JP2010081520A - 反射層付き電波放射体の構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のアンテナを配列したときに、両者のアイソレーションを確保する。
【解決手段】アンテナ、フィルタ、バランなどの電波を放射する第1回路1と、前記第1回路からの電波によりその特性に影響を受ける第2回路2と、前記第1回路と前記第2回路の間に配置され、前記第1回路の電波による前記第2回路に対する影響を軽減する第3回路3とを備える。前記第3回路は、第2線路5とこれよりも幅の広い第1線路4をそれぞれひとつ以上含み、前記第1線路と前記第2線路を直列に接続してなる櫛形の線路3−1〜3−4を含む。前記櫛形の線路の一方の端は接地され、他方の端は開放または短絡されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射層付き電波放射体の構造に関し、特に、複数のアンテナ間の干渉を防止するアイソレーション素子を含む電子回路に関する。
近年、複数のアンテナを組み合わせてデータ送受信の帯域を広げる無線通信技術としてMIMO(Multiple Input Multiple Output)が注目されている。MIMOは、例えば、無線LANの高速化などへの応用が検討されている。
MIMOは、複数のアンテナから複数のデータを同時に送受信することにより高速な通信を実現する。同時に、複数のアンテナで同時に受信するため、アンテナが1本の場合に比べて安定性も向上するというメリットもある。
複数のアンテナを配列するとアンテナ相互の干渉という問題が生じる。MIMOにおいてアンテナ間の干渉を防止するためのアイソレータ素子として特許文献1記載のものがある。また、アイソレーション技術を開示するものとして特許文献2及び3がある。
特開2007−97167号公報 EPA 000720252 特開平10-178314号公報
特許文献1は、2つの平面アンテナの中間にコの字型の導体を配置し、これをアイソレータ素子とするものであるが、もともと2つの平面アンテナ間の距離が大きく(波長の二分の一程度)、干渉が少ないことを前提としている。
特許文献1記載の発明のように、アンテナ間の距離を大きくとると機器のサイズが大きくなってしまい、小形かつ高性能なMIMOの機器を製造するのは難しい。通常、アンテナ同士のアイソレーションはアンテナ間の距離に依存し、距離が短くなるとアイソレーションが悪くなってしまうので、機器を小型化しようとしてアンテナ同士を近づけると干渉の問題が大きくなる。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、特許文献1では解決できない、機器の小型化と干渉の軽減を同時に実現することのできる反射層付き電波放射体の構造を提供することを目的とする。本発明によれば、回路(例えばアンテナ)間の距離を小さくしても、必要なアイソレーションを確保することができる。したがって、本発明は、小形のMIMO機器を提供できるという便宜をもたらすものである。
この発明に係る反射層付き電波放射体の構造は、
アンテナ、フィルタ、バランなどの電波を放射する第1回路と、
前記第1回路からの電波によりその特性に影響を受ける第2回路と、
前記第1回路と前記第2回路の間に配置され、前記第1回路の電波による前記第2回路に対する影響を軽減する第3回路とを備え、
前記第3回路は、第2線路とこれよりも幅の広い第1線路をそれぞれひとつ以上含み、前記第1線路と前記第2線路を直列に接続してなる櫛形の線路を少なくともひとつ含み、
前記櫛形の線路の一方の端は接地され、他方の端は開放または短絡されている、ものである。
前記第3回路は、前記櫛形の線路を複数含み、
前記櫛形の線路ごとに、前記第1線路の幅又は長さが異なるか、あるいは、前記第2線路の幅又は長さが異なるか、少なくともいずれかであってもよい。
前記第3回路の遮断の帯域幅の下限周波数が前記第1回路の動作周波数よりも低く、かつ、前記第1回路の動作周波数において前記第1回路から前記第3回路を見たときのインピーダンスが概ね開放となるように調整されていることが好ましい。
