴァロモデル、デュベルマンモデル等の基本状態である。
上記の理論的な眼モデルの基本状態および発表されている眼モデルの大多数は、人間の眼の簡易化された眼構造をもとにしている。角膜は1つの表面要素に省略化され、視軸は眼の対称軸と完全に一致すると仮定されている。このような省略モデルは、実際に測定可能な性能を反映させるために、ある程度の非球面性を適用した単独の面を有する角膜モデルを使って人間の視器官の光学系と収差を模倣しようとしている。出願人は、上記の眼モデルが所定の仮定に基づく測定結果に適合することを証明した。しかしながら、これらの眼モデルは、人間の眼の生体構造の詳細を、多かれ少なかれ意図的に考慮していない。現在文献に記載されているもののうち最も包括的な眼モデルは、リョウとブレナンにより説明されたものである。
図1に示すように、リョウ&ブレナン眼モデルは、眼の生体構造を非常に密接に表しており、人間の眼の光学特性と収差特性を保持している。この眼モデルは、前方界面1と後方界面2を有する非球面角膜と、非球面屈折率分布レンズモデルを含む。前房を3、硝子体を4、網膜を5とする。個体群の大多数について、黄斑部7に焦光するために、視軸が眼の対称軸6に関して5°傾転されることを考慮する。さらに、瞳孔8は、個体群の大多数について、鼻方向9に0.5mmだけわずかに偏心されている。球面収差の量は、正の球面収差を提供する非球面角膜により相殺される。2つの屈折率分布を有する構成要素2,10,11を有する非球面の自然の水晶体のモデルは、角膜による収差を補償するために、負のSAを提供する。さらに、虹彩面12と後方角膜表面13が図1に示されている。全体として、この光学ユニットは測定されたデータと等しい若干の正の球面を提供し、焦点深度を増大させるのに役立つ。その結果、他の模型眼と異なり、リョウ&ブレナン眼モデルは回転対称ではない。
眼内レンズの開発のある実施形態には、以下に示す表面リストで説明されるリョウ&ブレナン眼モデルに基づく眼モデルが関わる。
Figure 2010094515
本発明の好ましい実施例は、リョウ&ブレナン眼モデルの基本状態を幾何学的および/または形状的に改変し、これを新しい、モデル化された眼内レンズの前面もしくは後面またはその両方に当てはめたものに基づく。したがって、1つの数理モデル、つまりリョウ&ブレナンモデルの2つの異なる仕様に基づいてモデル化工程を実行する。改変されたIOL表面は、球面形状から回転対称的にずれる。この手順は一般に、光学表面の非球面化として理解される。
IOLの埋植方向は、無水晶体眼におけるIOLの光学性能に影響を与える。非球面レンズの大多数が、光学的な像質の劣化の原因となる。これは、非球面修正と眼モデルの光学特性の不一致による。したがって、IOLは、メーカによるガイドラインに従って埋植することが推奨される。逆転させた非球面IOLが光路全体の光学性能の劣化の原因になる場合、これは画像形成システムの光路長の不一致を引き起こすと結論付けることができる。像を形成する収束波面は収差を生じ、球面形状から逸脱する。光路全体に両方の角膜表面、両方のIOL表面および埋植媒質が含まれるため、表面によって収差のバランスをとることができなくなる。バランスのとれた、収差のない光学系を回復するためには角膜形状をどのような形にする必要があるかという重要な問題から、本発明の範囲をよりよく理解することができる。光学的演算により、逆転された非球面IOLを含む光学系が球面収差量ゼロでバランスがとれるような角膜の理論的形状が得られる。つまり、平均的な角膜形状に基づく非対称非球面IOLの場合、逆向きに埋植すると、その光学系が再び表面収差に関して十分に補正されるような非平均的な角膜形状が存在する。
この結論はさらに、本発明の範囲において、たとえば、1つの埋植方向で平均的個体群の角膜形状に役立て、かつ、近視矯正のためのLASIKを受けた後の平均等、その他の十分に定義された角膜形状群に役立てるためには、非球面IOLをどのような形状にしなければならないかという問題へと拡張される。本発明は、手術時に埋植方向を選択することによって異なる角膜形状群に役立てるには、非対称非球面IOLをどのように設計しなければならないかを教示する。
