JP2010061513A - 利用対象推薦装置、利用対象推薦方法およびプログラム - Google Patents

利用対象推薦装置、利用対象推薦方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】利用者の数およびアイテムの数が大きくても、計算量を抑えて、より妥当なアイテムを推薦する。
【解決手段】複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、利用者および利用対象に対応付けて読み出す推定値読出部と、推定値読出部により読み出された評価値のなかで欠損している評価値を、利用者および利用対象を行および列とした評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出部と、推定値算出部により算出された推定値に基づいて、複数の利用対象のうち利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択した利用対象を推薦する推薦情報を、ネットワークを介して利用者の端末に提示する推薦情報提示部とを備え、推定値算出部は、行列の特異値単位の縮小推定により推定値を算出する利用対象推薦装置が提供される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、端末を介して利用者へ推薦する利用対象推薦装置、利用対象推薦方法およびプログラムに関する。
利用者から、映画、書籍等のアイテムへの評価値の入力を受け付けるとともに、当該評価値に基づいて、当該利用者の未評価のアイテムを推薦する利用対象推薦装置が知られている。この利用対象推薦装置として、利用者の未評価のアイテムの評価値を欠損データととらえて、当該欠損データを推定するものがある(非特許文献1および2を参照)。欠損データの推定方法として、利用者とアイテムとを行及び列とする行列について、重み付け低階数近似(weighted low-rank approximation:WLRA)により推定値を求める方法がある。
Srebro, N., &Jaakkola, T. (2003). Weighted Low Rank Approximation. Proc. of ICML. Goldberg, K. Y., Roeder, T., Gupta, D., &Perkins, C. (2001). Eigentaste: A Constant Time Collaborative Filtering Algorithm. Inf. Retr., 4, 133-151.
しかしながら、上記WLRAの方法においては、階数を決定するのにクロスバリデーションを用いるので、行列要素の個数が多い行列の推定値を算出するのに計算量が非常に多くなり、従って計算に時間がかかる。さらに、計算量が多いという制約から、クロスバリデーションする階数の設定数が少なく、従って得られる精度に限界がある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、端末を介して利用者に提示する利用対象推薦装置であって、複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、利用者および利用対象に対応付けて読み出す推定値読出部と、推定値読出部により読み出された評価値のなかで欠損している評価値を、利用者および利用対象を行および列とした評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出部と、推定値算出部により算出された推定値に基づいて、複数の利用対象のうち利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択された利用対象を推薦する推薦情報を、ネットワークを介して利用者の端末に提示する推薦情報提示部とを備え、推定値算出部は、行列の特異値単位の縮小推定により推定値を算出する利用対象推薦装置が提供される。
また、本発明の第2の態様においては、ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、端末を介して利用者へ推薦する利用対象推薦方法であって、複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、利用者および利用対象に対応付けて読み出す推定値読出段階と、推定値読出段階により読み出された評価値のなかで欠損している評価値を、利用者および利用対象を行および列とした評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出段階と、推定値算出段階により推定された推定値に基づいて、複数の利用対象のうち利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択した利用対象を推薦する推薦情報を、ネットワークを介して利用者の端末に提示する推薦情報提示段階とを備え、推定値算出段階は、行列の特異値単位の縮小推定により推定値を算出する利用対象推薦方法が提供される。
