JP2010088901A - 応答性常磁性mri造影剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飽和能が重要な物理的又は化学的なパラメータと相関している交換可能プロトンを少なくとも1つ含む応答性常磁性CEST造影剤が利用され、調査される器官又は組織における該パラメータに対して応答性のCESTMR画像が表示される。使用する常磁性造影剤は応答性薬剤、即ち、CEST剤の特徴的な特質を、診断的に重要な物理的又は化学的なパラメータに対して感受性であるという事実と組み合わせた薬剤である。従って、造影剤は水媒体プロトンとの化学交換における可動プロトンを少なくとも1つ含み、かつ該交換可能プロトンの共鳴周波数で適切な高周波印加磁場が適用された場合に、該可動プロトンと水媒体プロトンとの間の飽和移動(ST)効果を生成させることができる。
【選択図】図4
Description
磁気共鳴画像法(MRI)の可能性が、造影剤(CA)、即ち組織プロトンの緩和速度の著しい変化を促進することができる化学物質の投与と併せて、この診断モダリティが適用された場合に、さらに増強され得ることは、現在よく確立されている。画像に対して及ぼす主要な効果によって、CAは、陽性剤又は陰性剤に分類される。陽性CAは、その配位圏内の水分子の交換によってバルク水の緩和速度に影響を与える、主としてGd(III)イオン又はMn(II)イオンを含有している常磁性錯体に代表される(Caravan Pら Chem Rev 1999, 99: 2293-2352;医学的磁気共鳴画像法における造影剤の化学(the Chemistry of Contrast Agents in Medical Magnetic Resonance Imaging)、Chichester, UK: John Wiley&Sons;2001年 45〜120頁)。T1及びT2に対するそれらの効果は類似しているが、通常、ほとんどの生物学的組織においてT1はT2より有意に長く、それらの効果は、より多くの場合、T1強調画像において活用され、従って画像中により明るいスポットをもたらす。
本発明は、応答性常磁性CEST造影剤の投与を含む、診断的に重要な物理学的又は化学的なパラメータのin vivo、in vitro又はex vivoの測定のための、CEST手順に基づく方法に関するものである。
− 飽和能が重要な物理学的又は化学的なパラメータと相関している交換可能プロトンを少なくとも1つ含む応答性常磁性CEST造影剤が利用され、
− 調査される器官又は組織における該パラメータに対して応答性のCEST MR画像が表示される、ヒト又は動物の身体器官、体液又は組織における診断的に重要な物理学的又は化学的なパラメータの、磁気共鳴画像法技術の使用による測定のための方法が、本発明の目的である。
の1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−酢酸テトラアジド誘導体、及びそれの遷移金属イオン又はランタニド(III)金属イオンとのキレート化体は、新規であり、かつ本発明のさらなる目的である。
− 印加時間t;
− 印加されたプロトンの擬一次動力学的定数速度kex;
− 印加された可動プロトンの数n;
− 可動プロトンの印加時のバルク水の縦緩和速度Rlirr;
− 常磁性薬剤のモル濃度[C]及びバルク水プロトンのモル濃度[H2O](純粋中111.2M)
に依存する。
によって測定され、Rirrの濃度依存性を考慮に入れたとしても、造影剤の濃度の依存性が、従来のMRI造影剤ほど著しくないことが明らかである。
i)二つの磁気的に非等価な可動プロトンプールの両方を賦与された単一CEST分子を含む常磁性造影剤の使用、又は
ii)可動プロトンのセット少なくとも1つを各々賦与された二つの異なるCEST単位を含む常磁性造影剤の使用。後者の場合、二つの分子は、同じ体内分布パターンを有していなければならない。
の二量体錯化合物[Eu−Yb(bisDOTAMGLy)]のEu(III)金属イオンに配位した水プロトンに属し、第二のものはYb(III)に配位したアミド基に属する。
[式中、上付のA及びBは、交換プール磁気パラメータが参照されている常磁性錯化合物を明らかにするものである]により表される。上記の実験において、例えば、A=Yb−DOTAM−GlyかつB=Eu−DOTAM−Glyであり、かつ[A]/[B]比を表すKconcは1.25である。印加された不安定プロトンの各プールに関する二つのRlirr値の存在は、原則として、二つのプロトンプールで異なる、バルク水と印加された可動プロトンとの間の交換速度に、Rlirr値が依存するという事実による。