すべての患者において正のSAを打ち消すことは臨床的に非常に困難であり、これは、患者の眼の形状にばらつきがあり、眼モデルのそれと異なるからである。また、これと同じ理由で、すべての場合において角膜SAを完全に保存すること(「無収差戦略(Aberration free strategy)」)も困難である。したがって、この逆転可能なIOLには2つの傾向、つまり、一方の向きは収差ゼロに近く、もう一方はある程度の正のSA補償を実現するという傾向がある。
別の態様において、IOLには、近視矯正手術後の眼(平坦な角膜、偏平な非球面性)の光学的な質を最適化することを目的とした向きがある。反対の向きは、遠視矯正手術後の眼(急峻な角膜、超偏長な非球面性)のためのものである。この状態は、中央の円錐角膜においても興味深いであろう。
新規な非球面IOLは、埋植方向に応じて2つの異なる(十分に定義された)量の球面収差を生じるように設計される。IOLは、埋植方向に応じたELP(有効レンズ位置)のずれを回避するために、足部の中心に関して対称に設計される。これをサポートするために、足部の角度を5°未満、好ましくはゼロ度とする。
リョウ&ブレナン眼モデルが改変され、本発明によるレンズは、向きを逆転させるだけで、2つの異なる状況での視力およびコントラスト視覚性能を改善できる。こうすることで、たとえば、リョウ&ブレナン眼モデル以外の異なる眼生物計測データ群、または平均的生物計測データとの組み合わせを矯正できる1枚のレンズが実現される。本発明を応用する1つの目的物は、平均的な欧米型角膜にとって最良の視覚性能を有し、逆の向きにすることにより、アジア型角膜にとって最良の視覚性能を有するレンズであってもよい。これによって、両方の市場に向けて2種類のレンズを作製する必要がなくなるため、レンズメーカにとって有利であり、両方の民族集合という幅広いグループに対して、ほとんど完璧な解決策が提供される。
本発明を応用する別の目的物は、屈折矯正手術治療を受けた眼の一般的な生物計測データについて修正されるレンズであってもよい。レンズの第一の向きは、平均的なリョウ&ブレナン眼モデルの球面収差を補正するために使用できる。同じレンズの第二の向きは、近視または遠視の屈折矯正手術治療後の一般的な球面収差を修正する。同じ意味において、同一のレンズの向きを変えることにより、近視と遠視を矯正するLASIK手術治療後の一般的な眼の生物計測データを有する眼を矯正できる。この種のレンズは、先行技術による方法で設計されたIOLでは非常に低い視機能しか達成できない上記の患者集合にとって、はるかによい光学性能を提供する。
本発明を応用する他の目的物は、平均的な角膜モデル以外の異なる患者に良好な視覚性能を提供するために、異なる角膜半径に応じて修正されるレンズであってもよい。この場合も、一方の向きは非常に急峻な角膜形状の是正に使用され、他方の向きは非常に平坦な角膜形状の是正に使用される。この種のIOLを用いることにより、平均的でない角膜を有する患者集合にとっての光学性能に有利な、よりカスタマイズされたIOL埋植が可能となる。
もちろん、上記のほかにも、本発明には数多くの応用分野がある。本発明の基本的範囲は、眼科の分野において、その向きに応じて2種類の矯正機能を有するように目的的に設計される1つの特別なレンズを提供することである。
上記の光学性能と能力を実現する非球面形状は、次式で表すことができる。
Figure 2010094515
ただし、
Figure 2010094515
(曲率=1/ベースカーブの曲率半径)
r=独立可変数、光軸を中心とした半径
Q=円錐定数
=n次の多項式係数
回転対称の多項式非球面表面は、球面との偏差(または円錐曲線で表される非球面)の多項式展開によって表される。偶数次非球面モデルは、非球面性を表すのに動径座標の偶数乗だけを用いる。このモデルは、ベースカーブの曲率半径と円錐定数を含む。
