JP2010068811A - 酵素アレイ及びアッセイ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、質量分析計、具体的には、限定するものではないが、MALDI質量分析計などのレーザー脱離/イオン化を用いた使用のための酵素アレイ及びアッセイに関する。
【解決手段】本発明は、固定化酵素を担持するプローブを提供する工程、任意選択により試験化合物を導入する工程、任意選択により試験化合物を導入する工程、1つ以上の反応物を固定化酵素に反応が起こるのに十分な時間及び形態で導入する工程、プローブを乾燥する工程、プローブに質量分析を施す工程、及び1つ以上の生成物及び/又は1つ以上の反応物の存在及び/又は非存在を検出することによって酵素の活性又は酵素の活性に対して試験化合物が有する効果を決定する工程を含む、酵素活性又は該酵素活性に対して試験化合物が有する効果の質量分析を用いた決定方法を含み、キナーゼアッセイに関して代表例である。本発明は、該方法で使用するためのアレイも提供する。
【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照) 本出願は、2003年5月23日に出願されたGB0311946.8、2002年10月25日に出願されたGB0224872.2、及び2002年12月20日に出願されたPCT/EP02/14859の優先権を主張し、各々を参照により本明細書中に全部取り入れる。
(発明の分野) 本発明は、酵素アレイ及びアッセイに関し、より詳しくは、質量分析計、特に限定するものではないが、MALDI質量分析計などのレーザー脱離/イオン化質量分析計とともに使用するためのキナーゼアレイ及びアッセイに関する。
(発明の背景) 近年、質量分析用のプロテオミクス出願が多く増加しているのが見られる。プロテオミクスで用いられる分析方法は、主に、タンパク質分離用の2次元ゲル電気泳動及びタンパク質同定用の質量分析又はエドマン分解に基づく。2次元ゲル電気泳動に制限を加えるものには、比較的劣った分解能、感度、及び再現性が含まれる。その結果、同位体コードアフィニティー標識(ICAT)(非特許文献1)、タンデムアフィニティータンパク質(TAP)(非特許文献2)精製、及びタンパク質マイクロアレイの使用(非特許文献3)などの2次元ゲル電気泳動を回避したプロテオミクス法が人気を集めている。
さらに、これらの新しい方法は、差次的発現データの収集及び分類から分子間の関係を割り当てることができる段階までプロテオミクスの範囲を広げ、これは機能性プロテオミクスと称されている。タンパク質マイクロアレイは、最近、119酵母キナーゼ(非特許文献4)及び酵母プロテオーム(非特許文献5)の主要な分画を分析するために用いられている。
タンパク質マイクロアレイは、強化化学ルミネセンス(ECL)、蛍光若しくは放射性標識、又は抗体をベースとした検出系によって分析されているが、今までのところ、質量分析によって分析されていない。
Gygi, S. P., Rist, B., Gerber, S. A., Turecek, F. Gelb, M. H. and Aebersold, R., Nat. Biotechnol. 1999; 17, 994-999 Gavin AC, Bosche M, Krause R, Grandi P, Marzioch M, Bauer A, Schultz J, Rick JM, Michon AM, Cruciat CM, Remor M, Hofert C, Schelder M, Brajenovic M, RuffnerH, Merino A, Klein K, Hudak M, Dickson D, Rudi T, Gnau V, Bauch A, Bastuck S, Huhse B, Leutwein C, Heurtier MA, Copley RR, Edelmann A, Querfurth E, Rybin V, Drewes G, Raida M, Bouwmeester T, Bork P, Seraphin B, Kuster B, Neubauer G, Superti-Furga G., Nature 2002; 415 (6868), 141-147. MacBeath, G., and Schreiber, S. F. Science 2000; 289,1760-1763 Zhu H, Klemic JF, Chang S, Bertone P, Casamayor A, Klemic KG, Smith D, Gerstein M, Reed MA, Snyder M. Nat Genet. 2000; 26 (3): 283-9 Zhu H, Bilgin M, Bangham R, Hall D, Casamayor A, Bertone P, Lan N, Jansen R, Bidlingmaier S, Houfek T, Mitchell T, Miller P, Dean RA, Gerstein M, Snyder M. Science 2001; 293, 2101-2105
タンパク質マイクロアレイを分析するために標識した抗体などのリガンド又は標識プローブを使用することへの現状の依存は、タンパク質マイクロアレイの用途に制約を課している。したがって、感度の高い標識を用いない検出系は大いに有利であろうし、標識化合物が入手可能でないか高価すぎるかのいずれかの場合又は標識によってリガンドの性質が根本的に変わってしまうであろう場合にまで適用範囲を広げるであろう。そのような標識を用いない方法は、タンパク質に対して非常に多くの化合物がスクリーニングされる薬物発見の初期段階に特に有用である。
