JP2010087965A - アレイ型超音波振動子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機無機積層型の超音波振動子を作成するにあたって、音軸のずれを無くす。
【解決手段】無機圧電素子33上に有機圧電素子34を積層して成る超音波振動子31において、有機圧電層34aを素子分離する個別の信号電極の形成を、不溶解性の微粒子を分散したスラリーを塗布し、媒質を乾燥させることで紛体堆積層47を形成し、その後、超音波振動子31の上下を反転し、既に完成している送信用の無機圧電層33aを一部の出力に調整して駆動することで適切な振動を発生させ、その振動によって、素子分離(切出)されている無機圧電層33a上の領域48に堆積している粉体を篩落とし、得られた残留粉体をマスクとして行う。したがって、自己整合によって、有機圧電素子34の信号電極には、ダイシングなどによる該無機圧電層33aの素子分離(切出)のばらつきを正確に反映させることができ、音軸(ビームフォーミング)のずれを無くすことができる。
【選択図】図6
【解決手段】無機圧電素子33上に有機圧電素子34を積層して成る超音波振動子31において、有機圧電層34aを素子分離する個別の信号電極の形成を、不溶解性の微粒子を分散したスラリーを塗布し、媒質を乾燥させることで紛体堆積層47を形成し、その後、超音波振動子31の上下を反転し、既に完成している送信用の無機圧電層33aを一部の出力に調整して駆動することで適切な振動を発生させ、その振動によって、素子分離(切出)されている無機圧電層33a上の領域48に堆積している粉体を篩落とし、得られた残留粉体をマスクとして行う。したがって、自己整合によって、有機圧電素子34の信号電極には、ダイシングなどによる該無機圧電層33aの素子分離(切出)のばらつきを正確に反映させることができ、音軸(ビームフォーミング)のずれを無くすことができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、超音波診断装置に用いられるアレイ型超音波振動子の製造方法に関し、特にハーモニックイメージングと称される超音波伝播の非線形性によって発生した歪み成分から抽出された高周波成分から高解像な断層画像を作成するようにした超音波診断装置に好適に用いられるものに関する。
前記超音波診断装置は、生体などの被検体の断層画像を無侵襲に得ることができ、広く使用されている。そして、近年では、超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本波)成分ではなく、超音波が被検体を伝播する際に該被検体の非線形性によって発生した歪み成分から抽出された高調波成分によって、該被検体の内部状態の画像を作成する前記ハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。このハーモニックイメージング技術は、前記高調波成分は基本波成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること等の様々な利点を有している。
そこで、このハーモニックイメージング用に適した超音波探触子として、特許文献1が提案されている。その先行技術では、送信用には大パワーの送信が可能なセラミック圧電素子(チタン酸ジルコン酸鉛(lead zirconium titanate;PZT))を用い、受信用には前記高調波の高周波な信号を高感度に受信することができる有機圧電素子(ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidine DiFluoride;PVDF)の薄膜を用い、それらを積層している。
特開2004−208918号公報
しかしながら、上述の従来技術では、複数の各圧電素子において、無機圧電素子に有機圧電素子を積層する際のアライメントをとることが困難で、結果的に送信ビームフォーミングと受信ビームフォーミングとでフォーカルポイントがずれてしまい、特に高調波を用いた細いビームでの画像形成時に不具合が生じるといった問題があった。
