JP2010087075A - マスク検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】SEM写真撮影時の電子ビームの電流値と、SEM画像のホワイトバンド幅から微細構造パターンの傾斜角度を算出し、SEM画像の微分プロファイルから微細構造パターンのボトム部の裾引き度合いを算出する。そして、CD−SEMを用いることにより、非破壊でパターンの傾斜角度と裾引き度合いを測定でき、転写シミュレータを利用することで、所望する寸法パターンの転写結果が得られるかを精度良く判定することができる。
【選択図】図1
Description
例えば、次世代マスクとして期待されているEUV(Extreme Ultra Violet)マスクは、従来のフォトマスクの透過型とは異なり反射型であるため、パターンのエッジ部分の側壁形状をなるべく垂直にすることが求められている。
また、従来、パターンの断面形状を測定する他の方法としては、原子間力顕微鏡(以下、AFM(Atomic Force Microscopy)と略称する)を用いてカンチレバーの針の形状や測定方法を工夫することで側壁形状を測定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このCD−SEMは、電子銃から照射された電子ビームがコンデンサレンズによって収束され、アパーチャーを通って測定対象パターン上に当たった際に、測定すべきパターンの表面性状(表面の段差、材料の違い)に対応して放出される二次電子または反射電子強度をディテクターで捉えることで電気信号に変換し、二次元画像を取得する。この二次元画像の情報を元に測定対象パターンの寸法などを高精度に測定できるものである。
しかし、従来では、CD−SEMにより正確な2次元情報を取得することはできたが、パターンの側壁形状などの3次元情報を正確に取得することは困難であったため、精度良くシミュレーションを行うことが出来なかった。
そのため近年、フォトマスクの微細構造パターンの側壁形状を精度良く測定する方法が求められている。
また、AFMにおいては、非破壊で測定することが可能であるが、物理的にカンチレバーの針をスキャンさせながら測定するため、スループットが非常に遅いという問題がある。さらに、測定回数に応じて針が少しずつ磨耗してしまい測定値が不正確になってしまうこともあり、多くのパターンの側壁形状を測定したい場合には不適であるという問題がある。
ただし、ΔWAorΔWB:パターンA又はパターンBのホワイトバンド幅の変化量、ΔW:検査対象パターンのホワイトバンド幅の変化量
の式から検査対象パターンの傾斜角度を算出するステップであることを特徴とする。
一般的に、CD−SEMでパターンを観察すると、微細構造パターンの傾斜面部分から二次電子が多く放出されるため、傾斜面部分が明るく見える。本実施の形態では、この明るく見える傾斜面部分をホワイトバンドと呼称する。
一方、CD−SEMの電子ビームの電流値を変更すると、電流値に比例してパターンの傾斜面部分から放出される二次電子の量が増加すると考えられる。本出願人らの調査結果により、パターンの傾斜面の傾斜角度によって、電子ビームの電流値に応じてホワイトバンドの幅が変化することが分かっている。パターンの傾斜面の傾斜角度を算出する方法はこの現象を利用したものである。
このため、本発明のマスク検査方法は、検査対象パターンの傾斜角度が90°近傍であっても、好適に傾斜角度を検査することができる。
このとき、SEM画像の観察からパターンの傾斜角度を算出することから、検査対象パターンを非破壊で検査することができる。
また、SEM画像の画像処理を用いて傾斜角度を算出することから、検査対象パターンの傾斜角度の多点測定が容易であり、AFMと比してスループットを向上して検査することができる。
また、パターンのボトム部の裾引き度合いは、SEM画像の微分プロファイルから算出する指標値とボトム部の裾引きの曲率半径とが相関関係にあることを見出した。このことから、SEM画像の微分プロファイルから指標値を取得することにより、パターンのボトム部の裾引き度合いを算出することができる。
