JP2010081950A - 意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛度評価方法および鎮痛管理方法、並びに鎮痛管理用装置 - Google Patents

意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛度評価方法および鎮痛管理方法、並びに鎮痛管理用装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鎮静下における手術および処置中の患者の痛みを検出し、それにより手術および処置の為に投与された鎮痛剤の鎮痛度を評価し、また、手術および処置中の患者の鎮痛管理を行う手段を提供する。
【解決手段】唾液試料中のアミラーゼまたはその活性を客観的指標とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における患者の痛みの検出方法、該術中の鎮痛剤による鎮痛度の評価方法、および該術中の鎮痛管理方法、並びに鎮痛管理用の薬剤供給装置および報知装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection;以下、ESDと略称することがある)における患者の痛みの検出方法、鎮痛度評価方法、および鎮痛管理方法に関する。具体的には本発明は、患者から採取された唾液試料のアミラーゼ、またはその活性を測定し、唾液アミラーゼ、またはその活性の増加を検出することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における患者の痛みの検出方法、鎮痛度評価方法、および鎮痛管理方法に関する。
本発明はまた、鎮静法において用いられる鎮痛管理用装置、具体的には薬剤供給装置および報知装置に関する。
外科手術などにおいては、患者の苦痛を軽減するために一般的に麻酔が行われる。この麻酔には局部麻酔と全身麻酔とがあるが、開腹手術などでは全身麻酔が採用されることが多い。全身麻酔においては所謂麻酔薬が投与される。全身麻酔では、患者の意識がないことや全身管理が厳重になされること、手術時間に余裕があることなどの利点がある。一方、全身麻酔では、麻酔科医が必要であることや準備が大掛かりであること、費用が高いことなどの欠点もある。
前述された全身麻酔に代わるものとして鎮静法がある。鎮静法では、患者に鎮静剤と鎮痛剤が投与される。鎮静法により患者に健忘効果が生じ、内視鏡を用いた比較的侵襲度の軽い外科手術などにおける苦痛を軽減できる。鎮静法は、麻酔科医を必要としないことや、準備が簡単で必ずしも出術室を必要としないこと、比較的安価であることなどの利点がある。一方、鎮静法では、全身管理が厳重になされないことや、患者の意識が戻ることがあり、手術時間に余裕がないことなどの欠点もある。このような鎮静法は、鎮静レベルの相違があるものの、外科手術の他、集中治療や歯科治療などにおいても利用されている。
例えば、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術は近年多くの施設で行われているが、一般的には全身麻酔(general anesthesia)よりも、深い鎮静法(deep sedation)が選択されている。しかし、ESDにかかる手術時間は適応拡大へ向かうことで長くなることが多々みられ、適切な術中管理の指標が求められる。
外科的な体表創の無い内視鏡治療では生体への侵襲の一つはストレスと考えられ、長時間の治療ではストレスが高いことが予想される。しかしこれまでその客観的評価は困難であった。
ところで、ヒトの血液や唾液にはアミラーゼが存在し、このアミラーゼを測定することが血液検査などで行われている。唾液中のアミラーゼの測定方法として、酵素法や電極法などが知られている(特許文献1〜3)。また、唾液中のα−アミラーゼ活性を指標としてストレスを判定する方法が提案されている(特許文献4)。
近年、唾液中のアミラーゼ活性で迅速かつ非侵襲的にストレスを評価できることが報告(非特許文献1)され、実用化されている。ストレスにより、視床下部は交感神経系の興奮を惹起し、その結果、交感神経系による直接神経作用によりノルエピネフリンが分泌されて唾液腺でアミラーゼが合成され、唾液中にアミラーゼが分泌される。また、ストレスによる交感神経系の興奮が副腎髄質におけるノルエピネフリンの分泌を引き起こして血中ノルエピネフリン濃度が増加し、その結果、唾液腺におけるアミラーゼの合成と唾液中のアミラーゼの分泌を引き起こす。唾液アミラーゼの増加は、交感神経系の興奮から1分から数分程度で検出される。このように、唾液アミラーゼ活性は、交感神経・副腎髄質系(SAM system)の神経活動を評価するための指標と考えられている。
また、唾液アミラーゼ活性と慢性疼痛を有する患者の疼痛度との間に関連が認められ、唾液アミラーゼ活性が疼痛度の評価に利用できることが報告されている(非特許文献2)。
しかしながら、鎮静下にある患者の手術中の痛みを客観的に評価し得る指標の報告はなく、唾液アミラーゼ活性がそのような指標として使用できるという報告もない。
特開2004−267202号公報 特開2004−24236号公報 特開2004−121214号公報 特開2002−168860号公報 山口昌樹、「日薬理誌」、2005年、第129巻、p.80−84。 シラサキ(Shirasaki,S)ら、「Correlation between salivary alpha−amylase activity and pain scale in patients with chronic pain」、リージョナル アネスシージャ アンド ペイン メディシン(Regional Anesthesia and Pain Medicine)、2007年、第32巻、第2号、p.120−123。
本発明の目的は鎮静状態にある患者の手術および処置を安全に遂行するために、鎮静状態における患者の痛みを評価する客観的指標を提供し、それにより手術および処置中の患者の痛みを検出する方法、手術および処置のために投与された鎮痛剤の鎮痛度を評価する方法、および、手術および処置中の患者の鎮痛管理を行う方法を提供することである。
前述された鎮静法において、患者が全く苦痛を感じていないわけではないことが本発明者らにより確認されている。具体的には、内視鏡的粘膜下層剥離術を受けた患者にアンケートを行ったところ、全身麻酔が施された患者は、全員が術中のことを何も覚えていないと答えているのに対して、鎮静法が施された患者には、多少なりともつらかったと答えている患者が4割程度いた。
本発明は、かかる背景の下になされたものであり、よって加えるに、鎮静法における患者が苦痛を感じていることを判定して鎮静剤または鎮痛剤を投与する手段を提供することをも目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を行い、早期胃癌患者を対象にした意識下鎮静法下のESDにおいて、患者の唾液試料中のアミラーゼ活性がESD施行中に増加すること、および該増加したアミラーゼ活性が鎮痛剤の投与により減少することを見出した。このことから、本発明者らは、唾液アミラーゼまたはその活性の増加が、意識下鎮静法下のESDにおける患者の痛みの客観的指標となることを見出し、この客観的指標を用いて、意識下鎮静法下のESD施行中の患者の痛みの検出、該術中の鎮痛剤による鎮痛度の評価、および該術中の鎮痛管理を行う方法、並びに鎮痛管理用装置を確立した。本発明はこれら知見に基づいて達成したものである。