詳しくは、1次元または2次元配列された複数の各圧電素子は、バッキング層上に、GND電極、無機圧電層および信号電極が形成された後、前記圧電素子毎に素子分離(切出)され、素子間に絶縁用の充填剤が充填されて平坦となった上に、音響整合層を介して、GND電極、有機圧電層および信号電極が形成され、さらに音響整合層および音響レンズが積層されて構成される。このとき、前記平坦な音響整合層上に、GND電極およびシート状の有機圧電層を積層した後、該有機圧電層の信号電極を個別に形成するにあたって、ダイシングなどによる前記無機圧電層の素子分離(切出)のばらつきが上層の有機圧電層の信号電極の形成に正確に反映されず、音軸のずれが生じる。また、電極シートを重ねる際に、顕微鏡などを用いての複雑な位置合せが必要になる。
本発明の目的は、音軸のずれ無く、簡単に、無機圧電層上に有機圧電層を積層することができるアレイ型超音波振動子の製造方法を提供することである。
本発明のアレイ型超音波振動子の製造方法は、1次元または2次元配列された複数の圧電素子を有し、各圧電素子は無機圧電層上に有機圧電層が積層されて成るアレイ型超音波振動子の製造方法において、個別(信号)電極および共通(GND)電極が形成され、さらに前記圧電素子毎に素子分離(切出)され、素子間に絶縁用の充填剤が充填されて平坦となった無機圧電層上に、前記有機圧電層を積層するにあたって、前記無機圧電層上に共通(GND)電極を積層する工程と、前記共通(GND)電極上に有機圧電層を積層する工程と、前記有機圧電層上に、前記素子分離(切出)されている無機圧電層のアレイ形状を反映するプロセスによって、個別(信号)電極を形成するための位置合せパターンを形成する工程と、前記位置合せパターンに基づき、前記個別(信号)電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、1次元または2次元配列された複数の圧電素子を有し、各圧電素子は、大パワー送信が可能な無機圧電層上に、高調波帯域の高周波の信号を高感度に受信可能な有機圧電層が積層されて成るアレイ型超音波振動子の製造方法において、個別(信号)電極および共通(GND)電極が形成され、さらに前記圧電素子毎に素子分離(切出)され、素子間に絶縁用の充填剤が充填されて平坦に完成した無機圧電層上に、前記有機圧電層を積層するにあたって、その無機圧電層上に共通(GND)電極を積層し、さらにその共通(GND)電極上に有機圧電層を積層し、こうして無機圧電層上に共通(GND)電極およびシート状の有機圧電層を積層した後、前記素子分離(切出)されている無機圧電層のアレイ形状を反映するプロセスによって、個別(信号)電極を形成するための位置合せパターンを形成し、続いてその位置合せパターンに基づき、前記個別(信号)電極を形成する。
したがって、前記有機圧電層を素子分離する個別(信号)電極の形成を、前記無機圧電層のアレイ形状を反映するプロセスによる自己整合によって行うので、ダイシングなどによる前記無機圧電層の素子分離(切出)のばらつきを有機圧電層の素子分離に正確に反映させることができ、音軸のずれを無くすことができる。また、顕微鏡などを用いての複雑な位置合せの必要もなく、極めて簡単に、正確な位置合せを行うことができる。
また、本発明のアレイ型超音波振動子の製造方法では、前記位置合せパターンを形成する工程は、前記有機圧電層上に紛体を堆積させる工程と、前記無機圧電層を駆動させて該無機圧電層の領域上の粉体を除去する工程と、前記無機圧電層以外の領域上に残留した紛体層をマスクとして、金属層を蒸着して、前記位置合せパターンとする工程とを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、有機圧電層上に、個別(信号)電極(素子分離)の基となる位置合せパターンを形成するにあたって、前記有機圧電層上に紛体を堆積させた後、上下反転させた状態で、既に完成している無機圧電層を駆動させて、その振動によって、該無機圧電層の領域上の粉体を篩落とす。その後、前記無機圧電層以外の領域上に残留した紛体層をマスクとして、金属層を蒸着して、前記位置合せパターンを形成する。
したがって、既に完成している無機圧電層を駆動させるだけで、容易に、素子分離(切出)されている該無機圧電層のアレイ形状を有機圧電層上の個別(信号)電極に反映させることができる。
さらにまた、本発明のアレイ型超音波振動子の製造方法では、前記有機圧電層上に紛体を堆積させる工程は、紛体粒子を分散させたスラリーを塗布乾燥させることで行うことを特徴とする。
上記の構成によれば、容易に紛体を堆積させることができる。
