JP2010092397A - 個人認証装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非接触で指静脈の広い範囲を撮像して個人認証を行う、全体が小型・薄型で、盗撮等に悪用しにくい個人認証装置を提供する。
【解決手段】撮像素子6を初期モードで動作させ隣接個眼像を撮像する。視差検出判定部23で、撮像された隣接個眼像間の視差を検出し、該視差が所定範囲内であるならばレンズアレイ3の視野内の所定距離範囲内に被写体が存在すると判定し、駆動部9でLED8を発光させるとともに、撮像素子6を複眼像入力モードで一時的に動作させて静脈パターンの複眼像を撮像させる。再構成処理部32で、その複眼像から、その個眼像間の視差を利用して高解像の単一画像を再構成する。この単一画像は、認証時は認証処理部36へ送られ、登録時はデータ登録部35へ送られる。所定距離範囲内に被写体が無い状態では高解像の単一画像を生成しないため、盗撮等への悪用を防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】撮像素子6を初期モードで動作させ隣接個眼像を撮像する。視差検出判定部23で、撮像された隣接個眼像間の視差を検出し、該視差が所定範囲内であるならばレンズアレイ3の視野内の所定距離範囲内に被写体が存在すると判定し、駆動部9でLED8を発光させるとともに、撮像素子6を複眼像入力モードで一時的に動作させて静脈パターンの複眼像を撮像させる。再構成処理部32で、その複眼像から、その個眼像間の視差を利用して高解像の単一画像を再構成する。この単一画像は、認証時は認証処理部36へ送られ、登録時はデータ登録部35へ送られる。所定距離範囲内に被写体が無い状態では高解像の単一画像を生成しないため、盗撮等への悪用を防止できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、指静脈などを利用する個人認証装置に関する。
近年、携帯電話やノートパソコンなど、さまざまな情報機器に個人認証装置の搭載が求められるようになっている。そして、それら情報機器の小型・軽量化が進む中、それに搭載する個人認証装置にも更なる小型・薄型化が求められている。
指静脈などの生体情報を利用する個人認証装置として、例えば特許文献1乃至4に開示されているようなものがある。
なお、特許文献5には、単眼光学系により取得した複数枚の画像において、光学系と直交した面内での被写体とカメラとの相対位置ずれを検出し、この相対位置ずれを利用して高解像度の被写体画像を再構成する超解像度処理が開示されている。
特許文献1のような装置は、単眼の光学系を用いるので光学結像関係に基づいて被写体距離や撮像距離が制限されるため、装置に接近した被写体を撮像可能にしつつ装置を薄型・小型化するには限界があった。
特許文献2の装置では、レンズアレイを用いてその光学的位置関係を規定することにより、装置の薄型化を図り、かつ、接近した被写体を撮像可能である。しかし、レンズとセンサの画素とが一対一の関係にあるため、観察したい被写体のサイズとほぼ同じサイズの撮像面積が必要になる。静脈認証では、認証精度確保のためにできるだけ広い被写体領域から多くの血管パターンを撮像したいとする要請があるため、大きな撮像面積を有する撮像素子が必要となり、コスト高であるとともに装置の大型化を招く。
特許文献3の装置のように、生体を装置に接触させない場合、被写体までの距離が確保できるため、装置の小型化は比較的容易である。しかし、静脈パターンの抽出のためには、自然光に含まれた近赤外光あるいは被写体に照明した近赤外光を利用するのが効果的で、そのため静脈パターンを検出するための装置では、撮像装置に一般的に装着されている近赤外光カットフィルタを除去する必要がある。そのため、このような装置を携帯電話やノートパソコンのような携帯機器に搭載した場合に、暗視による盗撮等に悪用される心配がある。
本発明は、以上の諸点に鑑み、携帯電話やノートパソコン等の情報機器に搭載する用途に好適な改良された個人認証装置を提供することを目的とする。より具体的には、撮像面積の小さな安価な撮像素子を用いて被写体の広い範囲を撮像可能であって、全体を容易に小型・薄型化することが可能であり、盗撮等に悪用されにくい構成の個人認証装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、
複数のレンズをアレイ配列してなるレンズアレイ、及び、該レンズアレイの像面側に設けられた撮像素子を含み、該レンズアレイの視野内にある生体と非接触で、該生体の内部の被写体の複眼像を前記撮像素子で撮像するための撮像系と、
前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否か判断する被写体有無検知手段と、