以下、本発明にかかるマスク検査方法の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかるマスク検査方法のマスク検査工程を示すフロー図、図2は本発明のマスク検査方法によるホワイトバンド幅の基準変化量を算出するフロー図、図3は本発明のマスク検査方法による検査対象パターンの傾斜角度を測定するフロー図である。
基準変化量は、「微細構造パターンの傾斜角度と、SEM写真撮影時の電子ビームの電流値と、SEM写真のホワイトバンド幅との間の相関」を把握するために、複数の傾斜角度が既知の微細構造パターンを測定し、統計学的処理を行って決定すればよい。
具体的には、傾斜角度が既知の微細構造パターンを用意し、微細構造パターンをCD−SEMで観察する際の電子ビームの電流値を変更し、SEM画像における微細構造パターンのエッジ部位のホワイトバンド幅を測定し、電子ビームの電流値によるホワイトバンド幅の変化量と既知の傾斜角度から算出して良い。
シミュレーションでは、当然ながら電子ビームの条件(加速電圧、電流値など)を任意に変更できる。また、微細構造パターンの材料を任意に設定することができると伴に、パターンの三次元形状も任意に設計することが可能である。このため、SEMシミュレータで得られた画像や輝度分布から、ホワイトバンド幅を測定することができる。
まず、傾斜角度を測定したいサンプルと同じ材料(レジスト、クロムなど)で傾斜角度が異なるパターンを2つ作成する(以下、それぞれ、パターンA、パターンBとする)。この傾斜角度はSEMやAFM(原子間力顕微鏡)などを利用して測定し既知であるとする。なお、2つの傾斜角度の値はなるべく差がある方が望ましい。例えば、一方のパターンの傾斜角度はほぼ垂直に近く、もう一方のパターンの傾斜角度は70°程度のテーパー形状になっているのが良い。
次に、CD−SEMでの測定条件として、電子ビームの電流値を変えた条件を2種類設定する(以下、SEM条件1、SEM条件2とする)。
まず、パターンAに移動して(ステップS8)、SEM条件1で傾斜面のホワイトバンド幅を測定する(ステップS9)。次いで、SEM条件2で傾斜面のホワイトバンド幅を測定する(ステップS10)。このステップS9とS10の結果からホワイトバンド幅の変化量ΔWAを算出する(ステップS11)。
次に、パターンBに移動して(ステップS12)、SEM条件1で傾斜面のホワイトバンド幅を測定する(ステップS13)。次に、SEM条件2で傾斜面のホワイトバンド幅を測定する(ステップS14)。このステップS13とS14の結果からホワイトバンド幅の変化量ΔWBを算出する(ステップS15)。
最後にパターンA,Bの傾斜角度差ΔWA−ΔWBから下記式を用いて基準変化量を算出する(ステップS16)。
|ΔWA−ΔWB|/|微細構造パターンAの傾斜角度−微細構造パターンBの傾斜角度|=基準変化量
次に、図1に示すステップS3において、傾斜角度が未知の検査対象パターンにおける電子ビームの電流値によるホワイトバンド幅の変化量と基準変化量から検査対象パターンの傾斜角度を算出する。
検査対象パターンの傾斜角度の算出は、基準変化量の算出方法に応じて行えば良い。
以上より、CD−SEMを利用して検査対象パターンの傾斜角度を測定することが可能となる。
まず、傾斜角度が未知の測定パターンに移動して(ステップS17)、SEM条件1で微細構造パターンの凹凸部を構成する傾斜面のホワイトバンド幅を測定する(ステップS18)。次に、SEM条件2で微細構造パターンの凹凸部を構成する傾斜面のホワイトバンド幅を測定する(ステップS19)。そして、ステップS18とS19の結果からホワイトバンド幅の変化量ΔWを算出する(ステップS20)。最後に、基準変化量とパターンAorパターンBの傾斜角度及びホワイトバンド幅の変化量から、検査対象パターンの傾斜角度を、下記式を用いて算出する(ステップS21)。
検査対象パターンの傾斜角度=パターンAorパターンBの傾斜角度+(ΔWAorΔWB−ΔW)/基準変化量
ただし、ΔWAorΔWB:パターンA又はパターンBのホワイトバンド幅の変化量、ΔW:検査対象パターンのホワイトバンド幅の変化量である。