プローブ上に酵素マイクロアレイが作製されたそのような質量分析用プローブにより、酵素反応及び化合物が該酵素反応に対して有する効果を反応物及び生成物の脱離及びイオン化によって標識を用いない様式で調査することが可能となる。プローブ及び方法は、特に、薬物発見プロセス、例えば、ヒットシリーズ評価、リード最適化、予知トキシコゲノミクス、及び代謝産物プロファイリングに有用である。
しかしながら、プローブ及び方法は、疾患状態の診断及び疾患の進行のモニタリングの双方のための診断ツールとして用いることができるであろう。
(発明の概略) 本発明の第1の態様によれば、i)固定化酵素を担持するプローブを提供する工程、ii)任意選択により試験化合物を導入する工程、iii)1つ以上の反応物を反応が起こるのに十分な時間及び形態で固定化酵素に導入する工程、iv)プローブを乾燥する工程、v)プローブに質量分析を施す工程、及びvi)1つ以上の生成物及び/又は1つ以上の反応物の存在及び/又は非存在を検出することによって酵素の活性又は酵素の活性に対して試験化合物が有する効果を決定する工程を含む、酵素活性又は酵素活性に対して試験化合物が有する効果を質量分析を用いて決定する方法を提供する。
質量分析は、MALDI質量分析計を用いることが好ましい。しかしながら、原理的に質量分析に分析上必要なことは分子がガス状イオンに変換されることであるので、当業者は、レーザー脱離イオン化質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)質量分析、シリコン上脱離イオン化(DIOS)質量分析、エレクトロスプレーイオン化質量分析、及び大気圧イオン化(API)質量分析を含むが限定するものではない、このイオン化事象を可能とする多くの他の質量分析法も用いることができることをよく理解するであろう。フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT−ICR)質量分析などのフーリエ変換質量分析(FT/MS)法を用いて、種々のイオン化法の質量の精度を上げることができることは明らかである。
例えば、エレクトロスプレーイオン化法の場合、多ノズルスプレープローブ(例えば、アドビオン社(Advion)から販売されているナノ・メート(Nano Mate)−100ナノエレクトロスプレープローブ)の個々のノズル上に酵素を固定化することができ、1つ以上の反応物を各ノズルに導入し、プローブを分光計に導入し、エレクトロスプレーイオン化によって反応物及び生成物をイオン化することにより反応を行うことができる。
該方法を用いて、1つ以上の反応物が1つ以上の生成物に変換され、かつ、反応物及び/又は生成物のいずれかを例えばMALDI質量分析を用いて識別できる任意の酵素反応を研究することができるが、すべてのキナーゼは容易かつ区別可能に検出することができるヌクレオチド三リン酸(NTP)又はヌクレオチド二リン酸(NDP)(例えば、アデニン三リン酸(ATP)又はアデニン二リン酸(ADP))を使用及び/又は生成するので、該方法はキナーゼの検査方法として特に好適である。グアニン、ウリジン、及びシトシンなどの他のヌクレオチド種も用いることができるであろうが、アデニンがピコ(10−12)モルレベルで検出することができるより感度の高いアッセイを提供するという事実ゆえにアデニンが好ましいことを当業者は理解する。MALDI質量分析を用いるとマトリクスの効果が増大するゆえに感度が向上する。
一実施態様では、工程ii)は必須であり、酵素活性に対して試験化合物が有する効果を試験化合物が非存在の場合に得られる結果との比較によって決定する。2つ以上のアッセイを並行して実施するか標準と比較することにより、アッセイを単一のアレイ上で実施することができる。試験化合物は、1つ以上の反応物の前に、該反応物の後に、最も好ましくは該反応物とともに添加することができる。
該方法を用いて、定性的又は定量的な結果を提供することができる。
該方法は、MALDI質量分析を用いることにより、1つ以上のキナーゼの活性又は試験化合物が1つ以上のキナーゼの活性に対して有する効果を決定することが好ましい。したがって、該方法で使用するためのキナーゼのアレイは、1つ以上のキナーゼ、例えば、ある500超の同機能(kineome)のキナーゼのうち少なくとも10から25、50、75、100、200、300以上を含有することができる。これらを各キナーゼを別個の標的領域に沈着したマイクロアレイ上に配列させることができる。
キナーゼアッセイでは、1つ以上の反応物はリン酸供与体、リン酸受容体、及び二価カチオンを含むことができる。リン酸供与体はリン酸化された基質であることができ、リン酸受容体はヌクレオチド二リン酸(NDP)であることができる。該方法の簡潔性は、これらの反応物がすべてのキナーゼ反応に共通し、したがってたった1セットの条件を様々なキナーゼに対して適用することが可能になるとの事実にある。このことは、アッセイが強力であり、該アッセイをハイスループットスクリーニングに用いることが可能となることを意味している。
別個の基質及び一般的な基質を用いることは当然に可能であり、キナーゼ及びその基質の例は本明細書に付属の(テーブル1)及び(テーブル2)に示されている。
一実施態様では、リン酸供与体はヌクレオチド三リン酸(NTP)であり、リン酸受容体はリン酸化される基質である。二価カチオン(M2+)は、マグネシウム又はマンガンであることが好ましい。