すなわち、本発明は、間歇的または連続的に採取された唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における痛みの検出方法に関する。
また本発明は、唾液試料が間歇的に採取された唾液試料である前記痛みの検出方法に関する。
さらに本発明は、唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することが、唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加を検出することである前記いずれかの痛みの検出方法に関する。
さらにまた本発明は、唾液アミラーゼ活性の増加が、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の増加である、前記痛みの検出方法に関する。
また本発明は、意識下鎮静法が、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入されるものである前記いずれかの痛みの検出方法に関する。
さらに本発明は、内視鏡的粘膜下層剥離術が、胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術である前記いずれかの痛みの検出方法に関する。
さらにまた本発明は、間歇的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の唾液アミラーゼ活性の増加を検出することを特徴とする、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入される意識下鎮静法の内視鏡的粘膜下層剥離術における痛みの検出方法に関する。
また本発明は、間歇的または連続的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加が検出されたとき、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術において投与された鎮痛剤の鎮痛度が低下したと判定することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛剤の鎮痛度評価方法に関する。
さらに本発明は、間歇的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定する前記鎮痛剤の鎮痛度評価方法に関する。
さらにまた本発明は、唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することが、唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加を検出することである前記いずれかの鎮痛剤の鎮痛度評価方法に関する。
また本発明は、唾液アミラーゼ活性の増加が、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の増加である前記鎮痛剤の鎮痛度評価方法に関する。
さらに本発明は、意識下鎮静法が、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入されるものである前記いずれかの鎮痛剤の鎮痛度評価方法に関する。
さらにまた本発明は、内視鏡的粘膜下層剥離術が、胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術である前記いずれかの鎮痛剤の鎮痛度評価方法に関する。
また本発明は、間歇的または連続的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加の検出により鎮痛剤の投与が決定されることを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛管理方法に関する。
さらに本発明は、間歇的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定する前記鎮痛管理方法に関する。
さらにまた本発明は、唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することが、唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加を検出することである、前記いずれかの鎮痛管理方法に関する。
また本発明は、唾液アミラーゼ活性の増加が、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の増加である、前記鎮痛管理方法に関する。
さらに本発明は、意識下鎮静法が、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入されるものである、前記いずれかの鎮痛管理方法に関する。
さらにまた本発明は、内視鏡的粘膜下層剥離術が、胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術である前記いずれかの鎮痛管理方法に関する。
また本発明は、鎮静法が施されているヒトから採取された唾液を検体としてアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する唾液アミラーゼ活性測定手段と、上記測定情報に基づいて薬剤の供給を示す供給情報を出力する薬剤供給決定手段と、鎮静剤または鎮痛剤の少なくとも一方を供給すべき薬剤として保持し、上記供給情報に基づいて保持している薬剤を上記ヒトへ投与すべく供給する薬剤供給手段と、を具備する薬剤供給装置に関する。
さらに本発明は、上記薬剤供給決定手段が、上記薬剤を供給するか否かを判定するための第1閾値を有し、上記測定情報と当該第1閾値との対比に基づいて、薬剤を供給すべき供給情報を出力する上記薬剤供給装置に関する。
さらにまた本発明は、上記薬剤供給決定手段が、上記測定値に基づいて上記薬剤を供給する量を判定し、供給すべき薬剤量を含む供給情報を出力する上記いずれかの薬剤供給装置に関する。
また本発明は、鎮静法が施されているヒトから採取された唾液を検体としてアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する唾液アミラーゼ活性測定手段と、上記測定情報に基づいて報知すべきこと示す報知情報を出力する報知決定手段と、上記報知情報に基づいて報知を行う報知手段と、を具備する報知装置に関する。
さらに本発明は、上記報知決定手段が、上記報知を行うか否かを判定するための第2閾値を有し、上記測定情報と当該第2閾値との対比に基づいて上記報知情報を出力する上記報知装置に関する。
本発明によれば、採取された唾液試料中の唾液アミラーゼまたはその活性を測定し、唾液アミラーゼまたはその活性の増加を検出することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における患者の痛みの検出方法、鎮痛度評価方法、および鎮痛管理方法を提供できる。
本発明に係る方法は、唾液試料を用いることから患者にかかるストレスが少なく、また、唾液試料の採取や唾液アミラーゼ活性の測定に煩雑な操作が不要であることから迅速簡便に実施できるという利点があり、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における術中管理に有用である。