また、本発明のアレイ型超音波振動子の製造方法では、前記有機圧電層上に紛体を堆積させる工程は、非磁性1成分方式の電子写真現像器を用い、現像スリーブから転写されたトナー層を前記紛体層として用いることを特徴とする。
上記の構成によれば、容易に紛体を堆積させることができる。
さらにまた、本発明のアレイ型超音波振動子の製造方法では、前記無機圧電層は、PZTから成り、前記位置合せパターンを形成する工程は、前記有機圧電層上に金属層を形成する工程と、前記金属層上にX線レジストを形成する工程と、前記無機圧電層側から、前記素子分離(切出)されている該無機圧電層をマスクとして、X線照射する工程と、前記X線が照射された部分のX線レジストと共に、金属層を除去する工程とを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、有機圧電層上に、個別(信号)電極(素子分離)の基となる位置合せパターンを形成するにあたって、前記有機圧電層上に金属層を形成し、さらにX線レジストを形成した後、前記無機圧電層側、すなわち裏面側からX線を照射する。したがって、該無機圧電層がPZTから成ることで、前述のように圧電素子毎に素子分離(切出)され、素子間に絶縁用の充填剤が充填されて成る該無機圧電層がマスクとなって、前記充填剤が充填されている素子間の部分はX線を透過させ、該無機圧電層の部分は該無機圧電層に含まれる鉛成分で前記X線が吸収され、X線レジストは素子間で脆くなり、エッチングによって、該素子間の金属層と共に除去することができる。こうして、前記金属層を前記位置合せパターンに形成することができる。
したがって、既に完成している無機圧電層をマスクとしたX線リソグラフィーによって、容易に、素子分離(切出)されている該無機圧電層のアレイ形状を有機圧電層上の個別(信号)電極に反映させることができる。
本発明のアレイ型超音波振動子の製造方法は、以上のように、1次元または2次元配列された複数の圧電素子を有し、各圧電素子は、大パワー送信が可能な無機圧電層上に、高調波帯域の高周波の信号を高感度に受信可能な有機圧電層が積層されて成るアレイ型超音波振動子の製造方法において、個別(信号)電極および共通(GND)電極が形成され、さらに前記圧電素子毎に素子分離(切出)され、素子間に絶縁用の充填剤が充填されて平坦に完成した無機圧電層上に、前記有機圧電層を積層するにあたって、その無機圧電層上に共通(GND)電極およびシート状の有機圧電層を積層した後、前記素子分離(切出)されている無機圧電層のアレイ形状を反映するプロセスによって、個別(信号)電極を形成するための位置合せパターンを形成し、続いてその位置合せパターンに基づき、前記個別(信号)電極を形成する。
それゆえ、前記有機圧電層を素子分離する個別(信号)電極の形成を、前記無機圧電層のアレイ形状を反映するプロセスによる自己整合によって行うので、ダイシングなどによる前記無機圧電層の素子分離(切出)のばらつきを有機圧電層の素子分離に正確に反映させることができ、音軸のずれを無くすことができる。また、顕微鏡などを用いての複雑な位置合せの必要もなく、極めて簡単に、正確な位置合せを行うことができる。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の一形態に係る超音波診断装置1の外観構成を示す図であり、図2は前記超音波診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。超音波診断装置1は、生体等の被検体2に対して超音波を送信するとともに、この被検体2から発生した超音波を受信する超音波探触子3と、前記超音波探触子3とケーブル4を介して接続され、超音波探触子3へケーブル4を介して電気信号の送信信号を出力することで被検体2に対して超音波信号を送信させるととともに、超音波探触子3で受信された被検体2からの超音波信号に基づいて、被検体2の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体5とを備えて構成される。