別の実施態様では、生成物は、ヌクレオチド三リン酸又はヌクレオチド二リン酸であり、存在が検出される。典型的なキナーゼ反応は可逆的であるので、当然、反応物は生成物であり得るし、その逆もあり得る。
典型的反応:(反応物) (生成物)
例えば、グルコース+ATP → グルコース6リン酸+ADP
ヘキソキナーゼ/Mg2+
(生成物) ← (反応物)
典型的には、ヌクレオチド三リン酸又はヌクレオチド二リン酸は、[NTP]若しくは[NDP]として及び/又は1つ以上のそれらの付加生成物のピークとして検出される。1つ以上の付加生成物のピークは、典型的には、使用する試薬/緩衝液に依存した一価カチオン(M)(例えば、Na、K、Li)を有する付加生成物のピークである。1つ以上の付加生成物のピークは、例えば、[ATPM]、[ATPM、及び[ATPM、並びに/又は[ADPM]、[ADPM、及び[ADPMを含むことができる。
良好な検出を行うのに重要な要因は、低塩緩衝液の選択である。低塩緩衝液は、重炭酸アンモニウム緩衝液などの「半揮発性緩衝液」であることが好ましい。そのような緩衝液は、揮発の際、ガスに変換されるので(重炭酸アンモニウムの場合、アンモニア、二酸化炭素、及び水である)、残渣を残さない。あるいは、反応混合物は蒸発点/イオン化点において「低塩」緩衝液であることのみを必要とするので、より高濃度の半揮発性塩を含有する緩衝液を用い、次いで反応終了後に半揮発性緩衝液を真空中で(質量分析用真空チャンバー中又は外部真空チャンバー中のいずれかで)除去することは可能であろう。しかしながら、これはより複雑であり、それほど望ましくはない。
本発明のさらなる有意な特徴は、キナーゼアッセイにおいて、検出される生成物/反応物は小さく、典型的には1000ダルトン未満であり、その結果、エネルギー吸収分子(マトリクス)でプローブを上塗りする必要なしに質量分析を行なうことができるとの事実にある。これによって、手順及び費用節減が簡単となってスピードアップする。しかしながら、マトリクスの添加によって感度が増す。
エネルギー吸収分子が塗布される場合、これらは固定化酵素の使用域でプローブに塗布しなければならない。
1つ以上の反応物及び在る場合には試験化合物を小滴形態などの区画化形態で固定化酵素に導入することがことが好ましい。小滴は、1マイクロリットル未満の体積を有することが好ましい。
さらに、アッセイを湿潤環境中で行うことが好ましい。
本発明の方法をキナーゼのみならず他の酵素にも当然適用することができる。したがって、反応物及び/又は生成物がイオン化可能である場合はどんな場合でも、及び酵素反応によって反応物及び/又は生成物の質量が変化する場合には、タンパク質アレイ上の固定化タンパク質の酵素反応を質量分析によって研究することが可能である。これは、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、及びリガーゼの場合に当てはめることができる。
これらの酵素群の典型的な酵素サブクラスを以下の(テーブル3)に列記する。
Figure 2010068811
Figure 2010068811
あるいは、該方法を用いて、NAD、NADP、NADH、NADPH、ATP、GTP、UTP、CTP、UDP−グルコース、UDP−グルコサミン、UDP−ガラクトース、ピリドキサルリン酸、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン、GDP−D−マンノース、dTDP−6−デオキシ−L−マンノース、GDP−6−デオキシ−D−タロース、UDP−N−アセチルムラミン酸、S)−3−ヒドロキシアシル−CoA、S−アデノシル−L−メチオニン、アセチル−CoA、L−セレノセリル−tRNASea、(S)−3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸、アスコルベート、2−オキソグルタミン酸、グルタチオン、ピルベート、及びテトラヒドロプテリジンを含む補基質(さらに本出願に関連した反応物)を伴った酵素反応をモニタリングすることができる。
これは、イソメラーゼ(例えば、ATPを加水分解するフェニルアラニンラセマーゼ)で見られる通り、基質又は生成物がイオン化可能でない場合あるいは反応によって質量変化が生じない場合に特に有用である。典型的なイソメラーゼを(テーブル4)に列記する。
Figure 2010068811
より具体的には、酵素は、タンパク質キナーゼ(セリン/スレオニンキナーゼ及びチロシンキナーゼを含む)、プロテアーゼ(セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパルチルプロテアーゼ、及びメタロプロテイナーゼを含む)、カルボキシラーゼ、エステラーゼ、ホスホジエステラーゼ、タンパク質ホスファターゼ(チロシンホスファターゼを含む)、G−タンパク質結合受容体、ATP依存性シャペロン、シクロオキシゲナーゼ、シトクロムP450、シアリダーゼ、及び短鎖デヒドロゲナーゼ/レダクターゼなど、一般的な薬物標的である酵素ファミリーの1つ以上の群から選ばれる。
本発明のさらなる態様によれば、電気伝導性標的表面を有する支持体を含み、標的表面がその上に固定化された複数の酵素を有するアレイを含むことを特徴とする、質量分析計で使用するためのプローブを提供する。
好ましい実施態様では、酵素は、先に列記した酵素の群から選択される。一般的な薬物標的である酵素ファミリーが特に好ましいが、具体的には、限定するものではないが、キナーゼが好ましい。
アレイは、マイクロアレイであることが好ましい。