本発明によればまた、鎮静法において用いられる鎮痛管理用装置、具体的には薬剤供給装置および報知装置を提供できる。
本発明に係る薬剤供給装置によれば、鎮静法が施されたヒトから採取された唾液中のアミラーゼ活性を測定し、このアミラーゼ活性に基づいて薬剤を供給すべきか否かを判定し、鎮静法に要する薬剤を供給するので、鎮静法が施されたヒトが痛みを感じると自動的に薬剤が投与されて健忘効果が高められる。これにより、鎮静法のコントロールが簡易に行われる。
また、本発明に係る報知装置によれば、鎮静法が施されたヒトから採取された唾液中のアミラーゼ活性を測定し、このアミラーゼ活性に基づいて報知を行うべきか否かを判定して報知が行われるので、この報知に基づいて医療関係者が鎮静法に要する薬剤をヒトに投与して、鎮静法が施されたヒトの痛みを取り除くべく健忘効果が高められる。これにより、鎮静法のコントロールが簡易に行われる。
本発明は、このように、医薬分野において優れた効果を示すものである。
本発明は、採取された唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することを特徴とする、鎮静法下における手術および処置中の患者の痛みの検出方法を提供する。
本発明に係る方法の一態様として、採取された唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における痛みの検出方法を提供することができる。
唾液は間歇的または連続的に採取される。「間歇的に採取される」とは、適当な間隔を設けて採取されることを意味する。採取間隔は、患者へのストレスが少なく、かつ、患者が痛みを感じたことを早期に検出できる間隔であれば特に制限されず、30分以内であればいずれの間隔であってもよく、好ましくは30分、より好ましくは25分、さらに好ましくは20分、さらにより好ましくは15分、なお好ましくは10分、なおより好ましくは5分、さらになお好ましくは1分の間隔を適用できる。また、採取間隔は一定であることが好ましいが、必要に応じて適宜変更することができる。「連続的に採取される」とは、間隔を開けずに採取されることを意味する。
唾液の採取は患者に身体的および精神的なストレスを与えることなく短時間で採取する。唾液の採取方法は、患者にストレスを与えることなく短時間で採取できる方法であれば、公知の採取方法のいずれを用いることもできる。例えば、スポイトなどの吸引用具を使用して採取する方法や、毛細管現象を利用する器具、例えばキャピラリー、を利用して吸引することにより採取する方法が例示できる。
唾液アミラーゼの測定は、唾液アミラーゼの量を公知のタンパク質測定方法を用いて測定することにより実施でき、または、唾液アミラーゼの酵素活性を公知測定方法を用いて測定することにより実施できる。短時間で測定できることから、唾液アミラーゼの測定は、好ましくは唾液アミラーゼの酵素活性を測定することにより実施する。以下、アミラーゼの酵素活性を、単にアミラーゼ活性と称することがある。
唾液アミラーゼ活性の測定方法は、アミラーゼの酵素活性を測定する公知方法をいずれも使用できる。好ましくは公知方法のうち、短時間でアミラーゼ活性を測定し得る方法を使用する。具体的には、例えば、アミラーゼの基質を用い、唾液と基質とを混合して、アミラーゼと基質との反応により生成した酵素反応生成物を検出することにより、唾液アミラーゼ活性を測定できる。アミラーゼの基質としては、デンプン、オリゴ糖、およびこれらの誘導体を例示できる。基質としてα−2−クロロ−4−ニロトフェニル−ガラクトシルマルトシド(Gal−G2−CNP)を使用した場合、唾液アミラーゼの存在により基質が加水分解されてGal−G2とCNPとが生成する。この生成したCNPに起因する黄色発色を比色定量し、該発色の吸光度変化量によりアミラーゼ活性を測定できる。また、基質として色素により修飾した合成オリゴ糖を使用した場合、唾液アミラーゼの存在により基質が加水分解されて色素が遊離して発色するため、この色素の発色を比色定量することによりアミラーゼ活性を測定できる。唾液アミラーゼ活性の測定は、アミラーゼの酵素活性を測定するための様々な装置が市販されているため、このような装置を用いて実施することもできる。
唾液アミラーゼの増加は、唾液試料中の唾液アミラーゼを基準値と比較することにより検出できる。基準値として、施術前の唾液試料、例えば意識下鎮静法に導入する以前の唾液試料、意識下鎮静法導入直後の唾液試料、またはESD開始直後の唾液試料のアミラーゼの測定値を使用できる。また、基準値として、間歇的に採取されて測定された複数の唾液試料のうち評価する唾液試料の前回に採取された唾液試料中のアミラーゼの測定値(以下、前回の測定値と称することがある)を使用できる。あるいは、連続的に採取されて測定された唾液試料のうち評価する唾液試料の直前に採取された唾液試料中のアミラーゼの測定値を基準値として使用できる。唾液アミラーゼの増加の判定は、唾液アミラーゼまたはその活性の絶対値または変化率を指標として実施できる。変化率とは、基準値、この場合好ましくは前回の測定値と比較して増加した割合をいう。また、唾液アミラーゼの増加の判定は、前回の測定値と次の測定値との間の増加勾配を算出することにより実施できる。唾液アミラーゼの増加をその活性の増加により判定する場合、基準値と比較して20kU/L以上、好ましくは30kU/L以上、より好ましくは40kU/L以上、さらに好ましくは50kU/L以上の増加が認められたときに唾液アミラーゼが増加したと判定する。または、基準値と比較して、20%以上の増加、好ましくは30%以上の増加、より好ましくは40%の増加、さらに好ましくは50%以上の増加が認められたときに唾液アミラーゼが増加したと判定する。唾液アミラーゼの増加をその量の増加により判定する場合、判定指標とするアミラーゼ量の増加値は、アミラーゼ量とアミラーゼ活性とが相関することから、濃度の判明している唾液アミラーゼを用いてアミラーゼ活性の検量線を作成することにより、上記アミラーゼ活性の増加値を参考にして求めることができる。
意識下鎮静法で使用される鎮静剤としては、ミダゾラム(midazolam)やジアゼパム(diazepam)などのベンゾジアゼピン、およびプロポフォール(propofol)などが挙げられ、好ましくはミダゾラムが使用される。一般的に、鎮静剤は鎮静状態の維持のために、連続的に微量注入される。鎮静剤の用量は、一般的に意識下鎮静法で使用されている用量であればよく、患者の鎮静導入の状態などにより適宜変更することができる。意識下鎮静法で使用される鎮痛剤としては、好ましくはペンタゾシン(pentazocine)が挙げられる。一般的に鎮痛剤は、鎮静状態の導入時に鎮静剤と共に投与されるほか、適宜、必要に応じて投与される。患者鎮痛剤の用量は、一般的に意識下鎮静法で使用されている用量であればよく、患者の鎮痛状態などにより適宜変更することができる。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、悪性腫瘍、好ましくは早期悪性腫瘍の切除に使用される内視鏡を用いた手術法である。ESDでは、電気メスでまず癌の周辺を充分切開してから、粘膜下層を筋層との間で剥ぎ取ってゆくため、大きな病巣をも取り残しなく切除することが可能である。ESDを適用し得る悪性腫瘍として、胃癌、大腸癌、および食道癌などの消化器癌が挙げられ、好ましくは胃癌が挙げられる。