図1は本発明の実施の一形態に係る超音波診断装置1の外観構成を示す図であり、図2は前記超音波診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。超音波診断装置1は、生体等の被検体2に対して超音波を送信するとともに、この被検体2から発生した超音波を受信する超音波探触子3と、前記超音波探触子3とケーブル4を介して接続され、超音波探触子3へケーブル4を介して電気信号の送信信号を出力することで被検体2に対して超音波信号を送信させるととともに、超音波探触子3で受信された被検体2からの超音波信号に基づいて、被検体2の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体5とを備えて構成される。
前記超音波診断装置本体5は、大略的に、前記超音波探触子3から被検体2へ超音波信号を入射させる送信回路6と、前記超音波探触子3で受信された受信信号を増幅する増幅回路7およびその増幅された受信信号を処理する受信回路8と、前記送信回路6および受信回路8を制御する送受信制御回路9と、前記受信回路8からの受信信号をアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器10と、前記アナログ/デジタル変換器10からのデジタルデータに基づいて断層画像を再構成する画像処理回路11と、得られた画像信号を表示する表示部12と、操作部13とを備えて構成される。送受信制御回路9は、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成され、該超音波診断装置1の全体制御を行う。
図3は、前記超音波探触子3における超音波振動子31の1素子当りの構造例を示す断面図である。この超音波振動子31は、バッキング層32上に、大パワーの送信が可能なセラミックから成る送信用の無機圧電素子33に、高周波の信号を高感度に受信可能な薄膜の有機圧電素子34が積層されて構成される。前記無機圧電素子33と有機圧電素子34との間には音響整合層35が介在され、また有機圧電素子34上には音響整合層36および音響レンズ37が積層される。前記バッキング層32と無機圧電素子33との間は接着剤層38によって、無機圧電素子33と音響整合層35との間は接着剤層39によって、音響整合層35と有機圧電素子34との間は接着剤層40によって、有機圧電素子34と音響整合層36との間は接着剤層41によって、それぞれ接合される。
前記無機圧電素子33は、前記セラミックから成る無機圧電層33aに、信号電極33bおよびGND電極33cが貼付けられて成り、信号電極33bには前記送信回路6から送信信号が与えられる。一方、前記有機圧電素子34は、前記有機圧電材料から成る薄膜の有機圧電層34aに信号電極34bおよびGND電極34cが貼付けられて成り、信号電極34bは、増幅回路7を介して受信回路8へ受信信号を出力する。
上述のように構成される超音波診断装置1において、以下に本実施の形態に係る超音波振動子31の作成工程を詳細に説明する。図4はその作成工程の途中での超音波振動子31の斜視図であり、図5は分解斜視図である。後述するように、前記無機圧電素子33は、積層形成された後、ダイシングによって個別に素子分離(切出)されるので、図5ではその切出された状態を分解(剥離)して示している。なお、各接着剤層38,39,40,41は、これらの図4および図5ならびに以降の図では省略している。
先ず、超音波吸収が良好なバッキング層32上に、GND電極33cが形成され、その上に無機圧電層33aが積層され、その上に信号電極33bが形成された後、ダイシングによって溝45が形成されて、圧電素子毎に素子分離(切出)され、素子間に絶縁用の充填剤46が充填されて、1次元配列された複数の無機圧電素子33が完成する。その結果、図5で示すように、バッキング層32は櫛歯状に切出され、その太い櫛の歯の上に、GND電極33c、無機圧電層33aおよび信号電極33bが積層され、櫛の歯の間に、充填剤46が充填され、頂部が平坦になる。その上にさらに音響整合層35が積層された後、有機圧電素子34の形成となる。
それには、共通のGND電極34cを積層し、さらにそのGND電極34c上に有機圧電層34aを積層し、こうして無機圧電層33a上にGND電極34cおよびシート状の有機圧電層34aを積層した後、前記素子分離(切出)されている無機圧電層33aのアレイ形状を反映するプロセスによって、個別の信号電極34bを形成するための位置合せパターンを形成し、続いてその位置合せパターンに基づき、前記個別の信号電極34bを形成する。