酵素は、典型的には、例えばビオチンなどの標識又はsh bleタンパク質を介して融合タンパク質としてプローブに結合されることが好ましい。
本発明との関連する態様は、WO01/57198を含む本出願人の多くの先行特許出願に十分に記載されており、したがって本明細書中では深く取り扱わないが、GB0224872.2などの他のものはまだ公開されていないので、裏付け及び関連する詳細をさらに以下に示す。
したがって、本明細書中で言及するプローブには、マイクロアレイ及びタンパク質スポットが裸眼で見えるアレイが含まれ、該プローブは、レーザー脱離/イオン化質量分析、具体的には、限定するものではないが、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)によって調査できるように適合される。
本発明に関連するさらなる態様には、レーザー脱離/イオン化質量分析、具体的には、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)によって調査できるそのようなプローブの作成方法、及びそのようなプローブ又はタンパク質マイクロアレイの分析方法が含まれる。
したがって、MALDI MSコンパチブルタンパク質マイクロアレイ(該用語には酵素マイクロアレイが含まれる)の開発は、既存のタンパク質マイクロアレイ形成方法がMALDI標的に容易に移行しなかったゆえに複雑であった。プローブ表面の特定の性質及び反応緩衝液中に存在する塩が検出方法を妨げる可能性を含む、このことが当てはまった多くの理由がある。
MALDIの技術分野で既知となっている手順では、典型的には、検体のイオン化を促進するため、水性検体と酸性エネルギー吸収分子又は「マトリクス」との共結晶化が必要となる(Karas and Hillenkamp,1988)。当該技術分野において既知である通り、MALDI用の検体とマトリクスとの共結晶化方法は、典型的には、不均一結晶化プロセスとなり、各々が異なる量のマトリクス及び検体を含有する別個かつ空間的に離れた結晶を生ずる。結果として、個々の結晶がMALDIによる分析用の検体を十分に含有しないこともしばしば観察される。このことにより、今度は、良好な検体シグナルを得るために、所与の標的領域内にある多くの別個の位置(すなわち、10〜100以上)を分析装置でサンプリングする必要性が生ずる。これは「スイート・スポット検索」と称することもある。このことにより、タンパク質スポットは大きなものであることが必要であったゆえに、従前は小型化が妨げられた。該タンパク質スポットは、一般には、少なくとも0.5mmのオーダーであった。
MALDI MS−コンパチブルタンパク質マイクロアレイを作成するため、標的領域の小型化及びアレイされるタンパク質の機能分析の双方を可能とする前述の従来技術の欠点に対する溶液が必要であった。
本明細書中で定義される通り、プローブは、レーザー脱離/イオン化質量分析、例えば、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)による分析での標的として働くことが可能である支持体である。プローブは酵素、例えば、キナーゼを担持し、反応物(及び任意選択により試験化合物)が添加される。反応が行われて生成物が形成されるのに十分な時間の後、プローブを乾燥し、質量分析を施す。反応物及び/又は生成物は、ガス状イオンに変換されて分析が可能となるように、当該技術分野のレーザー脱離/イオン化飛行時間型(TOF)質量分析計に見られるイオン光学アセンブリのリペラレンズ(repeller lens、反射電極レンズ)と相互作用する。例えば、高親和性タンパク質結合部分、例えば、ストレプトアビジン、アビジン、又はニュートラアビジン分子が後の分析用にビオチン化酵素を結合したプローブ表面上に存在するように処理された当該技術分野で既知であるMALDI分析用の標的から、本発明のプローブを得ることができる。例えば、慣用のガラス又は金のMALDI標的を用いることができる。
本明細書中に定義される通り、マイクロアレイは、別個の標的領域、すなわち、レーザーによってプロービングされた個々の領域のサイズがマイクロメートル未満のオーダーであるアレイである。スケール上限の約100マイクロメートルでは、それらが裸眼で見えてもよく、スケール下限では、別個の標的領域は裸眼で明確には区別されない。
アレイは、典型的には、いくつかの列及び縦列を含むマトリクス中に配列することができる。別個の標的領域の数はスクリーニングするものに依るが、プローブ表面上に高密度の、これらの別個の領域を有することはこれによってハイスループットスクリーニングが容易になるので一般に望ましい。典型的には、プローブは、その上に形成された少なくとも10個、より好ましくは少なくとも100個、より好ましくは少なくとも1000個、及び10,000個以上の標的領域を含む(典型的には、プローブ表面は約10,000mmの領域を有し、ブルカー(Bruker)プローブは10,292mmの領域を有するが、樹脂又はプローブ全体を用いる必要はなく、マイクロアレイをその上の1つ以上のマトリクス中で付与することができる)。所与のマトリクス中での実際の密度は、別個の標的領域(典型的には、スポットとしてプリントされる)のサイズ及び隣接するスポット間の間隔に依存する。したがって、別個の標的領域は、典型的には、いずれのマトリクス内でも1mmあたり2個以上の、別個の標的領域の密度で存在する。
酵素は、反応が起こる部分である。
本明細書中に記載される「酵素」との用語は、酵素全体及びそのサブユニット又はドメインを含むように用いられる。