前記被写体有無検知手段により前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断されるときにのみ、前記撮像系の撮像素子により撮像された被写体の複眼像から、その個眼像間の視差を利用して単一画像を再構成する処理手段と、
を有し、前記処理手段により再構成された単一画像に基づいて個人認証を行う個人認証装置である。
複数のレンズをアレイ配列してなるレンズアレイ、及び、該レンズアレイの像面側に設けられた撮像素子を含み、該レンズアレイの視野内にある生体と非接触で、該生体の内部の被写体の複眼像を前記撮像素子で撮像するための撮像系と、
前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否か判断する被写体有無検知手段と、
前記被写体有無検知手段により前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断されるときにのみ、前記撮像系の撮像素子により撮像された被写体の複眼像から、その個眼像間の視差を利用して単一画像を再構成する処理手段と、
を有し、前記処理手段により再構成された単一画像に基づいて個人認証を行う個人認証装置である。
このように生体に非接触で撮像する構成の撮像系では必要な被写体距離をとることができるため、撮像面積の小さな安価な撮像素子を用い、広い被写体領域の撮像が可能で小型・薄型の撮像系を低コストで実現することができ、したがって装置全体を容易に小型・薄型化することができる。撮像素子により撮像された複眼像から高解像の単一画像が再構成されるのは、レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断されるときにのみであり、レンズアレイの視野内に被写体が存在しないような状態では、そのような高解像の画像は取得されないため、当該装置は盗撮等に悪用されにくい。
請求項2の発明は、請求項1の個人認証装置において、前記被写体有無検知手段は、前記撮像系の撮像素子により撮像された、前記レンズアレイの少なくとも2つのレンズによる像の間の視差を検出し、該視差が所定範囲内であるときに前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断するものであることを特徴とする。このような撮像系を利用する構成の被写体有無検知手段とすることにより、個人認証装置のコストを削減することができる。
請求項3の発明は、請求項2の個人認証装置において、前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否かの判断のための前記撮像系の撮像素子による撮像は、前記撮像素子の撮像面の一部領域の画素のみ利用して行わせることを特徴とする。このように一部領域の画素のみ利用した撮像は高速動作が可能であり消費電力も減らすことができる。消費電力を削減できることは、個人認証装置をバッテリ駆動の携帯電話等の携帯機器に搭載した場合に大きなメリットである。
請求項4の発明は、請求項1の個人認証装置において、前記レンズアレイの視野内に存在する生体に光を照射するための光源を有し、前記被写体有無検知手段により前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断されるときにのみ、前記光源を発光させることを特徴とする。請求項5の発明は光源として近赤外光を発する光源を用いることを特徴とする。このように、レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するときにのみ光源により生体に近赤外光等を照射することにより、より鮮明な被写体像を取得することができ、それ以外のときには光源を発光させず電力消費を減らすことができる。
請求項6の発明は、請求項4の個人認証装置において、前記撮像系の撮像素子より被写体側に、生体からの正反射光を除去するための偏光選択手段を有することを特徴とする。このように構成することにより、生体の正反射によるハレーションが起こった場合においても、その影響を除去もしくは軽減し、コントラストの高い被写体画像を得て高精度の認証が可能となる。
請求項7の発明は、請求項1の個人認証装置において、前記処理手段により再構成された単一画像又は再構成される前の複眼像の各個眼像に対し、光学倍率変動による像サイズ変化を補償するための像の拡大又は縮小処理を施す手段をさらに備えることを特徴とする。生体を固定することなく、非接触で被写体を撮像する構成では、被写体距離のある程度の変動を許容する必要があるが、被写体距離が変動すると光学倍率が変動し、複眼像を構成する各個眼像における被写体像のサイズ、あるいは、複眼像より再構成された単一画像における被写体像のサイズも変化する。このような光学倍率変動による像サイズ変化を補償することにより、被写体距離変動により光学倍率が変動しても高精度の個人認証が可能となる。