まず、図1に示すステップS4において、裾引き形状(微細構造パターンの凹凸部の底部を構成するボトム部の湾曲した凹状の形状)の指標値を算出する。この場合、図4に示す401、402が微細構造パターンの傾斜面形状をそれぞれ表すもので、図4(a)は裾引き形状が小さい例、図4(b)は裾引き形状が大きい例を示している。また、図4に示す403、404は傾斜面形状401、402に対応するSEM信号量のラインプロファイルを表している。このラインプロファイルは、2次電子の電子量に対応した輝度信号を表すものであり、パターンの傾斜面形状を反映すると考えられている。また、図4に示す405、406はラインプロファイル403、404に対して、1次微分処理を施した微分プロファイルを表している。
また、裾引き形状の指標値として、微分プロファイルのピーク位置407、408と微分プロファイルの値が0になる位置409、410との距離411、412を指標値として定義する。
次に、図1に示すステップS6において、検査対象マスクの転写シミュレーションを行う。この転写シミュレーションは、CD−SEMによって得られた寸法値などの2次元情報及び側壁形状などの3次元情報を入力して行う。
次に、図1に示すステップS7において、所望する寸法パターンの転写像が得られたかの判定を行う。その結果、所望する寸法パターンの転写像が得られなかったマスクは不良品と判定し、再度マスクを作製する。
(実施例1)
本実施例においては、フォトマスク基板の材料は限定されないが、本実施例では、合成石英基板を使用した。また、微細構造パターンの凹凸部を構成する傾斜面の形状がほぼ垂直、テーパー状、ボトム部に裾引きがある形状のフォトマスクを作製するため、3枚作製した(以下、マスクA、マスクB、マスクCと呼ぶことにする)。
次に、電子線ポジ型レジストであるZEP520A(日本ゼオン株式会社製)を200nmの厚さで前記クロム膜表面に塗布した。
次に、図示しない電子線描画装置を用いて、露光を行った。型用レジストに対して100nm〜10μmのラインパターンを描画した。このときの条件は、描画時のドーズを100μC/cm2とした。
次いで、現像を行ってレジストパターンを形成した。
最後に、レジストを剥離し、洗浄を行い、3種類のマスクを作製した。
次に、作製したマスクに対して、図1に示す検査手順に従い、検査を実施した。今回は、傾斜角度を求めるために必要な基準変動量を算出するために、マスクAおよびマスクBを基準マスクとして使用し、マスクCを検査対象マスクとした。
CD−SEMの測定条件は次のように設定した。
SEM条件1:ビーム電流5pA
SEM条件2:ビーム電流10pA
次に、同じパターンAにおいて、SEM条件2にて画像を取得しホワイトバンド幅を測定したところ、21.0nmであった。
よって、ホワイトバンド幅のSEM条件による変化量は21.0−19.9=1.1nmである。
次に、同じパターンにおいて、SEM条件2にて画像を取得しホワイトバンド幅を測定したところ、29.7nmであった。
よって、ホワイトバンド幅のSEM条件による変化量は29.7−25.7=4.0nmである。
また、ホワイトバンドの変化量と傾斜角度の関係のグラフを図6に示す。
パターンA、Bの傾斜角度差(87°−78°=9°)とホワイトバンド幅の変化量の差(4.0−1.1=2.9nm)から、傾斜角度1°あたりの基準変化量を0.32[nm/角度]とした。
次に、下記式から傾斜角度を算出した。
検査対象パターンの傾斜角度=パターンBの傾斜角度+(ΔWB−ΔW)/基準変化量
ただし、ΔWB:パターンBのホワイトバンド幅の変化量、ΔW:検査対象パターンのホワイトバンド幅の変化量である。
よって、検査対象パターンの傾斜角度は、78°+(4.0−1.8)/0.32=84.9°となった。
なお、AFMを使って上記パターンの傾斜角度を測定したところ85°となっており、本発明方法による測定結果とほぼ一致した。
なお、図7は本実施例における裾引き度合いの指標値とボトム部の曲率半径の関係を示すグラフである。
次に、図1に示すステップS6において、転写シミュレーションを行った。