本明細書中で用いられる「融合タンパク質」は、酵素に結合した標識、例えば、ビオチン化共通配列又はフレオマイシン/ゼオシン耐性結合タンパク質を有する酵素をいうのに用いられる。
「リンカー分子」は、その名前が示す通りに機能する分子である。それは、架橋が異なる分子間で形成されることを可能とする官能基を含む分子である。
MALDI標的上に形成される酵素アレイの「小型化」を可能とする別の有意な開発は、WO01/57198に記載される本出願人のCOVET技術を応用することから得られる。簡単に言えば、この技術を用いて、高親和性を有する酵素の補足に用いることができる「配列標識」を担持するcDNAライブラリ発現酵素からそれらをマイクロアレイ表面上に特定の配向で作り出すことができる。これによって、第1に、酵素、例えば、キナーゼライブラリを安定的に固定化することが可能となって酵素が表面から浸出することが回避され、第2に、融合タンパク質の表面上への配向した固定化によって最大の生物活性を確実にすることが可能になる。
現在のタンパク質マイクロアレイと比較したときにさらに別の本発明の有意な態様は、電気伝導性表面を有するそのようなプローブの提供である。半導体表面を含むこの表面は、プローブをMALDI MS分析に施す場合に必要不可欠である。支持体は、全て電気伝導性材料(該用語は、本明細書中では半導体材料を含むように用いる)で作成することができるであろう一方、任意の好適な金属、例えば、銀、白金、イリジウム、タングステン、銅、コバルト、ニッケル、及び鉄、若しくはそれらの混合物、又は半導体、例えば、酸化ケイ素、黒鉛、若しくは酸化ゲルマニウムを用いることができるであろうが、金などの電気伝導性材料でガラスなどの硬い支持体をコーティングすることが好ましい。
プローブ又は酵素マイクロアレイを例えば標準サイズの顕微鏡ガラススライド上に作成する場合、それらを質量分析計に運び入れるアダプター中にそれらをマウントすることができる。そのようなアダプターは、本出願人の同時係属英国出願第0216387.1号に記載されている。
さらに有意な開発及び本明細書中に記載の特定の用途とは独立して捉えることができるものは、非特異的なタンパク質結合によって生じる問題を本出願人が解決したという点である。本出願人は、非特異的なタンパク質結合に抵抗性である層をプローブ表面上に与えることによってこの特定の問題を解決した。より具体的には、タンパク質を忌避(排斥)する分子の層を含入することによってマイクロアレイ表面を修飾した。例えばポリエチレングリコールを含むこれらのタンパク質リペレント分子は、それらがプローブ表面から突出するように、例えばガラス又は金表面に容易に結合し、かつ、そのアミノ側鎖又はカルボキシル側基を用いてタンパク質リペレント分子に結合することができるポリアミノ酸などのリンカーを介して、プローブ表面に結合することができる。当業者は、他の官能性分子を用いることができるであろうことを十分に理解している。酵素結合部分を、それらが表面から伸び出ている位置で導入することが好ましい。好ましい酵素結合部分には、例えば、ビオチン、ビオチン−ニュートラアビジン、及びブレオマイシンが含まれ、これら及びその他の部分は、リンカー分子上のこれらの官能基及び/又はタンパク質リペレント分子上の官能基のいずれかを介して層に導入することができる。典型的には、親和性捕捉部分をタンパク質リペレント分子に対して少ない割合で(典型的には、20%未満)導入する。
このように、本出願人は、酵素捕捉部分を均一で空間的に区画された配列で導入できたのみならず、特定の様式で高親和性結合を可能とする様式でも導入することができた。得られた表面は、プローブ上の生物高分子の捕捉に対する選択性と誘導体化されていないガラス又は金属表面上によく観察されるタイプの減少した非特異的な結合とを兼ね備え、さらに、捕捉した生物高分子の均一な分布及び/又は配向を生ずる。
非特異的タンパク質を忌避することを担う成分分子には、本来的に親水性である分子が一般に含まれる。それには、例えば、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリウレタン、及びポリアクリルアミド、並びに自己集合単分子膜(SAM)などのポリマーが含まれる。ポリマーは1つ以上の官能性側基を含むことが好ましく、該官能性側基を介してタンパク質捕捉部分が結合することができる。ポリエチレングリコールの場合、官能基はヒドロキシル基である。非特異的タンパク質を忌避することを担う分子は、例えばSAMの場合のように表面に直接結合することもできるし、あるいはリンカーを介して結合することもできる。例えば、ポリLリシン、ポリLアスパラギン酸、ポリLグルタミン酸、又はそれらの混合物などのポリアミノ酸が特に好ましいリンカーである。
これらは、アミノ側鎖又はカルボキシ側鎖を有し、該側鎖を介して非特異的タンパク質を忌避することを担う分子が結合することができ、該側鎖はさらにタンパク質捕捉部分を結合するために用いることができる。さらに又は加えて、タンパク質捕捉部分は、特異的タンパク質を忌避することを担う成分分子を介して結合することができる。
図1は、そのような分子の結合を図示し、この順序立った結合によって達成することができる定められた配向をランダム結合を生ずる現状の抗体結合技術を用いて達成されたものと比較して対比している。