具体的には、積層したフィルム状の有機圧電層34aの表面に、電極付けのために表面処理して親水化し、その後に、不溶解性の直径数μm〜数十μm程度の微粒子、たとえば中心粒径10μmのアクリル樹脂を主成分とする不溶性マイクロビーズを分散したスラリーを塗布し、媒質を乾燥させることで、図4および図5で示すように紛体堆積層47を形成する。このようにして、紛体を容易に堆積させることができる。前記スラリーの塗布量ならびに濃度などの条件は、乾燥後均一に隙間無く有機圧電層34aの全体が覆われるように選ばれ、紛体の数層分の厚みを持つものとする。
こうして堆積した紛体堆積層47に対して、注目すべきは、本実施の形態では、超音波振動子31の上下を反転し、既に完成している送信用の無機圧電層33aを一部の出力に調整して駆動することで適切な振動を発生させ、その振動によって、前記のように素子分離(切出)されている無機圧電層33a上の領域48に堆積している粉体を、図6で示すように篩落とすことである。これは、紛体と有機圧電層34aならびに紛体同士は、ファンデルワールス力もしくは粒子間に残留する水分子による水素結合力によって有機圧電層34a上に付着しており、これらの力は電気的ダイポールによる近接力であるので、無機圧電層33aから照射される超音波によって引き起こされる変位で、容易に付着力を失うことを利用している。また、無機圧電層33aは、隣接する素子とは前述のように音響結合を遮断すべくダイシング・溝充填が行われており、また有機圧電層34a自体も横方向の結合は低いものであるので、素子駆動によって除去される紛体層を、無機圧電層33aの法線方向に沿った超音波の照射方向の一部領域とするように、超音波の出力で調整することができる。
このように無機圧電層33a上の領域48に堆積している粉体を除去し、該無機圧電層33aが存在しない溝45上の領域には紛体堆積層47を残留させた櫛型の紛体マスクパターンを形成した後に、蒸着器に搬入し、図7で示すように、金属膜49(たとえば金)を蒸着して、櫛型の位置合せパターンを形成する。その位置合せパターンの形成後、図8で示すように、残留させた紛体堆積層47を洗浄除去することで、無機圧電層33aと同じ位置に金属膜49を形成することができる。この金属膜49が充分に質の良いものであれば、有機圧電層34a用の個別の信号電極34bとして使うことができ、また不十分なものであっても、この金属膜49は可視性であるので、これをアライメントマークとして、蒸着用メタルマスクの位置合わせを行い、再度金属膜49を蒸着して電極形成などを行えば、無機圧電層33aと有機圧電層34aとのアライメントを高い精度でとることができる。このようにして、既に完成している無機圧電層33aを駆動させるだけで、容易に、素子分離(切出)されている該無機圧電層33aのアレイ形状を有機圧電層34a上の個別の信号電極34bに反映させることができる。
その後、生体とのインピーダンス整合を行う音響整合層36と、エレベーション方向のフォーカスを行う音響レンズ37とを積層し、各圧電素子33,34への配線、外装などを行い、電極33b,33c;34b,34cを介して分極処理を行うことによって、有機無機積層1Dアレイ型超音波振動子31を得ることができる。
以上のように、有機圧電層34aを素子分離する個別の信号電極34bの形成を、無機圧電層33aのアレイ形状を反映するプロセスによる自己整合によって行うので、ダイシングなどによる前記無機圧電層33aの素子分離(切出)のばらつきを有機圧電層34aの素子分離に正確に反映させることができ、音軸(ビームフォーミング)のずれを無くすことができる。また、顕微鏡などを用いての複雑な位置合せの必要もなく、極めて簡単に、正確な位置合せを行うことができる。
上述の説明では、作成された無機圧電層33aの総てを振動させて、該無機圧電層33a上の領域48に堆積している粉体を除去しているけれども、それによって得られた金属膜49を前述のようなアライメントマークとして使用し、再度メタルマスクなどによる蒸着電極形成などを行う場合には、そのメタルマスクの位置合せを行えればよく、たとえば両端部分の無機圧電層33aのみを駆動し、その両端部分にだけ、前記位置合せパターンとなる金属膜49を形成するようにしてもよい。上述の例では、超音波振動子31は1次元配列であるが、2次元配列でも同様に作成することができる。
[実施の形態2]