また、本発明の第3の態様においては、ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、端末を介して利用者へ推薦するコンピュータに、複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、利用者および利用対象に対応付けて読み出す推定値読出機能、推定値読出部により読み出された評価値のなかで欠損している評価値を、利用者および情報を行および列とした評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出機能、および、推定値算出部により推定された推定値に基づいて、複数の利用対象のうち利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択した利用対象を推薦する推薦情報を、ネットワークを介して利用者の端末に提示する推薦情報提示機能を実現させ、推定値算出機能は、行列の特異値単位の縮小推定により推定値を算出するプログラムが提供される。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一実施形態である利用対象推薦装置100を含む推薦情報提示システム10の概略を示す概略図である。図1の推薦情報提示システム10は、利用対象推薦装置100、利用者により利用される端末20、22、24、26、および、それらの間で情報の送受信を可能にするネットワーク40を含む。利用対象推薦装置100は、例えば、ネットワーク40上でアイテムを販売するアイテム提供者により管理される。この利用対象推薦装置100は、ネットワーク40を介して利用者の端末20等から入力されたアイテムの評価値に基づいて、当該利用者へ推薦するアイテムに関する推薦情報を、端末20等を介して利用者に提示する。ここで、アイテムは利用対象の一例であって、有体の商品、ネットワーク40を介して配信される無体のコンテンツ等を含む。
図2は、利用対象推薦装置100の機能ブロックを示す。利用対象推薦装置100は、評価値入力部110と、評価値格納部120と、評価値読出部130と、推定値算出部140と、推定値格納部150と、推薦情報提示部160とを有する。また、利用対象推薦装置100は、記憶媒体102に格納されたプログラムがインストールされることにより、上記評価値入力部110から推薦情報提示部160の機能を実現してもよい。
評価値入力部110は、ネットワーク40を介して複数の利用者の端末20等から入力された複数のアイテムの評価値を受信する。評価値は、例えば、評価が高いほど数値が大きい5段階評価である。他の評価の例として、興味の有無を1と0とで評価する、または、実際に当該アイテムを購買したか否かを1と0とで評価してもよい。評価値入力部110は、受信した評価値を利用者を識別する番号およびアイテムを識別する番号に対応付けて評価値格納部120に格納する。
また、評価値読出部130は、評価値格納部120に格納されている評価値を読み出す。さらに、推定値算出部140は、評価値読出部130により読み出された評価値のなかで欠損している評価値を推定し、当該推定値をアイテムに対応付けて推定値格納部150に格納する。なお、推定値算出部140の動作の詳細は後述する。また、推薦情報提示部160は、推定値格納部150を参照して利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択したアイテムを推薦する推薦情報を、ネットワークネットワーク40を介して利用者の端末20等に提示する。
図3は、評価値格納部120に格納される情報の一例を示す。図3の評価値格納部120は、利用者番号lおよびアイテム番号mに対応付けて、1から5までの5段階の評価値を格納している。この場合に、評価値格納部120はL人の利用者およびM個のアイテムについて、L×M個の評価値を格納することができるが、すべての利用者がすべてのアイテムについて評価値を入力していることはむしろまれである。図3において、評価値が入力されていない箇所が欠損箇所として「*」で示されている。
図4は、推定値格納部150に格納される情報の一例を示す。図4の推定値格納部150には、アイテム番号mおよび利用者番号lに対応付けて、推定値算出部140にて算出された1.0から5.0までの推定値が格納される。この場合に、評価値格納部120に格納されているL×M個の評価値(ただし欠損箇所も含む)に対応して、推定値格納部150も、L×M個の推定値を格納している。図4において、評価値格納部120で評価値が入力されていた箇所に対する推定値を、括弧を付して示した。
図5は、利用対象推薦装置100の動作の一例(S10)を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、評価値入力部110に端末20から新たに評価値が入力された場合に開始する。
まず、評価値読出部130は、評価値格納部120から、評価値を利用者番号lおよびアイテム番号mに対応付けて読み出す(S100)。次に、推定値算出部140は、評価値読出部130から受け取った評価値を規格化する(S102)。この場合に、推定値算出部140は、欠陥箇所でない評価値について全体の平均が0となり、分散が1となるように、すなわち、L×Mの行列において欠陥箇所でない評価値の行列全体の平均が0となり、分散が1となるように規格化する。なお、これに代えて、推定値算出部140は、欠陥箇所でない評価値について利用者毎の平均が0となり、分散が1となるように、すなわち、L×Mの行列の各行において欠陥箇所でない評価値の平均が0となり、分散が1となるように規格化してもよいし、欠陥箇所でない評価値についてアイテム毎の平均が0となり、分散が1となるように、すなわち、L×Mの行列の各列において欠陥箇所でない評価値の平均が0となり、分散が1となるように規格化してもよい。また、推定値算出部140は、評価値読出部130から受け取った評価値の個数L×Mが予め設定された正の整数Ne0より大きいか否かを判断する(S110)。ここでの評価値の個数は欠損箇所も含むので、利用者の数Lにアイテムの数Mを掛けた個数となる。