好ましい実施態様では、プローブは、それが酵素捕捉部分であるので、ビオチン結合剤、例えば、ニュートラアビジン、アビジン、若しくはストレプトアビジン、又はブレオマイシン耐性タンパク質結合剤、例えば、ブレオマイシンのいずれかを有している。高親和性標識、例えば、ビオチン又はゼオシン耐性タンパク質(ZRP)が捕捉表面上に発現される融合タンパク質を含有する複数の細菌、酵母、sf9、又は哺乳動物細胞溶解物をプリントすることにより、酵素をプローブに結合してタンパク質マイクロアレイを作り出す。タンパク質はcDNAライブラリの発現から得られ、個々の各クローンをC末端及び/又はN末端において共通配列で標識して、これによって他にタンパク質排斥分子の存在下でさえ酵素の高親和性認識が可能となる。組み換えられ、かつ、標識された酵素だけが捕捉表面を認識し、溶解物から得られる他のタンパク質はタンパク質リペレント表面と結合せず、かつ、層に存在するタンパク質結合部分に対して高親和性を有していないので洗浄して除くことができる。
本発明のさらなる態様は、本発明のプローブを提供する工程及び別個の標的領域中にタンパク質捕捉部分の使用域で酵素を沈着する工程を含む、質量分析計で使用するための酵素マイクロアレイの作成方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、酵素を変性し、ゆえに該酵素をタンパク質結合部分から結合を解き、変性酵素を表面上で未結合にしたままとする様式でエネルギー吸収分子を沈着する、本発明のプローブの分析方法を提供する。
エネルギー吸収分子は、タンパク質捕捉部分及び捕捉された酵素の使用域で別個の位置で均一な結晶層を形成する。
均一な結晶層は、個々の結晶が倍率100倍で目に見えず、かつ、目に見える割れ目がないほどに実質的に連続している。それは、倍率100倍で結晶サイズに明確な変化はないほどに実質的に一様な深さも有する。
エネルギー吸収分子を非水性溶媒中で表面上に沈着し、非水性溶媒を蒸発して取り除く。非水性溶媒は、例えばアセトン又はブタノンなどの有機溶媒であることが好ましい。非水性溶媒は、エネルギー吸収分子の結晶化がプローブ上で起こるように蒸発速度を調節する調整剤を含むことが好ましい。好適な調整剤には、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びチオグリセロールが含まれる。エネルギー吸収分子は、80〜99.9%、好ましくは99%の有機溶媒、例えば、アセトンと20〜0.1%、好ましくは1%の調整剤、例えば、グリセロール(vol/vol)との混合物中で沈着させることが好ましい。典型的なエネルギー吸収分子は、α−シアノ−4−ヒドロキシ−ケイ皮酸、シナピン酸、ゲンチジン酸、ニフィジン(nifidine)、コハク酸、1,8,9,−アントラセントリオール、3−インドールアクリル酸、2−(ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸、4−ニトロアニリン、及びそれらの組み合わせの結晶を含む。
エネルギー吸収分子をタンパク質の使用域で沈着し、各タンパク質スポットを同様のサイズのエネルギー吸収分子スポットで上塗りすることが好ましい。
個々の高密度試料をマイクロアレイ上で達成するためには、エネルギー吸収分子を表面上に微結晶で配列することが必要である。マトリクスは、平坦な結晶の均一な層を該結晶間に有意な割れ目を作ることなく形成し、マイクロアレイ上に非常に少量で沈着させることができる。
マトリクス及び検体を水性溶媒中で共結晶化する従来技術とは対照的に、本出願人は、まずタンパク質を水性溶媒中で沈着させる工程及び次いでエネルギー吸収分子を該分子が非水性溶媒からプローブ上で晶出するように沈着させる工程の、2つの別個の工程を用いた。これは、タンパク質がその生物学的形態で沈着されるという利点を有する。しかしながら、エネルギー吸収分子を送達するために非水性溶媒を用いることによって、均一な微結晶層の形成が可能となる。これは2つの利点を有する。第1に、均一な層が形成されることは、均一な層によってエネルギー吸収分子の存在下でタンパク質が確実に得られるのでスイート・スポットを検索する必要がないことを意味し、第2に、それにより、層の等しい性質に起因して測定がより正確になる。
以下の図面及び実施例を参照して、本発明の種々の態様を例示としてのみここに記載する。
図1は、酵素のプローブへの配向した結合を示している。 図2は、質量分析によるADP及びATPの検出を示している。 図3は、クレアチンリン酸によって仲介される表面上でのATP合成も示している。
図2を参照して、pH7.4の25mM 重炭酸アンモニウム中でのADP、クレアチンリン酸、及びクレアチンキナーゼ(クレアチンホスホキナーゼしても知られる)の反応からATPを酵素合成した。[ADP]が427.6ダルトンで検出され、[ADP+Na]が449.6ダルトンで検出された。クレアチンリン酸キナーゼ反応の生成物が507.6、529.6、551.6、及び573.8で検出され、[ATP]並びに3つのATPナトリウム付加生成物である[ATPNa]、[ATPNa、及び[ATPNaの予測分子量とよく一致した。
ADP若しくはクレアチンリン酸基質又はクレアチンリン酸キナーゼ酵素のいずれかを省いた対照反応では、ATPピークが示されなかった。
図3を参照し、本実施例は、MALDI質量分析による分析用のPEG−PLL−ビオチン−ニュートラアビジンでコーティングされたプローブ上でのウサギ筋肉から得たクレアチンキナーゼのビオチン化、捕捉、及び脱塩、並びにMALDI質量分析を用いた固定化キナーゼの酵素活性を実証する。
材料:ウサギ筋肉から得たクレアチンキナーゼ、ATP、クレアチンN−ホスホトランスフェラーゼ、ADP、クレアチンリン酸、1mM トリスHCl(pH7.5)、1mM MgCl、金でコーティングされたガラススライド、PEG−PLL−ビオチン、ニュートラアビジン