図9〜図11は、本発明の実施の他の形態に係る超音波振動子31の作成方法を説明するため図である。本実施の形態は、有機圧電層34a上の個別の信号電極34b(位置合せパターン)の作成方法が上述の実施の形態と異なり、それ以前および以後の工程は、上述と同様である。注目すべきは、本実施の形態では、前記無機圧電層33aが、鉛を含有するPZTから成り、X線吸収率が高く、逆に、素子間充填材46は中空フィラーなどを分散させた樹脂であるので、X線透過率が高いことを利用して、無機圧電層33aをマスクとして、X線照射によって、前記信号電極34b(位置合せパターン)を形成することである。
図9〜図11は、本発明の実施の他の形態に係る超音波振動子31の作成方法を説明するため図である。本実施の形態は、有機圧電層34a上の個別の信号電極34b(位置合せパターン)の作成方法が上述の実施の形態と異なり、それ以前および以後の工程は、上述と同様である。注目すべきは、本実施の形態では、前記無機圧電層33aが、鉛を含有するPZTから成り、X線吸収率が高く、逆に、素子間充填材46は中空フィラーなどを分散させた樹脂であるので、X線透過率が高いことを利用して、無機圧電層33aをマスクとして、X線照射によって、前記信号電極34b(位置合せパターン)を形成することである。
具体的には、下面にGND電極34cが、上面に前記信号電極34bとなる金属層であるアルミ蒸着層51が形成された前記有機圧電層34aを音響整合層35上に積層し、図9で示すように、アルミ蒸着層51上にX線レジスト52を塗布する。その後、図10で示すように、バッキング層32側から、前記素子分離(切出)されている無機圧電層33aをマスクとして、X線を照射する。その照射量を調整することで、前記素子間充填材46,すなわち溝45の部分の上方だけX線レジスト52が露光され、現像処理によって、図11(a)で示すように、前記X線が照射された部分のX線レジストを除去することができる。
なお、本実施の形態では、圧電素子33,34の変質を考慮し、プリベイク・ポストベイクは行わない。このようにして形成された残留レジスト53によるレジストマスクを介して、露出しているアルミ蒸着層51を酸などで除去すると図11(b)で示すようになり、その後、残留レジスト53を除去すると、図11(c)で示すように、信号電極34bを得ることができる。X線レジスト52の密着性の低さによるサイドエッチなどにより信号電極34bが上手く形成できない場合は、前述と同様に、信号電極34bをアライメントマークとして、メタルマスクなどを介して電極蒸着をさらに行えばよい。
このようにしてもまた、既に完成している無機圧電層33aをマスクとしたX線リソグラフィーによって、容易に、素子分離(切出)されている該無機圧電層33aのアレイ形状を有機圧電層34a上の個別な信号電極34bに反映させることができる。
上述の説明では、紛体を分散したスラリーを乾燥させることで紛体堆積層47を得たが、本発明の実施の他の形態として、非磁性1成分方式の電子写真現像器を用い、現像スリーブ上のトナー層を転写し、その後、イオナイザー(風圧の非常に低いタイプ)などによる除電によって前記紛体堆積層47を得ることもできる。具体的には、図12で示すように、現像器61は、内部にトナー62、レベリングブレード63、現像ロール64、供給ロール65、アジテーター(攪拌器)66などを有し、アジテーター66はトナー62を攪拌することで摩擦帯電させ、供給ロール65は現像ロール64にトナー層68を擦り付け、レベリングブレード63は現像ロール64上のトナー層68を一定の層厚に規制する。現像ロール64および供給ロール65は、導電性を有するゴム素材と金属製の軸から成り、レベリングブレード63は金属製である。現像ロール64の軸、供給ロール65の軸およびレベリングブレード63には、層厚を制御するためにそれぞれに制御された電圧が印加されている。
そして、前述のように有機圧電層34aまで形成された超音波振動子31は、その有機圧電層34a側表面を該現像器61側に向けて、ベルトコンベア状の支持体67に接着されて該現像器61へ向けて搬送されており、その搬送速度は現像ロール64の表面の速度と同期している。こうして、現像ロール64の表面にレベリングブレード63によって一定の層厚に規制されたトナー層68は、超音波振動子31の表面に転写される。この後、無機圧電素子33の信号電極33bに電圧を印加することで電気力線を発生させ、該無機圧電素子33の上方の帯電トナーを電気的な斥力によって除去もしくは他の帯電素材に転写(電位差現像)させることで、該無機圧電素子33上のトナー層を除去する。もしくは、除電のために前記イオナイザーを備えたデシケーター内で、一定時間保管した後、無機圧電素子33の駆動による振動で紛体を除去することで、前記紛体マスクパターンを形成する。このようにしてもまた、容易に紛体を堆積させることができる。