言い換えれば、前記第3回路の遮断の帯域幅の下限周波数は前記第1回路の動作周波数よりも低く、かつ、前記第1回路の動作周波数において、前記第3回路で反射される際の位相の変化が略0度又は360度の整数倍であるようにし、前記第1回路と前記第3回路の間隔を略0とすることで、前記第1回路の動作周波数において、前記第1回路からみた前記第2回路のインピーダンスが開放となるようにしてもよい。
遮断の帯域幅の下限周波数を例示すれば、図4においてS21が急激に小さくなる周波数(3.5GHz)である。遮断の帯域幅について後に説明を加えているので、当該説明も参照されたい。
発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の構造の構造を図1に示す。
図1(a)は上面図(平面図)、図1(b)〜(d)は断面図を示す。
これらの図において、1は電波放射体回路(第1回路)を示し、2は電波放射体回路1からの電波で特性に影響を受ける回路(第2回路)を示す。図1において、回路1と回路2は模式的に表現されており、実際の回路が、平面図においてこのような長方形をなしているわけではない。図1における回路1と回路2の表示は、その配置の概略を示すものと理解されたい。
回路1に関しては、アンテナはもちろん一般のフィルタ/バラン/線路等の電磁波を放射する全ての回路を含む。高周波で動作する回路は、一般には、多少の差はあるものの電磁波を放射するのでそのような回路をすべて含むことになる。回路1の電波から影響を受ける回路2は、回路1と同じ周波数帯で動作するものとともに異なる周波数帯で動作するように設計されているものも含む。同じ周波数帯で動作する場合は最も影響が大きいが、異なる周波数帯で動作するよう設計されている場合でも、幾分かは影響を受けるのでそのような場合も含む。
3は複数の線路3−1〜3−4から構成される回路(第3回路)を示す。回路3は、回路1と回路2の間に配置されている。6は接地電極を示す。断面図において、7は誘電体(基板)を示し、8は裏面の接地電極を示す。
Zinは回路1からその右側を見た時のインピーダンス、Γは回路3に入り口から電磁波が入射した場合のその反射係数を示す。dは回路1と回路3の間隔を示す。Zin,Γ、dについては後に再び説明を加える。
図1の例では、回路3は、互いに平行に配列された4つの線路(櫛形の線路)3−1〜3−4から構成されているが、これは一例であって、ひとつ以上の線路を備えればよい。一般的には、回路3を構成する線路の数が多くなればなるほど回路1による回路2に対する影響を軽減することができるが、それだけ回路3は多くの面積を占有することになる。
図1の例では、4つの線路3−1〜3−4は、それぞれ同じ構成を持つ(異なる構成を持つ例については後述する)。4は線路幅が広い金属導体(図1の例では正方形の導体)である。線路幅の広い金属導体4は、所定の間隔をおいて隣の線路の線路幅の広い金属導体4と対向して設けられ、その線路幅の広い部分同士でエッジ結合の容量を構成している。図1(c)のC1に示すように、隣接する金属導体4同士はシリーズの容量を構成している。また、金属導体4は、裏面の接地電極8との間でシャントの容量(図1(c)のC2)を構成する。なお、C1とC2は、理解を容易にするために模式的に示したものである。5は線路幅の狭い金属導体であり、その一方は接地電極6に接続され、他方は開放されている。金属導体5はシャントのインダクタを構成する。
なお、金属導体4、5を幅広の金属導体(線路)4、幅狭の金属導体(線路)5や、あるいは単に導体(部分)4,5と表現することがある。
4つの線路3−1〜3−4は、それぞれ、3つの金属導体4とこれらを直列に接続する4つの金属導体5を含む。前述のように、金属導体4は容量、金属導体5はインダクタを構成するから、4つの線路3−1〜3−4からなる回路3は共振回路として機能する。
なお、図2に示すように、回路3、すなわち4つの線路3−1〜3−4を基板7の裏面(回路1、2とは反対側)に設けるようにしてもよい。
