JP2010059208A - 腫瘍疾患の治療における免疫調節性抗体の使用 - Google Patents

腫瘍疾患の治療における免疫調節性抗体の使用 Download PDF

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Abstract

【課題】免疫調節性抗体、特に抗B7、抗CD23、もしくは抗CD40L抗体と、B細胞枯渇性抗体、特に抗CD19、抗CD20、抗CD22、もしくは抗CD37抗体とを使用するB細胞悪性病変治療向けの併用抗体療法を提供する。
【解決手段】この併用療法は、抗B7及び抗CD20抗体の投与を含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本出願は、2001年1月31日出願の米国出願第09/772,938号、2001年5月16日出願の同出願第09/855,717号、2001年11月5日出願の同出願第09/985,646号、及び2001年11月9日出願の同仮出願第60/331,187号に優先権を主張するものであり、それぞれを参照により全体として本明細書に組み込む。
本発明は、新生物、特にB細胞リンパ腫及び白血病の治療用の相乗的な抗体併用療法に関する。好ましい実施形態では、この相乗的な抗体の組合せは、たとえばB細胞/T細胞の相互作用、及び/又はB細胞の活性、分化、もしくは増殖を調節することによって免疫系を調節又は制御する抗体(たとえば抗B7、抗CD40、抗CD23、又は抗CD40L)と、任意選択で、実質的なB細胞枯渇活性を有する少なくとも1種の抗体(たとえば抗CD19、CD20、CD22、又はCD37抗体)とを含み、他の好ましい実施形態では、本発明は、抗CD40Lと抗B7など、2種の免疫調節性抗体の相乗的な組合せを含んでよい。
脊椎動物(たとえば、ヒト、類人猿、サルなどを含む霊長類)の免疫系は、脊椎動物の宿主を襲う外来の微生物(「抗原」)を正確かつ特異的に認識し、そのような外来微生物に特異的に結合し、さらにそのような外来微生物を排除/破壊するように進化したいくつかの臓器及び細胞型からなる。リンパ球、並びに他の種類の細胞は、免疫系と外来微生物の排除及び破壊にとって極めて重要である。リンパ球は、胸腺、脾臓、及び骨髄(成人)で産生され、ヒト(成人)の循環器系に存在する白血球細胞全体の約30%に相当する。リンパ球の2大亜集団は、T細胞及びB細胞である。T細胞は細胞免疫を担い、B細胞は抗体産生(液性免疫)を担う。しかし、T細胞及びB細胞は、互いに依存しているとみなすことができる。典型的な免疫応答では、抗原提示細胞表面上の主要組織適合複合体(「MHC」)糖タンパク質に結合されている抗原の断片にT細胞受容体が結合したときにT細胞が活性化され、この活性化によって、生物学的媒介物質(「インターロイキン」又は「サイトカイン」)が放出され、本質的に、この物質がB細胞を刺激してこれを分化させて、その抗原に対する抗体(「免疫グロブリン」)を産生させるのである。
宿主内では、各B細胞がその表面上に異なる抗体を発現し、したがって、1つのB細胞が1個の抗原に特異的な抗体を発現し、その間別のB細胞が違う抗原に特異的な抗体を発現することになる。それゆえに、B細胞は、実に多様であり、この多様性は、免疫系にとって極めて重要である。ヒトでは、各々のB細胞が、膨大な数(すなわち約107〜108個)の抗体分子を産生できる。最も一般には、このような抗体産生は、外来抗原が中和されると停止(かなり低下)する。しかし、ある特定のB細胞の増殖が衰えず続く場合があり、このような増殖状態は、「B細胞リンパ種」と呼ばれる癌をもたらし得る。
非ホジキンリンパ腫は、Bリンパ球の悪性の成長を特徴とする、リンパ腫の1種類である。アメリカ癌学会によると、推定54,000件の新しい症例が診断されており、その65%は、中悪性度又は高悪性度のリンパ腫であると分類されるであろう。中悪性度リンパ腫であると診断された患者の平均生存率は2〜5年であり、高悪性度リンパ腫であると診断された患者が生存するのは、診断後平均6カ月〜2年である。
従来の治療には、化学療法及び放射線が含まれ、適切なドナーが求めに応じられ、かつ骨髄が、収集した場合に非常に多くの腫瘍細胞を含んでいれば、その後自家もしくは同種間の骨髄又は幹細胞移植が伴うこともある。患者が従来の治療に応答することは多いが、通常数カ月以内に再発する。
B細胞の悪性病変、たとえばB細胞リンパ腫及び白血病は、B細胞枯渇活性を有する、B細胞抗原に特異的な抗体を使用すると、成功裏に治療できることが知られている。B細胞の悪性病変の治療に実際又は潜在的に適用できることが報告されているB細胞抗体の例には、CD20、CD19、CD22、CD37、及びCD40に特異的な抗体が含まれる。
また、B細胞枯渇活性を有する抗CD37抗体の使用に、B細胞リンパ腫を治療する可能性があることが詳しく報告されている。たとえば、Presr等のJ.Clin.Oncol.第7巻(8):1027〜1038ページ(1989年8月);Grossbard等のBlood第8巻(4):863〜876ページ(1992年8月15日)を参照されたい。
CD20は、90%を超えるB細胞リンパ腫上に発現する細胞表面抗原であり、脱落することなく、腫瘍細胞中で変化することもない(McLaughlin等のJ.Clin.Oncol.第16巻:2825〜2833ページ(1998b))。CD20抗原は、細胞内の情報伝達、B細胞の分化、及びカルシウム・チャネル調節に関与する、35kDaの非グリコシル化B細胞膜タンパク質である(Clark等の Adv.Cancer Res.第52巻:81〜149ページ(1989年);Tedder等のImmunology Today第15巻:450〜454ページ(1994年))。この抗原は、ヒトB細胞系列の初期マーカーとして出現し、様々な抗原密度で、遍在して正常及び悪性B細胞集団上に発現する。しかし、この抗原は、完全に成熟したB細胞(たとえば血漿細胞)、初期B細胞集団、及び幹細胞上には存在せず、そのため、抗体療法に適するターゲットになる。
抗CD20抗体は、研究及び治療の両方における使用向けに調製されている。抗CD20抗体の1つが、単クローンB1抗体である(米国特許第5,843,398号)。抗CD20抗体は、B細胞リンパ腫治療用の放射性核種の形(たとえば、131I標識抗CD20抗体)、並びに前立腺及び乳癌の転移によって引き起こされた骨痛緩和用の89Sr標識の形でも調製されている(Endoの癌と化学療法第26巻:744〜748ページ(1999年))。
マウス・モノクローナル抗体である1F5(抗CD20抗体)は、報告によれば、連続的な静脈注入によって、B細胞リンパ腫患者に投与されている。しかし、報告によれば、循環する腫瘍細胞を枯渇させるには極度に高濃度(>2グラム)の1F5が必要とされ、結果は、「一過性」であったと記載されている(Press等、Blood第69巻:584〜591ページ(1987年))。治療においてモノクローナル抗体を使用することに伴う潜在する問題は、非ヒト・モノクローナル抗体(たとえばマウス・モノクローナル抗体)が、通常ヒトのエフェクター機能を欠いていること、たとえば、特に、補体依存的な溶解の媒介となることや抗体依存的な細胞傷害もしくはFc受容体媒介性の食作用によってヒトの標的細胞を溶解することができない点である。その上、非ヒト・モノクローナル抗体は、ヒト宿主によって外来タンパク質として認識される可能性があり、したがってそのような外来抗体を繰り返し注射すれば、有害な過敏性反応をもたらす免疫応答が誘発され得る。マウス系モノクローナル抗体では、これをしばしば、ヒト抗マウス抗体応答、又は「HAMA」応答と呼ぶ。さらに、このような「外来」抗体は、宿主の免疫系によって攻撃されて、実際には、これらがその標的部位に到達する前に中和される可能性がある。
リツキサン(RITUXAN)(登録商標)(リツキシマブ、MabThera(登録商標)、IDEC−C2B8、及びC2B8としても知られている)は、FDAに最初に認可されたモノクローナル抗体であり、ヒトB細胞リンパ腫の治療用にIDEC Pharmaceuticalsが開発したものである(米国特許第5,843,439号、同第5,776,456号、及び同第5,736,137号を参照されたい)(Reff等のBlood第83巻:435〜445ページ(1994年))。リツキサン(登録商標)は、成長抑制性の抗CD20キメラ単クローン(MAb)であり、報告によれば、in vitroである特定のリンパ腫細胞系の化学療法薬によるアポトーシスを感作する(Demidem等のCancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals第12巻:177〜(1997年))。リツキサン(登録商標)は、マウス異種移植動物モデルを使用するin vivo試験において、抗腫瘍活性も示している。リツキサン(登録商標)は、ヒトの補体に効率的に結合し、FcRに強力に結合し、かつ補体依存的(CDC)及び抗体依存的(ADCC)機序の両方によってin vitroでヒトリンパ球を効率的に死滅させることができる(Reff等のBlood第83巻:435〜445ページ(1994年))。マカクでは、この抗体は、血液及びリンパ節からの正常なB細胞を選択的に枯渇させる。
リツキサン(登録商標)は、低悪性度又は濾胞性のB細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療用に推奨されてきた(McLaughlin等のOncology(Huntingt)第12巻:1763〜1777ページ(1998年a);Maloney等のOncology第12巻:63〜76ページ(1998年);Leget等のCurr.Opin.Oncol.第10巻:548〜551ページ(1998年))。ヨーロッパでは、リツキサン(登録商標)は、再発したIII/IV期濾胞性リンパ腫の治療用に認可されており(White等のPharm.Sci.Technol.Today第2巻:95〜101ページ(1999年))、報告によると、濾胞中心細胞リンパ腫(FCC)に有効である(Nguyen等のEur.J.Haematol第62巻:76〜82ページ(1999年))。リツキサン(登録商標)によって治療されている他の障害には、濾胞中心細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞性Bリンパ腫(DLCL)、及び小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ球性白血病が含まれる(SLL/CLL)(Nguyen等、1999年))。報告によると、難治性もしくは不治のNHLの患者は、リツキサン(登録商標)とCHOP(たとえば、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソン、及びドキソルビシン)の併用療法に応答した(Ohnishi等の癌と化学療法第25巻:2223〜8ページ(1998年))。第I相及び第II相の臨床研究では、リツキサン(登録商標)が、悪性度の低い非ホジキンリンパ腫(NHL)において最小限の毒性及び有意な治療活性を示している(Berinstein等のAnn.Oncol.第9巻:995〜1001ページ(1998年))。
リツキサン(登録商標)は、再発性又は難治性の低悪性度もしくは濾胞性NHLに対して、通常毎週375mg/M2の用量で4週間、B細胞NHLの治療に単独で使用すると、十分に忍容され、かつ有意な臨床活性を伴った(Piro等のAnn.Oncol.第10巻:655〜61ページ(1999年)、Nguyen等(1999年)、及びCoiffier等のBlood第92巻:1927〜1932ページ(1998年))。しかし、抗体を使用する治験の際、最高で毎週500mg/M2の用量を4週間投与することも行われている(Maloney等のBlood第90巻:2188〜2195ページ(1997年))。リツキサン(登録商標)はまた、低悪性度又は濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫患者を治療するために、CHOP(たとえば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニソン)などの化学療法薬と併用されている(Czuczman等のJ.Clin.Oncol.第17巻:268〜76ページ(1999年)及びMcLaughlin等(1998年a))。
さらにまた、IDEC Pharmaceuticals Corporationに譲渡されている特許が、B細胞リンパ腫治療への抗B7抗体の使用に言及した(米国特許第6,113,198号)。しかし、この特許の焦点は、免疫抑制が治療上有益となる疾患の治療のためにそれを使用することであった。例としては、アレルギー、自己免疫、及び移植の適応症が含まれる。
CD40は、成熟B細胞の細胞表面上、並びに白血病性及びリンパ球性B細胞上、ホジキン病(HD)のホジキン細胞及びリード・スタンバーグ(RS)細胞上に発現する(Valle等のEur.J.Immunol.第19巻:1463〜1467ページ(1989年)及びGruss等のLeuk.Lymphoma第24巻:393〜422ページ(1997年))。CD40は、正常B細胞、及び非ホジキン濾胞性リンパ腫などの悪性B細胞の活性化及び生存をもたらすB細胞受容体である(Johnson等のBlood第82巻:1848〜1857ページ(1993年)及びMetkar等のCancer Immunol.Immunother.第47巻:104ページ(1998年))。CD40受容体を介する情報伝達によって、未成熟B細胞及びB細胞リンパ腫がIgMもしくはFas誘発アポトーシスから保護される(Wang等のJ.Immunology第155巻:3722〜3725ページ(1995年))。同様に、マントル細胞リンパ腫細胞は、CD40のレベルが高く、外来性のCD40Lが加わると、その生存性が向上し、フルダラビン誘発アポトーシスから免れた。(Clodi等のBrit.J.Haematol.第103巻:217〜219ページ(1998年))。対照的に、in vitro(Funakoshi等のBlood第83巻:2787〜2794ページ(1994年))及びin vivo(Murphy等のBlood第86巻:1946〜1953ページ(1995年))の両方で、CD40の刺激が、腫瘍性のB細胞成長を抑制するかもしれないという報告がある。
抗CD40抗体(米国特許第5,874,082号及び同第5,667,165号を参照されたい)をマウスに投与すると、ヒトB細胞リンパ腫を有するマウスの生存性が向上した(Funakoshi等(1994年)及びTutt等のJ.Immunol.第161巻:3176〜3185ページ(1998年))。CD40Lの作用を模倣し、それによって死滅シグナルを送達する抗CD40抗体を使用して、B細胞リンパ腫及びEBV誘発リンパ腫を含む新生物を治療する方法が、米国特許第5,674,492号(1997年)に記載されており、これを参照により全体として本明細書に組み込む。CD40の情報伝達は、CD20との相乗的な相互作用とも関連付けられてきた(Ledbetter等のCirc.Shock第44巻:67〜72ページ(1994年))。抗CD40抗体の調製及び使用を記載している追加の参照文献には、米国特許第5,874,085号(1999年)、同第5,874,082号(1999年)、同第5,801,227号(1998年)、同第5,674,492号(1997年)、及び同第5,667,165号(1997年)が含まれ、これらを参照により全体として本明細書に組み込む。
CD40リガンドのgp39(CD40リガンド、CD40L、又はCD154とも呼ばれる)は、活性化しているが、静止状態でないCD4+Th細胞上に発現する(Spriggs等のJ.Exp.Med.第176巻:1543〜1550ページ(1992年)、Lane等のEur.J.Immunol.第22巻:2573〜2578ページ(1992年)、及びRoy等のJ.Immunol.第151巻:1〜14ページ(1993年))。CD40及びCD40Lのどちらもが、クローン化され、特徴付けされている(Stamenkovi等のEMBO J.第8巻:1403〜1410ページ(1989年)、Armitage等のNature第357巻:80〜82ページ(1992年)、Lederman等のJ.Exp.Med.第175巻:1091〜1101ページ(1992年)、及びHollenbaugh等のEMBO J.第11巻:4313〜4321ページ(1992年))。ヒトCD40Lは、米国特許第5,945,513号にも記載されている。CD40L遺伝子が形質移入され、その表面にCD40Lタンパク質を発現する細胞によって、B細胞の増殖が誘発され、それと共に他の刺激性シグナルによって抗体産生が誘発される(Armitage等(1992年)及び米国特許第5,945,513号)。CD40Lは、ホジキン病部位の腫瘍濾胞又はリード・スタンバーグ細胞(CD40+)の範囲内での、細胞接触に依存的な腫瘍B細胞(CD40+)間の相互作用において重要な役割を担っているかもしれない(Carbone等のAm.J.Pathol.第147巻:912〜922ページ(1995年))。抗CD40Lモノクローナル抗体は、LP−BM5感染マウスにおけるマウスAIDS(MAIDS)誘発の抑制に使用すると有効であったことが報告されている(Green等のVirology第241巻:260〜268ページ(1998年))。しかし、CD40L−CD40の情報伝達が、悪性B細胞の細胞死応答に対する生存性をもたらす機構は不明である。たとえば、濾胞性リンパ腫細胞では、アポトーシスを誘発するTRAIL分子(APO−2L)のダウンレギュレーション(Ribeiro等のBritish J.Haematol.第103巻:684〜689ページ(1998年))及びBCL−2の過剰発現が、並びにB−CLLの場合では、CD95(Fas/APO−1)のダウンレギュレーション(Laytragoon−Lewin等のEur.J.Haematol.第61巻:266〜271ページ(1998年))が、生存機構として提示されている。対照的に、濾胞性リンパ腫に存在する証拠は、CD40の活性化が、TNF(Worm等のInternational Immunol.第6巻:1883〜1890ページ(1994年))、CD95分子(Plumas等のBlood第91巻:2875〜2885ページ(1998年))のアップレギュレーションをもたらすというものである。
米国特許第5,874,082号(1999年)に記載されているように、抗CD40抗体は、アレルギー及び自己免疫傷害など、抗原を媒介とする疾患を予防又は治療するためにも調製されている。報告によれば、抗CD40抗体は、抗CD20抗体と併用すると有効であり、細胞培養物中の非ホジキンB細胞リンパ腫の成長抑制に付加的な効果をもたらした(Benoit等のImmunopharmacology第35巻:129〜139ページ(1996年))。マウスでのin vivo研究は、すべてでなく数種のリンパ腫系を有するマウスの生存を促進することでは、個々に投与した抗CD40抗体よりも抗CD20抗体の方が効果的であることを示したとされている(Funakoshi等のJ.Immunother.Emphasis Tumor Immunol.第19巻:93〜101ページ(1996年))。抗CD19抗体も、2種の同系マウスB細胞リンパ腫、すなわちBCL1及びA31の治療においてin vivoで有効であったことが報告されている(Tutt等(1998))。CD40Lに対する抗体は、B細胞活性化に随伴する傷害を治療するための使用についても記載されている(ヨーロッパ特許第555,880号(1993年))。抗CD40L抗体には、米国特許第5,7474,037号(1998年)に記載のモノクローナル抗体3E4、2H5、2H8、4D9−8、4D9−9、24−31、24−43、89−76、及び89−79、並びに米国特許第5,876,718号(1999年)に記載の、移植片対宿主病の治療に使用された抗CD40L抗体が含まれる。
CD22に対するモノクローナル抗体の合成及び治療レジメでのその使用も報告されている。CD22は、B細胞の接着に関与する、B細胞に特異な分子であり、ホモタイプ又はヘテロタイプな相互作用の中で機能していると思われる(Stamenkovic等のNature第344巻:74ページ(1990年)、Wilson等のJ.Exp.Med.第173巻:137ページ(1991年)、Stamenkovic等のCell第66巻:1133ページ(1991年))。CD22タンパク質は、プロジェニターB細胞及びプレB細胞の細胞質中に発現するが(Dorken等のJ.Immunol.第136巻:4470ページ(1986年);Dorken等の「B細胞個体発生における細胞質内CD22の発現(Expression of cytoplasmic CD22 in B−cell ontogeny)」、出典:「血球分類III、白血球分化抗原(Leukocyte Typing III, White Cell Differentiation Antigens)」、McMichael他編、Oxford University Press、オックスフォード、474ページ(1987年);Schwarting等のBlood第65巻:974ページ(1985年)、Mason等のBlood第69巻:836ページ(1987年))、成熟B細胞の表面上でしか見られず、表面IgDと同時に存在する(Dorken等のJ.Immunol.第136巻:4470ページ(1986年))。CD22の発現は、活性化に従って増加し、さらなる分化に伴って消滅する(Wilson等のJ.Exp.Med.第173巻:137ページ(1991年)、Dorken等のJ.Immunol.第136巻:4470ページ(1986年))。リンパ系組織では、CD22は、濾胞外套帯及び周辺帯のB細胞によって発現するが、週に1度だけは胚中心B細胞によって発現する(Dorken等のJ.Immunol.第136巻:4470ページ(1986年);Ling等の「B細胞及び血漿抗原:新規及びこれまでに定義されたクラスター」(B−cell and plasma antigens:new and previously defined clusters))、出典:白血球分類III、白血球分化抗原、McMichael他編、Oxford University Press、オックスフォード、302ページ(1987年))。しかし、インシトゥハイブリダイゼーションによって、胚中心内でCD22のmRNAが最も顕著に発現し、外套帯での発現はそれより弱いことが明らかになっている(Wilson等のJ.Exp.Med.第173巻:137ページ(1991年))。in vitroでのCD22mAbのB細胞への結合が、細胞内の遊離カルシウムの増加及び表面Igの架橋後に誘発される分化を増大させることが判明しているので、CD22は、B細胞活性化の調節に関与していると推測される(Pezzutto等のJ.Immunol.第138巻:98ページ(1987年)、Pezzutto等のJ.Immunol.第140巻:1791ページ(1988年))。しかし、他の研究は、抗Igによって誘発される分化の増大がそれほどでないという決定を下した(Dorken等のJ.Immunol.第136巻:4470ページ(1986年))。CD22は、恒常的にリン酸化されるが、細胞をPMAで処理した後では、リン酸化のレベルが増大する(Boue等のJ.Immunol.第140巻:192ページ(1988年))。さらに、可溶性の形のCD22は、CD3を媒介とするヒトT細胞の活性化を抑制するので、CD22は、T細胞−B細胞の相互作用において重要であることが示唆される(Stamenkovic等のCell第66巻:1133ページ(1991年))。
CD22受容体を特異的に結合するリガンドは、様々な疾患、特にB細胞リンパ腫及び自己免疫疾患の治療において応用できる可能性があると報告されている。特に、標識及び非常識抗CD22抗体をこのような疾患の治療に使用することが報告されている。
たとえば、Tedder他の米国特許第5,484,892号は、CD22を高い親和性で結合し、CD22と他のリガンドとの相互作用を遮断するらしい。このようなモノクローナル抗体は、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、全身性エリテマトーデス、関節炎、血小板減少性紫斑病、無顆粒球症、自己免疫性溶血性貧血など、自己免疫疾患の治療において、並びに妊娠中の胎児抗原などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、インスリン抵抗性糖尿病、グレーブス病、及びアレルギー応答を抑制するために有用であると開示されている。
またLeung等の米国特許第5,789,557号は、CDR移植によって生成した抗CD22キメラヒト化モノクローナル抗体、並びにその結合型及び非結合型をB細胞リンパ腫及び白血病の治療及び診断に使用することを開示している。この参照文献は、特に、化学療法薬、毒素、重金属、及び放射性核種などの細胞傷害剤に結合させた抗体を開示している。(1998年8月4日に公告され、Immunomedicsに譲渡されている、Leung他の米国特許第5,789,554号を参照されたい)。
さらに、PCT出願のWO98/42378、WO00/20864、及びWO98/41641は、CD22に特異的なモノクローナル抗体、コンジュゲート、及び断片、並びに、特にB細胞関連疾患を治療するためのその治療上の使用を記載している。
また、抗CD22抗体の自己免疫疾患及び癌治療への使用も提示されている。(たとえば、診断及び治療のため、特にウイルス及び細菌感染疾患、心血管疾患、自己免疫疾患、及び癌の治療のための抗CD22免疫複合体の記載を趣旨とする、1995年8月22に公告され、Immunomedics Inc.に譲渡されているHansen他の米国特許第5,443,953号、並びにCD22接着機能の遅滞又は遮断が治療上有益である疾患、特に自己免疫疾患の治療のための、CD22指向性の様々なモノクローナル抗体の記載を趣旨とする、1998年1月16日に公告され、Dana−Farber Cancer institute,Inc.に譲渡されているTedder他の米国特許第5,484,892号を参照されたい。)これらの参照文献は、断片の抗CD22抗体を、所望の作動体部分、たとえば、in vitro免疫アッセイもしくはin vivo画像診断の際の酵素、フルオロフォア、放射性核種、電子伝達薬など、検出できる標識、又は治療用作動体部分、たとえば毒素、薬物、もしくは放射性同位体に直接又は間接的に結合させることを提唱している。
さらに、IgG1アイソタイプの抗ヒトCD22モノクローナル抗体は、Leinco Technologiesから市販品として入手でき、報告によれば、B細胞リンパ腫、及び毛用細胞白血病を含む白血病の治療に有用である(Campana,D.等のJ.Immunol.第134巻:1524ページ(1985年))。さらにまた、Dorken等のJ.Immunol.第150巻:4719ページ(1993年)及びEngel等のJ.Immunol.第150巻:4519ページ(1993年)の両方が、CD22に特異的なモノクローナル抗体を記載している。
また、抗CD19抗体及びその断片のリンパ腫治療への使用も文献で報告されている。たとえば、1997年11月11日に公告され、テキサス大学に譲渡されているUhr他の米国特許第5,686,072号は、抗CD19及び抗CD22抗体と免疫毒素の、白血病リンパ腫の治療への使用を開示している。この特許の全体を参照により本明細書に組み込む。