多項式展開の係数、ベースカーブの曲率半径は、特定のメリット関数の最小二乗フィッティングを満足するように数値的に決定される。このメリット関数は、上述のような外科的統計値を説明するもので、光学性能について最小化される。
モデル化され、製造された眼内レンズ14のレイアウトの一例を図2に示す。レンズ14は、少なくとも2つの屈折面16,17を有する光学部14を備える。屈折面16,17のうちの少なくとも一方は、非球面形状である。このレンズは、足部18を使って、空の水晶体嚢または毛様溝のいずれかに設置し、中心に合わせることができる。足部の設計は、先行技術においてよく説明されるような板状足部設計か、あるいはCループ方式の変形とすることができる。足部の各種の形状は先行技術から広く知られており、本発明の範囲内に含まれる。
レンズは、軟質の折り曲げ可能な親水性または疎水性アクリレート、疎水性化等の表面改質を施した親水性アクリレート、ハイドロゲル、シリコン、コラマまたはその他、IOL埋植に好適な軟質で透明な生体適応素材で作製することができる。
1枚のレンズ14は、少なくとも2種類の視覚障害を少なくとも部分的に矯正できるような方法でモデル化される。1つの視覚障害は、レンズ14が眼内で第一の向きに設置されたときに矯正され、第二の視覚障害は、レンズ14が眼内で第二の向きに設置されたときに矯正される。第一の向きに設置された場合、表面16が眼の角膜に面するため、表面17より角膜に近くなり、したがってレンズ14の前面となる。第二の向きに設置されると、表面17が目の角膜に面するため、表面16より角膜に近くなり、したがって、表面17が前面となる。
レンズ14のモデル化には、コンピュータプログラムを使用することが好ましい。レンズ14のモデル化は相互作用的工程である。まず、レンズ14で矯正すべき2種類の視覚障害を決定する。次に、2つの数理モデルを選択し、両方の視覚障害がそのモデルによって定義されるような方法でこれらを変更する。本発明の実施例では、リョウ&ブレナンモデルがその基本状態で選択され、このモデル化工程でモデル化されるレンズ14で矯正すべき視覚障害を定義するために、この基本状態の2種類の異なる仕様を作り、これを基礎とする。したがって、2つの異なるコンフィギュレーションが定義される。次に、別のステップで、これらのコンフィギュレーションのパラメータの結合または連結を行う。パラメータの結合は、1つのコンフィギュレーションの中のパラメータを変更すると、他方のコンフィギュレーションにおける結合されたパラメータも変更され、特に同じ方法で変更されるように定められる。したがって、第一のコンフィギュレーションのレンズの前面の形状が変更されると、第二のコンフィギュレーションの前面の形状も変更される。第二のコンフィギュレーションの前面は第一のコンフィギュレーションの後面であり、第一のコンフィギュレーションの前面は、第二のコンフィギュレーションの後面である。
さらに、メリット関数が定義され、これに基づいて、モデル化工程の結果が定義された矯正限界を満たすか否かを評価する。これが容認可能な程度に満足されなければ、工程が続けられ、したがって1つのコンフィギュレーションにおけるレンズのパラメータが変更される。他方のコンフィギュレーションのパラメータと結合されているため、他方のコンフィギュレーションのこれらのパラメータも自動的に変更される。相互作用的工程は、矯正されるべき両方の視覚障害が、基本となる異なるモデルの仕様に関して0.95を超えるシュトレール比で矯正されるまで継続される。
図3には、人間の眼19の断面図を示す。この概略図において、レンズ14は眼19の中に、第一の体勢で第一の向きに埋植されている。この第一の向きでは、表面16が角膜20に面する。レンズ14が眼19の中でこの向きにあるとき、レンズ14により矯正可能な第一の視覚障害に対応する眼19の特定の視覚障害が少なくとも部分的に、特に0.95を超えるシュトレール比で矯正される。眼の視軸を21で示す。さらに、虹彩22、黄斑部24、視神経頭25および網膜26が示されている。非球面IOL14は、方向マーカ27が角膜20に向かう状態に向けられる。この実施例において、モデル化工程ではレンズ14を得るために表面16,17の形状だけが変更され、レンズ14はモデル化されたレンズに基づいて製造される。したがって、レンズ14の内容部28は屈折率分布を持たない。また、表面16,17を変更する代わりに、またはそれに加えて、レンズ14の内容部28を、屈折率分布を持たせてモデル化することも可能である。さらに、レンズ14は、眼19の中で第一の体勢23aにある。