本発明はまた、唾液試料のアミラーゼを測定することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛剤の鎮痛度評価方法を提供する。ここで、「鎮痛剤の鎮痛度」とは、投与された鎮痛剤による鎮痛効果の度合いを意味する。
意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術では鎮静剤により鎮静状態を導入すると共に、患者のストレス低減のために鎮痛剤が投与される。この鎮痛剤の効果の度合いを、採取された唾液試料中のアミラーゼまたはその活性の増加を指標に評価する。
唾液試料のアミラーゼまたはその活性を測定し、唾液アミラーゼまたはその活性の増加を検出することにより、上述のように意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における患者の痛みを検出することができる。
したがって、唾液試料のアミラーゼまたはその活性を測定し、唾液アミラーゼまたはその活性の増加を検出することにより、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における患者の痛みを検出することができ、それにより、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術において投与された鎮痛剤の鎮痛度が低下したと判定できる。
本発明はさらに、唾液試料のアミラーゼまたはその活性を測定し、唾液アミラーゼまたはその活性の増加の検出により鎮痛剤の投与が決定されることを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛管理方法を提供する。
意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術では鎮静剤により鎮静状態を導入すると共に、患者の痛みの低減のために鎮痛剤が投与される。鎮痛剤は、患者の痛みに応じて適宜投与されることが好ましい。例えば体動を患者の痛みの指標として鎮痛剤を投与することもできるが、患者により痛みの忍耐度が異なるなどの問題があり、体動は好ましい痛みの指標とはいえない。一方、唾液試料のアミラーゼまたはその活性の増加は、患者の痛みの客観的指標であり、該増加を検出することにより鎮痛剤投与が必要な時期を決定できる。すなわち、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術において、唾液試料のアミラーゼまたはその活性の増加が検出されたとき、その検出の直後に鎮痛剤を投与することが適当であると決定される。このように、唾液試料のアミラーゼまたはその活性の増加は、鎮痛剤投与時期の決定の客観的指標になる。
唾液試料のアミラーゼまたはその活性の増加が、鎮痛剤投与時期の決定の客観的指標になることから、唾液試料のアミラーゼまたはその活性の測定、唾液アミラーゼまたはその活性の増加の検出、および、唾液アミラーゼまたはその活性の増加に基づく鎮痛剤の投与を、順次一連の工程で行う装置を本発明により提供することができる。本装置は、次の主要部分を備え、これら主要部分は連動することを特徴とする:(i)唾液アミラーゼまたはその活性の測定部分、(ii)測定値と基準値とを比較して唾液アミラーゼまたはその活性の変化率または増加勾配を算出する部分、(iii)測定値および変化率を表示する部分、(iv)唾液アミラーゼまたはその活性の増加に基づいて鎮痛剤の自動的な投与を指示する部分、(V)鎮痛剤を自動的に投与する部分。唾液試料は、間歇的に採取し、順次該装置の測定部に添加することができる。また、唾液採取器具を口腔内に挿入することにより、唾液試料を連続的に採取して唾液アミラーゼまたはその活性を連続的に測定することができる。
本発明はまた、鎮静法において用いられる鎮痛管理用装置、具体的には薬剤供給装置および報知装置を提供する。
本発明に係る薬剤供給装置は、鎮静法が施されているヒトから採取された唾液を検体としてアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する唾液アミラーゼ活性測定手段と、上記測定情報に基づいて薬剤の供給を示す供給情報を出力する薬剤供給決定手段と、鎮静剤または鎮痛剤の少なくとも一方を供給すべき薬剤として保持し、上記供給情報に基づいて保持している薬剤を上記ヒトへ投与すべく供給する薬剤供給手段と、を具備するものである。
鎮静法は、ヒトに鎮静剤および鎮痛剤が投入されることによって施される。鎮静法が施されたヒトの口から適当な採取具を用いて唾液を採取する。唾液の採取は、間歇的または連続的に行うことができ、間歇的に行うことが好ましい。採取された唾液を検体として唾液アミラーゼ活性測定手段によってアミラーゼ活性が測定される。唾液アミラーゼ活性は、例えば、検体中のアミラーゼとの基質反応により発色する試薬が用いられ、この発色の程度が光学的に検量されることにより数値化される。唾液アミラーゼ活性測定手段は、数値化された測定値(アミラーゼ活性)を測定情報として、例えば電気信号により出力する。
薬剤供給決定手段は、例えば唾液アミラーゼ活性測定手段と電気的に接続されることによって、出力された測定情報を得る。薬剤供給決定手段は、得られた測定情報に基づいて、薬剤を供給すべきか否かを判定して、薬剤を供給すべきとの判定に基づいて供給情報を出力する。この供給情報は、例えば電気信号として出力される。
薬剤供給手段は、ヒトに供給すべき薬剤を保持する。この薬剤は、鎮静法に要する薬剤であり、具体的には鎮静剤または鎮痛剤の少なくともいずれか一方である。薬剤供給手段は、例えばシリンジポンプを有し、シリンジ内に保持された薬剤を所望の量だけ供給し得る。薬剤供給手段は、例えば薬剤供給決定手段と電気的に接続されることによって、出力された供給情報を得る。薬剤供給手段は、得られた供給情報に基づいて、保持された薬剤を供給する。この供給は、例えば鎮静法が施されたヒトに繋がれている輸液回路などに対して行われる。これにより、薬剤供給手段が供給した薬剤が、鎮静法が施されたヒトに投与される。
上記薬剤供給決定手段は、上記薬剤を供給するか否かを判定するための第1値を有し、上記測定情報と当該第1閾値との対比に基づいて、薬剤を供給すべき供給情報を出力するものであってもよい。
本薬剤供給決定手段において「閾値」とは、鎮静法下で患者が痛みを感じたと判定するのに十分な唾液アミラーゼ活性の値をいう。上述のように、鎮静法下での患者の痛みの判定は、唾液アミラーゼ活性の増加の検出により行うことができる。したがって、閾値は、上述の基準値に20kU/Lを加えた値、好ましくは30kU/Lを加えた値、より好ましくは40kU/Lを加えた値、さらに好ましくは50kU/Lを加えた値であり得る。閾値は、基準値を測定した後に、それに基づいて設定することができる。例えば、閾値として、20kU/L、好ましくは30kU/L、より好ましくは40kU/L、さらに好ましくは50kU/L、さらに好ましくは100kU/Lを挙げることができる。
薬剤供給決定手段は、得られた測定情報に含まれる測定値と第1閾値とを比較して、測定値が第1閾値以上であれば薬剤を供給すべきと判定して供給情報を出力する。
上記薬剤供給決定手段は、上記測定値に基づいて上記薬剤を供給する量を判定し、供給すべき薬剤量を含む供給情報を出力するものであってもよい。