一般的に述べると、本発明の方法によるpH応答性CEST剤としての優れた候補は、Ln(III)金属イオン又は遷移金属と、水プロトンとの化学交換が塩基触媒又は酸触媒を受ける可動プロトンを少なくとも1つ含むキレート配位子とを含む、任意の常磁性錯化合物であり得る。
のキレート配位子HのLn(III)キレート化錯体に代表される。
任意の可動プロトンの交換速度は、温度依存性である。
特定の代謝産物に対して応答性であるためには、常磁性CEST剤は、非共有結合的に、かつ可能な限り選択的にそれと相互作用することができなければならず、そしてこの相互作用が、例えば化学シフト、交換速度、バルク水の緩和速度、可動プロトンの数のような飽和移動効率を決定するパラメータの変化を促進するものでなければならない。
配位子GのCo(II)高スピンキレート化錯体は、本発明の方法において使用するためのO2の分圧に対して応答性の常磁性CEST剤の一例を表す。
に従い、O2は、Co(II)高スピン錯体を、Co(III)低スピン反磁性錯体へと転換させることができ、これは、錯化合物の金属中心に配位した交換可能アミドプロトンの印加時のCEST効果の相当の縮小をもたらす。
本発明の化合物の調製は、当業者に周知の手順及び合成工程に従って実施された。非制限的な例が以下に含まれる。
この反応を、アセトニトリル中で70℃で6時間加熱することにより実施した。ろ過による未溶解材料の除去の後、単に溶媒を蒸発させることにより生成物が得られた(収率:91.4%)。
テトラエステルのけん化を、60℃で、エタノール/水(1:1)溶液200mL中で実施した。ほぼ45’、溶液のpHを一定(pH11)に維持するために、NaOH 1N(232mL)を添加した。その反応は、1時間の加熱の後に完了した。得られた橙色の溶液を冷却し、HClによりpH2.2に酸性化した。液体クロマトグラフィー(固相:アンバーライト(Amberlite)(登録商標)XAD−1600;溶出剤:水)によって、そのような溶液からDOTAM−Gly配位子を分離した(収率:88%)。その配位子を、MALDI−TOF質量分析によって特徴測定した(C32H40N8O12に関する計算値632.63amu;実測値633.55(MH+))。
Ln(III)−DOTAM−Gly錯体は、水(室温、pH8、30’)10mL中で、等モル量(0.3mmol)の配位子と対応するLn(III)塩化物とを混合することにより調製した。回収されたキレート錯体を、1H−NMRスペクトルによって特徴測定した。回収されたデータは、予想された構造と一致していた。
この合成を以下の工程によって実施した。
− N−(ベンジル−オキシカルボニル)−N’−(ブロモアセチル)ヒドラジンの合成(ジクロロ−メタン、0℃)
− 1,4,7,10−テトラ{2−[N’−(ベンジル−オキシ−カルボニル)ヒドラジノ]−2−オキソ−エチル}−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンの合成(アセトニトリル、室温)
− 配位子Bの合成(メタノール、室温)
主要な工程には、以下のものが含まれる。
− 1−(4−ニトロフェニル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンの合成(アセトニトリル/水 10:1、60℃)
− 1−(4−ニトロフェニル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−トリス−アセトアミドの合成(アセトニトリル、室温)
高分解能作業を、7.05Tで作動するブルカーアバンス(Bruker Avance)300分光計で実施した。
Claims (24)
- ヒト又は動物の身体器官、体液又は組織における物理学的又は化学的なパラメータのCEST MRI技術の使用による測定方法であって:
− その飽和能が重要な物理学的又は化学的なパラメータと相関している交換可能プロトンを少なくとも1つ含む応答性常磁性CEST造影剤が利用され、
− 該パラメータに対して応答性のCEST MR画像が表示される、方法。 - CEST造影剤が、磁気的に非等価な可動プロトンのプールを少なくとも2つ含む、請求項1の方法。
- 測定がin vitro又はex vivoで実施される、請求項1の方法。
- 測定がin vivoで実施される、請求項2の方法。
- 重要なパラメータが、温度、pH、代謝産物濃度、O2又はCO2の分圧及び酵素活性より選択される、請求項1の方法。
- 応答性常磁性CEST造影剤が、キレート配位子が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子に結合した可動プロトンを少なくとも1つ含有している有機配位子であり、かつ常磁性イオンが、鉄(II)(高スピン)、鉄(III)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)、テルビウム(III)、ホルミウム(III)、ツリウム(III)、イッテルビウム(III)及びユーロピウム(III)からなる群より選択される常磁性キレート化合物又はそれらの生理学的に許容される塩を含む、請求項1及び2の方法。