外科医から見ると、マーカ29は、図4に示されるように、埋植方向30を指し示す。
本発明のアイディアを変えることなく、簡略化のために、IOL 14の足部、水晶体嚢および毛様溝領域は描かれていない。
図5によると、図2,3と同一形状のIOL 14は、異なる患者の眼31の中に逆向き、つまり第二の向きで好ましく埋植することができる。眼31の中でのこの第二の向きでは、表面17が角膜20に面する。この向きにあると、第二の視覚障害が、特に0.95を超えるシュトレール比で矯正される。レンズ14は、眼31の中で第二の体勢23bにある。
図6において、外科医から見ると、マーカ29は逆の埋植方向32を指し示す。
図7に、別の実施例のレンズ33の断面図を示す。レンズ33により、人間の眼内でのその向きに応じて、少なくとも2種類の視覚障害が矯正される。この実施例のレンズ33は、平坦表面34と非球面表面35を有する。足部36,37は、レンズ赤道面である垂直線Vに関して角度がつけられている。特に、足部36,37の角度付けは、非球面表面35に向けられている。角度は10°未満である。図7には、光軸38とレンズ33の両方の主面39,40も描かれている。
図8の断面図では、レンズ33が眼41の中において第一の体勢で第一の向きに埋植されている。つまり、表面35が表面34より角膜20に近い。これは、第一の向きを定義する。さらに、足部36,37に角度が付けられていることから、この第一の向きで、レンズ33は、足部36,37の角度に応じて人間の眼41の中における第一の体勢を有する。図8からわかるように、この第一の体勢では主面40が後部主面の位置42と一致する。
図9の断面図では、レンズ33が眼41の中において第二の体勢で第二の向きに埋植されている。つまり、表面34が表面35より角膜20に近い。これは、第二の向きを定義する。さらに、足部36,37に角度が付けられていることから、この第二の向きで、レンズ33は、足部36,37の角度に応じて人間の眼41の中における第二の体勢を有する。図9からわかるように、この第二の体勢では主面39が後部主面の位置42と一致する。
足部36,37の角度により、主面のずれが補償される。
IOL 14または33は、外科医に対して眼内の向きを指し示す手段、たとえばマーカを備える。図10,11は、1枚のIOL 14に適用可能なマーカの例43,44を示す。マーカ43または44と同じものを、レンズ33にも利用できる。
IOL 33を逆転させることにより、後部主面は網膜結像面に関して若干ずれることがある。主面のわずかなずれにより、光学系の全体的パワーが変わり、患者にとって好ましくない屈折誤差を生じさせることがある。このような予測可能なずれは、埋植方向に応じて2つの異なるA定数を定義することによって補償される。これらのA定数は、レンズのパッケージまたはレンズ容器の上に明確に表示される。
図13は、レンズを安全に出荷できるようにレンズを収容する二重目的IOLレンズ容器45の例を示す。容器45のラベリング部は、少なくとも2つの部分46,51に分割される。これらの部分には、2つの可能な埋植態様に関する具体的な情報が書かれている。たとえば、A定数27,28、矯正特性の文字による説明49,50、手術中に外科医から見える向きマーカを示す図等である。
異なる実施例では、IOLの非対称性による主面のずれは、足部を意図的にわずかに角度付けすることによって補償できる。この角度付けにより、眼内のIOLの有効な体勢が目的的に変化される。この変化が主面のずれを補償する。このような特徴を利用することにより、本発明による新規なIOLには、A定数を2つではなく1つだけ表示することができる。