ステップS110において、評価値の個数L×Mが整数Ne0よりも大きい場合に、推定値算出部140は、欠損している評価値を、利用者番号lおよびアイテム番号mを行および列とした評価値の行列Yの特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する(S200)。当該ステップS200において、推定値算出部140は、特異値単位の縮小推定により推定値を算出し、その場合にハイパーパラメータについてクロスバリデーション(CV)を用いない。当該計算方法については、さらに後述する。
一方、ステップS110において、評価値の個数L×Mが整数Ne0以下の場合に、推定値算出部140は、欠損している評価値を、利用者番号lおよびアイテム番号mを行および列とした評価値の行列Yの特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する(S300)。当該ステップS300において、推定値算出部140は、特異値単位の縮小推定により推定値を算出し、その場合にハイパーパラメータについてクロスバリデーション(CV)を用いる。当該計算方法については、さらに後述する。
ここで、上記正の整数Ne0は、100,000から200,000のいずれかであることが好ましく、予め設定されて推定値算出部140に格納されている。さらに、上記ステップS200、S300に続いて、推定値算出部140は、算出したL×M個の推定値を変換する(S118)。この変換は、ステップS102における規格化の逆変換に対応する。さらに、推定値算出部140は、変換後の推定値を推定値格納部150に格納する(S120)。
推薦情報提示部160は、推定値格納部150に格納された推定値に基づいて、利用者へ推薦するアイテムを選択する(S130)。ここで、推薦情報提示部160は、特定の利用者について、より大きい推定値に対応づけられたアイテムをより優先的に、例えば大きい方から所定個数だけ選択する。これにより、当該特定の利用者にとって関心が高いと推定されるアイテムを選択することができる。
この場合に、推薦情報提示部160は、ある利用者の評価値の入力を契機として当該動作(S10)が開始した場合には、当該利用者を特定の利用者とすることが好ましい。図3に示す例において、利用者番号3が端末20を用いてアイテム番号1について評価値を入力したことにより当該動作が開始した場合には、当該利用者番号3について推定値の大きいアイテム、例えば、アイテム番号3を選択する。これにより、評価の対象となっているアイテムに現在関心を持っている利用者に対して、推薦する他のアイテムを選択することができる。
当該ステップS130において、推薦情報提示部160はさらに、評価値読出部130により評価値が読み出されたアイテムを除外して、他のアイテムを提示することが好ましい。すなわち、推薦情報提示部160は、評価値格納部120における欠陥箇所に対応するアイテムのうち、推定値の大きいアイテムを選択することが好ましい。これにより、当該利用者が未だ利用していないアイテムが提示されることにより、利用者が当該アイテムを利用するのをより促進することができる。
また、推定値算出部140は、推定値の大きいほうから所定個数だけアイテムを選択することに代えて、所定値以上の推定値に対応するアイテムを選択してもよい。
推薦情報提示部160は、ステップS130で選択したアイテムを推薦する推薦情報を、ネットワーク40を介して利用者の端末20に提示する(ステップS140)。上記の例において、利用者番号3について推薦すべきアイテムを選択した場合には、当該利用者番号3の利用者の端末20へ、推薦情報を送信する。これにより、利用者がこれまで入力した評価値に基づいて、当該利用者が関心を持つことが推定されるアイテムを推薦する推薦情報を、端末20等を介して当該利用者に提示することができる。ここで、推薦情報の例として、当該アイテムの名称、当該アイテムを紹介または購買するホームページのURLまたはリンク等が含まれる。また、利用者番号と端末を識別する識別情報とが対応付けられて、当該利用対象推薦装置100に格納されていてもよいし、外部のデータベースに格納されていて当該データベースが参照されてもよい。
図6は、図5のステップS200の動作を示すフローチャートである。ステップS200において、推定値算出部140は、EステップおよびMステップとして下記数式を用いる。
Figure 2010061513
Figure 2010061513
ここで、X,Y、Z、WはL×Mの行列であり、Yl,mはYの行列要素であって利用者lが利用対象mを評価した評価値であり、Wl,mはWの行列要素であってYl,mが欠損していれば0で、欠損していなければ1であり、tは繰り返し番号であり、×は成分ごとの積、Tは行列またはベクトルの転置であり、γは行列Z(t)のh番目に大きい特異値であり、ωahおよびωbhは対応する右特異ベクトルおよび左特異ベクトルであり、Hはmin(L,M)であり、f(γ)はJames−Stein型推定量である。