- 常磁性キレート錯体が、常磁性中心に配位した水分子を含む、請求項6の方法。
- CEST造影剤中の可動プロトンが、キレート配位子のアミド基に属するか、又は常磁性キレート錯体の金属結合水プロトンである、請求項7の方法。
- キレート配位子が、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)のテトラ−アミド誘導体若しくは1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−三酢酸(DO3A)のトリス−アミド誘導体又はヘキサ−アザ−マクロ二環式サルコファジン(3,6,10,13,16,19−ヘキサアザビシクロ[6.6.6]エイコサン)の誘導体である、請求項6〜8の方法。
- CEST造影剤が、2つの磁気的に非等価な可動プロトンのプールの両方を賦与された単一の常磁性錯化合物、又はその生理学的に許容される塩を含む、請求項2の方法。
- CEST造影剤が、異なる可動プロトンのプールを各々提供する、同じ体内分布パターンを有する2つの常磁性錯化合物を含む、請求項2の方法。
- 可動プロトンが、第一のものは単量体性キレート配位子のアミド基に属し、そして第二のものは金属配位水分子に属する、請求項10の方法。
- 可動プロトンが、第一のものは配位アミド基に属し、そして第二のものはキレート配位子A、C、D、E、F、G、H、LのEu(III)錯体の金属結合水プロトンに属する、請求項13の方法。
- 単一の常磁性錯化合物が、2つの異なるLn(III)金属イオンとキレート化した、同一であってもよいし又は異なっていてもよい2つのキレート単位を含む二量体性キレート配位子を含む、請求項10の方法。
- キレート錯体が[Eu−Yb(bisDOTAMGLy)]である、請求項15の方法。
- CEST造影剤が、場合によりYb(III)DOTAM−Gly又はTm(III)−DOTAM−Glyと共に、Eu(III)DOTAM−Glyを含む、請求項11の方法。
- 水媒体プロトンとの化学交換における可動プロトンを少なくとも1つ含み、かつ該交換可能プロトンの共鳴周波数で適切な高周波rf印加磁場が適用された場合に、診断的に重要な物理学的もしくは化学的なパラメータにのみ感受性の、該可動プロトンと水プロトンとの間の飽和移動効果を生成させることができる常磁性キレート化錯体又はその生理学的に許容される塩を含むCEST造影剤を、生理学的に容認される担体と共に含む医薬組成物。
- CEST造影剤が、磁気的に非等価な可動プロトンのプールを少なくとも2つ含む常磁性キレート化錯体、もしくは異なる可動プロトンのプールを各々提供する、同じ体内分布パターンを有する2つの常磁性キレート化錯体、又はそれらの生理学的に許容される塩を含有している、請求項18の医薬組成物。
- 1〜30の範囲のモル比で2つの常磁性錯体を含む、請求項19の医薬組成物。
- 2つの常磁性錯体が、1〜5の範囲のモル比で存在する、請求項20の医薬組成物。
- 場合によりYb−DOTAM−Gly又はTm−DOTAM−Glyと共に、Eu(III)−DOTAM−Glyを含む、請求項19〜21の医薬組成物。
- CEST MRIの使用によるヒト又は動物の身体器官、体液又は組織における該パラメータの測定のための医薬組成物の調製のための、水媒体プロトンとの化学交換における可動プロトンを少なくとも1つ賦与されており、かつ該交換可能プロトンの共鳴周波数で適切な高周波rfが適用された場合に、診断的に重要な物理学的又は化学的なパラメータに関連した、該可動プロトンと水プロトンとの間の飽和移動効果を生成させることができる常磁性キレート錯体を含むCEST常磁性造影剤の使用。
- DOTAMidrazide、鉄(II)(高スピン)、鉄(III)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)、テルビウム(III)、ホルミウム(III)、ツリウム(III)、イッテルビウム(III)及びユーロピウム(III)からなる群より選択された常磁性金属イオンとのそのキレート錯体;(bisDOTAMGLy)二量体性キレート配位子、及び上記の群の遷移金属イオン又はLn(III)金属イオン2個とのそのキレート化錯体、並びにそれらの生理学的に許容される塩の中で選択された化合物。
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