本発明によれば、携帯電話やノートパソコン等の情報機器に搭載する用途に好適な改良された個人認証装置を提供することができる。
図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。ここで説明する個人認証装置は、指の静脈の情報に基づいて認証を行うものであるが、他の生体部位、例えば掌や手の甲の静脈情報を同様に利用して個人認証を行い得ることはいうまでもない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。この個人認証装置は、撮像系100と処理系200とから構成されている。撮像系100は撮像ユニットとして一体化されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。この個人認証装置は、撮像系100と処理系200とから構成されている。撮像系100は撮像ユニットとして一体化されている。
図1において、1は指を表し、撮像系100から離して空中に浮かした状態を指先方向から観察している。2は指内部に存在する血管を表し、被写体となる。撮像系200は、指1と非接触で、指内部の血管パターンを撮像することを目的とするものである。
撮像系100について説明する。3は被写体像を結像させるためのレンズアレイであり、複数のレンズがレンズ光軸と略直交する平面内に二次元的にアレイ配置されてなるものである。レンズアレイレンズ3の各レンズとして、球面単レンズ、非球面単レンズ、両面とも球面のレンズ、あるいは両面とも非球面のレンズを用いることができ、さらには、フレネルレンズや回折型レンズを用いることもできる。2aは、レンズアレイ3を構成する1個のレンズによる観察領域を表しており、2bは隣接する2個のレンズが共有する観察領域を表している(観察領域及び共有領域については後述する)。4は、レンズアレイ3の各レンズを通過する光線の像面上でのクロストークを防止し、ゴーストやフレアなどのノイズ光を抑制するための遮光部材である。6はレンズアレイ3による像を撮像するための撮像素子である。
図2は、レンズアレイ3と遮光部材4からなる光学系を上方から、すなわち被写体側から観察した図である。図2に見られるように、遮光部材4は平板にレンズアレイ3を構成するレンズに対応させて矩形の孔をあけたもので、それら矩形孔の一辺の長さはレンズの有効径と略一致するか、それより若干大きくなっている。それら矩形孔は撮像素子6の撮像面まで伸びており、矩形孔のサイズが撮像される1個のレンズによる像(個眼像)のサイズとなる。レンズアレイ3を構成する各レンズは円形であるので、被写体からの光がレンズの有効範囲と矩形孔との隙間から撮像面に入射することを防止するために、レンズアレイの撮像側面のレンズ有効径以外の部分に、被写体側から入射する光を反射する(あるいは、少なくとも撮像面側へは透過させない)膜5が蒸着されている。この膜5は、例えば、レンズアレイ3に蒸着した金属薄膜や、不透明な樹脂を印刷した膜とすることができる。遮光部材4と膜5とによって、隣接レンズ間での光線のクロストークなどによるフレア光が除去される。
レンズアレイ3は透明の樹脂やガラスを材料として、リフロー法や面積階調マスク法、研磨法などの加工法により、あるいは、それらの加工法で作製した型を用いた成形加工法などにより作製することができる。遮光部材4は樹脂、ガラス、金属などを材料とした平板に、エッチングやドリル加工、レーザ加工等で孔をあけることにより作られる。エッチングやレーザ加工を用いると、遮光部材4のレンズ光軸方向への高さに制約がある場合があるが、その場合は薄く製作した遮光部材を複数枚、レンズ光軸方向に重ねて接着することにより必要な高さを確保すればよい。遮光部材4の材料に不透明材料を用いたり、透明材料にコーティングを施したりすることにより、光の透過や反射を抑制できる。
レンズアレイ3による像を撮像するための撮像素子6は、撮像面に多数の画素6aが二次元的にアレイ配置されたものである。この撮像素子として一般的なCMOS撮像素子やCCD撮像素子を用いることができる。このような撮像素子には撮像面を保護するためのカバーガラスが設置されているものがあるが、ここではカバーガラスがないものが用いられている。カバーガラスが着いた撮像素子を用いてもよいが、その場合は、カバーガラスによる光の屈折の影響を考慮して、レンズアレイの形状・位置を設計する必要がある。また、撮像素子にはエイリアジング防止のための光学的なローパスフィルタが撮像面付近に設けられたものがあるが、ここではローパスフィルタは設けていないものとする。