さらに、推定値算出部140は、上記James−Stein型推定量f(γ)として下記式を用いることが好ましい。
Figure 2010061513
ここで、Kはmax(L,M)であり、σ^は行例Yの観測ノイズ分散である。この推定量は、positive-part縮小推定量と呼ばれる。
当該動作S200において、推定値算出部140は、σ^を下記数式により求める(S210)。このσ^は、ノイズだけでなく、信号成分も含んだ振幅の合計であるが、行列のサイズが大きい場合(このときS200が選択される)には良い近似となっている。
Figure 2010061513
さらに、推定値算出部140は、上記Eステップの計算(S220)とMステップの計算と(S230)とを交互に繰り返す(S240)、いわゆるEMアルゴリズムにより推定値を算出する。推定値算出部140は、ステップS220とS230とを予め定められた回数Ncだけ繰り返す。ただし、回数を予め定めることに代えて、収束を示すパラメータが所定位置以下になるまで計算を繰り返すようにしてもよい。
以上、図6に示すステップS200の動作によれば、行例の特異値分解を用いてEMアルゴリズムにより当該行列の要素を推定するにあたり、クロスバリデーションを用いない。よって、行列要素の数、すなわち、評価値の個数L×Mが多くてもクロスバリデーションを用いる場合に比べて計算量を抑えつつ、より妥当な推定値を得ることができる。また、行列の特異値単位の縮小推定を用いているので、サンプルにオーバーエスティメートすることを抑え、より妥当な推定値を得ることができる。
図7は、図5のステップS300の動作を示すフローチャートである。ステップS300においても、推定値算出部140は、上記数式1から3を用いるが、σ^を、行列Yのサンプルを用いてクロスバリデーションにより求める。
ステップS310において、推定値算出部140は、上記数式1から3のハイパーパラメータの初期値を設定する。ここで、ハイパーパラメータとしてσ^が含まれる。
さらに、推定値算出部140は、行列Yのデータセットを設定する(S312)。例えば、行列Yのデータセットとして、行列Yから複数の計算用の行列および検証用の行列の組が複数個、作成される。なお、上記ステップS312とS310の順序は問わない。
ステップS314からS318までの動作は、図6のステップS210からS240までの動作と同一であり、説明を省略する。ただし、計算には上記計算用の行列が用いられる。ステップS320において、推定値算出部140は、検証用の行列を用いて上記計算結果を検証する。さらに推定値算出部140は、これらのステップS314からS320まで動作を、上記行列の組について繰り返す(S322)。
さらに、推定値算出部140は、ハイパーパラメータの値を変更して(S324)、ステップS314からS322までの動作を繰り返す(S326)。ハイパーパラメータは、所定範囲内で等間隔に設定されていてもよいし、適切なパラメータが予想できる場合には予想されるパラメータの値の前後を密に設定してもよい。
ステップS328において、推定値算出部140は、ハイパーパラメータを決定するとともに、そのハイパーパラメータにおける推定値を決定する(S328)。ここで、推定値算出部140は例えば、上記ステップS320の検証の結果をハイパーパラメータ毎に平均して、当該平均に基づいて最適なハイパーパラメータを決定する。
以上、図7に示すステップS300の動作によれば、行例の特異値分解を用いてEMアルゴリズムにより当該行列の要素を推定するにあたり、σ^についてクロスバリデーションを用いるので、より妥当な推定値を得ることができる。
以上、図1から図7に示す本実施形態によれば、利用者がこれまで入力した評価値に基づいて、当該利用者が関心を持つことが推定されるアイテムを推薦する推薦情報を、端末20等を介して当該利用者に提示することができる。また、上記実施形態においては、ステップS110において、評価値の個数L×Mに応じてステップS200とステップS300とを使い分けている。これにより、評価値の個数L×Mすなわち行列Yの行列要素の数が少ない場合にはクロスバリデーションを用いてより妥当な推定値を算出するとともに、行列要素の数が多い場合にはクロスバリデーションを用いずに計算量を抑えて妥当な推定値を算出することができる。
ただし、推定値の算出方法は場合分けするものに限られない。これに代えて、評価値の個数に関わらず、ステップS200により推定値を算出してもよい。これにより、行列要素の数が多い場合にはクロスバリデーションを用いずに計算量を抑えて妥当な推定値を算出することができる。
上記実施形態の推定方法を下記の通り評価した。実施例1としてステップS200の計算方法を用い、実施例2としてステップS300の計算方法を用いる。また、比較例として、ステップS200における数式2に代えて、WLRAである下記数式5を用いる。ただし、H´はmin(L,M)より小さいハイパーパラメータであり、クロスバリデーションにより最適値が決定される。
Figure 2010061513