別の実施例において、二重目的IOLは、装填済みのインジェクタまたは挿入器52の一部として出荷してもよい。図12は、このような器具52の主な構成部品を示す。レンズ14がインジェクタのレンズ保管室53の中、または挿入可能なカートリッジもしくはカセット53の中に収容される。レンズ容器53の本体またはインジェクタ本体54には、挿入中にIOL 14の向きを示すマーカ55がある。プランジャ56、本体54、容器53、挿入路57を備えるインジェクタ52は、予測可能な回転方向でIOL 14を繰返し排出できるように設計されている。所望の埋植方向に応じて、インジェクタを180°回転させ、反対の状態58でのIOL 14の挿入をサポートすることができる。インジェクタ52は、使い捨ての充填済みシステムであっても、カートリッジポートを備える再殺菌可能なシステムであってもよい。
図14−21には、周期を単位とする空間周波数に対するOTF(光学伝達関数)の係数を示すグラフが描かれている。曲線は、モデル化されたレンズによる視覚障害矯正の程度を示す。この矯正の質を比較するために、理論的屈折限界を表す曲線も示されている。
空間周波数はパターンサイズの程度である。周波数が大きいほど、パターンは小さくなる。これに対し、OTFの係数は結像の質の程度、つまり、達成されるコントラストの程度である。
図14−21において、曲線Aは物理的限界を示す。したがって、これは基本となる光学系に関する最適な結像を示す。この光学系の回折限界は、曲線Aで特徴付けられる。図14−21の曲線Bは光学系、特にモデル化された眼内レンズを含む模型眼による結像の質を示す。したがって、接線方向断面と矢状断面が示される。これらの断面は、紙平面とこれに垂直な平面における光学系の結像の質を提供する。軸束(axis bundle)が1つしか示されていないことから、両曲線は重なる。
したがって、これらのグラフは異なるパターンサイズでの光学系の結像レベル(imaging grade)を示す。曲線は、特定のパターンサイズがその光学系によってどの程度のコントラストで結像されるかを示す。これに関して、高周波数の小さな構造またはパターンが、コントラストが高く、良好な結像の質を示す。
ある実施例において、平均的な欧米型角膜にとって最良の視覚性能を有し、逆の向きにするとアジア型角膜にとって最良の視覚性能を有するIOLが製造される。
別の実施例は、屈折矯正手術治療を受けた眼の一般的な生物計測データに合わせて修正されるIOLを包含する。レンズの第一の向きは、平均的なリョウ&ブレナン模型眼の球面収差を補正するのに用いられる。第二のレンズの向きは、屈折矯正手術治療後の近視または遠視眼の一般的な球面収差を補正する。
また別の実施例において、向きの違いにより、近視と遠視の矯正のための屈折矯正手術治療を受けた後の一般的な眼の生物計測データを有する眼を矯正するIOLが製造される。
他の実施例では、角膜半径が異なる眼を矯正するIOLが提供される。第一の向きは非常に急峻な角膜形状の是正に使用され、もう一方の向きは非常に平坦な角膜形状の是正に使用される。
好ましくは、逆転可能なIOlには2つの傾向がある。つまり、一方の向きはゼロ収差挙動に近く、もう一方は正のSAをある程度補償する。
眼モデルの全バリエーションの原形態は、リョウ&ブレナン眼モデルである。
角膜形状、特に前面は、生成しようとする光学性能にとって、水晶体またはIOL以外でもっとも重要な要素である。したがって、いくつかの一般的な生物計測データ群のシミュレーションを行う際には、角膜の前面が変更の対象となる。角膜モデルの前提は、各例に関ついての角膜前面の半径Rcorneaと角膜前面の円錐定数Qcorneaによって表される。角膜後面の半径は、前面から一定のグルストランド係数だけ変更される。つまり、Rcornea BACK=Rcornea 1.2140625である。