1 超音波診断装置
2 被検体
3 超音波探触子
5 超音波診断装置本体
6 送信回路
8 受信回路
9 送受信制御回路
10 アナログ/デジタル変換器
11 画像処理回路
12 表示部
13 操作部
31 超音波振動子
32 バッキング層
33 無機圧電素子
33a 無機圧電層
33b,34b 信号電極
33c,34c GND電極
34 有機圧電素子
34a 有機圧電層
35,36 音響整合層
37 音響レンズ
45 溝
46 素子間充填材
47 紛体堆積層
49 金属膜
51 アルミ蒸着層
52 X線レジスト
61 現像器
62 トナー
63 レベリングブレード
64 現像ロール
65 供給ロール
66 アジテーター(攪拌器)
67 支持体
68 トナー層
2 被検体
3 超音波探触子
5 超音波診断装置本体
6 送信回路
8 受信回路
9 送受信制御回路
10 アナログ/デジタル変換器
11 画像処理回路
12 表示部
13 操作部
31 超音波振動子
32 バッキング層
33 無機圧電素子
33a 無機圧電層
33b,34b 信号電極
33c,34c GND電極
34 有機圧電素子
34a 有機圧電層
35,36 音響整合層
37 音響レンズ
45 溝
46 素子間充填材
47 紛体堆積層
49 金属膜
51 アルミ蒸着層
52 X線レジスト
61 現像器
62 トナー
63 レベリングブレード
64 現像ロール
65 供給ロール
66 アジテーター(攪拌器)
67 支持体
68 トナー層
Claims (5)
- 1次元または2次元配列された複数の圧電素子を有し、各圧電素子は無機圧電層上に有機圧電層が積層されて成るアレイ型超音波振動子の製造方法において、個別電極および共通電極が形成され、さらに前記圧電素子毎に素子分離され、素子間に絶縁用の充填剤が充填されて成る無機圧電層上に、前記有機圧電層を積層するにあたって、
前記無機圧電層上に共通電極を積層する工程と、
前記共通電極上に有機圧電層を積層する工程と、
前記有機圧電層上に、前記素子分離されている無機圧電層のアレイ形状を反映するプロセスによって、個別電極を形成するための位置合せパターンを形成する工程と、
前記位置合せパターンに基づき、前記個別電極を形成する工程とを含むことを特徴とするアレイ型超音波振動子の製造方法。 - 前記位置合せパターンを形成する工程は、
前記有機圧電層上に紛体を堆積させる工程と、
前記無機圧電層を駆動させて該無機圧電層の領域上の粉体を除去する工程と、
前記無機圧電層以外の領域上に残留した紛体層をマスクとして、金属層を蒸着して、前記位置合せパターンとする工程とを備えることを特徴とする請求項1記載のアレイ型超音波振動子の製造方法。 - 前記有機圧電層上に紛体を堆積させる工程は、紛体粒子を分散させたスラリーを塗布乾燥させることで行うことを特徴とする請求項2記載のアレイ型超音波振動子の製造方法。
- 前記有機圧電層上に紛体を堆積させる工程は、非磁性1成分方式の電子写真現像器を用い、現像スリーブから転写されたトナー層を前記紛体層として用いることを特徴とする請求項2記載のアレイ型超音波振動子の製造方法。
- 前記無機圧電層は、PZTから成り、
前記位置合せパターンを形成する工程は、
前記有機圧電層上に金属層を形成する工程と、
前記金属層上にX線レジストを形成する工程と、
前記無機圧電層側から、前記素子分離されている該無機圧電層をマスクとして、X線照射する工程と、
前記X線が照射された部分のX線レジストと共に、金属層を除去する工程とを備えることを特徴とする請求項1記載のアレイ型超音波振動子の製造方法。
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2008
- 2008-10-01 JP JP2008256347A patent/JP2010087965A/ja active Pending
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