行列Yのサンプルデータセットとして、GroupLensプロジェクトで公開されているMoveLensのデータセット、および、Netflix社から公開されているデータセットを用いた。それらのデータは、1から5までの五段階評価である。これらのデータセットから、利用者数Lとアイテム数Mの複数の組み合わせを設定したL×M行列をつくり、そのうちで最も欠損箇所の少ない行列を観察行列Yとし、当該観察行列Yは、利用者毎に、評価値の平均が0および分散が1となるように正規化した。
上記データセットを用いて、推定値の行列X^を算出した。算出した推定値と、観察行列Yの評価値との絶対誤差MAEを下記数式6により算出した。ただし、Wtestは、観察行列Yにおいて評価値がある行列要素を1として評価値が欠損している行列要素を0とした行列である。なお、下記数式から明らかな通り、当該MAEの値が小さいほど、推定値が妥当であることを示す。
Figure 2010061513
上記実施例1、2および比較例による計算結果を表1に示す。ここで、欠損率は、観察行列Yにおける欠損箇所の割合である。
Figure 2010061513
上記表1に示された計算結果によれば、比較例よりも実施例1、2の推定値がより妥当であることが分かる。ここで、実施例2は行列要素の数が多いときに計算量が多くなる。表1に示すとおり、実施例1は当該実施例2に匹敵する妥当性を有するので、実施例1の計算方法を用いることにより、計算量を抑えつつ、妥当な推定値を算出することができる。
以上、本実施形態によれば、利用者がこれまで入力した評価値に基づいて、当該利用者が関心を持つことが推定されるアイテムを推薦する推薦情報を、端末20等を介して当該利用者に提示することができる。この場合に、利用者の数およびアイテムの数が大きくても、計算量を抑えて、より妥当なアイテムを推薦することができる。
なお、図2において、評価値入力部110および評価値格納部120は利用対象推薦装置100の一部であるが、これに限られない。他の例として、評価値入力部110および評価値格納部120が、ネットワーク40を介して接続された利用対象推薦装置100とは別のサーバに設けられていてもよい。この場合に、S10の動作は、端末20等から評価値読出部130に対して推定値を計算すべき旨の入力、または、推薦情報を提示すべき旨の入力があったことを契機に開始してもよい。さらにまた、S10の動作は、予め設定された所定時間毎に実行されてもよい。
また、推薦情報提示部160は、評価値入力部110または評価値読出部130への入力を契機に推薦情報を端末20等に提示することに代えて、端末20等からの要求に基づいて推薦情報を提示してもよい。この場合に、例えば、端末20から要求があった場合には、推薦情報提示部160は端末20に対応する利用者についてアイテムを選択して、当該アイテムの推薦情報を端末20に出力することが好ましい。
さらに、図5のステップS130において、特定の利用者について推定値の大きいアイテムを選択することに代えて、特定のアイテムについて推定値の大きい利用者を優先的に選択してもよい。また、利用対象推薦装置100は、新しいアイテムが評価値格納部120に追加され、所定数の利用者の評価値が評価値格納部120に格納されたときに、推定値を算出し、当該アイテムについて推定値の大きい利用者を優先的に選択してもよい。上記いずれの場合も、推薦情報提示部160は、当該アイテムの評価値が評価値読出部130から読み出された利用者を除外して、欠損箇所に対応する利用者のうち、推定の大きい利用者を選択することが好ましい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
一実施形態である利用対象推薦装置100を含む推薦情報提示システム10の概略を示す概略図である。 利用対象推薦装置100の機能ブロックを示す。 評価値格納部120に格納される情報の一例を示す。 推定値格納部150に格納される情報の一例を示す。 利用対象推薦装置100の動作の一例(S10)を示すフローチャートである。 図5のステップS200の動作を示すフローチャートである。 図5のステップS300の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
10 推薦情報提示システム、20 端末、22 端末、24 端末、26 端末、40 ネットワーク、100 利用対象推薦装置、102 記憶媒体、110 評価値入力部、120 評価値格納部、130 評価値読出部、140 推定値算出部、150 推定値格納部、160 推薦情報提示部

Claims (12)

  1. ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、前記利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、前記端末を介して前記利用者に提示する利用対象推薦装置であって、
    複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、前記利用者および前記利用対象に対応付けて読み出す推定値読出部と、
    前記推定値読出部により読み出された前記評価値のなかで欠損している評価値を、前記利用者および前記利用対象を行および列とした前記評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出部と、