レンズアレイ3と遮光部材4は筐体7により一体的に保持されている。撮像素子6の撮像面がカバーガラスなどで保護されている場合は、遮光部材4をそのカバーガラス面などに接触させて配置してもよい。図1の構成では、レンズアレイ3と筐体7とにより撮像面が密封されるため、外部よりゴミ等が混入して撮像面に付着することはない。撮像面の保護などの理由で遮光部材4を撮像面からわずかに浮かせた場合は、遮光部材4の底面と撮像面との間の空間を光が通過して光線のクロストークが生じないように、撮像面と平行な方向の面内でのレンズ・ピッチを設定する。
コントラストの高い鮮明な被写体像を撮像できるようにするため、指1に光を照射する光源として発光ダイオード(LED)8が設けられている。このLED8としては、生体に対する吸収率が低い近赤外帯などの、生体組織に透過率を有する波長の光を発するものが用いられる。ここでは、LED8は近赤外光を発するものであるとする。図2に見られるように、レンズアレイ3の周囲を取り囲むように複数のLED8が配置されている。9はLED8の駆動部である。
10はレンズアレイ3の保護やゴミ等の付着防止のための保護ガラスであり、指に照射される近赤外光に対し透過率を有するガラスや樹脂などの材料からなる。保護ガラス10は、レンズアレイ3から離間させて配置してもレンズアレイ3に密着させてもよい。
認証や個人データ登録を行う時に、LED8が発光して図1に示すような位置にかざされた指1に近赤外光が照射される。近赤外光は、生体に対して透過率を有し、指内部で透過散乱するが、血液中の還元ヘモグロビンで吸収を受ける。そのため、指の外部より、指内部の血管(静脈)がそれ以外の部分より暗いパターンとして観察される。そして、レンズアレイ3の各レンズにより血管パターンの縮小像(個眼像)が撮像素子6の撮像面に(略)結像される。レンズアレイ3には複数のレンズが二次元的にアレイ配置されているため、図3に模式的に示すように、各レンズによる個眼像12の集合である複眼像が撮像面に結像される。図3において、13は遮光部材4による影の領域である。
レンズアレイ3を構成するレンズの観察領域(図1の2a)はそれぞれずれており、隣接レンズ間で観察領域の一部を共有する(図1の2b)。複眼像を構成する個眼像間には像の相対位置ずれ、すなわち視差がある。この視差は、レンズアレイ3からの指1の距離によって変化する。
本実施形態では、LED8の発した光を効率的に指に照射するため、図1に示すように、LED8の発した光を集光するレンズを設けている。なお、本実施形態では、LED8の発した光は真上方向(撮像面に対し垂直な方向)に照射されるが、所定の距離にある指へ向けて斜め上方向へ光を照射するようにしてもよい。
次に処理系200について説明する。処理系200には、撮像モード切替部21、前処理部22及び31、視差検出判定部23、再構成処理部32、登録/認証切替部34、データ登録部35、認証処理部36が含まれる。
撮像モード切替部21は、撮像素子6の撮像モードを「初期モード」又は「複眼像入力モード」のいずれかに設定する手段である。初期モードは、レンズアレイ3の視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否かを判断することを目的としたモードであり、高解像の被写体像(後述の再構成された単一画像)を入力することはできない。複眼像入力モードは、個人認証又は個人データ登録を行うことを目的としたモードであり、高解像の被写体像(再構成された単一画像)を入力することができる。
例えば一つの態様においては、装置電源が投入されると、撮像モードを初期モードに設定して撮像素子6を動作させる。そして、被写体が存在することが確認されたときに、撮像モードを一時的に複眼像入力モードに切り替えて高解像の被写体像を入力し、個人認証動作又は個人データ登録動作を行う。その後、撮像モードを初期モードに戻す。したがって、装置電源が投入されている状態では常に撮像素子6は撮像動作をすることになるが、高解像の被写体像の入力が可能になるのは、被写体の存在が確認されて撮像モードが一時的に複眼像入力モードとなった期間のみに限定されるため、盗撮等への悪用を防止することができる。
例えばもう一つの態様においては、ユーザにより認証又は登録指示操作(例えばスイッチ操作)が行われた時に、初期モードに設定して撮像素子6を動作させる。レンズアレイ3の視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在することが確認されると、撮像モードを一時的に複眼像入力モードに切り替えて高解像の被写体像を入力し、個人認証動作又は個人データ登録動作を行うが、撮像素子6の動作は停止させる。この態様でも、高解像の被写体像の入力が可能になるのは、被写体の存在が確認されて撮像モードが一時的に複眼像入力モードとなった期間のみに限定されるので、盗撮等への悪用を防止できる。