薬剤供給決定手段は、測定値と薬剤供給量との関係を示す関数やテーブルを有する。薬剤供給決定手段は、得られた測定情報に含まれる測定値から上記関数やテーブルに基づいて、供給すべき薬剤量を算出して供給情報を出力する。これにより、唾液アミラーゼ活性の測定値に基づいて定量的に薬剤を投与することができる。
本発明に係る報知装置は、鎮静法が施されているヒトから採取された唾液を検体としてアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する唾液アミラーゼ活性測定手段と、上記測定情報に基づいて報知すべきこと示す報知情報を出力する報知決定手段と、上記報知情報に基づいて報知を行う報知手段と、を具備するものである。
鎮静法は、ヒトに鎮静剤および鎮痛剤が投入されることによって施される。鎮静法が施されたヒトの口から適当な採取具を用いて唾液を採取する。採取された唾液を検体として唾液アミラーゼ活性測定手段によってアミラーゼ活性が測定される。唾液アミラーゼ活性は、例えば、検体中のアミラーゼとの基質反応により発色する試薬が用いられ、この発色の程度が光学的に検量されることにより数値化される。唾液アミラーゼ活性測定手段は、数値化された測定値(アミラーゼ活性)を測定情報として、例えば電気信号により出力する。
報知決定手段は、例えば唾液アミラーゼ活性測定手段と電気的に接続されることによって、出力された測定情報を得る。報知決定手段は、得られた測定情報に基づいて、薬剤を供給すべきか否かを判定して、薬剤を供給すべきとの判定に基づいて報知情報を出力する。この報知情報は、例えば電気信号として出力される。
報知手段は、例えば、音や光、振動など、ヒトの五感により感知しうる報知を行うものである。報知手段は、例えば報知決定手段と電気的に接続されることによって、出力された報知情報を得る。報知手段は、得られた報知情報に基づいて報知を行う。この報知が、鎮静法を監視している医療関係者に感知され、医療関係者は報知に基づいて、鎮静法が施されたヒトに薬剤を投与する。
上記報知決定手段は、上記報知を行うか否かを判定するための第2閾値を有し、上記測定情報と当該第2閾値との対比に基づいて上記報知情報を出力するものであってもよい。
報知決定手段は、得られた測定情報に含まれる測定値と第2閾値とを比較して、測定値が第2閾値以上であれば報知を行うべきと判定して報知情報を出力する。
本報知決定手段において「閾値」とは、鎮静法下で患者が痛みを感じたと判定するのに十分な唾液アミラーゼ活性の値をいう。上述のように、鎮静法下での患者の痛みの判定は、唾液アミラーゼ活性の増加の検出により行うことができる。したがって、閾値は、上述の基準値に20kU/Lを加えた値、好ましくは30kU/Lを加えた値、より好ましくは40kU/Lを加えた値、さらに好ましくは50kU/Lを加えた値であり得る。閾値は、基準値を測定した後に、それに基づいて設定することができる。例えば、閾値として、20kU/L、好ましくは30kU/L、より好ましくは40kU/L、さらに好ましくは50kU/L、さらに好ましくは100kU/Lを挙げることができる。。
本発明に係る薬剤供給装置または報知装置によれば、本発明に係る鎮痛管理方法を実施することができる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更され得る。
早期胃癌患者について内視鏡的粘膜下層剥離術(以下、ESD)を意識下鎮静法または全身麻酔下で実施し、術中の唾液中アミラーゼ活性の変化を測定した。また、術後に患者アンケートを実施し、麻酔法の違いによる患者ストレスを比較評価した。本実施例は、インフォームドコンセントを行って患者の意思を確認した後に実施したものである。
ESDは、早期胃癌患者26症例(表1)を対象として実施した。26症例のうち16症例は意識下鎮静法下(以下D群と称する)で、また、10症例は全身麻酔下(以下G群と称する)で実施した(図1)。D群は、ミダゾラム(midazolam)2.5〜3.5mgおよびペンタゾシン(pentazocine)7.5mgを静脈内投与すること(以下、ivと略称することがある)により鎮静状態を導入し、その後、ミダゾラムを2.5〜3.5mg/hで静脈内投与することにより鎮静状態を維持すると共に、ペンタゾシンを適宜投与することにより鎮痛状態を維持した。G群はプロポフォル(propofol)0.5mg/kg/10minおよびフェンタニル(fentanyl)0.1mgを静脈内投与することにより麻酔状態を導入し、その後、セボフルラン(sevoflurane)で麻酔状態を維持した。鎮静状態の評価は、バイスペクトラルインデックス(bispectral index、以下BISと略称することがある)をBISモニター(ASPECTS MEDICAL社製)を使用して測定することにより行った。BISモニターは脳波変化すなわち覚醒時の速波が麻酔薬により高振幅徐波化し最終的に平坦化するまでの過程を数値化することにより鎮静状態を検出する装置である。また、最大血圧(BPmaxと略称することがある)および脈拍数(PRと略称することがある)を測定した。
Figure 2010081950
唾液アミラーゼ活性の測定は、ESD前、鎮静状態または麻酔状態への導入後、およびESD施行中30分間隔で行い、さらに、ESD終了の数時間後、および退院前にも実施した(図1)。唾液は、患者の舌下より採取した。唾液アミラーゼ活性の測定は、唾液アミラーゼモニター(ニプロ株式会社製)を使用して実施した。唾液採取から唾液アミラーゼ活性の測定結果を得るまでに要する時間は1分間程度である。
D群およびG群の唾液アミラーゼ活性の術前、術中および術後の変化を図2および図3に示す。図2は唾液アミラーゼ活性の絶対値を、図3は唾液アミラーゼ変化の相対値を示す。D群の唾液アミラーゼ活性は、ESD前日には約45kU/Lであったが、麻酔後に約20kU/Lに低下し、ESD開始30分後から漸増して150分後には約120kU/Lに達し、その後減少した。一方、G群の唾液アミラーゼ活性は、ESD前日には約70kU/Lであり、麻酔後およびESD術中のいずれの測定においてもそれより低い値を示した。
D群の症例のうち代表的な1症例の唾液アミラーゼ活性の術前、術中および術後の変化を図4に示す。本症例は、BISモニターの値から明らかなように、施術中の鎮静状態がよく維持されていた。一方、唾液アミラーゼ活性はESD開始時にほぼ0kU/Lであったが、ESD開始60分後には約250kU/Lに増加した。そこで、鎮痛剤ペンタゾシン7.5mgを静脈内投与し、直後に唾液アミラーゼ活性を測定したところ、その活性はESD開始時と同等にまで低下し、ESD開始後120分までほぼ0kU/Lで推移した。しかし、ESD開始150分後に、唾液アミラーゼ活性が約200kU/Lに増加したため、ペンタゾシン7.5mgを静脈内投与したところ、その活性はESD開始時と同等にまで低下した。
このように、意識下鎮静法でのESD施行中に唾液アミラーゼ活性が増加し、該増加した唾液アミラーゼ活性が鎮痛剤の投与により著しく低下したことから、唾液アミラーゼ活性の増加は、投与した鎮痛剤の効果が低減し、それにより患者が痛みを感じていることを反映していると考えることができる。すなわち、意識下鎮静法でのESD施行中の唾液アミラーゼ活性の増加は、患者の痛みの検出および鎮痛剤による鎮痛度評価の指標として使用できる。
患者アンケートの結果を表2に示す。表2から、意識下鎮静法下でESDを受けた患者の約44%が何らかのストレスを感じたことが明らかになった。
Figure 2010081950