前述のように、4つの線路3−1〜3−4の金属導体4は容量、金属導体5はインダクタとして機能する。言い換えれば、4つの線路3−1〜3−4は、その横から(回路1から)電磁波が入射した場合に、シリーズ容量とシャントインダクタの働きをするよう構成されている。
図3(a)は、図1の回路3そのものの動作を評価するための構造の上面図を示し、同図(b)はその鳥瞰図を示す。同図(b)では誘電体7の表示は省略している。図3において、61は電磁波を誘導する線路、63は線路61の入出力端子を示す。図1と同一の符号は、同じ要素を示す。図3では、回路3の下側で誘電体の裏側にマイクロストリップ線路61を作製し、その両端を端子63として電磁波を励振している。
線路61は、金属導体4と同様の細長い金属導体からなる。線路61は、4つの線路3−1〜3−4にそれぞれ含まれる3つの金属導体4のうち真ん中の下に配置されている。その長さは、回路3の幅とほぼ同じである。線路61は、4つの線路3−1〜3−4に跨って配置されている。
誘電体(基板)7は、比誘電率4.6、誘電正接0.01、厚み0.2mmのものである。回路3全体の大きさは横幅11mm、縦12mmで、幅広の線路(金属導体)4は2mm角の正方形であり、線路(金属導体)5の幅は0.5mmである。
図4は、図3に示した構成で回路3に線路61から電磁波が入射した場合の反射特性及び通過特性を示す。図4の実線がS21(通過特性、アイソレーション)を示し、点線がS11(反射特性)を示す。
図5は、スミスチャートを示す。同図において、m1は4.825GHzにおける状態、m2は3.5GHzにおける状態を示す。
図6は、位相の周波数変化を示す。
図4に示されているように、入射した電磁波は3.5GHzから6GHzにわたり挿入損失(S21)が−5dB以下となっており、反射(S11)はほぼ0dBの近傍となっていることから、電磁波は反射されていることがわかる。
また、図5及び図6から、反射された電磁波は、反射が起こる3.5GHzの近傍では180度の位相差があり、周波数が高くなるにつれて、0度に低下することがわかる(4.825GHzで0度になる)。このような信号の反射は、遮断の量は低下するものの線路61が基板から離れていても起こり、回路3の上下空間で信号の反射が起こる。従って、回路3を、回路1と回路2の間に配置することで、回路2への電磁波の影響を低減できることがわかる。
上述したように、回路3はその上下方向(断面図における上下方向)にも電波を反射する機能を有することから、図2に示すように誘電体7の裏側に回路3を配置するようにしてもよい。また、回路3は、図1に示すようにその裏側に接地電極8があってもよいし、その裏面に接地電極がなくてもよい。
また、以下に説明するように、シリーズ容量を大きくするため線路を1本おきに基板7の上下に分離して配置し、平面図において線路幅の広い部分4が上下に重なる構成として、シリーズ容量を図1の構造よりも大きくできる構成としてもよい。
図1では、回路3の線路3−1〜3−4の先端を開放としてあるが、先端も短絡として2倍の長さにして共振器を構成しても良い。
すなわち、開放の位置(図1(a)の各線路の先端)から線対称に線路を折り返したように配置する(言い換えれば、開放の線に関して上下対称とする)。このように構成しても、各線路(共振器)の特性は、図1に示すものとまったく同じになる。このように折り返した配置の線路の全体の長さは、図1の線路3−1〜3−4の2倍になる。
上述の対称性が多少崩れても、線路(共振器)の特性はあまり変わらない。したがって、対称性は必須ではない。
なお、線路を折り返して構成しても、折り返さない線路(共振器)と特性の点で同じになるが、電磁波が入射した場合に生じる干渉については同じにはならない。折り返した配置の線路(上下とも短絡されている線路)の方が、反射率が高くなるようである。ただし、反射が開始する周波数(S21が急激に大きくなる周波数、図4の3.5GHz)は、ほぼ同じである。
図7(a)は発明に係る別の実施形態の上面図を示し、同図(b)はD−D矢視断面図を示す。図7において、図1と同一符号は同一あるいは相当部分を示す。なお、図7(b)では、回路1と2の表示は省略している。