溶液:洗浄用緩衝液:0.1%トリトンX−100を含む1mM トリス−HCl(pH7.5);脱塩緩衝液:1mM トリス−HCl(pH7.5)
親和性捕捉ポリマーの合成
ポリ−L−リシンPEG−ビオチン(PEG−PLL−ビオチン)をRuiz Taylor(6)(Natsume, T., Nakayama, H., Isobe, T. Trends Biotechnolo 2001; 10,28-33)のプロトコルに従って合成した。簡単に言えば、ポリエチレン−L−リシン(平均サイズ17〜30kDa、シグマ社(Sigma)、ドーセット、英国)100mgを100mM 炭酸ナトリウム緩衝液1ml(pH9)中でmPEG−SPA109mg及びビオチンPEG−CO−NHS(シアウオーター社(Shearwater Corporation)、ハンツビル、アラバマ州)1.1mgと30分間反応させた。1mM トリス−HCl(pH7.5)中で一晩透析することによって反応を終了させた。この反応から得た生成物をPEG−PLL−ビオチンと呼んだ(1%PEG誘導体はビオチン頭部を含有する)。
クレアチンキナーゼのビオチン化
クレアチンキナーゼ(100mg)を1mM トリスHCl(pH7.5)1mlに溶解し、EZ結合(EZ link)ビオチンPEOアミン1mg及びエチレンジアミンカルボジイミド1mgを室温で20分間反応させた。
親和性捕捉表面の調製
次のアセトン、アセトニトリル、二重蒸留水中の洗浄工程での使用前にタンパク質マイクロアレイプローブを十分に清浄し、窒素下で乾燥した。次いで、新たに調製した親和性捕捉ポリマーであるPEG−PLL−ビオチンをプローブ表面上にピペットで移し、次いでそれをネスコ(Nesco)フィルム(アズウェル社(Azwell Inc.)、大阪、日本)でコーティングすることによって表面上に一様に分散させた。30分後、プローブを1mM トリス−HCl(pH7.5)中で洗浄し、窒素下で乾燥し、次いで、湿式チャンバー中、室温で1時間、0.5mg/mlニュートラアビジンでコーティングした。次いで、プローブを洗浄用緩衝液ですすぎ、脱塩用緩衝液で2回洗浄し、窒素下で乾燥した。このとき、表面は、ビオチン化高分子に非常に特異的な親和性捕捉デバイスとして使える状態であった。
プローブ表面上のビオチン化タンパク質の捕捉及び検出
MALDI標的上のPLL−PEG−ビオチンニュートラアビジン表面をビオチン化クレアチンキナーゼ(ロシュ社(Roche)、マンハイム、ドイツ)5ngで上塗りした。ビオチン化タンパク質を乾燥を妨げるための湿式チャンバー中でMALDI標的上に2時間捕捉し、洗浄用緩衝液で2回洗浄し、続いて脱塩用緩衝液で2回洗浄し、表面を窒素下で乾燥し、アセトン中のシアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸の飽和溶液300nlで上塗りした。
タンパク質アレイ上の固定化クレアチンキナーゼのキナーゼ活性のモニタリング
固定化クレアチンキナーゼを有するアレイを1mM トリス−HCl(pH7.5)100mlで洗浄し、次いで1mM クレアチンリン酸、1mM ADP、1mM MgCl、及び25mM 重炭酸アンモニウム緩衝液の混合物で1マイクロリットル未満の体積にて上塗りした。酵素及び基質を湿式チャンバー中で37℃で30分間インキュベーションした。ADP、クレアチンリン酸、又はキナーゼのいずれかを省いた反応を特異性対照と並行して実施した。
結果
図3は、ADP及びATPの検出を示している。pH7.4の25mM 重炭酸アンモニウム中でのADP、クレアチンリン酸、及びクレアチンキナーゼの反応からATPを酵素合成した。[ADP]が427.6ダルトンで検出され、[ADP+Na]が449.6ダルトンで検出された。クレアチンキナーゼ反応の生成物が507.6、529.6、551.6、及び573.8で検出され、[ATP]並びに3つのATPナトリウム付加生成物である[ATPNa]、[ATPNa、及び[ATPNaの予測分子量とよく一致した。
ADP若しくはクレアチンリン酸基質又はクレアチンリン酸キナーゼ酵素のいずれか1つを省いた対照反応ではATPピークが示されなかった。
1. Gygi, S. P., Rist, B., Gerber, S. A., Turecek, F. Gelb, M. H. and Aebersold, R., Nat. Biotechnol. 1999; 17, 994-999
2. Gavin AC, Bosche M, Krause R, Grandi P, Marzioch M, Bauer A, Schultz J, Rick JM, Michon AM, Cruciat CM, Remor M, Hofert C, Schelder M, Brajenovic M, RuffnerH, Merino A, Klein K, Hudak M, Dickson D, Rudi T, Gnau V, Bauch A, Bastuck S, Huhse B, Leutwein C, Heurtier MA, Copley RR, Edelmann A, Querfurth E, Rybin V, Drewes G, Raida M, Bouwmeester T, Bork P, Seraphin B, Kuster B, Neubauer G, Superti-Furga G., Nature 2002; 415 (6868), 141-147.