意識下鎮静法下でESD施行中の患者のストレスは、上記のように、鎮痛剤による鎮痛効果の低減による痛みが一因であると考えることができる。唾液アミラーゼ活性を測定して該活性の増加を検出することにより、患者の痛みを検出することができ、また、鎮痛剤を投与する適切な時期を決定することができる。このように、唾液アミラーゼ活性の測定により、施術中の患者の鎮痛管理を行うことができ、その結果、患者のストレスを低減することができる。
以下に、本発明に係る鎮痛管理用装置の第1実施形態に係る薬剤供給装置10が説明される。
図5に示されるように、薬剤供給装置10は、唾液アミラーゼモニター11と、コンピュータ12と、シリンジポンプ13とを主要な構成とする。唾液アミラーゼモニター11とコンピュータ12、およびコンピュータ12とシリンジポンプ13とは、電子信号から構成される情報を通信可能に電気的に接続されている。これらの接続は、例えばLANなどの所定の通信規格によって実現される。唾液アミラーゼモニター11が本発明に係る唾液アミラーゼ活性測定手段に相当し、コンピュータ12が薬剤供給決定手段に相当し、シリンジポンプ13が薬剤供給手段に相当する。
唾液アミラーゼモニター11は、ヒトから採取された唾液を検体として、その唾液中に含まれるアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する。唾液アミラーゼモニター11は、本体14と検体採取部15とを主要な構成とする。
検体採取部15は、鎮静法が施されたヒト16の唾液を採取するためのものであり、唾液の採取および保持が可能な材質および形状が採用される。検体採取部15は、唾液が保持された側を本体14に差し込むように、本体14に対して挿抜可能である。
本体14には、アミラーゼ活性を測定可能な試薬が保持されている。唾液が保持された検体採取部15が本体14に差し込まれると、本体14内の試薬と検体採取部15に保持された唾液とが接触して反応する。試薬は、例えば酵素反応によって色源体を生成する。
本体14には、試薬の反応によって生成された色源体を光学的に測定する色判別センサーが内蔵されている。この色判別センサーは、測定した光学量を電子信号として出力する。本体14は、この電子信号をアミラーゼ活性値として数値化してディスプレイに表示し、また、インターフェイスを通じて外部情報機器へ出力することができる。本体14から出力されるアミラーゼ活性値が本発明における測定情報に相当する。
前述された唾液アミラーゼモニター11の一例が、特開2004−267202号公報、特開2004−24236号公報および特開2004−121214号公報(特許文献1〜3)に開示されている。
各図には現れていないが、コンピュータ12は、CPU、ROMおよびRAMを制御部として有し、この制御部がバスを介してLAN I/F(Local Area Network Interface)、HDD(Hard Disk Drive)、キーボード、マウスおよびディスプレイと通信可能に接続されて構成されている。
制御部のROMには、CPUがアミラーゼ活性値に基づいて薬剤を供給すべきか否かおよび供給量を判定するためのプログラム等が格納されている。RAMは、このプログラム等をCPUが実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域または作業領域として使用される。
LAN I/Fは、コンピュータ12を唾液アミラーゼモニター11およびシリンジポンプ13と通信可能に接続するインターフェースである。HDDには、キーボード等から入力された情報に基づいて各種処理をCPUが実行するためのプログラム等が格納されている。キーボードおよびマウスは、制御部に対する動作指示や設定等の操作入力を受け付けるものである。ディスプレイは、各種画面情報を表示するものである。
コンピュータ12の制御部には、アミラーゼ活性値に基づいて薬剤を供給するか否かの判定、および供給すべき薬剤量を判定するプログラムが格納されている。このプログラムには、薬剤を供給するか否かを判定するための閾値が設定されている。鎮静法が施されたヒト16の唾液におけるアミラーゼ活性値は、ほぼゼロとなるので、閾値として例えば50〜100kU/Lが設定されうる。プログラムは、唾液アミラーゼモニター11から出力されたアミラーゼ活性値を受信すると、そのアミラーゼ活性値が閾値以上であるか否か比較する。そして、アミラーゼ活性値が閾値以上であれば薬剤を供給すべき供給情報を電子信号として出力する。この閾値が本発明における第1閾値に相当する。
また、前述されたプログラムは、受信したアミラーゼ活性値が閾値以上であることを条件として、薬剤を供給する量を算出する。プログラムには、前述された閾値以上のアミラーゼ活性値を所定の数値範囲とし、各数値範囲に対応する薬剤量が設定されたテーブルが設定されている。数値範囲は、例えば、50kIU/L毎に区切られている。そして、供給すべき薬剤量は、アミラーゼ活性値に比例して大きくなるように設定されている。プログラムは、唾液アミラーゼモニター11から受信したアミラーゼ活性値が前述された色一以上であれば、このテーブルを用いて、そのアミラーゼ活性値がいずれの数値範囲に属するかを判定し、属する数値範囲に対応する薬剤量を供給すべき薬剤量をして前述された供給情報に含ませて出力する。なお、供給すべき薬剤量の算出は、このようなテーブルに代えて、アミラーゼ活性値と薬剤量との関数に基づいて算出されてもよい。また、供給すべき薬剤が複数であれば、各薬剤毎に供給量が算出される。
シリンジポンプ13は、鎮静法に用いるべき薬剤が充填されたシリンジ17,18と、各シリンジ17,18のプランジャを駆動する不図示のアクチュエータと、供給量情報に基づいて各アクチュエータへ駆動信号を出力する制御部とを有する。シリンジ17,18には、鎮静法に用いられる鎮静剤または鎮痛剤がそれぞれ充填されている。制御部は、前述された供給情報を受信すると、供給情報に各薬剤を供給すべき指令が含まれているか否かを判定し、供給すべき指令が含まれている場合には、供給量に基づいてアクチュエータの駆動量を示す駆動信号を出力して、各シリンジ17,18から各薬剤を流出させる。各シリンジ17,18は、それぞれの先端にチューブなどが接続されて液体流路19,20が形成されており、これら液体流路19,20が、ヒト16の静脈などに接続された輸液回路等と例えば三方活栓を介してそれぞれ連結されている。したがって、シリンジ17,18からそれぞれ流出された各薬剤は、液体流路19,20および輸液回路等を通じてヒト16に投与される。
以下、前述された薬剤供給装置10が用いられた薬剤供給方法が説明される。
所望の手術などが行われるヒト16に対して鎮静法が施される。この鎮静法は、ヒト16に鎮静剤および鎮痛剤が投入されることによって施される。
図6に示されるように、鎮静法が施されたヒト16の口から検体採取部15を用いて唾液を採取する(S1)。この唾液の採取は、別の採取具を用いて行い、採取した唾液を検体採取部15へ移してもよい。唾液を採取するタイミングは、例えば、鎮静法が施されてから30分毎に行われる。
唾液を採取した後、検体採取部15を唾液アミラーゼモニター11の本体14に挿入して、アミラーゼ活性値を測定する(S2)。唾液アミラーゼモニター11は、アミラーゼ活性値を測定すると測定値をコンピュータ12へ出力する。