    前記推定値算出部により算出された前記推定値に基づいて、前記複数の利用対象のうち前記利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択した前記利用対象を推薦する推薦情報を、前記ネットワークを介して前記利用者の前記端末に提示する推薦情報提示部と
    を備え、
    前記推定値算出部は、前記行列の特異値単位の縮小推定により前記推定値を算出する利用対象推薦装置。
  2. 前記推定値算出部は、下記EステップとMステップとを交互に繰り返すことにより前記推定値を算出する請求項1に記載の利用対象推薦装置。
    Figure 2010061513
    Figure 2010061513
    ここで、X,Y、Z、WはL×Mの行列であり、Yl,mはYの行列要素であって利用者lが利用対象mを評価した評価値であり、Wl,mはWの行列要素であってYl,mが欠損していれば0で、欠損していなければ1であり、tは繰り返し番号であり、×は成分ごとの積、Tは行列またはベクトルの転置であり、γは行列Z(t)のh番目に大きい特異値であり、ωahおよびωbhは対応する右特異ベクトルおよび左特異ベクトルであり、Hはmin(L,M)であり、f(γ)はJames−Stein型推定量である。
  3. 前記推定値算出部は、前記James−Stein型推定量f(γ)として下記式を用いる請求項2に記載の利用対象推薦装置。
    Figure 2010061513
    ここで、Kはmax(L,M)であり、σ^は行例Yの観測ノイズ分散である。
  4. 前記推定値算出部は、σ^を、trace(YY)/(LM)により求める請求項3に記載の利用対象推薦装置。
  5. 前記推定値算出部は、σ^を、行列Yのサンプルを用いてクロスバリデーションにより求める請求項3に記載の利用対象推薦装置。
  6. 前記推定値算出部は、行列Yの行列要素の個数が閾値より小さい場合に、σ^を、行列Yのサンプルを用いてクロスバリデーションにより求め、行列Yの行列要素の個数が前記閾値以上である場合に、σ^を、trace(YY)/(LM)により求める請求項3に記載の利用対象推薦装置。
  7. 前記推薦情報提示部は、特定の前記利用者について、より大きい前記推定値に対応づけられた前記利用対象をより優先的に提示する請求項1から6のいずれかに記載の利用対象推薦装置。
  8. 前記推薦情報提示部は、前記推定値読出部により前記評価値が読み出された前記利用対象を除外して、他の前記利用対象を提示する請求項7に記載の利用対象推薦装置。
  9. 前記推薦情報提示部は、特定の前記利用対象について、より大きい前記推定値に対応づけられた前記利用者に対してより優先的に前記利用対象を提示する請求項1から6のいずれかに記載の利用対象推薦装置。
  10. 前記推薦情報提示部は、前記推定値読出部により前記評価値が読み出された前記利用対象を除外して、他の前記利用対象を提示する請求項9に記載の利用対象推薦装置。
  11. ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、前記利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、前記端末を介して前記利用者へ推薦する利用対象推薦方法であって、
    複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、前記利用者および前記利用対象に対応付けて読み出す推定値読出段階と、
    前記推定値読出段階により読み出された前記評価値のなかで欠損している評価値を、前記利用者および前記利用対象を行および列とした前記評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出段階と、
    前記推定値算出段階により推定された前記推定値に基づいて、前記複数の利用対象のうち前記利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択した前記利用対象を推薦する推薦情報を、前記ネットワークを介して前記利用者の前記端末に提示する推薦情報提示段階と
    を備え、
    前記推定値算出段階は、前記行列の特異値単位の縮小推定により前記推定値を算出する利用対象推薦方法。
  12. ネットワークを介して利用者の端末から入力された利用対象の評価値に基づいて、前記利用者へ推薦する利用対象に関する推薦情報を、前記端末を介して前記利用者へ推薦するコンピュータに、
    複数の利用者が複数の利用対象のそれぞれを評価した評価値を、前記利用者および前記利用対象に対応付けて読み出す推定値読出機能、
    前記推定値読出機能により読み出された前記評価値のなかで欠損している評価値を、前記利用者および前記情報を行および列とした前記評価値の行列の特異値分解を用いて推定した、推定値を算出する推定値算出機能、および、
    前記推定値算出機能により推定された前記推定値に基づいて、前記複数の利用対象のうち前記利用者へ推薦する利用対象を選択して、選択した前記利用対象を推薦する推薦情報を、前記ネットワークを介して前記利用者の前記端末に提示する推薦情報提示機能
    を実現させ、
    前記推定値算出機能は、前記行列の特異値単位の縮小推定により前記推定値を算出するプログラム。
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