撮像モードが初期モードに設定されている時の動作は次のとおりである。撮像素子6では、その撮像面の所定の一部領域の画素のみを利用した撮像動作が行われ、例えば図3に示す隣接した二つの個眼像12a,12bに相当する画像データが前処理部22に取り込まれる。前処理部22では、取り込んだ画像データを所定の閾値で二値化することにより遮光部材4の影に相当する領域を検出し、この影領域を除去した二つの個眼像を抽出する。なお、初期モードでは撮像素子6で一部領域の画素のみを利用した撮像動作を行うため、高速の撮像が可能であり、かつ、消費電力が少ない。
視差検出判定部23では、前処理部22で抽出された隣接した2つの個眼像間の視差の推定演算を行う。例えば、特許文献4の段落(0048)〜(0050)に記載されているように、一方の個眼像をx,y方向にシフトしたものと、もう一方の個眼像との間の輝度偏差をとり、その二乗和を求める計算を、シフト量を変化させながら繰り返し、輝度偏差の二乗和が最小となったx,y方向のシフト量をx,y方向の視差とするような演算を行う。もちろん、特許文献5の段落(0087)〜(0093)に開示されているような推定処理を適用してもよい。
このようにして推定される視差は、被写体が撮像系から遠いほど小さくなり近いほど大きい。視差検出判定部23では、推定した視差が所定範囲から外れているときは被写体が所定距離範囲にないと存在しないと判定し、視差が所定範囲に含まれるときに被写体が所定距離範囲内に存在すると判定する。
視差検出判定部23で所定距離範囲内に被写体が存在しないと判定されたときは、撮影モード切替部21は初期モードをそのまま維持し、上に述べた動作が繰り返される。
視差検出判定部23で所定距離範囲内に被写体が存在していると判定されたときは、その旨の信号が視差検出判定部23からLED駆動部9と撮影モード切替部21へそれぞれ送られる。LED駆動部9は、その送られた信号に応答して近赤外光源であるLED8を一定時間だけ発光させる。一方、撮像モード切替部21は撮像モードを一時的に複眼像入力モードに切り替え、近赤外光を照射されている指の内部の血管すなわち被写体を、撮像素子6で全画素を利用して撮像させる。かくして、図3に示すような複眼像が撮像され、このデータが前処理部31に取り込まれる。撮像モードは初期モードに戻される(あるいは、撮像素子6の撮像動作は停止させられる)。
前処理部31では、取り込んだ画像データを所定の閾値で二値化することにより遮光部材4の影に相当する領域を検出し、この影領域を除去した個眼像を抽出する。再構成処理部32では、前処理部31で抽出された個眼像の集合からなる複眼像から、個眼像間の視差を利用して高解像の単一画像を再構成する処理を行う。この際に利用する視差であるが、複眼像中の左上の二つの個眼像12a,12b間の視差は視差検出判定部23で推定された値を用いる(視差検出判定部23で検出された視差を利用せず、再構成処理部32において同様の視差推定演算を行うようにすることも可能であるが、演算量は増加する)。この視差の値と、レンズアレイ3のレンズピッチで規定される個眼像の位置関係に基づき、複眼像を構成する全ての個眼像について相対視差を推定する(例えば特許文献4の段落(0050)〜(0051)参照)。レンズアレイ3のレンズピッチ誤差が推定される視差に対して十分小さければ、上述のように2つの個眼像から求めた視差と、レンズアレイのレンズピッチで規定される個眼像の位置関係に基づき、複眼像を構成する全個眼像の相対視差を算出することができる。レンズアレイの加工にエッチングやそれに類する加工法を用いる場合、エッチングに用いるマスク作製時のステージ送り誤差がレンズアレイのピッチにつながるが、レンズアレイの有効レンズ領域は撮像素子の撮像面積と同程度であり、ステージ送り誤差の影響を受けるほど大きくないため、レンズアレイのレンズピッチ誤差は十分小さいとみなすことができる。したがって、2つの個眼像間での視差に基づき全個眼像の視差を推定しても問題は生じない。ただし、プラスチック成形における膨張や収縮など、レンズアレイ加工時に比較的大きいピッチ誤差要因がある場合は、再構成処理部32において、複眼像から基準となる1つの個眼像を抽出し、血管パターンが含まれる全ての個眼像で上述の視差推定演算を行い、また血管パターンが含まれない個眼像は近い領域にある個眼像の視差と位置関係に基づき視差を算出することにより、全個眼像の相対視差を求めることになる。