コンピュータ12は、測定値を受信すると、前述されたように閾値と対比して薬剤を供給すべきか否かを判定する(S3)。さらに薬剤を供給すべきであれば(S3:Y)。薬剤の供給量を算出する(S4)。そして、これらを示す供給情報をシリンジポンプ13へ出力する。コンピュータ12は、測定値が前述された閾値未満であれば、供給情報を出力することなく動作を終了する(S3:N)。
シリンジポンプ13は、供給情報を受信すると、供給すべきとの指令がある薬剤、すなわち鎮静剤または鎮痛剤を、供給情報に含まれる供給量だけ供給すべくアクチュエータを駆動して、各シリンジ17,18から薬剤を流出させる(S5)。流出された薬剤は、液体流路19,20および輸液回路などを通じてヒト16に投与される。
前述されたように、本実施形態に係る薬剤供給装置によれば、鎮静法が施されたヒト16から採取された唾液中のアミラーゼ活性を測定し、このアミラーゼ活性値に基づいて薬剤を供給すべきか否かを判定し、鎮静法に要する薬剤を供給するので、鎮静法が施されたヒト16が痛みを感じると自動的に薬剤が投与されて健忘効果が高められる。これにより、鎮静法のコントロールが簡易に行われる。
また、コンピュータ12が、アミラーゼ活性値に基づいて薬剤を供給する量を算出し、供給すべき薬剤量を含む供給情報を出力するので、唾液アミラーゼ活性の測定値に基づいて定量的に薬剤を投与することができる。
以下に、本発明に係る鎮痛管理用装置の第2実施形態に係る報知装置30が説明される。
図7に示されるように、報知装置30は、唾液アミラーゼモニター11と、コンピュータ12と、ブザー31とを主要な構成とする。唾液アミラーゼモニター11とコンピュータ12、およびコンピュータ12とブザー31とは、電子信号から構成される情報を通信可能に電気的に接続されている。これらの接続は、例えばLANなどの所定の通信規格によって実現される。唾液アミラーゼモニター11が本発明に係る唾液アミラーゼ活性測定手段に相当し、コンピュータ12が報知決定手段に相当し、ブザー12が報知手段に相当する。
唾液アミラーゼモニター11は、ヒトから採取された唾液を検体として、その唾液中に含まれるアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する。唾液アミラーゼモニター11は、本体14と検体採取部15とを主要な構成とする。この唾液アミラーゼモニター11は、前述された第1実施形態と同様のものなので、ここでは、詳細な説明が省略される。
コンピュータ12は、CPU、ROMおよびRAMを制御部として有し、この制御部がバスを介してLAN I/F、HDD、キーボード、マウスおよびディスプレイと通信可能に接続されて構成されている。このコンピュータ12は、インストールされているプログラムが異なる他は、前述された第1実施形態と同様のものなので、異なる部分のみが詳細に説明され、その他の詳細な説明が省略される。
コンピュータ12の制御部には、アミラーゼ活性値に基づいて報知を行うか否かを判定するプログラムが格納されている。このプログラムには、報知を行うか否かを判定するための閾値が設定されている。鎮静法が施されたヒト16の唾液におけるアミラーゼ活性値は、ほぼゼロとなるので、閾値として例えば50〜100kU/Lが設定されうる。プログラムは、唾液アミラーゼモニター11から出力されたアミラーゼ活性値を受信すると、そのアミラーゼ活性値が閾値以上であるか否か比較する。そして、アミラーゼ活性値が閾値以上であれば報知を行うべき報知情報を電子信号として出力する。この閾値が本発明における第2閾値に相当する。
ブザー31は、報知情報を受信すると警告音としてブザー音を発振する。図には現れていないが、ブザー31には停止ボタンが設けられており、停止ボタンが押下されると、ブザー31はブザー音の発振を停止する。なお、このブザー31は、コンピュータ12と一体に設けられてもよい。また、ブザー31に代えて、光を発するライトや、振動を発するバイブレータなどであってもよいし、これらが複合して用いられてもよい。
以下、前述された報知装置30が用いられた薬剤供給方法が説明される。
所望の手術などが行われるヒト16に対して鎮静法が施される。この鎮静法は、ヒト16に鎮静剤および鎮痛剤が投入されることによって施される。
図8に示されるように、鎮静法が施されたヒト16の口から検体採取部15を用いて唾液を採取する(S11)。この唾液の採取は、別の採取具を用いて行い、採取した唾液を検体採取部15へ移してもよい。唾液を採取するタイミングは、例えば、鎮静法が施されてから30分毎に行われる。
唾液を採取した後、検体採取部15を唾液アミラーゼモニター11の本体14に挿入して、アミラーゼ活性値を測定する(S12)。唾液アミラーゼモニター11は、アミラーゼ活性値を測定すると測定値をコンピュータ12へ出力する。
コンピュータ12は、測定値を受信すると、前述されたように閾値と対比して報知を行うか否かを判定する(S13)。コンピュータ12は、測定値が前述された閾値以上であれば報知情報をブザー31へ出力し(S13:Y)、測定値が前述された閾値未満であれば報知情報を出力することなく動作を終了する(S13:N)。
ブザー31は、報知情報を受信するとブザー音を発振する(S14)。これにより、鎮静法を監視している医療関係者はヒト16に薬剤を投与すべきタイミングであることを知る。そして、ブザー音を聞いた医療関係者は、鎮静法が施されたヒト16に薬剤、つまり鎮静剤または鎮痛剤を適切なタイミングで投与することができる。
前述されたように、本実施形態に係る報知装置30によれば、鎮静法が施されたヒト16から採取された唾液中のアミラーゼ活性を測定し、このアミラーゼ活性に基づいて報知を行うべきか否かを判定して報知が行われるので、この報知に基づいて医療関係者が鎮静法に要する薬剤をヒト16に投与することができ、その結果、健忘効果が高められて、鎮静法が施されたヒト16の痛みが除かれる。これにより、鎮静法のコントロールが簡易に行われる。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を受けた早期胃癌患者の入院から退院までの期間中の、唾液アミラーゼ活性測定時を示す図である。 ESD施行前、施行中および施行後の、唾液アミラーゼ活性を示す図である。D群は意識下鎮静法下のESD施行群(16症例)を、G群は麻酔下のESD施行群(10症例)を示す。記号「■」および「◆」はそれぞれD群およびG群を指す。値は各症例の平均値を示す。記号「※」および「※※」はそれぞれ有意差P<0.01およびP<0.05を示す。 ESD施行前、施行中および施行後の唾液アミラーゼ活性の変化率を示す図である。D群は意識下鎮静法下のESD施行群(16症例)を、G群は麻酔下のESD施行群(10症例)を示す。記号「■」および「◆」はそれぞれD群およびG群を指す。値は各症例の平均値を示す。記号「※」および「※※」はそれぞれ有意差P<0.01およびP<0.001を示す。 意識下鎮静法下のESD施行症例における唾液アミラーゼ活性を示す図である。本症例は、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)を静脈内投与(iv)することにより鎮静状態を導入し、その後、ミダゾラムで鎮静状態を維持する共に、ペンタゾシンを適宜投与した。図中、記号「◆」は唾液アミラーゼ活性を、記号「■」は鎮静状態を表すバイスペクトラルインデックス(BIS)を、記号「▲」は最高血圧(BPmax)を、記号「●」は脈拍数(PR)を示す。 本発明の第1実施形態に係る薬剤供給装置10の構成を示す構成図である。 薬剤供給装置10を用いた薬剤供給方法を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る報知装置30の構成を示す構成図である。 報知装置30を用いた薬剤供給方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10・・・薬剤供給装置