最良の合焦を実現するために、目の長さ、特に硝子体の長さが調整される。最良の合焦は、各例に関して、網膜における空間周波数範囲についてできるだけ高いコントラスト値(回折MTF)が得られるように最適化される。重要な前提は、眼の入射瞳孔径が6.0mmに設定されていることである。ある眼モデルの光学性能を説明するために、網膜における0から312 LP/mmの空間周波数範囲についてのコントラスト値を示す。
図14,15には、眼内での向きに応じて、人間の眼の第一の視覚障害と定義する欧米型角膜を矯正でき、人間の眼の第二の視覚障害と定義するアジア型角膜を矯正できる眼内レンズをモデル化する例を示す。平均的な欧米型角膜(Rcornea=7.77, Qcornea=−0.18のリョウ&ブレナン眼モデルで表される)にとって最良の視覚性能を有し、逆の向きにすると、平均的なアジア型角膜(Rcornea=7.63,Qcornea=−0.114)にとって最良の視覚性能を有するIOLが得られる。
図16,17に示す別の例においては、一般的な屈折矯正手術治療後の眼の一般的な生体計測データを有する眼を矯正するIOLがモデル化され、システム内に組み込まれる。レンズの第一の向きは、平均的なリョウ&ブレナン眼(Rcornea=7.77, Qcornea=−0.18)の球面収差の補正に用いられる。レンズは、第二の向きにあると、屈折矯正手術治療後の近視眼(Rcornea=8.2,Qcornea=+0.5)または遠視(Rcornea=7.5,Qcornea=−0.5)の一般的な球面収差を補正する。図16には、平均的な「健常の」角膜の場合の向きが示されている。図17には、近視屈折矯正手術後の一般的な角膜の場合の方向が示されている。
図18,19においては、向きを変えることにより、近視(図19)と遠視(図18)の屈折矯正手術治療後の眼の一般的な生物計測データを有する眼を矯正するIOLがモデル化され、システムに組み込まれる。
角膜の半径(角膜曲率)の違いによる光学的影響を補正するIOLが、図20,21に示されている。第一の向きは、非常に急峻な角膜形状(Rcornea=7.4,Qcornea=−0.18)(図20)の修正に使用され、もう一方の向きは、非常に平坦な角膜形状(Rcornea=8.4,Qcornea=−0.18)(図21)の修正に使用される。
図22,23に、図14−21の例による設計データ(図22)と球面収差(図23)の表を示す。
14,33 眼内レンズ、15 光学部、16,17 屈折面、18,36,37 足部、19,31,41 人眼、20 角膜、27 方向マーカ、28 レンズ内容部、29,43,44 マーカ、34 レンズ平坦表面、35 レンズ非球面表面、39,40 レンズ主面、45 レンズ容器、52 インジェクタ(レンズ挿入器)、53 レンズ容器、54 インジェクタ本体、55 マーカ、56 プランジャ、57 挿入路。

Claims (15)

  1. 眼内レンズをモデル化するための方法であって、
    前記眼内レンズの少なくとも1つの表面および/または前記眼内レンズの内容部の形状が、その屈折効果に関して、人間の眼内での第一の向きで前記眼内レンズが人間の眼の第一の視覚障害を少なくとも部分的に矯正し、人間の眼内での第二の向きで前記眼内レンズが人間の眼の第二の視覚障害を少なくとも部分的に矯正するように構成されることを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    人間の眼の少なくとも1つの数理モデルが、前記眼内レンズのモデル化の基礎として、人間の眼内の前記眼内レンズの向きに応じて前記第一または前記第二の視覚障害のいずれかを矯正するように前記眼内レンズを前記数理モデルに挿入するという方法によって用いられることを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、
    数理モデルの2つの異なる仕様であって、前記第一の仕様が前記第一の視覚障害を特徴付け、前記第二の仕様が前記第二の視覚障害を特徴付ける仕様が、前記眼内レンズのモデル化の基礎として用いられることを特徴とする方法。