さらに、抗CD19抗体を白血病の状態及び予後の分類のために使用することも報告されている。
したがって、前述のことから、非常に多くの個々の抗体が、腫瘍疾患を治療する治療上の可能性を有すると報告されてきたことは明らかである。この事実にもかかわらず、本発明の目的は、リンパ腫及び白血病を含む様々な悪性病変の治療用の新規な抗体投与計画を提供することである。
この目的に対して、本発明の目的は、あらゆる悪性度のホジキン及び非ホジキンリンパ腫など、B細胞悪性病変を含む様々な腫瘍疾患を治療するための新規な改良された抗体療法を提供することである。
より具体的には、本発明の目的は、少なくとも1種の免疫制御性もしくは免疫調節性抗体と、任意選択の少なくとも1種のB細胞枯渇性抗体とを投与することを含む、腫瘍疾患治療のための新規な抗体投与計画を提供することである。
さらに具体的には、本発明の目的は、好ましくは、抗B7抗体、抗CD23抗体、抗CD40抗体、抗CD40L抗体、及び抗CD4抗体からなる群から選択された少なくとも1種の免疫調節性もしくは免疫制御性抗体と、抗CD20抗体、抗CD19抗体、抗CD22抗体、及び抗CD37抗体からなる群から好ましく選択された任意選択の少なくとも1種のB細胞枯渇性抗体を投与することを含む、腫瘍疾患治療のための新規な抗体療法を提供することである。特に好ましい実施形態では、この治療又は療法は、治療有効量の抗B7抗体の投与と治療有効量の抗CD20抗体の投与との組合せを含む。
他の実施形態では、本発明の特別な目的は、治療有効量のCD40Lに対する抗体と治療有効量のB7に対する抗体とを組み合わせて投与することを含む、腫瘍疾患の治療法又は予防法を提供することである。この抗体の組合せを、非ホジキンリンパ腫や慢性リンパ球性白血病(CLL)など、B細胞悪性病変の治療のために投与することが好ましく、米国特許第6,113,898号で開示されたB7抗体と、米国特許第6,001,358号で開示された抗CD40L抗体を含むことがより好ましい。
したがって、本発明の重要な態様は、哺乳動物の腫瘍疾患を治療する方法であって、
前記哺乳動物に治療有効量の第1の免疫調節性抗体を投与するステップと、
前記哺乳動物に治療有効量の第2の免疫調節性抗体又はB細胞枯渇性抗体を投与するステップとを含み、前記第1及び第2の免疫調節性抗体が別の抗原に結合し、第1の免疫調節性抗体と第2の免疫調節性抗体もしくはB細胞枯渇性抗体を任意の順又は同時に投与してよい方法を含む。
本発明の別の目的は、B細胞リンパ腫及び白血病におけるB細胞悪性病変を含む腫瘍疾患を治療するための新規な組成物、製品、及び/又はキットであって、キット又は製品が少なくとも1種の免疫制御性もしくは免疫調節性抗体と、任意選択の少なくとも1種のB細胞枯渇性抗体を含むものを提供することである。免疫抑制性もしくは免疫調節性抗体が、少なくとも1種の抗CD23抗体、抗CD40抗体、抗CD40L抗体、又は抗B7抗体を含み、B細胞枯渇性抗体が、CD20、CD19、CD22、又はCD37に特異的であることが好ましい。キット又は製品が、抗CD40Lもしくは抗B7抗体、又はこれらの組合せと、任意選択の抗CD20抗体を含むことが最も好ましい。さらに、製品は、その内容物が腫瘍疾患の治療において有用であることを示す挿入物、説明書、又はラベル付けされた容器を含む。
本発明の別の目的は、B細胞リンパ腫又はB細胞白血病治療のための併用療法であって、抗CD40L抗体もしくは抗体断片もしくはCD40L拮抗物質と、少なくとも1種の以下のもの、すなわち、(a)化学療法薬もしくは化学療法薬の組合せ、(b)放射線療法、(c)抗CD20抗体もしくはその断片、(d)抗CD40抗体もしくはその断片、(e)抗CD19抗体もしくはその断片、(f)抗CD22抗体もしくはその断片、(g)サイトカイン、(h)抗B7抗体もしくはその断片を含み、抗体が毒素又は標識用放射性同位体と結合していてもよく、又はヒト抗体のエフェクター機構を誘発する、すなわち標的細胞のアポトーシスもしくは死をもたらすようにヒト定常部で操作されていてもよい併用療法を提供することである。
本発明の他の目的、特徴、及び有利点は、その例となる以下の好ましい実施形態の詳細な説明を考慮することによって、当分野の技術者に明らかとなろう。
アドリアマイシンに対する4時間暴露後のBリンパ腫細胞の感受性を示すグラフである。 抗CD40L(IDEC−131)が、ADMによる死滅作用に対するBリンパ腫細胞のCD40L媒介型抵抗性を無効にすることを示すグラフである。 リツキサン(登録商標)が標準及びsCD40L前処理DHL−4細胞に及ぼす影響を示すグラフである。 抗CD40L抗体(IDEC−131)によって、CD40Lに媒介されたB−CLL細胞の生存がブロックされること示すグラフである。 リツキサン(登録商標)によって、CD40Lに媒介されたB−CLLの生存がブロックされることを示すグラフである。 CD19+CLL細胞をsCD40Lと共に培養したもの及びsCD40Lと共に培養しなかったものにおけるHLA−DRの発現を含むFACS分析を示すグラフである。 CD80分子を発現しているCHO細胞を使用するフローサイトメトリによって定量した、2種の異なるロットのIDEC−114の膜結合型CD80細胞への結合活性を示すグラフである。 SB又はSKW細胞におけるIDEC−114及びリツキシマブのADCC活性を示すグラフである。 2名の供与者A及びBから得た活性化宿主細胞におけるIDEC−114、リツキシマブ、及びその組合せのADCC活性を示すグラフである。 Aは、CD80発現CHO細胞におけるIDEC−114のCDC活性を示すグラフである。 Bは、CD80発現SKW細胞におけるIDEC−114及びリツキシマブのCDC活性を示すグラフである。 Cは、CD80発現Daudi細胞におけるIDEC−114及びリツキシマブのCDC活性を示すグラフである。 IDEC−114に対するSKW/SCIDマウスの抗腫瘍応答を示すグラフである。 リツキシマブに対するSKW/SCIDマウスの抗腫瘍応答を示すグラフである。 リツキシマブと併用したIDEC−114に対するSKW/SCIDマウスの抗腫瘍応答を示すグラフである。
本発明は、多くの異なる形態で具現化してよいが、本発明の原理を例証する具体的で例示的なその実施形態をここに開示する。本発明が、例示されるこの特定の実施形態に限定されないことを強調しておきたい。
本発明は、少なくとも1種の免疫制御性もしくは免疫調節性抗体(この用語は、この開示の目的では、交換可能に使用してよい)、たとえば抗B7抗体、抗CD23抗体、抗CD40抗体、もしくは抗CD40L抗体と、任意選択の実質的なB細胞枯渇活性を有する少なくとも1種のB細胞枯渇性抗体、たとえば抗CD20、抗CD19、抗CD22、もしくは抗CD37抗体の投与を含む、新規な抗体投与計画を提供する。
このような組合せは、抗体が治療利益を引き出す、異なる機構に基づく相乗的な成果をもたらす。特に、この補完的な作用機序は、2種以上の免疫調節性抗体もしくは1種の免疫調節性抗体と、B細胞枯渇性抗体とによって一斉にどんな腫瘍細胞も攻撃できるので、より耐久性があり、かつ強力な臨床応答をもたらすと理論づけられる。たとえば、いくつかの実施形態では、B細胞枯渇性抗体によって、抗B7や抗CD40L抗体などの免疫制御性もしくは免疫調節性抗体の作用に抵抗し得る活性化B細胞を枯渇させる。このような活性化B細胞は、T細胞、並びに抗体産生細胞のための有効な抗原提示細胞として別な働きもする。B細胞悪性病変の関連では、このような活性化B細胞には、根絶されない限り新しい癌細胞及び腫瘍のもとになる悪性細胞が含まれる。
したがって、本発明の好ましい一実施形態は、治療有効量の免疫調節性抗体の組合せ又は単独の免疫調節性抗体をB細胞枯渇性抗体と共に投与することを含む、腫瘍疾患罹患患者の治療方法を含む。特に好ましい実施形態では、免疫調節性抗体の組合せは、CD40Lに指向性の抗体もしくはその免疫反応性断片とB7に指向性の抗体もしくはその免疫反応性断片を含む。当分野の技術者ならば、この2種の免疫調節性抗体を任意の順又は同時に投与してよいこと、並びによく知られている技術を使用して、治療有効量を構成するものが容易に見分けられることがわかるであろう。さらに、免疫調節性抗体と、B細胞枯渇性抗体などの補助的療法、化学療法、放射免疫療法とを組み合わせて投与することも当該発明の範囲内である。
本明細書で使用する「B細胞枯渇性抗体」は、投与すると、実証可能なB細胞の枯渇をもたらす抗体又は断片である。通常、このような抗体は、B細胞表面上に発現したB細胞抗原又はB細胞マーカーに結合する。このような抗体を投与後、通常はだいたい数日以下で、B細胞数が約50%以上まで枯渇することが好ましい。好ましい実施形態では、B細胞枯渇性抗体は、リツキサン(登録商標)(抗CD20キメラ抗体)、又はリツキサン(登録商標)とほぼ同じもしくは少なくともその20〜50%の細胞枯渇活性を有するものとなる。
本明細書では、「B細胞表面マーカー」又は「B細胞ターゲット」又は「B細胞抗原」は、それに結合する作用物質又は拮抗物質の標的となり得るB細胞表面上に発現する抗原である。典型的なB細胞表面マーカーには、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD53、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a、CD79b、CD80(B7.1)、CD81、CD82、CD83、CDw84、CD85、及びCD86(B7.2)白血球表面マーカーが含まれる。特に注目されるB細胞表面マーカーは、哺乳動物の他の非B細胞組織よりもB細胞上に優先的に発現し、前駆B細胞及び成熟B細胞の両方に発現することがある。一実施形態では、マーカーは、幹細胞段階から終点の血漿細胞への分化の直前までの系列が分化する間じゅうB細胞上に見出されるCD20又はCD19のようなものである。本明細書では、好ましいB細胞表面マーカーは、CD19及びCD20である。本明細書では、好ましいB細胞表面マーカーは、CD19、CD20、CD22、CD23、CD80、及びCD86である。
本明細書で使用する「免疫制御性抗体」又は「免疫調節性抗体」は、B細胞の枯渇とは異なる機序、たとえばCDL及び/又はADCC活性によって免疫系に効果を引き出す抗体を指し、拮抗物質でもよい。そのような例には、たとえば寛容を引き出すことによってT細胞免疫、B細胞免疫を抑制する抗体(抗CD40L、抗CD40)、又は他の免疫抑制性抗体、たとえば、B7細胞の情報伝達を阻害するもの(抗B7.1、抗B7.2、抗CD4、抗CD23など)が含まれる。事例によっては、免疫調節性抗体が、アポトーシスを増強する能力を有することもある。また、通常はB細胞枯渇性抗体である抗体を、ヒト定常部で置換して異なる作動体機序を利用することによって、免疫調節性になるように操作することもできる。
本発明を論じる前に、以下に追加の定義を示す。
本明細書で使用する用語「抗体」には、指摘したタンパク質もしくはそのペプチドに特別に反応性がある免疫グロブリン及びその断片が含まれるものとする。抗体には、ヒト抗体、霊長類化(primatized)抗体、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体、他のタンパク質もしくは標識用放射性同位体と融合した抗体、及び抗体断片を含めることができる。さらに、用語「抗体」は、本明細書では、最も広い意味で用い、特に、インタクト・モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種のインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(たとえば、二重特異性抗体)、及び所望の生理活性を示す長さの抗体断片が範囲に含まれる。別段の注釈がない限り、又は用いた状況によって規定されない限り、用語「抗体」は、当該出願及び特許請求の範囲の意図では、広く解釈されるものであり、本明細書に記載の所望の調節もしくは枯渇効果をもたらすすべての変形形態、その断片もしくは免疫反応性構築物を含むことを明示しておく。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合部もしくは可変部を含む、インタクト抗体部分を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二重抗体(diabody);線状抗体;一本鎖抗体分子;ドメイン欠損抗体(domain deleted antibody);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。従来の技術を使用して、抗体断片を単離してもよい。たとえば、F(ab12断片は、抗体をペプシンで処理することによって得られる。得られたF(ab12断片を処理して、ジスルフィド架橋を還元すると、Fab1断片が生成される。
「自然抗体」は、通常、2本の同一の軽(L)鎖及び2本の同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各軽鎖は、1個のジスルフィド共有結合によって重鎖と結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリン・アイソタイプの重鎖間で様々である。各重鎖及び軽鎖はまた、鎖間に一定の間隔をおいてジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、片側に可変ドメイン(VH)を有し、そこにいくつかの定常ドメインが追随する。各軽鎖は、片側に可変ドメイン(VL)、その他方の側に定常ドメインを有しており、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の最初の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖の可変ドメイン間に界面を形成していると考えられている。
用語「可変」は、可変ドメインのある部分の配列が抗体間で広範囲に異なることを指し、特定の各抗体のその特定の抗原への結合及び特異性において使用する。しかし、可変性は、抗体の可変ドメイン中のいたるところに一様に分布するものではない。可変性は、軽鎖及び重鎖両方の可変ドメイン中の超可変領域と呼ばれる3箇所の断片に集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。自然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、主として、ループ連結部を形成する3箇所の高頻度可変領域によって連結されたBシート立体配置を採用し、場合によってはBシート構造の部分を形成する4箇所のFRを含む。各鎖の超可変領域は、FRによって、他の鎖からの超可変領域と極めて接近してまとまり、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat等の「免疫学的に注目されるタンパク質配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、第5版、国立保健研究所Public Health Service、メリーランド州ベセズダ(1991年))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接には関与しないが、その抗体が抗体依存的な細胞内細胞傷害(ADCC)に関与するなど、様々なエフェクター機能を示す。
抗体をパパインで消化することによって、それぞれが1個の抗原結合部位を有する、「Fab」断片と呼ばれる2個の同一な抗原結合断片と、それが容易に結晶化できることを反映した名前をもつ、残りの「Fc」断片が得られる。ペプシン処理によって、2個の抗原結合部位を有し、その時点でも抗原を架橋できるF(ab’)2断片が得られる。
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、1重鎖及び1軽鎖の可変ドメインが共有結合せずに密接した二量体からなる。各可変ドメインの3箇所の超可変領域が相互に作用して、VH−VL二量体の表面上で抗原結合部位を規定するのは、この立体配置の形においてである。6箇所の超可変領域によって、集合的に抗体への抗原結合特異性がもたらされる。しかし、1個の可変ドメイン(抗原に特異的な3箇所の超可変領域しか含まない半分のFv)でさえ、結合部位全体よりも親和性が弱いものの、抗原を認識し、結合する能力を有する。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1定常ドメイン(CHI)も含む。Fab’断片は、重鎖CHIドメインのカルボキシ末端に、抗体のヒンジ部からの1個又は複数のシステインを含む数個の残基が加わる点で、Fab断片と異なる。Fab’−SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも1個の遊離チオール基を有するFab’の意味である。F(ab’)Z抗体断片は、当初は、その間にヒンジのシステインを有するFab’断片の対として生成されていた。抗体断片の他の化学結合も知られている。
任意の脊椎動物に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる明らかに異なる2種類の片方に振り分けることができる。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体を異なるクラスに振り分けることができる。主要な5クラスのインタクト抗体、すなわちIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分けられる。異なる各抗体クラスに対応する重鎖定常ドメインを、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ぶ。重鎖定常ドメインは、γ−1、γ−2、γ−3、及びγ−4定常部を満たすことが好ましい。これらの定常ドメインは、米国特許第6,011,138号で開示されたP及びE変更など、抗体の安定性を高める変更を含むことも好ましく、この特許の全体を参照により本明細書に組み込む。異なる各免疫グロブリンクラスのサブユニット構造及び3次元立体配置は、よく知られている。
「1本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインが、1本のポリペプチド鎖中に存在している。Fvポリペプチドは、VHとVLドメイン間に、scFvが抗原を結合するための所望の構造を形成できるようにするポリペプチド・リンカーをさらに含むことが好ましい。scFvの概説については、Pluckthunの「モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies)」、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer−Verlag、ニューヨーク、269〜315ページ(1994年)を参照されたい。
用語「二重抗体」は、2個の抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む。同じ鎖上のその2箇所のドメインが対合できない位に短いリンカーを使用することによって、そのドメインを別の鎖の相補的なドメインと強制的に対合させ、2個の抗原結合部位を作る。二重抗体は、たとえば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger等のProc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻:6444〜6448ページ(1993年)で、より十分に述べられている。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団、すなわち、その集団を構成する個々の抗体が、わずかに存在するかもしれない可能性としての自然発生突然変異を除き、同一である集団から得た抗体を指す。モノクローナル抗体は、特異性が高く、1個の抗原性部位に指向性である。さらに、通常は異なる決定基(エピトープ)に指向性ある異なる抗体を含む普通の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各々のモノクローナル抗体が、問題の抗原の1個の決定基に指向性である。モノクローナル抗体は、その特異性に加え、融合細胞腫培養によって合成され、他の免疫グロブリンが混入していないという点で有利である。
「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体、一般にはマウス抗体に由来する抗体であり、親抗体の抗原結合特性を保持し、又はほとんど保持しているが、ヒトにおいてそれほど免疫原性をもたないものを意味する。これは、(a)ヒト定常部に非ヒト可変ドメイン全体をグラフトとして、キメラ抗体を作製する方法、(b)決定的なフレームワーク残基を含む、又は含まないヒトフレームワーク領域及び定常部に非ヒト相補性決定領域(CDR)だけをグラフトする方法、及び(c)非ヒト可変ドメイン全体を移植するが、表面残基の置換によってそれをヒト様切片で「覆い隠す」方法を含む様々な方法によって実現すればよい。このような方法は、Morrison等のProc.Natl.Acad.Sci.第81巻:6851〜5ページ(1984年)、Morrison等のAdv.Immunol.第44巻:65〜92ページ(1988年)、Verhoeyen等のScience第239巻:1534〜1536ページ(1988年)、PadlanのMolec.Immun.第28巻:489〜498ページ(1991年)、及びPadlanのMolec.Immun.第31巻:169〜217ページ(1994年)で開示されており、これらをすべて、参照により全体として本明細書に組み込む。ヒト化抗CD40L抗体は、1995年11月7日に出願された米国特許第6,001,358号に記載のとおりに調製することができ、この特許も参照により全体として本明細書に組み込む。
「ヒト抗体」は、知られている標準の方法によって生成された、ヒト軽鎖及び重鎖に加えて、定常部の全体を含む抗体を意味する。
「霊長類化抗体」は、サル(又は他の霊長類)抗体、特にカニクイザル抗体の可変Hドメイン及びLドメインを含むように操作され、ヒト定常ドメイン配列、好ましくはヒト免疫グロブリンγ1もしくはγ4定常ドメイン(又はPE変異体)を含む組換え抗体を意味する。このような抗体の調製は、Newman等のBiotechnology第10巻:1458〜1460ページ(1992年)、同様に同じ譲受人に譲渡されている08/379,072、08/487,550、又は08/746,361に記載されており、これらをすべて、参照により全体として本明細書に組み込む。このような抗体は、ヒト抗体に対する相同性が高度、すなわち85〜98%であり、ヒトエフェクター機能を示し、免疫原性が低下しており、さらにヒト抗原に高い親和性を示し得ることが報告されている。
「抗体断片」は、Fab、F(ab’)2、Fab’、及びscFvなど、抗体の断片を意味する。
「キメラ抗体」は、通常は別の種のものである2種の異なる抗体から得られた配列を含む抗体を意味する。最も一般には、キメラ抗体は、ヒト及びマウスの抗体断片を含み、一般にヒト定常部とマウス可変部である。
「CD20」抗原は、末梢血又はリンパ系臓器由来の90%を超えるB細胞の表面上に見出される、約35kDaの非グリコシル化リンタンパク質である。CD20は、初期のプレB細胞発達段階の間に発現し、血漿細胞に分化するまで残存する。CD20は、悪性B細胞だけでなく正常B細胞にも存在する。文献にあるCD20の他の名称には、「Bリンパ球拘束抗原」及び「Bp35」が含まれる。CD20抗原は、Clark等のPNAS(USA)第82巻:1766ページ(1985年)に記載されている。
「CD19」抗原は、たとえば、HD237−CD19又はB4抗体によって確認された約90kDaの抗原を指す(Kiesel等のLeukemia ResearchII、第12巻:1119ページ(1987年))。CD19は、CD20のように、幹細胞段階から終点の血漿細胞への分化の直前までの系列が分化する間じゅう細胞上に見出される。CD19に拮抗物質が結合すると、CD19抗原が内部移行することがある。
「CD22」抗原は、「BL−CAM」及び「LybB」としても知られている、B細胞情報伝達及び接着に関与する、B細胞上に発現している抗原である。(Nitschke等のCurr.Biol.第7巻:133ページ(1997年)、Stamenkovic等のNature第345巻:74ページ(1990年)を参照されたい)。この抗原は、膜Igが連結されると、チロシンリン酸化される、膜免疫グロブリン結合抗原である。(Engel等のJ.Etyp.Med.第181巻(4):1521〜1586ページ(1995年))。この抗原をコードする遺伝子はクローン化されており、そのIgドメインは特徴付けされている。
B7抗原には、B7.1(CD80)、B7.2(CD86)、及びB7.3抗原が含まれ、これらは、B細胞上に発現している膜貫通抗原である。ヒトB7.1及びB7.2抗原を含む、B7抗原を特異的に結合する抗体が、当技術分野で知られている。好ましいB7抗体は、IDEC Pharmaceuticals Corporationに譲渡されているAnderson他の米国特許第6,113,898号で開示されているprimatized(登録商標)B7抗体、並びにヒト及びヒト化B7抗体を含む。
CD23は、B細胞及び他の細胞の側に発現しているIgEの低親和性受容体を指す。本発明では、CD23は、ヒトCD23抗原であることが好ましい。CD23抗原も、当技術分野で知られている。本発明では、CD23抗体は、ヒトIgGIもしくはIgG3定常ドメインを含むヒトもしくはキメラヒトCD23抗体であることが最も好ましい。
B細胞「拮抗物質」は、B細胞表面マーカーに結合すると、哺乳動物のB細胞を破壊し、もしくは枯渇させ、かつ/又は、たとえば、B細胞が誘発した体液性応答を低下させ、又は妨げることによって1種又は複数のB細胞機能を妨害する分子である。拮抗物質は、好ましくは、それによって治療した哺乳動物のB細胞を枯渇させる(すなわち、循環B細胞レベルを低下させる)ことができる。このような枯渇は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び/もしくは補体依存性細胞傷害(CDC)、B細胞増殖の抑制、及び/又は(たとえば、アポトーシスによる)B細胞死の誘発など、様々な機序によって実現すればよい。本発明の範囲内に含まれる拮抗物質には、任意選択で細胞傷害性の薬品と結合もしくは融合させた、B細胞マーカーに結合する抗体、人工もしくは自然配列のペプチド、及び小分子抗原が含まれる。
CD40L拮抗物質は、CD40Lを特異的に結合し、好ましくは、CD40LとCD40の相互作用に拮抗する分子である。その例には、CD40Lを特異的に結合する抗体及び抗体断片、可溶性CD40、可溶性CD40融合タンパク質、並びにCD40Lを結合する小分子が含まれる。本発明による好ましい拮抗物質は、CD40に特異的な抗体もしくは抗体断片を含む。