11・・・唾液アミラーゼモニター(唾液アミラーゼ活性測定手段)
12・・・コンピュータ(薬剤供給決定手段、報知決定手段)
13・・・シリンジポンプ(薬剤供給手段)
14・・・唾液アミラーゼモニター11の本体
15・・・唾液アミラーゼモニター11の検体採取部
16・・・ヒト
17・・・シリンジ
18・・・シリンジ
19・・・液体流路
20・・・液体流路
30・・・報知装置
31・・・ブザー(報知手段)

Claims (24)

  1. 間歇的または連続的に採取された唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における痛みの検出方法。
  2. 唾液試料が間歇的に採取された唾液試料である請求項1に記載の方法。
  3. 唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することが、唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加を検出することである請求項1または2に記載の方法。
  4. 唾液アミラーゼ活性の増加が、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の増加である、請求項3に記載の方法。
  5. 意識下鎮静法が、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入されるものである請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 内視鏡的粘膜下層剥離術が、胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術である請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 間歇的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の唾液アミラーゼ活性の増加を検出することを特徴とする、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入される意識下鎮静法の内視鏡的粘膜下層剥離術における痛みの検出方法。
  8. 間歇的または連続的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加が検出されたとき、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術において投与された鎮痛剤の鎮痛度が低下したと判定することを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛剤の鎮痛度評価方法。
  9. 間歇的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定する請求項8に記載の方法。
  10. 唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することが、唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加を検出することである請求項8または9に記載の方法。
  11. 唾液アミラーゼ活性の増加が、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の増加である、請求項10に記載の方法。
  12. 意識下鎮静法が、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入されるものである請求項8から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 内視鏡的粘膜下層剥離術が、胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術である請求項8から12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 間歇的または連続的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加の検出により鎮痛剤の投与が決定されることを特徴とする、意識下鎮静法下の内視鏡的粘膜下層剥離術における鎮痛管理方法。
  15. 間歇的に採取された唾液試料のアミラーゼ活性を測定する請求項14に記載の方法。
  16. 唾液試料のアミラーゼを測定し、唾液アミラーゼの増加を検出することが、唾液試料のアミラーゼ活性を測定し、唾液アミラーゼ活性の増加を検出することである請求項14または15に記載の方法。
  17. 唾液アミラーゼ活性の増加が、施術前の唾液アミラーゼ活性と比較して20kU/L以上の増加である、請求項16に記載の方法。
  18. 意識下鎮静法が、ミダゾラム(midazolam)およびペンタゾシン(pentazocine)の静脈内投与により導入されるものである請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 内視鏡的粘膜下層剥離術が、胃癌の内視鏡的粘膜下層剥離術である請求項14から18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 鎮静法が施されているヒトから採取された唾液を検体としてアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する唾液アミラーゼ活性測定手段と、上記測定情報に基づいて薬剤の供給を示す供給情報を出力する薬剤供給決定手段と、鎮静剤または鎮痛剤の少なくとも一方を供給すべき薬剤として保持し、上記供給情報に基づいて保持している薬剤を上記ヒトへ投与すべく供給する薬剤供給手段と、を具備する薬剤供給装置。
  21. 上記薬剤供給決定手段は、上記薬剤を供給するか否かを判定するための第1閾値を有し、上記測定情報と当該第1閾値との対比に基づいて、薬剤を供給すべき供給情報を出力する請求項20に記載の薬剤供給装置。
  22. 上記薬剤供給決定手段は、上記測定値に基づいて上記薬剤を供給する量を判定し、供給すべき薬剤量を含む供給情報を出力する請求項20または21に記載の薬剤供給装置。
  23. 鎮静法が施されているヒトから採取された唾液を検体としてアミラーゼ活性を測定し、その測定値を示す測定情報を出力する唾液アミラーゼ活性測定手段と、上記測定情報に基づいて報知すべきこと示す報知情報を出力する報知決定手段と、上記報知情報に基づいて報知を行う報知手段と、を具備する報知装置。
  24. 上記報知決定手段は、上記報知を行うか否かを判定するための第2閾値を有し、上記測定情報と当該第2閾値との対比に基づいて上記報知情報を出力する請求項23に記載の報知装置。
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