図7において、誘電体7は積層された2つの誘電体7a,7bとからなる。誘電体7bの表面には、線路3−1と3−3が配置され、誘電体7aと7bの間には線路3−2と3−4が配置されている。誘電体7bの表面(裏面)には接地電極8が設けられている。図7からわかるように、平面図において隣接する線路の導体4同士は重なっている。例えば、線路3−2の導体4は、線路3−1の導体4と線路3−3の導体4の両方に跨るように配置されている。線路3−3の導体4についても同様である。
図7の構成では、シリーズの容量(図1(c)のC1)が増大するので、これに伴い遮断の下限周波数が低減される(図13の例では、約0.2GHzだけ下限周波数が低くなっている、図13及びその説明参照)。遮断下限周波数が低減できる場合は、“一般に”、線路3−1〜3−4の全長(図3(a)の12mmの長さに相当する部分)を短くできるので、小型化が可能になる。
図8は発明に係る別の実施形態の上面図を示す。4aは線路3−1と3−4の幅広の導体、4bは線路3−2と3−3の幅広の導体である。図8において、図1と同一符号は同一あるいは相当部分を示す。導体4bは、導体4aよりも幅が広くなっている。これにともない、線路3−2の導体4bと線路3−3の導体4bの間隔、及び、線路3−3の導体4bと線路3−4の導体4aの間隔は、線路3−1の導体4aと線路3−2の導体4bの間隔よりも狭くなっている。すなわち、図8では各線路のシリーズ容量が異なる。概ね、線路3−2乃至3−4のシリーズ容量は同じで、線路3−1のシリーズ容量はそれらよりも小さい。また、線路3−2及び3−3のシリーズ容量は同じ。線路3−1及び3−4のシリーズ容量は同じで、かつ、線路3−2及び3−3のシリーズ容量よりも小さい。
次に、本発明の実施の形態に係る回路3の遮断周波数帯域は、幅広の線路部(導体4、4a,4b)で構成されるシリーズ容量、接地に接続された幅の狭い線路(導体5)で構成されるシャントインダクタンスで制御されることを説明する。
図9〜図11は、幅広の導体4,4a,4b及び幅狭の導体5の寸法を変え、遮断周波数の変化を見たものである。
図9は、幅広の導体(図1の導体4)を2mmから2.5mm(図8の導体4b)に変えた場合の特性の比較を示したものである。同図において、実線は2mmの場合を示し、点線は2.5mmの場合を示す。ここでは、図1の導体4の全部の幅を広げている。なお、線路3−1〜3−4の間隔は同じなので、線路3−2の導体4bと線路3−3の導体4bの間隔、及び、線路3−3の導体4bと線路3−4の導体4aの間隔は、0.5mmに縮小されている。線路3−1の導体4aと線路3−2の導体4bの間隔は、図1の場合と同じ1mmである。なお、図1の導体4の一部について(例えば、図8のように)幅を広げるようにしても、程度の差こそあれ、同様の効果を奏すると思われる。
図9の例では、シリーズの容量(図1(c)のC1)は増大するが、これに伴い遮断の下限周波数が低減されることがわかる。図9のグラフから、約0.2GHzだけ下限周波数が低くなっていることがわかる。
同様のことが、導体5の幅を変化させることでも言える。
図10は、幅の狭い導体5を、その幅を0.5mmから0.25mmに縮小した場合の特性の比較を示したものである。ここでは、図1の導体5の全部の幅を狭くしている。同図において、実線は0.5mmの場合を示し、点線は0.25mmの場合を示す。この場合も、遮断の下限周波数が低減される。図10のグラフから、約0.2GHzだけ下限周波数が低くなっている。なお、図1の導体5の一部について幅を狭くしても、程度の差こそあれ、同様の効果を奏すると思われる。
図9及び図10からわかるように、幅広の導体4,4a,4bの形状を変えてシリーズ容量を大きくするか、あるいは幅の狭い導体5の幅を狭くしてシャントインダクタンスを大きくすることで、遮断の下限周波数を低減することができる。遮断周波数は、線路3−1〜3−4の寸法を調節することで制御できることがわかる。従って、回路1が放射する周波数帯域に合わせて、線路3−1〜3−4の寸法を調節し、その遮断帯域を調節することにより、回路1による回路2に対する電磁波の干渉を抑制できることがわかる。