  4. 請求項1または2に記載の方法であって、
    前記2つの異なる数理モデルであって、前記第一の数理モデルが前記第一の視覚障害を特徴付け、前記第二の数理モデルが前記第二の視覚障害を特徴付ける数理モデルが、前記眼内レンズのモデル化の基礎として用いられることを特徴とする方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の方法であって、
    前記モデル化により、人間の眼内の第一の向きで収差補正用レンズとして機能する眼内レンズが生成されることを特徴とする方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の方法であって、
    前記モデル化により、人間の眼内の第二の向きで収差補正済みレンズとして機能する眼内レンズが生成されることを特徴とする方法。
  7. 請求項2に記載の方法であって、
    前記少なくとも1つの数理モデルは、角膜の非球面形状および/または前記模型眼の屈折媒質の屈折率分布および/または自然の人間の水晶体の非球面形状により特徴付けられることを特徴とする方法。
  8. 請求項2に記載の方法であって、
    前記数理モデルはリョウ&ブレナンモデルであることを特徴とする方法。
  9. 請求項2に記載の方法であって、
    前記モデル化ステップは、モデル化の基礎として用いられた前記数理モデルまたは数理モデルの前記仕様を特徴付ける少なくとも1つのパラメータの結合を定義するステップを含み、1つのモデルまたは1つの仕様の少なくとも1つのパラメータを変更すると、もう一方のモデルまたはもう一方の仕様の1つのパラメータが、前記眼内レンズの前記表面の形状および/または前記内容部が前記第一および前記第二の視覚障害を修正するために変更されるように変更されることを特徴とする方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の方法であって、
    前記眼内レンズの前記表面の少なくとも1つが非球面表面として設計されることを特徴とする方法。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
    前記眼内レンズをモデル化するステップは、相互作用的工程であることを特徴とする方法。
  12. 請求項1から10のいずれかに記載の方法であって、
    前記眼内レンズの前記表面の少なくとも1つおよび/または前記眼内レンズの前記内容部が、その屈折効果に関して、前記第一と前記第二の視覚障害がそれぞれ、基礎として使用された前記数理モデルまたは前記数理モデルの仕様から少なくとも0.5、特に少なくとも0.95のシュトレール比で修正されるように構成されることを特徴とする方法。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載の方法であって、
    前記眼内レンズによって修正されるべき前記視覚障害を特徴付けるための基礎として用いられた前記数理モデルまたは数理モデルの前記仕様の個別のパラメータが変更されることを特徴とする方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    特定の視覚障害を特徴付けるための角膜半径および/または角膜曲率および/または円錐定数および/または多項式非球面の少なくとも1つの係数が変更されることを特徴とする方法。
  15. 第一の表面と第二の表面と内容部を有する眼内レンズであって、
    前記眼内レンズの前記表面および/または前記内容部は、その屈折効果に関して、人間の眼内での前記眼内レンズの第一の向きで、眼の第一の視覚障害が少なくとも部分的に矯正され、人間の眼内での前記眼内レンズの第二の向きで、眼の第二の視覚障害が少なくとも部分的に矯正されるように構成されることを特徴とする眼内レンズ。
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