「抗体依存性細胞傷害」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcRs)を発現している非特異的なキラー細胞(たとえば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)が、標的細胞上の結合された抗体を認識し、その後標的細胞の溶解を引き起こす細胞媒介性反応を指す。ADCCを媒介する主たる細胞であるNK細胞が、FcyRIIIのみを発現しているのに対し、単球は、FcyRI、FcyRII、及びFcyRIIIを発現している。造血細胞(hematopoietic cells)上のFcRの発現をまとめて示したものが、Ravetch及びKinetのAnnu.Rev.Immunol第9巻:457〜92ページ(1991年)の464ページの表3である。問題の分子のADCC活性を評価するには、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載のものなど、in vitroADCCアッセイを実施すればよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。別法又は追加として、問題の分子のADCC活性を、in vivoで、たとえば、Clynes等のPNAS(USA)第95巻:652〜656ページ(1998年)で開示されているものなど、動物モデルで評価してもよい。
「ヒトエフェクター細胞」は、1種又は複数のFcRを発現しており、エフェクター機能を果たす白血球である。この細胞が、少なくともFcyRIIIを発現しており、ADCCのエフェクター機能を果たすことが好ましい。ADCCの媒介となるヒト白血球の例には、末梢血単球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、キラーT細胞、及び好中球が含まれるが、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、その自然の供給源、たとえば血液から単離してもよいし、本明細書に記載のPBMCでもよい。
用語「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を述べるのに用いる。好ましいFcRは、自然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFeRは、IgG抗体(γ受容体)を結合するものであり、これには、これらの受容体のアレル変異体、及び別な方法でスプライシングされた形を含む、FcyRI、FcyRII、及びFcyRIIサブクラスが含まれる。FcyRII受容体には、主にその細胞質内ドメインが異なる類似のアミノ酸配列を有するFcyRIIA(「活性化受容体」)及びFcyRUB(「抑制受容体」)が含まれる。活性化受容体FcyRIIAは、その細胞質内ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。抑制受容体FcyRIIBは、その細胞質内ドメインに免疫受容体チロシン抑制性モチーフ(ITIM)を含む。(DaeonのAnnu.Rev.Immunol.第15巻:203〜234ページ(1997年)の概説Mを参照されたい)。FcRは、Ravetch及びKinetのAnnu.Rev.Immunol.第9巻:457〜92ページ(1991年)、Capel等のImmunomethods第4巻:25〜34ページ(1994年)、及びde Haas等のJ.Lab.Clin.Med.第126巻:330〜41ページ(1995年)で概説されている。将来確認されることになるものを含む他のFcRは、本明細書では、用語「FcR」に含まれる。この用語には、胎児への母系IgGの運搬を担う新生児受容体のFcRnも含まれる(Guyer等のJ.Immunol.第117巻:587ページ(1976年)及びKim等のJ.Immunol.第24巻:249ページ(1994年))。
「補体依存的細胞傷害」又は「CDC」は、分子が補体の存在下で標的を溶解する能力を指す。補体活性化経路は、補体系の第1成分(C1q)が、同属の抗原と複合体をなした分子(たとえば抗体)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するには、たとえば、Gazzano−Santoro等のJ.Immunol.Methods第202巻:163ページ(1996年)に記載されているようなCDCアッセイを実施すればよい。
「成長抑制性」拮抗物質は、その拮抗物質が結合する抗原を発現する細胞の増殖を妨げ、又は低下させるものである。たとえば、この拮抗物質は、in vitroかつ/又はin vivoで、B細胞の増殖を妨げ、又は低下させ得る。
「アポトーシスを誘発する」拮抗物質とは、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の消失、細胞の断片化、及び/又は(アポトーシス小体と呼ばれる)膜小胞の形成によって判定される、たとえばB細胞のプログラム細胞死を誘発するものである。
用語「超可変領域」は、本明細書で使用する場合、抗原との結合を担う、抗体のアミノ酸残基を指す。この超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」(たとえば、軽鎖可変ドメイン中の残基24〜34(L1)、50〜56(L2)、及び89〜97(L3)と、重鎖可変ドメイン中の31〜35(H1)、50〜65(H2)、及び95〜102(H3)、Kabat等の「免疫学的に注目されるタンパク質配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、第5版、国立保健研究所Public Health Service、メリーランド州ベセズダ(1991年))由来のアミノ酸残基、及び/又は「超可変ループ」(たとえば、軽鎖可変ドメイン中の残基26〜32(L1)、50〜52(L2)、及び91〜96(L3)と、重鎖可変ドメイン中の26〜32(H1)、53〜55(H2)、及び96〜101(H3)、Chothia及びLesk l.のMol.Biol.第196巻:901〜917ページ(1987年))由来のアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」残基とは、本明細書で定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
問題の抗原、たとえばB細胞表面マーカーを「結合する」拮抗物質とは、その拮抗物質が、細胞、すなわちその抗原を発現しているB細胞を標的とする治療薬として有用である程度に十分な親和性でその抗原を結合できるものである。
本明細書では、「抗CD20抗体」は、CD20抗原、好ましくはヒトCD20を特異的に結合し、測定可能なB細胞枯渇活性、好ましくは少なくともリツキサン(登録商標)の約10%のB細胞枯渇活性を有する抗体である(参照により全体として本明細書に組み込まれている米国特許第5,736,137号を参照されたい)。
この前でも触れたが、本明細書では、用語「リツキシマブ」又は「リツキサン(登録商標)」は、CD20抗原に指向性の遺伝子改変されたマウス/ヒト・キメラ・モノクローナル抗体、及び参照により本明細書に特に組み込まれている米国特許第5,736,137号で示された「C2B8」を指す。この抗体は、マウスの軽鎖及び重鎖可変部配列とヒト定常部配列を含むIgGIκ免疫グロブリンである。リツキシマブのCD20抗原への結合親和性は、約8.0nMである。
本明細書では、「抗CD22抗体」は、CD22抗原、好ましくはヒトCD22を特異的に結合し、測定可能なB細胞枯渇活性、好ましくは少なくともリツキサン(登録商標)の約10%のB細胞枯渇活性を有する抗体である。
本明細書では、「抗CD19抗体」は、CD19抗原、好ましくはヒトCD19を特異的に結合し、測定可能なB細胞枯渇活性、好ましくは少なくともリツキサン(登録商標)の約10%のB細胞枯渇活性を有する抗体である。
本明細書では、「抗CD37抗体」は、CD37抗原、好ましくはヒトCD37を特異的に結合し、測定可能なB細胞枯渇活性、好ましくは少なくともリツキサン(登録商標)の約10%のB細胞枯渇活性を有する抗体である。
本明細書では、「抗B7抗体」は、B7.1、B7.2、又はB7.3、最も好ましくはヒトB7.3を特異的に結合し、B7/CD28の相互作用を阻害し、その上B7/CTLA−4の相互作用はそれほど阻害しない抗体、より一層好ましくは、参照により全体として本明細書に組み込まれている米国特許第6,113,898号に記載の特定の抗体である。IDEC−114(IDEC Pharmaceuticals、米カリフォルニア州サンディエゴ)は、現在II期臨床治験中の抗B7抗体であり、当該発明の好ましい実施形態に適合する。最近では、このような抗体がアポトーシスを促進することが報告されている。したがって、これらは、抗新生物の適用例に好適である。B7抗原を結合する抗体の他の例には、Linsley他に対して公告された米国特許第5,885,577号で報告されているB7抗体、DeBoer他で公告され、Chiron Corporationに譲渡されている米国特許第5,869,050号で報告されている抗B7抗体が含まれる。
「抗CD40L抗体」は、(CD154、gp39、TBAMとしても知られている)CD40Lを特異的に結合する抗体、好ましくは作用物質(agonistic)活性を有するものである。好ましい抗Cd40L抗体は、参照により全体として本明細書に組み込まれている(IDEC Pharmaceuticals Corporationに譲渡されている)米国特許第6,011,358号で開示されているヒト化抗体の特異性を有するものである。IDEC−131(IDEC Pharmaceuticals、米カリフォルニア州サンディエゴ)は、現在II期臨床治験中の抗CD40L抗体であり、当該発明の好ましい実施形態に適合する。
「抗CD4抗体」は、CD4、好ましくはヒトCD4を特異的に結合するもの、より好ましくは霊長類化もしくはヒト化抗CD4抗体である。
「抗CD40抗体」は、米国特許第5,874,085号、同第5,874,082号、同第5,801,227号、同第5,674,442号、snf5,667,165号で開示されたものなど、CD40、好ましくはヒトCD40を特異的に結合する抗体であり、これらの特許をすべて、参照により本明細書に組み込む。
B細胞枯渇性抗体及び免疫調節性抗体の両方がヒト定常ドメインを含むことが好ましい。適切な抗体には、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4アイソタイプが含まれる。
CD20抗原を結合する抗体の具体例には、「リツキシマブ」(「RITUXAN(登録商標)」)(参照により本明細書に特に組み込まれている米国特許第5,736,137号)、イットリウム[90]標識2B8マウス抗体「Y2B8」(参照により本明細書に特に組み込まれている米国特許第5,736,137号);任意選択で131I標識されたマウスIgG2a「B1」、「131IB1」抗体(BEXXAR(商標))(参照により本明細書に特に組み込まれている米国特許第5,595,721号);マウス・モノクローナル抗体「1F5」(Press等のBlood第69巻(2):584〜591ページ(1987年);及び「キメラ2H7」抗体(参照により本明細書に特に組み込まれている米国特許第5,677,180号)が含まれる。
CD22を結合する抗体の具体例には、現在非ホジキンリンパ腫について臨床治験中の、Immunomedicsによって報告されたLymphocide(商標)が含まれる。
CD23を結合する抗体の具体例は、よく知られており、これには、1999年7月4日に出願され、IDEC Pharmaceuticals Corp.及び生化学工業株式会社に共に譲渡されているReff等の米国特許第6,011,138号で報告されている、ヒトCD23に特異的なprimatized(登録商標)抗体;Bonnefoy他の9612741号、Rector等のJ.Immunol.第55巻:481〜488ページ(1985年)、Flores−Rumeo等のScience第241巻:1038〜1046ページ(1993年)、Sherr等のJ.Immunol.、第142巻:481〜489ページ(1989年)、及びPene等のPNAS,USA第85巻:6820〜6824ページ(1988年)で報告されているものが含まれる。IDEC−152(IDEC Pharmaceuticals、米カリフォルニア州サンディエゴ)は、現在II期臨床治験中の抗CD23抗体であり、当該発明の好ましい実施形態に適合する。この種の抗体は、アレルギー、自己免疫疾患、及び炎症性疾患の治療に有用であることが報告されている。
「単離された」拮抗物質とは、同定され、かつその自然な状態の成分から分離及び/もしくは回収されているものである。その自然な状態の混入成分とは、拮抗物質を診断又は治療に使用する妨げになる物質であり、これには、酵素、ホルモン、及び他のタンパクもしくは非タンパク溶質が含まれる。好ましい実施形態では、拮抗物質は、(1)Lowry法によって定量して、拮抗物質の95重量%、最も好ましくは99重量%より高くまで、(2)スピニングカップ・シーケンサーを使用することによって、少なくともN末端もしくは内部アミノ酸配列の15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)還元もしくは非還元条件下、クーマシーブルー染色、又は好ましくは銀染色を使用するSDS−PAGEによって均質になるまで精製する。単離された拮抗物質には、組換え細胞内のin situの拮抗物質が含まれる。その拮抗物質の自然状態の少なくとも1成分が存在しなくなるからである。しかし、普通は、少なくとも1段階の精製ステップによって単離された拮抗物質を調製する。
治療の目的のための「哺乳動物」は、哺乳動物として分類される任意の動物を指し、これには、ヒト、飼育及び畜産動物、及びイヌ、ウマ、ネコ、ウシなど、動物園、競技、もしくはペット用動物が含まれる。哺乳動物がヒトであることが好ましい。
「治療」は、治療処置及び予防手段の両方を指す。治療の必要のあるものには、すでに疾患又は傷害を伴っているものに加え、疾患又は傷害を予防しようとするものが含まれる。したがって、哺乳動物は、疾患もしくは傷害を罹っていると診断されていてもよく、疾患の素因もしくは疑いがあってもよい。
上で詳述したように、本発明は、その治療が必要な哺乳類の対象において腫瘍疾患を治療するための化合物、組成物、キット、及び方法を提供する。対象は、ヒトであることが好ましい。腫瘍疾患(たとえば、癌及び悪性病変)は、黒色腫、神経膠腫、肉腫、癌腫などの固形腫瘍だけでなく、リンパ腫や白血病など、骨髄もしくは血液の悪性病変を含んでよい。一般に、開示された本発明を使用すれば、改変抗体が癌細胞を標的とするのを可能にする抗原マーカーを含む任意の新生物を予防的もしくは治療的に処置することができる。治療してよい典型的な癌には、それだけに限らないが、前立腺、大腸、皮膚、乳、卵巣、肺、及び膵臓癌が含まれる。好ましい実施形態では、当該発明の選択された抗体の組合せを、大腸癌又は他の胃癌の診断又は治療に使用してよい。より詳細には、当該発明の抗体は、カポジ肉腫、CNS腫瘍(毛細血管芽腫、髄膜腫、及び大脳への転移)、黒色腫、消化管及び腎臓の肉腫、横紋筋肉腫、膠芽腫(好ましくは多形性膠芽腫)、平滑筋肉腫、網膜芽細胞腫、卵巣の乳頭状嚢胞腺癌、ウィルムス腫瘍、又は小細胞肺癌の治療に使用してよい。大掛かりな実験をせずとも、この開示を考慮して、適切な抗体の組合せを、前述の腫瘍の各々に関係のある腫瘍結合抗原へと誘導すればよいことがわかるであろう。
開示された本発明による治療が受け入れられる典型的な血液悪性病変には、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、並びにALL−L3(バーキット型白血病)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び単球細胞白血病を含む白血病が含まれる。本発明の化合物及び方法が、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、細胞リンパ腫(FCC)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞性リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度 免疫芽細胞NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小円型細胞NHL、バルキー病NHL、及びワルデンストレーム大グロブリン血症を含む、様々なB細胞リンパ腫の治療において特に有用であることが評価されよう。当分野の技術者には、分類体系の変更により、これらのリンパ腫及び白血病がしばしば異なる名称をもつようになること、並びに異なる名称に属して分類された血液悪性病変に罹患している患者も本発明の併用治療法から恩恵を受け得ることは、言うまでもないはずである。開示された本発明を有利に利用して、前述の腫瘍疾患に加え、適合性のある腫瘍結合抗原を有する追加の悪性病変を治療してもよいことがわかるであろう。
好ましい実施形態では、腫瘍疾患は、B細胞悪性病変を含む。本発明によれば、これには、任意のB細胞悪性病変、たとえばB細胞リンパ腫及び白血病が含まれる。好ましい例には、ホジキン病(すべての型、たとえば再発性ホジキン病、抵抗性ホジキン病)、非ホジキンリンパ腫(低悪性度、中悪性度、高悪性度、及び他の種類)が含まれる。例には、小リンパ球性/B細胞性慢性リンパ球性白血病(SLL/BCLL)、リンパ形質球リンパ腫(lymhoplasmacytoid lymphoma)(LPL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、バーキットリンパ腫(BL)、AIDS関連リンパ腫、単球B細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ節症、小リンパ球、濾胞性、びまん性大細胞、びまん性小非円型細胞、大細胞免疫芽細胞リンパ芽球腫;小円型、バーキット及び非バーキット、濾胞性大細胞優性、濾胞性小非円型細胞優性、及び濾胞性小非円及び大細胞混合型リンパ腫が含まれる。Gaidono等の「リンパ腫(Lymphomas)」、出典:「癌:腫瘍学の原理と実践(IN CANCER:PRINCIPLES & PRACTICE OF ONCOLOGY)」、第2巻:2131〜2145ページ(DeVita他編、第5版、1997年)を参照されたい。
リンパ腫分類の他の種類には、免疫細胞性ワンデンストロームMALT型/単球B細胞、マントル細胞リンパ腫B−CLL/SLL、びまん性大B細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、及びプレカーサB−LBLが含まれる。
言及したように、B細胞悪性病変には、特に、ALL−L3(バーキット型白血病)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性白血球性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、単球性白血病、骨髄性白血病、及び前骨髄球性白血病、及び単球細胞性白血病などの白血病がさらに含まれる。
表現「治療有効量」は、問題のB細胞悪性疾患を予防、改善、又は治療するのに有効な拮抗物質量を指す。
本明細書で使用する補助療法のための用語「免疫抑制薬」は、本明細書で扱う哺乳動物の免疫系を抑制又は遮蔽するように作用する物質を指す。これには、サイトカイン産生を抑制し、自己抗原の発現をダウンレギュレートもしくは抑制し、又はMHC抗原を遮蔽する物質が含まれることになる。そのような抗原の例には、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照されたく、この開示を参照により本明細書に組み込む);アザチオプリン;シクロホスファミド;ブロモクリプリン;ダナゾール;ダプソン;(MHC抗原を遮蔽する、米国特許第4,120,649号に記載の)グルタルアルデヒド;MHC抗原及びMHC断片に対する抗イデオタイプ抗体;シクロスポリンA;副腎皮質ステロイドなどのステロイド、たとえばプロドニソン、メチルプレドニソロン、及びデキサメタゾン;抗インターフェロンα−、β−、もしくはδ−抗体、抗腫瘍壊死因子α抗体、抗腫瘍壊死因子β抗体、抗インターロイキン2抗体、及び抗IL−2受容体抗体を含む、サイトカインもしくはサイトカイン受容体拮抗物質;抗CD11a及び抗CD18抗体を含む抗LFA−1抗体;抗L3T4抗体;異種抗リンパ球グロブリン;pan−T抗体、好ましくは抗CD3もしくは抗CD4/CD4a抗体;LFA−3結合ドメインを含む可溶性ペプチド(7/26/90に公告されたWO90/08187)であるストレプトラナーゼ(streptolanase);TGF−β;ストレプトドロナーゼ(streptodornase);宿主由来のRNAもしくはDNA;FK506;RS−61443;デオキシスペルグアリン(deoxyspergualin);ラパマイシン;T細胞受容体(Cohen他の米国特許第5,114,721号);T細胞受容体断片(Offner等のScience、第251巻:430〜432ページ(1991年);WO90/11294;lanewayのNature、第341巻:482ページ(1989年);及びWO91/01133);及びT10B9などのT細胞受容体抗体(EP340,109)が含まれる。
本明細書で使用する「細胞毒又は細胞傷害剤」は、細胞の成長及び増殖に有害であり、悪性病変に作用するとそれを低減、抑制、又は破壊しようと働き得る任意の薬品を意味する。典型的な細胞毒には、それだけに限らないが、放射性核種、生体毒素、細胞分裂抑制もしくは細胞毒性治療薬、プロドラッグ、免疫活性のあるリガンド、及びサイトカインなどの生体応答変更因子が含まれる。以下でより詳細に論じるが、当該発明における使用には、放射性核種細胞毒が特に好ましい。しかし、悪性細胞の成長を遅らせ、もしくは緩慢化し、又は悪性細胞を排除するように作用し、かつ本明細書で開示された改変抗体を結合させてよいどんな細胞毒も、本発明の範囲内である。
これまでの研究において、放射性同位体で標識した抗腫瘍抗体が、固形腫瘍中の細胞、並びに動物モデル、場合によってはヒトのリンパ腫/白血病の消滅に成功を収めていることはわかるであろう。放射性核種は、核のDNAにおいて鎖を複合的に破壊する電離放射線を生じることによって作用し、細胞死をもたらす。治療向けコンジュゲートを作製するのに使用される放射性同位体は、通常、治療上有効な経路長を有する高エネルギーα、γ、もしくはβ粒子を生じる。このような放射性核種は、互いに近接している細胞、たとえばコンジュゲートが結合し、又は侵入した腫瘍細胞を死滅させる。これらは、一般に、非局在型細胞にはほとんど又はまったく影響を及ぼさない。放射性核種は、本質的に非免疫原性である。
本発明による放射標識したコンジュゲートの使用に関しては、抗体を(ヨウ素化などによって)直接に標識しても、キレート剤を使用することによって間接的に標識してもよい。本明細書で使用する語句「間接標識」及び「間接標識手法」は両方とも、抗体にキレート剤を共有結合させ、キレート剤に少なくとも1種の放射性核種を結合させることを意味する。そのようなキレート剤は、ポリペプチド及び放射性同位体の両方を結合するので、一般に二機能性キレート剤と呼ばれる。特に好ましいキレート剤は、1−イソチオシクマトベンジル−3−メチルジオテレントリアミン五酢酸(「MX−DTPA」)及びシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸(「CHX−DTPA」)誘導体を含む。他のキレート剤は、P−DOTA及びEDTA誘導体を含む。特に好ましい間接標識用の放射性核種には、111In及び90Yが含まれる。
本明細書で使用する語句「直接標識」及び「直接方式手法」は両方とも、放射性核種を(通常、アミノ酸残基を介して)抗体に直接に共有結合させることを意味する。より具体的には、このような結合技術には、ランダム標識及び部位指向性(site−directed)標識が含まれる。後者の場合では、標識化が、コンジュゲートのFc部分上にしか存在しないN結合糖残基など、二量体又は四量体上の特定の部位に向けられる。さらに、様々な直接標識技術及びプロトコルが当該発明に適合し得る。たとえば、テクネチウム99m標識抗体は、リガンド交換法によって調製しても、ペルテクナート(Tc04)をスズイオン溶液で還元し、還元されたテクネチウムをSephadexカラム上にキレート化し、さらに抗体をこのカラムにかけることによって調製しても、又はバッチ標識技術によって、たとえばペルテクナート、SnCl2などの還元剤、ナトリウム−カリウムフタル酸溶液などの緩衝溶液、及び抗体をインキュベートすることによって調製してもよい。とにかく、直接標識抗体に好ましい放射性核種は、当技術分野でよく知られており、直接標識に特に好ましい放射性核種は、チロシン残基を介して共有結合させた131Iである。本発明による抗体は、たとえば、放射性のナトリウムもしくはカリウムヨウ化物と、次亜塩素酸ナトリウム、クロラミンTなどの化学系酸化剤もしくはラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースなどの酵素系酸化剤によって得てもよい。しかし、本発明の目的では、間接標識手法が特に好ましい。
キレート剤及びキレート剤コンジュゲートに関する特許は、当技術分野で知られている。たとえば、Gansowの米国特許第4,831,175号は、多置換ジエチレントリアミンペンタ酢酸キレート及びそれを含むタンパク質のコンジュゲート、並びにその調製方法を対象としている。Gansowの米国特許第5,099,069号、同第5,246,692号、同第5,286,850号、同第5,434,287号、及び同第5,124,471号も、多置換DTPAキレート物に関する。これらの特許の全体を本明細書に組み込む。適合性のある金属キレート剤の他の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸、1−オキサ−4,7,12,15−テトラアザヘプタデカン−4,7,12,15−四酢酸などである。シクロヘキシル−DTPA又はCHX−DTPAが特に好ましく、以下で広範囲に例示する。やがて発見されることになるものを含む、適合性のあるさらに他のキレート剤は、当業者によって容易に判別されるものであり、明らかに本発明の範囲に含まれる。
適合性のあるキレート剤には、同時係属の出願番号08/475,813、08/475,815、及び08/478,967のキレート化を促進するのに使用する特定の二機能性キレート剤が含まれ、そうしたキレート剤は、三価の金属に対して高い親和性をもたらし、腫瘍対非腫瘍比の増大及び骨吸収の低下、並びに標的部位、すなわちB細胞リンパ腫部位での放射性核種のin vivo滞留の向上を示すように選択することが好ましい。しかし、他の二機能性キレート剤も、これらの特性をすべて有するものもそうでないものもあるが、当技術分野で知られており、腫瘍治療において有益であるといえる。
本明細書の教示によれば、抗体を診断及び治療の目的で、異なる放射標識に結合させてもよいことがわかるであろう。参照により全体が本明細書に組み込まれている前述の同時係属出願は、そのため、治療用抗体投与前の、診断上の腫瘍「画像処理」向け放射標識治療用コンジュゲートを開示している。「In2B8」コンジュゲートは、ヒトCD20抗原に特異的なマウス・モノクローナル抗体である2B8が、二機能性キレート剤、すなわち1−イソチオシアナートベンジル−3−メチル−DTPAと1−メチル−3−イエオチオシアナートベンジル−DTPAの1:1の混合物を含むMX−DTPA(ジエチレントリアミン四酢酸)を介して111Inに結合したものを含む。約1〜約10mCiの間では、毒性が検出されることなく安全に投与でき、かつ画像データによって、その後の90Y標識抗体の分布を大体予測できるので、111Inは、診断用放射性核種として特に好ましい。画像分析研究の大部分は、5mCi111In標識抗体を利用している。この線量は、これよりも少ない線量より安全であり、かつ画像処理効率が向上しており、抗体投与後3〜6日目に最適な画像が得られるからである。たとえば、MurrayのJ.Nuc.Med.第26巻:3328ページ(1985年)及びCarraguillo等のJ.Nuc.Med.第26巻:67ページ(1985年)を参照されたい。