図11は、線路3−1〜3−4の長さを短くした場合の特性の比較を示したものである。具体的には、図1(a)の線路3−1〜3−4の先端の幅狭線路(導体5)を取り除いた構造の特性である。この構造では、3つの幅広線路(導体4)と3つの幅狭線路(導体5)が直列に接続されることになる。図11において、実線は図4の実線とおなじもの(図1のS21)であり、点線は幅狭線路(導体5)を短縮した場合のS21を示す。
以上で幅広の線路の幅、又は、幅狭の線路の幅を制御することで遮断帯域を制御できることが明らかとなった。次に遮断帯域の異なる構造を組み合わせると、両方の帯域で遮断となり、遮断の帯域幅を広げることができることを示す。
遮断の帯域幅とは、ここではS21(挿入損失、通過特性)が、所定の値(例えば−5dB)よりも小さくなる周波数の範囲のことである。当該範囲においては回路1と回路2の間で一定(例えば−5dB)以上のアイソレーションを確保することができる。
図12は発明に係る別の実施形態の上面図を示す。図12において、図1と同一符号は同一あるいは相当部分を示す。線路3−1と3−4は図1と図12で同一であるが、図12の線路3−2と3−3は、図1のそれらよりも短い(先端部の幅の狭い導体5がない)。このため、両側の線路3−1と3−4のシャントインダクタンスは大きく、中央2つの線路3−2と3−3のシャントインダクタンスは小さくなっている。
図13は、図12の構造と他の構造の特性の比較を示す。同図において、黒細線(符号1)は、幅狭線路が長いもの(図1の回路3)のS21の特性を示し、点線(符号2)は、図11に示した幅狭線路が短いもの(図1(a)の線路3−1〜3−4の先端の幅狭線路(導体5)を取り除いた構造)の特性を示し、太線(符号3)は、図12に示す幅狭線路が長いものと短いものを組み合わせた構造の特性を示す。
図13において、S21が−5dBとなる周波数をみると、符号1と符号3の遮断の帯域幅の下限周波数はほぼ一致するが、符号2のそれは少し高い(0.1〜0.2GHz程度)。符号2と符号3の遮断の帯域幅の上限周波数はほぼ一致するが、符号1のそれは少し低い(0.5GHz程度)。したがって、図12の構成の特性は、符号1と符号2の特性を組み合わせたものに相当する。言い換えれば、太線(符号3)の周波数は、その低域側は線路が長いものの周波数、高域側は線路が短いものの周波数と概ね一致し、遮断の帯域幅が広くなっていることがわかる。このように、帯域幅の異なる線路構成の構造を混合させると、遮断の帯域を広げることができる。
以上の説明では、回路3が電磁波を反射することで、回路2は電波を放出する回路1からの影響を免れることができ、特に回路1と回路3の距離が遠い場合はこれだけでも十分に有効である。しかし小型化のためには回路1と回路3を極めて近接させないといけない場合があり、この場合は回路1と回路3の干渉が問題となり、この影響を最小限に留める手法を次に説明する。
図1(a)に示すように、電波放射体から右側を見た時のインピーダンスZin、回路1と回路3の距離d、図1の左側から回路3に電磁波が入射した場合の反射係数Γとする。
回路1と回路3の干渉の影響を最小限に留めるためには、回路1の入力インピーダンスが回路3の影響とそのほかの領域で決まる入力インピーダンスの並列となることを考慮すると、回路3側の入力インピーダンスZinが開放に見えればよいことに相当する。並列回路では、個々の回路のアドミタンスの和で全体のアドミタンスが求まるが、この場合、回路3側のインピーダンスが開放(アドミタンス0)であれば並列にしても全体のアドミタンスが変化しないので明らかである。
ここで、回路1からみた回路2、回路3の入力インピーダンスが概ね開放にみえるように、回路3で反射される際の位相の変化、ならびに回路1と回路3の間を電磁波が往復することによる位相差をあわせたものが、360度の整数倍となるよう、回路3の反射係数Γの位相に応じて回路1と回路3間の距離dを選ぶ。言い換えれば、(回路3で反射される際の位相の変化)+(距離dを伝播する際の位相の変化)×2=(360度の整数倍)という関係が成り立つようにする。