個眼像間の視差を利用した単一画像の再構成処理には公知の方法を利用することができる。例えば、特許文献4の段落(0052)〜(0054)に記載されているように、メモリ上に再構成画像空間を用意し、個眼像の画素輝度を、再構成画像空間上の個眼像の位置及び視差に応じて決まる位置に配置する操作を、全個眼像の全画素について繰り返すことにより再構成画像空間上に単一画像を得る方法を利用することができる。また例えば、特許文献5の段落(0094)〜(0128)に示された方法を適用することもできる(ただし、個眼像を低解像度画像と、複眼像から再構成した単一画像を高解像度画像と、それぞれ読み替えて読み替え適用する)。それらの超解像処理は、複数の低解像度画像とそれらの相対視差を利用して、低解像度画像における撮像素子のナイキスト周波数を超える周波数成分を復元するため、レンズアレイによる複眼化、つまり光学系薄型化に伴う光学倍率の縮小により、解像度が低くなった個眼像に比べ解像力を向上させた単一画像を再構成できる。
なお、特許文献5の方法では、単眼の光学系により取得した複数枚の画像において、光学系と直交する面内での被写体とカメラとの相対位置ずれを検出し、それを利用して再構成しているが、本発明ではレンズアレイを用いた複眼像を利用する。レンズアレイの各レンズによる像(個眼像)は、被写体との位置関係が異なり相対的なずれがあるため、特許文献5において複数枚取得した画像と同様に扱うことができる。上に述べたような超解像処理の効果を見込むには、撮像素子に取り付けたローパスフィルタやレンズアレイを構成する各レンズのカットオフ周波数などの帯域制限を取り除く必要があるため、前述したように撮像素子にはローパスフィルタを設けず、また装置で狙いとする空間周波数(撮像素子のナイキスト周波数より高い周波数)に対してカットオフ周波数が高くなるように、光学系を設計しておく必要がある。しかし、超解像効果を見込まない場合はそのような考慮は必要としない。
この個人認証装置は、登録/認証切替部34で個人認証のための個人データを登録するモード又は個人認証を行うモードに切り替えることができる。個人データを登録するモードに切り替えられている場合、データ登録部35において、再構成処理部32で再構成された高解像の単一画像そのもの、あるいは、この単一画像から抽出した血管走行の分岐点座標などの特徴情報を個人データとしてデータベースに登録する。個人認証を行うモードに切り替えられている場合、認証処理部36において、再構成処理部32で再構成された単一画像そのもの、又は、それから抽出した血管走行の分岐点座標などの特徴情報と、個人データ登録部35のデータベースに登録されている個人データとの比較・照合により個人認証を行う。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。この個人認証装置は、処理系200に光学倍率演算部24と像サイズ調整部33が追加された点が前記第1の実施形態との構成上の相違である。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る個人認証装置の構成説明図である。この個人認証装置は、処理系200に光学倍率演算部24と像サイズ調整部33が追加された点が前記第1の実施形態との構成上の相違である。
指を固定することなく、非接触の指静脈撮像を行う場合、被写体距離のある程度の変動を許容する必要がある。例えば、図4に模式的に示すように、距離a1から距離a2までの範囲で被写体距離変動を許容する。しかし、被写体距離が変動すると光学倍率が変動するので、取得される個眼像又は単一画像における指や静脈パターンの像サイズも変動する。認証時の像サイズと、データ登録時の像サイズとの差が大きいと、認証精度が悪化する。そこで、本実施形態では、次に述べるように、被写体距離が変動しても像サイズを略一定に調整するようにしている。
視差検出判定部23により検出される視差と被写体距離と光学倍率との間には次式のような関係がある。
m=f/a=s・β/p (1)
ここで、mは光学倍率、fはレンズアレイのレンズの焦点距離(全レンズで共通)、aは被写体距離、sは視差(画素数)、βは画素サイズ(=画素ピッチ)、pは視差を検出するための個眼像を生成する2つのレンズ間の距離である。
m=f/a=s・β/p (1)
ここで、mは光学倍率、fはレンズアレイのレンズの焦点距離(全レンズで共通)、aは被写体距離、sは視差(画素数)、βは画素サイズ(=画素ピッチ)、pは視差を検出するための個眼像を生成する2つのレンズ間の距離である。
光学倍率演算部24では、視差検出判定部23により検出された視差を用い上記式によって光学倍率を算出する。
像サイズ調整部33においては、光学倍率演算部24で算出された光学倍率と、基準被写体距離から決まる基準光学倍率との比に応じた像の拡大又は縮小処理を、再構成後の単一画像に対し施すことにより、被写体距離変動に伴う光学倍率変動による単一画像中の指と静脈パターンの像サイズの変動を補償することができる。像の拡大又は縮小処理には、線形補間やキュービック補間などの公知の画像補間を利用すればよい。なお、像サイズ調整のための拡大又は縮小処理を再構成される前の複眼像中の各個眼像に対して施してもよく、かかる形態も本発明に包含されることは当然である。