上で指摘したように、種々の放射性核種が本発明に適用でき、当分野の技術者ならば、様々な状況下で、どの放射性核種が最も適切であるかを容易に決定できると思われる。たとえば、131Iは、標的を定めた免疫療法に使用される、最もよく知られている放射性核種である。しかし、131Iの臨床での有用性は、8日間の物理的半減期、血中及び腫瘍部位の両方におけるヨウ素化抗体の脱ハロゲン化、及び発光特性(たとえば、γ成分の多さ)を含むいくつかの要因によって制限される可能性があり、腫瘍における局所的な線量沈着が最適以下になり得る。優れたキレート剤の出現に伴い、タンパク質に金属キレート基を結合させるようになったので、111Inや90Yなどの他の放射性核種を利用する機会が増してきている。90Yは、放射線免疫療法の適用例で活用できるいくつかの利益をもたらす。すなわち、90Yの64時間の半減期は、腫瘍による抗体の蓄積を可能にするだけの長さであり、たとえば131Iと異なり、90Yは、100〜1,000細胞直径の組織の範囲でその崩壊にγ線照射を伴わない、高エネルギーの純粋なβエミッターである。その上、透過放射線量が最小限であるので、外来患者に90Y標識抗体を投与することが可能になる。さらに、標識抗体が内部に移行するのに、細胞が死滅する必要がなく、標的抗原を欠いている近接する腫瘍細胞にとっては、電離放射線の局所での発光が致死的となるはずである。
90Yで標識した改変抗体の単独治療有効線量(すなわち、治療有効量)は、約5と約75mCiの間、好ましくは約10と約40mCiの間の範囲である。131I標識抗体の単独治療有効非髄質破壊性(non−marrow ablative)線量は、約5と約70mCiの間、より好ましくは約5と約40mCiの間の範囲である。131I標識抗体の単独治療有効破壊性線量(すなわち、自家骨髄移植が必要となる)は、約30と約600mCiの間、より好ましくは約50と約500mCi未満の間の範囲である。キメラ抗体に関連しては、マウス抗体に対する循環半減期がより長いので、ヨウ素131標識キメラ抗体の単独治療有効非髄質破壊性線量は、約5と約40mCiの間、より好ましくは約30mCi未満の範囲である。たとえば111In標識についての画像処理基準は、通常は約5mCi未満である。
相当な量の臨床実験が131I及び90Yを用いて実現されてきたが、他の放射標識も当技術分野で知られており、同様の目的で使用されている。さらに他の放射性同位体も画像処理に使用される。たとえば、当該発明の範囲に適合する追加の放射性同位体には、それだけに限らないが、123I、125I、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Br、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、203Pb、206Bi、177Lu、186Re、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、153Sm、188Re、199Au、225Ac、211At、及び213Biが含まれる。この態様では、α、γ、及びβエミッターは、どれも当該発明に適合する。さらに、当分野の技術者ならば、この開示を考慮して、大掛かりな実験をせずとも、どの放射性核種が選択された治療方針に適合するかを容易に決定できるはずである。そのため、臨床診断ですでに使用されている追加の放射性核種には、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Gaに加え、111Inが含まれる。標的を定めた免疫療法における潜在的な使用向けにも、抗体が様々な放射性核種で標識されている。Peirersz等のImmunol.Cell Biol.第65巻:111〜125ページ(1987年)。そのような放射性核種には、188Re及び186Re、並びに程度のより弱い199Au及び67Cuが含まれる。米国特許第5,460,785号は、このような放射性同位体に関する追加のデータを提供しており、これを参照により本明細書に組み込む。
本発明の改変抗体は、放射性核種に加えて、いくつかの生体応答変更因子、薬剤、毒素、又は免疫活性のあるリガンドのいずれか1種と結合又は会合させてもよい。当分野の技術者ならば、このような非放射性コンジュゲートは、選択した細胞毒に応じ、様々な技を使用して構築すればよいことがわかるであろう。たとえば、ビオチンとのコンジュゲートは、たとえば改変抗体とビオチンN−ヒドロキシスクシンイミドエステルなど、ビオチンの活性化エステルとを反応させることによって調製する。同様に、蛍光マーカーとのコンジュゲートは、結合剤、たとえば上で挙げたものの存在下で調製しても、又はイソチオシアナート、好ましくはフルオレセインイソチオシアナートと反応させることによって調製してもよい。本発明のキメラ抗体と細胞分裂抑制性/細胞傷害性物質及び金属キレートとのコンジュゲートも、同様の方法で調製する。
本発明での使用に好ましい薬品は、細胞傷害剤、特に癌治療に使用されるものである。そのような薬物には、一般に、細胞分裂抑制薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗増殖薬、チューブリン結合薬、ホルモン、及びホルモン拮抗薬などが含まれる。本発明に適合する典型的な細胞分裂抑制薬には、メクロレタミン、トリエチレンホスホラミド、シクロホスファミド、イホスファミド、クロランブシル、ブスルファン、メルファラン、トリアジコンなどのアルキル化物質に加え、カルムスチン、ロムスチン、セムスチンなどのニトロソ尿素化合物が含まれる。他の好ましい細胞傷害剤クラスには、たとえば、アントラサイクリン・ファミリーの薬物、ビンカ薬物、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞傷害ヌクレオシド、プテリジン・ファミリーの薬物、ジイネン(diynene)、及びポドフィロトキシンが含まれる。これらのクラスの特に有用なメンバーには、たとえば、アドリアマイシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ドキソルビシン、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、ミトラマイシン、ストレプトニグリン、ジクロロメトトレキサート、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、フロキシウリジン、フトラフール、6−メルカプトプリン、シタラビン、シトシンアラビノシド、エトポシドやリン酸エトポシドなどのポドフィロトキシンもしくはポドフィロトキシン誘導体、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、リューロシジン(leurosidine)、ビンデシン、リューロシン(leurosine)などが含まれる。本明細書の教示に適合するさらに他の細胞毒には、タキソール、タキサン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、テノポシド、コルキシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、及びこれらの類似体もしくは同族体が含まれる。副腎皮質ステロイド、たとえばプレドニソン;プロゲスチン、たとえばヒドロキシプロゲステロンもしくはメドロプロゲステロン;エストロゲン、たとえばジエチルスチルベステロール;抗エストロゲン、たとえばタモキシフェン;アンドロゲン、たとえばテストステロン;及びアロマターゼ阻害薬、たとえばアミノグルテチミドなど、ホルモン及びホルモン拮抗薬も、本明細書の教示に適合する。これまでに言及したように、その化合物の反応を本発明のコンジュゲートを調製するのにより好都合なものにする目的で、当分野の技術者が所望の化合物に化学修飾を施してもよい。
特に好ましい細胞毒の一例は、エンジイン・ファミリーの抗腫瘍抗生物質のメンバー又は誘導体を含み、これには、カリケアマイシン、エスペラマイシン、又はディネマイシン(dynemicin)が含まれる。これらの毒素は、極めて強力であり、核のDNAを切断することによって作用し、細胞死をもたらす。in vivoで切断されて、不活性であるが、免疫原性である多くのポリペプチド断片をもたらし得るタンパク質毒素とは異なり、カリケアマイシン、エスペラマイシン、及び他のエンジイン類などの毒素は、本質的に非免疫原性の小分子である。モノクローナル抗体及び他の分子を標識するのにこれまでに使用されてきた技術によって、このような非ペプチド毒素を二量体又は四量体に化学的に結合させる。そのような結合技術には、コンジュゲートのFc部分上にしか存在しないN結合糖残基を介する部位特異的な結合が含まれる。このような部位指向性の結合法には、コンジュゲートの結合特性に影響し得る結合作用を低減するという有利点がある。
これまでに触れたように、適合性のある細胞毒は、プロドラッグを含んでもよい。本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、腫瘍細胞に対する毒性が親薬物よりも弱く、酵素によって活性化され、又はより活性のある親の形に変換されることが可能な、薬剤活性のある物質の前駆体又は誘導体の形を指す。本発明に適合するプロドラッグには、それだけに限らないが、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意選択で置換されたフェノキシアセタミド含有プロドラッグもしくは任意選択で置換されたフェニルアセタミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び他の5−フルオリジンプロドラッグが含まれ、これらは、より活性のある細胞傷害性の遊離型薬物に変換される。本発明で使用するためにプロドラッグの形に誘導できる細胞傷害剤の別の例は、上述の化学療法薬を含む。
他の細胞毒の中では、抗体を、リシンのサブユニットA、アブリン、ジフテリア毒素、ボツリヌス、シアンギノシン(cyanginosin)、サキシトキシン、シガトキシン、テタヌス、テトロドトキシン、トリコテセン、ベルコロゲン(verrucologen)、毒性酵素などの生体毒素と結合させてもよいことがわかるであろう。このような構築物は、抗体−毒素構築物の直接の発現を可能にする遺伝子操作技術を使用して作製することが好ましい。本発明の改変抗体に結合させてよい他の生体応答変更因子は、リンホカインやインターフェロンなどのサイトカインを含む。さらに、上で指摘したように、免疫活性のあるリガンド(たとえば、抗体又はその断片)と本発明の改変抗体を結合させるのにも、同様の構築物を使用することができる。このような免疫活性のあるリガンドが、免疫活性エフェクター細胞表面上の抗原に指向性であれば好ましい。このような場合では、その構築物を使用して、T細胞やNK細胞などのエフェクター細胞を、腫瘍結合抗原を有する腫瘍細胞の極めて近くに導き、それによって所望の免疫応答を誘発することができる。当分野の技術者ならば、この開示を考慮し、従来の技術を使用して、このような構築物を容易に生成できるはずである。
「化学療法薬」とは、癌治療において有用な化学化合物である。化学療法薬の例には、チオテパやシクロスホスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化薬;ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファンなどのアルキルスルホナート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、ウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びキオランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビシン、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのトリメチルオロメラミン窒素マスタードを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;カルマスチン、クロロゾトシン、ホテマスチン、ロムスチン、ミマスチン、ラニマスチンなどのニトロソ尿素;アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カラジノフィリン、クロニオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトニビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルブシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、ミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポロフロマイシン、プロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートや5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシタビン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5−FUなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎皮質ホルモン薬(anti−adrenal);フロリニン酸(frolinic acid)などの葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デホファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;マイトグアゾン;マイトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、たとえばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、米ニュージャージー州プリンストン)及びドキセタキセル(タキソテール、Rhone−Poulenc Rorer、仏Antony、);クロランブシル;ゲミシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンやカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;マイトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロナート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害薬RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;及び上述のもののいずれかの薬剤として許容される塩、酸、もしくは誘導体が含まれる。この定義には、たとえばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシラモキシフェン、トリオキシフェン、ケトオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(ファレストン)を含む抗エストロゲン;フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、ゴセレリンなどの抗アンドロゲン;及び上述のもののいずれかの薬剤として許容される塩、酸、もしくは誘導体など、腫瘍へのホルモン作用を調節又は抑制するように働く抗ホルモン剤も含まれる。
用語「サイトカイン」は、細胞間媒介物質として別の細胞に作用する、1細胞集団によって放出されたタンパク質の総称である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び旧来のポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝細胞成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子α及びβ;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン結合ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−13などの神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αやTGF−βなどのトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロンα、β、及びγなどのインターフェロン;マクロファージCSF(M−CSF)、顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF)、顆粒球CSF(G−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL−1、IL−1a、IL−2、IL−g、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15などのインターロイキン(IL);TNF−αやTNF−βなどの腫瘍壊死因子;及びLIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で使用する用語サイトカインには、天然もしくは組換え細胞培養物由来のタンパク質、及び生理活性のある自然配列サイトカイン等価物が含まれる。
本出願で使用する用語「プロドラッグ」は、腫瘍細胞に対する毒性が親薬物よりも弱く、酵素によって活性化され、又はより活性のある親の形に変換させることが可能な、薬剤活性のある物質の前駆体又は誘導体の形を指す。たとえば、Wilmanの「癌化学療法におけるプロドラッグ(Prodrugs in Cancer Chemotherapy)」、Biochemical Society Transactions、第14巻、375〜382ページ、第615回大会、ベルファスト(1986年)、及びStella等の「プロドラッグ:標的を定めた薬物送達のための化学的アプローチ(Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」、Directed Drug Delivery、Borchardt他編、247〜267ページ、Humana Press(1985年)を参照されたい。本発明のプロドラッグには、それだけに限らないが、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸で改変したプロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、13−ラクタム含有プロドラッグ、任意選択で置換されたフェノキシアセタミド含有プロドラッグもしくは任意選択で置換されたフェニルアセタミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれ、これらは、より活性のある細胞傷害性の遊離型薬物に変換される。プロドラッグの形に誘導して、本発明で使用できる細胞傷害剤の例には、それだけに限らないが、上述の化学療法薬が含まれる。
「リポソーム」は、様々な種類の脂質、リン脂質、及び/又は界面活性剤からなる小胞であり、哺乳動物への薬物(本明細書で開示された拮抗薬、及び任意選択の化学療法薬)の送達に有用である。リポソームの成分は、一般に、生体膜の脂質配置に類似した二重層構造で配置される。
用語「添付文書」は、治療用製品の市販品パッケージ中に習慣的に収められた説明書を指し、適応症、用法、用量、投与法、禁忌症、及び/又はその治療用製品の使用に関する警告についての情報を含む。
本発明の製造方法及び製品には、免疫調節活性を有する少なくとも1種の抗体、たとえば抗B7、抗CD23、抗CD40L、抗CD4、もしくは抗CD40抗体と、任意選択の少なくとも1種のB枯渇活性を有するB細胞表面マーカーに結合させた抗体、たとえば抗CD20、抗CD22、抗CD19、もしくは抗CD37抗体が使用され、又は含まれる。したがって、本明細書では、このような抗体を得る方法を述べる。
抗原を作製又はスクリーニングするのに使用する分子は、たとえば、所望のエピトープを含む抗原又はその部分の可溶性の形でよい。別法もしくは追加として、その表面に抗原を発現している細胞を使用して、拮抗物質を生成又はスクリーニングすることもできる。拮抗物質を生成するのに有用な他の形のB細胞表面マーカーは、当分野の技術者にわかるであろう。本発明による抗体を作製するのに適する、CD40L、CD40、CD19、CD20、CD22、CD23、CD37、CD4、及びB7抗原(たとえばB7.1、B7.2)抗原のための抗原供給源は、よく知られている。あるいは、アミノ酸配列に基づき、ペプチドを合成によって調製することもできる。たとえば、CD40Lに関して、Armitage等(1992)がこれを開示している。
CD40L抗体又は抗CD40L抗体は、1999年6月14日に出願され、IDEC Pharmaceuticals Corporationに譲渡されている米国特許第6,001,358号で開示されているヒト化抗CD40L抗体とすることが好ましい。
好ましいCD40L拮抗物質は抗体であるが、抗体以外の拮抗物質を投与してもよい。たとえば、拮抗物質は、可溶性CD40、CD40融合タンパク質、又は任意選択で(本明細書に記載のものなどの)細胞傷害剤に融合もしくは結合させた小分子拮抗物質を含んでよい。小分子のライブラリを、本明細書で問題としているB細胞表面マーカーを用いるスクリーニングにかけて、その抗原に結合する小分子を特定してもよい。その小分子を、その拮抗特性についてさらにスクリーニングし、かつ/又は細胞傷害剤に結合させてもよい。
拮抗物質は、たとえば、合理的設計又はファージディスプレイによって生成したペプチドでもよい(1998年8月13日公告のW098/35036)。一実施形態では、選択した分子は、たとえば、抗体のCDRに基づいて設計した「CDR模倣物」又は抗体類似体でよい。ペプチドは、単独でも拮抗性をもち得るが、(たとえば、ペプチドにADCC及び/又はCDC活性を与えるために)ペプチドを任意選択で細胞傷害剤又は免疫グロブリンFc領域と融合させてもよい。
本発明に従って使用する抗体拮抗物質を生成する典型的な技術を述べる。
ポリクローナル抗体は、該当する抗原及びアジュバントを複数回皮下(sc)もしくは腹腔内(ip)注射することによって増やすことが好ましい。二機能性又は誘導体化用の薬品、たとえば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する結合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介して)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、又はR1N=C=NR(式中、R及びR1は、異なるアルキル基である)を使用して、免疫化しようとする種において免疫原性であるタンパク質、たとえばキーホール・リンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、もしくはダイズトリプシンインヒビターに該当する抗原を結合させることは有用であるといえる。
たとえば、(それぞれウサギもしくはマウス用の)100μgもしくは5μgのタンパク質又はコンジュゲートと3容のフロイント完全アジュバントとを合わせ、この溶液を複数の部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体で動物を免疫化する。1カ月後、最初の量の1/5〜1/10のフロイント完全アジュバント中ペプチド又はコンジュゲートを複数部位に皮下注射することによって、動物に追加免疫を施した。7〜14日後、動物から採血し、血清の抗体力価のアッセイを行う。力価が安定水準に達するまで動物から採血する。同じ抗原であるが、異なるタンパク質に結合し、かつ/又は異なる架橋剤を介しているコンジュゲートを有する動物から採血することが好ましい。コンジュゲートは、組換え細胞培養物中で、タンパク質融合物として作製することもできる。また、ミョウバンなどの凝集剤を適切に使用して、免疫応答を向上させる。
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の集団、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、わずかに存在するかもしれない可能性としての自然発生突然変異を除き、同一である集団から得る。したがって、修飾語「単クローン」は、別々の抗体の混合物でないという抗体の特徴を示す。
たとえば、モノクローナル抗体は、Kohler等のNature、第256巻:495ページ(1975年)で最初に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製しても、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製してもよい。
ハイブリドーマ法では、マウス、又はハムスターなどの他の相応する宿主動物を上述のように免疫化して、免疫化に使用したタンパク質に特異的に結合する抗体を産生する、又は産生できるリンパ球を顕在化させる。あるいは、リンパ球をin vitroで免疫化してもよい。次いで、ポリエチレングリコールなどの適切な細胞融合剤(fusing agent)を使用して、リンパ球と骨髄腫細胞を融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Godingの「モノクローナル抗体:原理と実践(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)」、59〜103ページ(Academic Press、1986年))。