前述の図4〜図6の特性をみると、遮断が開始する3.5GHzの近傍では反射係数Γは大きな反射係数を示すがその位相は−180度の近傍にあり、距離dがほぼ0であるとすると、入力インピーダンスは短絡(位相差=180度)に近いことがわかる。
(回路3で反射される際の位相の変化)+(距離dを伝播する際の位相の変化)×2
=−180度+0度×2=−180度
この位相は周波数が高くなるにつれて図5及び図6に示すように低下し約5GHz(正確には4.825GHz)で0度に達する。5GHzにおいても遮断量は10dBあるので遮断の効果は十分あると言える。このことから、遮断したい周波数より低い周波数で遮断が開始するように回路3の線路の寸法を調節し、遮断したい周波数で位相が0の近傍となるように設計すれば、距離dをほぼ0としても、回路1から見た回路3より右のインピーダンス(回路2を含む)は開放に見え、回路3の影響を抑制できることになる。
(回路3で反射される際の位相の変化)+(距離dを伝播する際の位相の変化)×2
=0度+0度×2=0度(360度)
言い換えれば、距離dをほぼ0にするためには、遮断したい周波数(回路1の動作周波数)において、回路3で反射される際の位相の変化が0度又は360度の整数倍であればよい。
次に、電波放射体(回路1)と、これからの電波で特性に影響を受ける回路2をともにモノポールアンテナとし、干渉を評価した結果について説明する。
評価に用いた構成を、図14(a)乃至(c)に示す。101はモノポールアンテナを示し、102は接地6とモノポールアンテナ101間に印加される信号の励振源を示す(例えば、モノポールアンテナ101の102は励振源で、モノポールアンテナ101の102は負荷)。同図(a)は回路3を設けない構造を示し、同図(b)は図1と同様の構造の回路3を設けた構造を示し、同図(c)は図1の回路3よりも長い線路3−1〜3−4を備える構造を示す。同図(c)の回路3は、図1のそれよりも導体4と5がひとつ追加されており、線路3−1〜3−4はそれぞれ幅広の導体4を4つ、幅狭の導体5を5つ備えている。同図(c)の回路3の遮断周波数は、同図(b)の回路の遮断周波数よりも低い。
モノポールアンテナ101同士の間隔は17mm、モノポールアンテナ101のアンテナ寸法は長さ12.5mm、幅0.25mmである。モノポールアンテナ101の共振周波数は4.45GHzである。図14の構造が設けられる基板は、比誘電率4.6、誘電正接0.01、厚み0.2mmである。この基板上に構成されるモノポールアンテナ101などは金属導体である。
モノポールアンテナ101の共振周波数は4.45GHzで、その波長は6.74cmであるから、モノポールアンテナ101同士の間隔17mmは、0.25波長(λ/4)に相当する。ちなみに、特許文献1では0.5波長(λ/2)であった。
評価結果を図15及び図16に示す。図15はアンテナ101の反射損失S11の特性を示し、図16は左右のアンテナ101と101間のアイソレーションS21の特性を示す。なお、図15及び図16は2つのアンテナ101と回路3を含む全体の特性を示すグラフであり、前述の図4などのグラフは回路3の特性を示すものであり、両者は相違する。
図14(b)と(c)の回路3の特性グラフ(図4に相当するもの)は示さないが、それらの概ねの特性は次の通りである。図14(b)の回路3の遮断の帯域幅の下限周波数は4.5GHzである。図14(b)の回路3の遮断の帯域幅の下限周波数は3.2GHzである。図14(b)では、アンテナ101の動作周波数4.45GHzよりも低い周波数3.2GHzから遮断が始まり、アンテナ101から見たインピーダンスがその動作周波数4.45GHzで概ね開放となるように調整されている。
図15は回路1に相当するモノポールアンテナ101の励振端から見た反射損失を示す。図15において、点線は図14(a)の反射損失を示し、細い実線は図14(b)の反射損失を示し、太い実線は図14(c)の反射損失を示す。