[変形例]
視差検出判定部23で、隣接しない二つの個眼像間で視差推定を行うようにしてもよい。また、視差検出精度を高めるため、2組以上の個眼像間で視差を推定し、推定した視差の平均値などを最終的な視差として検出するようにしてもよい。
視差検出判定部23で、隣接しない二つの個眼像間で視差推定を行うようにしてもよい。また、視差検出精度を高めるため、2組以上の個眼像間で視差を推定し、推定した視差の平均値などを最終的な視差として検出するようにしてもよい。
複眼像入力モードにおける撮像に利用される画素数を、期待される認証精度を確保し得る品質の単一画像を得られる限度で減らすようにしてもよく、画素数を減らす分だけ撮像動作の高速化と消費電力削減が可能である。
再構成処理部32において、光学系の設計段階や装置製造後の評価や検査の段階で求めて記憶しておいたPSFパターンによるデコンボリューション演算を、個眼画像又は再構成した単一画像に対し実行し、MTF補正をするようにしてもよい(特許文献4参照)。被写体距離ごとのPSFパターンを記憶しておき、検出された視差に対応した被写体距離のPSFパターンを用いたデコンボリューション演算を行うようにしてもよい。なお、個眼像に対しデコンボリューション演算を実行する場合は、撮像素子のナイキスト周波数で適正に帯域制限したPSFパターンを用いる。再構成した単一画像に対してデコンボリューション演算を実行する場合は、超解像処理により広げた帯域に対して適正に帯域制限したPSFパターンを用いる。また、再構成処理の前の複眼像中の各個眼像に対し歪曲補正やシェーディング補正を施すようにしてもよい。
前記実施形態においては、個眼像間の視差に基づいて、レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否かを検知した。しかし、カメラのオートフォーカス機能に利用されるような被写体距離検出手段、例えば、被写体へ向けて超音波を照射し、その反射波が検知されるまでの時間を測定するような手段によって、視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否かを検知するようにしてもよい。この場合、被写体有無検知のための初期モードでの撮像動作を行う必要はない。視差演算を再構成処理部32で行う必要がある。
前記実施形態では、近赤外光を指に照射するLED光源を設けたが、生体透過率を有する他の波長帯の光を発する光源を設けてもよい。また、光源を設けず、自然光に含まれる近赤外光等を利用する構成とすることも可能である。
前記実施形態では、指の静脈パターンを撮像したが、手のひらや手の甲など他の生体部位の静脈パターンを撮像して個人認証を行う装置にも本発明を同様に適用できる。
ハレーションの影響を防止するため、レンズアレイの被写体側面などに偏光シートなどの偏光選択手段を設けてもよい。ハレーションが起きた場合、撮像面上の光の強度が強いエリアでの画像情報が損なわれたり、撮像素子のゲインコントロールにより他のエリアにおけるダイナミックレンジが狭くなって画像のコントラストが低下したりする。これらは認証精度の低下につながり好ましくない。ハレーションは生体表面での正反射光により生じることが多く、また正反射光は偏光している場合が多い。そこで、レンズアレイの生体側の面に偏光シートを貼り付けるなど、撮像面より被写体側に偏光シートを設け、正反射光の偏光方向と偏光シートの非透過方向とを略一致させれば、正反射光は撮像面に到達しなくなるため、ハレーションの影響を防止することができる。正反射光の偏光方向と偏光シートの非透過方向とを略一致させるには、正反射光成分が最も小さくなる偏光シートの方向をあらかじめ実験で求めておいて、その方向に偏光シートを貼り付ければよい。照明光を偏光シートで直線偏光にしておけば、正反射により照明光の偏光方向が反転するため、それと直交する方向に偏光シートの偏光方向を設定して貼り付けるならば、正反射光の偏光方向と偏光シートなどの非透過方向とをより確実に一致させることができる。なお、偏光選択手段として、偏光板や偏光効果を有する微細構造を用いてもよい。
1 指
2 血管
3 レンズアレイ
4 遮光部材
5 遮光用の膜
6 撮像素子
7 筐体
8 発光ダイオード(LED)
9 LED駆動部
10 保護ガラス
21 撮影モード切替部
22 前処理部
23 視差検出判定部
24 光学倍率演算部
31 前処理部
32 再構成処理部
33 像サイズ調整部
34 登録/認証切替部
35 データ登録部
36 認証処理部
2 血管
3 レンズアレイ
4 遮光部材
5 遮光用の膜
6 撮像素子
7 筐体