そうして調製したハイブリドーマ細胞を、好ましくは融合されていない親骨髄腫細胞の成長及び生存を抑制する1種又は複数の物質を含有する適切な培地に播種し、成長させる。たとえば、親骨髄腫細胞の酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)が欠損していれば、そのハイブリドーマの培地は、通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質が、HGPRT欠損細胞の成長を妨げる。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択した抗体を産生する細胞による安定な高レベル抗体産生の支えとなり、かつHAT培地などの培地に感受性のあるものである。これらの中でも好ましい骨髄腫細胞が、Salk Institute Cell Distribution Center、米カリフォルニア州サンディエゴから入手できるMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍由来のものなど、マウス骨髄腫系、及びAmerican Type Culture Collection、米ヴァージニア州マナッサスから入手できるSP−2もしくはX63−Ag8−653細胞である。ヒト・モノクローナル抗体の産生向けに、ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫系も記載されている(KozborのJ.Immunol.,133巻:300 1ページ(1984年)、Brodeur等の「モノクローナル抗体の産生技術と応用(Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications)」、51〜63ページ(Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク、1987年))。
問題の抗原に指向性のあるモノクローナル抗体の産生について、ハイブリドーマ細胞が成長途中にある培地を評価する。ハイブリドーマ細胞がもたらすモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降、又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)などのin vitro結合アッセイによって決定することが好ましい。
モノクローナル抗体の結合親和性は、たとえば、Munson等のAnal.Biochem.、第107巻:220ページ(1980年)の30Scatchard分析によって決定できる。
ハイブリドーマ細胞が、所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生することを確認した後、クローンを、限界希釈手順によってサブクローニングし、標準の方法によって成長させればよい(Godingの「モノクローナル抗体:原理と実践(Monoclonal Antibodies:Principles and Practice)」、59〜103ページ(Academic Press、1986年))。この目的のための適切な培地には、たとえば、D−MEM又はRPML−1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物中で腹水腫瘍としてin vivoで成長させてもよい。
サブクローニングによって選別されたモノクローナル抗体は、たとえば、タンパク質A−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーなど、従来の免疫グロブリン精製手順によって、培地、腹水液、又は血清から適宜分離する。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(たとえば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチド・プローブを使用することによって)、直ちに単離し、配列決定する。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源として役立つ。DNAを単離したなら、発現ベクター中に入れ、次いでこれを、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞など、他に免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞に形質移入して、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を実現する。抗体をコードするDNAのバクテリア中での組換え発現について概説する論文には、Skerra等のCurr.Opinion in Immunol.、第5巻:256〜262ページ(1993年)及びPluckthunのImmunol.Revs.、第130巻:151〜188ページ(1992年)が含まれる。
CD40L、CD19、CD22、CD20、もしくはCD40タンパク質又はペプチドに対して反応性のある特定の抗体又は抗体断片(たとえば、米国特許第5,945,513号に記載のgp39融合タンパク質など)を得る別の方法は、細菌中に発現した免疫グロブリン遺伝子又はそのタンパク質をコードする発現ライブラリを、CD40L、CD19、CD20、もしくはCD22タンパク質又はペプチドを用いてスクリーニングすることである。たとえば、ファージ発現ライブラリを使用すると、細菌中に完全なFab断片、VH領域、及びFv領域を発現させることができる。たとえば、Ward等のNature第341巻:544〜546ページ(1989年)、Huse等のScience第246巻:1275〜1281ページ(1989)年、及びMcCafferty等のNature第348巻:552〜554ページ(1990年)を参照されたい。このようなライブラリを、たとえばCD40L、CD22、CD19、又はCD20ペプチドでスクリーニングすると、CD40L、CD22、CD19、又はCD20に反応性のある免疫グロブリン断片を特定できる。あるいは、(Genpharmから入手できる)SCID−huマウスを使用して、抗体又はその断片を産生させることができる。
別の実施形態では、McCafferty等のNature、第348巻:552〜554ページ(1990年)に記載の技術を使用して得た抗体ファージライブラリから抗体又は抗体断片を単離できる。Clackson等のNature、第352巻:624〜628ページ(1991年)及びMarks等のJ.Mol.BioL、第222巻:581〜597ページ(1991年)は、ファージライブラリを使用するマウス及びヒト抗体の単離をそれぞれ記載している。その後の刊行物は、鎖混合法(chain shuffling)による高親和性(nM範囲)ヒト抗体の作製(Marks等のBio/Technology、第10巻:779〜783ページ(1992年))、並びに極めて大規模なファージライブラリを構築する戦略としてのコンビナトリアル感染及びin vivo組換え(Waterhouse等のNuc.Acids.Res.、第21巻:2265〜2266ページ(1993年))を記載している。したがって、このような技術は、モノクローナル抗体を単離する旧来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に代わる実現性のある代替法である。
ヒトCD40L及びマウスCD40Lを含むCD40Lに指向性のモノクローナル抗体(MAb)と、本発明の方法での使用に適するモノクローナル抗体を生成する方法は、「抗gp39抗体及びその使用(Anti−gp39 Antibodies and Uses Therefor)」と題されたPCT特許出願番号WO95/06666に記載されており、この特許の教示全体を参照により本明細書に組み込む。本発明の特に好ましい抗ヒトCD40L抗体は、ハイブリドーマ24−31及び89−76によってそれぞれ生成されたMAb24−31及び89−76である。それぞれ89−76及び24−31抗体を生成する89−76及び24−31ハイブリドーマは、ブタペスト条約の規定に従い、1994年9月2日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.、Manassas、VA20110−2209)に預けた。89−76ハイブリドーマには、ATCC受入れ番号HB11713が与えられ、24−31ハイブリドーマには、ATCC受入れ番号HB11712が与えられた。
たとえば、相同的なマウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を用いることによって(米国特許第4,816,567号、Morrison等のProc.Natl Acad.ScL USA、第81巻:6851ページ(1984年))、又は免疫グロブリンのコード配列を非免疫グロブリンポリペプチド・コード配列の全体もしくは部分と共有結合させることによって、DNAを改変してもよい。
通常、抗体の定常ドメインの代わりに、又は抗体の抗原結合部位の可変ドメイン代わりにそのような非免疫グロブリンポリペプチドを用いて、ある抗原に特異的な1個の抗原結合部位、及び異なる抗原に特異的な別の抗原結合部位を含む2価のキメラ抗体を作り出す。
ヒト化非ヒト抗体向けの方法は、当技術分野で記載されている。ヒト化抗体は、ヒトでない供給源からの1個又は複数のアミノ酸残基がそこに導入されていることが好ましい。このような非ヒトアミノ酸残基はしばしば、「移入」残基と呼ばれ、通常は「移入」可変ドメインから受け取る。ヒト化は、本質的には、Winterと同僚らの方法(Jones等のNature、第321巻:522〜525ページ(1986年)、Reichmann等のNature、第332巻:323〜327ページ(1988年)、Verhoeyen等のScience、第239巻:1534〜1536ページ(1988年))に従い、ヒト抗体の代わりに対応する超可変領域配列を用いることによって行うことができる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、インタクト・ヒト可変ドメインよりもかなり少ない配列がヒトでない種に由来する対応する配列で置換されたキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際には、ヒト化抗体は、通常、若干の超可変領域残基及び可能性としての若干のFR残基が、げっ歯類抗体の類似部位に由来する残基で置換されているヒト抗体である。
ヒト化抗体の作製において使用するヒト可変ドメインの選択は、軽鎖及び重鎖共に、抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「最適な」方法によれば、げっ歯類抗体の可変ドメイン配列を、知られているヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体でスクリーニングする。次いで、げっ歯類に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体用のヒトフレームワーク領域(FR)とする(Suns等のJ.Immunol.、第151巻:2296ページ(1993年)、Chothia等のJ.Mol.Biol、第196巻:901ページ(1987年))。別の方法では、軽鎖又は重鎖の特定亜群のヒト抗体すべての共通配列から得た特定のフレームワーク領域を使用する。いくつかの異なるヒト化抗体に同じフレームワークを使用してもよい(Carter等のProc.Natl.Acad Sci.USA、第89巻:4285ページ(1992年)、Presta等のJ.Immunol.、第151巻:2623ページ(1993年))。
さらに、抗原への高い親和性及び他の好都合な生物学的特性を保ったまま抗体をヒト化することが重要である。好ましい方法によれば、この目的を達成するために、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的なヒト化産物を分析するプロセスによってヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは、普通に入手でき、当分野の技術者によく知られている。選択された免疫グロブリン配列候補のもっともらしい三次元の立体配置構造を図にし、表示するコンピュータ・プログラムが利用できる。このような表示物を調べることによって、免疫グロブリン配列候補の機能の中でその残基が担いそうな役割の分析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響を与える残基の分析が可能になる。この手段では、標的抗原に対する親和性の向上など、所望の抗体特性が得られるよう、FR残基をレシピエント配列及び移入配列から選択し、合わせることができる。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接かつほとんど実質的に関与している。
組換え抗体を得るための非常に効率のよいもう1つの手段は、NewmanのBiotechnology、第10巻:1455〜1460ページ(1992年)に記載されている。より詳細には、この技術によって、サルの可変ドメインとヒトの定常配列を含む霊長類化抗体が得られる。この参照文献の全体を参照により本明細書に組み込む。さらに、この技術は、1995年1月25日に出願された米国特許出願番号08/379,072に記載されており、この特許は、1992年6月10日に出願された米国連続番号07/912,292の継続出願であり、この特許は、1992年3月23日に出願された米国連続番号07/856,281の一部継続出願であり、この特許は、最終的に1991年7月25日に出願された米国連続番号07/735,064の一部継続出願である。08/379,072及びその親特許をすべて、参照により全体として本明細書に組み込む。
この技術では、抗体がヒトに投与されて抗原として拒絶されないようにこれを改変する。この技術は、カニクイザルをヒトの抗原又は受容体で免疫化するものである。この技術は、ヒト細胞表面抗原に指向性のある高親和性モノクローナル抗体を生み出すために開発された。
ヒトCD40L、CD20、CD22、CD40、もしくはCD19に対するマカク抗体の同定は、参照により全体として本明細書に組み込まれている1995年6月7日に出願され、同じ譲受人に譲渡されている米国特許出願第08/487,550号に記載の方法を使用して、CD40L、CD20、CD22、CD40、もしくはCD19で免疫化したサルからのBリンパ球を使用するファージディスプレイ・ライブラリのスクリーニング又はそれを使用して得たサルヘテロハイブリドーマによって実施できる。
これらの出願に記載の方法を使用して得た抗体は、以前から、ヒトエフェクター機能を示し、免疫原性が低下しており、血清半減期が長いことが報告されている。この技術は、カニクイザルが、系統的にヒトに類似しているにもかかわらず、それでも多くのヒトタンパク質を外来であると認識し、したがって免疫応答が備わっているということを利用するものである。さらに、カニクイザルは、系統的にヒトに近いので、このサルにおいて発生した抗体は、ヒトにおいて発生した抗体に対するアミノ酸相同性が高度であることが発見されている。実際、マカク免疫グロブリン軽鎖及び重鎖可変部遺伝子が配列決定された後で、各遺伝子ファミリーの配列が、そのヒト対応物に対して85〜98%相同的であることが判明した(Newman等、1992年)。この方法で生成された最初の抗体、すなわち抗CD4抗体は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域の共通配列に対して91〜92%相同的であった(Newman等、1992年)。
上述のように、本発明の一部は、ヒトCD40L抗原に特異的であり、かつCD40情報伝達を阻害し、又はCD40/CD40L相互作用を抑制することが可能なモノクローナル抗体又はその霊長類化された形の使用に関する。CD40とCD40L間の一次活性化部位を、確認された抗体(又は治療上有効なその断片)でブロックしながら、プラスの同時刺激への不可知論的な(agnostic)効果とマイナスの情報伝達への作用物質効果とを合わせて可能にすることが、再発型の悪性病変、特にB細胞リンパ腫及び白血病に介入する有用な治療手法となる。確認された抗体の機能上の活性は、それらがIgMもしくはFas誘発性アポトーシスにもかかわらず生存し、これを回避するのを可能にするCD40シグナルをブロックすることにある。
ヒトCD40Lを特異的に結合するモノクローナル抗体、並びにそれから誘導された霊長類化抗体は、共にIDEC Pharmaceuticals Corporationに譲渡されている米国特許第6,001,358号もしくは同第5,750,105号に記載の方法、又は他の知られている方法を使用して製造することができる。このような抗体は、好ましくは、CD40Lに対して高い親和性をもち、したがって、CD40L/CD40経路を阻害する免疫抑制抑制薬として使用してよい。同様の技術によって、CD20、CD19、CD22、又はCD40に特異的なサル抗体が得られる。
サル・モノクローナル抗体の調製は、CD40L(たとえば、ヒトCD40L)で免疫化したサルから得たBリンパ球を使用して、ファージディスプレイ・ライブラリをスクリーニングするか、又はサルへテロハイブリドーマを調製することによって行う。また、米国特許第5,945,513号に記載の融合タンパク質からヒトCD40を得ることもできる。
言及したように、抗CD40L、CD19、CD20、CD22、又はCD40抗体を得る第1の方法は、組換えファージディスプレイ技術を使用する。通常、この方法は、標的に対する組換え免疫グロブリン・ライブラリ、すなわち繊維状ファージ表面上に表示されるCD19、CD22、CD20、CD40、もしくはCD40L抗原の合成、及びCD40Lに対する親和性をもつ抗体を分泌するファージの選択を含む。上で触れたように、ヒトCD40L及びCD40の両方に結合する抗体を選択することが好ましい。このような方法を実施するために、本発明者らは、組換えの可能性を低減し、安定性を向上させる、サルライブラリ用の特殊なライブラリを作り出した。
本来、マカクライブラリと共に使用するファージディスプレイを採用するために、このベクターは、サル免疫グロブリン遺伝子を増幅するPCR用の特定のプライマーを含む。これらのプライマーは、霊長類化技術、及びヒト配列を含むデータベース開発の際に得られたマカク配列に基づく。適切なプライマーは、参照により本明細書に組み込まれた、同じ譲受人に譲渡されている08/379,072に記載されている。
第2の方法は、サル、すなわちマカクを所望の抗原標的、すなわちヒトCD19、CD20、CD22、CD40、もしくはCD40Lで免疫化するものである。モノクローナル抗体の発生についてのマカクに特有の有利点は、上で述べている。特に、このようなサル、すなわちカニクイザルは、ヒト抗原で免疫化しても、受容体で免疫化してもよい。さらに、参照により全体として組み込まれているNewman等(1992年)、及び1995年1月25日に出願され、同じ譲受人に譲渡されているNewman等の米国連続番号08/379,072の方法に従い、得られた抗体を使用して、霊長類化抗体を作製してもよい。
カニクイザルから得た抗体の有意な有利点は、このようなサルが、多くのヒトタンパク質を外来であると認識し、それによって抗体の生成に備えるが、その抗体によっては所望のヒト抗原、たとえばヒト表面タンパク質及び細胞受容体に対する親和性が高いという点である。さらに、このようなサルは、系統的にヒトに近いので、得られた抗体は、ヒトにおいて産生された抗体に対するアミノ酸相同性が高度である。上で触れたように、マカク免疫グロブリン軽鎖及び重鎖可変部遺伝子が配列決定された後で、各遺伝子ファミリーの配列が、そのヒト対応物に対して85〜88%相同的であることが判明した(Newman等、1992年)。
より詳細には、マカクのカニクイザルにヒトCD19、CD20、CD22、CD40、もしくはCD40L抗原を投与し、B細胞をそれから単離する、たとえば動物からリンパ節生検材料を採取し、次いでポリエチレングリコール(PEG)を使用してBリンパ球をKH6/B5(マウス×ヒト)ヘテロ黒色腫細胞と融合する。次いで、ヒトCD40Lを結合する抗体を分泌するヘテロハイブリドーマを特定する。
CD40L又はCD40に結合する抗体の場合では、このような抗体を、CD40LとCD40、すなわちその対応する受容体との相互作用を阻害するために使用する可能性があるので、CD40情報伝達を妨害又は調節するように行うことが好ましい。1個を超えるCD40LもしくはCD40上エピトープに対する抗体を開発することができ、抗体を一緒に利用する場合、抗体複合活性によって相乗効果がもたらされるかもしれない。
開示している本発明は、特定の抗体を産生するように準備した動物(たとえば、オランウータン、ヒヒ、マカク、カニクイザルなどの霊長類)を使用する。ヒトCD40Lに対する抗体を得るのに使用してよい他の動物には、それだけに限らないが、以下のもの、すなわちマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ブタ、ヤギ、及びウサギが含まれる。
次いで、本質的に、共に参照により本明細書に組み込まれているNewman等(1992)、1995年1月25日出願の及びNewman等の米国連続番号379,072に記載されているとおりに、ヒトCD40L抗原に特異的に結合する抗体を発現する細胞系を使用して、可変ドメイン配列をクローン化し、霊長類化抗体の製造に備える。これには、本質的に、そこからのRNAの抽出、cDNAへの変換、及びIgに特異的なプライマーを使用するPCRによるその増幅が伴う。適切なプライマーは、Newman等の1992年、及び米国連続番号379,072に記載されている。同様の技術によって、CD40、CD19、CD20、又はCD22に特異的な抗体を発現する細胞系を得る。
次いでクローン化したサルの可変遺伝子を、ヒト重鎖及び軽鎖定常部遺伝子を含む発現ベクターに導入する。NEOSPLAと呼ばれるIDEC,Inc.の専売発現ベクターを使用してこれを行うことが好ましい。このベクターは、サイトメガロウイルス・プロモーター/エンハンサー、マウスβグロブリン主プロモーター、SV40複製開始点、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、ネオマイシンリン酸転移酵素エキソン1及びエキソン2、ヒト免疫グロブリンκもしくはλ定常部、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ヒト免疫グロブリンγ1もしくはγ4PE定常部、及びリーダー配列を含む。このベクターは、サル可変部遺伝子を導入し、CHO細胞に形質移入し、その後G418含有培地及びメトトレキサート中で選択し、増幅させると、非常に高レベルで霊長類化抗体を発現することが判明している。
たとえばこの発現系は、これまでに、CD4及び他のヒト細胞表面受容体に対する結合力の高い(Kd≦10-10M)霊長類化抗体をもたらすことが開示されている。さらに、この抗体は、元のサル抗体と同じ親和性、特異性、及び機能活性を示すことが判明している。このベクター系は、参照により本明細書に組み込まれている、同じ譲受人に譲渡されている米国連続番号379,072、並びにこれも参照により全体として本明細書に組み込まれている1993年11月3日に出願の米国連続番号08/149,099で実質的に開示されている。この系は、高い発現レベル、すなわち>30pg/細胞/日を賄う。当然、同じ方法を利用して、CD19、C20、CD22、又はCD40に特異的な抗体を産生する細胞系を生成することができる。
ヒト化に代わるものとして、ヒト抗体を得ることができる。たとえば、現在では、免疫化すると、内在性の免疫グロブリンを産生することなく、全レパートリーのヒト抗体を産生できる形質転換動物(たとえばマウス)の作製が可能である。たとえば、キメラ生殖系列突然変異マウスにおいて、抗体重鎖結合領域PH)遺伝子を同型接合的に欠失させると、内在性の抗体産生が完全に抑制される。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイをこのような生殖系列突然変異マウス中に移すと、抗原負荷後にヒト抗体が産生される。たとえば、Jakobovits等のProc.Mad.Acad.Sci.USA、第90巻:255ページ1(1993年)、Jakobovits等のNature、第362巻:255〜258ページ(1993年)、Bruggermann等のYear in immuno.、第7巻:33ページ(1993年)、並びに米国特許第5,591,669号、同第5,589,369号、及び同第5,545,807号を参照されたい。
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty等のNature第348巻:552〜553ページ(1990年))を使用して、免疫化した供与体に由来する免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト抗体及び抗体断片を生成することもできる。この技術によると、抗体Vドメイン遺伝子を、M13やfdなど、糸状バクテリオファージの主要コートタンパク質又は微量コートタンパク質遺伝子中にインフレームでクローン化し、ファージ粒子表面上に機能性抗体断片として提示させる。糸状粒子は、ファージ・ゲノムの1本鎖DNAの複製を含んでいるので、抗体の機能特性に基づいて選択すれば、このような特性を示す抗体をコードする遺伝子を選択することにもなる。したがって、ファージは、B細胞の特性を若干模倣している。ファージディスプレイは、様々な形式で実施でき、その概説については、たとえば、Johnson,Kevin S.及びChiswell,David J.のCurrent Opinion in Structural Biology第3巻:564〜571ページ(1993年)を参照されたい。ファージディスプレイには、いくつかのV遺伝子セグメント供給源が使用できる。Clackson等のNature、第352巻:624〜628ページ(1991年)では、免疫化したマウスの脾臓に由来するV遺伝子の無秩序な小規模コンビナトリアルライブラリから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離している。本質的に、Marks等のJ.Mol.Biol、第222巻:581〜597ページ(1991年)、又はGriffith等のEMBO J.第12巻:725〜734ページ(1993年)に記載の技術に従えば、免疫化していないヒト供与体に由来する1レパートリーのV遺伝子を構築することができ、(自己抗原を含む)抗原の多様なアレイに対する抗体を単離できる。米国特許第5,565,332号及び同第5,573,905号も参照されたい。
ヒト抗体は、vitroで活性化したB細胞によって生成してもよい(米国特許第20 5,567,610号及び同第5,229,275号を参照されたい)。SCIDマウスを使用してヒト抗体を生成する好ましい手段は、同じ権利者に所有されている、同時継続出願で開示されている。
抗体断片を生成する様々な技術が開発されている。旧来、このような断片は、未処置抗体をタンパク質分解によって消化して得ていた(たとえば、Morimoto等のJournal of Biochemical and Biophysical Methods第24巻:107〜117ページ(1992年)及びBrennan等のScience、第229巻:81ページ(1985年)を参照されたい)。しかし、このような断片は現在、組換え宿主細胞によって直接に産生される。たとえば、上で論じた抗体ファージライブラリから抗体断片を単離することができる。あるいは、Fab’−SH断片を大腸菌から直接に回収し、化学的に結合させて、F(ab’)2断片を生成する(Carter等のBio/Technology第10巻:163〜167ページ(1992年))。別の手法によれば、組換え宿主細胞培養物からF(ab’)2断片を直接に単離できる。当業者には、抗体断片を生成する他の技術が明らかとなろう。他の実施形態では、選択した抗体が、1本鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185、米国特許第5,571,894号、及び米国特許第5,587,458号を参照されたい。抗体断片は、たとえば米国特許第5,641,870号に記載されているような「線状抗体」でもよい。このような線状の抗体断片は、単一特異的でも二重特異的でもよい。