3. MacBeath, G., and Schreiber, S. F. Science 2000; 289,1760-1763
4. Zhu H, Klemic JF, Chang S, Bertone P, Casamayor A, Klemic KG, Smith D, Gerstein M, Reed MA, Snyder M. Nat Genet. 2000; 26 (3): 283-9
5. Zhu H, Bilgin M, Bangham R, Hall D, Casamayor A, Bertone P, Lan N, Jansen R, Bidlingmaier S, Houfek T, Mitchell T, Miller P, Dean RA, Gerstein M, Snyder M. Science 2001; 293, 2101-2105
6. Natsume, T., Nakayama, H., Isobe, T. Trends Biotechnolo 2001; 10, 28-33
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これは、アップステート社(Upstate)から入手可能な基質の列記である。
http://www.upstate.com/features/kinaseprofiler.q./KinaseProflier+%23153%B#Kinase
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Claims (36)

  1. i)固定化酵素を担持するプローブを提供する工程、ii)任意選択により試験化合物を導入する工程、iii)1つ以上の反応物を反応が起こるのに十分な時間及び形態で前記固定化酵素に導入する工程、iv)前記プローブを乾燥する工程、v)前記プローブに質量分析を施す工程、及びvi)1つ以上の生成物及び/又は1つ以上の前記反応物の存在及び/又は非存在を検出することによって前記酵素の活性又は前記酵素の活性に対して前記試験化合物が有する効果を決定する工程を含む、酵素の活性又は該酵素の活性に対して試験化合物が有する効果を、質量分析を用いることによって決定する方法。
  2. 前記質量分析がレーザー脱離イオン化質量分析、好ましくはMALDI質量分析である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酵素がキナーゼ、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、又はリガーゼである、請求項1又は2項に記載の方法。
  4. 前記酵素がタンパク質キナーゼ、プロテアーゼ、カルボキシラーゼ、エステラーゼ、ホスホジエステラーゼ、タンパク質ホスファターゼ、G−タンパク質結合受容体、ATP依存性シャペロン、シクロオキシゲナーゼ、シトクロムP450、シアリダーゼ、短鎖デヒドロゲナーゼ、又は短鎖レダクターゼである、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記酵素がセリンキナーゼ、スレオニンキナーゼ、チロシンキナーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパルチルプロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、又はチロシンホスファターゼである、請求項4に記載の方法。
  6. 工程ii)が必須であり、前記酵素の活性に対して前記試験化合物が有する効果を該試験化合物の非存在下で得られる結果との比較によって決定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記試験化合物を前記1つ以上の反応物の前に、該反応物の後に、あるいは該反応物とともに添加して酵素活性に対する該試験化合物の効果を決定する工程を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記方法が定性的である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記方法が定量的である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. i)固定化キナーゼを担持するプローブを提供すること、ii)任意選択により試験化合物を導入する工程、iii)1つ以上の反応物を反応が起こるのに十分な時間及び形態で前記固定化キナーゼに導入する工程、iv)前記プローブを乾燥する工程、v)前記プローブに質量分析を施す工程、及びvi)1つ以上の生成物及び/又は1つ以上の前記反応物の存在及び/又は非存在を検出することによって前記キナーゼの活性又は前記キナーゼの活性に対して前記試験化合物が有する効果を決定する工程を含む、キナーゼの活性又は該キナーゼの活性に対して試験化合物が有する効果を、質量分析を用いることによって決定する方法。
  11. 前記質量分析がレーザー脱離イオン化質量分析、好ましくはMALDI質量分析である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記1つ以上の反応物がリン酸供与体、リン酸受容体、及び二価カチオンを含む、請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記リン酸供与体がリン酸化された基質であり、前記リン酸受容体がヌクレオチド二リン酸(NDP)である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記リン酸供与体がヌクレオチド三リン酸(NTP)であり、前記リン酸受容体がリン酸化される基質である、請求項12に記載の方法。
  15. 前記二価カチオンがマグネシウム又はマンガンである、請求項12に記載の方法。
  16. 前記ヌクレオチド二リン酸又は三リン酸がアデニン二リン酸又は三リン酸(ADP又はATP)である、請求項13又は14に記載の方法。
  17. 前記生成物がヌクレオチド三リン酸又はヌクレオチド二リン酸であってその存在が検出される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記ヌクレオチド三リン酸又はヌクレオチド二リン酸が[NTP]若しくは[NDP]又は1つ以上のそれらの付加生成物のピークとして検出される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記1つ以上の付加生成物のピークが一価カチオン(M)を有する付加生成物のピークである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記1つ以上の付加生成物のピークが[ATPM]、[ATPM、及び[ATPM、並びに/又は[ADPM]、[ADPM、及び[ADPMを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 工程iv)及びv)の間に前記プローブをエネルギー吸収分子で上塗りする工程をさらに含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記1つ以上の反応物及び在る場合には前記試験化合物を区画化形態で前記固定化酵素に導入する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記区画化形態が小滴としてである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記小滴が1マイクロリットル未満の体積を有する、請求項23に記載の方法。
  25. 前記1つ以上の反応物が低塩緩衝液中に提供される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記低塩緩衝液が重炭酸アンモニウム緩衝液である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記アッセイを湿潤環境中で行う、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記1つ以上の反応物及び任意選択により任意のエネルギー吸収分子を前記固定化酵素の使用域で前記プローブに塗布する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 電気伝導性の標的表面を有する支持体を含み、該標的表面がその上に固定化された複数の酵素を有するアレイを含むことを特徴とする、質量分析計で使用するためのプローブ。
  30. 前記酵素がキナーゼ、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、又はリガーゼである、請求項29に記載のプローブ。
  31. 前記酵素がタンパク質キナーゼ、プロテアーゼ、カルボキシラーゼ、エステラーゼ、ホスホジエステラーゼ、タンパク質ホスファターゼ、G−タンパク質結合受容体、ATP依存性シャペロン、シクロオキシゲナーゼ、シトクロムP450、シアリダーゼ、短鎖デヒドロゲナーゼ、又は短鎖レダクターゼである、請求項29又は30に記載のプローブ。
  32. 前記酵素がセリンキナーゼ、スレオニンキナーゼ、チロシンキナーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパルチルプロテアーゼ、メタロプロテイナーゼ、又はチロシンホスファターゼである、請求項31に記載のプローブ。
  33. 前記アレイがマイクロアレイである、請求項29〜32のいずれか1項に記載のプローブ。
  34. 前記酵素が融合タンパク質である、請求項29〜33のいずれか1項に記載のプローブ。
  35. 前記酵素が標識を介して固定化されている、請求項29〜34のいずれか1項に記載のプローブ。
  36. 前記標識がオチン又はbleタンパク質である、請求項35に記載のプローブ。
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