8 発光ダイオード(LED)
9 LED駆動部
10 保護ガラス
21 撮影モード切替部
22 前処理部
23 視差検出判定部
24 光学倍率演算部
31 前処理部
32 再構成処理部
33 像サイズ調整部
34 登録/認証切替部
35 データ登録部
36 認証処理部
Claims (7)
- 複数のレンズをアレイ配列してなるレンズアレイ、及び、該レンズアレイの像面側に設けられた撮像素子を含み、該レンズアレイの視野内にある生体と非接触で、該生体の内部の被写体の複眼像を前記撮像素子で撮像するための撮像系と、
前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否か判断する被写体有無検知手段と、
前記被写体有無検知手段により前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断されるときにのみ、前記撮像系の撮像素子により撮像された被写体の複眼像から、その個眼像間の視差を利用して単一画像を再構成する処理手段と、
を有し、前記処理手段により再構成された単一画像に基づいて個人認証を行う個人認証装置。 - 前記被写体有無検知手段は、前記撮像系の撮像素子により撮像された、前記レンズアレイの少なくとも2つのレンズによる像の間の視差を検出し、該視差が所定範囲内であるときに前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断するものであることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
- 前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在するか否かの判断のための前記撮像系の撮像素子による撮像は、前記撮像素子の撮像面の一部領域の画素のみ利用して行わせることを特徴とする請求項2記載の個人認証装置。
- 前記レンズアレイの視野内に存在する生体に光を照射するための光源を有し、前記被写体有無検知手段により前記レンズアレイの視野内の所定の距離範囲内に被写体が存在すると判断されるときにのみ、前記光源を発光させることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
- 前記光源は近赤外光を照射するものであることを特徴とする請求項4記載の個人認証装置。
- 前記撮像系の撮像素子より被写体側に、生体からの正反射光を除去するための偏光選択手段を有することを特徴とする請求項4記載の個人認証装置。
- 前記処理手段により再構成された単一画像又は再構成される前の複眼像の各個眼像に対し、光学倍率変動による像サイズ変化を補償するための像の拡大又は縮小処理を施す手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008263682A JP2010092397A (ja) | 2008-10-10 | 2008-10-10 | 個人認証装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008263682A JP2010092397A (ja) | 2008-10-10 | 2008-10-10 | 個人認証装置 |
Publications (1)
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JP2010092397A true JP2010092397A (ja) | 2010-04-22 |
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ID=42255022
Family Applications (1)
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JP2008263682A Pending JP2010092397A (ja) | 2008-10-10 | 2008-10-10 | 個人認証装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010092397A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018136897A (ja) * | 2017-02-24 | 2018-08-30 | 富士通フロンテック株式会社 | 認証装置及び認証方法 |
-
2008
- 2008-10-10 JP JP2008263682A patent/JP2010092397A/ja active Pending
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