転写シミュレーションに際しては、CD−SEMによって得られた寸法値、傾斜角度、裾引き度合いの情報を入力し、3次元的な情報を考慮した転写シミュレーションを行った。マスクCは側壁形状がテーパーで裾引き度合いが大きいパターンであったため、所望する寸法パターンの結果は得られなかった。よって、マスクCを非破壊で不良品と判定することができた。
Claims (5)
- フォトマスク上に形成された凹凸部からなる微細構造パターンを検査するマスク検査方法であって、
前記フォトマスク上の微細構造パターンをCD−SEMで観察して前記微細構造パターンのSEM画像を取得する工程と、
前記SEM画像から前記微細構造パターンの凹凸部を構成する傾斜面のホワイトバンド幅を測定する工程と、
前記観察時おける前記CD−SEMの電子ビームの電流値と前記測定したホワイトバンド幅から前記微細構造パターンの前記傾斜面の鉛直方向に対しての傾斜角度を算出する工程と、
前記SEM画像から前記微細構造パターンの凹凸部の底部を構成するボトム部の裾引き形状を反映した微分プロファイルを算出する工程と、
前記微分プロファイルから抽出した前記裾引き形状の指標値から前記ボトム部の裾引き度合いを算出する工程と、
を備えたことを特徴とするマスク検査方法。 - 前記ホワイトバンド幅と前記傾斜角度及びボトム部の裾引き度合いの情報を用いて、検査対象マスクの転写シミュレーションを行う工程と、前記転写シミュレーションを行うことにより、所望する寸法パターンの転写像が得られたかを判定する工程とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のマスク検査方法。
- 前記傾斜角度を算出する工程は、
前記電子ビームの電流値によるホワイトバンド幅の変化量と既知の傾斜角度から単位角度あたりのホワイトバンド幅の変化量である基準変化量を算出するステップと、
前記傾斜角度が未知の検査対象パターンを用意し、前記微細構造パターンを前記CD−SEMで観察する際の電子ビームの電流値を変更し、この時のSEM画像における微細構造パターンのエッジ部位のホワイトバンド幅を測定し、前記電子ビームの電流値によるホワイトバンド幅の変化量を取得するステップと、
前記傾斜角度が未知の検査対象パターンにおける電子ビームの電流値によるホワイトバンド幅の変化量と前記基準変化量から検査対象パターンの傾斜角度を算出するステップとから構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のマスク検査方法。 - 前記基準変化量を算出するステップは、
前記傾斜角度が既知の微細構造パターンAを用意し、前記電子ビームの電流値を2種類用いて、SEM画像における微細構造パターンのエッジ部位のホワイトバンド幅を測定し、該2種類のホワイトバンド幅の差ΔWAを算出し、
前記傾斜角度が前記微細構造パターンAと異なる傾斜角度が既知の微細構造パターンBを用意し、前記電子ビームの電流値を2種類用いて、SEM画像における微細構造パターンのエッジ部位のホワイトバンド幅を測定し、該2種類のホワイトバンド幅の差ΔWBを算出し、
基準変化量 = |ΔWA−ΔWB|/|微細構造パターンAの傾斜角度−微細構造パターンBの傾斜角度|
の式から基準変化量を算出するステップであることを特徴とする請求項3に記載のマスク検査方法。 - 検査対象パターンの傾斜角度を算出するステップは、
前記傾斜角度が未知の検査対象パターンを用意し、前記電子ビームの電流値を2種類用いて、SEM画素における微細構造パターンのエッジ部位のホワイトバンド幅を測定し、該2種類のホワイトバンド幅の差ΔWを算出し、
検査対象パターンの傾斜角度 = パターンAorパターンBの傾斜角度+(ΔWAorΔWB−ΔW)/ 基準変化量
ただし、ΔWAorΔWB:パターンA又はパターンBのホワイトバンド幅の変化量、ΔW:検査対象パターンのホワイトバンド幅の変化量
の式から検査対象パターンの傾斜角度を算出するステップであることを特徴とする請求項3に記載のマスク検査方法。
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