二重特異性抗体は、少なくとも2個のエピトープへの結合特異性を有する抗体である。典型的な二重特異性抗体は、B細胞表面マーカーの2個の異なるエピトープに結合し得る。他のそのような抗体は、第1のB細胞マーカーを結合し、さらに第2のB細胞表面マーカーを結合し得る。あるいは、抗B細胞マーカーを結合する腕が、T細胞受容体分子(たとえば、CD2又はCD3)や、FcyRI(CD64)、FcyRII(CD32)、FcyRIII(CD16)などのIgGFc受容体(FcyR)など、白血球上の誘発分子に結合する腕と合体させて、細胞の防御機構をB細胞に集中させてもよい。二重特異性抗体を使用して、細胞傷害剤をB細胞に局在させてもよい。このような抗体は、B細胞マーカーを結合する腕と、細胞傷害剤(たとえば、サポリン、抗インターフェロンα、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキサート、又は放射性同位体ハプテン)を結合する腕とを有する。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片(たとえば、F(ab)2二重特異性抗体)として調製できる。
二重特異性抗体を作製する方法は、当技術分野で知られている。旧来の全長二重特異性抗体の生成は、2本の鎖が異なる特異性を有する2対の免疫グロブリン重鎖−軽鎖の同時発現に基づいている(Millstein等のNature、第305巻:537〜539ページ(1983年))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無秩序に寄せ集められるので、このようなハイブリドーマ(クアロドーマ)では、そのうちの1種だけが正しい二重特異性構造を有する10種の異なる潜在的混合物が生成される。正確な分子の精製は、通常、アフィニティークロマトグラフィーの諸段階によって行われるが、かなり煩わしく、生成物の収率も低い。同様の手順が、WO93/08829、及びTraunecker等のEMBO J.、第10巻:3655〜3659ページ(1991年)に記載されている。
別の手法によれば、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体−抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させる。少なくともヒンジ、CH2、及びCH3領域の部分を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインに融合させることが好ましい。軽鎖との結合に必要な部位を含む第1重鎖定常部(CHI)が融合物の少なくとも1個に存在していることが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物をコードしているDNA、及び所望であれば免疫グロブリン軽鎖を別々の発現ベクターに導入し、適切な宿主生物に同時形質移入する。同等でない比の3本のポリペプチド鎖をこの構築に使用して最適な収率がもたらされる場合では、これによって、3個のポリペプチド断片の共通部分を調節する際の高度な柔軟性を実施形態に付与する。しかし、同等な比の少なくとも2本のポリペプチド鎖によって高い収率がもたらされる場合、又はその比が特に重要でない場合、2本又は3本すべてのポリペプチド鎖のコード配列を1個の発現ベクターに導入することが可能である。
この手法の好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、第1の結合特異性を有する一方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、(第2結合特異性をもたらす)他方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対とから構成されている。免疫グロブリン軽鎖が二重特異性抗体の2分の1しか存在しないことが、分離の容易な手段を与えるので、この非対称構造によって不必要な免疫グロブリン鎖の組合せから所望の二重特異性化合物を分離しやすくなることが判明した。この手法は、WO94/04690で開示されている。二重特異性抗体生成の更なる詳細については、たとえば、Suresh等のMethods in Enzymology、第121巻:210ページ(1986年)を参照されたい。
米国特許第5,731,168号に記載の別の手法によれば、抗体分子対の間の中間面を操作すると、組換え細胞培養物から回収されるヘテロ二量体の百分率を最大にすることができる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面に由来する1個又は複数の小さいアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(たとえば、チロシン又はトリプトファン)で置換する。第2の抗体分子の界面には、大きなアミノ酸側鎖をより小さいもの(たとえば、アラニン又はチロシン)で置換することによって、その大きめの側鎖と同一又はそれより小さいサイズの代償的な「空洞」を作り出す。これによって、ヘテロ二量体の収量をホモ二量体など、他の不必要な最終産物よりも増大させる機構がもたらされる。
二重特異性抗体には、架橋又は「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。たとえば、ヘテロコンジュゲートの一方の抗体をアビジンに結合させ、他方をビオチンに結合させることができる。このような抗体は、たとえば、免疫系細胞が不必要な細胞を標的とするように(米国特許第4,676,980号)、及びHIV感染の治療向けに(WO91/00360、WO92/200373、及びEP03089)企図されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を使用して作製すればよい。適切な架橋剤は、当技術分野でよく知られており、いくつかの架橋技術と共に米国特許第4,676,980号で開示されている。
抗体断片から二重特異性を生成する技術も、文献に記載されている。たとえば、化学結合を利用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等のScience、第229巻:81ページ(1985年)は、未処置抗体をタンパク質分解によって切断してF(ab’)2断片を生成する手順を記載している。このような断片をジチオール錯化剤の亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、近隣のジチオールを安定化し、分子内のジスルフィド形成を防ぐ。次いで、生じたFab’断片をチオニトロ安息香酸(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab’−TNB誘導体の1種類を、メルカプトエチルアミンで還元することによってFab’−チオールに還元し、等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合して、二重特異性抗体を生成する。生成した抗体は、酵素を選択的に固定化する薬品として使用できる。
最近の進歩によって、化学結合させると二重特異性抗体を生成し得るFab’−SH断片を大腸菌から直接に回収しやすくなった。Shalaby等のJ.Exp.Med.、第175巻:217〜225ページ(1992年)は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の生成を記載している。各Fab’断片を大腸菌から別々に分泌させ、in vitroで直接に化学結合させて、二重特異性抗体を生成した。このようにして生成した二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現している細胞、及び正常ヒトT細胞に結合するだけでなく、ヒト乳房腫瘍ターゲットに対するヒト細胞傷害リンパ球の溶解活性を誘発する能力があった。
組換え細胞培養物から二重特異性抗体断片を直接に作製し、単離する様々な方法も記載されている。たとえば、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体が生成されている。Kostelny等のJ.Immunol.第148巻(5):1547〜1553ページ(1992年)。Fos及びJunタンパク質由来のロイシンジッパー・ペプチドを遺伝子融合によって2種の異なる抗体のFab’部分に結合させた。抗体ホモ二量体のヒンジ部を還元して、単量体を生成し、次いで再度酸化させて抗体ヘテロ二量体を生成した。この方法は、抗体ホモ二量体の生成にも利用できる。Hollinger等のProc.Natl.Acad.Sci.USA、第90巻:6444〜6448ページ(1993年)に記載の「二重抗体」技術は、二重特異性抗体断片を作製する代替機構を提供している。この断片は、同じ鎖上の2箇所のドメインが対合できない位に短いリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、ある断片のVH及びVLドメインを別の断片の相補的なVL及びVHドメインと強制的に対合させ、それによって2個の抗原結合部位を形成する。1本鎖Fv(sFv)二量体を使用することによって二重特異性抗体断片を作製する別の戦略も報告されている。Gruber等のJ.Immunol.、第152巻:5368ページ(1994年)を参照されたい。
2価より高い価の抗体が企図されている。たとえば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt等のJ.Immunol.第147巻:60ページ(1991年)。
本明細書では、抗体の他の変形形態を企図する。たとえば、様々な非タンパク質重合体の1種類、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体に抗体を結合させてもよい。
本明細書で開示した抗体は、リポソームとして製剤してもよい。拮抗物質含有リポソームは、Epstein等のProc.Natl.Acad.Sci.USA、第82巻:3688ページ(1985年)、Hwang等のProc.Natl.Acad.Sci.USA、第77巻:4030ページ(1980年)、米国特許第4,485,045号、同第4,544,545号、及び1997年10月23日に公告されたWO97/38731に記載のものなど、当技術分野で知られている方法によって調製する。米国特許第5,013,556号では、循環時間が延長されたリポソームが開示されている。
ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEGで誘導したホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって、特に有用なリポソームを生成できる。リポソームを、規定された孔径のフィルターを介する押出しにかけて、所望の直径のリポソームを得る。本発明の抗体のFab’断片は、Martin等のJ.Biol.Chem.第257巻:286〜288ページ(1982年)に記載のとおりに、ジスルフィド交換反応によってリポソームに結合される。化学療法薬は、場合によってリポソーム内に含まれる。Gabizon等のJ.National Cancer Inst.第81巻(19)1484ページ(1989年)を参照されたい。
本明細書に記載のタンパク質もしくはペプチド拮抗物質のアミノ酸配列の変更を企図する。たとえば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましいといえる。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードする核酸に、相応するヌクレオチドの変更を導入するか、又はペプチド合成によって調製する。このような変更には、たとえば、拮抗物質のアミノ酸配列内での残基の欠失及び/又は挿入及び/又は置換が含まれる。欠失、挿入、及び置換をどのように組み合わせても最終構築物が生じるが、ただし、最終構築物が所望の特性を有するものとする。アミノ酸の変更によって、グリコシル化部位の数又は位置を変更するなど、拮抗物質の翻訳後プロセスを変えてもよい。
Cunningham及びWellsのScience、第244巻:1081〜1085ページ(1989年)に記載されているように、突然変異誘発に好ましい位置となる抗体の所定の残基又は領域を特定する有用な方法は、「アラニンスキャン突然変異誘発法(alanine scanning mutagenesis)」と呼ばれる。そこで、残基又は標的残基集団を特定し(たとえば、arg、asp、his、lys、gluなどの荷電アミノ酸)、中性又は負に荷電したアミノ酸(最も好ましくは、アラニン又はポリアラニン)で置換して、アミノ酸と抗原を相互に作用させる。次いで、置換部位に更なる変異体又は他の変異体を導入することによって、置換に対する官能基感受性を示すアミノ酸位置を精製する。したがって、アミノ酸配列変異体を導入する部位は予め決められているのに対し、変異の性質は、それ自体が予め決められている必要がない。たとえば、所与の部位での変異の成績を分析するために、標的コドンもしくは領域でalaスキャン又は無作為な突然変異誘発を行い、発現した拮抗物質変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列の挿入物には、1個の残基から、100個以上の残基を含むポリペプチドに及ぶ範囲の長さのアミノ及び/もしくはカルボキシ末端融合物、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物が含まれる。末端挿入物の例には、N末端メチオニル残基を有する拮抗物質又は細胞傷害ポリペプチドに融合させた拮抗物質が含まれる。拮抗物質分子の他の挿入用変異体には、酵素拮抗物質のNもしくはC末端との融合物、又は拮抗物質の血清半減期を延長するポリペプチドが含まれる。
別の種類の変異体は、アミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、異なる残基で置換された拮抗物質分子中に少なくとも1個のアミノ酸残基を有する。抗体拮抗物質の置換型突然変異誘発について最も注目される部位には、超可変領域が含まれるが、FR変更も企図する。表1の「好ましい置換」の項目に保存的な置換を示す。そのような置換が生理活性の変化をもたらす場合、表1で「模範的な置換」と呼び、又は以下でアミノ酸クラスに関してさらに記載するようなより実質的な変更を導入してよく、産物は、スクリーニングにかける。
Figure 2010059208
抗体の生物学的特性の実質的な変更は、(a)たとえばシートもしくはヘリックス高次構造のような、置換区域のポリペプチド主鎖の構造、(b)分子の標的部位の電荷もしくは疎水性、又は(c)側鎖の体積の保持への影響が異なる置換基を選択することによって実現する。自然に生じた残基は、共通の側鎖特性、すなわち、
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile、
(2)中性疎水性:cys、ser、thr、
(3)酸性:asp、glu、
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg、
(5)鎖の配向性に影響を与える残基:gly、pro、及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe
に基づいてグループ分けする。
非保存的な置換は、このようなクラスのうちの1クラスのメンバーが別のクラスに交換されるものである。
拮抗物質の正確な高次構造の維持に関与しない任意のシステイン残基は、分子の酸化安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐために、一般にセリンで置換してよい。逆に、(特に、拮抗物質がFv断片などの抗体断片である場合、)拮抗物質にシステイン結合を加えて、その安定性を向上させてもよい。
置換変異体の特に好ましいタイプは、親抗体(たとえば、ヒト化もしくはヒト抗体)の1個又は複数の超可変領域残基の置換を伴うものである。一般に、得られた変異体を更なる開発向けに選択したものは、それらを得たもとの親抗体よりも生物学的特性が向上している。そのような置換変異体を生成する好都合な方法は、ファージディスプレイを利用する親和性成熟である。簡単に述べれば、いくつかの超可変領域部位(たとえば、6〜7部位)を突然変異させて、各部位で起こり得るすべてのアミノ酸置換を起こす。このようにして生成した抗体変異体は、各粒子に収められたM13geneIII産物との融合物としての糸状ファージ粒子から一価の形で提示される。次いで、本明細書で開示したとおりに、ファージによって提示された変異体を、その生理活性(たとえば、結合親和性)についてスクリーニングする。変更する超可変領域部位候補を特定するために、アラニンスキャン突然変異誘発法を実施すると、抗原結合に実質的に寄与する超可変領域残基を特定できる。別法又は追加として、抗原抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原間の接触点を特定することも有益であるといえる。そのような接触残基及び近隣残基は、本明細書で詳述した技術に従う置換の候補である。このような変異体を生成したなら、本明細書に記載のとおりに変異体パネルをスクリーニングにかけ、1種又は複数の関係のあるアッセイにおいて優れた特性を有する抗体を選択し、更なる開発に備えればよい。
別の種類の抗体アミノ酸変異体は、拮抗物質の本来のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、拮抗物質中に見出される1個又は複数の炭水化物部分の欠失、及び/又は拮抗物質中に存在しない1個又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
ポリペプチドのグリコシル化は、通常、N結合型又はO結合型である。N結合型は、炭水化物部分がアスパラギン残基の側鎖に結合することを指す。トリペプチド配列のアスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素による結合を認識する配列である。したがって、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在が、潜在的なグリコシル化部位を作り出す。O結合型グリコシル化は、糖類のN−アセチガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのヒドロキシアミノ酸、最も一般にはセリン又はスレオニンへの結合を指すが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリジンを使用してもよい。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、上述のトリペプチド配列を1本又は複数含むようにアミノ酸配列を変更することによって好都合に実施する(N結合型グリコシル化部位について)。もとの拮抗物質の配列に対して1個又は複数のセリンもしくはスレオニン残基を付加し、又はこれらで置換することによって変更してもよい(O結合型グリコシル化部位)。
抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野で知られている様々な方法によって調製する。そのような方法には、それだけに限らないが、自然供給源からの単離(天然のアミノ酸配列変異体の場合)、又は拮抗物質の既調製変異体もしくは非変異体バージョンにオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及びカセット突然変異誘発を行うことによる調製が含まれる。
本発明で使用する抗体を変更して、エフェクター機能を改良する、たとえば、拮抗物質の抗原依存性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を増強することが望ましいといえる。この方法は、抗体拮抗物質のFc領域に1個又は複数のアミノ酸置換基を導入することによって実現する。別法又は追加として、Fc領域にシステイン残基を導入し、それによってこの領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にしてもよい。そのようにして生成したホモ二量体抗体は、内部移行能が向上し、かつ/又は補体媒介細胞死滅及び抗体依存性細胞内細胞傷害(ADCC)が増強していてもよい。Caron等のJ.Exp Med.第176巻:1191〜1195ページ(1992年)及びShopesのB.J.Immunol.第148巻:2918〜2922ページ(1992)を参照されたい。Wolff等のCancer Research第53巻:2560〜2565ページ(1993年)に記載されているように、ヘテロ二機能性架橋リンカー(cross−linker)を使用して、抗腫瘍活性を増強したホモ二量体抗体を調製してもよい。あるいは、2箇所のFc領域を有し、そのために補体による溶解能及びADCC能が増強している可能性のある抗体を操作することもできる。Stevenson等のAnti−Cancer Drug Design第3巻:219〜230ページ(1989年)を参照されたい。
抗体の血清半減期を延長するため、たとえば米国特許第5,739,277号に記載のように、拮抗薬(具体的には、抗体断片)にサルベージ受容体結合エピトープを組み込んでもよい。本明細書で使用する用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のin vivo血清半減期の延長を引き起こす、IgG分子(たとえば、IgGI、IgG2、IgG3、又はIgG4)Fc領域のエピトープを指す。
本発明に従って使用する拮抗物質を含む治療製剤は、純度が所望の程度である拮抗物質と任意選択の薬剤として許容される担体、賦形剤、又は安定剤とを混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形で貯蔵できるように調製する(「レミントンの製薬学第16版(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition)」、Osol,A.編(1980年))。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、用いられた用量及び濃度でレシピエントに対して毒性がないものであり、これらには、リン酸、クエン酸、他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールなど);低分子量(残基約10個未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、ソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;金属錯体(たとえばZn−タンパク質錯体);及び/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
免疫調節性抗体及びB細胞枯渇性抗体は、同じ製剤中に入れてもよいし、異なる製剤にして投与してもよい。組成物は、他の非抗体拮抗物質、たとえばCD40L又はB7拮抗物質をさらに含んでもよい。その例には、可溶性CD40、B7、及びその融合物が含まれる。同時投与も逐次投与もでき、いずれの順序でも有効である。
典型的な抗CD20抗体製剤は、参照により本明細書に特に組み込まれているWO98/56418に記載されている。この刊行物は、40mg/mLのリツキシマブ、25mMのアセタート、150mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコール、0.02%のpH5.0のポリソルベート20を含み、2〜8℃で保管して最小有効期間が2年である液体複数回投与製剤を記載している。注目される別の抗CD20製剤は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム中10mg/mLのリツキシマブ、7.35mg/mLのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80、及びpH6.5の注射用無菌水を含む。
WO97/04801には、凍結乾燥製剤を皮下投与に適合させたものが記載されている。そのような凍結乾燥製剤は、適切な希釈剤で戻して、抗タンパク質濃縮物にすればよく、戻した製剤を、本明細書で治療しようとする哺乳動物に皮下投与すればよい。
本明細書では、製剤は、治療する特定の適応症に必要な1種以上の活性化合物、好ましくは、互いに有害に作用しない補助的な活性を有する化合物も含んでよい。たとえば、化学療法薬、サイトカイン、又は免疫抑制薬(たとえば、サイクロスポリンや、T細胞を結合する抗体、たとえばLFA−1を結合するものなど、T細胞に作用するもの)をさらに提供することが望ましい。このような他の薬品の有効量は、製剤中に存在する拮抗物質の量、疾患もしくは障害又は治療の種類、及び上で論じた他の要因に応じて変わる。これらは、通常はこれまでに利用されている投与経路でそれと同じ投与量を使用し、又はこれまでに採用された用量の約1〜99%を使用する。
活性成分は、それぞれ30コアセルベーション技術又は界面重合によって調製したマイクロカプセル、たとえば、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン・マイクロカプセル、及びポリ(メチルメタクリラート)マイクロカプセル;コロイド状薬物送達系(たとえば、リポソーム、アルブミン・マイクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル);又はマクロエマルジョン中に閉じ込めてもよい。このような技術は、「レミントンの製薬学第16版(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition)」、Osol,A.編(1980年)で開示されている。
徐放性製剤を調製してもよい。徐放放出製剤の適切な例には、造形品の形、たとえばフィルム又はマイクロカプセルの形の、拮抗物質を含む固体疎水性重合体製半透性マトリックスが含まれる。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(たとえば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリラート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタマートの共重合体、分解性エチレン−ビニル酢酸共重合体、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸共重合体及び酢酸リュープロリドからなる注射用マイクロスフィア)などの分解性乳酸−グリコール酸共重合体、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。in vivo投与に使用する製剤は無菌にするべきである。これは、無菌濾過膜での濾過によって容易に行うことができる。