図16において、点線は図14(a)のアイソレーションを示し、細い実線は図14(b)のアイソレーションを示し、太い実線は図14(c)のアイソレーションを示す。
図15からわかるように、図14(a)、(c)の構造では反射損失(S11)はほぼ同じであるが、図14(b)の構造、すなわち、アンテナ101の動作周波数と回路3の遮断の帯域幅の下限周波数を同じものとすると反射損失が大きく変動し、回路3の影響を大きく受けていることがわかる。
また、図16からわかるように、図14(a)の構造、すなわち、回路3を備えず、単にアンテナ101と101の間を離隔したに過ぎない場合は、5dB程度(4.45GHz)のアイソレーションしかとれない。これに対し、図14(c)の構造では9dB(4.45GHz)と4dBの改善が見られた。しかし、図14(b)の構造ではアイソレーションの特性が上下に変動しほとんど改善が見られない(4.45GHzで6dB程度であり回路3の無い場合とほとんど変わらず、4.6GHz付近で5dB程度であり回路3の無い場合よりも悪くなっている)。アンテナ101の動作周波数と回路3の遮断の帯域幅の下限周波数を同じものとするとアイソレーションも悪化することがわかる。
以上のことから、アンテナ101の動作周波数よりも低い周波数から遮断が始まり、アンテナ101から見たインピーダンスがその動作周波数で概ね開放となるように調整された回路3を、アンテナ101と101の間に挿入することで、回路1、回路2と回路3が近接している場合でも、回路1と回路2の間のアイソレーションを向上させることができる。
例えば、図4において、−5dBよりも小さな範囲(アイソレーションが−5dB以上とれている範囲)は3.5GHz〜6.3GHzである。この範囲内で回路3の反射位相変化が0になる周波数を図5及び図6から求めると4.825GHzである。したがって、図4〜図6の特性を持つ回路3は、動作周波数が4.825GHzの回路1に対して有効である(距離d=0、つまり極めて近接している場合でもアイソレーションが向上)。図4〜図6の特性からわかるように、このとき当然に、回路3の遮断の帯域幅の下限周波数は回路1の動作周波数よりも低くなる。
以上示したように、発明の実施の形態によれば、回路1から放射された電磁波を回路3で反射することで、回路1からの回路2への電磁波の影響を低減することができる。
また、櫛形の線路ごとに、線路4の幅又は長さが異なるか、あるいは、線路5の幅又は長さが異なるようにすることで、回路3が機能する周波数帯域を広くすることができる。
また、回路1の動作周波数において回路1から回路3を見たときのインピーダンスが概ね開放となるように調整することで、回路1と回路3を非常に近接して配置することができ、装置の小型化を実現できる。
なお、以上の説明において、回路1を電波の発信側、回路2をその受信側として説明したが、本発明はこれに限定されない。回路2を発信側、回路1を受信側としても作用効果の点で異ならない。また、回路1と回路2それぞれが又は一方が発信と受信の両方の機能を持つものでもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
図1(a)は発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の構造の平面図、図1(b)乃至図1(d)はその断面図である。 発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の他の構造の断面図である。 図3(a)は評価用の反射層付き電波放射体の構造の平面図、図3(b)はその斜視図である。 発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の構造の評価結果である。実線がS21を示し、点線がS11を示す。 発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の構造の評価結果(スミスチャート)である。 