B細胞枯渇性抗体及び/又は免疫調節性抗体を含む組成物は、有効な医用慣行に沿って、製剤し、適量に分け、投与する。これに関連して、考慮することになる要因には、治療する特定の悪性病変又は疾患、治療する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患もしくは障害の原因、薬品の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に知られている他の要因が含まれる。投与する抗体の治療有効量は、このような条件に左右される。
上で包括的に論じたように、選択された本発明の実施形態は、放射線療法や化学療法などの1種又は複数の補助的療法と併用又は協同で、患者に抗体を投与することを含む(すなわち、併用治療法)。選択された別の抗体又は補助的療法と協同又は併用で抗体を投与するとは、本明細書で使用する場合、開示された抗体及び/又は治療の逐次、同時、同期間(coextensive)、同時期、両立、又は同時存在の投与又は適用を意味する。当分野の技術者ならば、併用治療法の様々な成分の投与又は適用のタイミングを計って、全体からみた治療効率を上げればよいことがわかるであろう。たとえば、免疫調節性抗体は、数週間以内に後からB細胞枯渇性抗体を用いる、標準の、よく知られている治療経過で投与することができる。逆に、B細胞枯渇性抗体に結合させたサイトトキシンを静脈内投与してから、腫瘍に絞った外部ビーム照射を行うこともできる。さらに他の実施形態では、1度の通院で、免疫調節性抗体と1種又は複数の選択されたB細胞枯渇性抗体を同時に投与してもよい。当業者(たとえば、経験を積んだ腫瘍遺伝子学者)ならば、大掛かりな実験をせずとも、選択された抗体及び当該明細書の教示に基づいて、有効な併用治療法を容易に判別できるはずである。
これに関して、選択した抗体の組合せは、患者に治療利益をもたらすならどんな順序及び時間枠で投与してもよい。すなわち、免疫調節性抗体、及び任意選択のB細胞枯渇性抗体は、あらゆる順序で、又は同時に投与してよい。選択された実施形態では、予めB細胞枯渇処置を受けている患者に本発明の免疫調節性抗体を投与する。さらに他の実施形態では、選択された免疫調節性抗体(たとえば、抗137及び抗CID40L)をほぼ同時又は同時期に投与する。好ましい実施形態では、(免疫調節性にせよ、B細胞枯渇性にせよ)選択された抗体を互いに1年以内で投与する。他の好ましい実施形態では、選択された抗体を互いに10、8、6、4、又は2カ月以内で投与する。さらに他の好ましい実施形態では、選択された抗体を互いに4、3、2、又は1週間以内に投与する。さらに他の実施形態では、選択された抗体を互いに5、4、3、2又は1日以内に投与する。患者に選択された薬品又は治療を時間又は分の数の範囲内で(すなわち、ほぼ同時に)投与してもよいことがさらにわかるであろう。
一般の案として、非経口的に投与する治療有効量の抗体の1回分は、通常、1日あたり約0.1〜500mg/患者の体重kgの範囲であり、使用する拮抗物質の最初の範囲は通常、約2〜100mg/kgである。
好ましいB細胞枯渇性抗体は、リツキサン(登録商標)である。この抗体の適切な用量は、たとえば、約20mg/m2〜約1000mg/m2の範囲である。この抗体の用量は、非ホジキンリンパ腫の治療向けにリツキサン(登録商標)について現在推奨されているものと同じでも異なっていてもよい。たとえば、その用量が約20mg/m2〜約250mg/m2、たとえば約50mg/m2〜約200mg/m2の範囲である場合、患者に375mg/m2よりもかなり少ない抗体を1又は複数回分投与してもよい。
さらに、1回又は複数回、初回投与量の抗体を投与し、その後1回又は複数回、後続投与量を投与してもよく、この場合では、後続投与量の抗体のmg/m2用量は、初回投与量の抗体のmg/m2用量を上回らない。たとえば、初回投与量は、約20mg/m2〜約250mg/m2(たとえば、約50mg/m2〜約200mg/m2)の範囲でよく、後続投与量は、約250mg/m2〜約1000mg/m2でよい。
しかし、上で触れたように、免疫調節性抗体及びB細胞枯渇性抗体のこれらの提案量は、相当に慎重な治療判断に委ねられる。適正な用量及びスケジュールを選択する際の鍵となる要素は、上で示したような、得られた結果である。たとえば、進行中及び急性の疾患の治療については、最初に比較的多い用量が必要になるといえる。最も効果的な結果を得るために、その特定のB細胞悪性病変に応じて、疾患もしくは傷害の最初の兆候、診断、出現、もしくは発症からできるだけ近いうちに、又は疾患もしくは傷害の寛解期間中に拮抗物質を投与する。
抗体は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、及び鼻腔内を含む任意の適切な手段によって、さらに所望であれば、局所的な免疫抑制治療については、病巣内投与によって投与する。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。さらに、たとえば抗体の用量を徐々に減らしながらのパルス注入(pulse infusion)によって適宜投与してもよい。投薬は、ある程度は投与が短期間であるか長期間であるかに応じて、注射によって、最も好ましくは静脈内又は皮下注射によって行うことが好ましい。
さらに、本明細書の抗体と共に、化学療法薬、免疫抑制薬、及び/又はサイトカインなどの他の化合物を投与してもよい。併用投与には、別々の製剤又は単一の製剤を使用する共投与(co−administration)、及びいずれかの順序での逐次投与が含まれ、両方(又はすべて)の活性薬が同時にその生理活性を発揮する期間が存在することが好ましい。
患者への抗体の投与とは別に、本出願は、遺伝子治療による抗体の投与を企図する。抗体をコードする核酸のそのような投与は、表現「治療有効量の拮抗物質の投与」に含まれる。たとえば、1996年3月14日に公告された、細胞内抗体を生成するための遺伝子治療の使用に関するWO96/07321を参照されたい。
in vivo及びex vivoで患者の細胞に(任意選択で、ベクター中に含まれている)核酸を入れる手法は主に2通りある。in vivo送達については、患者の、通常は拮抗物質が必要な部位に核酸を直接に注射する。ex vivo治療については、患者の細胞を取り出し、単離したその細胞に核酸を導入し、改変した細胞を患者に直接に投与し、又はこれらをたとえば多孔質膜に閉じ込めたものを患者に埋め込む(たとえば、米国特許第4,892,538号及び同第5,283,187号を参照されたい)。生存細胞に核酸を導入するのに利用できる技術は様々である。そうした技術は、核酸をin vitroで培養細胞に移入するのか、又はin vivoで目的の宿主の細胞に移入するのかに応じて様々に変わる。核酸をin vitroで哺乳動物細胞に移入するのに適する技術には、リポソーム、電気穿孔法、微量注入、細胞融合、DEAF−デキストランの使用、カルシウムリン酸沈殿法などが含まれる。遺伝子のex vivo送達に通常使用されるベクターは、レトロウイルスである。
最近好んで用いられているin vivoの核酸移入技術には、ウイルスベクター(アデノウイルス、単純疱疹ウイルスI型、又はアデノ随伴ウイルスなど)の形質移入と、脂質ベースの系(脂質を仲介とする遺伝子移入に有用な遺伝子は、たとえばDOTMA、DOPE、及びDC−Cholである)が含まれる。状況によっては、核酸供給源に、細胞表面膜タンパク質もしくは標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上受容体のリガンドなど、標的細胞を標的とする薬品を与えることが望ましい。リポソームを用いる場合、たとえば、特定の細胞型に指向性のキャプシドタンパク質もしくはその断片、循環中に内部移行を受けるタンパク質に対する抗体、及び細胞内への局在化を目指し、細胞内半減期を延長するタンパク質を標的とし、かつ/又はその取込みを促進するために、飲細胞作用に随伴する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質を使用してもよい。受容体を仲介とする飲細胞作用の技術は、たとえば、Wu等のl.Biol.Chem第262巻:4429〜4432ページ(1987年)、及びWagner等のProc.Natl.Acad.Sci.USA第87巻:3410〜3414ページ(1990年)に記載されている。最近の知られている遺伝子作製及び遺伝子治療プロトコルの概説については、Anderson等のScience第256巻:808〜813ページ(1992年)を参照されたい。WO93/25673及びそこで引用されている参照文献も参照されたい。
これまでに論じたように、本発明の抗体、その免疫反応性断片もしくは組換え体は、哺乳動物の悪性病変のin vivo治療向けに薬剤として有効な量を投与してよい。これに関して、開示された抗体を製剤して、投与しやすくし、活性薬の安定性を助長することはわかるであろう。本発明による薬剤組成物は、生理食塩水、非毒性緩衝剤、保存剤など、薬剤として許容される非毒性の無菌担体を含むことが好ましい。当該出願の目的では、細胞傷害薬に結合させた、又は結合させていない治療用抗体、その免疫反応性断片もしくは組換え体の薬剤として有効な量は、腫瘍細胞上の選択した免疫反応性抗原と有効に結合し、このような細胞の死を増加させるのに十分な量を意味すると考えるべきである。当然、本発明の薬剤組成物は、1回もしくは複数回で投与して、薬剤として有効な量の改変抗体を与えればよい。
より具体的には、開示された抗体及び方法は、腫瘍サイズの縮小、腫瘍成長の抑制、及び/又は腫瘍を有する動物の生存期間の延長に有用なはずである。したがって、本発明はまた、ヒト又は他の動物に、有効な非毒性量の少なくとも1種の免疫調節性抗体と、任意選択の少なくとも1種のB細胞枯渇性抗体を投与することによって、そのようなヒト又は他の動物の腫瘍を治療する方法に関する。当分野の技術者ならば、慣例の実験によって、悪性病変を治療する目的で、改変抗体の有効な非毒性量がどれくらいであるかを決定できるはずである。たとえば、改変抗体の治療活性量は、対象の疾患の段階(たとえば、I期対IV期)、年齢、性別、合併症(たとえば、免疫が抑制された状態もしくは疾患)、及び体重、並びに対象で抗体が所望の応答を誘発する能力に応じて様々に変化するといえる。最適な治療応答が得られるように投与計画を調整してもよい。たとえば、数回に分けた用量を毎日投与してもよく、又は治療状況の緊急性に応じて、指示通りに用量を減らしてもよい。しかし、一般に、有効用量は、体重1キログラムあたり1日約0.05〜100ミリグラム、より好ましくは体重1キログラムあたり1日約0.5〜10ミリグラムの範囲であると予想される。
この開示の範囲と一致して、本発明の抗体は、前述の治療方法に従って、治療又は予防程度のそのような効果を生じるのに十分な量でヒト又は他の動物に投与すればよい。本発明の抗体は、知られている技術に従って本発明の抗体と従来の薬剤として許容される担体もしくは希釈剤を合わせることによって調製した従来の剤形の形でそうしたヒト又は他の動物に投与することができる。当分野の技術者ならば、薬剤として許容される担体又は希釈剤の型及び特徴が、それと合わせる活性成分の量、投与経路、及び他のよく知られている変動要素によって決まることに気が付くであろう。当分野の技術者ならさらに、1種又は複数の種の本発明によるモノクローナル抗体を含む反応混液が特に有効であると証明される可能性にうなずけよう。
抗体、その免疫反応性断片もしくは組換え体のコンジュゲート、並びに治療薬の調製及び投与方法は、当分野の技術者によく知られており、容易に決定される。本発明の抗体(又はその断片)の投与経路は、経口、非経口、吸入、又は局所でよい。本明細書で使用する用語非経口には、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は経膣投与が含まれる。静脈内、動脈内、皮下、及び筋肉内の形の非経口投与が一般に好ましい。これらの投与形態はすべて、明らかに本発明の範囲内であると考えるが、好ましい投与形態は、注射用、特に静脈内又は動脈内の注射又は点滴用の溶液である。通常、注射に適する薬剤組成物は、緩衝液(たとえば、酢酸、リン酸、クエン酸緩衝液)、界面活性剤(たとえば、ポリソルベート)、任意選択の安定剤(たとえば、ヒトアルブミン)などを含んでよい。しかし、本発明の教示に適合する他の方法では、抗体を悪性病変部位の部位に直接に送達し、それによって腫瘍組織に治療薬をますますよく作用させることができる。
局所投与用製剤には、無菌の水溶液もしくは非水性溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体には、水、アルコール/水溶液、生理食塩水及び緩衝剤処理媒質を含む乳濁液もしくは懸濁液が含まれる。主題発明では、薬剤として許容される担体には、それだけに限らないが、0.01〜0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝剤、又は0.8%の生理食塩水が含まれる。他の一般の非経口用賦形剤には、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、又は固定油が含まれる。静脈内用賦形剤には、リンゲルデキストロース・ベースのものなど、流体及び栄養補給剤、電解質補給剤などが含まれる。たとえば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなど、保存剤及び他の添加剤が存在してもよい。
より詳細には、注射用の使用に適する薬剤組成物には、無菌の水溶液(水溶性の場合)もしくは分散液、及び無菌注射用の溶液もしくは分散液の即時製剤用無菌粉末が含まれる。このような場合、組成物は無菌でなければならず、注射しやすくなる程度に流動性であるべきである。組成物は、製造及び貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌や真菌などの微生物による汚染作用を防いで保存することが好ましい。担体は、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及び適切なその混合物を含有する溶媒又は分散媒質とすることができる。たとえば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合では必要な粒子サイズの維持、及び界面活性剤の使用によって、適正な流動性を維持することができる。
微生物による作用は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって予防できる。多くの場合、組成物中に、等張化剤(isotonic agents)、たとえば、糖類、マンニトールやソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムを含ませることが好ましい。吸収を遅らせる薬品、たとえば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に含ませることによって、注射用組成物の吸収を長引かせることができる。
いずれにせよ、無菌注射用溶液は、必要に応じて本明細書で列挙した成分の1種類又は混合物を含む適切な溶媒に、必要な量の活性化合物(たとえば、単独又は他の活性薬と組み合わせた改変抗体)を混ぜ、その後濾過滅菌(filtered sterilization)することによって調製できる。一般に、分散液は、塩基性の分散媒質及び上で列挙したものからの必要な他の成分を含有する無菌賦形剤に活性化合物を混ぜることによって調製する。無菌注射用溶液調製用の無菌粉末の場合では、好ましい調製方法は、予め濾過滅菌したその溶液から、活性成分及び任意の必要な追加成分の粉末を得る真空乾燥及び凍結乾燥である。
注射用製剤は、当技術分野で知られている方法に従って、無菌条件下で加工し、アンプル、袋、瓶、注射器、バイアルなどの容器に充填し、密閉する。さらに、製剤を包装し、各々が参照により本明細書に組み込まれている同時係属の米国連続番号09/259,337及び同09/259,338に記載のものなど、キットの形で販売してもよい。製品又はキットは、全体として、1種又は数種の組成物を含んでよい。これら組成物のうちの1組成物中の少なくとも1種の活性薬が、抗CD40L、抗CD40、抗CD23、抗CD4、抗B7抗体など、免疫調節活性を有する抗体である。他の緩衝剤、希釈剤、充填剤、針、及び注射器を含む、市場及び利用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。このような製品は、それが添えられた組成物が、癌、悪性病変、もしくは腫瘍疾患に罹患しているか、又はその素因のある対象を治療するのに有用であることを表示するラベル、説明書、又は添付文書を備えていることが好ましい。好ましい実施形態では、説明書又はラベルによって、その癌又は悪性病変がB細胞腫瘍であることが表示される。
本発明の更なる詳細は、以下の非限定的な実施例によって例示する。本明細書で引用したすべてのものの開示を参照により本明細書に組み込むことを強調しておく。
Bリンパ種細胞であるDHT−4細胞の特性
IDEC−131、及びアドリアマイシン(ADM)に曝したBリンパ腫細胞系のDHL−4(Roos等のLeuk.Res第10巻:195〜202ページ(1986年))を使用して、抗CD40L抗体が、悪性B細胞が化学療法誘発性毒性/アポトーシスからCD40L−CD40を媒介として生き残る妨げになり得るという考えをin vitroで検証した。IDEC−131は、マウス単クローン抗ヒトCD40L抗体の24−31をヒト化したものである。
最初に、DHL−4細胞に異なる濃度のADMを4時間作用させることによって、DHL−4細胞に対してADM細胞傷害性である最小濃度を決定した。Alamar Blue、すなわち生きている細胞による色素還元アッセイによって、培養して5日後のDHL−4細胞の細胞への細胞傷害性を測定した(Gazzano−Santoro等のJ.Immunol.Meth.第202巻:163〜171ページ(1997年)を参照されたい)。簡潔に述べると、細胞培養管において、成長培地(10%のウシ胎児血清を添加したRMPI−1640)中で1×105個のDHL−4細胞を様々な濃度のADM(1×10-6M〜1×10-8M)と共に37℃で4時間インキュベートした。インキュベート後、細胞を洗浄し、1×105細胞/mlの濃度で成長培地に再懸濁させ、96穴平底プレートの各ウェルに200μlの細胞懸濁液を加えた。プレートを37℃でインキュベートし、細胞傷害性を異なる時間で試験した。インキュベートの最後の18時間の間、50μlの酸化還元色素Alamar Blue(Biosource International、カタログ番号DAL1100)を各ウェルに加えた。インキュベートしてから、室温で10分間、振盪機上でインキュベートすることによってプレートを冷却し、細胞内での色素の還元を定量した。96穴蛍光光度計を使用して、530nmで励起し、590nmで発光させ、蛍光を読み取った。結果は、相対蛍光単位(RFU)として示す。細胞傷害性百分率は、以下の式、すなわち、
[1−(試験サンプルの平均RFU÷対照細胞の平均RFU)]×100%によって算出した。ADM細胞傷害性の滴定曲線を定め、後続のアッセイに向けて、薬物の細胞傷害最小濃度を選択した。
図1に示す結果は、培養前にADM(2×10-7M及び4×10-8MのADM)を4時間作用させてから5日間培養したDHL−4細胞の、細胞への細胞傷害性を示す。被作用後、細胞を1度洗浄し、成長培地で5日間培養し、上述のようなAlamar Blue色素取込みアッセイによって細胞傷害性を決定した。さらに、フローサイトメトリによって、選択されたCD分子の膜上発現について、DHL−4細胞の特徴付けを行った。DHL−4細胞は、CD19、CD20、CD40分子を発現することが判明したが、CD40Lの発現は検出されなかった。
抗CD40L抗体は、アドリアマイシンによる死滅作用に対するリンパ種細胞のCD40L媒介型抵抗性を無効にする
図2Aは、抗CD40L抗体が、ADM誘発細胞死に対する、DHL−4細胞のCD40L−CD40媒介型抵抗性に及ぼす影響を示す。10μg/mlの可溶性CD40L(sCD40L;P.A.Brams、E.A.Padlan、K.Hariharan、K.Slater、J.Leonard、R.Noelle、及びR.Newmanの「ヒト化抗ヒトCD154モノクローナル抗体は、CD154−CD40媒介型ヒトB細胞活性化を妨げる(A humanized anti−human CD 154 monoclonal antibody blocks CD 154−CD40 mediated human B cell activation)」、(提出された原稿))の存在下、DHL−4細胞(0.5×106細胞/ml)を37℃で1時間インキュベートした。1時間インキュベートした後、低濃度のADM(2×10-7M〜4×10-8M)を加え、CD40L(10μg/ml)の存在下、又はこれなしで、さらに4時インキュベートした。ADMを作用させた後、細胞を洗浄し、0.5×106細胞/mlの濃度で成長培地に再懸濁させ、sCD40L添加又は無添加の2通りとして、96穴平底プレートの各ウェルに100μlの細胞懸濁液を加えた。ADM処理の間sCD40Lを継続的に作用させていた培養物と、ADMを作用させる間sCD40Lを含んでいなかった培養物とに、sCD40L(10μg/ml)を加えた。さらに、培養物に10μg/mlのIDEC−131を加えて、sCD40L及びADMと共にインキュベートしたDHL−4細胞へのその影響を決定した。5日後、記載したようなAlamar Blue色素取込みアッセイによって、細胞傷害性を測定した。
データは、sCD40LがADM処理後のDHL−4細胞の生存を長引かせるが、sCD40LなしでADMを作用させた細胞では、予想どおり、細胞傷害性の増大が認められたことを示している。さらに、抗CD40L抗体(IDEC−131)を加えることによって、CD40Lに媒介される細胞の生存が逆転し、細胞への細胞傷害性が増大した(図2A)。
IDEC−131を単独で加えても、sCD40Lで処理したDHL−4細胞への影響はなく、この抗体が、単独ではDHL−4細胞への直接のどんな抑制もしくは細胞傷害活性ももたないことを示唆している(図2B)。DHL−4細胞をsCD40Lと共にプレインキュベートしたもの及びそれなしでプレインキュベートしたものを、異なる濃度のIDEC−131、リツキサン(登録商標)、抗CD20抗体CE9.1、及び抗CD4抗体の存在下で培養した(Anderson等のClin.Immunol.& Immunopathol.第84巻:73〜84ページ(1997年))。5日後、上述のAlamar BlueアッセイによってDHL−4細胞の細胞傷害性/増殖を決定した。図2Bでは、DHL−4細胞の増殖又は細胞傷害性へのIDEC−131による影響は示されていないが、リツキサン(登録商標)は、予想どおり細胞の増殖を抑制し、細胞傷害性を誘発した。抗CD4抗体と共に培養したDHL−4細胞には、影響が見られなかった。
CD40L−CD40情報伝達は、抗CD20抗体のリツキサン(登録商標)によるBリンパ腫細胞のアポトーシスを妨げる
DHL−4細胞及びリツキサン(登録商標)の表面架橋を利用するin vitro系を使用して、CD40L−CD40を媒介とする情報伝達がBリンパ腫細胞の抗CD20抗体誘発性アポトーシスに及ぼす影響を決定した。DHL−4細胞(0.5〜1×106細胞/ml)をsCD40L(10μg/ml)と共に37℃で培養した。終夜培養した後、細胞を収集し、sCD40L(10μg/ml)を加え、又は加えずに、10μg/mlのリツキサン(登録商標)又は対照抗体(CE9.1、抗CD4抗体)と共に氷上でインキュベートした。1時間インキュベートした後、細胞を遠心分離にかけて結合していない抗体を除き、成長培地(5%のFCS−RPMI)に1×106細胞/mlで再懸濁させ、組織培養管で培養した。細胞表面結合抗体を、15μg/mlのヤギ抗ヒトIg−Fcγ特異的抗体のF(ab’)2断片をスパイク(spiking)によって架橋し、アポトーシスのアッセイを行うまで、培養物を37℃でインキュベートした。フローサイトメトリ・カスパーゼ3アッセイを利用して、アポトーシスを検出した。細胞を4時間目及び24時間目に収集し、洗浄し、Cytofix(Cytofix/Cytoperm(商標)キット、Pharmingenカタログ番号2075KK)を使用して4℃で固定した。20分間固定化した後、細胞を洗浄し、アフィニティー精製したPE結合多クローンウサギ抗カスパーゼ3抗体(Pharmingen、カタログ番号67345)15μl及びcytoperm(Pharmingen、カタログ番号2075KK)50μlを加えた。暗所において、細胞を氷上で30分間インキュベートした。インキュベートした後、細胞を1度洗浄し、cytoperm中に再懸濁させた。フローサイトメトリのデータは、FACScanで得、Verity Software HouseのWinListソフトウェアを使用して分析した。
表Iは、sCD40Lを作用させることによる、DHL−4リンパ腫細胞におけるリツキサン(登録商標)誘発性アポトーシスへの抵抗性を示す。我々のこれまでの研究によって、カスパーゼ3とTunelアッセイの関係が良好であることが明らかになっているので、これらの研究では、カスパーゼ3の活性化を代理マーカーとして使用した。sCD40L存在下、DHL−4細胞表面上でリツキサン(登録商標)を架橋させると、アポトーシスのレベルが低下したが、sCD40Lを作用させなかった細胞は、アポトーシスを受けた。同じアイソタイプの抗体の存在下でインキュベートした培養物を比較すると、対照抗体(CE9.1)は、細胞のアポトーシスをもたらさなかった。したがって、このデータは、sCD40L誘発性のsCD40経路の情報伝達が、リツキサン(登録商標)に媒介されるBリンパ腫細胞の死滅の発生をもたらし得ることを示している。
Figure 2010059208
IDEC−131が慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞の生存に及ぼす影響
IDEC−131がin vitroのB−CLL細胞の成長及び生存に及ぼす影響を決定するために、CD40Lの存在下、IDEC−131を加え、又は加えないB−CLL細胞をin vitroで培養した。フィコール−ハイパック勾配遠心法を使用して、CLL患者の血液から末梢血単球(PBMC)を単離した。トリパンブルー色素排除によって生存度を判定すると、>98%であった。フローサイトメトリによる分析によって、リンパ球の>70%がCD19+/CD20+であったことが判明した。CLL細胞(PBMC)を、CLL成長培地(たとえば、2mMのL−グルタミン及び100U/mlのペニシリン−ストレプトマイシンを補給した5%のFCS又は2%の自家性ドナー血漿を補給したRPMI−1640培地)で培養した。さらに、いくつかの実験については、CD19+B細胞を、CD19+Dynabeads(商標)(Dynal、カタログ番号111.03/111.04)を使用し、製造者の説明書に従って精製し、上述のとおりに培養した。成長培地で培養したCLL又は精製B−CLL細胞は、大部分が自発的なアポトーシス細胞死を受けた。しかし、このような細胞をsCD40Lの存在下で培養すると、培養物中でのその生存度が延長した。表IIは、sCD40L(5μg/ml)の存在下、又はそれなしで成長させたCD19+B−CLL細胞の異なる時間の細胞生存度を示すものであり、CLL細胞のより長い生存が示されている。sCD40Lと共に培養した患者#1のB−CLL細胞では、2週間より後の生存度が≧60%であったが、sCD40Lなしで成長させた細胞の生存度は、10%未満であった。
Figure 2010059208
図3Aは、IDEC−131が7日間培養後のB−CLL細胞の成長及び生存に及ぼす影響を示す。CLL患者から得た精製B−CLL細胞(2×106細胞/ml)を2本の培養管に分け入れた。一方の管の細胞は、等しい体積の成長培地中でsCD40L(5μg/ml)と混合し、他方の管は、対照として等しい体積の成長培地と共にインキュベートした。37℃で1時間インキュベートした後、細胞を穏やかに混合し、様々な濃度のIDEC−131(10μg/ml〜0.3μg/ml)を加え、又は加えない2通りの96穴平底プレートの各ウェルに、100μlの細胞懸濁媒質を加えた。7日後、上述のAlamar Blueアッセイによって培養物の細胞生存/死亡を判定した。データは、sCD40L添加培養物中の細胞が生存していたことを示した。培養物にIDEC−131を加えると、細胞死が増加し、細胞生存の逆転又は細胞死への感作が示唆された。さらに、リツキサン(登録商標)をIDEC−131と同じ濃度で投与すると、細胞死への影響は、IDEC−131と比べてそれほど低くなかった(図3B)。
B−CLLにおけるHLA−DR分子のCD40L−CD40媒介性アップレギュレーション
CD40L−CD40情報伝達経路が無傷であるかを判定するために、CLL患者から得たCLL細胞を、5μg/mlのCD40Lを加え、又は加えずに37℃で培養した(5×105細胞/ml)。48時間及び144時間目に、標準の手順を使用するフローサイトメトリによって、CD19+細胞上にクラスII分子であるHLA−DRが発現しているかを判定した。簡潔に述べれば、培養したリンパ球を異なる時間に収集し、単一又は二重染色用のフルオレセイン(FITC)又はフィコエリトリン(PE)のいずれかに結合する抗体を用い、FACScan(Becton−Dickinson)フローサイトメーターを使用して、分子の表面発現について分析した。フローサイトメトリに向けて染色するために、培養管中の1×106細胞を、以下のもの、すなわち、散乱プロット上のリンパ球集団をゲート選別する(gate)ための抗CD45−FITC;CD19+及び/又はCD20+B細胞を判定するための抗CD19−PE(Pharmingen、カタログ番号30655)もしくは抗CD20−FITC(Pharmingen、カタログ番号33264)抗体;T細胞をゲート遮断する(gate−off)ための抗CD3−FITC抗体(Pharmingen、カタログ番号30104);CD19+細胞上のPクラスIIの発現を判定するための抗CD19−RPE及び抗HLA−DR−FITC抗体(Pharmingen、カタログ番号32384)のような相応する抗体と共にインキュベートした。細胞を、2mlの冷PBSと共に遠心分離(200×gで6分間)することによって1度洗浄し、氷上で抗体と共に30分間インキュベートし、その後細胞を1度洗浄し、0.5%のパラホルムアルデヒドで固定し、分析にかけるまで4℃で保管した。フローサイトメトリのデータは、FACsanで得、WinListソフトウェア(Verity Software House)を使用して分析した。RPEもしくはFITCのどちらか1色で染色された細胞、染色されていない細胞、又は二重染色された細胞を含む四分円を調べられるよう機械を自動ゲート選別にセットした。図4は、sCD40Lと共に培養したCD19+CLL細胞と、sCD40Lと共に培養しなかったCD19+CLL細胞におけるHLA−DR発現の比較を示すものである。sCD40L存在下で培養したB−CLL細胞上でより高いレベルのHLA−DR発現が検出された(表III)。
Figure 2010059208
IDEC−131及びリツキサン(登録商標)製剤
CD40+悪性病変の治療では、対象に、pH6.5の製剤緩衝液10mMクエン酸Na、150mMNaCl、0.02%ポリソルベート80中約10〜約50mg/mlのIDEC−131を静脈内(iv)注入する。IDEC−131は、リツキサン(登録商標)の前、後、又はこれと共に投与する。リツキサン(登録商標)の注入量は、約3〜約10mg/対象の体重kgの範囲である。
IDEC−131及びCHOP製剤
CHOPに応答するCD40+悪性病変(たとえば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、及び慢性リンパ球性白血病、並びに細胞がCD40+である悪性病変向けサルベージ療法)の治療では、IDEC−131は、CHOPサイクル開始の直前に、患者重量kgあたり約3〜約10mgの範囲の用量で注入する。IDEC−131の投与は、各CHOPサイクルの前に合計4〜8サイクルを繰り返す。
抗CD40L又は抗B7をリツキサン(登録商標)と併用投与して、対象のB細胞リンパ腫を治療する
併用療法は、サルベージ療法として、又は再発性もしくは活動性の形のCD40+悪性病変(たとえば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、及びCLL)治療向けに特に有用である。IDEC−131をCHOP及びリツキサン(登録商標)と併用投与しようとする場合、IDEC−131を上の実施例6で述べたとおりに投与してから、実施例7のCHOP−IDEC−131投与について明細に述べたスケジュールを実施する。あるいは、IDEC−131(抗CD40L)が実質的に抗B7抗体中に含まれた、同じ投与計画を行う。
リンパ腫細胞系を使用する抗CD80及び抗CD20のin vitro研究
リンパ腫治療向け併用療法投与計画として抗CD80及び抗CD20を用いることについての科学的根拠を補強する目的で、リンパ細胞系を使用して、以下のin vitro実験を行った。
使用した細胞系:細胞系は、以下のように入手し、維持した。CD20及びB7発現Bリンパ腫細胞系(SKW、SB、及びDaudi細胞)を完全培地で培養した。完全培地は、10%の熱不活性化FBS(Hyclone)、2mMのl−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンを補給したRPMI1640培地(Irvine Scientific、米カリフォルニア州Santa Ana)である。SKW細胞系は、プスタイン・バーウイルス(EBV)陽性であり、この細胞系にIgMを分泌させることができる(SKW6.4、ATCC)。SB細胞系は、急性リンパ芽球性白血病患者由来であり、EBV陽性である(CCL−120、ATCC)。Daudi細胞は、バーキットリンパ腫患者から単離した(CCL−213、ATCC)。ネオマイシン耐性CD80発現チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は、IDEC Pharmaceuticals専売のベクター系を使用して得た。
使用した抗体:これらの実験で使用した特定の抗体は以下のとおりである。IDEC−114は、ヒトγ1の重鎖を含むPRIMATIZED(登録商標)抗ヒトCD80mAb(Lot114S004F、コード3002G710;Lot ZPPB−01)であり、リツキシマブは、抗ヒトCD20特異的マウスγ1キメラ抗体(Lot E9107A1;Lot D9097A1)である。使用した他の抗体には、マウス抗ヒトCD80mAbL307.4(BD Pharmingen、米カリフォルニア州サンディエゴ)、ヒトγ1鎖を含む霊長類化抗ヒトCD4mAbCE9.1(Lot M2CD4156)、及びIDEC Pharmaceuticalsで開発したマウスのアイソタイプ一致(IgG1)対照抗体3C9が含まれる。
ある特定のリンパ腫細胞系でのCD80及びCD20の発現
ある特定のリンパ腫細胞系でのCD80及びCD20の細胞表面発現を評価する目的で、以下のように、蛍光標示式細胞選別法(FACS)によってこれらの細胞系でのIDEC−114及びRituxanによる結合を判定した。試験抗体又は対照抗体を冷FACS結合緩衝液中に最終体積200μlまでの様々な濃度に希釈したものを、細胞培養管中で1×106個の細胞と共にインキュベートした。IDEC−114及びリツキシマブを試験抗体として使用し、CE9.1をアイソタイプ一致陰性対照として使用した。細胞を氷上で60分間インキュベートし、インキュベート後、FACS洗浄緩衝液中で1度洗浄した。細胞を200μlのFACS結合緩衝液中に再懸濁させ、細胞106個あたり2μlのFITC結合ヤギF(ab’)2抗ヒトIgγ鎖特異的抗体(Southern Biotechnology、米アラバマ州バーニングハム)を加えた。氷上でさらに30分間インキュベートしてから、細胞を1度洗浄し、200μlの冷HBSS中に再懸濁させ、200μlの1%ホルムアルデヒドで固定した。
図5は、2種の異なるロット(Lot114S004F及びLot114S015)からのIDEC−114のCD80−CHO細胞への特異的結合を濃度に応じて示すものである。予想どおり、特異性が不適切なアイソタイプ一致対照抗体(IDEC−152)は、CD80−CHO細胞に結合しなかった。IDEC−114のCD80への結合をSKW及びSBリンパ腫細胞系で試験すると、陽性細胞の割合の低さ(表IV)、及び平均蛍光強度の低さ(表V)によって実証されるとおり、リツキシマブよりも結合が弱かった。
Figure 2010059208
Figure 2010059208
これらの結果は、抗CD80及び抗CD20がリンパ腫治療薬として適することを補強するものである。
抗体依存性細胞内細胞障害(ADCC)
抗CD80及び抗CD20がリンパ腫治療薬として適することをさらに実証するために、各抗体の例のADCC媒介能についてアッセイを行った。ADCCアッセイでは、SKWもしくはSB細胞及び活性化ヒト末梢血単球(PBMC)をそれぞれ標的細胞及びエフェクター細胞として使用した。Histopaque(SigmaAldrich Corp.、米ミズーリ州セントルイス)を使用して、健康な供与者の全血からPBMCを単離した。75cm2組織培養フラスコにおいて、完全培地中5×106細胞/mlの濃度のPBMCを、20U/mlの組換え型ヒトIL−2(Invitrogen、米カリフォルニア州Carlsbad)と共に、37℃かつ5%CO2存在下で培養した。終夜培養した後、37℃かつ5%のCO2存在下、1×106個のSKW又はSB標的細胞を、150μCiの51Cr(Amersham Pharmacia Biotech、米ニュージャージー州Piscataway)で1時間かけて標識した。細胞を4回洗浄し、5mlの完全培地中に再懸濁させ、等体積の試験抗体又は対照抗体を含む各ウェルに、50μlの細胞懸濁液を分注した。
リツキシマブ(Lot E9107A1)又はIDEC−114(Lot114S004F、コード3002G710)を試験抗体として使用した。アイソタイプ一致CE9.1(Lot M2CD4156)もしくはL307.4(BD Pharmingen)、又は特異性の不適切なマウスアイソタイプ一致(IgG1)抗体である3C9を使用した。どのウェルでも、96穴丸底組織培養プレートに3通りに蒔いて培養した。エフェクター細胞を収集し、完全培地で1度洗浄し、ウェル毎100μl体積中1×106個の細胞として加えて、エフェクター対標的比を50:1とした。以下の対照ウェル、すなわち、自発性の放出を定量するための、100μlの完全培地と共にインキュベートした標的細胞と、最大放出を定量するための、100μlの0.5%TritonX−100(Sigma−Aldrich Corp.)と共にインキュベートした標的細胞も3通りでインキュベートした。培養物を37℃かつ5%CO2存在下でインキュベートし、細胞溶解のために培養物の上清中に放出された51Crをガンマカウンター(ISODATA)によって定量した。細胞傷害性は、特異的溶解の百分率として示し、以下、すなわち、
Figure 2010059208
図6は、CD20+/CD80+SB及びSKW細胞でのIDEC−114及びリツキシマブのADCC活性を示す。全体として、SKW細胞よりもSB細胞でより高いレベルのADCC活性が観察された。IDEC−114は、SB及びSKW細胞を用量依存的に死滅させ、それぞれ10μg/mlで最大の75%及び46%を死滅させた。リツキシマブは、同程度の抗体濃度でIDEC−114よりも高いADCC活性(SB細胞で97%及びSKW細胞で65%)を示し、リツキシマブの細胞結合活性がIDEC−114よりも高いことと相関していた。予想どおり、ヒトFc受容体に結合しないマウスL307.4は、ADCC活性が弱かった。アイソタイプのヒト及びマウス対照(それぞれ、CE9.1及び3C9)ではバックグラウンド・レベルのADCCしか観察されなかった。
IDEC−114とリツキシマブの併用効果によって、宿主エフェクターを媒介とする腫瘍細胞の死滅が増大するかを判定するため、実験を行った。これらの実験では、Bリンパ腫細胞上のCD20密度が低く、B7発現が正常であれば、腫瘍を有効に死滅させることができるという筋書きを反映するよう、決まった濃度のIDEC−114を様々な濃度のリツキシマブと組み合わせた。図7は、IDEC−114とリツキシマブの併用によって、SKWリンパ腫細胞でのADCC活性が向上することを示している。10μg/mlの決まった濃度のIDEC−114と0.1〜0.01μg/mlの濃度のリツキシマブを併用することが、SKW細胞の死滅を向上させる媒介となった。2例の供与者からの宿主エフェクター細胞を使用して得られた結果は、ADCC活性において同じ傾向を示した。
補体依存性細胞傷害性(CDC)
B細胞系及びヒト補体(C)を使用して、IDEC−114及びリツキシマブのCDC活性を判定した。抗体を4倍に希釈し、50μlを2組の各96ウェルに分注した。37℃かつ5%のCO2存在下、SKW又はDaudi細胞を51Cr(150μCi/106細胞)で1時間かけて標識した。細胞を4回洗浄し、完全培地中に再懸濁させ、50μl中1×104個の細胞を各ウェルに分注した。完全培地で1:4又は1:8に希釈した正常ヒト血清補体(Quidel、米カリフォルニア州サンディエゴ)100μlを加えた。自発性放出及び最大放出対照についての方法、及び装備は、上でADCC実験について述べたものと同じである。培養物を37℃かつ5%CO2存在下で4時間インキュベートした。培養物の上清に放出された放射能をガンマカウンターによって定量した。特異的な細胞溶解の百分率を算出する式も、ADCC実験について上で述べたとおりである。
リツキシマブがCD20抗原に結合した後、補体カスケードが活性化されると、in vitroのBリンパ腫細胞が効率的に死滅する。Reff ME、Carner K、Chambers KS、Chinn PC、Leonard JE、Raab R等の「CD20に対するマウスヒトキメラ・モノクローナル抗体によるin vivoB細胞枯渇(Depletion of B cells in vivo by a chimeric mouse human monoclonal antibody to CD20)」、Blood 1994年、第83巻(2):435〜45ページ。したがって我々は、IDEC−114が、CD80+標的細胞の補体依存的な死滅を媒介する能力を評価した。結果は、IDEC−114がCD80発現CHO細胞のCDCを媒介することを示した(図8a)。しかし、IDEC−114のCD80+Daudi及びSKWリンパ腫細胞への結合では、CDCの証拠が示されなかった(それぞれ、図8b及び図8c)。対照的に、SKW細胞系よりもDaudi細胞系がCDCに対して敏感であったものの、リツキシマブは、両方の細胞系でCDC活性を示した(それぞれ、図8b及び図8c)。
腫瘍サンプルから単離した細胞を使用する、抗CD80及び抗CD20のin vitro研究
リンパ腫治療向け併用治療投与計画として抗CD80及び抗CD20を用いることについて、科学的根拠をさらに評価するため、腫瘍サンプルから単離した細胞を使用して、以下のin vitro実験を行った。
CD80は、活性化B細胞及び活性化APCの表面上に一過性に発現されるが、休止B細胞及び休止APC上では発現が弱い、又は発現されない。CD80は、B細胞活性化マーカーであるので、主に分裂及び/活性化リンパ腫細胞上に発現される。報告では、CD80が、悪性B細胞上に恒常的に発現されることが示されている。このような報告を確認するために、20人の患者から得たリンパ腫及び白血病検体のパネルにおいて、フローサイトメトリによってCD80の発現を試験した。結果は、リンパ腫及び白血病においてCD80が異なる密度で発現されることを示している(表VI)。
Figure 2010059208
濾胞性小非円型低悪性度リンパ腫及び小円型バーキットリンパ腫において、最も高いCD80発現が観察された。一件の慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)サンプル及び1件の小円型高悪性度リンパ腫では、発現が最も低かった。濾胞性小非円型低悪性度リンパ腫サンプルにおけるCD80の発現を表VIIに示す。
Figure 2010059208
これらリンパ腫細胞でのCD80発現は、サンプル中腫瘍細胞の25%〜90%の範囲であった。しかし、同じリンパ腫の中で、「大」細胞が90%〜100%陽性であったのに対し、「小」細胞が25%〜100%陽性であったことは興味深い。CD80が、分化途中又は活性化悪性B細胞上に発現される可能性はあり、これによって、試験したリンパ腫サンプル内で発現が変わりやすいことの説明がつく。
SCIDマウスモデルを使用する抗CD80及び抗CD20のin vivo研究
併用療法の有効性を試験する目的で、抗CD80(IDEC−114)及び抗CD20(リツキサン(リツキシマブ))を使用して、以下のin vivo実験を行った。
リンパ腫におけるIDEC−114及びリツキシマブ単一剤療法のin vivo治療効果
重症免疫不全(SCID)マウスのヒトリンパ腫腫瘍モデルを開発した。簡潔に述べると、3×106〜4×106個のヒトSKWリンパ腫細胞を6〜8週齢の雌性BALB/cSCIDマウスに静脈内(IV)接種し、その生存を45〜60日間モニターした。接種後、SKW細胞をマウスの全体にわたって汎発させ、主に肺及び肝臓で成長させる。1、3、5、7、9、及び11日目に、治療群のマウス(N=8)に、100μg、200μg、もしくは400μgのIDEC−114(a)又はリツキシマブ(b)を腹腔内注射した。死亡してしまう前に、すべてのマウスに麻痺性の形の疾患を発症させた。重症の麻痺を起こしたマウスを犠牲にし、死亡した印をつけた。統計学的分析システム(SAS)を使用してKaplan−Meier分析を行い、Log階数検定によってp値を求めた。
図9A及び9Bは、3段階の用量(100、200、及び400μg)の抗体を使用する、単一剤IDEC−114(図9A)及び単一剤リツキシマブ(図9B)療法の抗腫瘍応答を示すものである。IDEC−114及びリツキシマブの単一剤療法では、すべての用量で疾患の進行が抑制された。IDEC−114で観察された抗腫瘍応答は、同じ用量及び治療スケジュールのリツキシマブの抗腫瘍応答に匹敵していた。
リンパ腫におけるIDEC−114/リツキシマブ併用療法のin vivo治療効果
単一剤としてのIDEC−114の抗腫瘍活性に基づき、IDEC−114とリツキシマブの併用を、単一剤での研究について上で述べたのと同じ腫瘍モデルにおいて、同じ投与スケジュールで評価した。
SKW/SCIDマウスに200μgのIDEC−114及び200μgのリツキシマブを注射し、200μgもしくは400μgのIDEC−114、又は200μgもしくは400μgのリツキシマブのいずれかを注射したマウスと比較した。図10は、IDEC−114/リツキシマブ併用療法で治療したマウスの生存が、単一剤療法としてのIDEC−114又はリツキシマブのいずれかで治療したマウスと比べて有利であることを示す。結果は、IDEC−114とリツキシマブの併用が、単独のいずれかの抗体と比べて、疾患を伴わない生存を増加させることを示している。併用療法群では、70%(7/10)のマウスが、最後の抗体注射後50日間より長く生存した。対照的に、IDEC−114又はリツキシマブ単独で治療したマウスは、研究の終わりには10%未満しか生存していなかった。生存データをKaplan−Meier及びLog階数検定によって分析した(表VIII)。
Figure 2010059208
IDEC−114/リツキシマブ併用療法は、200μgもしくは400μgのIDEC−114又はリツキシマブ単一剤療法よりも統計学的に有意な応答をもたらした。
当分野の技術者ならば、その精神又は中心の属性から外れない範囲で、本発明を他の特定の形に具現化してもよいことがさらに深くわかるであろう。本発明のこれまでの記述では、その例示的な実施形態しか開示していないので、他の変形形態を本発明の範囲内であると考えることを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書で詳細に述べてきた特定の実施形態に限定されない。むしろ、本発明の範囲及び内容を示す添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

Claims (31)

  1. 抗CD80抗体を含む、ヒト患者におけるB細胞腫瘍を治療するために抗CD20抗体と組み合わせて同時又は逐次に使用するための医薬組成物。
  2. B細胞リンパ腫又は白血病であるB細胞腫瘍を治療するためのものである請求項1記載の医薬組成物。
  3. B細胞リンパ腫であるB細胞腫瘍を治療するためのものである請求項2記載の医薬組成物。
  4. ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、低悪性度/濾胞性NHL、濾胞中心細胞(FCC)リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小円型細胞NHL、バルキー病NHL又はワルデンストレーム大グロブリン血症であるB細胞リンパ腫を治療するためのものである、請求項3記載の医薬組成物。
  5. 非ホジキンリンパ腫(NHL)であるリンパ腫を治療するためのものである請求項4記載の医薬組成物。
  6. ALL−L3(バーキット型白血病)、慢性リンパ球性白血病(CLL)又は単球細胞性白血病である白血病を治療するためのものである請求項2記載の医薬組成物。
  7. 前記抗CD80抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 前記抗CD80ヒト、ヒト化又はキメラ抗体がヒトIgG1又はIgG定常領域を含む請求項7記載の医薬組成物。
  9. 前記抗CD80抗体がIDEC−114である請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 前記抗CD80抗体がBリンパ腫細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 前記抗CD80抗体がBリンパ腫細胞の補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導する請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. 前記抗CD80抗体がサイトトキシンに結合している請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記サイトトキシンが、放射性核種、細胞分裂抑制剤、生体毒素又はプロドラッグである、請求項12記載の医薬組成物。
  14. 前記抗CD20抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  15. 前記抗CD20ヒト、ヒト化又はキメラ抗体がヒトIgG1又はIgG定常領域を含む請求項14記載の医薬組成物。
  16. 前記抗CD20抗体がリツキシマブ(rituximab)である請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  17. 前記抗CD20抗体が悪性B細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  18. 前記抗CD20抗体が悪性B細胞の補体依存性細胞傷害(CDC)を誘導する請求項1〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 前記抗CD20抗体がB細胞枯渇活性を有する請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  20. 前記抗CD20抗体がサイトトキシンに結合している請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  21. 前記サイトトキシンが、放射性核種、細胞分裂抑制剤、生体毒素又はプロドラッグである、請求項20記載の医薬組成物。
  22. 抗CD20抗体と組み合わせて同時又は逐次に使用するためのものであって、さらに、ヒト患者におけるB細胞腫瘍を治療するために1以上の化学療法剤と組み合わせて同時又は逐次に使用するための、請求項1〜21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  23. 抗CD80抗体を含む、悪性B細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するために抗CD20抗体と組み合わせて同時又は逐次に使用するための医薬組成物。
  24. リンパ腫又は白血病細胞である悪性B細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するためのものである請求項23記載の医薬組成物。
  25. 細胞傷害がイン・ビボで起こる請求項23又は24に記載の医薬組成物。
  26. 前記抗CD80抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項23〜25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  27. 前記抗CD80抗体がIDEC−114である請求項23〜26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  28. 前記抗CD20抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体又はキメラ抗体である、請求項23〜27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  29. 前記抗CD20抗体がリツキシマブ(rituximab)である請求項23〜28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  30. 前記抗CD20抗体がB細胞枯渇活性を有する請求項23〜29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  31. 抗CD20抗体と組み合わせて同時又は逐次に使用するためのものであって、さらに、悪性B細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するために1以上の化学療法剤と組み合わせて同時又は逐次に使用するための、請求項23〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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