発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の構造の評価結果(位相の周波数変化を示すグラフ)である。 図7(a)は発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の他の構造の平面図、図7(b)はその断面図である。 発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の他の構造の平面図である。 図1の構造のS21と図8のS21を示すグラフである。実線は図1の構造(幅=2mm)の場合を示し、点線は図8の構造(幅=2.5mm)の場合を示す。 幅狭の導体5の幅を0.5mmとしたときのS21と0.25mmとしたときのS21を示すグラフである。実線は0.5mmの場合を示し、点線は0.25mmの場合を示す。 線路3−1〜3−4の長さを短くした場合の特性の比較を示すグラフである。実線は図1の構造のS21、点線は線路3−1〜3−4の長さを短くした場合のS21を示す。 発明の実施の形態に係る反射層付き電波放射体の他の構造の平面図である。 図12の構造と他の構造の特性の比較を示すグラフである。黒細線(符号1)は図11の実線と同じもの、点線(符号2)は図11の点線と同じもの、太線(符号3)は図12の構造のS21を示す。 評価用の反射層付き電波放射体の構造の平面図である。図14(a)は回路3を備えないもの、図14(b)は回路3を備えるもの、図14(c)は回路3の線路3−1〜3−4を長くしたものを示す。 図14の構造の反射損失S11の特性を示すグラフである。点線は図14(a)に対応し、黒細線は図14(b)に対応し、太線は図14(c)に対応する。 図14の構造のアンテナ間のアイソレーションS21の特性を示すグラフである。点線は図14(a)に対応し、黒細線は図14(b)に対応し、太線は図14(c)に対応する。
符号の説明
1 第1回路
2 第2回路
3 第3回路
3−1〜3−4 櫛形の線路
4 第1線路(幅狭導体)
5 第2線路(幅広導体)
6 接地電極
7 誘電体(基板)
8 誘電体裏面の接地電極

Claims (3)

  1. アンテナ、フィルタ、バランなどの電波を放射する第1回路と、
    前記第1回路からの電波によりその特性に影響を受ける第2回路と、
    前記第1回路と前記第2回路の間に配置され、前記第1回路の電波による前記第2回路に対する影響を軽減する第3回路とを備え、
    前記第3回路は、第2線路とこれよりも幅の広い第1線路をそれぞれひとつ以上含み、前記第1線路と前記第2線路を直列に接続してなる櫛形の線路を少なくともひとつ含み、
    前記櫛形の線路の一方の端は接地され、他方の端は開放または短絡されていることを特徴とする反射層付き電波放射体の構造。
  2. 前記第3回路は、前記櫛形の線路を複数含み、
    前記櫛形の線路ごとに、前記第1線路の幅又は長さが異なるか、あるいは、前記第2線路の幅又は長さが異なるか、少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の反射層付き電波放射体の構造。
  3. 前記第3回路の遮断の帯域幅の下限周波数が前記第1回路の動作周波数よりも低く、かつ、前記第1回路の動作周波数において前記第1回路から前記第3回路を見たときのインピーダンスが概ね開放となるように調整されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の反射層付き電波放射体の構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103811869A (zh) * 2012-11-08 2014-05-21 中兴通讯股份有限公司 一种多输入多输出天线系统及移动终端
CN103825093A (zh) * 2012-11-16 2014-05-28 启碁科技股份有限公司 去耦合电路及天线装置

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